特許第6719787号(P6719787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6719787
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】ダンプカーの排気リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20200629BHJP
   B60P 1/60 20060101ALI20200629BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   B60P1/04 K
   B60P1/60 A
   B60K13/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-58330(P2019-58330)
(22)【出願日】2019年3月26日
(62)【分割の表示】特願2017-224862(P2017-224862)の分割
【原出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-94059(P2019-94059A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】599009031
【氏名又は名称】三和ボデー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】林 直明
【審査官】 岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−016631(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3140481(JP,U)
【文献】 特開2007−137108(JP,A)
【文献】 特開昭62−034827(JP,A)
【文献】 実開昭58−090828(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/04
B60K 13/04
B60P 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気を利用して荷台(22)の加温又は保温を行うためにダンプカー(20)に設けられた排気リフト装置(1)であって、
流入された排気を、荷台(22)が非傾斜状態にあるときの床板(22a)の直下位置まで誘導可能な流路を形成する排気流路部材(2,3,4,5)と、
前記床板(22a)の直下位置にて前記排気流路部材(2,3,4,5)の上方に向いた開口に取り付けられ、環状溝(5A3)を具備する受け具(5A)と、
前記排気流路部材(2,3,4,5)の前記開口まで誘導された排気を前記荷台(22)の空間に放出させるために前記床板(22a)を貫通する排気通過孔(6A)と、
前記排気通過孔(6A)の周縁から下方に延在する円筒体(6B)と、を備え、
前記荷台(22)が非傾斜状態にあるとき、前記円筒体(6B)が前記受け具(5A)の前記環状溝(5A3)内に載置されることを特徴とするダンプカーの排気リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプカーにおいてエンジンの排気を利用して荷台の空間の加温又は保温を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジン排気の熱を融雪に利用する技術が知られている。例えば特許文献1では、車両のエンジンから排出される排気ガスを、道路の路面又は堆積した雪に向かって噴射する融雪方法及び積雪防止方法が開示されている。また、特許文献2では、タイヤが巻き上げた水を排気ガスの熱で温め、温められた水を路面に落下させて融雪する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−235711号公報
【特許文献2】特開平10−54017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
寒冷地において、特に冬季においては、トラックなどの荷台のある車両の走行中に荷台に積もった雪がそのまま凍結したり、積み荷が凍結したりすることが問題となっている。
【0005】
しかしながら、走行中の車両の荷台における凍結の問題は、未だ有効な対策が提案されていないのが現状である。
