(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一内側側板、前記第二内側側板、前記第一外側側板、前記第二外側側板、前記内側分割天板、前記外側分割天板、及び前記被覆天板の材質が、前記長尺体カバーの材質と同一である請求項1から5のいずれか一項に記載の長尺体カバー用自在継手。
前記第一内側側板、前記第二内側側板、前記第一外側側板、前記第二外側側板、前記内側分割天板、前記外側分割天板、前記被覆天板、及び前記長尺体カバーの全てが、鋼板製である請求項1から6のいずれか一項に記載の長尺体カバー用自在継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全体としての統一感を損なうことなく所望の強度を有しつつ、2つの長尺体カバーどうしを角度変更自在に接続することができる自在継手の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る長尺体カバー用自在継手は、
一対の側板と前記側板に沿う段差部を有し一対の前記側板に固定される天板とを備える2つの長尺体カバーどうしを角度変更自在に接続する自在継手であって、
第一内側側板と、
前記第一内側側板に対向する第一外側側板と、
前記第一内側側板にヒンジ連結された第二内側側板と、
前記第一外側側板にヒンジ連結された第二外側側板と、
前記第二内側側板に沿う段差部と当該段差部から平面状に延びる内側上面部とを有し、前記第二内側側板に片持ち状態で固定される内側分割天板と、
前記第二外側側板に沿う段差部と当該段差部から平面状に延びる外側上面部とを有し、前記外側上面部が前記内側上面部と重なる状態で前記第二外側側板に片持ち状態で固定される外側分割天板と、
前記第一内側側板及び前記第一外側側板に沿う2つの段差部とそれらの間を平面状に延びる架設上面部とを有し、前記内側上面部及び前記外側上面部の両方を覆う状態で前記第一内側側板と前記第一外側側板とに亘って固定される被覆天板と、
を備える。
【0008】
この構成によれば、ヒンジ連結された第一内側側板と第二内側側板との交差角度、及び、ヒンジ連結された第一外側側板と第二外側側板との交差角度を変更することで、2つの長尺体カバーどうしをそれらのなす角に応じて適切に接続することができる。その際、なす角に応じて被覆天板と内側分割天板及び外側分割天板との重なり領域が増減することで、天板部分の平面視形状を側板部分の屈曲形状に適切に追従させることができる。例えば交差角度を変更可能とするのに布材を用いる場合とは異なり、所望の強度を容易に確保することができる。第一内側側板、第一外側側板、第二内側側板、及び第二外側側板は長尺体カバーの側板と同様の形状とすることができ、また、内側分割天板、外側分割天板、及び被覆天板は長尺体カバーの天板に類似する形状であるので、全体としての統一感が損なわれることもない。従って、全体としての統一感を損なうことなく所望の強度を有しつつ、2つの長尺体カバーどうしを角度変更自在に接続することができる自在継手を実現することができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
一態様として、
前記第二内側側板又は前記第二外側側板と前記長尺体カバーの対応する前記側板とが互いに重なり合ってそれらの延在方向に沿ってスライド自在に構成され、
前記第二内側側板又は前記第二外側側板に、2つの長尺体カバーどうしのなす角に応じて対応する前記長尺体カバーの前記側板との重なり量を調節する調節機構が設けられていることが好ましい。
【0011】
接続対象の2つの長尺体カバーの対応する側板どうしの配設方向に沿う間隔の内外差は、2つの長尺体カバーどうしのなす角に応じて変化する。一方、上記のように第一内側側板と第二内側側板とがヒンジ連結されるとともに第一外側側板と第二外側側板とがヒンジ連結された構成では、2つの内側側板の全長や2つの外側側板の全長は、それぞれ、2つの長尺体カバーどうしのなす角によらずに一定である。そこで、本構成のように調節機構を設けることで、長尺体カバーに切断等の追加の加工を施すことなく、2つの長尺体カバーどうしのなす角に応じた対応する側板どうしの間隔の内外差を吸収することができる。
【0012】
一態様として、
前記内側分割天板と前記外側分割天板とで、前記長尺体カバーの幅方向に沿う長さが互いに異なっており、
前記内側分割天板及び前記外側分割天板のうちの短い方の分割天板の上に、長い方の分割天板が重ねて配置されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、内側分割天板及び外側分割天板のうち短く変形しにくい方の分割天板で、長く撓みやすい方の分割天板の非固定側の端部を下方から支持することができる。よって、長い方の分割天板の変形を抑制することができ、内側分割天板、外側分割天板、及び被覆天板からなる天板部分の全体の耐荷重性を高めることができる。
【0014】
一態様として、
前記第二内側側板とは反対側の端部で前記第一内側側板にヒンジ連結された第三内側側板と、
前記第二外側側板とは反対側の端部で前記第一外側側板にヒンジ連結された第三外側側板と、
前記第三内側側板に沿う段差部と当該段差部から平面状に延びる第二内側上面部とを有し、前記第三内側側板に片持ち状態で固定される第二内側分割天板と、
前記第三外側側板に沿う段差部と当該段差部から平面状に延びる第二外側上面部とを有し、前記第二外側上面部が前記第二内側上面部と重なる状態で前記第三外側側板に片持ち状態で固定される第二外側分割天板と、をさらに備え、
