(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
図1〜3を参照して、本発明の第1実施形態に係るカテーテルデバイス1を説明する。
【0014】
第1実施形態に係るカテーテルデバイス1は、最初に採取した初流血と、本採血によって採取した血液とを別々に貯留することができるとともに、カテーテルのフラッシュをすることができるデバイスである。一般的に、生体に採血針を穿刺する際には、皮膚上や皮下に存在する細菌が血液に混入しやすい。このため、初流血には細菌が混入している可能性が高いことが知られている。カテーテルデバイス1によれば、初流血を採取してフラッシュをした後に本採血をすることによって細菌等の不純物の少ない血液を採取することができる。また、初流血は、血液検査用として利用することができる。
【0015】
図1に示すように、カテーテルデバイス1は、血液やフラッシュ液等の流体が流通するカテーテル10と、カテーテル10にフラッシュ液を供給する供給部41と、カテーテル10から流体を吸引する吸引ポンプ(吸引部に相当)42と、最初に採血した初流血を貯留する初流血バッグ51と、初流血バッグ51の基端側に接続されたサンプリングポート52と、採血された血液を貯留する採血バッグ53と、廃棄する流体を貯留する廃液タンク60と、カテーテルデバイス1各部の動作を制御する制御部70とを有している。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0016】
カテーテル10は、生体に穿刺して先端部が血管内に挿入される採血針20と、採血針20の基端側に接続されるカテーテル本体30とを有している。
【0017】
なお、本明細書では、生体内に挿入される採血針20が配置される側を「先端」若しくは「先端側」、供給部41、初流血バッグ51、本採血バッグ53または廃液タンク60が配置される側を「基端」若しくは「基端側」と称する。先端部とは、先端(最先端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、基端部とは、基端(最基端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味する。
【0018】
図2に示すように、採血針20は、血管に穿刺される2重管構造を備える針21と、針21の基端側に配置されるハブ22とを有している。
【0019】
針21は、流体が流通可能な第1ルーメン10aが形成される外管211と、第1ルーメン10aに配置され、流体が流通可能な第2ルーメン10bが形成される内管212と、流出入抑制部213とを有している。
【0020】
外管211は、長尺状の略円筒形状を備えている。外管211は、その先端に血管内に導入される第1先端開口部211hを備えている。外管211の先端は、生体に穿刺しやすいように鋭利な針先を備えていることが好ましい。
【0021】
内管212は、長尺状の略円筒形状を備えている。内管212は、その先端に第2先端開口部212hを備えている。第2先端開口部212hは、第1先端開口部211hよりも基端側に位置するように配置されている。
【0022】
図3中に一点鎖線で示すように、外管211の中心軸は、内管212の中心軸に重なるように構成されている。これにより、外管211と内管212との間の隙間に形成される第1ルーメン10aの周方向の大きさが均一になる。このため、第1ルーメン10aに乱れがなく、均一な流れを形成することができる。
【0023】
外管211および内管212は、例えば、金属や樹脂材料から形成することができる。
【0024】
流出入抑制部213は、第1先端開口部211hと第2先端開口部212hとの間の第1ルーメン10aに区画されている。流出入抑制部213は、第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに流れる流体の灌流により、第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10aへ流体が流入するのを抑制するとともに、第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10aから流体が流出するのを抑制する。なお、流出入抑制部213の上記作用については、後述するカテーテルデバイス1の使用方法の説明において詳細に述べる。
【0025】
第1先端開口部211hと第2先端開口部212hとの間の距離によって規定される流出入抑制部213の軸方向の長さは、特に限定されないが、軸方向の長さが長いほど第1先端開口部211hを介して流体が第1ルーメン10aへ流入したり第1ルーメン10aから流出したりするのを抑制する効果を高めることができる。一方で、流出入抑制部213の軸方向の長さが長すぎると、第1先端開口部211hを介して生体から血液を吸引する吸引力が低下する。上記観点から、流出入抑制部213の軸方向の長さは、適当な長さを選択することが好ましい。
【0026】
ハブ22は、外管211の基端部に配置される外管ハブ221と、内管212の基端部に配置される内管ハブ222とを備えている。外管ハブ221および内管ハブ222は、連結部22a(
図3を参照)により互いに連結され、一体的に構成されている。
