(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パンチプレス等の加工機の長時間の自動運転を行うために、搬入出システムが用いられている。そして、従来の搬入出システムの構成について簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
加工機の搬入出側には、搬入出システムの第1動作領域として、製品を集積するための製品集積領域が形成されている。製品集積領域における水平方向であるY軸方向の一方側には、搬入出システムの第2動作領域として、素材等の段取りを行うための段取り領域が形成されている。また、製品集積領域におけるY軸方向の他方側には、搬入出システムの第3動作領域として、素材の一枚取りを行うための一枚取り領域が形成されている。一枚取り領域におけるY軸方向の他方側には、搬入出システムの第4領域として、スケルトンを集積するためのスケルトン集積領域が形成されている。
【0004】
搬入出システムは、素材を積載する素材パレットを備えており、素材パレットは、一枚取り領域と段取り領域との間でY軸方向へ移動可能である。搬入出システムは、製品を集積する製品パレットを備えており、製品パレットは、製品集積領域と段取り領域との間でY軸方向へ移動可能である。搬入出システムは、スケルトンを集積するスケルトンパレットを備えており、スケルトンパレットは、スケルトン集積領域と段取り領域との間でY軸方向へ移動可能である。
【0005】
一枚取り領域内には、素材パレットに積載された素材の一枚取りを行う一枚取り機構が設けられている。また、搬入出システムは、素材及びスケルトンのいずれかを支持する移動テーブルを備えており、移動テーブルは、製品集積領域と一枚取り領域とスケルトン集積領域との間でY軸方向へ移動可能である。
【0006】
搬入出システムは、Y軸方向へ走行可能(移動可能)な走行リフタを備えている。走行リフタは、素材パレットを一枚取り領域と段取り領域との間でY軸方向へ移送する。走行リフタは、製品パレットを製品集積領域と段取り領域との間でY軸方向へ移送する。走行リフタは、スケルトンパレットをスケルトン集積領域と段取り領域との間でY軸方向へ移送する。
【0007】
搬入出システムは、素材パレットを一枚取り領域と段取り領域との間でY軸方向へ移送する際に、製品パレットが走行リフタと干渉しない所定の高さ位置で待機するように構成されている。また、搬入出システムは、スケルトンパレットをスケルトン集積領域と段取り領域との間でY軸方向へ移送する際に、素材パレット及び製品パレットが走行リフタと干渉しない所定の高さ位置で待機するように構成されている。
【0008】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に示すものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前述のように、搬入出システムには、動作領域として、段取り領域、製品集積領域、一枚取り領域、及びスケルトン集積領域をY軸方向に沿って形成する必要がある。換言すれば、搬入出システムには、Y軸方向に沿って並んだ4つの動作領域を形成する必要がある。そのため、搬入出システムの平面的な設置スペースが大きくなって、工場のスペースの有効利用を図ることが困難になる。
【0011】
また、素材の段取り(供給)、製品の段取り(回収)、及びスケルトンの段取(回収)りを行うために、前述のように、搬入出システムは素材パレット等をY軸方向へ移送する走行リフタを構成要素としている。走行リフタは非常に高価であり、走行リフタに用いられる油圧配管等がY軸方向へ移動する。そのため、搬入出システムの製造コストが増大すると共に、搬入出システムのメンテナンスに手間がかかる。
【0012】
つまり、搬入出システムの平面的な設置スペースを小さくして、工場のスペースの有効利用を図りつつ、搬入出システムの製造コスト及びメンテナンスの手間を低減することが困難であるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、前述の問題を解決するため、動作領域を1つ削減すると共に、走行リフタを用いることなく、素材等の段取りを行うことができる、搬入出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施態様に係る搬入出システムは、加工機の搬入出側の第1動作領域における水平方向であるY軸方向の一方側に形成した第2動作領域に設けられ、素材を積載する素材積載部と、前記第1動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移動可能であって、素材から取り出した製品を集積する製品パレットと、前記第2動作領域におけるY軸方向の他方側に形成した第3動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移動可能であって、端材(残材)としてのスケルトンを集積するスケルトンパレットと、を備えている。