(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、ポインティングスティックは、各キートップ等の取付板となる支持プレートの下面側に配置されたブラケット部材で支持されている。なお、この構成では、ポインティングスティックを上下動可能に構成しているため、ブラケット部材は、上下動可能な構成となっている。しかしながら、ポインティングスティックが上下動しない構成では、通常、ブラケット部材はベースプレートに対してねじ止めで固定される。
【0005】
ところで、仮に、支持プレートにブラケット部材を固定するねじが、支持プレートの上面よりも上方に突出してキートップに干渉する場合、十分なキーストロークの確保が難しい。また、ねじが、支持プレートの下面よりも下方に突出した場合には、キーボード装置の下に配置されるマザーボード等と干渉する懸念がある。そこで、従来は、キーボード装置をある程度厚くし、或いはキーボード装置の設置スペースをある程度大きく確保することで、ねじとキートップやマザーボード等との干渉を回避していた。このため、キーボード装置が厚くなり、電子機器の筐体の薄型化が阻害されていた。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ポインティングスティックを備えた構成であってもキーボード装置及び筐体を薄型化することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、キーボード装置を備える電子機器であって、支持プレートと、前記支持プレートの上面側で上下動可能に支持され、前後方向及び左右方向に並んで設けられた複数のキートップと、前記支持プレートの上面側に設けられ、複数の前記キートップで周囲が囲まれたポインティングスティックと、前記支持プレートの下面側に設けられ、前記ポインティングスティックを支持したブラケット部材と、前記支持プレートの板厚方向に向かって取り付けられ、前記ブラケット部材を前記支持プレートに対して固定するねじと、を備え、前記ねじの頭部又は先端部は、前記支持プレートの上面よりも上方に突出し、隣接する前記キートップ間の隙間に配置されている。
【0008】
このような構成によれば、ポインティングスティックを支持したブラケット部材を支持プレートに固定するためのねじは、その頭部又は先端部が支持プレートの上面よりも上方に突出した位置に配置される。これにより、ねじは、その先端部又は頭部がブラケット部材の下面から下に突出しない位置で、取付孔に対して確実に固定可能な噛合長を確保できる。このため、ねじの先端部がブラケット部材の下面から下に突出し、その下に配置される基板等の他の部品に干渉することを防止でき、装置を薄型化できる。しかも、ねじは、キートップに干渉することも防止されるため、キートップのキーストロークを十分に確保しつつ、キーボード装置全体での薄型化を図ることができる。
【0009】
さらに、各キートップ間の隙間を埋めるように配置されることで前記キートップ同士を区画すると共に、その下面が前記支持プレートの上面に当接するように設けられたフレームを備え、前記フレームは、前記ねじの前記頭部又は前記先端部と重なる位置に、前記下面の一部を上面側へと凹ませた逃げ部を有する構成としてもよい。そうすると、ねじは、支持プレートの上面でフレームによって隠されるため、ねじが外観上に露出することを防止でき、高い外観品質が得られる。しかも、フレームは、ねじの頭部又は先端部と重なる位置に逃げ部を有するため、フレームがねじに干渉することもない。
【0010】
前記ねじは、前記ポインティングスティックを跨ぐように左右一対設けられ、前記ブラケット部材は、前記ねじを取り付けるための一対の取付孔と、前記支持プレートに設けられた被係合部に係合する係合部と、を有し、前記係合部は、前記一対の取付孔をそれぞれ第1頂点及び第2頂点とし、且つ該一対の取付孔間を結ぶ辺を底辺とする三角形の第3頂点となる位置に設けられた構成としてもよい。そうすると、ブラケット部材は、3点の固定点でバランスよく支持プレートに固定されるため、ポインティングスティックの入力を検出するセンサの検出精度が向上する。しかも、ブラケット部材の取付作業は、例えば係合部を被係合部に係合させた後、2本のねじを取付孔に取り付けるだけでよいため、効率的である。
【0011】
前記係合部は、前記被係合部に対して前記前後方向及び前記左右方向に対して位置決めされた状態で係合する構成としてもよい。そうすると、ブラケット部材は、その取付作業時、係合部を被係合部に係合させるだけで水平方向に位置決めされるため、取付作業の効率が一層向上する。しかも、係合部が、ポインティングスティックの操作時の荷重によって位置ずれすることも防止できる。
【0012】