【0027】
再び
図1を参照して、カテーテル本体30は、採血針20と供給部41とを連通する第1チューブ31と、採血針20と吸引ポンプ42および後述する切り替え弁37とを連通する第2チューブ32と、第2チューブ32から分岐する排液用チューブ33、初流血用チューブ34および本採血用チューブ35と、を有している。カテーテル本体30は、第1チューブ31および第2チューブ32を分岐する分岐コネクタ36と、第2ルーメン10bからの流路を選択的に切り替える切り替え弁37と、採血針20と第1チューブ31および第2チューブ32とを液密に接続する接続部38とをさらに有している。
【0028】
なお、カテーテル本体30の接続部38が採血針20のハブ22に接続された状態で、外管211および第1チューブ31は、第1ルーメン10aを形成し、内管212および第2チューブ32は、第2ルーメン10bを形成する。
【0029】
第1チューブ31は、接続部38から分岐コネクタ36を介して供給部41までを連通する。第1チューブ31は、接続部38から分岐コネクタ36までを連通する先端側第1チューブ31dと、分岐コネクタ36から後述する供給部41のフラッシュ液保持部411までを連通する基端側第1チューブ31pとを有している。
【0030】
第2チューブ32は、接続部38から分岐コネクタ36を介して切り替え弁37までを連通している。第2チューブ32は、第1チューブ31の内腔に配置される先端側第2チューブ32dと、分岐コネクタ36から切り替え弁37までを連通する基端側第2チューブ32pとを有している。
【0031】
先端側第2チューブ32dは、先端側第1チューブ31d内に配置されている。これにより、先端側第2チューブ32dおよび先端側第1チューブ31dは、二重管構造を備えている。第1ルーメン10aは、先端側第2チューブ32dと先端側第1チューブ31dとの間に区画される部分に形成されている。
【0032】
排液用チューブ33は、切り替え弁37と廃液タンク60とを連通し、第2チューブ32を介して流入してきた流体を廃液タンク60へ導流する。
【0033】
初流血用チューブ34は、切り替え弁37と初流血バッグ51とを連通し、第2チューブ32を介して流入してきた初流血を初流血バッグ51へ導流する。
【0034】
本採血用チューブ35は、切り替え弁37と本採血バッグ53とを連通し、第2チューブ32を介して流入してきた血液を本採血バッグ53へ導流する。
【0035】
第1チューブ31、第2チューブ32、排液用チューブ33、初流血用チューブ34および本採血用チューブ35は、例えば、ウレタン、ポリウレタン、シリコン、塩化ビニル等の公知の樹脂により形成することができる。
【0036】
分岐コネクタ36は、例えば、T字管(
図1を参照)や、Y字管により構成することができる。
【0037】
切り替え弁37は、公知の電磁弁等により構成されている。切り替え弁37は、第2チューブ32に接続され、第2ルーメン10bからの流路を、排液用チューブ33、初流血用チューブ34または本採血用チューブ35に切り替える。これにより、切り替え弁37は、第2ルーメン10bと廃液タンク60との連通状態、第2ルーメン10bと初流血バッグ51との連通状態および本採血バッグ53との連通状態を選択的に切り替える。
【0038】
なお、切り替え弁37は、各チューブを流れる流体の流路を開閉することができれば上記構成に限定されず、例えば、各チューブをクランプして流体の流路を遮断するクランプ部材等によって構成してもよい。
【0039】
接続部38は、採血針20のハブ22に嵌合されて液密に接続可能に構成されている。接続部38は、外管ハブ221に接続可能な外管接続部381と、内管ハブ222に接続可能な内管接続部382とを備えている。外管接続部381および内管接続部382は、連結部38a(
図3を参照)により互いに連結され、一体的に構成されている。
【0040】
供給部41は、フラッシュ液を保持するフラッシュ液保持部411と、フラッシュ液保持部411からフラッシュ液をカテーテル本体30に供給する供給ポンプ412とを備えている。
【0041】
フラッシュ液保持部411は、基端側第1チューブ31pの基端に接続されている。フラッシュ液保持部411は、フラッシュ液等の医療用の液体を保持する医療用バッグである。フラッシュ液は、例えば、生理食塩水を使用することができる。
【0042】
供給ポンプ412は、基端側第1チューブ31pに配置されて、フラッシュ液保持部411から供給されたフラッシュ液を第1チューブ31の先端側へ向けて導流する。
【0043】
吸引ポンプ42は、基端側第2チューブ32pに配置されて、第2チューブ32の先端側から基端側へ向けて流体を導流する。
【0044】
初流血バッグ51は、初流血用チューブ34を介して導流した初流血を貯留する。
【0045】
サンプリングポート52は、初流血バッグ51に接続されている。サンプリングポート52は、採血管(図示せず)を接続することによって検査用の初流血を採取可能に構成されている。
【0046】
本採血バッグ53は、本採血用チューブ35を介して導流した血液を貯留する。
【0047】
