特許第6719303号(P6719303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6719303
(24)【登録日】2020年6月18日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】簡易構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/02 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   E04B7/02 501B
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-135661(P2016-135661)
(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公開番号】特開2018-3554(P2018-3554A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】東海 光喜
(72)【発明者】
【氏名】村 武明
(72)【発明者】
【氏名】南塚 信二
(72)【発明者】
【氏名】松本 康平
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−193611(JP,A)
【文献】 特開2013−217145(JP,A)
【文献】 特開2001−355282(JP,A)
【文献】 特開平07−003952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04B 7/02
E04D 3/00−3/40
E04D 13/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂木のパネル挿入溝の入口下部にビードを垂木から側方に突出した状態で係合させる工程と、パネルを垂木から突出したビードに仮置きする工程と、パネルをパネル挿入溝に挿入する工程と、ビードをパネル挿入溝に押し込んでパネルを固定する工程を備えることを特徴とする簡易構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行に並ぶ垂木の間にパネルを取り付けた簡易構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テラスなどの簡易構造物において、平行に並ぶ垂木の間に屋根材となるパネルを取り付けたものがある。従来、このような簡易構造物においては、特許文献1に示すように、パネルを左右の垂木に載せ、その後、上側からパネル押さえを取り付け、パネルを垂木とパネル押さえで挟み込んで固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平2−48574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の施工方法では、特にバルコニーなどに設置する場合において、端部のパネル(最後に取り付けるパネル)の取り付けの際に、パネルの上側からパネル押さえを取り付ける作業が困難なものとなっていた。また、設置箇所の直上に上層階のバルコニーなどがあり、上側からの作業が困難な場合もあった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、パネルの下側から取付作業を行うことができる簡易構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1の発明は、垂木のパネル挿入溝の入口下部にビードを垂木から側方に突出した状態で係合させる工程と、パネルを垂木から突出したビードに仮置きする工程と、パネルをパネル挿入溝に挿入する工程と、ビードをパネル挿入溝に押し込んでパネルを固定する工程を備えることを特徴とする。なお、ここでの「垂木」には、簡易構造物の両端の妻垂木とその間の垂木の両方を含む。
【発明の効果】
【0007】
本願の請求項1の発明によれば、垂木のパネル挿入溝にパネルを挿入し、最後にビードをパネル挿入溝に押し込んでパネルを固定するので、パネルの下側から取付作業を行うことができ、施工が容易である。また、パネルの取り付けの際、ビードにパネルを仮置きすることで、1人でも容易に施工することができる。そして、パネルを固定するためのビードをパネルの仮置きに兼用しており、仮置きのための専用の部材を要するものではないから、より施工が容易であり、かつ製造費用を抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の製造方法の第一実施例に用いる垂木及びビードの説明図である。
図2】第一実施例による簡易構造物の正面図である。
