特許第6719372号(P6719372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6719372
(24)【登録日】2020年6月18日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】2種燃料バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 17/00 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   F23D17/00 101
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-245295(P2016-245295)
(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公開番号】特開2018-100783(P2018-100783A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】柴田 侑希
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−087984(JP,A)
【文献】 特開2001−182917(JP,A)
【文献】 特開昭53−036737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体燃料と霧化させた液体燃料とを燃焼空間にて燃焼させる2種燃料バーナであって、
バーナ中心部に、霧化用空気供給路を通して供給される霧化用空気にて液体燃料供給路を通して供給される前記液体燃料を霧化して、霧化させた前記液体燃料を前記燃焼空間に噴出する液体燃料噴出部が設けられ、
バーナ外周部に、前記燃焼空間に燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出部及び当該空気噴出部に前記燃焼用空気を供給する筒状の燃焼用空気供給路が設けられ、
前記液体燃料噴出部と前記燃焼用空気供給路との間に相当する箇所に、気体燃料供給路を通して供給される前記気体燃料を前記燃焼空間に噴出する気体燃料噴出孔と、前記液体燃料噴出部からの前記液体燃料及び前記霧化用空気の噴出により発生する吸引力にて前記燃焼用空気供給路を通流する前記燃焼用空気の一部を前記液体燃料噴出部の前方側箇所に導入する空気導入孔とが、周方向での位相を異ならせて設けられている2種燃料バーナ。
【請求項2】
前記液体燃料噴出部の外周囲を覆う形態の環状体に、前記気体燃料噴出孔と前記空気導入孔とが周方向での位相を異ならせて形成されている請求項1記載の2種燃料バーナ。
【請求項3】
前記気体燃料供給路が、環状の先端部を前記環状体に接続した円筒状に形成されている請求項2記載の2種燃料バーナ。
【請求項4】
前記液体燃料供給路が前記霧化用空気供給路の内部に配置され、
前記液体燃料噴出部が、前記液体燃料供給路の先端から噴出される前記液体燃料を前記液体燃料供給路の先端の周囲から噴出される前記霧化用空気にて霧化するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の2種燃料バーナ。
【請求項5】
前記液体燃料の供給量を調節する液体燃料調節部、前記霧化用空気の供給量を調節する霧化用空気調節部、前記気体燃料の供給量を調節する気体燃料調節部、及び、前記燃焼用空気の供給量を調節する燃焼用空気調節部が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の2種燃料バーナ。
【請求項6】
前記燃焼空間が、先端側ほど拡径する円錐台状に形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の2種燃料バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体燃料と霧化させた液体燃料とを燃焼空間にて燃焼させる2種燃料バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる2種燃料バーナは、都市ガス等の気体燃料と重油等の液体燃料とを燃焼空間にて燃焼させるものであり、各種の加熱炉等に装備されて使用される。
液体燃料は霧化させることによって、燃焼性を確保することになり、液体燃料を霧化させる方式としては、液体燃料を加圧して、液体燃料噴出ノズルから霧状に噴霧する方式があるが、この場合、液体燃料を高圧に加圧するポンプを要することになる。
また、蒸気圧を利用して霧化させる方式があるが、この方式の場合には、霧化用の蒸気が無いときには、実施できないものとなる。
【0003】