【0006】
以上の現状に鑑み本発明は、荷台を有する車両の中でも特にダンプカーにおいて、エンジン排気の熱を利用して荷台の加温又は保温を可能とする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する実施例を示した図面中の符号であるが、参考のために付するものであって本発明を実施例に限定する意図はない。
【0008】
本発明の態様は、エンジンの排気を利用して荷台(22)の加温又は保温を行うためにダンプカー(20)に設けられた排気リフト装置(1)であって、
流入された排気を、荷台(22)が非傾斜状態にあるときの床板(22a)の直下位置まで誘導可能な流路を形成する排気流路部材(2,3,4,5)と、
前記床板(22a)の直下位置にて前記排気流路部材(2,3,4,5)の上方に向いた開口に取り付けられ、環状溝(5A3)を具備する受け具(5A)と、
前記排気流路部材(2,3,4,5)の前記開口まで誘導された排気を前記荷台(22)の空間に放出させるために前記床板(22a)を貫通する排気通過孔(6A)と、
前記排気通過孔(6A)の周縁から下方に延在する円筒体(6B)と、を備え、
前記荷台(22)が非傾斜状態にあるとき、前記円筒体(6B)が前記受け具(5A)の前記環状溝(5A3)内に載置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による排気リフト装置をダンプカーに設置することにより、エンジンの排気が荷台の床板の直下位置まで誘導され、そして床板を通過して荷台の空間に放出される。これにより、荷台の空間を加温又は保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明による排気リフト装置を取り付けたダンプカーの概略斜視図である。
図2図2は、図1に示した流路切替装置の概略斜視図である。
図3図3(a)(b)は、図2に示した流路切替装置における2つの切替位置の状態をそれぞれ示す部分切欠き斜視図である。
図4図4(a)(b)は、図3(a)(b)に対応する2つの切替位置の状態における排気の流れを示すダンプカーの概略側面図である。
図5図5(a)は、排気リフト装置における第1流路端部及び排気通過部を概略的に示す部分拡大縦断面図である。(b)は、(a)に示した円筒体の概略斜視図であり、(c)は、(a)に示した受け具の概略斜視図である。
図6図6(a)は、本発明の排気リフト装置の別の実施例を示すダンプカー荷台の概略平面図であり、(b)は(a)のI−I概略断面図である。
図7図7(a)は、本発明の排気リフト装置の別の実施例を示すダンプカー荷台の概略平面図であり、(b)は(a)のII−II概略断面図である。
図8図8(a)は、本発明の排気リフト装置の別の実施例を示すダンプカー荷台の概略平面図であり、(b)は(a)のIII−III概略断面図である。
図9図9は、本発明の排気リフト装置のさらに別の実施例を示すダンプカーの概略平面図である。
図10図10は、本発明の排気リフト装置1のさらに別の実施例を示すダンプカーの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ、本発明によるダンプカーの排気リフト装置の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明による排気リフト装置の一実施例を取り付けたダンプカーの概略斜視図である。ダンプカー20は、運転室21と荷台22を有する。図1では、排気リフト装置1の全体が見えるように、荷台22を傾斜させた状態を示している。荷台22の下方には、一対の車体フレーム23、排気燃焼装置24、タイヤ等がある。エンジン(図示せず)からの排気は、排気管を通って排気燃焼装置24に送られ、ここで排気中の汚染物質が浄化される。排気リフト装置1が設けられていない場合は、排気燃焼装置24の出口から排気が放出される。
【0012】
排気リフト装置1は、荷台22の下方の空いた空間を利用して設置される。例えば一対の車体フレーム23の一方の側面に配置され、車体フレーム23を利用して適宜、固定される。排気リフト装置1は、高温の排気が流通するので高耐熱性材料が好適であり、例えば、鉄製又はステンレス鋼製とする。
【0013】
排気リフト装置1には、排気燃焼装置24から出た排気が流入される。本発明の排気リフト装置1は、排気燃焼装置24の後段に配置することが好適である。これにより、排気リフト装置1が、排気燃焼装置24に内蔵される温度センサや圧力センサに影響を及ぼすことが回避される。
