特許第6719963号(P6719963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デピュイ・シンセス・プロダクツ・エルエルシーの特許一覧

特許6719963リードフレームコイルを有する膨張性血管閉塞器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6719963
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】リードフレームコイルを有する膨張性血管閉塞器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   A61B17/12
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-90754(P2016-90754)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-209575(P2016-209575A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】14/701,695
(32)【優先日】2015年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】フセイン・ジーナリー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スラザス
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0253572(US,A1)
【文献】 特表2014−525806(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0097508(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/123003(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102302377(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞器具であって、
近位部及び遠位部を含む内部塞栓性要素であって、前記遠位部が、第1剛性を有し、前記近位部が、第2剛性を有前記第1剛性が、前記第2剛性より高い、内部塞栓性要素と、
押潰し位置と膨張位置との間で変形可能な膨張性メッシュであって、前記膨張性メッシュが、前記内部塞栓性要素の前記近位部の一部の上を覆って配置されている、膨張性メッシュとを備える、閉塞器具。
【請求項2】
前記内部塞栓性要素が、前記膨張性メッシュを前記押潰し位置から前記膨張位置に変形させるのを手助けする所定の予め選択された形状を有するコイルを備える、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項3】
前記膨張性メッシュが、前記内部塞栓性要素の前記近位部を実質的に覆う、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項4】
前記膨張性メッシュが、所定の形状を含む、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項5】
前記膨張性メッシュが、いったん前記膨張位置にくると、前記所定の形状を取る、請求項に記載の閉塞器具。
【請求項6】
前記内部塞栓性要素は、前記第1剛性が前記第2剛性に変化する移行ゾーンをさらに備える、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項7】
前記第1剛性が、前記第2剛性の少なくとも約10倍である、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項8】
前記第1剛性が、前記第2剛性の約20倍以下である、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項9】
前記第1剛性が、前記第2剛性の約30倍以下である、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項10】
前記膨張性メッシュが前記押潰し位置にある場合、前記内部塞栓性要素の前記近位部が、伸長状態にあり、前記膨張性メッシュが、圧縮状態にある、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項11】
前記遠位部が、遠位長を含み、前記近位部が、近位長を含み、前記遠位長が、前記内部塞栓性要素の全長の少なくとも7%である、請求項1に記載の閉塞器具。
【請求項12】
前記膨張性メッシュが、前記押潰し位置におけるメッシュ長を有し、
前記近位部の前記近位長が、前記押潰しメッシュ長より約2%〜5%長い、請求項11に記載の閉塞器具。
【請求項13】
前記内部塞栓性要素が、所定の形状を有するコイルを備える、請求項1に記載の閉塞器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、患者内の血管を閉塞するのに使用される医療器具及び方法、より具体的には、膨張性メッシュを含む閉塞器具に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、血管壁の異常の膨張又は膨れである。典型的には、動脈瘤は、動脈血管の脆くなった壁において進行する。脆くなった壁に対する血圧の力により、外向きへの異常な膨張又は膨れをこの壁に生じさせる。動脈瘤の1つの有害作用は、この動脈瘤が血管周囲の組織に望ましくない圧力を加えるおそれがあることである。特に、動脈瘤が繊細な脳組織に圧力を加え得る頭蓋動脈瘤の症例において、この圧力は極めて問題となり得る。さらに、動脈瘤が破裂又は破壊して、死亡を含むより深刻な医療的合併症をもたらし得る恐れもある。
【0003】