前記三角形は、少なくとも前記第1頂点と前記第3頂点とを結ぶ辺、及び前記第2頂点と前記第3頂点とを結ぶ辺の長さが同一であり、前記ポインティングスティックは、平面視で前記三角形の内側の領域内であって、前記第3頂点を通過する前記底辺に対する垂線に重なる位置に配置された構成としてもよい。そうすると、ポインティングスティックが、一対の取付孔及び係合部を固定点とする形成されるブラケット部材の重心に略一致して配置される。このため、ポインティングスティックの操作時の負荷がブラケット部材に均等に付与されるため、センサによるポインティングスティックの操作検出精度が一層向上する。
【0013】
前記ブラケット部材は、前記取付孔よりも前記係合部に近接した位置の強度を低下させることで、前記ポインティングスティックの操作時に前記係合部に付与される応力を分散させる応力分散構造部を有する構成としてもよい。そうすると、係合部が応力集中を受けて被係合部から脱落するような不具合の発生を防止できる。
【0014】
前記ブラケット部材は、前記一対の取付孔が前記係合部よりも前側となる位置に配置され、前記ポインティングスティックに電気的に接続される配線が、前記ブラケット部材の前縁部に接続された構成としてもよい。そうすると、係合部が配線接続部を邪魔することがなく、配線を所望の方向に容易に引き延ばすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、ポインティングスティックを備えた構成であってもキーボード装置やこれを搭載した筐体を薄型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、一実施形態に係る電子機器10の平面図である。
図1に示すように、本実施形態では、左右のヒンジ12を介してディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して回動可能に連結したノート型PCである電子機器10を例示する。
【0019】
以下、電子機器10について、
図1に示すように本体筐体16からディスプレイ筐体14を開いて使用形態とした状態を基準とし、ディスプレイ18を視認しながらキーボード装置20を操作する使用者から見た方向で、手前側を前、奥側を後と呼び、本体筐体16の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0020】
ディスプレイ筐体14は、薄い箱状の筐体であり、例えば液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ18を備える。ヒンジ12は、ディスプレイ筐体14の下端部と本体筐体16の後端部との間を連結している。
【0021】
本体筐体16は、ディスプレイ筐体14よりは厚みのある薄い箱状の筐体である。本体筐体16の内部には、マザーボード等の基板22(
図5参照)、基板22に実装される演算装置やメモリ等の各種電子部品、バッテリ装置、冷却装置等が収納されている。
【0022】
キーボード装置20は、本体筐体16の上面16aに設けられている。キーボード装置20は、前後方向及び左右方向に並ぶように配列された複数のキートップ24を備える。各キートップ24は、周囲の隙間Cがフレーム26によって埋められている。本実施形態のキーボード装置20は、隣接するキートップ24間がフレーム26によって区画され、それぞれが独立した構成からなるアイソレーション型の構造である。フレーム26は、各キートップ24が上下動可能に挿入される複数の孔部が形成された網目状のプレートである。フレーム26は、本体筐体16の上面16aを形成するカバー部材と一体成形であってもよく、このカバー部材と別体に構成されて連結されたものでもよい。
【0023】
キーボード装置20は、略中央にポインティングスティック28を有する。ポインティングスティック28は、ディスプレイ18に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するための入力装置であり、マウスの代わりとして操作できる。
【0024】
キーボード装置20の前側にはタッチパッド29が設けられている。タッチパッド29は、ディスプレイ18に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するための入力装置である。タッチパッド29の後側には、ポインティングスティック28又はタッチパッド29によるカーソル操作と連係して機能する3つの機能ボタン30が設けられている。
【0025】
図2は、キーボード装置20のポインティングスティック28及びその周辺部を拡大し、フレーム26を省略した平面図である。
図3は、キーボード装置20の模式的な底面図である。
【0026】