図3】第一実施例による簡易構造物の側面図である。
図4】第一実施例による屋根の正面方向断面図である。
図5】第一実施例による屋根の側面方向断面図である。
図6-1】第一実施例における全パネルの取付手順の説明図((a)〜(d))である。
図6-2】第一実施例における全パネルの取付手順の説明図((e)〜(h))である。
図7】(a)〜(f)は、第一実施例におけるビードの取り付け及び挿入についての説明図である。
図8】第一実施例におけるパネルの取り付けについての側面視説明図である。
図9】(a)、(b)は、第一実施例におけるパネルの取り付けについての上面視説明図である。
図10】第二実施例による屋根の正面方向断面図である。
図11-1】第二実施例における全パネルの取付手順の説明図((a)〜(d))である。
図11-2】第二実施例における全パネルの取付手順の説明図((e)〜(h))である。
図12】第三実施例に用いるビードの説明図である。
図13】(a)〜(c)は、第四実施例におけるパネルの仮置きについての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。この製造方法の第一実施例によって製造される簡易構造物は、種々の目的に使用可能なものであるが、ここで示すのは、2階以上のバルコニーの屋根として用いられるものであり、まずその構成について説明する。なお、以下において、左右とは、図2のように簡易構造物を正面視した際の左右を示し、図2における手前側(図3の左側)を前側、奥側(図3の右側)を後側とする。図2及び図3に示すように、この簡易構造物は、建物の外壁Wからせり出したバルコニーBに設置するものであって、左右に立設した柱10と、両柱10に横架した桁20と、桁20の上面に取り付けた屋根30からなる。屋根30は、平面形状で前側に向けて下方に傾斜しており、前後に延び左右に平行に並ぶ3本の垂木1及び両端の妻垂木1aと、垂木1及び妻垂木1aの前端部に取り付けた左右に延びる前枠5と、垂木1及び妻垂木1aの後端部に取り付けた左右に延びる垂木掛け(後枠)6と、垂木1及び妻垂木1aの前後方向中間位置において、左右に並ぶ垂木1及び妻垂木1aの間に渡し掛けた中桟7により骨組構造が形成され、左右に並ぶ垂木1及び妻垂木1aの間に、それぞれ屋根材となるパネル4を取り付けてある。この際、中桟7は下側からパネル4を受けている。そして、垂木掛け6は、外壁Wに固定してある。
【0010】
次に、パネル4の取付構造について、取り付けた完成状態に基づき詳述する。各パネル4は、図5に示すように、前端部が前枠5に係合し、後端部が垂木掛け6に係合している。より詳しくは、前枠5は後側に向けて開口する前側挿入溝51を有し、垂木掛け6は前側に向けて開口する後側挿入溝61を有しており、パネル4の前端部が前側挿入溝51に挿入され、パネル4の後端部が後側挿入溝61に挿入されていて、さらに前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62が挿入されてパネル4が固定されている。
【0011】
また、図4に示すように、パネル4の左右端部がそれぞれ垂木1又は妻垂木1aに係合している。ここで、垂木1とパネル4の係合部分についてさらに詳述する。図1に示すように、垂木1は、上面の左右の端部に係合部11を形成してある。係合部11は、上側に向けて延びる起立面11aと、起立面11aの上端から内側(垂木1の左右方向中央側)に向けて延びる水平面11bと、水平面11bの内側端から下側に向けて延びる垂下面11cを備え、また、起立面11aの上端(水平面11bの外側端)には、外側に向けて突出する被係止突起12を形成してあり、さらに、起立面11aの被係止突起12から下側に離隔した位置に、外側に向けて突出する支持突起13を形成してあって、支持突起13は被係止突起12よりも長く突出している。また、垂木1の上面の左右方向中央部に、上側に向けて開口するネジ受溝14を形成してある。そして、垂木1の上面には、パネル押さえ15を取り付けてある。パネル押さえ15は、左右方向中央部から左右両側に向けて下方に傾斜した略への字形のものであって、中央部をネジ受溝14にネジ止めしてある。左右の端部には、下側に向けて開口する断面略C字形のタイト材ホルダ16を形成してあり、左右のタイト材ホルダ16に、それぞれタイト材17を取り付けてある。タイト材17は、略平板状のものであって、上面に略T字形の挿入部を形成してあり、挿入部をタイト材ホルダ16に挿入してある。タイト材17は、垂木1の係合部11に対向しており、垂木1の上面とパネル押さえ15とで、側方に向けて開口するパネル挿入溝2が形成されていて、係合部11はパネル挿入溝2の入口下部に位置する。
【0012】