前記被覆天板が、さらに、前記第二内側上面部及び前記第二外側上面部の両方を覆っていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ヒンジ連結された第一内側側板と第三内側側板との交差角度、及び、ヒンジ連結された第一外側側板と第三外側側板との交差角度をも変更することで、2つの長尺体カバーどうしをそれらのなす角に応じて適切に接続することができる。その際、なす角に応じて被覆天板と内側分割天板及び外側分割天板並びに第二内側分割天板及び第二外側分割天板との重なり領域が増減することで、天板部分の平面視形状を側板部分の屈曲形状に適切に追従させることができる。例えば交差角度を変更可能とするのに布材を用いる場合とは異なり、所望の強度を容易に確保することができる。第三内側側板及び第三外側側板も長尺体カバーの側板と同様の形状とすることができ、また、第二内側分割天板及び第二外側分割天板も長尺体カバーの天板に類似する形状であるので、全体としての統一感が損なわれることもない。従って、全体としての統一感を損なうことなく所望の強度を有しつつ、2つの長尺体カバーどうしを角度変更自在に接続することができる。さらに、本構成では、内側・外側のそれぞれに2箇所のヒンジ連結部があるので、対応可能な角度幅を広げることができる。
【0016】
一態様として、
前記第三内側側板又は前記第三外側側板と前記長尺体カバーの対応する前記側板とが互いに重なり合ってそれらの延在方向に沿ってスライド自在に構成され、
前記第三内側側板又は前記第三外側側板に、2つの長尺体カバーどうしのなす角に応じて対応する前記長尺体カバーの前記側板との重なり量を調節する第二調節機構が設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、長尺体カバーに切断等の追加の加工を施すことなく、2つの長尺体カバーどうしのなす角に応じた対応する側板どうしの間隔の内外差を吸収することができる。
【0018】
一態様として、
前記第一内側側板、前記第二内側側板、前記第一外側側板、前記第二外側側板、前記内側分割天板、前記外側分割天板、及び前記被覆天板の材質が、前記長尺体カバーの材質と同一であることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、長尺体カバーと自在継手とが同一の材質で構成されるので、全体としての統一感をさらに高めることができ、意匠性を向上させることができる。
【0020】
一態様として、
前記第一内側側板、前記第二内側側板、前記第一外側側板、前記第二外側側板、前記内側分割天板、前記外側分割天板、前記被覆天板、及び前記長尺体カバーの全てが、鋼板製であることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、長尺体カバー及び自在継手の全体が耐久性の高い鋼板で構成されるので、雨風に晒される屋外でも長期間に亘って好適に使用することができる。また、耐荷重性が高いので、例えば長尺体カバーの天板上に自在継手の天板部分も含めて長尺体の配設経路に沿う歩路を形成することができ、利便性を向上させることができる。
【0022】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
長尺体カバー用の自在継手の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、例えばビル、工場、及び店舗等の建物の屋上において、空調配管(長尺体6の一例)を覆う長尺体カバー7と共に用いられる自在継手1を例として説明する。この自在継手1は、2つの長尺体カバー7どうしを角度変更自在に接続することができるように構成されている。より具体的には、自在継手1は、2つの長尺体カバー7どうしを平面角度変更自在に接続することができるように構成されている。「平面角度」とは、水平面内でのなす角である。
【0025】
図1に示すように、建物の屋上には、雨仕舞いのためのハト小屋91が設置されているとともに、複数台の室外ユニット92が設置されている。室外ユニット92から延びる空調配管(長尺体6)は、ハト小屋91から室内側へと導入され、不図示の室内ユニットに接続されている。建物の屋上において、空調配管(長尺体6)は、その配設経路に沿って設置される複数の長尺体カバー7と自在継手1とで覆われて保護されている。自在継手1は接続対象の2つの長尺体カバー7どうしを角度変更自在に接続するので、例えば固定角度(30°,45°,60°等)の継手を用いるような場合とは異なり、施工現場の状況に応じて臨機応変に対応できて好ましい。
【0026】
なお、長尺体カバー7及び自在継手1は、所定間隔で設置された複数の略逆U字状の架台8に固定されている。また、長尺体カバー7は、立面コーナー継手94を介して、ハト小屋91に設けられた止水スリーブ95に接続されている。
【0027】
図2に示すように、自在継手1による接続対象の長尺体カバー7は、一対の側板70と、これら一対の側板70に固定される天板75とを備えている。側板70は、中央板部71と、上フランジ部72と、下フランジ部73とを有している。中央板部71は、長手方向Lに沿って延びるように形成されており、上下方向Hに沿って配置されている。上フランジ部72は、中央板部71の上部から、幅方向Wの内側に延出している。下フランジ部73は、中央板部71の下部から、幅方向Wの内側に延出している。中央板部71と上フランジ部72との間、及び、中央板部71と下フランジ部73との間には、それぞれ、斜めに延びる傾斜面部が設けられても良く、
図2にはそのような例を図示している。
【0028】
なお、本実施形態において、長手方向Lは、長尺体6の配設経路に沿う方向であり、例えば長尺体6が屈曲する場合等には配設経路の位置に応じて異なる方向となり得る(
図3等を参照)。また、幅方向Wは、水平面内において長尺体6の配設経路に直交する方向であり、同様に、配設経路の位置に応じて異なる方向となり得る。そして、以下に説明する各部材の説明において長手方向Lや幅方向Wに言及する場合には、特に明記しない限り、全体が組み立てられた状態での当該部材の配設位置における方向を意図しているものとする。