初流血バッグ51および本採血バッグ53は、例えば、ポリ塩化ビニルのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁を熱融着、高周波融着等によって融着または接着した袋状に形成されている。
【0048】
制御部70は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマイクロプロセッサ等から構成される制御回路であり、カテーテルデバイス1の各機能は、それに対応するプログラムを制御部70が実行することにより発揮される。具体的には、制御部70は、供給ポンプ412、吸引ポンプ42および切り替え弁37の動作を制御してカテーテル10内の流体の流れを制御する。
【0049】
以下、第1実施形態に係るカテーテルデバイス1の使用方法について、
図4、5を参照して詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係るカテーテルデバイス1の使用方法を説明するためのフローチャートであり、
図5は、カテーテルデバイス1の作用の説明に供する図である。
【0050】
まず、採血針20の外管211の先端部を血管に穿刺する。これにより、外管211の第1先端開口部211hを含む先端部は、血管内に配置される。
【0051】
次に、採血針20のハブ22とカテーテル本体30の接続部38とを互いに接続する。術者は、ハブ22と接続部38とを互いに接続することにより、比較的簡単に外管211および内管212を第1チューブ31および第2チューブ32にそれぞれ連結することができる。互いに接続された外管211および第1チューブ31は、その内腔に第1ルーメン10aを形成し、互いに接続された内管212および第2チューブ32は、その内腔に第2ルーメン10bを形成する。
【0052】
次に、第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bにフラッシュ液を供給してフラッシュをする(ステップS10)。具体的には、まず、供給ポンプ412および吸引ポンプ42を作動させて、切り替え弁37により第2チューブ32と排液用チューブ33とを連通する。
【0053】
供給ポンプ412により供給されたフラッシュ液は、第1ルーメン10aの先端側へ導流される。第2ルーメン10bは、吸引ポンプ42により吸引されて陰圧になっている。この陰圧を利用して、採血針20の流出入抑制部213まで導流されたフラッシュ液は、第2先端開口部212hを介して第2ルーメン10bへ引き込まれる。これにより、
図5(A)に示すように、流出入抑制部213において、フラッシュ液が第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに流れる流体の灌流による対流が生じる。
【0054】
当該対流によって生じるフラッシュ液の流動により、フラッシュ液以外の流体が流出入抑制部213から流入することが阻害される。これにより、血管内と第1ルーメン10aとを連通する第1先端開口部211hの流路が遮断される。
【0055】
なお、ステップS10において、制御部70は、第1ルーメン10aへ供給するフラッシュ液の供給量が第2ルーメン10bから吸引する流体の吸引量よりも多くなるように供給ポンプ412および吸引ポンプ42の動作を制御することが好ましい。これにより、流出入抑制部213にフラッシュ液の液溜まり状態を形成することができるため、より確実に血管内と第1ルーメン10aとを連通する第1先端開口部211hの流路を遮断することができる。
【0056】
以上のようにして、流出入抑制部213は、第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに流れる流体の灌流により、第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10aへ血液が流入するのを抑制するとともに、第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10aからフラッシュ液、空気、および血液等の残渣が流出するのを抑制する。
【0057】
第2ルーメン10bを介して流入したフラッシュ液は、吸引ポンプ42により導流されて、空気や血液等の残渣とともに第2チューブ32および排液用チューブ33を介して廃液タンク60へ排出される。これにより、第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bは、空気や残渣が排出されてフラッシュ液で満たされる。
【0058】
次に、第2ルーメン10bをフラッシュ液から初流血に置換する(ステップS20)。具体的には、まず、吸引ポンプ42を作動した状態および第2チューブ32と排液用チューブ33とを連通した状態を維持したまま、供給ポンプ412を停止する。これにより、流出入抑制部213にフラッシュ液が供給されなくなる。このため、第1ルーメン10aから第2ルーメン10bに流れる流体の灌流が生じなくなり、第1先端開口部211hにおいて血管内と第1ルーメン10aとの流路が開通され、流出入抑制部213は血管内から初流血の流入を許容する。
【0059】
吸引ポンプ42は、生体に留置されている外管211の第1先端開口部211hから初流血を吸引して、
