(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルミニウムおよびケイ素を含む第1の物質と、アルカリ性の水酸化物およびアルカリ性のケイ酸塩のうち少なくとも何れか一方を含む第2の物質と、水とを混合し、混合物とする混合工程と、
前記混合物を圧縮成型し圧縮混合物とする圧縮工程と、
を有し、前記水は液体外の材料の重量の20分の1以下の重量であるジオポリマー成型体製造方法。
前記第1の物質は、メタカオリン、高炉スラグ、焼却灰、飛灰、ゼオライト、モルデナイト、シリカフューム、非晶質の二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムのうち少なくとも何れか1つを含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジオポリマー成型体製造方法。
前記第2の物質は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ルビジウムおよびケイ酸セシウムのうち少なくとも何れか1つを含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のジオポリマー成型体製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るジオポリマー成型体製造方法について
図1を用いて説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係るジオポリマー成型体製造方法のフローチャートである。本実施形態のジオポリマー成型体製造方法は、ジオポリマー原料にごく少量の水を添加して混合し混合物を得る混合工程S1と、混合物を圧縮して圧縮混合体を生成する圧縮工程S2と、圧縮混合体を養生する工程S3と、養生後の圧縮混合体を乾燥させる乾燥工程S4を具備する。
【0015】
以下、混合工程S1について説明する。混合工程S1では、ジオポリマー原料にごく少量の水を添加して混合する。
ここで、ジオポリマー原料とは、ジオポリマーを形成する材料であり、少なくとも固化材1(
図2)およびアルカリ刺激剤2(
図2)を含有する。また、ジオポリマーとは、アルミニウム(Al)およびケイ素(Si)などを主成分とする非晶質材料の重合体(ポリマー)をいう。
【0016】
固化材1としては、例えば、アルミニウム(Al)およびケイ素(Si)を含む化合物(以下、「アルミナシリカ」とする。)を用いることができる。アルミナシリカとしては、例えば、メタカオリン、高炉スラグ、焼却灰、飛灰(フライアッシュを含む)、ゼオライト、モルデナイト、シリカフューム、非晶質の二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどがある。なお、フライアッシュとは、微粉砕した石炭を燃焼した後に捕集された飛灰であって、製品として管理されるものをいう。以下、固化材1を第1の物質とも呼称する。
【0017】
アルカリ刺激剤2としては、例えば、アルカリ性の水酸化物やアルカリ性のケイ酸塩を用いることができる。アルカリ性の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどがある。また、ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ルビジウム、ケイ酸セシウムなどがある。なお、ケイ酸塩には、オルト、メタなど様々な化学形態のものが存在するが、特定の化学形態に限定されることなく何れの化学形態のケイ酸塩であってもアルカリ刺激剤2として採用することができる。以下、アルカリ刺激剤2を第2の物質とも呼称する。
【0018】
また、ジオポリマー成型体7(
図2)を作成する際、粉砕可能な固体をジオポリマー原料に添加することができる。粉砕可能な固体とは、例えば、水浄化の際に用いられた放射性核種吸着剤であるものとする。その他、粉砕可能な固体などからなる様々な廃棄物もジオポリマー原料に混合させることができる。ジオポリマー原料に添加する粉砕可能な固体などからなる様々な物質を、被固化物3または第3の物質と呼称する。
