(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一面に複合樹脂材注入用の開口部が形成されたケースと、このケース内に収納された電源基板と、この電源基板に実装された電源素子と、前記ケースの前記複合樹脂材注入用の開口部を覆った蓋と、この蓋、または前記ケースの一部を貫通して、前記電源基板から、このケース外に引き出された電源ケーブルとを備え、前記ケース内の前記電源基板と、前記電源素子と、前記複合樹脂材注入用の開口部を覆った蓋のケース内方側部分の全体と、前記電源ケーブルのケース外への引き出し部分で、前記ケース内方側部分の全体とを、それぞれに密着状態で覆った、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材を設け、前記ケース内で、前記電源素子に対して前記電源基板とは反対側部分に、前記複合樹脂材が存在しない空間を形成すると共に、前記ケースの開口縁のケース内面側には、切欠部を設け、この切欠部内を複合樹脂材で覆ったことを特徴とする電源装置。
前記ケースの開口部の開口縁と、前記蓋の対向部分には、第1の防水パッキンを介在させ、この第1の防水パッキンのケース内面部分を複合樹脂材で覆った請求項1に記載の電源装置。
前記複合樹脂材は、樹脂主剤と、樹脂硬化剤と、熱伝導性物質とを含有するものとし、前記樹脂硬化剤によって前記樹脂主剤が硬化する前に、前記複合樹脂材を前記ケース内に注入し、前記樹脂硬化剤によって前記樹脂主剤が硬化する前に、前記ケースを転動、または揺動させる請求項9に記載の電源装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例では、電源素子や電源基板を複合樹脂材で覆っているので、これらの電源素子や電源基板の発熱は、複合樹脂材を介してケースへと伝達、放熱させることができる。
しかし、従来のこの種の電源装置は、屋外や、屋内でも水の掛かる環境で使用することを想定していないものであるので、水の浸入対策が不十分となっている。
つまり、前記ケースの開口部を蓋で覆っていなかったり、蓋で覆ったものでも、単に蓋とケースの開口部間にパッキンを介在させたりしただけの構成としている。
【0005】
しかしながら、前記ケースの開口部を蓋で覆うとともに、蓋とケースの開口部間にパッキンを介在させたものでも、パッキンの蓋とケースへの当接状態が不十分であると水の浸入が発生し、屋外や水の掛かる環境で使用することを想定した場合、水の浸入対策が不十分なものとなる。
そこで、本発明は、防水性の優れた電源装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために本発明の請求項1に記載の電源装置は、少なくとも一面に複合樹脂材注入用の開口部が形成されたケースと、このケース内に収納された電源基板と、この電源基板に実装された電源素子と、前記ケースの前記複合樹脂材注入用の開口部を覆った蓋と、この蓋、または前記ケースの一部を貫通して、前記電源基板から、このケース外に引き出された電源ケーブルとを備え、前記ケース内の前記電源基板と、前記電源素子と、前記複合樹脂材注入用の開口部を覆った蓋のケース内方側部分の全体と、前記電源ケーブルのケース外への引き出し部分で、前記ケース内方側部分の全体とを、それぞれに密着状態で覆った、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材を設け、前記ケース内で、前記電源素子に対して前記電源基板とは反対側部分に、前記複合樹脂材が存在しない空間を形成
すると共に、前記ケースの開口縁のケース内面側には、切欠部を設け、この切欠部内を複合樹脂材で覆ったものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明の電源装置は、少なくとも一面に
複合樹脂材注入用の開口部が形成されたケースと、このケース内に収納された電源基板と、この電源基板に実装された電源素子と、前記ケースの前記複合樹脂材注入用の開口部を覆った蓋と、この蓋、または前記ケースの一部を貫通して、前記電源基板から、このケース外に引き出された電源ケーブルとを備え、前記ケース内の前記電源基板と、前記電源素子と、前記複合樹脂材注入用の開口部を覆った蓋のケース内方側部分の全体と、前記電源ケーブルのケース外への引き出し部分で、前記ケース内方側部分の全体とを、それぞれに密着状態で覆った、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材を設け、前記ケース内で、前記電源素子に対して前記電源基板とは反対部分に、前記複合樹脂材が存在しない空間を形成
すると共に、前記ケースの開口縁のケース内面側には、切欠部を設け、この切欠部内を複合樹脂材で覆ったので、防水性や放熱性に優れると共に、高温化の抑制や軽量化を図ることが可能な電源装置を提供することができる。
【0008】