なお、前記第3動作領域が前記第2動作領域におけるY軸方向の他方側に位置していれば、前記第1動作領域におけるY軸方向の一方側に位置してもよい。本発明の実施態様に係る搬入出システムは、前記第2動作領域における前記素材積載部の上方に設けられ、前記素材積載部に積載された素材の一枚取りを行う一枚取り機構と、Y軸方向に沿って循環走行可能であって、前記製品パレットを前記第1動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移送しかつ前記スケルトンパレットを前記第3動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移送する無端状の移送チェーンと、を備えている。本発明の実施態様に係る搬入出システムは、前記スケルトンパレットを前記第3動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移送する際に、前記製品パレットが前記移送チェーンから離脱して前記移送チェーンの上側で待機するように構成されている。又は、本発明の実施態様に係る搬入出システムは、前記製品パレットを前記第1動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移送する際に、前記スケルトンパレットが前記移送チェーンから離脱して前記移送チェーンの上側で待機するように構成されている。
【0015】
ここで、前記第1動作領域が前記加工機の搬入出側に位置し、前記製品パレットが前記第1動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移動可能であることから、前記第1動作領域が製品を集積するための製品集積領域になる。前記第2動作領域が3つの動作領域の中で最もY軸方向の一方側に位置し、前記第2動作領域における前記素材積載部の上方に前記一枚取り機構が設けられることから、前記第2動作領域が素材等の段取り及び素材の一枚取りを行うための段取り・一枚取り領域になる。前記スケルトンパレットが前記第3動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移動可能であることから、前記第3動作領域がスケルトンを集積するためのスケルトン集積領域になる。
【0016】
本発明の実施態様に係る搬入出システムでは、前記移送チェーンに第1被係止部及び第2被係止部が間隔を置いて設けられ、前記製品パレットに前記移送チェーンの前記第1被係止部に係止する第1フックが設けられ、前記スケルトンパレットに前記移送チェーンの前記第2被係止部に係止する第2フックが設けられてもよい。
【0017】
本発明の実施態様に係る搬入出システムは、前記第1動作領域又は前記第3動作領域に設けられ、前記製品パレット又は前記スケルトンパレットを昇降させるリフタと、前記第1動作領域又は前記第3動作領域に設けられ、前記製品パレット又は前記スケルトンパレットを前記移送チェーンの上側で待機させるパレット待機部材と、を備えてもよい。
【0018】
本発明の実施態様に係る搬入出システムは、前記第1動作領域と前記第2動作領域と前記第3動作領域との間にY軸方向へ移動可能であって、素材及びスケルトンのいずれかを支持する移動テーブルと、前記第3動作領域からのスケルトンのY軸方向の一方側の移動を規制するストッパ部材と、を備えてもよい。
【0019】
本発明の実施態様によると、前述のように、前記搬入出システムにおいては、前記第2動作領域が前記段取り・一枚取り領域になる。そのため、前記搬入出システムには動作領域として前記段取り・一枚取り領域、前記製品集積領域、及び前記スケルトン集積領域を形成すれば足りる。換言すれば、前記搬入出システムにはY軸方向に沿って並んだ3つの動作領域を形成すれば足り、前記搬入出システムの動作領域を1つ削減することができる。
【0020】