患者が破裂していない動脈瘤を有すると診断された場合、この動脈瘤は、膨張を減少させ、又は、小さくし、この動脈瘤が破裂するのを防止する試みにおいて処置される。破裂していない動脈瘤は、「クリッピング」として当技術分野において一般的に知られているものにより、伝統的に処置されてきた。クリッピングは、外科医が患者の体内を切開し、動脈瘤を有する血管にアクセスする、侵襲的な外科手術を必要とする。外科医は、動脈瘤にアクセスすると、動脈瘤への血流を遮断し、動脈瘤が破裂するのを防止するために、クリップが、動脈瘤のネックあたりに配置される。クリッピングは、一部の動脈瘤には受容可能な処置であり得るが、特定種の頭蓋動脈瘤を処置するためのクリッピング手術を利用することに伴うかなりのリスクがある。このような手術は、一般的に、開脳手術を必要とし、動脈瘤の位置がリスクをもたらし、この種の手術を使用するのを妨げる場合もあるためである。
【0004】
血管内カテーテル技術は、頭蓋動脈瘤を処置するのに使用されており、一般的に、より望ましい。このような技術は、頭蓋又は頭がい骨の切開を必要としない、すなわち、これらの技術は、開脳手術を必要としないためである。典型的には、これらの技術は、閉塞器具(例えば、塞栓性コイル)を患者の血管内の予め選択された位置に送達するカテーテルを使用することを伴う。例えば、頭蓋動脈瘤の症例では、当技術分野において周知の方法及び手法が、送達カテーテルの遠位端を患者の血管内に挿入し、頭蓋動脈瘤の部位にガイドするのに使用される。例えば、送達部材の端部に一般的に取り付けられる血管閉塞器具は、閉塞が動脈瘤内に導入されるまで、送達カテーテルを通って移動する。閉塞器具をカテーテル中において送達する方法は、当業者に周知である。
【0005】
閉塞器具が動脈瘤に送達され、この動脈瘤内に配置されると、動脈瘤内の血液は、一般的には、閉塞器具中及び周囲で凝固して、血栓を形成するであろう。周囲の血管からの血液がもはや動脈瘤内に流れないように、血栓が、動脈瘤を封鎖する。これにより、更なる膨れ又は破裂を防止する。この配置手順が、所望の数の閉塞器具が動脈瘤内に配置されるまで繰り返される。典型的には、約20%以上、好ましくは約35%及び可能であればそれ以上の充填密度を得るのに十分なコイルを配置するのが望ましい。
【0006】
最も一般的な血管閉塞器具は、塞栓性コイルである。塞栓性コイルは、典型的には、各種の形状、例えば、らせん形状に巻かれている場合がある金属ワイヤから構築される。先に説明されているように、手術は、それに凝固する血液のための十分大きい面積が存在するように、数多くの塞栓性コイルの使用を必要とする場合がある。塞栓性コイルは、このような方法で、動脈瘤への及び動脈瘤内での血液が自由に流れることができる、隣接するコイル間に相対的にかなりのギャップが存在する動脈瘤内に配置される場合がある。動脈瘤内への余分なコイルの追加は、この問題を常に解決するものではない。動脈瘤内に多くのコイルを配置しすぎることは、望ましくない破裂をもたらす恐れがある。
【0007】
別の技術は、ステントに似たメッシュを使用して、動脈瘤を満たすことである。この器具の利点は、カテーテルを通してメッシュを送達するのに必要とされる直径の何倍にも膨張し得ることである。これにより、塞栓性コイルとの比較において、35%を上回る充填密度を達成するのに必要とされるメッシュの長さをより短くできる。より短い長さは、メッシュが膨張し得るため、メッシュの長さがより短くとも、動脈瘤内でより大きな空間を占めることができるという事実により規定される。対照的に、この同じ結果を達成するために、より大きい(又はより長い長さの)塞栓性コイルが必要とされる。それらが、同じ空間を満たすその直径を保持するためである。図22は、外径(OD)1mmのメッシュ、OD 2mmのメッシュ及びOD 0.381mm(0.0150インチ)の塞栓性コイル間における、充填密度比較の例を例示する。10mmの球状動脈瘤において、約45%の充填密度が、長さ約7.5cmの2mmメッシュにより達成され、約45%の充填密度が、長さ約30cmの1mmメッシュにより達成される。長さ200cmを超える(0.015インチの)塞栓性コイルが、約45%の充填密度に必要とされる。
【0008】
この例では、メッシュ及び塞栓性コイルについてのいくつかの課題が強調されている。メッシュについては、密度が達成される前に、動脈瘤中に十分な長さのメッシュが存在しない恐れがある。これにより、支持されていないメッシュが放置され、圧縮をもたらし得る。圧縮は、メッシュが広がるために起こる。メッシュは、動脈瘤内の血流及び動脈瘤を通過する血流により圧縮され、それにより、メッシュにより処置された動脈瘤の部分が小さくなる。処置された部分は、有効点を下回って小さくなる場合があり、十分な充填密度を得るために、動脈瘤を再度満たすための2回目の手術が必要となる。塞栓性コイルについて、典型的には、閉塞性コイルは、200cmより非常に短く、説明されているように、許容可能な充填密度を達成するのに、複数のコイルが、動脈瘤内に配置されなければならない。各塞栓性コイルはカテーテルを通して前進させなければならないため、複数のコイルの配置は、手術時間を長くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、より大きい占有体積を提供して、血液凝固を促進し、手術時間を短縮する、より良好な閉塞器具について残っている。本発明は、このような種類の器具を提供する。さらに、複数の器具が使用される場合、本発明の閉塞器具は、動脈瘤を破裂させるリスクを増大させることなく、隣接する閉塞器具間の空間を効果的に占有することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書において、上記必要性に取り組み得る本発明の種々の例示的な器具が開示されている。前記器具は、一般的には、近位部及び遠位部を有する内部塞栓性器具を含み、膨張性メッシュも含んでもよい。このように、本発明の器具は、1つの器具が使用されることにより、例えば、長さがより短い器具を使用し、そして、ほとんど器具を使用せずに、手術時間を最短化し、より高い充填密度を達成するのを可能にする。
