(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記起端側シール対向面が有する前記錐台面が前記シール収容部内で前記起端側雄型対向面に接触するとき、前記起端側シール対向面が有する前記錐台面の起端部分が前記起端側雄型対向面から離れていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
前記雌型部材の素材が、ポリエチレン、ポリブテン、架橋ポリエチレン、および、ポリプロピレンからなる群のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された管継手には、漏れ防止性能に関して改善の余地がある。本発明はこのような課題を解決するものである。本発明は、漏れ防止性能を改善した管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面を参照し本発明の管継手を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためである。この欄で図中の符号を使用することには発明の内容を図示した範囲に限定する意図がない。
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、管継手は、筒状の雌型部材10と、筒状の雄型部材12と、貫通シール14,150とを備える。雌型部材10は、少なくとも一端に受口部30を有する。雄型部材12は挿入側端部70を有する。挿入側端部70は、雌型部材10の受口部30に挿入される。雌型部材10の内部で挿入側端部70が貫通シール14,150を貫通する。貫通シール14,150は、雌型部材10と挿入側端部70との間に挟まれる。貫通シール14,150は、雌型部材10と雄型部材12との隙間をシールする。受口部30が、進入口40とシール収容部42とを有している。進入口40から挿入側端部70が進入する。シール収容部42は雌型部材10の内部に配置される。シール収容部42には貫通シール14,150が収容される。
シール収容部42が、外環接触部66と、環状の支持壁面68とを有している。外環接触部66は貫通シール14,150を取り囲む。支持壁面68は進入口40に対向する。挿入側端部70が、筒状の内環接触部88と、環状の起端側シール対向面8
6とを有している。内環接触部88は、貫通シール14,150の内周面に接触する。起端側シール対向面8
6は、内環接触部88から見て挿入側端部70の起端側に配置される。起端側シール対向面8
6は、シール収容部42で貫通シール14,150と対向する。
貫通シール14,150が、支持壁面68と起端側シール対向面86との間で移動可能に配置されている。貫通シール14,150が、起端側雄型対向面104,164を有する。起端側雄型対向面104,164は起端側シール対向面8
6と対向する。
起端側シール対向面8
6が錐台面を有している。錐台面は、挿入側端部70の先端に近づくにつれ窄まる。
雌型部材10が、受口部30に加え、ストッパーリング収容凹溝34を有している。ストッパーリング収容凹溝34には爪挿通孔78が設けられている。挿入側端部70が、抜止溝84をさらに有している。抜止溝84は、受口部30内において爪挿通孔78に対向する位置に配置される。管継手が、ストッパーリング18をさらに備えている。ストッパーリング18は、ストッパーリング収容凹溝34に嵌め込まれる。ストッパーリング18は、抜止溝84に係合される。
【0007】
挿入側端部70は、雌型部材10の受口部30に挿入される。雌型部材10の内部で雄型部材12の挿入側端部70が貫通シール14,150を貫通する。貫通シール14,150は、雌型部材10と挿入側端部70との間に挟まれる。挿入側端部70が環状の起端側シール対向面8
6を有する。この起端側シール対向面8
6は、貫通シール14,150の内周面に接触する筒状の内環接触部88から見て挿入側端部70の起端側に配置される。この起端側シール対向面8