また、前述のように、前記第2動作領域である前記段取り・一枚取り領域に前記素材積載部が設けられている。前記搬入出システムが前記製品パレット及び前記スケルトンパレットをY軸方向へ移送する前記移送チェーンを備えている。前記搬入出システムは、前記スケルトンパレットを前記第3動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移送する際に、前記製品パレットが前記移送チェーンから離脱して前記移送チェーンの上側で待機するように構成されている。又は、前記搬入出システムは、前記製品パレットを前記第1動作領域と前記第2動作領域との間でY軸方向へ移送する際に、前記スケルトンパレットが前記移送チェーンから離脱して前記移送チェーンの上側で待機するように構成されている。そのため、走行リフタを用いることなく、素材の段取り(供給)、製品の段取り(回収)、及びスケルトンの段取り(回収)を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、前記搬入出システムの平面的な設置スペースを小さくして、工場のスペースの有効利用を図りつつ、前記搬入出システムの製造コスト及びメンテナンスの手間を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態及び他の実施形態について
図1から
図12を参照して説明する。
【0024】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。「X軸方向」とは、水平方向の1つであり、本発明の実施形態では、左右方向のことをいう。「Y軸方向」とは、X軸方向に直交する水平方向のことであり、本発明の実施形態では、前後方向のことをいう。「素材の段取り」とは、素材の供給を含む意である。「製品の段取り」とは、製品の回収を含む意であり、「スケルトンの段取り」とは、スケルトンの回収を含む意である。また、図面中、「FF」は前方向、「FR」は後方向、「L」は左方向、「R」は右方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0025】
(本発明の実施形態)
図1から
図4に示すように、本発明の実施形態に係る搬入出システム10は、板状の素材(板金)Wを加工機としてのパンチプレス12に搬入し、かつ素材Wから取り出した製品M及び端材としてのスケルトンSをパンチプレス12から搬出するシステムである。搬入出システム10は、パンチプレス12の長時間の自動運転を行うために用いられる。そして、搬入出システム10の具体的な構成は、以下の通りである。
【0026】
パンチプレス12の搬入出側(左側)には、箱枠状の第1固定フレーム14が設けられている。第1固定フレーム14は、パンチプレス12の搬入出側に立設された複数の支柱部材16と、適宜の支柱部材16の間に一体的に連結されかつX軸方向又はY軸方向に延びた複数のビーム部材18とを有している。また、第1固定フレーム14内には、搬入出システム10の第1動作領域として、製品Mを集積するための製品集積領域A1が形成されている。換言すれば、パンチプレス12の搬入出側には、製品集積領域A1が形成されている。
【0027】
第1固定フレーム14におけるY軸方向の一方側(後側)には、箱枠状の第2固定フレーム20が設けられている。第2固定フレーム20は、第1固定フレーム14におけるY軸方向の一方側に立設せれた複数の支柱部材22と、適宜の支柱部材22の間に一体的に連結されかつX軸方向又はY軸方向に延びた複数のビーム部材24とを有している。また、第2固定フレーム20内には、搬入出システム10の第2動作領域として、素材W等の段取り及び素材Wの一枚取りを行うための段取り・一枚取り領域A2が形成されている。換言すれば、製品集積領域A1におけるY軸方向の一方側には、製品集積領域A1が形成されている。
【0028】
第1固定フレーム14におけるY軸方向の他方側(前側)には、箱枠状の第3固定フレーム26が設けられている。換言すれば、第2固定フレーム20におけるY軸方向の他方側(前方)には、第3固定フレーム26が設けられている。第3固定フレーム26は、第1固定フレーム14におけるY軸方向の他方側に立設された複数の支柱部材28と、適宜の支柱部材28の間に一体的に連結されかつX軸方向又はY軸方向に延びた複数のビーム部材30とを有している。また、第2固定フレーム20内には、搬入出システム10の第3動作領域として、スケルトンSを集積するためのスケルトン集積領域A3が形成されている。換言すれば、製品集積領域A1におけるY軸方向の他方側には、スケルトン集積領域A3が形成されている。