【0011】
この文脈において、前記内部塞栓性器具の近位部は、医師に最も近い端部であり、前記遠位部は、医師から最も離れた部分である。前記遠位部は、第1剛性を有し得、前記近位部は、第2剛性を有し得る。前記閉塞器具は、押潰し位置と膨張位置との間で変形可能な膨張性メッシュを含むこともできる。前記膨張性メッシュは、前記内部塞栓性器具の前記近位部の一部の上を覆って配置され得、同一部に取り付けられ得る。前記内部塞栓性器具の第1剛性は、前記第2剛性より高くあり得る。さらに、前記内部塞栓性器具は、前記膨張性メッシュを前記押潰し位置から前記膨張位置に変形させるのを手助けする予め選択された形状を有し得る。
【0012】
本閉塞器具の別の例は、前記内部塞栓性器具の前記近位部全体を実質的に覆う膨張性メッシュを含む。また、前記膨張性メッシュは、前記押潰し位置から前記膨張位置に変形された際に、前記膨張性メッシュが取る、予め選択された形状を有し得る。前記膨張性メッシュのその予め選択された形状は、前記押潰し位置から前記膨張位置への変形を手助けし得る。さらに、前記内部塞栓性器具は、その近位部及び遠位部の両方において、予め選択された形状を有することもできる。
【0013】
本閉塞器具の更なる例は、第1剛性と第2剛性との間に、移行ゾーンを有する内部塞栓性器具を含む。前記第1剛性は、前記第2剛性の約10倍以下であり得る。また、前記閉塞器具は、長さが変化する近位部及び遠位部を有し得る。例えば、遠位部の長さは、前記器具の全長の少なくとも約7%でもよい。ここで、前記近位部及び前記遠位部の長さは、等しくてもよいし、又は、一方が他方より長くてもよい。別の例では、前記近位部の長さは、前記遠位部より実質的に長い。
【0014】
請求された発明の閉塞器具の例を使用して動脈瘤を処置する例示的方法は、前記遠位部が、前記近位部より剛性であるように、内部塞栓性要素の前記異なる剛性を構成する工程を有し得る。より剛性の遠位部は、骨組みコイルとも呼ばれ得る。これにより、以下により詳細に説明されているように、前記遠位部は、前記動脈瘤の「骨組みを作る」ため、メッシュを含む前記近位部は、上記されているように、前記動脈瘤を満たして、適切な充填密度を達成し得る。
【0015】
本発明の閉塞器具は、患者の血管内に配置され得、前記動脈瘤に向けられ得る。その後、前記内部塞栓性要素の遠位部/骨組みコイルは、前記動脈瘤内に配置されて、所定の形状(例えば、予め決定された形状)を取り得る。上記されているこの形状は、前記動脈瘤の「骨組みを作り」得る。前記遠位部が決まった場所にあると、前記閉塞器具の残り部分が前進する。これにより、前記内部塞栓性要素の近位部を伴う前記膨張性メッシュが、前記動脈瘤内に配置される。ついで、前記メッシュは、その所定の形状に自己膨張し、前記動脈瘤を満たして、塞栓性コイル単独の充填密度より高い充填密度を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上述の態様及び更なる態様は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって、さらに説明され、添付図面において、種々の図の同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに重要性が置かれる。図面は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の器具の1つ以上の実現例を描写している。
図1】カテーテル内にある本発明の典型的な血管閉塞器具の側面図である。
図2】本発明の血管閉塞器具の一例の図である。
図3】内部塞栓性要素(例えば、配置された際の骨組みコイルと近位部)の種々の例を例示する。
図4】内部塞栓性要素(例えば、配置された際の骨組みコイルと近位部)の種々の例を例示する。
図5】内部塞栓性要素(例えば、配置された際の骨組みコイルと近位部)の種々の例を例示する。
図6】内部塞栓性要素(例えば、配置された際の骨組みコイルと近位部)の種々の例を例示する。
図7】内部塞栓性要素(例えば、配置された際の骨組みコイルと近位部)の種々の例を例示する。
図8】内部塞栓性要素の3−Dの複雑な形状を例示する。
図9】内部塞栓性要素のおおよそ2−Dの単純ならせん形状を例示する。
図10】自己膨張性メッシュの側面図を例示する。
図11】アッセンブリした際の内部塞栓性要素及びメッシュの部分的に切り離した側面図を例示する。
図12a】配置時にコイルがメッシュを形成し得る、血管閉塞器具の例を例示する。
図12b】配置時にコイルがメッシュを形成し得る、血管閉塞器具の例を例示する。
図13a】カテーテルからの部分的な配置後に、再捕捉された(すなわち、カテーテル内に引き戻された)塞栓性器具の例を例示する。
図13b】カテーテルからの部分的な配置後に、再捕捉された(すなわち、カテーテル内に引き戻された)塞栓性器具の例を例示する。
図13c】カテーテルからの部分的な配置後に、再捕捉された(すなわち、カテーテル内に引き戻された)塞栓性器具の例を例示する。
図14】不均一な形状の例におけるメッシュを例示する。
図15】メッシュの断面の種々の例を例示する。
図16a】配置された際の塞栓性器具の3−Dの複雑な形状を例示する。
図16b】配置された際の塞栓性器具の3−Dの複雑な形状を例示する。
図17a】動脈瘤内に配置されている血管閉塞器具を例示する。
図17b】動脈瘤内に配置されている血管閉塞器具を例示する。
図17c】動脈瘤内に配置されている血管閉塞器具を例示する。
図18】本発明の典型的な方法のフローチャートである。
図19a】従来技術と本発明の例との間の断面を単純化した比較を例示する。
図19b】従来技術と本発明の例との間の断面を単純化した比較を例示する。
図20a】血管閉塞器具についての複数の単純及び複雑な形状を例示する。
図20b】配置されている血管塞栓器具の例及びその拡大部分を例示する。
図20c】配置されている血管塞栓器具の例及びその拡大部分を例示する。
図20d】血管閉塞器具についての複数の単純及び複雑な形状を例示する。