そして、係合部11にビード3を取り付けてある。図1の左側部分に示すように、ビード3は、下面に溝部31を有しており、溝部31に係合部11の水平面11bと被係止突起12が嵌まっている。また、溝部31の外側部分が下側に向けて突出した当接突部32となっており、当接突部32が支持突起13に上側から当接している。さらに、溝部31の内側部分には、内側に向けて上方に傾斜する傾斜面33を形成してある。また、傾斜面33の内側端には、内側に向けて突出する係止突起34を形成してあり、さらに、係止突起34の上側から内側に向けて延び、先端部が下側にJ字形に屈曲した係合腕部35を形成してある。また、当接突部32、溝部31及び傾斜面33の上側部分には、パネル支持部36を設けてある。パネル支持部36は、上面に長手方向に沿って延びる複数の突条を形成してあり、パネル押さえ15のタイト材17と上下に対向していて、パネル支持部36とタイト材17で、パネル4の端部を挟み込んでいる。
【0013】
なお、図1の右側部分に示すように、このビード3を、垂木1のパネル挿入溝2の入口下部に、垂木1から側方に突出した状態で係合させることができる。この場合、ビード3の係合腕部35の先端部を係合部11の垂下面11cに引っ掛け、ビード3の係止突起34を被係止突起12に係止させて、ビード3を垂木1に固定してある。この際、ビード3の係止突起34が垂木1の支持突起13に上側から当接し、支持突起13がビード3を支持する。このように垂木1から側方に突出した状態で係合させたビード3は、後述のように、パネル4を仮置きするための仮置部となる。
【0014】
また、左右の妻垂木1aにおけるパネル4の取付部分の形状は、図4に示すように、垂木1と同様のものとなっている。妻垂木1aは、上面の一方側(垂木1側)端部に係合部11を形成してあり、係合部11にビード3を取り付けてある。また、妻垂木1aの上面の他方側端部にネジ受溝14を形成してある。そして、妻垂木1aの上面には、パネル押さえ15aを取り付けてある。パネル押さえ15aは、垂木1のパネル押さえ15を略半分に切断したような形状であって、他方側端部をネジ受溝14にネジ止めしてある。一方側端部にはタイト材ホルダ16を形成してあり、タイト材ホルダ16にタイト材17を取り付けてあって、タイト材17がビード3に対向し、ビード3のパネル支持部36とタイト材17で、パネル4の端部を挟み込んでいる。なお、妻垂木1aにおいても、垂木1と同様に、ビード3を、妻垂木1aのパネル挿入溝2の入口下部に、妻垂木1aから側方に突出した状態で係合させることができる。
【0015】
次に、本発明の簡易構造物の製造方法の第一実施例について、図6−1、図6−2、図7図8及び図9に基づき、具体的な工程を説明する。
(1)バルコニーBに左右の柱10を立設する。
(2)外壁Wに左右に延びる垂木掛け6を固定する。
(3)左右の柱10の上端に桁20を横架する。
(4)妻垂木1aの係合部11にビード3の係合腕部35を係合させ、ビード3を妻垂木1aから側方に突出した状態とする。この際、まず係合腕部35の先端部を係合部11の垂下面11cに引っ掛け(図7(a))、その後、係合腕部35の反対側を押し下げ、ビード3の係止突起34を妻垂木1aの被係止突起12に係止させて、ビード3を妻垂木1aに固定する(図7(b))。この際、ビード3の係止突起34が妻垂木1aの支持突起13に上側から当接し、支持突起13がビード3を支持する。次に、妻垂木1aの上面にパネル押さえ15aを取り付ける。これにより、パネル挿入溝2が形成され、パネル挿入溝2の入口下部にビード3が係合した状態となる。次に、この妻垂木1aを、垂木掛け6及び桁20の左右端部にそれぞれネジ止めして取り付ける(図6−1(a))。
(5)左右の妻垂木1aの前端に、前枠5を取り付ける。
(6)1枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入(パネル4の前後の一方側の端部を前後の一方の枠に係合)し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入(パネル4の前後の他方側の端部を前後の他方の枠に係合)するとともに(図8)、左端部を妻垂木1aから右側に突出したビード3(仮置部)に仮置きする(図7(c)、図9(a))。その後、パネル4を左側にスライドさせて、左端部を妻垂木1aのパネル挿入溝2に挿入する(図6−1(b)、図7(d)、図9(b))。
(7)左から1番目の垂木1の左右の係合部11にそれぞれビード3の係合腕部35を係合させ、ビード3を垂木1から左右の側方に突出した状態とする。次に、垂木1の上面にパネル押さえ15を取り付ける。次に、垂木1を右側からパネル4に接近させ、左側に突出したビード3をパネル4の右端部の下面に当接させてガイドしつつ、パネル4の右端部を垂木1の左側のパネル挿入溝2に挿入し、垂木掛け6、桁20及び前枠5に、垂木1をネジ止めして取り付ける(図6−1(c))。