すなわち、本発明は、前記ケース内の前記電源基板と、前記電源素子と、前記蓋のケース内方側部分と、前記電源ケーブルのケース外への引き出し部分で、前記ケース内方側部分とを、それぞれに密着状態で覆った、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材を設けたので、この複合樹脂材が、水へのシール効果を発揮し、その結果として、ケース内への水の浸入を抑制することができ、防水性の優れた電源装置を提供することができるのである。
【0009】
また、前記ケース内の前記電源基板と、前記電源素子とを絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材で覆ったので、前記電源基板と、前記電源素子の発熱を、この熱伝導性の複合樹脂材を介してケースに伝達し、効果的な放熱を果たすこともできる。
【0010】
さらに、前記ケース内で、前記電源素子の電源基板とは反対側部分には、前記複合樹脂材が存在しない空間を形成したので、前記ケースの、前記電源素子の電源基板とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置としての設置性が高まる。
【0011】
つまり、この空間は、前記電源基板と、前記電源素子とを覆った熱伝導性の複合樹脂材よりも熱伝導がしにくいものとなるので、前記電源基板と、前記電源素子の熱は、複合樹脂材を介して、前記空間とは異なるケース方向に伝導し、その結果として前記ケースの、前記電源素子の電源基板とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置としての設置性が高まるのである。
【0012】
さらにまた、前記ケース内で、前記電源素子の電源基板とは反対側部分に、前記複合樹脂材が存在しない空間を形成したので、電源装置の重量を軽くすることができ、その結果として、この点からも電源装置の設置性を高めることができる。
【0013】
つまり、複合樹脂材は、熱伝導性を高めるために、熱伝導性物質(例えば酸化物)を混入したものであるので、重量が重くなってしまうが、本発明では、前記空間を形成して複合樹脂材の量を少なくしたので、その分、電源装置の重量を軽くすることができ、費用も安くなり、その結果として、電源装置の設置性を高めることができるのである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
【0016】
図1の1は、電子機器の一例として用いた街灯で、屋外に設置されるものである。
この街灯1は、支柱2と、この支柱2上に設置された光源3と、この光源3に電源を供給する電源装置4と、により構成されている。
【0017】
この実施形態では、負荷として直流電圧で駆動されるLEDにより光源3が構成されているので、交流の商用電源を、
図2のプラグ5を介して電源装置4に供給し、この電源装置4で直流に変換し、光源3に供給するようにしている。
【0018】
この電源装置4の電気的な回路ブロックとしては、良く知られているように、
図2のような構成となっている。
つまり、交流の商用電源に接続するプラグ5には、入力フィルター6、整流回路7、力率改善回路8を介してDC−DCコンバータ9が接続され、このDC−DCコンバータ9に上記光源3が接続されている。
【0019】
また、力率改善回路8、DC−DCコンバータ9には制御回路10が接続され、この制御回路10に調光操作部11が接続されている。
つまり、調光操作部11によって光源3の調光状態を設定するようになっており、各部の動作は、周知のことであるので、説明の煩雑化を避けるため、省略する。
【0020】
電源装置4の外壁は、
図3、
図4に示すように、角筒状のケース12によって構成されている。
【0021】
つまり、電源装置4は、この角筒状のケース12と、このケース12内に収納された電源基板13と、この電源基板13に実装された電源素子14、ヒートシンク15と、前記ケース12の両端に形成された四角形の開口部16を覆った蓋17と、この蓋17の貫通孔18を貫通して、前記電源基板13から、このケース12外に引き出された電源ケーブル19とを備えている。
【0022】
前記電源素子14は、
図2の入力フィルター6、整流回路7、力率改善回路8、DC−DCコンバータ9、制御回路10、調光操作部11を構成する各種電子部品である。
【0023】
また、前記蓋17には円形の貫通孔18が設けられており、この貫通孔18には、
図5に示すように円柱状の防水パッキン20が貫入されており、この防水パッキン20の貫通孔21を貫通した状態で、前記電源ケーブル19がケース12内から、ケース12外へ引き出されている。
【0024】
また、この
図5に示すように、前記ケース12の開口部16の開口縁と、前記蓋17の対向部分には、四角枠状の防水パッキン22を介在させている。
【0025】
そして、ねじ23を、