6は、受口部30内で貫通シール14,150と対向する。この場合、雌型部材10と雄型部材12との間からこれらの外へ漏れようとする流体は、雌型部材10と挿入側端部70との間を経由しようとする。貫通シール14,150は、雌型部材10と雄型部材12との隙間をシールする
。起端側シール対向面8
6が錐台面を有している。錐台面は挿入側端部70の先端に近づくにつれ窄まる。これにより、
起端側シール対向面8
6がそのような錐台面を有していない場合に比べ、貫通シール14,150が外側に膨らみやすくなる。貫通シール14,150が外側に膨らみやすくなると、雌型部材10が流体から圧力を受けて膨らんだとしても、その膨らんだ雌型部材10のシール収容部42と起端側雄型対向面104,164の外周部分との間におけるシール作用低下を抑制できる。その結果、雌型部材10を備えるときの漏れ防止性能を改善できる。
【0008】
上述し
たシール収容部42内で貫通シール14,150と起端側シール対向面8
6とが接触するとき、起端側シール対向面8
6が有する錐台面の先端側が起端側以前に起端側雄型対向面104,164に接触す
る。
【0009】
次に述べられる条件が満たされるならば、起端側シール対向面8
6が錐台面を有していない場合に比べ、貫通シール14,150が錐台面に沿って外側に膨らみやすくなる。その条件とは、貫通シール14,150と錐台面を有する起端側シール対向面8
6とがシール収容部42内で接触するとき、その錐台面の先端側がその錐台面の起端側以前に起端側雄型対向面104,164に接触するというものである。ここで言う「その錐台面の先端側が、その錐台面の起端側以前に起端側雄型対向面104,164に接触する」とは、その錐台面の先端側の領域が、その領域より起端側の領域と同時又はそれより前に、起端側雄型対向面104,164に接触することを意味する。貫通シール14,150が錐台面に沿って外側に膨らみやすくなるので、シール性能が高くなる。その結果、雌型部材10を備えるときの漏れ防止性能を改善できる。
【0010】
もしくは、上述した起端側シール対向面8
6が有する錐台面がシール収容部42内で起端側雄型対向面104,164に接触するとき、起端側シール対向面8
6が有する錐台面の起端部分が起端側雄型対向面104,164から離れていることが望ましい。
【0011】
この場合、その起端部分が起端側雄型対向面104,164に接触している場合に比べ、貫通シール14,150が錐台面に沿って外側に膨らみやすくなる。貫通シール14,150が錐台面に沿って外側に膨らみやすくなるので、シール性能が高くなる。その結果、雌型部材10を備えるときの漏れ防止性能を改善できる。
【0012】
また、上述した雌型部材10の素材が、ポリエチレン、ポリブテン、架橋ポリエチレン、および、ポリプロピレンからなる群のいずれかであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、漏れ防止性能を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
<第1実施形態の説明>
[構造の説明]
図1は、本実施形態にかかる管継手の図である。
図1において、管継手の一部が切欠かれている。
図1に基づいて、本実施形態の管継手の構成が説明される。管継手は、筒状の雌型部材10と、筒状の雄型部材12と、ゴム製の貫通シール14と、ゴム製の隙間シール16と、ストッパーリング18と、補強リング20と、保護カバー22とを備える。雌型部材10には合成樹脂管900が接続される。雌型部材10には雄型部材12の一部が挿入される。雄型部材12には合成樹脂管902が接続される。貫通シール14は、雌型部材10と雄型部材12との間をシールする。隙間シール16も、雌型部材10と雄型部材12との間をシールする。ストッパーリング18は雄型部材12が雌型部材10内から抜けることを防止する。本実施形態の場合、補強リング20は、合成樹脂製(もちろん、例えば黄銅といった他の素材であってもよい。)の環状の部材である。補強リング20は、雌型部材10へ雄型部材12が接続され、かつ、ストッパーリング18が装着されると、ストッパーリング18の外周に装着される。保護カバー22は、雌型部材10の外周面に沿って移動可能である。保護カバー22は、ストッパーリング18と補強リング20とを保護する。