図20e】血管閉塞器具についての複数の単純及び複雑な形状を例示する。
図21】血管塞栓器具についての充填密度及び長さ比の例を例示する表である。
図22】従来技術のコイルとメッシュの充填密度を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、送達カテーテル10内にあり、血管閉塞送達システム20に接続されている、血管閉塞器具100の例を概ね例示する。前記カテーテルは、神経血管手術に使用される典型的なカテーテルである。前記カテーテルのサイズは、治療部位に到達するために前記カテーテルが通過しなければならない動脈瘤又は身体管腔のサイズ、形状、及び指向性を考慮して選択される。カテーテル10は、80センチメートル〜165センチメートルあたりの有効全長と、5センチメートル〜42センチメートルあたりの遠位長とを有し得る。カテーテル10は、0.025〜0.076センチメートル(0.010インチ〜0.030インチ)あたりの内径(ID)を有し得る。外径(OD)は、サイズが変動してもよく、かつ、その近位部又は遠位部のいずれかにおいて狭くなってもよい。前記外径は、3 French以下であり得る。以下の例について、前記内部塞栓性器具の近位部は、医師に最も近い端部であり、前記遠位部は、医師から最も離れている。
【0018】
閉塞器具100は、典型的には、動脈瘤50内に配置されるために、カテーテル10の遠位部12に存在する。カテーテル10の近位部14は、送達システム20を収容し得る。送達システム20は、典型的には、閉塞器具100をカテーテル10の外で、かつ、動脈瘤50内に配置し、及び/又は、カテーテル10内に回収するために、閉塞器具100の近位部102に着脱可能に接続している。送達システム20は、当業者に公知であり、コイル、メッシュ又は他の器具を配置し、及び/又は、回収するために、本発明の任意の例と共に、どのようなものでも使用され得る。送達システム20は、血管閉塞器具100を放出する公知の機構のいずれかを含むプッシャー部材を含んでもよい。前記プッシャー部材は、機械的、電気的、油圧又は熱的な機構を含み得る。一部の例では、血管閉塞器具100は、カテーテル10の外で、かつ、動脈瘤50内に押し出され、対照的に、カテーテル10及び器具100を動脈瘤50に入れ、カテーテル10を除去する。
【0019】
ここで、図2に例示されている閉塞器具100の例示に切り替えて、閉塞器具100は、近位部102及び遠位部104を有する。遠位部104は、例えば、溶接又ははんだビーズの形式において、非侵襲先端106を有し得るため、身体の開口部を通して前進する際に、組織に対して何らの損傷又は傷害を生じさせないように設計されている。閉塞器具100は、2つの主要な部分、内部塞栓性要素200と自己膨張性メッシュ300とを有し得る。
【0020】
内部塞栓性要素200は、標準的な塞栓性コイルとして機能し得る。図3〜7は、内部塞栓性要素200の種々の例を例示する。内部塞栓性要素200は、近位部202及び遠位部204を有し、一部の例では、移行ゾーン206を有し得る。内部塞栓性要素200は、標準的な塞栓性コイルとして機能し得、比較的剛性でもよいし、又は、比較的柔らかくてもよい。内部塞栓性要素200は、当技術分野において通常使用される任意の生体適合性材料、例えば、ニッケル−チタン合金、コバルトクロム合金、白金、ニチノール、ステンレス鋼、タンタル若しくは他の合金;又は、任意の他の適切な生体適合性材料又はこれらの材料の組み合わせで製造されていてもよい。内部塞栓性要素200の剛性は、例えば、コイルワイヤ直径、コイル巻き径、コイルピッチ及びコイル材料の典型的なコイルパラメータにより調節され得る。コイルの例において、前記コイルの直径は、動脈瘤嚢のサイズ及び形状を考慮して選択される。前記動脈瘤嚢は、各種の形状及びサイズであり得る。内部塞栓性要素200は、(以下に説明されている)動脈瘤の形状に一致する、種々のランダムなループ設計になり得る。コイル内のループ又はターンの数も、変動し得る。白金コイルは、直径が約0.02〜0.064センチメートル(約0.008インチ〜0.025インチ)であり得る。コイルは、長さが約1〜60センチメートルで変動し得、一部は、100センチメートルもの長さであり得る。内部塞栓性要素200は、放射線不透過性を提供する放射線不透過性材料、例えば、白金又はタングステンでも製造され得る。前記放射線不透過性は、閉塞器具100の送達に役立つ。
【0021】
コイルは、その長さに沿って軟らかさ及び剛性が変動し得る。図3〜5は、内部塞栓性要素200の剛性を変化させるのに使用される種々の例を例示する。これは、コイルピッチを空けること(図3)、コイル直径を大きくすること(図4)、又は、より細いワイヤを使用すること(図5)によることができる。さらに、コイルは、部分においてアニーリングして、金属を軟らかくすることができる。図6及び7は、その長さに沿って変動する剛性を有する1本の内部塞栓性要素200である、剛性を変化させる別の方法を例示する。図において、移行ゾーン206は、遠位部204と近位部202との間で剛性が変化する箇所を例示する。遠位部204は、近位部202より剛性である。他の例では、全長Lに沿って移動する際に剛性が複数回変化し得る、複数の移行ゾーンを有してもよいことに留意されたい。
【0022】
一般的な割合において、内部塞栓性要素200の剛性な遠位部204は、典型的には、内部塞栓性要素200全体の全長Lの5%以上である。他の例では、剛性な遠位部204は、近位部202の剛性の約20〜30倍であり得る。このため、遠位部204の剛性は、第1剛性であると考えることができ、一方、近位部202の剛性は、第2剛性であることができる。図7において、異なる剛性を有する遠位部長Ld及び近位部長Lpが存在し得る。例において、前記遠位部長Ldと前記近位部長Lpとの比は、以下に説明されている。
【0023】