図6に示す蓋17の貫通孔24を貫通させ、ケース12の開口部16の開口縁のねじ穴(図示せず)にねじ込むことにより、蓋17をケース12の開口部16に、防水パッキン22を加圧した状態で、取り付けるようにしている。
【0026】
また、この蓋17のケース12の内面側には、
図6に示すように、凹凸処理面25を設けている。
【0027】
以上のような構成において、本実施形態では、
図4、
図5に示すように、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14と、ヒートシンク15と、前記蓋17のケース12内方側部分と、前記電源ケーブル19のケース12外への引き出し部分で、前記ケース12内方側部分とを、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材26により、それぞれに密着状態で覆っている。
【0028】
具体的には、電源基板13と、前記電源素子14と、ヒートシンク15は、その全体が複合樹脂材26により、それぞれに密着状態で覆われている。
【0029】
つまり、これらの電源基板13と、前記電源素子14と、ヒートシンク15は、複合樹脂材26内に埋没した状態となっている。
【0030】
また、防水パッキン20、22のケース12内面部分も、
図5に示すように複合樹脂材26で覆われている。
【0031】
なお、蓋17のケース12の内面側には、
図6に示すように、凹凸処理面25を設けているので、複合樹脂材26の密着状態は、より強固なものとなっている。
【0032】
一方、前記ケース12内で、前記電源素子14やヒートシンク15に対して電源基板13とは反対側部分には、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成している。
【0033】
また、電源基板13に、空間27を介して対向するケース12部分は、複合樹脂材26で密着して覆われている。
【0034】
さらに、蓋17のケース12の内面側で、空間27に対向する部分も、上述のごとく複合樹脂材26で密着して覆われている。
【0035】
以上のごとく、本実施形態では、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14、ヒートシンク15と、前記蓋17、防水パッキン22のケース12内方側部分を、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材26によって、それぞれに密着状態で覆っている。
【0036】
また、前記電源ケーブル19のケース12外への引き出し部分で、前記ケース12内方側部分、具体的には、防水パッキン22、および、その内外の貫通孔21、18のケース12内方側部分を、絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材26によって、それぞれに密着状態で覆っている。
【0037】
このため、蓋17、防水パッキン20、22以外に、複合樹脂材26が、水へのシール効果を発揮し、その結果として、ケース12内への水の浸入を抑制することができ、防水性の優れた電源装置4とすることができる。
【0038】
また、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14と、ヒートシンク15とを絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材26で覆ったので、前記電源基板13と、前記電源素子14の発熱を、この熱伝導性の複合樹脂材26を介してケース12に伝達し、効果的な放熱を果たすこともできる。
【0039】
さらに、前記ケース12内で、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分には、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成したので、前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置4としての設置性が高まる。
【0040】
つまり、この空間27は、前記電源基板13と、前記電源素子14とを覆った熱伝導性の複合樹脂材26よりも熱伝導がしにくいものとなるので、前記電源基板13と、前記電源素子14の熱は、複合樹脂材26を介して、前記空間27とは異なるケース12方向に伝導し(空間27を避けるように伝導し)、その結果として前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置4としての設置性が高まるのである。
【0041】
さらに、詳しく説明すると、前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができるので、ケース12の電源素子14に対して電源基板13と反対側には、他の構成体(図示せず)を配置することもでき、これにより、電源装置4としての設置性が高まるのである。
【0042】