【0017】
図2は、本実施形態にかかる雌型部材10の図である。
図2において、雌型部材10の一部が切欠かれている。
図3は、
図2のA−A断面図である。
図1ないし
図3に基づいて、本実施形態の雌型部材10の構成が説明される。本実施形態の場合、雌型部材10は、ポリエチレン製である。本実施形態の場合、雌型部材10は射出成形により成型される。本実施形態の場合、雌型部材10は、受口部30と、合成樹脂管接続部32と、ストッパーリング収容凹溝34と、2本のスライド溝36とを有する。受口部30は雌型部材10の一端に配置される。合成樹脂管接続部32は雌型部材10の他端に配置される。合成樹脂管接続部32には合成樹脂管900の一端が挿入される。その合成樹脂管900は、熱融着により、雌型部材10に固定される。ストッパーリング収容凹溝34は受口部30の外周に設けられる。ストッパーリング収容凹溝34には、ストッパーリング18が嵌め込まれる。ストッパーリング収容凹溝34の溝底には爪挿通孔78が設けてられている。爪挿通孔78を介して、雌型部材10の内側と外側とは連通している。スライド溝36は、雌型部材10の外周面に設けられる。スライド溝36には保護カバー22の一部が嵌まる。これらのスライド溝36に保護カバー22の一部が嵌まることで、保護カバー22は位置決めされる。
【0018】
受口部30が、円環状の進入口40と円環状のシール収容部42とを有している。進入口40を介して雌型部材10の内側と外側とは連通している。進入口40から雄型部材12が進入する。シール収容部42は雌型部材10の内部に配置される。シール収容部42は進入口40の奥に配置される。シール収容部42には貫通シール14および隙間シール16が収容される。
【0019】
シール収容部42は、貫通シール収容部46と、環状の隙間シール接触部48とを有している。貫通シール収容部46に貫通シール14が収容される。隙間シール接触部48は進入口40から見て貫通シール収容部46の奥に配置される。隙間シール接触部48は進入口40に対向する。
【0020】
貫通シール収容部46は、外環接触部66と、環状の支持壁面68とを有する。外環接触部66は、貫通シール14を取り囲む。外環接触部66は、貫通シール14に接触する。支持壁面68は進入口40に対向する。支持壁面68は貫通シール14が雄型部材12によって受口部30の奥へ押され移動することを防ぐ。
【0021】
図4は、本実施形態にかかる雄型部材12の図である。
図4において、雄型部材12の一部が切欠かれている。
図1と
図4とに基づいて、本実施形態の雄型部材12の構成が説明される。本実施形態の場合、雄型部材12は、ポリエチレン製である。雄型部材12は、挿入側端部70と、鍔部72と、合成樹脂管接続側端部74とを有する。挿入側端部70は雄型部材12の一端に配置される。挿入側端部70は、雌型部材10の受口部30に挿入される。挿入側端部70は進入口40から受口部30内に進入する。鍔部72は挿入側端部70の外周に配置される。鍔部72は挿入側端部70が受口部30内に進入し過ぎることを防止する。合成樹脂管接続側端部74は雄型部材12の他端に配置される。合成樹脂管接続部32には合成樹脂管902の一端が挿入される。その合成樹脂管902は、熱融着により、雄型部材12に固定される。
【0022】
挿入側端部70は、貫通シール接触部80と環状の先端側シール面82と抜止溝84とを有している。貫通シール接触部80は、貫通シール14の内周面に接触する。先端側シール面82は、貫通シール接触部80から見て挿入側端部70の先端側に配置される。先端側シール面82は、受口部30内で隙間シール接触部48と対向する。先端側シール面82は、隙間シール接触部48と共に隙間シール16を挟む。抜止溝84は、挿入側端部70の外周に円周方向に設けられる。抜止溝84は、挿入側端部70が隙間シール16に突き当てられたとき爪挿通孔78に対向する位置に配置される。
【0023】