【0029】
第2固定フレーム20内の段取り・一枚取り領域A2の底部には、素材を積載する素材積載部32が設けられている。なお、素材積載部32に素材Wを積載する素材パレット(図示省略)を設けてもよい。換言すれば、素材積載部32が素材パレットを介して素材Wを積載してもよい。
【0030】
第2固定フレーム20内の後端側から第3固定フレーム26内の前端側にかけて、Y軸方向に延びた一対のパレットガイド34が設けられており、一対のパレットガイド34は、X軸方向に離隔している。そして、搬入出システム10は、製品Mを集積する製品パレット36を備えており、製品パレット36は、一対のパレットガイド34に支持された状態で、製品集積領域A1と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移動可能である。搬入出システム10は、スケルトンSを集積するスケルトンパレット38を備えており、スケルトンパレット38は、一対のパレットガイド34に支持された状態で、スケルトン集積領域A3と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移動可能である。
【0031】
第2固定フレーム20内の段取り・一枚取り領域A2における素材積載部32の上方には、素材積載部32に積載された素材Wの一枚取りを行う一枚取り機構40が設けられている。一枚取り機構40は、周知の構成からなり、第2固定フレーム20に昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられたパッド支持部材42と、パッド支持部材42に設けられかつ素材Wの上面を吸着する複数の吸着パッド44とを備えている。
【0032】
第2固定フレーム20内の後端側から第3固定フレーム26内の前端側にかけて、Y軸方向に延びた一対のテーブルガイド46が設けられており、一対のテーブルガイド46は、X軸方向に離隔している。一対のテーブルガイド46は、パレットガイド34の上方に配置されている。そして、搬入出システム10は、素材W及びスケルトンSのいずれかをパスライン(搬送高さ)で支持する移動テーブル48を備えている。移動テーブル48は、一対のテーブルガイド46に支持された状態で、製品集積領域A1と段取り・一枚取り領域A2とスケルトン集積領域A3との間でY軸方向へ移動可能である。移動テーブル48の上面には、素材W等を支持するためのブラシ(図示省略)が植設されている。移動テーブル48は、第2固定フレーム20の適宜位置に設けられたテーブル用移動アクチュエータとしての移動モータ(図示省略)の起動によりY軸方向へ移動する。
【0033】
図1、
図2、及び
図5に示すように、第1固定フレーム14の前側には、スケルトン集積領域A3からのスケルトンSのY軸方向の一方側(後方向)の移動を規制するストッパ部材50が昇降可能に設けられている。ストッパ部材50は、櫛歯状に形成されており、X軸方向に延びている。ストッパ部材50は、第1固定フレーム14の適宜位置に設けられた昇降アクチュエータとしての昇降シリンダ(図示省略)の駆動により昇降する。ストッパ部材50は、その昇降動作によって、スケルトンSの移動を規制するための規制姿勢(
図1及び
図5において仮想線で示す姿勢)と、規制姿勢の高さ位置から上方向に退避した退避姿勢(
図1及び
図5において実線で示す姿勢)とに切り替わるように構成されている。
【0034】
図1から
図4に示すように、第1固定フレーム14には、素材Wをパンチプレス12に搬入しかつ製品M及びスケルトンSをパンチプレス12から搬出する搬入出機構52が設けられており、搬入出機構52は、周知の構成(特許文献2及び特許文献3参照)からなる。搬入出機構52は、第1固定フレーム14に設けられたローダガイド54を備えており、ローダガイド54は、製品集積領域A1からパンチプレス12の上方位置にかけてX軸方向に延びている。搬入出機構52は、ローダガイド54にX軸方向へ移動可能に設けられたテイクアウトローダ56を備えている。テイクアウトローダ56は、素材Wの上面及び製品Mの上面を吸着する複数の吸着パッド58と、スケルトンSの端部を把持する複数のクランプ60とを有している。複数の吸着パッド58及び複数のクランプ60は、ローダガイド54に対して昇降可能にそれぞれ構成されている。
【0035】
続いて、製品パレット36及びスケルトンパレット38をY軸方向へ移送するための構成及びそれに関連する構成について説明する。
【0036】
図1から
図3、及び