このため、液体燃料を霧化させる方式として、気体燃料を霧化用の気体として用いて、液体燃料を霧化させるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、特許文献1においては、燃焼空間に向けて気体燃料を噴出する噴出体に、先端側の混合室及びその混合室に気体燃料を噴出する気体燃料噴出孔を形成し、混合室の外周側から液体燃料を混合室の内部に供給することにより、混合室に供給される気体燃料にて液体燃料を霧化させながら、気体燃料と霧化させた液体燃料とを混合室から燃焼空間に噴出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006‐137965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の2種燃料バーナは、液体燃料を霧化させる気体として気体燃料を用いる構成であるため、液体燃料を適切に霧化させながら燃焼させるためには、液体燃料と気体燃料との比率を大きく変更させることができないものであった。
【0006】
すなわち、2種燃料バーナにおいては、使用状況によっては、液体燃料を気体燃料よりも多めにして燃焼させることや、気体燃料を液体燃料よりも多めにして燃焼させることが望まれる場合があり、場合によっては、液体燃料のみを燃焼させることや、気体燃料のみを燃焼させることが望まれる場合がある。
【0007】
しかしながら、従来の2種燃料バーナは、液体燃料を霧化させる気体として気体燃料を用いる構成であるため、液体燃料を適切に霧化させながら燃焼させるためには、液体燃料を気体燃料よりも多めにして燃焼させることや、液体燃料のみを燃焼させることができないものであり、改善が望まれるものであった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、液体燃料を適切に霧化させて良好に燃焼させるようにしながらも、液体燃料と気体燃料との比率を大きく変更させることができ、しかも、そのための構成の簡素化を図ることができる2種燃料バーナを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の2種燃料バーナは、気体燃料と霧化させた液体燃料とを燃焼空間にて燃焼させるものであって、その特徴構成は、
バーナ中心部に、霧化用空気供給路を通して供給される霧化用空気にて液体燃料供給路を通して供給される前記液体燃料を霧化して、霧化させた前記液体燃料を前記燃焼空間に噴出する液体燃料噴出部が設けられ、
バーナ外周部に、前記燃焼空間に燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出部及び当該空気噴出部に前記燃焼用空気を供給する筒状の燃焼用空気供給路が設けられ、
前記液体燃料噴出部と前記燃焼用空気供給路との間に相当する箇所に、気体燃料供給路を通して供給される前記気体燃料を前記燃焼空間に噴出する気体燃料噴出孔と、前記液体燃料噴出部からの前記液体燃料及び前記霧化用空気の噴出により発生する吸引力にて前記燃焼用空気供給路を通流する前記燃焼用空気の一部を前記液体燃料噴出部の前方側箇所に導入する空気導入孔とが、周方向での位相を異ならせて設けられている点にある。
【0010】
すなわち、液体燃料供給路を通して供給される液体燃料が、霧化用空気供給路を通して供給される霧化用空気にて霧化されて、バーナ中心部の液体燃料噴出部から燃焼空間に噴出される。
この場合、霧化された液体燃料の霧化用空気に対する濃度が低すぎると、液体燃料の着火性が低下する等により、液体燃料の燃焼性が低下することになるので、霧化用空気の供給量を、液体燃料を燃焼させるために必要とする空気量よりも少ない量、例えば、液体燃料を燃焼させるために必要とする空気量の2割程度にして、液体燃料の燃焼性を確保しながら液体燃料を霧化することになる。
【0011】
液体燃料に対する燃焼用空気として、バーナ外周部の燃焼用空気供給路を通して供給される燃焼用空気の一部が、液体燃料噴出部からの液体燃料及び霧化用空気の噴出により発生する吸引力(エジェクタポンプ作用)を利用しながら、液体燃料噴出部と燃焼用空気供給路との間に相当する箇所に設けた空気導入孔を通して液体燃料噴出部の前方側箇所に導入されることによって、液体燃料に対する燃焼用空気が供給される。
【0012】
気体燃料供給路を通して供給される気体燃料が、液体燃料噴出部と燃焼用空気供給路との間に相当する箇所に設けた気体燃料噴出孔より燃焼空間に噴出され、噴出された気体燃料に対する燃焼用空気が、バーナ外周部の空気噴出部から燃焼空間に噴出される。
つまり、バーナ外周部の燃焼用空気供給路が、液体燃料及び気体燃料に対する燃焼用空気を供給することになる。