【0019】
ごく少量の水4(
図2)とは、ジオポリマー原料および被固化物3に添加されてもスラリー化しない程度の水量であり、例えば、ジオポリマー原料および被固化物3のうち液体外の材料の総重量に対して20分の1以下の重量の水であるものとする。一般的にセメント固化体を作成する際、液体外の材料である固形物の総重量の5分の1程度の重量の水を添加しスラリー化させる。すなわち、本実施形態は、通常のセメント固化方法の4分の1以下の水分量でジオポリマー成型体7を作成する。なお、被固化物3を用いない場合は、ジオポリマー原料の20分の1以下の重量の水を用いる。
【0020】
以下、混合工程S1で得られる、ジオポリマー原料、被固化物3および水4等の混合物を混合物5と呼称する。なお、被固化物3が用いられない場合には、ジオポリマー原料および水の混合物を混合物5と呼称する。
【0021】
次に、圧縮工程S2について説明する。圧縮工程S2では、混合物5を成型し圧縮する工程である。圧縮工程S2で圧縮および成型された混合物5を圧縮混合体6と呼称する。圧縮工程S2で混合物5に印加される圧力は、形態を安定させるために高密化させて圧縮混合体6を生成する観点から、約1メガパスカル[MPa]以上の圧力に設定される。圧力の上限値は、技術的に可能な範囲の上限値である。
【0022】
次に、養生工程S3について説明する。養生工程S3は圧縮混合体6を養生してポリマー化反応を進行させる工程である。人為的に手を加えなくても、圧縮混合体6内ではポリマー化反応が自然に進むが、圧縮混合体6周囲の温度や湿度、雰囲気を調整することで、ポリマー化反応を促進させることができる。ポリマー化反応が進んだ圧縮混合体6を養生後成型体8と呼称する。養生後成型体8には、ポリマー化反応場となった水分が含まれている。ポリマー化反応場となった水分であって養生後成型体8に含まれる水を、付着水と呼称する。
【0023】
次に、乾燥工程S4について説明する。乾燥工程S4では養生後成型体8中の付着水を蒸発させる工程である。人為的に手を加えなくても、養生後成型体8の乾燥は自然に進むが、養生後成型体8周囲の温度や湿度、雰囲気を調整することで、乾燥を促進させることができる。ポリマー化が十分に進み、任意の含水率を満たした養生後成型体8をジオポリマー成型体7と呼称する。
【0024】
なお、養生工程S3と乾燥工程S4は厳密に区別されない場合もある。養生工程S3で圧縮混合体6内のポリマー化反応が進んだ後、特に周囲の条件を変えることなく、付着水の蒸発が進み、ジオポリマー成型体7となることも考えられる。また、混合工程S1で添加した水分量が十分に少ない場合は、乾燥工程S4を省略することが可能である。また、付着水の残存が問題ない場合も、乾燥工程S4を省略することが可能である。
【0025】
また、圧縮工程S2を経た圧縮混合物6は、ジオポリマー化が進んでいないものの、用途によっては十分な強度を有している場合がある。そのため、圧縮混合物6の段階で、例えば、建材や廃棄物固化体として搬出される場合がある。しかし、搬出中や設置中にジオポリマー化は進んでおり、養生工程S3は行われているものと考えられる。すなわち、ジオポリマー成型体7を成型する過程で、人為的に養生工程S3を設けなくても、混合工程S1および圧縮工程S2を経た圧縮混合物6は、自然に養生工程S3を経ることとなり、ジオポリマー成型体7となる。
【0026】
続いて、本実施形態に係るジオポリマー成型体製造システムについて、一例(
図2)を示して説明する。
【0027】
図2は、本実施形態に係るジオポリマー成型体製造システムの一例であるジオポリマー成型体製造システム10の構成例を示す概略図である。
【0028】
ジオポリマー成型体製造システム10は、例えば、混合物調製手段11と、加圧手段12と、養生手段13、乾燥手段14とを具備する。
【0029】
混合物調製手段11は、固化材1、アルカリ刺激剤2およびごく少量の水4と、必要に応じて被固化物3を加えて混ぜ合わせることで混合物5を調製する。
【0030】
加圧手段12は、混合物5を圧縮成型した成型体である圧縮混合体6を生成する機能を有し、例えば、混合物5を収容する型枠121と、型枠121の内部に設定される圧力を加える加圧部122とを備える。