図5に示すように、第2固定フレーム20内の前端側から第3固定フレーム26内の後端側にかけて、無端状の一対の移送チェーン62が複数のスプロケット64を介してY軸方向に沿って循環走行可能に設けられている。一対の移送チェーン62は、製品パレット36を製品集積領域A1と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送しかつスケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する。一対の移送チェーン62は、X軸方向に離隔しており、パスラインの下方に位置している。また、一対の移送チェーン62は、第3固定フレーム26の適宜位置に設けられた走行アクチュエータとしての走行モータ66の駆動により同期して循環走行する。
【0037】
各移送チェーン62には、第1被係止部68及び2つの第2被係止部70が間隔を置いて設けられている。また、製品パレット36の前端部には、移送チェーン62の第1被係止部68に上方向から係脱可能に係止するU字状の一対の第1フック72が設けられており、一対の第1フック72は、X軸方向に離隔している。スケルトンパレット38の前端部及び後端部には、移送チェーン62の第2被係止部70に上方向から係脱可能に係止するU字状の一対の第2フック74がそれぞれ設けられており、各一対の第2フック74は、X軸方向に離隔している。
【0038】
第1固定フレーム14内の製品集積領域A1の底部には、製品パレット36を昇降させる固定リフタ76が設けられている。固定リフタ76は、製品パレット36の昇降動作によって製品パレット36の第1フック72を移送チェーン62の第1被係止部68に対して係脱させる。また、第1固定フレーム14内の製品集積領域A1には、製品パレット36を移送チェーン62の上側(上方)で待機させる一対のパレット待機部材78が設けられている。各パレット待機部材78は、Y軸方向に延びており、一対のパレット待機部材78は、X軸方向に離隔している。各パレット待機部材78は、第1固定フレーム14の下部側の揺動中心(図示省略)として揺動可能である。一対のパレット待機部材78は、それらの揺動動作によって、製品パレット36を支持するための支持姿勢(
図3において実線で示す姿勢)と、支持姿勢から互いにX軸方向に離反した離反姿勢(
図3において仮想線で示す姿勢)とに切り替わるように構成されている。
【0039】
ここで、スケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する際に、固定リフタ76が製品パレット36の第1フック72を移送チェーン62の第1被係止部68から離脱させて、製品パレット36をパレット待機部材78の上側まで上昇させる。そして、一対のパレット待機部材78が離反姿勢から支持姿勢に切り替わり、固定リフタ76が製品パレット36を下降させると、製品パレット36が一対のパレット待機部材78に支持され、移送チェーン62の上側で待機する。つまり、
図6及び
図7に示すように、搬入出システム10は、スケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する際に、製品パレット36が移送チェーン62から離脱して移送チェーン62の上側で待機するように構成されている。
【0040】
続いて、本発明の実施形態に係る搬入出システム10の動作について説明する。
【0041】
素材積載部32に積載された素材Wの上面を複数の吸着パッド44によって吸着することにより、一枚取り機構40による素材Wの一枚取りを行う。次に、移動テーブル48をY軸方向の一方側(後方向)へ移動させて、段取り・一枚取り領域A2に位置させる。そして、複数の吸着パッド44による吸着状態を解除することにより、一枚取り機構40から移動テーブル48に素材Wを受け渡す。更に、移動テーブル48をY軸方向の他方側(前方向)へ移動させて、製品集積領域A1に位置させる。
【0042】
移動テーブル48を製品集積領域A1に位置させた後、複数の吸着パッド58によって移動テーブル48上の素材Wの上面を吸着して、テイクアウトローダ56をX軸方向の一方側(右方向)へ移動させる。これにより、移動テーブル48上の素材Wをパンチプレス12に搬入することができ、パンチプレス12による素材Wのパンチ加工を行うことができる。
【0043】
なお、素材Wをパンチプレス12に搬入した後に、移動テーブル48をY軸方向へ移動させて、段取り・一枚取り領域A2又はスケルトン集積領域A3に位置させておく。
【0044】