貫通シール接触部80は、環状の起端側シール対向面86と、筒状の内環接触部88とを有している。起端側シール対向面86は、内環接触部88から見て挿入側端部70の起端側(この場合、先端側シール面82とは反対側のこと)に配置される。起端側シール対向面86は、挿入側端部70が受口部30に挿入されると貫通シール14を挟むように支持壁面68に対向する。本実施形態の場合、起端側シール対向面86は錐台面を有する。本実施形態の場合、錐台面とは、錐体面から、その錐体面と頂点を共有し相似に縮小した錐体面が取り除かれた残りの面を意味する。その結果、錐台面は、一端から他端へ近づくにつれ窄まることとなる。起端側シール対向面86が有する錐台面は、挿入側端部70の先端(本実施形態の場合でいえば先端側シール面82が設けられている端部)に近づくにつれ窄まる。内環接触部88は、先端側シール面82と起端側シール対向面86との間に配置される。内環接触部88が、貫通シール14の内周面に直接接触する。
【0024】
図5は、本実施形態にかかる貫通シール14の図である。
図5において、貫通シール14の一部が切欠かれている。
図5に基づいて、本実施形態にかかる貫通シール14の構成が説明される。貫通シール14は筒状の外環部100と環状の内環部102と起端側雄型対向面104とを有している。外環部100は、貫通シール収容部46の外環接触部66に接触する。内環部102が、外環部100の内周面から突出する。内環部102を、雄型部材12の内環接触部88が貫通する。内環部102に内環接触部88が接触する。起端側雄型対向面104は、起端側シール対向面86と対向する。本実施形態の場合、起端側雄型対向面104は、環状の平面となっている。
【0025】
図6は、本実施形態にかかる管継手の一部に関する断面図である。
図6に基づいて、本実施形態にかかる起端側シール対向面86と起端側雄型対向面104との関係が説明される。上述されたように、貫通シール接触部80の起端側シール対向面86は錐台面を有する。本実施形態の場合、この錐台面は、挿入側端部70の先端に近づくにつれ窄まる。一方、本実施形態の場合、貫通シール14の起端側雄型対向面104は、環状の平面となっている。これにより、シール収容部42内で起端側シール対向面86が有する錐台面の先端側が起端側以前に起端側雄型対向面104に接触し、起端側シール対向面86が有する錐台面の起端部分が起端側雄型対向面104から離れることとなる。この「錐台面の先端側」とは、
図6で言えば、起端側シール対向面86のうち内環接触部88との境界側のことである。「錐台面の起端側」とは、
図6で言えば、起端側シール対向面86のうち貫通シール収容部46の外環接触部66に接する部分側のことである。
【0026】
図7は、本実施形態にかかるストッパーリング18の斜視図である。
図1および
図7に基づいて、本実施形態のストッパーリング18の構成が説明される。ストッパーリング18は、ストッパーリング収容凹溝34に装着される。ストッパーリング18は、リング本体110と、複数個の抜止爪112とを有している。リング本体110はC形状に形成される。リング本体110は、弾性変形自在である。抜止爪112は、リング本体110の内周に内向きに突出する。抜止爪112はリング本体110と一体となっている。抜止爪112は、ストッパーリング18が雌型部材10の外周に装着されると、受口部30の爪挿通孔78を貫通する。これにより、抜止爪112の先端部は受口部30の内へ突出する。雌型部材10に雄型部材12の挿入側端部70が挿入されていると、抜止爪112の先端部は、雄型部材12の抜止溝84に係合される。
【0027】
図8は、本実施形態にかかる隙間シール16の図である。
図8において、隙間シール16の一部が切欠かれている。
図8に基づいて、本実施形態の隙間シール16の構成が説明される。隙間シール16は、受口側環状部120と、先端側環状部122と、隙間シール連結部124とを有する。受口側環状部120は、隙間シール接触部48と対向する。先端側環状部122は、先端側シール面82と対向する。隙間シール連結部124は、受口側環状部120の外縁部分と先端側環状部122の外縁部分とを連結する。
【0028】
図9は、本実施形態にかかる保護カバー22の図である。
図9において、保護カバー22の一部が切欠かれている。