内部塞栓性要素200の別の例では、要素200の全部又は一部は、カテーテル10から配置された際、単純又は複雑な所定の構成又は形状を形成するように構成され得る。図8及び9は、種々の構成の例を例示する。図8は、複雑で、ランダムな三次元形状を例示する。一方、図9は、単純な二次元らせん形状を例示する。別の例では、内部塞栓性要素200の遠位部は、動脈瘤の骨組みを作るのに適した構成を取り得る。この「骨組みコイル」部は、動脈瘤の近くの周辺部に膨張する形状である。自己膨張性メッシュ300の2つの端部間の前記内部塞栓性要素の一部は、種々の構成、例えば、強制状態と、配置状態との間での自己膨張性メッシュ300の長さにおける差異を吸収するのに適した構成を取り得る。前記内部塞栓性要素は、1つの連続したコイル又は、同じ若しくは異なるコイルの複数の部分、又は、例えば、溶接、はんだ付け、クリンピング若しくは他の適切な方法により互いに結合している他の適切な器具からなる場合がある。
【0024】
一例において、図7においてその長さLpにより特定されている近位部202、及び、図7においてその長さLdにより特定されている遠位部204は、少なくともその剛性に基づいて、全長Lにわたって異なる構成を取り得る。一例において、カテーテル10中にある時、前記自己膨張性メッシュの2つの端部間の内部塞栓性要素200の一部は、圧縮下にあり得、これにより、図11におけるように、軸方向への張力又は自己膨張性メッシュ300の外方向への放射状の伸長が加えられる。メッシュ300を伸長状態に置くことにより、メッシュ300をその最長にし、最小径(すなわち、押潰し状態)にすることができる。このプロファイルは、前記器具の送達中の摩擦力を減らす。前記内部塞栓性要素の圧縮された部分は、カテーテル10からの前記器具の配置に基づいて、その本来の予め形成された状態に戻る。前記カテーテル中にある時に圧縮状態にある内部塞栓性要素200を設計することは、種々の長さのワイヤを使用して、コイルを形成することによることができる。更なる設計は、前記コイルの近位部の全部又は一部へのメッシュ300の取付中に達成され得る。前記コイルの長さより(前記カテーテル中での強制された状態において)わずかに短いメッシュ300は、前記コイルがカテーテル10の内側で真っ直ぐである時に、前記コイルに取り付けられ、メッシュ300は、伸長状態にあり、かつ、その押潰し状態にある。
【0025】
図10は、複数の材料、例えば、堆積させた薄膜で製造されたメッシュのチューブから構成され得る自己膨張性メッシュ300を例示する。自己膨張性メッシュ300は、複数のワイヤ、例えば、4〜96本のワイヤを含み得、複数のアロイ、例えば、ニッケル−チタン合金、コバルトクロム合金、白金、ニチノール、ステンレス鋼、タンタル若しくは他の合金;又は、任意の他の適切な生体適合性材料又はこれらの材料の組み合わせで製造され得る。また、これらの材料は、経時的に患者による吸収性又は非吸収性であり得る。さらに、自己膨張性メッシュ300は、概ね円筒状の形状として例示されているが、一般的には、管状要素は、以下にさらに説明されているように、種々の形状、例えば、細長の概ね立方体形状の形態であることもできる。
【0026】
メッシュ300中の開口部304は、壁部302において、実質的に一体の骨組み又はメッシュを形成する。このため、開口部304は、任意のサイズ、形状又は多孔性のものであり得、メッシュ300の壁部302全体にわたって均一又はランダムに間隔があいていることができる。開口部304は、柔軟性を有する管状要素を提供し、前記押潰し状態から前記膨張状態及びその逆のメッシュ300の変形において手助けもする。
【0027】
上記されたように、閉塞器具100は、内部塞栓性コイル200とメッシュ300とのアッセンブリを含み得る。例において、アッセンブリするために、内部塞栓性要素200は、メッシュ300のいずれかの端部に位置している開口306内に挿入される。これにより、メッシュ300は、内部塞栓性要素200の少なくとも一部を覆う。図11に例示されているように、メッシュ300は、内部塞栓性要素200の近位部202全体、近位部202の一部、近位部202の中央を実質的に覆うことができ、少なくとも遠位部204は覆われていないままである。ついで、メッシュ300は、摩擦嵌合、生体適合性接着剤、はんだ、溶接、クリンピング又は体内で使用するのに適した他のアプローチにより、内部塞栓性要素200に取り付けられ得る(図示せず)。例において、メッシュ300は、任意の数の箇所において、内部塞栓性要素200に接続され得る。
【0028】
一例において、メッシュ300は、内部塞栓性要素(コイル)200のより軟らかい部分、例えば、典型的には、コイル200の近位部202を覆う。このため、メッシュ300の一端は、移行ゾーン206に、又は、移行ゾーン206近くに取り付けられ得る。例において、コイル200の遠位部204は、移行ゾーン206を基準にして、近位部202より長い。これは、メッシュ300についての同様であり、メッシュ300の長さlは、典型的には、コイル200の近位部長Lpより短くあり得る。他の例では、メッシュ300は、近位部長Lpより17%、34%又は50%短くあり得る。別の例では、メッシュ300の長さlは、内部塞栓性要素200近位部長Lp全体とおよそ等しくあり得る。この例は、メッシュ300が押潰し状態にある際に、メッシュ300よりわずかに長い長さLpを含み得る。一例では、近位部長Lpは、長さlより約2〜5%長い、又は、1.02l〜1.05l≒Lpである。さらに、その膨張位置における前記メッシュの長さは、典型的には、長さl(すなわち、前記押潰し状態時)未満である。
【0029】
別の例として、配置された長さを取るというは、全長Lであり、遠位部の最短長Ldminを差し引く。このLdminは、器具全長Lの約7%であり得る。前記メッシュ下にある内部塞栓性要素200(一部の例では、前記近位部)の長さは、内部塞栓性要素200も短くなった際に、メッシュ300がどの程度短くされるかにより決まり得る。これにより、長さの選択肢の範囲がもたらされる。この例について、強制されたメッシュ長lが、強制されていないメッシュ長の約150%以下である場合には、内部塞栓性要素200の剛性な遠位部204の長さは、内部塞栓性要素200全体の全長Lの約5%である。
【0030】