素材Wのパンチ加工後に、複数の吸着パッド58によって製品Mの上面を吸着して、テイクアウトローダ56をX軸方向の他方側(左方向)へ移動させて、製品集積領域A1の製品パレット36の上方に位置させる。そして、複数の吸着パッド58による吸着状態を解除することにより、テイクアウトローダ56から製品Mを落下させて製品パレット36に集積する。製品Mを製品パレット36に集積する際に、固定リフタ76によって製品パレット36を昇降させて、製品Mの集積高さを一定に保つ。
【0045】
製品Mを製品パレット36に集積した後に、移動テーブル48をY軸方向へ移動させて、製品集積領域A1に位置させる。次に、複数のクランプ60によってスクラップSの端部を把持して、テイクアウトローダ56をX軸方向の他方側へ移動させて、移動テーブル48の上方に位置させる。そして、複数のクランプ60による把持状態を解除することにより、テイクアウトローダ56から移動テーブル48にスケルトンSを受け渡す。
【0046】
移動テーブル48にスケルトンSを受け渡した後、移動テーブル48をY軸方向の他方側へ移動させて、スケルトン集積領域A3に位置させる。次に、ストッパ部材50がその下降動作によって退避姿勢から規制姿勢に切り替わる。そして、移動テーブル48をY軸方向の一方側へ移動させて、スケルトン集積領域A3から退出させることにより、スケルトンSを移動テーブル48から切り離してスケルトンパレット38に集積する。
【0047】
なお、スケルトンSをスケルトンパレット38に集積した後、ストッパ部材50がその上昇動作によって規制姿勢から退避姿勢から規制姿勢に切り替わる。
【0048】
前述の動作を繰り返して実行することにより、所定数の製品Mを製品パレット36に集積すると共に、所定数のスケルトンSをスケルトンパレット38に集積することができる。
【0049】
素材積載部32が空になった場合には、
図1に示すように、製品パレット36を製品集積領域A1に位置させかつスケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3に位置させた状態にする。そして、段取り・一枚取り領域A2において、素材積載部32に対して素材Wの段取り(供給)を行う。
【0050】
所定数の製品Mを製品パレット36に集積した場合には、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を一方向へ循環走行させる。すると、
図8に示すように、製品パレット36が製品集積領域A1から段取り・一枚取り領域A2へ移送されかつスケルトンパレット38がスケルトン集積領域A3から製品集積領域A2に移送される。そして、段取り・一枚取り領域A2において、製品パレット36に対して製品Mの段取り(回収)を行う。
【0051】
なお、製品Mの段取り後、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を他方向へ循環走行させることにより、製品パレット36及びスケルトンパレット38を元の状態に戻しておく。
【0052】
所定数のスケルトンSをスケルトンパレット38に集積した場合には、固定リフタ76によって製品パレット36の第1フック72を移送チェーン62の第1被係止部68から離脱させて、製品パレット36をパレット待機部材78の上側まで上昇させる。次に、一対のパレット待機部材78が離反姿勢から支持姿勢に切り替わり、固定リフタ76によって製品パレット36を下降させる。すると、
図6に示すように、製品パレット36が一対のパレット待機部材78に支持され、移送チェーン62の上側で待機する。更に、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を一方向へ循環走行させる。すると、
図7に示すように、スケルトンパレット38がスケルトン集積領域A3から段取り・一枚取り領域A2に移送される。そして、段取り・一枚取り領域A2において、スケルトンパレット38に対してスケルトンSの段取り(回収)を行う。
【0053】
なお、スケルトンSの段取り後、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を他方向へ循環走行させることにより、スケルトンパレット38を元の状態に戻しておく。また、固定リフタ76によって製品パレット36を下降させることにより、製品パレット36の第1フック72を移送チェーン62の第1被係止部68に係止させて、製品パレット36を元の状態に戻しておく。
【0054】