図2に示すように、ポインティングスティック28は、平面視円形状の部材である。ポインティングスティック28は、各キートップ24間の隙間Cのうち、例えば左右一対のキートップ24,24間に形成されて前後方向に延びた隙間C1と、前後のキートップ24,24間に形成されて左右方向に延びた隙間C2とが交差する位置に配置されている。つまり、本実施形態のポインティングスティック28は、隙間CがT字状に交差する位置に配置され、周囲の3個のキートップ24の一部を円形に切り欠いた位置に配置されている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、キーボード装置20は、各キートップ24の取付板となる支持プレート32を有する。ポインティングスティック28は、支持プレート32の下面32aに取り付けられたブラケット部材34に支持され、支持プレート32の上面32bから上方に突出している(
図5参照)。
図3に示すように、支持プレート32は、その下面32aの各所を貫通した取付ねじ36によってフレーム26にねじ止め固定されている。
図3中の参照符号32cは、支持プレート32の前縁部の略中央部を前側に張り出させた膨出部であり、上記した各機能ボタン30の取付板となる部分である。
【0028】
本実施形態の場合、ブラケット部材34は、ねじ38が取り付けられる左右一対の取付孔40a,40bと、支持プレート32に形成された被係合部42に係合する係合部44とを用いて支持プレート32に取り付けられる。
【0029】
そこで、次に、ブラケット部材34の構成、及びブラケット部材34を用いたポインティングスティック28の支持プレート32に対する取付構造を説明する。
図4は、
図3に示すブラケット部材34及びその周辺部を拡大した底面図である。
図5は、キーボード装置20の縦断面構造を模式的に示した要部拡大断面図である。
図6は、係合部44及び被係合部42を拡大した斜視図である。
図7Aは、
図6に示す係合部44及び被係合部42の底面図である。
図7Bは、
図7A中のVIIB−VIIB線に沿う断面図である。
【0030】
図5に示すように、支持プレート32は、ベースプレート46と、ベースプレート46の上面に積層されたメンブレンシート47と、ベースプレート46の下面に積層されたライトガイドプレート48とで構成された3層構造のプレートである。支持プレート32は、3層構造以外であってもよい。
【0031】
ベースプレート46は、薄いステンレス板やアルミニウム板等の金属板に切り起こし成形や打ち抜き成形を施したものである。支持プレート32は、ベースプレート46がキートップ24及びポインティングスティック28(ブラケット部材34)の取付板となる。メンブレンシート47は、例えば押圧された場合に接点が閉じる三層構造のスイッチシートである。メンブレンシート47は、固定接点及び可動接点が重なる位置が押圧された場合に、固定接点と可動接点とが密着することで接点を閉じるものである。メンブレンシート47は、3層構造以外、例えばゴム製の導電部が回路を短絡させる接触スイッチを用いた構造等でもよい。メンブレンシート47は各所に貫通孔を有し、この貫通孔の一部を通してガイド機構49がベースプレート46の上面に取り付けされている。キートップ24は、ガイド機構49のガイド作用下に上下動し、下降した場合に図示しないラバードームを介してメンブレンシート47のスイッチをオンする。メンブレンシート47は、ベースプレート46の下面側に積層されてもよい。ライトガイドプレート48は、LED素子等の光源から発せられた光を導光して反射することにより、各キートップ24を下面側から照射する。ライトガイドプレート48は省略してもよく、代わりに防水シートを設けてもよい。
【0032】
図4及び
図5に示すように、ブラケット部材34は、支持プレート32の下面32a側に固定されている。ブラケット部材34は、薄いステンレス板やアルミニウム板等の金属板であり、平面視で後側に向かって幅狭に形成された略釣鐘形状である。ブラケット部材34は、一対の取付孔40a,40bと、係合部44と、開口部50とを有する。
【0033】
取付孔40a,40bは、それぞれブラケット部材34の前側で左右端部寄りの位置に設けられており、互いに左右方向に並んでいる。ブラケット部材34は、上面34aから上方に起立した円筒部40cを有する。円筒部40cは、例えばブラケット部材34の下面34b側から上面34a側に向かうバーリング加工等によって形成される。取付孔40a,40bは、円筒部40cを貫通するように形成され、その内周面にねじ38を螺合可能な雌ねじが形成されている。
【0034】
係合部44は、ブラケット部材34の先細りに形成された後縁部に設けられている。
図4、
図6〜
図7Bに示すように、係合部44は、後側に突出した板片部44aと、板片部44aの後端面を前側に凹ませた係合凹部44bとを有する。
図7Aに示すように、係合凹部44bは、左右の側壁44c,44cと、側壁44c,44c間に設けられた突起44dとで形成されている。各側壁44cは、係合凹部44bの奥側に向かって次第に互いに近接する方向へと傾斜角度が段階的に変化した端面である。このため、係合凹部44bは、左右の側壁44c,44c間の幅が奥側に向かって次第に幅狭となっている。突起44dは、係合凹部44bの底部の端面の左右中央部を開口側(後側)に向かって突出させた台形状の凸部である。