図12a及び12bは、メッシュ300を内部塞栓性要素200にアッセンブリする別の例を例示する。自己膨張性メッシュ300の端部である端部308は、事前形状の内部塞栓性要素200の近位部202に固定され得る。一方、内部塞栓性要素200は、図12aに示されているように、実質的に真っ直ぐな構成(例えば、伸長下)にある。カテーテル10からの配置後強制されると、自己膨張性メッシュ300は、図12bに示されているように、膨らんで、短くなり、事前形状の内部塞栓性要素200がその所定の伸長形状を取るのを可能にする内部空間を形成する。これにより、内部塞栓性要素200が自己膨張性メッシュ300を形成するのが可能となる。自己膨張性メッシュ300は、内部塞栓性要素200の剛性によりその形状が修飾され得るような、柔軟性を有し得る。別の例では、内部塞栓性要素(コイル)200は、自己膨張性メッシュ300の剛性によりその形状が修飾され得、自己膨張性メッシュ300の事前形状に適応するような、柔軟性を有し得る。このため、近位部202は、メッシュ300の所定の形状により形作られ、それ自体が事前形状を有する必要がない。
【0031】
他の例では、内部塞栓性要素200の事前形状形成及び自己膨張性メッシュ300の膨張は、手術中に閉塞器具100を使用することのいくつかの利点である。図13a〜13cは、標準的なコイル又はメッシュのいずれかと同様に、閉塞器具100が、配置及び回収され得ることを例示する。図13aは、マイクロカテーテル10内側で、その送達システム20に接続している閉塞器具100を例示する。閉塞器具100がマイクロカテーテル10から押し出されると、器具100は、その所定の膨張形状を取る。内部塞栓性要素200は、短くなり始め、メッシュ300は、膨張し始める(図13b)。ただし、完全な配置及び放出の前に、閉塞器具100は、必要に応じて、マイクロカテーテル10内に回収され得る(図13c)。
【0032】
図13a〜13cは、圧縮状態の近位部(Lp)も例示する。前記コイルのピッチは、前記近位部が圧縮状態にあり、膨張しようとするように、遠位部のピッチ(Ld)とは異なる。これにより、メッシュ300は、伸長状態に置かれ、メッシュ300は、その押潰し状態を取る。このことは、図13aに例示されている。図13bは、カテーテル10の外にあり、近位部(Lp)を除圧し、その事前形状を取り得る器具100を例示する。同時に、前記除圧は、前記張力をメッシュ300から取り除き、これにより膨張を可能にする。
【0033】
メッシュ300の外形に戻って、図14は、コイル200により伸長されている間の、メッシュ300についての不均一な構成の例を例示する。このように、メッシュ300は、カテーテル10中で内部塞栓性要素(コイル)200にわたって伸長した時は、真っ直ぐ/管状であり得る。他の例では、伸長形状のメッシュ300は、非管形状を有し得る。メッシュ300は、任意の形状を取り得る。ただし、その形状は、カテーテル10中に配置され得、カテーテル10を通って移動することができなければならない。なお、内部塞栓性要素200は、それが配置され得る限り、真っ直ぐでないカテーテル10中において、所定の形状を有し得る。内部塞栓性要素200及びメッシュ300の形状は、同様でも、異なっても、又は、補完的でもよい。すなわち、メッシュ300及び内部塞栓性要素200は、異なる形状を有し得るが、その形状は、充填密度を支持し、又は、向上させる。前記形状は、二次元又は三次元であり得る。
【0034】
他の例では、メッシュ300は、下のコイル200に沿って、さらにより複雑な構成を取り得る。図15は、メッシュ300についての断面の非限定的な例を例示する。例としては、(1)丸、(2)楕円形及び/又は長円形、(3)スタジアム及び/又はカプセル、(4)半円及び/又は丸蓋並びに(5)三角形があげられる。これらは、球状、球状蓋、半球状、卵型、円筒型等を含み得る三次元形状の二次元描画である。
【0035】
前記内部塞栓性要素、例えば、コイル200及びメッシュ300の構成例は、それがカテーテル10から配置された際の、閉塞器具100の最終形状をもたらす。図16a及び16bは、閉塞器具100が完全に配置された際に形成し得る、複雑な3D形状を例示する。図17a〜17cは、動脈瘤50内に配置されている閉塞器具100を例示する。カテーテル10は、身体管腔60を通って動脈瘤50に送達されている。図17aにおいて、内部塞栓性要素200の遠位部204だけが、カテーテル10から配置されている。遠位部204は、内部塞栓性要素200の骨組みコイル部とも呼ばれ得る。骨組みコイル204は、その所定の形状を取り始め、動脈瘤50の壁部の輪郭を描き、支える構造を形成する。一定長さの遠位部204が配置された後、一部の例では、移行ゾーン206が通過すると、自己膨張性メッシュ300と共に、近位部202は、送達部材又は他の適切な技術を使用することにより、前記カテーテルから配置され始める。
【0036】
図17bは、送達カテーテル10の外で、動脈内50内に配置されている、閉塞器具100の大部分である、前記内部塞栓性要素(ここでは、コイル200として示す)及びメッシュ300の両方を例示する。器具100は、動脈瘤50に類似する形状を取る。ただし、従来技術の塞栓性コイルと異なるため、器具100は、より短いコイルを使用し、コイルをほとんど使用しない。加えて、メッシュ300は、血栓を形成及び作製する血液凝固のためのより大きい表面積を提供する。メッシュ300が配置された時、メッシュ300は、その所定の形状及び/又は内部塞栓性要素200の近位部202によりメッシュ300に課された形状を取る。メッシュ300は、前記骨組みコイル、すなわち、遠位の「メッシュでない」端部204により形成された構造を満たし始める。最終的に、閉塞器具100の位置が十分であれば、器具100は、図17cに例示されているように、送達システム20から取り外され、動脈瘤50中に残される。本発明の器具を使用することにより、外科医は、従来技術の閉塞器具とは異なり、圧縮されることなく、必要な1つの器具のみを使用して、十分な充填密度を達成し得る。
【0037】