【0029】
幅方向Wに対向する一対の側板70は、長手方向Lに所定間隔で配置された複数の連結部材74によって下フランジ部73どうしが連結されている。一対の側板70と複数の連結部材74とで囲まれる空間が長尺体6の配設空間となっており、長尺体6は、複数の連結部材74によって下方から支持された状態で、長手方向Lに沿って配設されている。
【0030】
天板75は、一対の側板70の上部開口を覆うように、一対の側板70に対して着脱自在に固定される。天板75は、上面部76と、段差部77と、延出辺部78とを有している。上面部76は、長手方向L及び幅方向Wに延びる長方形状に形成されており、水平面に沿って配置されている。上面部76は、平坦な板状に形成されても良いし、例えば強度アップのためのリブや滑り止め用の複数の小突起等が形成されたものであっても良い。
【0031】
段差部77は、傾斜面部として形成されており、側板70に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。段差部77は、幅方向Wの両側に設けられており、天板75は、一対の段差部77を有している。延出辺部78は、段差部77よりも幅方向Wの外側に延出する状態で、側板70に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。延出辺部78は、水平面に沿って配置されており、一対の側板70への天板75の固定に際して、上フランジ部72に載置される。
【0032】
なお、一対の側板70と天板75との間には、一対の側板70に架け渡された状態で補強部材79も設けられている。補強部材79は、上フランジ部72に載置される。補強部材79は、段差部77が存在することによる延出辺部78と上面部76とのオフセット空間に配置されて、天板75(具体的には上面部76)を下方から受け止め支持する。
【0033】
長尺体カバー7を構成する側板70、連結部材74、天板75、及び補強部材79は、鋼板で形成されている。これらは、例えばめっき鋼板やステンレス鋼板で形成することができる。耐候性を有するこれらの材質であれば、雨風に晒される屋外でも長期間に亘って好適に使用することができて好ましい。
【0034】
2つの長尺体カバー7どうしを角度変更自在に接続する自在継手1は、
図3〜
図5に示すように、内側側板ユニット2と、外側側板ユニット3と、天板ユニット4とを主要な構成要素として備えている。概略的には、内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3が長尺体カバー7の一対の側板70に対応する要素であり、天板ユニット4が長尺体カバー7の天板75に対応する要素である。但し、長尺体カバー7の個々の側板70や天板75がそれぞれ単一部材で構成されるのに対して、自在継手1の内側側板ユニット2、外側側板ユニット3、及び天板ユニット4は、それぞれ複数部材で構成されている点で異なっている。
【0035】
本実施形態において、内側側板ユニット2は、第一内側側板21と、第二内側側板22と、第三内側側板23とを有している。外側側板ユニット3は、第一外側側板31と、第二外側側板32と、第三外側側板33とを有している。天板ユニット4は、第一内側分割天板41と、第二内側分割天板42と、第一外側分割天板43と、第二外側分割天板44と、被覆天板45とを有している。こうして、本実施形態の自在継手1は、第一内側側板21と、第二内側側板22と、第三内側側板23と、第一外側側板31と、第二外側側板32と、第三外側側板33と、第一内側分割天板41と、第二内側分割天板42と、第一外側分割天板43と、第二外側分割天板44と、被覆天板45とを備えている。
【0036】
図4に示すように、第一内側側板21は、中央板部21Aと、上フランジ部21Bと、下フランジ部21Cとを有している。中央板部21Aは、矩形状に形成されており、上下方向Hに沿って配置されている。上フランジ部21Bは、中央板部21Aの上部から、幅方向Wの内側に延出している。下フランジ部21Cは、中央板部21Aの下部から、幅方向Wの内側に延出している。中央板部21Aと上フランジ部21Bとの間、及び、中央板部21Aと下フランジ部21Cとの間には、それぞれ、斜めに延びる傾斜面部が設けられても良く、
図4にはそのような例を図示している。
【0037】
第一内側側板21の上フランジ部21B及び下フランジ部21Cには、それぞれ、複数の孔部21hが、上下に貫通する状態で形成されている。上フランジ部21B及び下フランジ部21Cのそれぞれにおいて、少なくとも長手方向Lの両端部に孔部21hが形成されており、本実施形態では長手方向Lの中央部にも孔部21hが形成されている。
【0038】
第二内側側板22は、第一内側側板21にヒンジ連結されている。第二内側側板22は、中央板部22Aと、上フランジ部22Bと、下フランジ部22Cとを有している。中央板部22Aは、第一内側側板21の中央板部21Aよりも長手方向Lの長さが長い矩形状に形成されており、上下方向Hに沿って配置されている。上フランジ部22Bは、中央板部22Aの上部から、幅方向Wの内側に延出している。下フランジ部22Cは、中央板部22Aの下部から、幅方向Wの内側に延出している。中央板部22Aと上フランジ部22Bとの間、及び、中央板部22Aと下フランジ部22Cとの間には、それぞれ、斜めに延びる傾斜面部が設けられても良く、
図4にはそのような例を図示している。
【0039】