(8)左側の妻垂木1aのビード3を押し上げて、係止突起34を妻垂木1aの被係止突起12から外し、パネル4を押し上げつつ(図7(e))、ビード3をパネル挿入溝2に押し込む。この際、ビード3の傾斜面33が妻垂木1aの係合部11に当接することで、スムーズに挿入される。そして、ビード3を最奥まで押し込み、溝部31に係合部11の水平面11bと被係止突起12を嵌める(図7(f))。これにより、ビード3のパネル支持部36とパネル押さえ15aのタイト材17で、パネル4の端部が挟み込まれる。また、1番目の垂木1の左側のビード3も同様にしてパネル挿入溝2に押し込み、さらに前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、1枚目のパネル4を固定する。次に、2枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を1番目の垂木1から右側に突出したビード3に仮置きする。その後、パネル4を左側にスライドさせて、左端部を垂木1の右側のパネル挿入溝2に挿入する(図6−1(d))。
(9)左から2番目の垂木1にビード3を側方から突出した状態で係合させ、上面にパネル押さえ15を取り付ける。次に、垂木1を右側から2枚目のパネル4に接近させ、左側に突出したビード3をパネル4の右端部の下面に当接させてガイドしつつ、パネル4の右端部を垂木1の左側のパネル挿入溝2に挿入し、垂木掛け6、桁20及び前枠5に、垂木1をネジ止めして取り付ける(図6−2(e))。
(10)1番目の垂木1の右側のビード3と、2番目の垂木1の左側のビード3をそれぞれパネル挿入溝2に押し込み、さらに前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、2枚目のパネル4を固定する。そして、上記と同様にして3枚目のパネル4と左から3番目の垂木1を取り付ける。
(11)右側の妻垂木1aを取り外す。次に、4枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を3番目の垂木1から右側に突出したビード3に仮置きする。その後、パネル4を左側にスライドさせて、左端部を垂木1の右側のパネル挿入溝2に挿入する(図6−2(f))。
(12)右側の妻垂木1aを右側から4枚目のパネル4に接近させ、左側に突出したビード3をパネル4の右端部の下面に当接させてガイドしつつ、パネル4の右端部を妻垂木1aのパネル挿入溝2に挿入し、垂木掛け6、桁20及び前枠5に、妻垂木1aをネジ止めして取り付ける(図6−2(g))。
(13)3番目の垂木1の右側のビード3と、右側の妻垂木1aのビード3をそれぞれパネル挿入溝2に押し込み、さらに前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、4枚目のパネル4を固定する(図6−2(h))。
(14)その他、各部のキャップや雨樋などの付属品を取り付けて、簡易構造物が完成する。
【0016】
このような本発明の簡易構造物の製造方法の第一実施例によれば、全ての垂木1及び妻垂木1aにおいて、予めパネル押さえ15,15aを取り付けてパネル挿入溝2を形成し、このパネル挿入溝2にパネル4を挿入して、最後にビード3をパネル挿入溝2に押し込んでパネル4を固定するので、パネル4の下側から全ての取付作業を行うことができ、施工が容易である。特に、バルコニーなどに設置する場合において、足場の確保が困難な場合や、設置箇所の直上に上層階のバルコニーなどがあり、上側からの作業が困難な場合であっても、容易に施工できる。また、パネル4の取り付けの際、ビード3が仮置部となり、パネル4を仮置きすることで、前枠5及び垂木掛け6と合わせて3辺でパネル4を支持できるので、パネル4が外れることがなく、1人でも容易に施工することができる。そして、パネル4を固定するためのビード3をパネル4の仮置きに兼用しており、仮置きのための専用の部材を要するものではないから、より施工が容易であり、かつ製造費用を抑えられる。
【0017】
続いて、本発明の簡易構造物の製造方法の第二実施例について説明する。第二実施例によって製造される簡易構造物は、第一実施例によるものと略同じであるが、3本の垂木のうち、左から1番目及び2番目の垂木1bの形状が異なっている(3番目の垂木1は、第一実施例によるものと同じである)。図10に示すように、左から1番目及び2番目の垂木1bは、上面の左右の端部に、上側に向けて開口する断面略C字形のタイト材ホルダ18を形成してあり、左右のタイト材ホルダ18に、それぞれタイト材19を取り付けてある。タイト材19は、略平板状のものであって、下面に略T字形の挿入部を形成してあり、挿入部をタイト材ホルダ18に挿入してある。また、垂木1bの上面の左右方向中央部に、上側に向けて開口するネジ受溝14を形成してある。そして、垂木1bの上面には、パネル押さえ15を取り付けてある。パネル押さえ15は、3番目の垂木1に取り付けるもの(すなわち、第一実施例における垂木1に取り付けるもの)と同じであって、中央部をネジ受溝14にネジ止めしてある。左右の端部にはタイト材ホルダ16を形成してあり、タイト材ホルダ16にそれぞれタイト材17を取り付けてある。垂木1bのタイト材19とパネル押さえ15のタイト材17が上下に対向していて、両タイト材19,17で、パネル4の端部を挟み込んでいる。