続いて、本発明の実施形態の作用効果について説明する。
【0055】
前述のように、搬入出システム10においては、第2動作領域が段取り・一枚取り領域A2になる。そのため、搬入出システム10には動作領域として段取り・一枚取り領域A2、製品集積領域A1、及びスケルトン集積領域A3を形成すれば足りる。換言すれば、搬入出システム10にはY軸方向に沿って並んだ3つの動作領域を形成すれば足り、搬入出システム10の動作領域を1つ削減することができる。
【0056】
また、前述のように、第2動作領域である段取り・一枚取り領域A2に素材積載部32が設けられている。搬入出システム10が製品パレット36及びスケルトンパレット38をY軸方向へ移送する一対の移送チェーン62を備えている。搬入出システム10は、スケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する際に、製品パレット36が移送チェーン62から離脱して移送チェーン62の上側で待機するように構成されている。そのため、走行リフタを用いることなく、素材Wの段取り(供給)、製品Mの段取り(回収)、及びスケルトンSの段取り(回収)を行うことができる。
【0057】
従って、本発明の実施形態によれば、搬入出システム10の平面的な設置スペースを小さくして、工場のスペースの有効利用を図りつつ、搬入出システム10の製造コスト及びメンテナンスの手間を低減することができる。
【0058】
(本発明の他の実施形態)
図9に示すように、本発明の他の実施形態に係る搬入出システム80は、本発明の実施形態に係る搬入出システム10(
図1参照)と同様の構成を有している。そして、板搬入出システム80の構成のうち、搬入出システム10の構成と異なる点についてのみ説明する。
【0059】
第3固定フレームは、第2固定フレーム20におけるY軸方向の他方側(前方)であってかつ第1固定フレーム14におけるY軸方向の一方側(後側)に設けられている。換言すれば、スケルトン集積領域A3は、段取り・一枚取り領域A2におけるY軸方向の他方側であってかつ製品集積領域A1におけるY軸方向の一方側(後側)に形成されている。
【0060】
一対のパレットガイド34は、第1固定フレーム14内の前端側から第2固定フレーム20内の後端側にかけて設けられている。一対のテーブルガイド46は、第1固定フレーム14内の前端側から第2固定フレーム20内の後端側にかけて設けられている。また、一対の移送チェーン62は、第1固定フレーム14内の後端側から第2固定フレーム20内の前端側にかけて、Y軸方向に沿って循環走行可能に設けられている。各移送チェーン62には、2つの第1被係止部68及び第2被係止部70が間隔を置いて設けられている。また、一対の第1フック72は、製品パレット36の前端部及び後端部にそれぞれ設けられており、一対の第2フック74は、スケルトンパレット38の前端部に設けられている。
【0061】
第3固定フレーム26内のスケルトン集積領域A3の底部には、スケルトンパレット38を昇降させる固定リフタ82が設けられる。固定リフタ82は、スケルトンパレット38の昇降動作によってスケルトンパレット38の第2フック74を移送チェーン62の第2被係止部70に対して係脱させる。また、搬入出システム80が一対のパレット待機部材78(
図1参照)を備える代わりに、第3固定フレーム26内のスケルトン集積領域A3には、スケルトンパレット38を移送チェーン62の上側(上方)で待機させる一対のパレット待機部材84が設けられている。各パレット待機部材84は、Y軸方向に延びており、一対のパレット待機部材84は、X軸方向に離隔している。各パレット待機部材84は、第3固定フレーム26の下部側の揺動中心(図示省略)として揺動可能である。一対のパレット待機部材84は、それらの揺動動作によって、一対のパレット待機部材78と同様に、スケルトンパレット38を支持するための支持姿勢と、支持姿勢から互いにX軸方向に離反した離反姿勢とに切り替わるように構成されている。
【0062】
ここで、製品パレット36を製品集積領域A1と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する際に、固定リフタ82がスケルトンパレット38の第2フック74を移送チェーン62の第2被係止部70から離脱させて、スケルトンパレット38をパレット待機部材84の上側まで上昇させる。そして、一対のパレット待機部材84が離反姿勢から支持姿勢に切り替わり、固定リフタ82がスケルトンパレット38を下降させると、スケルトンパレット38が一対のパレット待機部材84に支持され、移送チェーン62の上側で待機する。つまり、