第二内側側板22の上フランジ部22B及び下フランジ部22Cには、それぞれ、複数の孔部22hが、上下に貫通する状態で形成されている。上フランジ部22B及び下フランジ部22Cのそれぞれにおいて、少なくとも長手方向Lの一方の端部に孔部22hが形成されており、本実施形態では長手方向Lの中央部及び他方の端部にも孔部22hが形成されている。第一内側側板21の一方の端部の孔部21hと第二内側側板22の一方の端部の孔部22hとに亘ってリベット25が設けられている。このようにしてヒンジ連結された第一内側側板21と第二内側側板22とは、その交差角度(平面視での交差角度;以下同様)を変更することが可能となっている。
【0040】
第二内側側板22の中央板部22Aには、複数の孔部22iが幅方向Wに貫通する状態で形成されている。中央板部22Aの、長手方向Lにおいて第一内側側板21とヒンジ連結された側とは反対側の端部に、上下2箇所に分かれて孔部22iが形成されている。この孔部22iと、長尺体カバー7の側板70の中央板部71に形成された孔部71iとに亘って第一締結部材56(
図8を参照)が締結されて、第二内側側板22と対応する長尺体カバー7の側板70とが接続される。第一締結部材56は、例えばボルトとナットであって良い。
【0041】
第三内側側板23は、第二内側側板22とは反対側の端部で、第一内側側板21にヒンジ連結されている。第三内側側板23は、第二内側側板22と同様の構成を備えている。第三内側側板23は、孔部が形成された中央板部23Aと、中央板部23Aの上部から延出し、孔部23hが形成された上フランジ部23Bと、中央板部23Aの下部から延出し、孔部が形成された下フランジ部23Cとを有している。第一内側側板21と第三内側側板23もリベット25で連結されており、これらは、その交差角度を変更することが可能となっている。また、第一内側側板21とは反対側の端部で、第三内側側板23と対応する長尺体カバー7の側板70とが接続される。
【0042】
第一外側側板31は、第一内側側板21に対して幅方向Wに対向して配置されている。第一外側側板31は、第一内側側板21よりも長手方向Lの長さが長く形成されている。第一外側側板31は、中央板部31Aと、上フランジ部31Bと、下フランジ部とを有している。中央板部31Aは、矩形状に形成されており、上下方向Hに沿って配置されている。上フランジ部31Bは、中央板部31Aの上部から、幅方向Wの内側に延出している。下フランジ部は、中央板部31Aの下部から、幅方向Wの内側に延出している。中央板部31Aと上フランジ部31Bとの間、及び、中央板部31Aと下フランジ部との間には、それぞれ、斜めに延びる傾斜面部が設けられても良く、
図4にはそのような例を図示している。
【0043】
第一外側側板31の上フランジ部31B及び下フランジ部には、それぞれ、複数の孔部31hが、上下に貫通する状態で形成されている。上フランジ部31B及び下フランジ部のそれぞれにおいて、少なくとも長手方向Lの両端部に孔部31hが形成されており、本実施形態ではそれらに隣接する位置にも孔部31hがそれぞれ形成されている。
【0044】
第二外側側板32は、第二内側側板22に対して幅方向Wに対向して配置されているとともに、第一外側側板31にヒンジ連結されている。第二外側側板32は、第二内側側板22よりも長手方向Lの長さが長く形成されている。第二外側側板32は、中央板部32Aと、上フランジ部32Bと、下フランジ部とを有している。中央板部32Aは、矩形状に形成されており、上下方向Hに沿って配置されている。上フランジ部32Bは、中央板部32Aの上部から、幅方向Wの内側に延出している。下フランジ部は、中央板部32Aの下部から、幅方向Wの内側に延出している。中央板部32Aと上フランジ部32Bとの間、及び、中央板部32Aと下フランジ部との間には、それぞれ、斜めに延びる傾斜面部が設けられても良く、
図4にはそのような例を図示している。
【0045】
第二外側側板32の上フランジ部32B及び下フランジ部には、それぞれ、複数の孔部32hが、上下に貫通する状態で形成されている。上フランジ部32B及び下フランジ部のそれぞれにおいて、少なくとも長手方向Lの一方の端部に孔部32hが形成されており、本実施形態ではそれに隣接する位置及び長手方向Lの中央部にも孔部32hが形成されている。第一外側側板31の一方の端部の孔部31hと第二外側側板32の一方の端部の孔部32hとに亘ってリベット25が設けられている。このようにしてヒンジ連結された第一外側側板31と第二外側側板32とは、その交差角度を変更することが可能となっている。
【0046】
第二外側側板32の中央板部32Aには、複数の孔部32iが幅方向Wに貫通する状態で形成されている。中央板部32Aの、長手方向Lにおいて第一内側側板21とヒンジ連結された側の端部に、上下2箇所に分かれて孔部32iが形成されている。また、第二外側側板32の中央板部32Aには、長手方向Lに沿う上下一対の長孔32kが幅方向Wに貫通する状態で形成されている。中央板部32Aの、孔部32iが形成された領域以外の領域の略全域に亘って、長孔32kが形成されている。この長孔32kと、長尺体カバー7の側板70の中央板部71に形成された孔部71iとに亘って例えばボルトとナットからなる第一締結部材56が締結されて、第二外側側板32と対応する長尺体カバー7の側板70とが接続される。
【0047】
同一の断面形状(長手方向Lに直交する平面による断面形状)を有する第二外側側板32と長尺体カバー7の対応する側板70とは、互いに重なり合ってそれらの延在方向(長手方向L)に沿ってスライド自在となっている。第一締結部材56の緩締状態で、長孔32kの長さ相当分の範囲で、第二外側側板32と対応する側板70とがスライド自在となっており、それに応じて第二外側側板32と対応する側板70との重なり量を調整可能となっている。本実施形態では、第二外側側板32に設けられた長孔32kにより、第一調節機構37が構成されている。本実施形態では、第一調節機構37が「調節機構」に相当する。