【0031】
圧縮混合体6を生成する際に混合物5に加える圧力は、大きい程、廃棄物を処理する場合には物量を圧縮できる点では有利といえる一方、混合物5に加える圧力の上限値を高めることは、設備コストなどが増大する点に留意する必要がある。
【0032】
養生手段13は、圧縮混合体6を養生してポリマー化反応を促進させる機能を有し、例えば、圧縮混合体6を養生する空間を提供する養生室131と、養生室131の内部雰囲気を調節する空調部132とを備える。空調部132が養生室131内をポリマー化反応促進に適した環境に調節する。
【0033】
養生室131の大きさは、少なくとも1個の圧縮混合体6を養生可能な大きさを有していればよい。空調部132は、例えば、養生室131の内部雰囲気の相対湿度を制御する調湿機能と、養生室131の内部雰囲気の気温を制御する調温機能を有している。空調部132は養生室131内を大気中よりも加湿した状態にすることが可能である。
【0034】
乾燥手段14は、ポリマー化反応が進んだ圧縮混合体6からの付着水の蒸発を促進させる機能を有し、例えば、圧縮混合体6を乾燥する空間を提供する乾燥室141と、乾燥室141の内部雰囲気を調節する空調部142とを備える。
【0035】
付着水の蒸発が促進されるよう、空調部142が乾燥室141の雰囲気をより好ましい環境に調節する。乾燥室141の大きさは、少なくとも1個の圧縮混合体6を養生可能な大きさ(空間)を有していればよい。空調部142は、乾燥室141の内部雰囲気の相対湿度を制御する調湿機能と、乾燥室141の内部雰囲気の温度を制御する調温機能を有している。
【0036】
なお、上述した養生手段13および乾燥手段14は、それぞれ、空調部132および空調部142を備える例であるが、養生および乾燥が大気中で十分に行われるのであれば、空調部132や142を省略することもできる。
【0037】
また、養生手段13はポリマー化反応を進める養生工程S3だけでなく、ポリマー化反応後にジオポリマー中に残った水分を蒸発させる、乾燥工程S4を担うことができる。養生手段13で養生を進めジオポリマーが形成された後、温度や湿度を調整しジオポリマー中に残った水分の蒸発を促進させることができる。この場合、乾燥手段14を省略することが可能である。
【0038】
また、加圧手段12を経た圧縮混合体6の状態で、建材や廃棄体として搬出する場合には、養生手段13および乾燥手段14を省略することも可能である。養生手段13および乾燥手段14を具備していない場合であっても、圧縮混合体6のポリマー化反応および乾燥は自然に進む。
【0039】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るジオポリマー成型体製造方法について説明する。なお、第1の実施形態と重複する部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態では、ジオポリマー原料および被固化物3の混合物に蒸気の形態で水を添加し、ポリマー化反応の場となる水を添加する。本実施形態のジオポリマー成型体製造方法は、例えば、第1の実施形態と同様に、混合工程S1と、圧縮工程S2と、養生工程S3と、乾燥工程S4を具備する。
【0041】
混合工程S1では、ジオポリマー原料と被固化物3を混合する。被固化物3を添加しない場合には、ジオポリマー原料である固化材1およびアルカリ刺激剤2のみを混合する。本実施形態の混合工程S1において液体としての水4は添加しない。
圧縮工程S2は第1の実施形態の圧縮工程S2と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
養生工程S3では、圧縮混合体6周囲の環境を加湿状態とする。例えば、圧縮混合体6周囲を湿度90%とする。養生工程S3では、圧縮混合体6の周囲の湿分が圧縮混合体6に吸収され、吸収された湿分がポリマー化反応の反応場となり、ポリマー化反応が進む。
【0043】
乾燥工程S4は第1の実施形態の乾燥工程S4と同様であるため、説明を省略する。第1の実施形態と同様に、養生工程S2で吸収された水分量が十分に少ないと考えられる場合は、乾燥工程S4は省略することが可能である。