そして、燃焼空間に噴出された霧化された液体燃料及び燃焼空間に噴出された気体燃料は、燃焼空間において混焼状態で燃焼することになる。
【0013】
ちなみに、バーナ外周部の空気噴出部から燃焼空間に噴出される燃焼用空気は、主として、気体燃料噴出孔より燃焼空間に噴出される気体燃料の燃焼用空気として用いられることになるものの、燃焼空間に噴出された霧化された液体燃料及び燃焼空間に噴出された気体燃料が、燃焼空間において混焼状態で燃焼するものであるから、霧化された液体燃料の燃焼用空気としても用いられることになり、同様に、空気導入孔を通して液体燃料噴出部の前方側箇所に導入される燃焼用空気は、主として、霧化された液体燃料の燃焼用空気として用いられることになるが、気体燃料噴出孔より燃焼空間に噴出される気体燃料の燃焼用空気としても用いられることになる。
【0014】
また、液体燃料を霧化用空気にて霧化させるものであるから、気体燃料の供給量を減少させても、液体燃料を適切に霧化させて燃焼させることができるものであるため、気体燃料の供給量を減少させる、場合によっては、気体燃料の供給を無くして、液体燃料のみを燃焼させることもできる。
尚、気体燃料の供給量を減少させるときには、バーナ外周部の燃焼用空気供給路を通して供給する燃焼用空気の供給量を、気体燃料の供給量の減少に合わせて減少させることによって、不必要に多量の燃焼用空気が供給されることを回避することになる。
【0015】
気体燃料噴出孔より燃焼空間に噴出される気体燃料に対する燃焼用空気が、バーナ外周部の空気噴出部から燃焼空間に噴出されるものであるから、液体燃料の供給量を減少させる、場合によっては、液体燃料の供給を無くして、気体燃料のみを燃焼させることもできる。
尚、液体燃料の供給量を減少させるときには、霧化用空気供給路を通して供給される霧化用空気の供給量やバーナ外周部の燃焼用空気供給路を通して供給する燃焼用空気の供給量を、液体燃料の供給量の減少に合わせて減少させることによって、不必要に多量の霧化用空気が供給されることや不必要に多量の燃焼用空気が供給されることを回避することになる。
【0016】
このように、液体燃料を霧化用空気にて霧化させるようにすることによって、液体燃料を適切に霧化させて良好に燃焼させるようにしながらも、気体燃料の供給量や液体燃料の供給量を大きく変更することができる。換言すれば、液体燃料と気体燃料との比率を大きく変更させることができる。
【0017】
また、燃焼空間に噴出された液体燃料(霧化状態)に対する燃料用空気の供給と、燃焼空間に噴出された気体燃料の供給とを、バーナ外周部の燃焼用空気供給路を共用して行うものであるから、つまり、燃焼用空気供給路を通して供給される燃焼用空気の一部を、空気導入孔を通して液体燃料噴出部の前方側箇所に導入して、液体燃料の燃焼用空気としながら、燃焼用空気供給路を通して供給される燃焼用空気の残部を、気体燃料の燃焼用空気として、空気噴出部から燃焼空間に噴出するものであるから、全体構成の簡素化を図ることができるものとなる。
【0018】
説明を加えると、燃焼空間に噴出された液体燃料(霧化状態)に対する燃料用空気の供給を行う構成として、空気導入孔を設ける構成に代えて、例えば、気体燃料供給路の内方側に、液体燃料に対する環状の燃焼用空気供給路を別途形成する構成が考えられるが、この場合、バーナ中心部の液体燃料噴出部から径方向外方に向けて、液体燃料に対する燃焼用空気供給路、気体燃料供給路、及び、気体燃料に対する燃焼用空気供給路が並ぶものとなるため、全体構成が大径で複雑な構成となる不都合がある。
【0019】
要するに、本発明の2種燃料バーナの特徴構成によれば、液体燃料を適切に霧化させて良好に燃焼させるようにしながらも、液体燃料と気体燃料との比率を大きく変更させることができ、しかも、そのための構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成は、前記液体燃料噴出部の外周囲を覆う形態の環状体に、前記気体燃料噴出孔と前記空気導入孔とが周方向での位相を異ならせて形成されている点にある。
【0021】
すなわち、気体燃料噴出孔と空気導入孔とが、液体燃料噴出部の外周囲を覆う形態の環状体に、周方向での位相を異ならせて形成されるものであるから、環状体を液体燃料噴出部の外周囲を覆う形態に設置すれば、気体燃料噴出孔と空気導入孔とを周方向での位相を異ならせて設けることができるため、気体燃料噴出孔と空気導入孔との設置構成の簡素化を図ることができる。
【0022】
要するに、本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成によれば、気体燃料噴出孔と空気導入孔との設置構成の簡素化を図ることができる。
【0023】