【0014】
排気リフト装置1は、流入された排気を、荷台22の床板22aの直下位置まで誘導する。この場合の「床板22aの直下位置」とは、図1に示した荷台22を傾斜させた状態ではなく、荷台22の非傾斜状態すなわち走行中の水平な荷台22の状態おける床板22aの直下位置である。
【0015】
排気リフト装置1は、排気燃焼装置24の出口から非傾斜状態の荷台22の床板22aの直下位置まで、排気を誘導可能な流路を形成する流路形成部材を備えている。流路形成部材は、複数の管部材から構成される。図示の例では、流路形成部材は、排気燃焼装置24の出口に接続される流入管2、略T字状の管からなる流路切替装置3、流路切替装置3から床板22aの直下位置までの流路を形成する第1流路管4、及び、第1流路端部5を含む。なお、これらの管部材の配置位置、形状、長さ等は、車両毎に異なる条件に応じて適宜設定される。
【0016】
床板22aの直下位置まで誘導され、第1流路端部5の開口から放出される排気は、床板22aに穿設された貫通孔を有する排気通過部6を通過して荷台22の空間に放出される。放出された排気が荷台22の空間を流れることによって、排気の熱がこの空間に与えられる。
【0017】
略T字状の管からなる流路切替装置3は、流入管2を通って流入された排気を、第1流路管4と第2流路管7のいずれかに振り向けるべく切り替える機能を備えている。第2流路管7は、図示のように比較的短く、排気をそのまま外部空間へ放出するためのものである。第2流路管7の先端は、ダンプカーの後方又は斜め後方を向き、かつやや下向きとなっている。
【0018】
図2は、図1に示した流路切替装置3の概略斜視図である。図3(a)(b)は、図2に示した流路切替装置3における2つの切替位置の状態をそれぞれ示す部分切欠き斜視図である。図4(a)(b)は、図3(a)(b)に対応する2つの切替位置の状態における排気の流れを示すダンプカーの概略側面図である。図3及び図4では、排気の流れを矢印付き点線で示している。
【0019】
図2に示すように、流路切替装置3は、矩形断面をもつ角形管から形成され平面視にて略T字状である。3つの流路がそれぞれ3方に開口している。T字の中央線上に位置する流入管部3Aは、流入管2と連通するように接続され、排気が流入する。流入管部3Aの一端から、互いに180°の反対方向に第1の分岐管部3Bと第2の分岐管部3Cが延在している。流入管部3Aと分岐管部3B、3Cのなす角度は90°である。第1の分岐管部3Bは、図1に示した第1流路管4と連通するように接続されている。第2の分岐管部3Cは、図1に示した第2流路管7と連通するように接続されている。
【0020】
図1に示すように、好適には、流入管2、第1流路管4及び第2流路管7は断面円形の管であるので、角形管である流路切替装置3との接続においては、断面が円形から矩形に移行する部分を設ける。管部材同士の接続は、溶接により行うことが好ましい。
【0021】
図3(a)(b)に示すように、流路切替装置3は、流路を切り替えるための切替バルブ3Dを有する。切替バルブ3Dは、流入管部3Aの開口から視て最奥の管壁の中央に鉛直方向に配置された旋回軸3D2と、矩形平板のバルブ板3D1とを具備する。バルブ板3D1の一方の側縁が旋回軸3D2に取り付けられ、バルブ板3D1は旋回軸3D2の回りで回動可能である。この回動操作は手動で行うことができる。図示の例では、旋回軸3D2の上端が流路切替装置3の外部に突出しており、この上端に手動で回動操作を行うためのコック3D3が取り付けられている。
【0022】
図3(a)の第1の切替位置では、バルブ板3D1が第2の分岐管部3Cを完全に閉鎖し、流入管部3Aと第1の分岐管部3Bを連通させている。この第1の切替位置において、バルブ板3D1の面は、流入管部3A及び分岐管部3Bの各々における排気の流れ方向に対して傾斜している。これにより排気は、90°よりも大きい角度で流入管部3Aから第1の分岐管部3Bへと方向転換することができ、乱流を生じることなく円滑に流れる。
【0023】
さらに好ましくは、図示のように、流入管部3Aから分岐管部3Bへ移行する部分の側壁である管壁3Eもまた、流入管部3A及び分岐管部3Bの各々における排気の流れ方向に対し傾斜している。これによっても、排気が緩やかに方向転換できる。
【0024】