【0048】
第三外側側板33は、第三内側側板23に対して幅方向Wに対向して配置されているとともに、第二外側側板32とは反対側の端部で、第一外側側板31にヒンジ連結されている。第三外側側板33は、第二外側側板32と同様の構成を備えている。第三外側側板33は、孔部33i及び長孔33kが形成された中央板部33Aと、中央板部33Aの上部から延出し、孔部33hが形成された上フランジ部33Bと、中央板部33Aの下部から延出し、孔部が形成された下フランジ部とを有している。第一外側側板31と第三外側側板33もリベット25で連結されており、これらは、その交差角度を変更することが可能となっている。また、第三外側側板33と長尺体カバー7の対応する側板70とは、互いに重なり合ってそれらの延在方向(長手方向L)に沿ってスライド自在となっている。本実施形態では、第三外側側板33に設けられた長孔33kにより、第二調節機構38が構成されている。
【0049】
図5に示すように、第一内側分割天板41は、第二内側側板22に片持ち状態で固定されている。本実施形態では、第一内側分割天板41が「内側分割天板」に相当する。第一内側分割天板41は、上面部41Aと、段差部41Bと、延出辺部41Cとを有している。上面部41Aは、長手方向Lの長さが第二内側側板22と同程度又はそれよりも若干長い矩形状に形成されている。また、上面部41Aは、平面状に延びるように形成されており、水平面に沿って配置されている。上面部41Aは、平坦な板状に形成されていることが好ましい。上面部41Aの幅方向Wの長さは、対向する第二内側側板22と第二外側側板32との幅方向Wの間隔よりも短く設定されている。上面部41Aの幅方向Wの長さは、第二内側側板22と第二外側側板32との幅方向Wの間隔の例えば1/5〜1/2であって良く、本例では約3/10の長さとされている。本実施形態では、第一内側分割天板41の上面部41Aが「内側上面部」に相当する。
【0050】
段差部41Bは、傾斜面部として形成されており、第二内側側板22に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。段差部41Bは、幅方向Wの一方の端部だけに設けられている。延出辺部41Cは、段差部41Bよりも幅方向Wの外側に延出する状態で、第二内側側板22に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。延出辺部41Cは、水平面に沿って配置されている。延出辺部41Cには、上下に貫通する状態で孔部41hが形成されている。本実施形態では、延出辺部41Cの長手方向Lの中央部に孔部41hが1つ形成されている。この孔部41hと第二内側側板22の上フランジ部22Bに形成された孔部22hとに亘って第二締結部材57(
図11を参照)が締結されて、延出辺部41Cが上フランジ部22Bに載置された状態で、第二内側側板22に第一内側分割天板41が固定されている。第二締結部材57は、例えばビスやネジ等であって良い。
【0051】
第二内側分割天板42は、第三内側側板23に片持ち状態で固定されている。第二内側分割天板42は、第一内側分割天板41と同様の構成を備えている。第二内側分割天板42は、平面状に延びる上面部42Aと、第三内側側板23に沿う(長手方向Lに沿う)段差部42Bと、孔部42hが形成された延出辺部42Cとを有している。本実施形態では、第二内側分割天板42の上面部42Aが「第二内側上面部」に相当する。第二内側分割天板42は、第二締結部材57を用いて、第三内側側板23に固定されている。
【0052】
第一外側分割天板43は、第二外側側板32に片持ち状態で固定されている。本実施形態では、第一外側分割天板43が「外側分割天板」に相当する。第一外側分割天板43は、上面部43Aと、段差部43Bと、延出辺部43Cとを有している。上面部43Aは、長手方向Lの長さが第二外側側板32と同程度又はそれよりも若干短い矩形状に形成されている。また、上面部43Aは、平面状に延びるように形成されており、水平面に沿って配置されている。上面部43Aは、平坦な板状に形成されていることが好ましい。上面部43Aの幅方向Wの長さは、対向する第二内側側板22と第二外側側板32との幅方向Wの間隔よりも短く設定されている。また、本実施形態では、上面部43Aの幅方向Wの長さは、第一内側分割天板41の上面部41Aの幅方向Wの長さよりも長く設定されている。上面部43Aの幅方向Wの長さは、第二内側側板22と第二外側側板32との幅方向Wの間隔の例えば1/2〜19/20であって良く、本例では約9/10の長さとされている。本実施形態では、第一外側分割天板43の上面部43Aが「外側上面部」に相当する。
【0053】
段差部43Bは、傾斜面部として形成されており、第二外側側板32に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。段差部43Bは、幅方向Wの一方の端部だけに設けられている。延出辺部43Cは、段差部43Bよりも幅方向Wの外側に延出する状態で、第二外側側板32に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。延出辺部43Cは、水平面に沿って配置されている。延出辺部43Cには、上下に貫通する状態で孔部43hが形成されている。本実施形態では、延出辺部43Cの長手方向Lの両端部に分かれて孔部43hが2つ形成されている。この孔部43hと第二外側側板32の上フランジ部32Bに形成された孔部32hとに亘って第二締結部材57(
図12を参照)が締結されて、延出辺部43Cが上フランジ部32Bに載置された状態で、第二外側側板32に第一外側分割天板43が固定されている。
【0054】