本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成は、前記気体燃料供給路が、環状の先端部を前記環状体に接続した円筒状に形成されている点にある。
【0024】
すなわち、気体燃料供給路を環状に形成して、気体燃料の環状の先端部を、気体燃料噴出孔が形成された環状体に接続して、気体燃料供給路を通して供給される気体燃料を、気体燃料噴出孔を通して噴出させるものであるから、気体燃料を供給する構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
つまり、気体燃料を環状体に形成された複数の気体燃料噴出孔に供給する構成として、複数の気体燃料噴出孔の夫々に各別に接続される複数の気体燃料供給路を、周方向に間隔を隔てて並置する構成が考えられるが、この場合、周方向に並置する複数の気体燃料供給路を設けることになるため、環状体に形成された複数の気体燃料噴出孔に気体燃料を供給する構成が複雑になる不都合がある。
【0026】
要するに、本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成によれば、環状体に形成された複数の気体燃料噴出孔に気体燃料を供給する構成の簡素化を図ることができる。
【0027】
本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成は、前記液体燃料供給路が前記霧化用空気供給路の内部に配置され、
前記液体燃料噴出部が、前記液体燃料供給路の先端から噴出される前記液体燃料を前記液体燃料供給路の先端の周囲から噴出される前記霧化用空気にて霧化するように構成されている点にある。
【0028】
すなわち、液体燃料供給路の先端の周囲から霧化用空気を噴出することによって、液体燃料供給路の先端から噴出される液体燃料を霧化させるものであるから、液体燃料供給路を霧化用空気供給路の内部に配置した簡素な構成にて、液体燃料を霧化させることができる。
【0029】
要するに、本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成によれば、液体燃料を霧化する構成の簡素化を図ることができる。
【0030】
本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成は、前記液体燃料の供給量を調節する液体燃料調節部、前記霧化用空気の供給量を調節する霧化用空気調節部、前記気体燃料の供給量を調節する気体燃料調節部、及び、前記燃焼用空気の供給量を調節する燃焼用空気調節部が設けられている点にある。
【0031】
すなわち、液体燃料の供給量、霧化用空気の供給量、気体燃料の供給量、及び、燃焼用空気の供給量を調節できるものであるから、液体燃料と気体燃料との比率を大きく変更させるようにしながら、液体燃料と気体燃料とを混焼させることができ、また、液体燃料のみを燃焼させる状態や気体燃料のみを燃焼させる状態に切換えることを適切に行うことができる。
【0032】
要するに、本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成によれば、燃焼状態を適切に変更することができる。
【0033】
本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成は、前記燃焼空間が、先端側ほど拡径する円錐台状に形成されている点にある。
【0034】
すなわち、先端側ほど拡径する円錐台状に形成された燃焼空間にて、気体燃料や液体燃料を径方向の拡がりを抑制しながら混焼状態で燃焼させることができるものであるから、気体燃料及び液体燃料を混焼状態で良好に燃焼させることができる。
【0035】
要するに、本発明の2種燃料バーナの更なる特徴構成によれば、気体燃料及び液体燃料を混焼状態で良好に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】2種燃料バーナの縦断側面図
図2】バーナ先端部の縦断側面図
図3】環状体の正面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(2種燃料バーナの全体構成)
図1に示すように、加熱炉の炉壁Rに装着されたバーナタイル1に、先端側ほど拡径する円錐台状の燃焼空間Nが形成され、その燃焼空間Nの内部に火炎Fを形成して燃焼する2種燃料バーナBが設けられている。
【0038】
2種燃料バーナBは、重油等の液体燃料と都市ガス等の気体燃料とを燃料として燃焼するように構成されている。
つまり、気体燃料と霧化させた液体燃料とを燃焼空間Nにて燃焼させるように構成されている。
【0039】
すなわち、バーナタイル1の端面部に装着された支持体2に連結される状態で、外筒3が設けられ、その外筒3の端部の環状連結体4に支持される状態で、第1中間筒5が設けられている。