図4(a)に示すように、第1の切替位置のとき排気は、流路切替装置3から第1流路管4へ流れ、第1流路端部5から排気通過部6を通って荷台22の空間に放出される。排気の熱が荷台22の空間に与えられ、荷台22が加温されることによって、積雪を融解させ、積み荷の凍結を防止することができる。従って、図3(a)に示す第1の切替位置は、主として、凍結のおそれのある外気温の時期、冬季に選択される。あるいは、例えば、路盤舗装用に調製したアスファルト混合物を施工現場まで運搬する場合、その保温手段として排気を利用できる。保温のために排気を利用する場合は、季節に関係なく第1の切替位置を選択してもよい。
【0025】
一方、図3(b)の第2の切替位置では、バルブ板3D1が第1の分岐管部3Bを完全に閉鎖し、流入管部3Aと第2の分岐管部3Cを連通させている。この第2の切替位置でも、バルブ板3D1の面は、流入管部3A及び分岐管部3Cの各々における排気の流れ方向に対して傾斜している。同様に、流入管部3Aから分岐管部3Cへ移行する部分の側壁である管壁3Eもまた、流入管部3A及び分岐管部3Cの各々における排気の流れ方向に対し傾斜している。
【0026】
図4(b)に示すように、第2の切替位置のとき排気は、流路切替装置3から第2流路管7へ流れ、そのまま外部空間に放出される。この場合、排気の熱は利用されず、排気リフト装置1を設けない場合と同じである。従って、図3(b)に示す第2の切替位置は、主として、凍結のおそれのない外気温の時期、冬季以外に選択される。また、荷台の加温や保温が不要なときには、この第2の切替位置を選択する。
【0027】
図5(a)は、上述した排気リフト装置1における第1流路端部5及び排気通過部6の一例を概略的に示す部分拡大縦断面図である。図5(b)は、(a)に示した円筒体6Bの概略斜視図であり、図5(c)は、(a)に示した受け具5Aの概略斜視図である。
【0028】
排気Gを誘導する第1流路管4の末端は、荷台22の床板22aの直下位置において上方に開口している。この第1流路管4の開口に、第1流路端部5が設けられる。第1流路端部5は、開口の周囲に取り付けられる受け具5Aと、受け具5A及び第1流路管4の末端を支持固定するための支持部材5Bとを有する。図示しないが、支持部材5Bは、車体フレーム等に適宜固定される。これらの部材の固定は、溶接又はボルトナット締めにより行うことができる。
【0029】
受け具5Aは、内筒5A1と外筒5A2を具備し、内筒5A1と外筒5A2の下端は連結されており環状溝5A3が形成されている。内筒5A1の下端の内径は、第1流路管4の開口の内径とほぼ一致している。好適には、内筒5A1は、上方に向かってテーパ状に直径が縮小する。内筒5A1は、外筒5A2よりも高く延在しており、煙突の役割を果たす。
【0030】
荷台22の床板22aに設けられる排気通過部6は、床板22aを貫通する排気通過孔6Aと、排気通過孔6Aの周縁から下方に延在する円筒体6Bとを有する。円筒体6Bの筒部6B1の内径は、排気通過孔6Aの直径とほぼ一致している。筒部6B1の上端には、円筒体6Bを床板22aの下面に固定するためのフランジ6B2が形成されている。
【0031】
荷台22が非傾斜状態にあるとき、すなわち荷台22が水平であるとき、円筒体6Bの筒部6B1が受け具5Aの環状溝5A3内に嵌まり載置される。受け具5Aの内筒5A1がテーパー状であることにより、円筒体6Bが支障なく載置される。この結果、排気が横方向に漏れ出すことなく、第1流路管4から荷台22の空間へと移送される。また、円筒体6Bは、受け具5Aの上に単に載置されるだけであるので、荷台22の傾斜動作にも全く影響しない。
【0032】
図6図7及び図8は、本発明の排気リフト装置1の別の実施例を示すダンプカー荷台の概略平面図及び概略断面図である。これらの実施例は、荷台22の空間に排気ダクト部8を有する。排気ダクト部8は、荷台22の床板22aを貫通する排気通過部6と連通している。排気ダクト部8は、荷台22の空間に排気の熱を効率的に分配する機能を有する。各図において、排気の流れを矢印付き点線で示している。
【0033】
図6(a)に平面図を、(b)に(a)のI−I断面図を示す実施例では、排気ダクト部8が、荷台22の前板22bと左右の側板cの三方に沿って設けられる。図6(b)に示すように、前方の排気ダクト部は、床板22aと、前板22bと、これらに対して斜めに配置された前方包囲部材8Aとにより囲まれた断面三角形の通路を形成している。同様に、左右の排気ダクト部は、床板22aと側板22cと、これらに対して斜めに配置された側方包囲部材8Bとにより囲まれた断面三角形の通路を形成している。前方包囲部材8A及び側方包囲部材8Bは、例えば鉄板又は鋼板であり、溶接等により固定される(以下の包囲部材も同様)。