図18は、本発明の例により動脈瘤を処置する方法の例を例示する。本方法は、コイル200及び膨張性メッシュ300としてここで説明されている、前記内部塞栓性要素を有する閉塞器具100の例のいずれかを使用することを含む。この場合、前記膨張性メッシュは、内部塞栓性要素200の近位部202の上を覆って配置されている。内部塞栓性要素200の遠位部204は、骨組みコイルであり得る。閉塞器具100は、患者の血管又は身体管腔内に配置され(工程400)、動脈瘤に向けられる(工程402)。遠位部/骨組みコイル204は、動脈瘤内に配置され(工程404)、その所定の形状を取る(工程406)。次に、膨張性メッシュ300は、内部塞栓性要素200の近位部202と共に前記動脈瘤内に配置される(工程408)。膨張性メッシュ300は、その膨張した形状を取る(工程410)。本方法の別の例は、前記骨組みコイル/遠位部が、前記近位部より剛性であるように、前記内部塞栓性要素についての異なる剛性を構成又は選択する工程を含み得る。例えば、前記剛性は、上記開示されている例示的構成、又は、当業者に公知の方法を使用して、手術に先立って決定され得る。外科医は、手術中又は手術前のタイミングで、患者に必要なおおよそのサイズ及び剛性を有する閉塞器具100を選択し得る。
【0038】
図19a及び19bは、本発明の閉塞器具100を使用する介在、及び、従来の塞栓性コイルによる従来のコイル法の断面比較を提供する。従来手法では(図19aの上部)、第1コイルである骨組みコイル70は、動脈瘤内に配置される。骨組みコイル70は、典型的には、最も剛性であるか、又は、最も堅く、動脈瘤中で「ケージ」の骨組みを作る。骨組みコイル70は、長さが約60cm以下であり得る。更なるコイルである、第2コイル72、第3コイル74、第4コイル76等が、動脈瘤内に配置されて、前記動脈瘤が血栓を達成する密度に満たされるまで、骨組みコイル70により形成された構造を断続的に満たす。第2、第3及び第4コイル72、74、76は、骨組みコイル70より軟らかく、各連続コイルについて次第に軟らかくなり得る。連続コイル72、74、76は、前記動脈瘤の壁部に対する圧力を最小化して、破裂の恐れを最小化するために、一般的により軟らかい。好ましくは、25%を超える充填密度を達成するために、この従来法では、典型的には、5〜7個のコイルが必要とされる。
【0039】
対照的に、図19bは、本発明の閉塞器具100の例のいずれかを使用するメッシュ法を例示する。ここで、内部塞栓性要素200の遠位部204は、骨組みコイルとして機能し得る。自己膨張性メッシュ300を伴う内部塞栓性要素200の近位部202は、動脈瘤内に配置され、従来法に使用される複数のコイルに代えて、前記骨組みコイルにより形成された構造を満たす。塞栓性器具100は、1つの配置された器具により、40%を超える充填密度を達成し得る。これにより、手術時間及び複雑性の両方を最小化されると同時に、複数のコイルを個々に配置する必要がない。
【0040】
図20aは、配置された閉塞器具100の種々の形状の例を図示し、以下の通りである。(1)直径2mmの丸いメッシュ、低い充填、複雑な形状;(2)直径2mmの丸いメッシュ、高い充填、複雑な形状;(3)直径1mmの丸いメッシュ、低い充填、複雑な形状:(4)直径1mmの丸いメッシュ、高い充填、複雑な形状、コイルなし;(5)幅3mmの平らなメッシュ、らせん形状;(6)幅3mmの平らなメッシュ、真っ直ぐな形状、内部塞栓性要素中のコイル;(7)主軸2.4mm×短軸0.8mmの楕円形メッシュ、らせん形状;及び(8)断続的にビーズを含んで形成された直径2mmの丸いメッシュ。
【0041】
図20b及び20cは、配置された閉塞器具100の別の例を例示する。図20cは、図20bの配置された器具の拡大部分である。内部塞栓性要素200の上を覆うメッシュ部(すなわち、メッシュ300を伴う近位部Lp)及び内部塞栓性要素200の骨組み部分(すなわち、塞栓性要素200を伴う遠位部Ld)が特定されている。ここで、両方とも、完全に配置されており、図20cにおいて、メッシュ300は、その膨張状態にある。図20d及び20eは、本発明の配置された血管閉塞器具の2つの他の例である。
【0042】
図21は、遠位部長(Ld)vs器具全長(L)の数多くの例示となる比を例示する。動脈瘤について、直径4mm〜34mmの範囲で計算する。遠位部204は動脈瘤50の「骨組みを作る」ためのものであり、その上を覆うメッシュ300を伴う近位部202は、前記動脈瘤を「充填する」ためのものであると、前記計算について仮定する。図21は、遠位部長Ldと前記近位部上を覆っている配置された自己膨張性メッシュの長さlについての比(図7及び10を参照のこと)を例示する。前記例は、数多くの仮定のために、理想化されていると考えられる。1つは、前記コイルがコイル直径(.635mm=.025”及び.2032mm=.008”)と等しい均一な厚みの「球状シェル」を形成し、前記シェルの外径が、動脈瘤の直径及び中空球と等しく、前記シェルの形状が、メッシュにより前記シェル中の前記コイルと等しい充填密度に充填されることである。他の例では、前記中空球中の前記メッシュは、前記シェル中の前記コイルの2倍及び4倍の充填密度で充填される。これらの例では、充填密度の計算仮定において、前記メッシュは、充填中にその非強制直径を維持する。コイルとは異なり、メッシュは圧縮可能であり、メッシュをコイルより非常に高い充填密度に充填し得るためである。これらの寸法及び計算は、例示することを意図しており、請求された発明の範囲を限定することを決して意図してない。
【0043】
典型的な実施形態は、7%〜97.3%で変動する、Ldと器具全長Lとの間の比を有し得る。他の比の範囲は、約10%〜約23%、約30%〜約45%、約52%〜約69%、約71%〜約85%及び約90%〜約97%を含み得る。
【0044】