【0035】
ここで、
図4に示すように、取付孔40a,40bの中心をそれぞれ第1頂点T1、第2頂点T2と称し、係合部44の突起44dの先端面の左右中心位置を第3頂点T3と称する。そして、各頂点T1〜T3を線分で結ぶと三角形T(
図4中の1点鎖線参照)を形成できる。本実施形態の場合、三角形Tは、第1頂点T1と第3頂点T3とを結ぶ辺と、第2頂点T2と第3頂点T3とを結ぶ辺とが、同一の長さを有する2等辺三角形となっている。つまり三角形Tは、第1頂点T1と第2頂点T2とが左右方向に並んで配置され、その間を繋ぐ辺を底辺とした2等辺三角形を形成している。そして、この底辺に対する垂線Pは、第3頂点T3と、ポインティングスティック28の中心Oとを通過している。
【0036】
また、第1頂点T1及び第2頂点T2は、ポインティングスティック28の中心Oよりも前側に配置され、第3頂点T3は中心Oよりも後側に配置されている。つまり、ポインティングスティック28の中心Oは、三角形Tの内側の領域内、具体的には三角形Tの重心に略一致した位置に配置されている。
【0037】
開口部50は、ブラケット部材34の係合部44に近接した位置に設けられた繰り抜き状の孔部である。本実施形態の場合、開口部50は、ブラケット部材34の後端部の先細り形状に合わせた台形状となっている。ブラケット部材34は、開口部50が設けられることにより、取付孔40a,40bが形成された前側部分よりも、係合部44が形成された後側部分の強度(剛性)が低下している。これにより、開口部50は、ポインティングスティック28の操作時に係合部44に付与される応力を分散される応力分散構造部として機能する。その結果、係合部44が応力集中を受けて被係合部42から脱落するような不具合の発生をより確実に防止できる。
【0038】
図4及び
図5に示すように、ブラケット部材34の上面34aには、センサ基板52を介してポインティングスティック28が支持されている。センサ基板52は、ポインティングスティック28の制御基板である。ポインティングスティック28は、センサ基板52に電気的に接続され、且つ固定されたモジュール構造である。センサ基板52には、例えば平面視で中心にあるポインティングスティック28の前後左右のそれぞれに荷重センサ52aが設けられている。各荷重センサ52aは、ポインティングスティック28に対する水平方向(前後左右斜め方向)への入力操作に対する操作荷重を検出可能なセンサである。
【0039】
図3及び
図4に示すように、ブラケット部材34は、取付孔40a,40b間で前側へと張り出した台形状の前縁部に配線54が接続されている。配線54は、例えばセンサ基板52の制御信号や電源供給に用いられるフレキシブル基板である。配線54は、一端がセンサ基板52を介してポインティングスティック28と電気的に接続され、他端が支持プレート32の下面32aに沿って前側へと延在して基板22等と電気的に接続される。配線54は、例えば支持プレート32の膨出部32cの下面32a側から基板22へと接続されることで、本体筐体16内で効率よく配策される。つまりブラケット部材34は、係合部44を後縁部に設けることで、
図3に示すように取付孔40a,40b及び係合部44を隙間Cに確実に配置し、その外形を最小限の大きさに制限しつつ、配線54の円滑な接続も可能となっている。
【0040】
図5〜
図7Bに示すように、支持プレート32は、取付孔40a,40bに重なる位置に貫通孔32dを有し、係合部44と係合可能な位置に被係合部42を有する。
【0041】
図5に示すように、貫通孔32dは、支持プレート32を板厚方向に貫通しており、その内側にブラケット部材34の円筒部40cが挿入される。ベースプレート46は、絞り加工等によって上向きに膨出した皿状のフランジ部46aを有する。フランジ部46aは、上面46bがメンブレンシート47に形成された孔部を通して支持プレート32の上面32bよりも上方に突出している。フランジ部46aの上面46bには、ねじ38の頭部38aが当接している。ねじ38は、ねじ部38bが取付孔40a,40bに螺合すると共に、その先端部が取付孔40a,40b内に収まっている。このようにフランジ部46aは、ねじ38の締結部として機能する。フランジ部46aは、さらに、貫通孔32d内で円筒部40cをより強固に保持する機能も有する。
【0042】
上記したように、ねじ38は、平面視で各キートップ24間の隙間C(C2)に配置されている(
図3参照)。このため、ねじ38の頭部38aは、支持プレート32の上面32bに配置されてはいるが、各キートップ24の上下動に干渉することがない。
【0043】
図5及び