第一内側分割天板41の幅方向Wの長さと第一外側分割天板43の幅方向Wの長さとの和は、対向する第二内側側板22と第二外側側板32との幅方向Wの間隔よりも長く設定されている。このため、第一内側分割天板41と第一外側分割天板43とは、非固定側の端部どうしが互いに重なるように配置されている(
図6等を参照)。すなわち、第一内側分割天板41の上面部41Aと第一外側分割天板43の上面部43Aとが互いに重なる状態で、第一内側分割天板41が第二内側側板22に固定され、第一外側分割天板43が第二外側側板32に固定されている。
【0055】
その際、本実施形態では、第一内側分割天板41及び第一外側分割天板43のうちの短い方である第一内側分割天板41の上に、長い方の第一外側分割天板43が重ねて配置されている。短く変形しにくい方の第一内側分割天板41で、長く撓みやすい第一外側分割天板43の非固定側の端部を下方から支持することで、第一外側分割天板43の撓み変形を抑制することができ、その耐荷重性を高めることができる。
【0056】
第二外側分割天板44は、第三外側側板33に片持ち状態で固定されている。第二外側分割天板44は、第一外側分割天板43と同様の構成を備えている。第二外側分割天板44は、平面状に延びる上面部44Aと、第三外側側板33に沿う(長手方向Lに沿う)段差部44Bと、孔部44hが形成された延出辺部44Cとを有している。本実施形態では、第二外側分割天板44の上面部44Aが「第二外側上面部」に相当する。第二外側分割天板44は、第二締結部材57を用いて、第三外側側板33に固定されている。また、第二外側分割天板44は、上面部44Aが第二内側分割天板42の上面部42Aの上に重なる状態で、第三外側側板33に固定されている。
【0057】
なお、第一内側分割天板41の上面部41Aと第一外側分割天板43の上面部43Aとが重なる領域と、第二内側分割天板42の上面部42Aと第二外側分割天板44の上面部44Aとが重なる領域とは、平面視で互いにずれている(
図6等を参照)。このため、第一内側分割天板41、第二内側分割天板42、第一外側分割天板43、及び第二外側分割天板44の各上面部41A〜44Aは、これらの全てが同一箇所で重なることはない。
【0058】
被覆天板45は、幅方向Wに対向する第一内側側板21と第一外側側板31とに亘って固定されている。被覆天板45は、上面部45Aと、段差部45Bと、延出辺部45Cとを有している。上面部45Aは、長手方向Lの長さが第一外側側板31と同程度の矩形状に形成されている。また、上面部45Aは、平面状に延びるように形成されており、水平面に沿って配置されている。上面部45Aは、平坦な板状に形成されても良いし、例えば強度アップのためのリブや滑り止め用の複数の小突起等が形成されたものであっても良い。本実施形態では、被覆天板45の上面部45Aが「架設上面部」相当する。段差部45Bは、傾斜面部として形成されており、第一内側側板21及び第一外側側板31に沿って(長手方向Lに沿って)、幅方向Wの両側に分かれて2つ形成されている。
【0059】
延出辺部45Cは、2つの段差部45Bよりも幅方向Wの外側にそれぞれ延出する状態で、第一内側側板21及び第一外側側板31に沿って(長手方向Lに沿って)形成されている。延出辺部45Cは、水平面に沿って配置されている。延出辺部45Cには、上下に貫通する状態で孔部45hが形成されている。本実施形態では、2つの延出辺部45Cは、長手方向Lに沿う長さが互いに異なっている(2つの段差部45Bも同様)。これら2つの延出辺部45Cの長手方向Lの長さは、それぞれ、第一内側側板21の長手方向Lの長さと第一外側側板31の長手方向Lの長さとに対応している。そして、長尺体6の配設経路の屈曲箇所において内側となる短い方の延出辺部45Cの長手方向Lの中央部に孔部45hが1つ形成されているとともに、外側となる長い方の延出辺部45Cの長手方向Lの両端部に孔部45hが1つずつ形成されている。被覆天板45は、これらの孔部45hに挿通される第二締結部材57(
図13を参照)を用いて、第一内側側板21及び第一外側側板31に固定されている。
【0060】
被覆天板45は、第一内側分割天板41の上面部41A及び第一外側分割天板43の上面部43Aの両方を覆い、さらに、第二内側分割天板42の上面部42A及び第二外側分割天板44の上面部44Aの両方を覆っている。被覆天板45は、第一内側分割天板41の上面部41Aと第一外側分割天板43の上面部43Aとの重なり領域の少なくとも一部と、第二内側分割天板42の上面部42Aと第二外側分割天板44の上面部44Aとの重なり領域の少なくとも一部とを覆っている。また、被覆天板45は、第一外側分割天板43の上面部43Aのうち第一内側分割天板41の上面部41Aとは重なっていない領域の少なくとも一部と、第二外側分割天板44の上面部44Aのうち第二内側分割天板42の上面部42Aとは重なっていない領域の少なくとも一部とを覆っている。さらに、被覆天板45は、内側側板ユニット2と外側側板ユニット3との間の上部開口のうち、第一内側分割天板41、第二内側分割天板42、第一外側分割天板43、及び第二外側分割天板44の各上面部41A〜44Aのいずれによっても覆われない領域全体を覆っている。
【0061】
本実施形態の内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3は、それぞれ、2箇所のヒンジ連結部で屈曲可能となっている。このとき、内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3の姿勢変化(角度変化)に伴い、上面部41A,43Aどうしの重なり領域や、上面部42A,44Aどうしの重なり領域、さらには、各上面部41A〜44Aのいずれによっても覆われない領域も変化する(
図6及び