図5(B)に示すように第2ルーメン10bに初流血を導流する。第2ルーメン10bに導流された血液は、第2ルーメン10bに存在するフラッシュ液を基端側へ押し出す。押し出されたフラッシュ液は、排液用チューブ33を介して廃液タンク60へ排出される。これにより、第2ルーメン10bがフラッシュ液から初流血に置換される。
【0060】
次に、供給ポンプ412を停止した状態および吸引ポンプ42を作動させた状態を維持したまま、切り替え弁37により第2チューブ32と初流血用チューブ34とを連通する。これにより、初流血が第2チューブ32および初流血用チューブ34を介して初流血バッグ51に導流されて貯留される(ステップS30)。初流血は、必要に応じてサンプリングポート52から採血管(図示せず)に採取されて各種の血液検査に用いられる。
【0061】
次に、ステップS10と同様の操作を行って、第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bのフラッシュをする(ステップS40)。具体的には、まず、供給ポンプ412および吸引ポンプ42を作動させて、切り替え弁37により第2チューブ32と排液用チューブ33とを連通する。これにより、ステップS10と同様に、外管211、内管212、第1チューブ31および第2チューブ32内の空気や血液等の残渣が排出され、フラッシュ液で満たされる。また、フラッシュ中は、
図5(C)に示すように、流出入抑制部213において、フラッシュ液が第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに流れる流体の灌流によって対流が生じるため、血管内と第1ルーメン10aとを連通する第1先端開口部211hの流路が遮断される。これにより、流出入抑制部213は、第1先端開口部211hを介してフラッシュ液、空気、および血液等の残渣が血管内へ流出するのを抑制するとともに、血液が第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10a内へ流入するのを抑制することができる。
【0062】
ステップS40において、初流血の採血の後に、第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bのフラッシュをすることにより、初流血や空気を排除し、次工程の本採血において新鮮な血液のみを採取することができる。
【0063】
次に、ステップS20と同様の操作を行って、第2ルーメン10bをフラッシュ液から血液に置換する(ステップS50)。
【0064】
次に、供給ポンプ412を停止した状態および吸引ポンプ42を作動させた状態を維持したまま、切り替え弁37により第2チューブ32と本採血用チューブ35とを連通する。これにより、血液が第2チューブ32および本採血用チューブ35を介して本採血バッグ53に導流されて貯留される(ステップS60)。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るカテーテル10の採血針20は、生体内に導入される第1先端開口部211hを備え、流体が流通可能な第1ルーメン10aが形成される外管211と、第1ルーメン10aに配置され、第1先端開口部211hよりも基端側に位置する第2先端開口部212hを備え、流体が流通可能な第2ルーメン10bが形成される内管212と、第1先端開口部211hと第2先端開口部212hとの間の第1ルーメン10aに区画され、第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに流れる流体の灌流により、第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10aから流体が流出または第1ルーメン10aへ流体が流入するのを抑制する流出入抑制部213と、を有している。
【0066】
このように構成されたカテーテル10によれば、外管211の第1先端開口部211hを介して生体から血液を採取することができる。また、カテーテル10のフラッシュをする際に、第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに流れるフラッシュ液の灌流により流出入抑制部213に対流を形成することができる。当該対流により、流出入抑制部213において、血管内と第1ルーメン10aとを連通する第1先端開口部211hの流路が遮断される。これにより、フラッシュをする際に、第1先端開口部211hを介してフラッシュ液、空気、および血液等の残渣が血管内へ流出するのを抑制するとともに、血液が第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10a内へ流入するのを抑制することができる。このため、低侵襲に採血およびフラッシュをすることができる。
【0067】
また、外管211の中心軸は、内管212の中心軸に重なるように構成されているため、外管211と内管212との間の隙間に形成される第1ルーメン10aの周方向の大きさが均一になる。このため、第1ルーメン10aにおいて、乱れがなく、均一な流れを形成することができる。これにより、第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bに偏りなく均一な灌流を形成することができるため、より安定的に対流を形成することができる。したがって、流出入抑制部213によって、より確実に血管内と第1ルーメン10aとを連通する第1先端開口部211hの流路を遮断することができる。