図8に示すように、フレーム26は、ねじ38に重なる位置に逃げ部26aを有する。フレーム26は、隙間Cに配置される部分は、原則としてその下面26bが支持プレート32の上面32bに当接し、取付ねじ36によって支持プレート32と締結される。但し、フレーム26は、ねじ38に対応する部分には、下面26bを上面26c側へと凹ませた逃げ部26aを有し、ねじ38の頭部38aとの干渉を回避している。本実施形態の場合、逃げ部26aは、
図5及び
図8に示すような凹状部となっている。フレーム26は、例えば
図5中に2点鎖線で示すカット線26dより下の部分26eを切除した構成としてもよい。この構成の場合、逃げ部26aは、ポインティングスティック28側が開放端で形成され、支持プレート32の上面32bに当接しない構成となる。
【0044】
図6〜
図7Bに示すように、被係合部42は、ベースプレート46の一部を下面32a側に切り起こし、前側へと屈曲させた側面視略L字状のフックである。被係合部42は、ライトガイドプレート48に形成された孔部48aを通り、支持プレート32の下面32aの下方に突出している。被係合部42は、ベースプレート46から下方に起立した受け板部42aと、受け板部42aの下端から前側に屈曲して延びた押え板部42bとを有する。
【0045】
被係合部42に係合部44を係合させる際には、被係合部42の前側から係合部44を挿入する。そうすると、係合部44は、突起44dの先端面が被係合部42の受け板部42aの前面に突き当る。このため、ブラケット部材34は前後方向で位置決めされる(
図7A及び
図7B参照)。同時に、係合部44は、係合凹部44bの左右の側壁44c、具体的には側壁44cの傾斜角度が変化する段部44eが、被係合部42の受け板部42aの左右端面に突き当たる。このため、ブラケット部材34は左右方向にも位置決めされる(
図7A参照)。この際、係合部44は、その下面44fが被係合部42の押え板部42bから押圧されて保持される。その結果、係合部44が、被係合部42に対して前後方向及び左右方向に位置決めされた状態で係合する。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10は、ポインティングスティック28を支持するブラケット部材34が支持プレート32の下面32a側にねじ38を用いて固定されている。そして、ねじ38の頭部38aは、支持プレート32の上面32bよりも上方に突出し、隣接するキートップ24間の隙間Cに配置されている。
【0047】
このように、ねじ38は、頭部38aが支持プレート32の上面32bよりも上方に突出した位置に配置される。これにより、ねじ38は、その先端部(下端部)がブラケット部材34の下面34bから下に突出しない位置で、取付孔40a,40bに対して確実に固定可能な噛合長を確保できる。このため、ねじ部38bの先端部がブラケット部材34の下面34bから下に突出し、その下の基板22等に干渉することを防止でき、本体筐体16を薄型化できる。しかも、ねじ38は、キートップ24に干渉することも防止されるため、キートップ24のキーストロークを十分に確保しつつ、キーボード装置20全体での薄型化を図ることができる。この際、取付孔40a,40bは、ブラケット部材34に形成した上向きの円筒部40cに雌ねじを設けた構成であるため、取付孔40a,40bが下面34bから下に突出することも防止できる。
【0048】
当該電子機器10では、さらに、各キートップ24間の隙間Cを埋めるフレーム26を有するため、ねじ38の頭部38aが外観上に露出することを防止でき、高い外観品質が得られる。この際、フレーム26は、ねじ38の頭部38aと重なる位置に逃げ部26aを有するため、フレーム26がねじ38に干渉することもない。
【0049】
当該電子機器10では、ブラケット部材34は、取付孔40a,40b及び係合部44を用いて支持プレート32に取り付けられる。そして、係合部44は、取付孔40a,40bをそれぞれ第1頂点T1及び第2頂点T2とし、且つ取付孔40a,40b間を結ぶ辺を底辺とする三角形の第3頂点T3となる位置に設けられている。このため、ブラケット部材34は、3点の固定点でバランスよく支持プレート32に固定され、荷重センサ52aによる検出精度が向上する。しかも、ブラケット部材34の取付作業は、例えば係合部44を被係合部42に係合させた後、2本のねじ38を取付孔40a,40bに取り付けるだけでよいため、効率的である。
【0050】
この際、係合部44は、被係合部42に対して前後方向及び左右方向に対して位置決めされた状態で係合する。これにより、ブラケット部材34は、その取付作業時、係合部44を被係合部42に係合させるだけで水平方向に位置決めされるため、取付作業の効率が一層向上する。しかも、係合部44が、ポインティングスティック28の操作時の荷重によって位置ずれすることも防止できる。
【0051】