【0018】
次に、本発明の簡易構造物の製造方法の第二実施例について、図11−1及び図11−2に基づき、具体的な工程を説明する。
(1)バルコニーBに左右の柱10を立設する。
(2)外壁Wに左右に延びる垂木掛け6を固定する。
(3)左右の柱10の上端に桁20を横架する。
(4)妻垂木1aの係合部11にビード3の係合腕部35を係合させ、ビード3を妻垂木1aから側方に突出した状態として、この妻垂木1aを、垂木掛け6及び桁20の左右端部にそれぞれネジ止めして取り付ける(図11−1(a))。
(5)左右の妻垂木1aの前端に、前枠5を取り付ける。
(6)垂木掛け6、桁20及び前枠5に、左から1番目の垂木1bをネジ止めして取り付ける(図11−1(b))。
(7)1枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を左側の妻垂木1aのビード3に載せ、右端部を1番目の垂木1bの左側のタイト材19に載せる。次に、左側の妻垂木1aの上面にパネル押さえ15aを取り付ける(図11−1(c))。
(8)左側の妻垂木1aのビード3を、1枚目のパネル4と妻垂木1aの間に押し込む。次に、垂木掛け6、桁20及び前枠5に、左から2番目の垂木1bをネジ止めして取り付ける。次に、2枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を1番目の垂木1bの右側のタイト材19の載せ、右端部を2番目の垂木1bの左側のタイト材19に載せる。次に、1番目の垂木1bの上面にパネル押さえ15を取り付け、さらに、1枚目のパネル4について、前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、パネル4を固定する。(図11−1(d))。
(9)左から3番目の垂木1の左右の係合部11にそれぞれビード3の係合腕部35を係合させ、ビード3を垂木1から左右の側方に突出した状態として、この垂木1を、垂木掛け6、桁20及び前枠5にネジ止めして取り付ける。次に、3枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を2番目の垂木1bの右側のタイト材19の載せ、右端部を3番目の垂木1の左側のビード3に載せる。次に、2番目の垂木1bの上面にパネル押さえ15を取り付け、さらに、2枚目のパネル4について、前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、パネル4を固定する。次に、3番目の垂木1の上面にパネル押さえ15を取り付ける(図11−2(e))。
(10)3番目の垂木1の左側のビード3を、パネル挿入溝2に押し込み、さらに前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、3枚目のパネル4を固定する。次に、右側の妻垂木1aを取り外し、妻垂木1aの上面にパネル押さえ15aを取り付ける。次に、4枚目のパネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を3番目の垂木1から右側に突出したビード3に仮置きする。その後、パネル4を左側にスライドさせて、左端部を3番目の垂木1の右側のパネル挿入溝2に挿入する(図11−2(f))。
(11)右側の妻垂木1aを右側から4枚目のパネル4に接近させ、左側に突出したビード3をパネル4の右端部の下面に当接させてガイドしつつ、パネル4の右端部を妻垂木1aのパネル挿入溝2に挿入し、垂木掛け6、桁20及び前枠5に、妻垂木1aをネジ止めして取り付ける(図11−2(g))。
(13)3番目の垂木1の右側のビード3と、右側の妻垂木1aのビード3をそれぞれパネル挿入溝2に押し込み、さらに前枠5とパネル4の間及び垂木掛け6とパネル4の間にそれぞれ後付ビード52,62を挿入して、4枚目のパネル4を固定する(図11−2(h))。
(14)その他、各部のキャップや雨樋などの付属品を取り付けて、簡易構造物が完成する。
【0019】