さらにまた、前記ケース12内で、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分に、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成したので、電源装置4の重量を軽くすることができ、その結果として、この点からも電源装置4の設置性を高めることができる。
【0043】
つまり、複合樹脂材26は、熱伝導性を高めるために、熱伝導性物質(例えばアルミナ粉、酸化マグネシウム粉、窒化アルミ粉、酸化珪素粉等)を混入したものであるので、重量が重くなってしまうが、本実施形態では、前記空間27を形成して複合樹脂材26の量を少なくしたので、その分、電源装置の重量を軽くすることができ、費用も安くなり、その結果として、電源装置の設置性を高めることができるのである。
【0044】
それでは、このような電源装置4をいかに製造するかという点について、次に、説明する。
【0045】
先ず、電源素子14を実装するとともに、電源ケーブル19を接続した電源基板13を、ケース12の開口部16から、このケース12内に装着する。
【0046】
このとき、電源プラグ5側の電源ケーブル19は、既に、防水パッキン20の貫通孔21を貫通した状態にあり、また、防水パッキン20は、蓋17の貫通孔18に装着されている。
【0047】
また、電源プラグ5とは反対側の電源ケーブル19には、蓋17は、まだ装着されていない。
【0048】
次に、ケース12の電源プラグ5側の開口部16に、蓋17を、防水パッキン22を介して、ねじ23によって固定する。
【0049】
そして、このねじ23の固定が終わると、電源プラグ5とは反対側の電源ケーブル19に防水パッキン20、蓋17を装着する。
【0050】
ただし、こちら側は、電源ケーブル19が装着された状態で、防水パッキン20付の蓋17を、若干、電源プラグ5とは反対側にずらせておく。
【0051】
そして、このように防水パッキン20付の蓋17を、若干、電源プラグ5とは反対側にずらせておくことにより、ケース12の、電源プラグ5とは反対側の開口部16は蓋17が未装着の開放状態となっている。
【0052】
この状態で、電源プラグ5側を下側として、ケース12を立てる。
【0053】
そして、上記開放状態の上方の開口部16から、液状の複合樹脂材26をケース12内に注入する。
【0054】
複合樹脂材26の注入量は、このケース12内に、未充填空間(後の空間27分)が形成される状態、つまり、ケース12内を埋め尽くすほどには注入しないという事である。
【0055】
その後、複合樹脂材26を注入した側のケース12の開口部16に蓋17を装着し、蓋17を、防水パッキン22を介して、ねじ23によって固定する。
【0056】
このとき、蓋17は、電源ケーブル19表面を、電源プラグ5側へとずらし、この状態で、ケース12の開口部16に蓋17を装着し、蓋17を、防水パッキン22を介して、ねじ23によって固定する。
【0057】
その後、ケース12を縦方向、横方向に転動、または揺動させ、その後、
図4のごとく、ケース12を、電源基板13側を下側にして放置し、複合樹脂材26を硬化させると、上記空間27が形成される。
【0058】
前記複合樹脂材26は、例えば、市販されている2液性のシリコン接着剤と言われるもので、樹脂主剤と、樹脂硬化剤と、熱伝導性物質とを含有し、樹脂硬化剤の混入量や、雰囲気温度によって硬化時間が変わる。
【0059】
そして、硬化後の複合樹脂材26は、上述のごとく、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14、ヒートシンク15と、前記蓋17、防水パッキン22のケース12内方側部分を、それぞれに密着状態で覆った状態となる。
【0060】
また、前記電源ケーブル19のケース12外への引き出し部分で、前記ケース12内方側部分、具体的には、防水パッキン22、および、その内外の貫通孔21、18のケース12内方側部分も、複合樹脂材26によって、それぞれに密着状態で覆うことになる。
【0061】
このため、蓋17、防水パッキン20、22以外に、複合樹脂材26が、水へのシール効果を発揮し、その結果として、ケース12内への水の浸入を抑制することができ、防水性の優れた電源装置4とすることができる。
【0062】
また、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14と、ヒートシンク15とを絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材26で覆ったので、前記電源基板13と、前記電源素子14の発熱を、この熱伝導性の複合樹脂材26を介してケース12に伝達し、効果的な放熱を果たすこともできる。
【0063】