当該電子機器10では、ポインティングスティック28は、平面視で三角形Tの内側の領域内であって、係合部44の第3頂点T3を通過する底辺に対する垂線Pに重なる位置に配置されている。これにより、ポインティングスティック28が、取付孔40a,40b及び係合部44で形成される三角形状のブラケット部材34の重心に略一致して配置される。このため、ポインティングスティック28の操作時の負荷がブラケット部材34に均等に付与されるため、荷重センサ52aによるポインティングスティック28の操作検出精度が向上する。
【0052】
図9は、変形例に係るキーボード装置20Aの縦断面構造を模式的に示した要部拡大断面図である。
【0053】
図9に示すキーボード装置20Aは、
図5に示すキーボード装置20と比べて、ねじ38の締結方向が上下逆であり、ねじ38を螺合させる雌ねじが、ブラケット部材34の取付孔40a,40bではなく、ベースプレート46に形成されている。
【0054】
キーボード装置20Aのブラケット部材34には、絞り加工等によって上向きに膨出した皿状のフランジ部34cが形成され、このフランジ部34cに取付孔40a,40bが形成されている。フランジ部34cは、ブラケット部材34の下面34b側に円形の凹部34dを形成している。ねじ38の頭部38aは、この凹部34d内に収納され、フランジ部34cの下面に当接している。
【0055】
キーボード装置20Aのベースプレート46には、下面32a側から上面32b側に向かってバーリング加工することで形成され、上面32bから上方に起立した円筒部46cが形成されている。貫通孔32dは、円筒部46cを貫通するように形成されている。円筒部46cの内周面には、ねじ38が螺合する雌ねじが形成されている。
図9に示す構成例では、ベースプレート46は、ブラケット部材34のフランジ部34cを避けるために上向きに膨出させたフランジ部46dの中心に円筒部46cを設けている。フランジ部34cの形状等によっては、フランジ部46dは省略してもよい。ねじ38は、ねじ部38bが円筒部46cに螺合すると共に、その先端部が円筒部46c内に収まっている。
【0056】
このように、キーボード装置20Aのねじ38は、ねじ部38bの先端部が支持プレート32の上面32bよりも上方に突出した位置に配置される。これにより、ねじ38は、その頭部38a(下端部)がブラケット部材34の下面34bから下に突出しない位置で、取付孔40a,40bに対して確実に固定可能な噛合長を確保できる。このため、頭部38aがブラケット部材34の下面34bから下に突出し、その下の基板22等に干渉することを防止でき、本体筐体16を薄型化できる。この際、頭部38aは、ブラケット部材34の凹部34d内に収納されるため、下面34bから下に突出することをより確実に防止できる。しかも、ねじ38は、キートップ24に干渉することも防止されるため、キートップ24のキーストロークを十分に確保しつつ、キーボード装置20全体での薄型化を図ることができる。
【0057】
なお、
図5に示すキーボード装置20では、ベースプレート46にねじ38が螺合するねじ穴を設ける必要がないため、
図9に示すキーボード装置20Aよりもベースプレート46を薄型化し、結果として装置全体を薄型化することができる。すなわち、
図9に示すように、雌ねじを持った円筒部46cを形成するためには、ベースプレート46は、例えば0.3mm以上の板厚の金属板で構成する必要がある。これに対して、
図5に示すように、雌ねじを持った円筒部40cをブラケット部材34に形成する場合、ベースプレート46は、例えば0.2mm以下の板厚の金属板で構成することができる。但し、
図9に示すキーボード装置20Aでは、ブラケット部材34を取り付ける際、係合部44を下面32a側で係合させた後、そのまま下面32a側からねじ38を締結できるため、組立作業効率がよいという利点がある。
【0058】
なお、本発明は、上記した開示内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0059】
上記では、ブラケット部材34は、一対のねじ38,38と、係合部44とによって支持プレート32に固定される構成を例示したが、例えば3つの頂点T1〜T3を全てねじ38によって固定してもよい。
【解決手段】電子機器10は、支持プレート32と、支持プレート32の上面32b側で上下動可能に支持され、前後方向及び左右方向に並んで設けられた複数のキートップ24と、支持プレート32の上面32b側に設けられ、複数のキートップ24で周囲が囲まれたポインティングスティック28と、支持プレート32の下面32a側に設けられ、ポインティングスティック28を支持したブラケット部材34と、支持プレート32の板厚方向に向かって取り付けられ、ブラケット部材34を支持プレート32に対して固定するねじ38と、を備える。ねじ38の頭部38aは、支持プレート32の上面32bよりも上方に突出し、隣接するキートップ24間の隙間Cに配置されている。