【0068】
本実施形態に係るカテーテルデバイス1は、第1ルーメン10aにフラッシュ液を供給する供給部41と、第2ルーメン10bを介して、生体から血液を吸引する吸引部42と、供給部41および吸引部42の動作を制御する制御部70と、をさらに有している。制御部70は、供給部41および吸引部42の動作を制御して、第1ルーメン10aに供給されて第2ルーメン10bに吸引されるフラッシュ液の灌流を流出入抑制部213に形成し、当該灌流により第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10aから流体が流出または第1ルーメン10aへ流体が流入するのを抑制する。
【0069】
このように構成されたカテーテルデバイス1によれば、供給ポンプ412および吸引部42により、フラッシュ液の供給量および流体の吸引量を正確に制御することができる。これにより、長時間連続してフラッシュをしても必要以上にフラッシュ液を供給することがなくなる。また、フラッシュをする際に、流出入抑制部213において、血管内と第1ルーメン10aとを連通する第1先端開口部211hの流路を遮断することができる。これにより、カテーテル10のフラッシュをする際に、第1先端開口部211hを介してフラッシュ液、空気、および血液等の残渣が血管内へ流出するのを抑制するとともに、血液が第1先端開口部211hを介して第1ルーメン10a内へ流入するのを抑制することができる。これにより、低侵襲に採血およびフラッシュをすることができる。
【0070】
また、初流血を貯留する初流血バッグ51と、採血された血液を貯留する採血バッグ53と、廃棄する流体を貯留する廃液タンク60と、第2ルーメン10bと初流血バッグ51との連通状態、第2ルーメン10bと採血バッグ53との連通状態、および第2ルーメン10bと廃液タンク60との連通状態を選択的に切り替え可能な切り替え弁37と、をさらに有する。これにより、検査用の初流血と採血用の血液とを分けて採取することができる。また、初流血の採血の後に、第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bのフラッシュをすることにより、初流血や空気を排除し、次工程の本採血において新鮮な血液を採取することができる。
【0071】
<第2実施形態>
図6、7を参照して、第2実施形態に係るカテーテルデバイス2を説明する。
図6は、第2実施形態に係るカテーテルデバイス2の全体を概略的に示す図であり、
図7は、カテーテルデバイス2の使用方法を説明するためのフローチャートである。
【0072】
第2実施形態に係るカテーテルデバイス2は、採血した血液を使用して所定の血液検査を行うために用いられる。カテーテルデバイス2は、初流血用チューブ34、本採血用チューブ35、初流血バッグ51および本採血バッグ53に代えて、検査用チューブ134と、血液検査を行う検査部180と、を備える点で前述した第1実施形態と異なる。なお、前述した第1実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
図6に示すように、切り替え弁37は、第2チューブ32に接続され、第2チューブ32からの流路を排液用チューブ33または検査用チューブ134に切り替える。これにより、切り替え弁37は、第2ルーメン10bと検査部180との連通状態および第2ルーメン10bと廃液タンク60との連通状態を選択的に切り替える。
【0074】
検査用チューブ134は、切り替え弁37と検査部180とを連通する。
【0075】
検査部180は、検査用チューブ134から導流された血液の検査を行う。血液検査としては、生化学的検査などの血液を利用して病状などを調べる臨床検査が広く含まれ、例えば、血糖値、pH、O
2、K
+等を測定する成分検査、血液の凝固しやすさを検査する凝固検査、血圧を測定する血圧検査等が挙げられる。
【0076】
以下、第2実施形態に係るカテーテルデバイス2の使用方法について、
図7を参照して詳細に説明する。
図7は、本実施形態に係るカテーテルデバイス2の使用方法を説明するためのフローチャートである。
【0077】
第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bをフラッシュし(ステップS110)、第2ルーメン10bをフラッシュ液から血液に置換する(ステップS120)手順は前述した第1実施形態のステップS10、S20(
図4を参照)と同様なので説明を省略する。
【0078】
ステップS130では、供給ポンプ412を停止した状態および吸引ポンプ42を作動させた状態を維持したまま、切り替え弁37により第2チューブ32と検査用チューブ134とを連通する。これにより、検査部180へ血液が導流される。
【0079】
次に、ステップS140では、検査部180により導流された血液の検査を行う。得られた検査結果は、モニター等に表示して視覚的に認識できるようにしてもよい。
【0080】
以上のように、第2実施形態に係るカテーテルデバイス2は、前述した第1実施形態と同様の構成により同様の作用効果を有する。