さらに、前記ケース12内で、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分には、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成したので、前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置4としての設置性が高まる。
【0064】
つまり、この空間27は、前記電源基板13と、前記電源素子14とを覆った熱伝導性の複合樹脂材26よりも熱伝導がしにくいものとなるので、前記電源基板13と、前記電源素子14の熱は、複合樹脂材26を介して、前記空間27とは異なるケース12方向に伝導し(空間27を避けるように伝導し)、その結果として前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置4としての設置性が高まるのである。
【0065】
さらに、詳しく説明すると、前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができるので、ケース12の電源素子14に対して電源基板13と反対側には、他の構成体(図示せず)を配置することもでき、これにより、電源装置4としての設置性が高まるのである。
【0066】
さらにまた、前記ケース12内で、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分に、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成したので、電源装置4の重量を軽くすることができ、その結果として、この点からも電源装置4の設置性を高めることができる。
【0067】
つまり、複合樹脂材26は、熱伝導性を高めるために、熱伝導性物質(例えばアルミナ粉、酸化マグネシウム粉、窒化アルミ粉、酸化珪素粉等)を混入したものであるので、重量が重くなってしまうが、本実施形態では、前記空間27を形成して複合樹脂材26の量を少なくしたので、その分、電源装置の重量を軽くすることができ、費用も安くなり、その結果として、電源装置の設置性を高めることができるのである。
【0068】
次に、
図7〜
図12を用い、電源素子14の一つとして用いた電源トランス28について説明する。
【0069】
この電源トランス28は、
図2に示したDC−DCコンバータ9の一構成部品であり、筒状のボビン29に、複数のコイル40を巻き、また、ボビン29にはケース30を被せ、その後、ケース30上に配置した二分割したフェライトコア31の中脚32を、ケース30の開口部33を介して、ボビン29内に挿入している。
【0070】
二分割したフェライトコア31の中脚32は、
図11〜
図13から理解されるように、ボビン29内で当接している。
【0071】
また、二分割したフェライトコア31の外脚34は、
図7、
図8のように、ケース30の側部上で当接している。
【0072】
本実施形態の特徴は、
図10に示したスペーシングテープ35を、
図9、
図11〜
図13のように、フェライトコア31の外脚34に対向する部分に貼付したことである。
【0073】
つまり、
図9のごとく、フェライトコア31の外脚34と、ケース30の対向面との間に、スペーシングテープ35が介在、つまり、フェライトコア31の外脚34と、ケース30の対向面との間の隙間がスペーシングテープ35で塞がれた状態となる。
【0074】
その結果、このフェライトコア31の外脚34と、ケース30の対向面との間の隙間に、上記複合樹脂材26が浸入することがなくなる。
【0075】
このことは非常に重要なことで、電源トランス28の発熱で複合樹脂材26は大きく膨張することになるので、この複合樹脂材26が、上記フェライトコア31の外脚34と、ケース30の対向面との間の隙間に存在すると、膨張により、フェライトコア31の外脚34を外側に割ってしまう状態が発生する。
【0076】
これに対して、本実施形態では、フェライトコア31の外脚34と、ケース30の対向面との間の隙間がスペーシングテープ35で塞がれた状態となっているので、この隙間に、上記複合樹脂材26が浸入することがなく、その結果として、フェライトコア31の損傷が起きなくなる。
(実施の形態2)
【0077】
図14は本発明の他の実施の形態を示し、この実施の形態では、前記ケース12の開口縁のケース内面側に切欠部36を設け、この切欠部36内も複合樹脂材26で覆ったものである。
【0078】
つまり、この実施の形態では、複合樹脂材26は、上述のごとく、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14、ヒートシンク15と、前記蓋17、防水パッキン22のケース12内方側部分を、それぞれに密着状態で覆った状態となる。
【0079】
また、切欠部36内も複合樹脂材26によって密着状態で覆った状態となる。
【0080】
つまり、防水パッキン22の外周を広く複合樹脂材26によって密着状態で覆うので、この部分の水に対するシール効果は高いものとなる。
【0081】