図7を参照)。被覆天板45は、内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3の姿勢によらずに、常時、上面部41A,43Aどうしの重なり領域及び上面部42A,44Aどうしの重なり領域を覆い、かつ、各上面部41A〜44Aのいずれによっても覆われない領域を覆うように構成されている。これにより、接続対象の2つの長尺体カバー7どうしのなす角θによらずに、内側側板ユニット2と外側側板ユニット3との間の上部開口の全体を、天板ユニット4で適切に覆うことができるようになっている。
【0062】
図5に示すように、本実施形態の自在継手1は、上述した内側側板ユニット2、外側側板ユニット3、及び天板ユニット4に加え、補助パーツ5をさらに備えている。補助パーツ5は、例えば自在継手1の全体の強度を高めたり外観を改善したりする等の目的で、任意で使用される部品である。本実施形態では、このような補助パーツ5として、補強材51と隠蔽板52とが備えられている。補強材51は、長尺体カバー7における補強部材79に相当するものであり、内側側板ユニット2と外側側板ユニット3とに亘って架け渡されて、天板ユニット4を下方から受け止め支持する。隠蔽板52は、自在継手1と長尺体カバー7との接続後に第二外側側板32及び第三外側側板33に外側から取り付けられて、長孔32k,33kを隠蔽する。
【0063】
自在継手1を構成する内側側板ユニット2(第一内側側板21、第二内側側板22、及び第三内側側板23)、外側側板ユニット3(第一外側側板31、第二外側側板32、及び第三外側側板33)、及び天板ユニット4(第一内側分割天板41、第二内側分割天板42、第一外側分割天板43、第二外側分割天板44、及び被覆天板45)は、鋼板で形成されている。これらは、例えばめっき鋼板やステンレス鋼板で形成することができる。耐候性を有するこれらの材質であれば、雨風に晒される屋外でも長期間に亘って好適に使用することができて好ましい。また、強度にも優れるので外力に対して強く、内部に収容される長尺体6を十分に保護することができる。
【0064】
さらに、自在継手1と長尺体カバー7の材質が同一とされ、これらがいずれも鋼板製であれば、耐候性や強度の向上に加え、全体としての統一感を高めて意匠性を向上させることができるのでさらに好ましい。
【0065】
以下、本実施形態の自在継手1を用いた2つの長尺体カバー7の接続時の施工手順について、
図8〜
図15を参照して説明する。なお、各図においては、見やすさを考慮して、長尺体6や連結部材74、補強部材79は非表示とし、自在継手1の各部品と長尺体カバー7の側板70及び天板75だけを表示している。
【0066】
図8に示すように、(長尺体6の)配設経路の屈曲箇所において、設置済みの長尺体カバー7の一対の側板70の端部に、内側側板ユニット2と外側側板ユニット3とを接続する。このとき、第一締結部材56を用いて一方の側板70と第二内側側板22とを締結固定し、他方の側板70と第二外側側板32とは第一締結部材56の緩締状態で仮組みの状態とする。なお、内側側板ユニット2と外側側板ユニット3とは、第一内側側板21と第一外側側板31とが共通の架台8に固定されて、互いに連結されると良い。
【0067】
次に、
図9に示すように、内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3の反対側の端部に、次の長尺体カバー7を接続する。このとき、第一締結部材56を用いて第三内側側板23と一方の側板70とを締結固定し、第三外側側板33と他方の側板70とは第一締結部材56の緩締状態で仮組みの状態とする。
【0068】
第一締結部材56の緩締状態では、長孔32k,33kの長さ相当分の範囲で、第二外側側板32と対応する側板70とがスライド自在であるとともに、第三外側側板33と対応する側板70とがスライド自在である。この状態で、2つの長尺体カバー7どうしのなす角θ(配設経路の屈曲角度)に応じて、第二外側側板32と対応する側板70との重なり量と、第三外側側板33と対応する側板70との重なり量とを、それらのスライド移動によって調整する。本実施形態のように2つの調節機構37,38が第二外側側板32と第三外側側板33とに分かれて設けられる場合には、2つの長尺体カバー7どうしのなす角θに応じて、第二外側側板32側の重なり量と第三外側側板33側の重なり量との合計量が調整される。この重なり量の調整は、概略的には、なす角θが大きいほど(180°に近づくほど)重なり量が大きくなり、なす角θが小さいほど重なり量が小さくなるように行われる。
【0069】
なす角θに応じた重なり量の調整が終わると、それまで緩締状態であった第一締結部材56を締め増して、第二外側側板32及び第三外側側板33とそれぞれ対応する側板70とを締結固定する。これにより、当該位置での自在継手1による接続角度が定まることになる。
【0070】
次に、
図10に示すように、内側側板ユニット2と外側側板ユニット3とに亘るように、所定間隔で複数の補強材51を配置する。例えば、第一内側側板21と第一外側側板31とに亘ってそれらの両端部にそれぞれ補強材51を配置し、第二内側側板22と第二外側側板32や第三内側側板23と第三外側側板33には、対応する長尺体カバー7側の端部に補強材51を配置する。
【0071】
その後、天板ユニット4を取り付けていく。天板ユニット4の取り付けに際しては、まず、
図11に示すように、第二締結部材57を用いて、第二内側側板22に第一内側分割天板41を締結固定し、第三内側側板23に第二内側分割天板42を締結固定する。このとき、第一内側分割天板41及び第二内側分割天板42は、それぞれ、補強材51によって下方から支持された状態となっている。
【0072】
次に、