このような本発明の簡易構造物の製造方法の第二実施例によれば、左から3番目の垂木1及び右側の妻垂木1aにおいて、予めパネル押さえ15,15aを取り付けてパネル挿入溝2を形成し、このパネル挿入溝2に4枚目のパネル4を挿入して、最後にビード3をパネル挿入溝2に押し込んでパネル4を固定するので、パネル4の下側から取付作業を行うことができる。よって、バルコニーなどに設置する場合において、足場の確保ができず全てのパネル4を取り付けた後で上側から作業することが困難な場合であっても、容易に施工できる。また、パネル4の取り付けの際、ビード3が仮置部となり、パネル4を仮置きすることで、前枠5及び垂木掛け6と合わせて3辺でパネル4を支持できるので、パネル4が外れることがなく、1人でも容易に施工することができる。そして、パネル4を固定するためのビード3をパネル4の仮置きに兼用しており、仮置きのための専用の部材を要するものではないから、より施工が容易であり、かつ製造費用を抑えられる。
【0020】
また、図12に示すのは、本発明の簡易構造物の製造方法の第三実施例に用いるビード3である。このビード3は、第一実施例に用いるものと比べて、係止突起を有していない点が異なっており、垂木1又は妻垂木1aから側方に突出した状態で係合させた際に、垂木1又は妻垂木1aの被係止突起12に係止しない。しかしながら、ビード3のその他の構成は、第一実施例に用いるものと同じであり、係合腕部35の先端部が係合部11の垂下面11cの下端に回り込んで引っ掛かるので、パネル支持部36にパネル4を仮置きしても、その荷重によりビード3が外れることはない。よって、第三実施例は、第一実施例と同様の手順となり、同様の作用効果を奏するものである。また、左から1番目及び2番目の垂木に第二実施例と同様のものを用いて、第二実施例と同様の手順としてもよい。
【0021】
さらに、図13に示すのは、本発明の簡易構造物の製造方法の第四実施例に用いる垂木1cである。第一実施例から第三実施例までは、垂木1又は妻垂木1aから側方に突出した状態で係合させたビード3を仮置部として用いていたが、第四実施例では、垂木1cに一体に形成した仮置部8を用いる。この垂木1cにおいては、上面の左右端部に、外側に向けて突出し上側に向けて屈曲する略L字形の仮置部8を形成してある。また、上面には第一実施例に用いる垂木1と同じパネル押さえ15を取り付けてある。パネル押さえ15の左右端部にはタイト材17を取り付けてあり、仮置部8はタイト材17よりも外側に位置していて、垂木1cの上面とパネル押さえ15とで、側方に向けて開口するパネル挿入溝2が形成されている。なお、妻垂木にも同様の仮置部を設けてもよい。
【0022】
第四実施例の具体的な手順は、概ね第一実施例又は第二実施例と同様であるが、この垂木1cにパネル4を取り付ける方法が異なる。右側のパネル挿入溝2にパネル4を挿入する場合を例に挙げると、まず、パネル4の後端部を垂木掛け6の後側挿入溝61に挿入し、前端部を前枠5の前側挿入溝51に挿入するとともに、左端部を垂木1cから右側に突出した仮置部8に仮置きする(図13(a))。その後、パネル4を左側にスライドさせて、左端部を垂木1cの右側のパネル挿入溝2に挿入する(図13(b))。そして、後付ビード9をパネル挿入溝2に挿入し、仮置部8の上端に係合させ、後付ビード9とパネル押さえ15のタイト材17とでパネル4を挟み込んで固定する(図13(c))。
【0023】
このような本発明の簡易構造物の製造方法の第四実施例によれば、垂木1cにおいて、予めパネル押さえ15を取り付けてパネル挿入溝2を形成し、このパネル挿入溝2にパネル4を挿入して、最後に後付ビード9をパネル挿入溝2に押し込んでパネル4を固定するので、パネル4の下側から取付作業を行うことができ、施工が容易である。また、パネル4の取り付けの際、仮置部8にパネル4を仮置きすることで、前枠5及び垂木掛け6と合わせて3辺でパネル4を支持できるので、パネル4が外れることがなく、1人でも容易に施工することができる。
【0024】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、ビード及びビードを係合させる垂木の係合部の形状については、ビードを垂木から側方に突出した状態で係合させることができ、かつビードをパネル挿入溝に押し込んでパネルを固定できるものであれば、どのようなものであってもよい。また、本発明の製造方法は、少なくとも1枚のパネルについて、取り付けの際にビード(仮置部)に仮置きするものであればよく、第一実施例のように、全てのパネルを仮置きしてもよいし、第二実施例のように、最後のパネルのみを仮置きしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 垂木
2 パネル挿入溝
3 ビード(仮置部)
4 パネル
5 前枠
6 垂木掛け(後枠)
8 仮置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13