図9に基づいて、本実施形態の保護カバー22の構成が説明される。保護カバー22は、環状カバー部130と、係合部132とを有する。本実施形態の場合、環状カバー部130と係合部132とは一体となっている。環状カバー部130は、環状である。環状カバー部130は、ストッパーリング18と補強リング20とを覆う。係合部132は、環状カバー部130の一端から突出する。係合部132は、雌型部材10のスライド溝36に嵌まる。スライド溝36に嵌まるのは、この係合部132のうち先端部分である。係合部132は、環状カバー部130が偶然に力を受けた結果スライドすることを防止する。
【0029】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる管継手は、給水配管の一部として使用される。予め、雌型部材10には貫通シール14と隙間シール16とが収容されている。また、雌型部材10の進入口40側の一端に補強リング20が嵌められている。保護カバー22の係合部132は、2本のスライド溝36のうち合成樹脂管接続部32側の方に嵌っている。
【0030】
本実施形態にかかる管継手によって合成樹脂管900と合成樹脂管902とを接続しようとする者(以下「接続者」と称される)は、まず、雌型部材10に合成樹脂管900を接続し、雄型部材12に合成樹脂管902を接続する。これらの接続の具体的な手順は周知の継手と周知の合成樹脂管との接続と同様である。したがって、その具体的な手順はここでは説明されない。雌型部材10に合成樹脂管900が接続され、かつ、雄型部材12に合成樹脂管902が接続されると、接続者は、雌型部材10のシール収容部42に貫通シール14と隙間シール16とを挿入する。続けて、接続者は、雌型部材10にストッパーリング18を装着する。
【0031】
その後、接続者は、雌型部材10の受口部30に雄型部材12の挿入側端部70を挿入する。雄型部材12が受口部30内部に挿入されると、ストッパーリング18の抜止爪112の勾配部分が押されて拡がる。その後、雄型部材12の抜止溝84がストッパーリング18の内側に対向する位置まで進入したところでそのストッパーリング18の抜止爪112が抜止溝84に窄まる。ストッパーリング18の抜止爪112が雄型部材12の抜止溝84に嵌ることで雄型部材12は位置決めされる。受口部30に挿入側端部70が挿入されると、貫通シール14の内環部102が雄型部材12の内環接触部88に接触する。これに伴い、内環部102の先端が内環部102の付け根に比べて隙間シール接触部48側に寄る。これにより、貫通シール14が雌型部材10の外環接触部66と雄型部材12の内環接触部88とに挟まれることとなる。同時に、雄型部材12の先端側シール面82は雌型部材10の隙間シール接触部48に隙間シール16を押付ける。これにより、隙間シール16は、隙間シール接触部48と先端側シール面82とに挟まれることとなる。
【0032】
貫通シール14が外環接触部66と内環接触部88とに挟まれ、かつ、隙間シール16が隙間シール接触部48と先端側シール面82とに挟まれると、雄型部材12の抜止溝84内部は爪挿通孔78を介して雌型部材10の外部と連通する。接続者は、ストッパーリング18をストッパーリング収容凹溝34に装着する。ストッパーリング18の抜止爪112は爪挿通孔78を貫通する。爪挿通孔78を貫通した抜止爪112は雄型部材12の抜止溝84に係合する。
【0033】
雌型部材10と雄型部材12とが接続された後、接続者は、ストッパーリング18を覆うように補強リング20を移動させる。その後、接続者は、保護カバー22を進入口40のある方向へスライドさせる。これにより、保護カバー22の環状カバー部130は、ストッパーリング18と補強リング20とを覆う。これにより、本実施形態にかかる管継手による合成樹脂管900と合成樹脂管902との接続が完了する。
【0034】
本実施形態にかかる管継手を供えた給水配管に水が流れると、その水の一部は、雄型部材12の先端側シール面82と雌型部材10の隙間シール接触部48との間を経由して、内環接触部88と外環接触部66との間に進入する。