図10及び
図11に示すように、搬入出システム80は、製品パレット36を製品集積領域A1と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する際に、スケルトンパレット38が移送チェーン62から離脱して移送チェーン62の上側で待機するように構成されている。
【0063】
続いて、本発明の他の実施形態に係る搬入出システム80の動作について説明する。
【0064】
前述の搬入出システム10(
図1参照)の動作と同様の動作を繰り返して実行することにより、所定数の製品Mを製品パレット36に集積すると共に、所定数のスケルトンSをスケルトンパレット38に集積することができる。
【0065】
素材積載部32が空になった場合には、
図9に示すように、製品パレット36を製品集積領域A1に位置させかつスケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3に位置させた状態にする。そして、段取り・一枚取り領域A2において、素材積載部32に対して素材Wの段取り(供給)を行う。
【0066】
所定数の製品Mを製品パレット36に集積した場合には、固定リフタ82によってスケルトンパレット38の第2フック74を移送チェーン62の第2被係止部70から離脱させて、スケルトンパレット38をパレット待機部材84の上側まで上昇させる。次に、一対のパレット待機部材84が離反姿勢から支持姿勢に切り替わり、固定リフタ82によってスケルトンパレット38を下降させる。すると、
図10に示すように、スケルトンパレット38が一対のパレット待機部材84に支持され、移送チェーン62の上側で待機する。更に、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を一方向へ循環走行させる。すると、
図10に示すように、スケルトンパレット38が製品集積領域A1から段取り・一枚取り領域A2に移送される。そして、段取り・一枚取り領域A2において、製品パレット36に対して製品Mの段取り(回収)を行う。
【0067】
なお、製品Mの段取り後、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を他方向へ循環走行させることにより、製品パレット36を元の状態に戻しておく。また、固定リフタ82によってスケルトンパレット38を下降させることにより、スケルトンパレット38の第2フック74を移送チェーン62の第2被係止部70に係止させて、スケルトンパレット38を元の状態に戻しておく。
【0068】
所定数のスケルトンSをスケルトンパレット38に集積した場合には、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を一方向へ循環走行させる。すると、
図11に示すように、スケルトンパレット38がスケルトン集積領域A3から段取り・一枚取り領域A2へ移送されかつ製品パレット36が製品集積領域A1からスケルトン集積領域A3に移送される。そして、段取り・一枚取り領域A2において、スケルトンパレット38に対してスケルトンSの段取り(回収)を行う。
【0069】
なお、スケルトンSの段取り後、走行モータ66の駆動により一対の移送チェーン62を他方向へ循環走行させることにより、スケルトンパレット38及び製品パレット36を元の状態に戻しておく。
【0070】
そして、本発明の他の実施形態においても、本発明の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0071】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、適宜の変更を行うことにより、その他、種々の態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されるものでない。
【解決手段】 第2動作領域である段取り・一枚取り領域A2に素材積載部32が設けられている。搬入出システム10が製品パレット36及びスケルトンパレット38をY軸方向へ移送する一対の移送チェーン62を備えている。搬入出システム10は、スケルトンパレット38をスケルトン集積領域A3と段取り・一枚取り領域A2との間でY軸方向へ移送する際に、製品パレット36が移送チェーン62から離脱して移送チェーン62の上側で待機するように構成されている。