また、前記電源ケーブル19のケース12外への引き出し部分で、前記ケース12内方側部分、具体的には、防水パッキン22、および、その内外の貫通孔21、18のケース12内方側部分も、複合樹脂材26によって、それぞれに密着状態で覆うことになる。
【0082】
このため、蓋17、防水パッキン20、22以外に、複合樹脂材26が、水へのシール効果を発揮し、その結果として、ケース12内への水の浸入を抑制することができ、防水性の優れた電源装置4とすることができる。
【0083】
また、前記ケース12内の前記電源基板13と、前記電源素子14と、ヒートシンク15とを絶縁性で、熱伝導性の複合樹脂材26で覆ったので、前記電源基板13と、前記電源素子14の発熱を、この熱伝導性の複合樹脂材26を介してケース12に伝達し、効果的な放熱を果たすこともできる。
【0084】
さらに、前記ケース12内で、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分には、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成したので、前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置4としての設置性が高まる。
【0085】
つまり、この空間27は、前記電源基板13と、前記電源素子14とを覆った熱伝導性の複合樹脂材26よりも熱伝導がしにくいものとなるので、前記電源基板13と、前記電源素子14の熱は、複合樹脂材26を介して、前記空間27とは異なるケース12方向に伝導し、その結果として前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができ、これにより、電源装置4としての設置性が高まるのである。
【0086】
さらに、詳しく説明すると、前記ケース12の、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分が高温化するのを抑制することができるので、ケース12の電源素子14に対して電源基板13と反対側には、他の構成体(図示せず)を配置することもでき、これにより、電源装置4としての設置性が高まるのである。
【0087】
さらにまた、前記ケース12内で、前記電源素子14の電源基板13とは反対側部分に、前記複合樹脂材26が存在しない空間27を形成したので、電源装置4の重量を軽くすることができ、その結果として、この点からも電源装置4の設置性を高めることができる。
【0088】
つまり、複合樹脂材26は、熱伝導性を高めるために、熱伝導性物質(例えばアルミナ粉、酸化マグネシウム粉、窒化アルミ粉、酸化珪素粉等)を混入したものであるので、重量が重くなってしまうが、本実施形態では、前記空間27を形成して複合樹脂材26の量を少なくしたので、その分、電源装置の重量を軽くすることができ、費用も安くなり、その結果として、電源装置の設置性を高めることができるのである。
【0089】
それ以外の部分は、上記(実施の形態1)と同じ構成となっているので、煩雑化を避けるために、説明を簡略化する。
(実施の形態3)
【0090】
図15は本発明の他の実施の形態を示し、この実施の形態の街灯1は、支柱2内に、電源装置4を配置したものである。
【0091】
このように、支柱2内に電源装置4を設けても、街灯1が屋外配置の場合には、防水対策が求められるので、上述した電源装置4の構成は適切なものとなる。
【0092】
それ以外の部分は、上記(実施の形態1、または2)と同じ構成となっているので、煩雑化を避けるために、説明を簡略化する。
(実施の形態4)
【0093】
図16は本発明の他の実施の形態を示し、この実施の形態の街灯1は、光源3を複数設け、また、支柱2内に、電源装置4を配置した。
【0094】
このように、支柱2内に電源装置4を設けても、街灯1が屋外配置の場合には、防水対策が求められるので、上述した電源装置4の構成は適切なものとなる。
【0095】
それ以外の部分は、上記(実施の形態1、または2)と同じ構成となっているので、煩雑化を避けるために、説明を簡略化する。
(実施の形態5)
【0096】
図17は本発明の他の実施の形態を示し、この実施の形態では、電池駆動の芝刈り機37の充電ステーション38に、上記実施の形態1、または2の電源装置4を接続したものである。
【0097】
この場合も、充電ステーション38、電源装置4は屋外配置されることが多く、電源装置4には防水対策が求められるので、上述した実施形態の電源装置4は適切なものとなる。
【0098】
それ以外の部分は、上記(実施の形態1、または2)と同じ構成となっているので、煩雑化を避けるために、説明を簡略化する。
【0099】
なお、以上の各実施形態では、電源ケーブル19は蓋17を貫通して、ケース12外に引き出されているが、ケース12を貫通して電源ケーブル19をケース12外に引き出しても良く、この引き出し部分のケース12内面側を複合樹脂材26で密着して覆っても良い。