【0034】
図7(a)に平面図を、(b)に(a)のII−II断面図を示す実施例では、図6の三方の排気ダクト部に加えて、さらに前後方向に二方向の排気ダクト部を設けている。図7(b)に示すように、追加された排気ダクト部は、床板22aと、床上包囲部材8Cとにより囲まれた断面三角形の通路を形成している。床上包囲部材8Cとして、例えばL型アングル鋼材を用いることができる。
【0035】
図8(a)に平面図を、(b)に(a)のIII−III断面図を示す実施例では、荷台全面に排気ダクト部を設けている。図8(b)に示すように、床板22a上に、複数の所定の長さ及び厚さをもつスペーサ8D1を適宜の位置に配置固定し、その上に全面包囲部材8Dを載置することにより、分岐合流する複数の通路からなる排気ダクト部を形成している。全面包囲部材3Dは、例えば鉄板又は鋼板であり、スペーサ8D1は、例えば角形鋼材である。
【0036】
図9は、本発明の排気リフト装置1のさらに別の実施例を示すダンプカーの概略平面図である。この実施例では、荷台22の床板22aに4つの排気通過部6が設けられている。4つの排気通過部6は、荷台22の前部に2つ、後部に2つとバランス良く配置されている。また、流路切替装置3の分岐管部3Bに接続された第1流路管4も、適宜分岐して各排気通過部6が形成された床板22aの直下位置まで延びている。
【0037】
複数の排気通過部6を設ける場合の個数及び配置は、図示の例に限られず、必要に応じて又はダンプカーの大きさや構造等の条件に応じて、適宜設定することができる。
【0038】
図10は、本発明の排気リフト装置1のさらに別の実施例を示すダンプカーの概略側面図である。ダンプカーの構成要素の一部を切り欠いて示している。また、排気の流れを矢印付き点線で示す。
【0039】
この実施例では、ダンプカー20がトレーラー型である。運転室21は、牽引するヘッドであり、荷台22は、運転室21に対して水平面内で旋回自在に連結されている。従って、排気リフト装置1の流路切替装置3から荷台22の直下位置まで排気を誘導する第1流路管は、運転室21に対する荷台22の水平面内の旋回動作に対応できるように構成されている。
【0040】
第1流路管は、複数の管部材と環状の連結部材から構成されている。先ず、上述した実施例における第1流路管4と同様の管部材4Aが、流路切替装置3と、運転室21のフレームに固定された環状のヘッド側連結具4Bの下部との間に接続されている。さらに、フレキシブルな管部材4Cが、ヘッド側連結具4Bの上部と、環状の荷台側連結具4Dの上部との間に接続されている。また、荷台側連結具4Dは、荷台22のフレームに対して旋回自在に取り付けられている。このようなフレキシブルな金属製管部材及び旋回自在な継手は、配管部材として広く用いられている。フレキシブルな管部材4Cと旋回自在な継手である荷台側連結具4Dとにより、運転室21に対する荷台22の水平面内の旋回動作に対応できる。
【0041】
荷台側連結具4Dの下部に接続された管部材4Eは、上述した実施例と同様に荷台22の直下位置に設けられた第1流路端部5に接続される。荷台22には、上述した実施例と同様に排気通過部6が設けられている。
【0042】
このように、トレーラー型のダンプカー20においても、エンジンの排気を荷台22に誘導することができる。第1流路管の配置位置、形状、長さ等は、この実施例に限らず、本発明を適用するダンプカーの構造に応じて多様に設計することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を実施例を参照して説明したが、本発明の原理に従って多様な変形形態が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1:排気リフト装置
2:流入管
3:流路切替装置
4、4A〜4E:第1流路管
5:第1流路端部
6:排気通過部
7:第2流路管
8:排気ダクト部
8A:前方包囲部材
8B:側方包囲部材
8C:床上包囲部材
8D:全面包囲部材
20:ダンプカー
21:運転室
22:荷台
22a:床板
23:車体フレーム
24:排気燃焼装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10