【0044】
本実施形態に係るジオポリマー成型体製造システムは、例えば、第1の実施形態におけるジオポリマー成型体製造システム10と同様の構成である。ただし、本実施形態に係るジオポリマー成型体製造システムでは、混合物調製手段11において水4は添加されない。また、養生手段13の養生室13は空調部132によって加湿状態に保持される。
【0045】
次に、第1および第2の実施形態に係るジオポリマー成型体製造方法を適用してジオポリマー成型体7を製造した実施例と、従前の手法により調製した混合物5を用いた場合(比較例)について説明する。なお、第1の実施形態に係る実施例を第1の実施例、第2の実施形態に係る実施例を第2の実施例、従前の手法にかかる実施例を比較例と呼称する。比較例では、従来の通り、ジオポリマー原料等にジオポリマー原料等の4分の1程度の重量の水を添加した。
【0046】
(第1の実施例)
固化材1としてメタカオリンを、アルカリ刺激剤2として水酸化カリウムおよびメタケイ酸ナトリウム無水物を使用し、ごく少量の水4を添加した。
具体的には、メタカオリン17.1g、メタケイ酸ナトリウム無水物8.1g、水酸化カリウム3.3gの粉体に水1.0gを添加して混合物5(混合粉体)を調製した。
【0047】
続いて、得られた混合物5としての混合粉体を直径30ミリメートル(30mmφ)の型枠121(
図2)に入れ、成型圧力56MPaで10分間の圧縮成型を行い、型枠121から混合物5を脱型した。脱型した混合物5は形状を安定的に維持可能な成型体となっており、圧縮混合体6を得ることができた。
【0048】
続いて、型枠121から脱型した圧縮混合体6を養生室131(
図2)に入れ、気温25℃、相対湿度90%の条件で15日間養生を行った。
【0049】
続いて、養生後の圧縮混合体6であるジオポリマー成型体7について、一軸圧縮強度を計測した。なお、本実施例では添加した水分量が十分に少ないため、乾燥工程は省略した。
【0050】
(第2の実施例)
固化体1としてメタカオリンを、アルカリ刺激剤2として水酸化カリウムおよびメタケイ酸ナトリウム無水物を、被固化物3の一例として、放射性廃棄物である炭酸スラリーを模擬して、水酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムを使用した。
具体的には、メタカオリン17.1g、メタケイ酸ナトリウム無水物8.1g、水酸化カリウム3.3g、水酸化マグネシウム5.8gおよび炭酸カルシウム3.3gを混合して混合物5を調製した。
【0051】
続いて、得られた混合物5としての混合粉体を30mmφの型枠121(
図2)に入れ、成型圧力56MPaで10分間の圧縮成型を行い、型枠121から混合物5を脱型した。脱型した混合物5は形状を安定的に維持可能な成型体となっており、圧縮混合体6を得ることができた。
【0052】
続いて、型枠121から脱型した圧縮混合体6を養生室131(
図2)に入れ、気温25℃、相対湿度90%の条件で15日間養生を行った。
【0053】
続いて、養生後の圧縮混合体6であるジオポリマー成型体7について、一軸圧縮強度を計測した。なお、本実施例において、添加した水分量が十分に少ないため、乾燥工程は省略した。
【0054】
(比較例)
固化体としてメタカオリンを、アルカリ刺激剤として水酸化カリウムおよびメタケイ酸ナトリウム無水物を使用し、混練用に水を使用した。
具体的には、メタカオリン17.1g、メタケイ酸ナトリウム無水物8.1g、水酸化カリウム3.3gの粉体に水10.0gを添加して混合物5を調製した。
【0055】
続いて、得られた混合物5としての混合粉体を30mmφの型枠121(
図2)に入れ、成型圧力56MPaで加圧した。10分後に圧縮成型の状況を確認したところ、比較例に係る混合物5はスラリーの状態であって圧縮混合体6として圧縮成型することができなかった。つまり、比較例では圧縮混合体6を生成することはできなかった。
【0056】
なお、比較例では、圧縮混合体6を生成することができなかったため、第1の実施例および第2の実施例において、圧縮混合体6の生成後に行っている養生工程および一軸圧縮強度の計測は行っていない。
【0057】