図6に二点鎖線にて示されているように、内環接触部88と外環接触部66との間に進入した水は貫通シール14を押す。上述されているように、起端側シール対向面86が有する錐台面の先端側が起端側以前に(より詳しくは、その先端側が起端側よりも先に)起端側雄型対向面104に接触する。起端側シール対向面86が有する錐台面の起端部分が起端側雄型対向面104から離れている。水が貫通シール14を押すと、貫通シール14特に起端側雄型対向面104の外周部分が起端側シール対向面86の錐台面に沿って押し広げられる。貫通シール14が押し広げられるので、そうでない場合に比べ、雌型部材10が同様に押し広げられたとしても、貫通シール14のシール作用低下を抑制できる。これにより、水漏れが防止される。
【0035】
<第2実施形態の説明>
図10は本発明の第2実施形態にかかる管継手の一部に関する断面図である。
図10に基づいて、本実施形態における管継手が説明される。本発明の第2実施形態にかかる管継手は、
図1乃至
図9に示された管継手の貫通シール14に代えて、次に述べられる貫通シール150を備える。
【0036】
この貫通シール150は、筒状の外環部100と環状の内環部102と起端側雄型対向面164とを有している。起端側雄型対向面164は、起端側シール対向面86と対向する。この起端側雄型対向面164は、挿入側端部70の先端に近づくにつれ窄まる錐台面を有している。これにより、
図10に示されているように、本実施形態において、起端側シール対向面86は起端側雄型対向面164に沿う。この場合、シール収容部42内で貫通シール150と起端側シール対向面86とが接触するときに起端側シール対向面86が有する錐台面の先端側が起端側以前に(より詳しくは、その先端側が起端側と同時に)起端側雄型対向面164に接触することとなる。
【0037】
その他の点は、第1実施形態にかかる管継手と同様である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0038】
<第
1参考形態の説明>
図11は本発明の第
1参考形態にかかる管継手の一部に関する断面図である。
図11に基づいて、本
参考形態における管継手が説明される。本発明の第
1参考形態にかかる管継手は、
図1乃至
図9に示された管継手の貫通シール14および起端側シール対向面86に代えて、第2実施形態にかかる貫通シール150と、次に述べられる起端側シール対向面180とを備える。
【0039】
この起端側シール対向面180は、環状の平面を有する。したがって、この起端側シール対向面180は、挿入側端部70の先端に近づくにつれ窄まる錐台面を有していない。これにより、
図11に示されているように、本
参考形態において、貫通シール150の起端側雄型対向面164の外周部分と起端側シール対向面180とが接触するとき、起端側雄型対向面164が有する錐台面の中央部分が起端側シール対向面180から離れていることとなる。この「起端側雄型対向面164の外周部分」とは、
図11で言えば、起端側雄型対向面164のうち貫通シール収容部46の外環接触部66に接する部分のことである。「起端側雄型対向面164が有する錐台面の中央部分」とは、
図11で言えば、その錐台面のうち内環部102に最も近い部分のことである。
【0040】
その他の点は、第1実施形態にかかる管継手と同様である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0041】
[脈動試験の結果]
まず、第1実施形態乃至第
2実施形態
および第1参考形態にかかる管継手が製作された。製作された管継手の数は、各実施形態
および第1参考形態につき2個であった。第1実施形態にかかる管継手において、内環接触部88の中心軸に対する起端側シール対向面86の傾斜は80度(9分の4πラジアン)であった。貫通シール14の中心軸に対する起端側雄型対向面104の傾斜は90度(2分のπラジアン)であった。その結果、起端側シール対向面86と起端側雄型対向面104とがなす角度は10度(18分のπラジアン)であった。第2実施形態にかかる管継手において、内環接触部88の中心軸に対する起端側シール対向面86の傾斜は80度(9分の4πラジアン)であった。貫通シール14の中心軸に対する起端側雄型対向面164の傾斜は80度(9分の4πラジアン)であった。その結果、起端側シール対向面86と起端側雄型対向面164とがなす角度は0度(0ラジアン)であった。第