【0081】
また、カテーテルデバイス2は、吸引ポンプ42によって導流された血液の検査を行う検査部180と、廃棄する流体を貯留する廃液タンク60と、第2ルーメン10bと検査部180との連通状態および第2ルーメン10bと廃液タンク60との連通状態を選択的に切り替え可能な切り替え弁37とを有している。これにより、採血した血液の検査およびフラッシュを効率的に行うことができる。
【0082】
<第3実施形態>
図8、9を参照して、第3実施形態に係るカテーテルデバイス3を説明する。
図8は、第3実施形態に係るカテーテルデバイス3の全体を概略的に示す図であり、
図9は、カテーテルデバイス3の使用方法を説明するためのフローチャートである。
【0083】
第3実施形態に係るカテーテルデバイス3は、採血した血液を使用して所定の血液検査を複数回繰り返して行うために用いられる。第3実施形態に係るカテーテルデバイス3は、検査用チューブ234および検査部280を複数備える点で前述した第2実施形態と異なる。なお、前述した第2実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0084】
図8に示すように、切り替え弁37は、第2チューブ32に接続され、第2チューブ32からの流路を、排液用チューブ33または複数の検査用チューブ234のうち一の検査用チューブ234に切り替える。これにより、第2ルーメン10bと複数の検査部280のうち一の検査部280との連通状態および第2ルーメン10bと廃液タンク60との連通状態を選択的に切り替える。
【0085】
検査用チューブ234は、切り替え弁37と検査部280とを連通する。検査用チューブ234は、検査部280と同じ数だけ複数個設けられている。一の検査用チューブ234は、一の検査部280と連通している。なお、検査用チューブ234および検査部280の数は、特に限定されず、所望の検査回数等に応じて適宜変更可能である。
【0086】
検査部280は、各検査用チューブ234から導流された血液の検査を行う。
【0087】
以下、第3実施形態に係るカテーテルデバイス3の使用方法について
図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係るカテーテルデバイス3の使用方法を説明するためのフローチャートである。
【0088】
第1ルーメン10aおよび第2ルーメン10bを洗浄し(ステップS210)、第2ルーメン10bをフラッシュ液から血液に置換する(ステップS220)手順は前述した第1実施形態のステップS10、S20(
図4を参照)と同様なので説明を省略する。
【0089】
ステップS230では、供給ポンプ412を停止した状態および吸引ポンプ42を作動させた状態を維持したまま、切り替え弁37により第2チューブ32と一の検査用チューブ234とを連通する。これにより、一の検査用チューブ234を介して一の検査部280へ血液が導流される。
【0090】
次に、ステップS240では、一の検査部280によって、血液検査を行う。
【0091】
次に、ステップS250では、ステップS210〜240を残りの未使用の検査部280に対してそれぞれ行い(ステップS250:NO)、全ての検査部280において測定が完了すると、複数の検査結果を得る(ステップS250:YES)。
【0092】
以上のように、第3実施形態に係るカテーテルデバイス3は、前述した第1実施形態と同様の構成により同様の作用効果を有する。
【0093】
また、カテーテルデバイス3は、複数の検査部280を有し、切り替え弁37は、第2ルーメン10bと、複数の検査部280および廃液タンク60との連通状態を選択的に切り替える。これにより、複数の検査部280を使用して、血液の検査を複数回繰り返して行うことができる。このため、例えば、単回使用の検査部280を使用した場合でも血液の状態の経時的変化を測定することができる。
【0094】
以上、実施形態および変形例を通じて本発明に係るカテーテルおよびカテーテルデバイスを説明したが、本発明は実施形態および変形例において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0095】
例えば、カテーテルは、流出入抑制部を備える採血針を有するとしたが、第1ルーメンに供給されて第2ルーメンに流れる流体の灌流により流体の流出および流入を抑制することができれば、当該採血針を備える構成に限定されず、例えば、二重管構造を備えるチューブにより流出入抑制部を構成してもよい。
【0096】
また、採血針の外管および内管と、第1チューブおよび第2チューブとをそれぞれ連結する構成は、互いに嵌合して接続可能な採血針のハブと接続部とを設ける構成に限定されず、例えば、第1チューブおよび第2チューブを外管および内管にそれぞれ直線的にねじ込むことによって連結してもよい。
【0097】
また、カテーテルデバイスが備える供給ポンプ、吸引ポンプ、切り替え弁の配置や数は特に限定されず、適宜変更可能である。
【0098】
本出願は、2016年5月18日に出願された日本国特許出願第2016−099758号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。