次に、第1の実施例および第2の実施例に係るジオポリマー成型体7の分析結果として、一軸圧縮強度の計測結果およびX線回折法による計測結果(X線回折パターン)を説明する。
【0058】
図3は、本実施形態に係るジオポリマー成型体製造方法の第1および第2の実施例と、比較例のジオポリマー成型体製造条件および実施例に係るジオポリマー成型体7の強度試験結果を説明する説明図である。
【0059】
図3において第1の実施例は、ジオポリマー成型体7の一軸圧縮強度の計測結果は6.4MPaであり、十分な強度のジオポリマー成型体7を得ることができた。
【0060】
図3において第2の実施例は、ジオポリマー成型体7の一軸圧縮強度の計測結果は7.1MPaであり、十分な強度のジオポリマー成型体7を得ることができた。
【0061】
図4は第1の実施例で調製した混合物5(紛体)のX線回折法による計測結果(X線回折パターン)を示す説明図であり、
図5は第1の実施例で最終的に得られた成型体(ジオポリマー成型体7)を粉砕した粉砕物のX線回折法による計測結果(X線回折パターン)を示す説明図である。
【0062】
図4に示される粉末X線回折法による分析結果によれば、混合物5(紛体)のX線回折スペクトルに、混合物5に結晶性化合物として存在するケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)のピークが現れていることが確認できた。つまり、混合物5では、ポリマー反応はまだ進行しておらず、被混合物が単に混在した状態である。
【0063】
一方、
図5に示される粉末X線回折法による分析結果によれば、最終的に得られた成型体(ジオポリマー成型体7)のX線回折スペクトルには、混合物5では確認できた結晶性化合物としてのケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)のピークを確認できず、当該ピークが消失していることが確認できた。つまり、第1の実施例で最終的に得られた成型体では、結晶性化合物としてのケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)が非晶質化しており、ポリマー反応が進行した状態である。すなわち、ジオポリマー成型体7が形成されたことがわかる。
【0064】
なお、
図4および
図5に示した結果は、第1の実施例に係る混合物5およびジオポリマー成型体7の分析結果であるが、本出願人は第2の実施例についても、第1の実施例と同様の分析結果が得られたことを確認している。また、第1の実施例と同様の条件で、水の添加量のみを、液体外の材料の総重量に対して20分の1の重量とした実験を行った。結果の詳細は省略するが、第1の実施例と同様に十分な圧縮強度を有するジオポリマー成型体が得られた。
【0065】
以上、上述したジオポリマー成型体製造方法およびジオポリマー成型体製造システムを適用すれば、ジオポリマー原料等をスラリー化させることなくジオポリマー成型体を作成することができる。そのため、製造システム等への付着によるメンテナンスが低減し、製造効率の低下を防ぎ、ジオポリマー成型体を製造することができる。
【0066】
また、ジオポリマー成型体に放射性廃棄物が含まれる場合、放射性分解された水から発生する水素による爆発を防ぐ為、付着水を蒸発させなければならない。上述したジオポリマー成型体製造方法およびジオポリマー成型体製造システムによれば、添加する水分量が少ないため、乾燥工程にかかる時間を短縮でき、場合によっては乾燥工程を省略することも可能である。したがって、従来よりも水分除去処理に要するエネルギーや時間を抑えることができる。
【0067】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することができる。本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0068】
例えば、実施形態には、被固化物3として放射性廃棄物を想定したが、ジオポリマー原料に添加される物質はこれに限られない。また、実施形態中に記載したとおり、ジオポリマー原料に水以外何も添加することなく、ジオポリマー成型体を作成しても良い。