第1中間筒5よりも小径な第2中間筒6及び当該第2中間筒6に内嵌する内筒7が、第1中間筒5の端部の支持体8にて連結支持される状態で設けられている。
内筒7の内部に、液体燃料を供給する液体燃料供給管9が、内筒7の端部支持体10に支持される状態で設けられている。
【0040】
図2に示すように、内筒7の先端部に、先端側ほど小径となる空気案内体7Aが設けられ、液体燃料供給管9の先端部に、液体燃料の噴出体9Aが設けられ、その噴出体9Aの先端部の外面が、空気案内体7Aに対向する状態で、先端側ほど小径となるように形成されている。
【0041】
外筒3、第1中間筒5、第2中間筒6、内筒7及び液体燃料供給管9の夫々は、2種燃料バーナBの軸心を中心とする同芯状に配置されている。
内筒7の先端側部分に外嵌する状態で環状体11が設けられ、第1中間筒5及び第2中間筒6の先端部が、環状体11に接続されている。
【0042】
そして、内筒7と液体燃料供給管9との間にて、霧化用空気を供給する霧化用空気供給路Lmが形成され、液体燃料供給管9の内部にて、霧化用空気供給路Lmの内部に配置される液体燃料供給路Lnが形成されている。
また、本実施形態においては、内筒7及び液体燃料供給管9との間に、霧化用空気を旋回させる旋回羽根15が設けられている。
従って、噴出体9Aから噴出される液体燃料を、噴出体9Aと空気案内体7Aとの間を通して、径方向内方側に向けて噴出される霧化用空気にて霧化して、霧化させた液体燃料を燃焼空間Nに噴出する液体燃料噴出部Dが、バーナ中心部に形成されている。
【0043】
つまり、液体燃料噴出部Dが、液体燃料供給路Lnの先端から噴出される液体燃料を液体燃料供給路Lnの先端の周囲から噴出される霧化用空気にて霧化する形態で、バーナ中心部に設けられている。
ちなみに、液体燃料の霧化用空気に対する濃度が低すぎると、液体燃料の着火性が低下する等により、液体燃料の燃焼性が低下することになるので、霧化用空気の供給量を、液体燃料を燃焼させるために必要とする空気量よりも少ない量にすることになり、本実施形態では、液体燃料を燃焼させるために必要とする空気量の2割程度にしてある。
【0044】
また、支持体2と環状体11との間にて、燃焼空間Nに燃焼用空気を噴出する環状の空気噴出部12が形成され、外筒3及び支持体2と第1中間筒5及び環状体11との間に、燃焼用空気を空気噴出部12に供給する筒状の燃焼用空気供給路Lsが形成されている。
つまり、バーナ外周部に、空気噴出部12及び空気噴出部12に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給路Lsが設けられている。
【0045】
また、気体燃料を供給する気体燃料供給路Lgが、第1中間筒5と第2中間筒6との間にて、円筒状に形成されている。
ちなみに、第1中間筒5及び第2中間筒6の先端部が、環状体11に接続されるものであるから、気体燃料供給路Lsは、環状の先端部を環状体11に接続した形態に形成されている。
【0046】
そして、図2に示すように、液体燃料噴出部Dと燃焼用空気供給路Lsとの間に相当する箇所に、気体燃料供給路Lgを通して供給される気体燃料を燃焼空間Nに噴出する気体燃料噴出孔13と、液体燃料噴出部Dからの液体燃料及び霧化用空気の噴出により発生する吸引力にて燃焼用空気供給路Lsを通流する燃焼用空気の一部を液体燃料噴出部Dの前方側箇所に導入する空気導入孔14とが、周方向での位相を異ならせて設けられている.
【0047】
つまり、図3に示すように、液体燃料霧化部Dの外周囲を覆う形態の環状体11に、気体燃料噴出孔13と空気導入孔14とが周方向での位相を異ならせて形成されている。
尚、本実施形態では、空気導入孔14が、径方向内方側ほどバーナ先端側に位置する傾斜状に形成されている。
【0048】
したがって、2種燃料バーナBは、バーナ中心部の液体燃料噴出部Dから燃焼空間Nに噴出される霧化された液体燃料を、主として、空気導入孔14を通して導入される燃焼用空気を用いて燃焼させ、気体燃料噴出孔13より燃焼空間Nに噴出される気体燃料を、主として、空気噴出部12から噴出される燃焼用空気を用いて燃焼させる形態で、燃焼空間Nに噴出された霧化された液体燃料及び燃焼空間Nに噴出された気体燃料を、燃焼空間Nにおいて混焼状態で燃焼させるように構成されている。
【0049】
ちなみに、本実施形態の2種燃料バーナBは、燃焼空間Nに噴出された液体燃料(霧化状態)に対する燃料用空気の供給と、燃焼空間Nに噴出された気体燃料の供給とを、バーナ外周部の燃焼用空気供給路Lsを共用して行うものであるから、つまり、燃焼用空気供給路Lsを通して供給される燃焼用空気の一部を、空気導入孔14を通して液体燃料噴出部Dの前方側箇所に導入するようにしながら、液体燃料の燃焼用空気として用いるようにし、燃焼用空気供給路Lsを通して供給される燃焼用空気の残部を、主として、気体燃料の燃焼用空気として、空気噴出部12から燃焼空間Nに噴出するものであるから、全体構成の簡素化を図ることができる。