図12に示すように、第二締結部材57を用いて、第二外側側板32に第一外側分割天板43を締結固定し、第三外側側板33に第二外側分割天板44を締結固定する。このとき、第一内側分割天板41の上面部41Aの上に第一外側分割天板43の上面部43Aが重なるように、第一外側分割天板43を配置する。同様に、第二内側分割天板42の上面部42Aの上に第二外側分割天板44の上面部44Aが重なるように、第二外側分割天板44を配置する。なお、上面部41A,43Aどうしの重なり領域や、上面部42A,44Aどうしの重なり領域は、なす角θに応じて異なる位置に現れることになる。また、各上面部41A〜44Aのいずれによっても覆われない領域も、なす角θに応じて異なる位置に現れる。
【0073】
次に、
図13に示すように、第二締結部材57を用いて、第一内側側板21と第一外側側板31とに亘って被覆天板45を締結固定する。このとき、各分割天板41〜44の上面部41A〜44Aのそれぞれの一部を覆うとともに、各上面部41A〜44Aのいずれによっても覆われない領域全体を覆うように、被覆天板45を配置する。
【0074】
その後、
図14に示すように、自在継手1よりも上流側の長尺体カバー7の側板70に、天板75を取り付ける。また、下流側の長尺体カバー7に対しては、さらにその先に別の長尺体カバー7を接続した後、天板75を取り付ける。最後に、
図15に示すように、第二外側側板32及び第三外側側板33に対して、外側から隠蔽板52を取り付ける。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の自在継手1を用いることで、全体としての外観上の統一感を損なうことなく所望の強度を有しつつ、2つの長尺体カバー7どうしを角度変更自在に接続することができる。特に、自在継手1にも長尺体カバー7の天板75の段差部77と同様の段差部41B〜45Bを設け、自在継手1と長尺体カバー7とで長手方向Lに直交する平面での断面形状を実質的に同一としながら、2つの長尺体カバー7どうしを角度変更自在に接続することができる。
【0076】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第二外側側板32及び第三外側側板33と長尺体カバー7のそれぞれ対応する側板70とがスライド自在となっており、それらに調節機構37,38が設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第二内側側板22及び第三内側側板23と長尺体カバー7のそれぞれ対応する側板70とが互いに重なり合ってスライド自在とされ、それらに調節機構37,38が設けられても良い。
【0077】
(2)上記の実施形態では、第一調節機構37が長孔32kで構成され、第二調節機構38が長孔33kで構成された例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第一調節機構37及び第二調節機構38の少なくとも一方が、長手方向Lに沿って所定間隔で配列された複数の孔部で構成されても良い。
【0078】
(3)上記の実施形態では、第一内側分割天板41と第一外側分割天板43とで幅方向Wの長さが異なり、同様に、第二内側分割天板42と第二外側分割天板44とで幅方向Wの長さが異なる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第一内側分割天板41と第一外側分割天板43とで幅方向Wの長さが同じであっても良いし、第二内側分割天板42と第二外側分割天板44とで幅方向Wの長さが同じであっても良い。
【0079】
(4)上記の実施形態では、第一内側分割天板41の上に第一外側分割天板43が重なり、同様に、第二内側分割天板42の上に第二外側分割天板44が重なる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば長い方である第一外側分割天板43の上に、短い方である第一内側分割天板41が重ねて配置されても良い。同様に、長い方である第二外側分割天板44の上に、短い方である第二内側分割天板42が重ねて配置されても良い。
【0080】
(5)上記の実施形態では、内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3がそれぞれ2箇所のヒンジ連結部で屈曲可能となっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば内側側板ユニット2及び外側側板ユニット3がそれぞれ1箇所のヒンジ連結部だけで屈曲可能であっても良い。この場合、自在継手1は、第一内側側板21と、第二内側側板22と、第一外側側板31と、第二外側側板32と、第一内側分割天板41(「内側分割天板」に相当)と、第一外側分割天板43(「外側分割天板」に相当)と、被覆天板45とを備えて構成される。
【0081】
(6)上記の実施形態では、自在継手1と長尺体カバー7とが同一材質の鋼板で形成されている構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば少なくとも外観が類似していれば、自在継手1と長尺体カバー7とで材質が完全に同一でなくても良い。また、自在継手1及び長尺体カバー7は、鋼板以外の板材(例えばセラミック板や強化プラスチック板等)で形成されても良い。
【0082】
(7)上記の実施形態では、自在継手1及び長尺体カバー7が建物の屋上に設置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、自在継手1及び長尺体カバー7は、例えば建物の壁面に設置されても良いし、或いは、天井から吊り下げられたチャンネル材に設置されても良い。
【0083】
(8)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。