1参考形態にかかる管継手において、内環接触部88の中心軸に対する起端側シール対向面180の傾斜は90度(2分のπラジアン)であった。貫通シール14の中心軸に対する起端側雄型対向面164の傾斜は80度(9分の4πラジアン)であった。その結果、起端側シール対向面180と起端側雄型対向面164とがなす角度は10度(18分のπラジアン)であった。これらの相違点を除けば、これらの管継手は、同一形態かつ同一寸法であった。また、比較例として、起端側雄型対向面および起端側シール対向面の双方が錐台面を有していない管継手が製作された。その管継手の数も2個であった。これらの管継手は、起端側雄型対向面および起端側シール対向面の双方が錐台面を有していない点を除けば、第1実施形態乃至第
2実施形態
および第1参考形態にかかる管継手と同一形態かつ同一寸法であった。これらの管継手の中に水を流し、かつ、その水の水圧を変動させた。その水圧は、高圧のときに2.0MPaであり、低圧のときに0.5MPa以下であった。水圧の変動回数は3万回であった。
図12には、水漏れが発生した時点までの水圧の変動回数が示される。
図12において、管継手識別番号が「1」と「2」とである管継手が、第1実施形態にかかる管継手である。管継手識別番号が「3」と「4」とである管継手が、第2実施形態にかかる管継手である。管継手識別番号が
「5」と「6」とである管継手が、第
1参考形態にかかる管継手である。管継手識別番号が「7」と「8」とである管継手が、比較例にかかる管継手である。なお、管継手識別番号が「8」である管継手は、雌型部材10のうち2本のスライド溝36の間にあたる箇所が周知のジュビリーバンドで締め付けられた状態で水圧を変動させた。
【0042】
図12によると、第1実施形態乃至第
2実施形態
および第1参考形態にかかる管継手は、管継手識別番号が「8」である管継手には劣るものの、管継手識別番号が「7」である管継手に比べ、水漏れが発生した時点までの水圧の変動回数が大幅に多くなる。このことから、特別な対策(例えばジュビリーバンドで締め付けるという対策)を講じない限り、第1実施形態乃至第
2実施形態
および第1参考形態にかかる管継手の漏れ防止性能が比較例にかかる管継手に比べて大幅に改善されていることは明らかである。
【0043】
第1実施形態乃至第
2実施形態
および第1参考形態にかかる管継手の間では、管継手識別番号が「1」乃至「4」である管継手が、管継手識別番号が「5」又は「6」とである管継手に比べて、水漏れが発生する時点までの水圧の変動回数が大幅に多くなる。このことから、シール収容部内で貫通シールと起端側シール対向面とが接触するときに起端側シール対向面が有する錐台面の先端側が起端側以前に起端側雄型対向面に接触すると、漏れ防止性能が大幅に優れていることが明らかである。
【0044】
第1実施形態にかかる管継手と第2実施形態にかかる管継手との間では、管継手識別番号が「1」又は「2」である管継手が、管継手識別番号が「3」又は「4」である管継手に比べて、水漏れが発生した時点までの水圧の変動回数が大幅に多くなる。このことから、シール収容部内で起端側シール対向面が有する錐台面の先端側が起端側以前に起端側雄型対向面に接触するとき、起端側シール対向面が有する錐台面の起端部分が起端側雄型対向面から離れていると、漏れ防止性能が大幅に優れていることが明らかである。
【0045】
<変形例の説明>
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0046】
例えば、上述した本実施形態の管継手のうち、環状の部材は円環状のものに限定されない。たとえば、それらの形状は中心に孔があいた多角形であってもよい。
【0047】
また、雌型部材の素材はポリエチレンに限定されない。ポリエチレン以外の素材の例には、ポリブテン、架橋ポリエチレン、および、ポリプロピレンがある。