【0050】
(燃焼状態の調節について)
図1に示すように、液体燃料供給路Lnに接続される外部液体燃料路Znに、液体燃料の供給量を調節する液体燃料調節部として、液体燃料調整弁Vnが設けられている。
又、霧化用空気供給路Lmの霧化用空気入口部Wmに接続される外部霧化用空気路Zmに、霧化用空気の供給量を調節する霧化用空気調節部として、霧化用空気調整弁Vmが設けられている。
【0051】
同様に、気体燃料供給路Lgの気体燃料入口部Wgに接続される外部気体燃料路Zgに、気体燃料の供給量を調節する気体燃料調節部として、気体燃料調節弁Vgが設けられている。
さらに、燃焼用空気供給路Lsの燃焼用空気入口部Wsに接続される外部燃焼用空気路Zsに、燃焼用空気の供給量を調節する燃焼用空気調節部として、燃焼用空気調節弁Vsが設けられている
【0052】
尚、本実施形態においては、外部霧化用空気路Zm及び外部燃焼用空気路Zsが、空気供給ブロア等の空気供給部からの空気を導く共通の空気供給路Zkから分岐される形態で設けられているが、外部霧化用空気路Zm及び外部燃焼用空気路Zsの夫々に対して、空気供給ブロア等の空気供給部を各別に設ける形態で実施してもよい。
【0053】
したがって、液体燃料の供給量や気体燃料の供給量を使用状況等に応じて変更することができ、そして、液体燃料の供給量や気体燃料の供給量に変更に合わせて、燃焼用空気の供給量を変更するができる。
しかも、液体燃料の供給量を変更するときには、液体燃料の供給量に合わせて、霧化用空気の供給量を変更することができる。
【0054】
つまり、本実施形態の2種燃料バーナBは、液体燃料を霧化用空気にて霧化させるものであるから、気体燃料の供給量を減少させても、液体燃料を適切に霧化させて燃焼させることができるものであるため、気体燃料の供給量を減少させることができ、場合によっては、気体燃料の供給を無くして、液体燃料のみを燃焼させることもできる。
【0055】
また、気体燃料噴出孔13より燃焼空間Nに噴出される気体燃料に対する燃焼用空気が、バーナ外周部の空気噴出部12から燃焼空間Nに噴出されるものであるから、液体燃料の供給量を減少させる、場合によっては、液体燃料の供給を無くして、気体燃料のみを燃焼させることもできる。
【0056】
そして、気体燃料の供給量や液体燃料の供給量を増減させるときには、燃焼用空気供給路Lsを通して供給する燃焼用空気の供給量を、気体燃料や液体燃料の供給量に合わせて増減調節することになる。
【0057】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、液体燃料噴出部Dが、液体燃料供給路Lnの先端から噴出される液体燃料を液体燃料供給路Lnの先端の周囲から噴出される霧化用空気にて霧化する形態に構成される場合を例示したが、例えば、霧化用空気供給路Lmの内部に液体燃料を供給して、液体燃料と霧化用空気とを混合状態で噴出させることにより、液体燃料を霧化させるように構成する等、液体燃料噴出部Dの具体構成は各種変更できる。
【0058】
(2)上記実施形態では、液体燃料噴出部Dを覆う環状体11に、気体燃料噴出孔13と空気導入孔14とを形成する場合を例示したが、気体燃料噴出孔13を形成する部材と空気導入孔14を形成する部材とを、周方向に並べる形態で、気体燃料噴出孔13と空気導入孔14とを周方向での位相を異ならせて形成してもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、気体燃料供給路Lgを筒状に形成し、その気体燃料供給路Lg先端部を環状体11に接続する場合を例示したが、周方向の位相を異ならせて位置する複数の気体燃料噴出孔13の夫々に対して各別に接続される複数の気体燃料供給路Lgを設ける形態で実施してもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、2種燃料バーナBを加熱炉に設置する場合を例示したが、2種燃料バーナBは、例えば、ボイラに設置する等、種々の加熱に適用できるものである。
【0061】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
11 環状体
12 空気噴出部
13 気体燃料噴出孔
14 空気導入孔
D 液体燃料噴出部
Lg 気体燃料供給路
Ln 液体燃料供給路
Lm 霧化用空気供給路
Ls 燃焼用空気供給路
N 燃焼空間
Vg 気体燃料調節部
Vn 液体燃料調節部
Vm 霧化用空気調節部
Vs 燃焼用空気調節部
図1
図2
図3