上記開示されている例に加えて、前記骨組みコイルは、まず、前記遠位部及び前記メッシュが、前記内部塞栓性要素の近位部に沿って続く際に、動脈瘤内に配置される。前記配置順は、逆でもあり得る。このため、前記メッシュを保持している前記内部塞栓性要素の近位部を配置し、ついで、前記遠位部、すなわち、前記骨組みコイルを配置し得る。逆構成の例において、任意又は全ての上記されている他のパラメータが利用され得る。あるいは、前記骨組み端と編み込み端との間の剛性及び長さにおけるバリエーションは、配置の性質に基づいて変化され得る。
【0045】
本明細書に含まれる説明は、本発明の実施形態の例示であり、本発明の範囲をどのようにも限定することを意図していない。本明細書に記載されているように、本発明では、骨組みコイルを伴う本発明の血管閉塞器具並びにこれらを送達する方法の多くの変更及び改変、例えば、数多くの内部塞栓性要素、コイル構成、前記内部塞栓性要素についての数多くの剛性特性、数多くのメッシュ外形、前記内部塞栓性要素及びメッシュについての数多くの材料が考慮される。また、多くの可能な変形例が、材料及び放出機構の構成においてある。これらの改変は、本発明が関連する当技術分野の当業者に明らかであろうし、かつ、以下の特許請求の範囲内であることを意図する。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 閉塞器具であって、
近位部及び遠位部を含む内部塞栓性要素であって、前記遠位部が、第1剛性を有し、前記近位部が、第2剛性を有する、内部塞栓性要素と、
押潰し位置と膨張位置との間で変形可能な膨張性メッシュであって、前記膨張性メッシュが、前記内部塞栓性器具の前記近位部の一部の上を覆って配置されている、膨張性メッシュとを備える、閉塞器具。
(2) 前記第1剛性が、前記第2剛性とは異なる、実施態様1に記載の閉塞器具。
(3) 前記内部塞栓性器具が、前記膨張性メッシュを前記押潰し位置から前記膨張位置に変形させるのを手助けする所定の予め選択された形状を有するコイルを備える、実施態様1に記載の閉塞器具。
(4) 前記膨張性メッシュが、前記内部塞栓性要素の前記近位部を実質的に覆う、実施態様1に記載の閉塞器具。
(5) 前記膨張性メッシュが、所定の形状を含む、実施態様1に記載の閉塞器具。
【0047】
(6) 前記膨張性メッシュが、いったん前記膨張位置にくると、前記所定の形状を取る、実施態様5に記載の閉塞器具。
(7) 前記内部塞栓性要素は、前記第1剛性が前記第2剛性に変化する移行ゾーンをさらに備える、実施態様1に記載の閉塞器具。
(8) 前記第1剛性が、前記第2剛性より高いか、又は、前記第2剛性未満かの一方である、実施態様1に記載の閉塞器具。
(9) 前記第1剛性が、前記第2剛性の少なくとも約10倍である、実施態様1に記載の閉塞器具。
(10) 前記第1剛性が、前記第2剛性の約20倍以下である、実施態様1に記載の閉塞器具。
【0048】
(11) 前記第1剛性が、前記第2剛性の約30倍以下である、実施態様1に記載の閉塞器具。
(12) 前記膨張性メッシュが前記押潰し位置にある場合、前記内部塞栓性器具の前記近位部が、伸長状態にあり、前記膨張性メッシュが、圧縮状態にある、実施態様1に記載の閉塞器具。
(13) 前記遠位部が、遠位長を含み、前記近位部が、近位長を含み、前記遠位長が、前記内部塞栓性要素の全長の少なくとも7%である、実施態様1に記載の閉塞器具。
(14) 前記膨張性メッシュが、前記押潰し位置におけるメッシュ長を有し、
前記近位部の前記近位長が、前記押潰しメッシュ長より約2%〜5%長い、実施態様13に記載の閉塞器具。
(15) 前記内部塞栓性要素が、所定の形状を有するコイルを備える、実施態様1に記載の閉塞器具。
【0049】
(16) 近位部及び遠位部を含む内部塞栓性要素と、膨張性メッシュとを有し、前記膨張性メッシュが、前記内部塞栓性要素の前記近位部の一部の上を覆って配置されており、前記近位部が、前記遠位部とは異なる剛性を有する、閉塞器具を使用して、動脈瘤を処置する方法であって、
前記閉塞器具を患者の血管内に配置する工程と、
前記閉塞器具を前記動脈瘤に向ける工程と、
前記内部塞栓性要素の前記遠位部を、カテーテルから前記動脈瘤内に配置する工程と、
前記内部塞栓性要素の前記遠位部により、所定の形状を取る工程と、
前記膨張性メッシュを、前記動脈瘤内に配置する工程とを含む、方法。
(17) 前記内部塞栓性要素の前記遠位部が、骨組みコイルであり、前記骨組みコイルが前記近位部より剛性であるように、内部塞栓性要素の前記異なる剛性を構成する工程をさらに含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記遠位部が、前記近位部の剛性の少なくとも10倍の剛性を有する、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記遠位部が、前記近位部の剛性より20倍以下の剛性を有する、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記遠位部が、前記近位部の剛性より30倍以下の剛性を有する、実施態様16に記載の方法。
【0050】
(21) 前記遠位部が、前記閉塞器具の全長の少なくとも約7%の長さを有する、実施態様16に記載の方法。
(22) 前記膨張性メッシュが、押潰し位置におけるメッシュ長を有し、
前記近位部が、近位長を有し、前記近位長が、前記押潰しメッシュ長より約2%〜5%長い、実施態様16に記載の方法。
(23) 前記遠位部の剛性が、前記近位部より軟らかい、実施態様16に記載の方法。
(24) 近位部及び遠位部を含む内部塞栓性要素と、膨張性メッシュとを有し、前記膨張性メッシュが、前記内部塞栓性要素の前記遠位部の一部の上を覆って配置されており、前記近位部が、前記遠位部とは異なる剛性を有する、閉塞器具を使用して、動脈瘤を処置する方法であって、
前記閉塞器具を患者の血管内に配置する工程と、
前記閉塞器具を前記動脈瘤に向ける工程と、
前記膨張性メッシュを前記内部塞栓性要素の前記遠位部と共に、カテーテルから前記動脈瘤内に配置する工程と、
前記膨張性メッシュにより、所定の形状を取る工程と、
前記内部塞栓性要素の前記近位部を、カテーテルから前記動脈瘤内に配置する工程と、
前記内部塞栓性要素の前記近位部により、所定の形状を取り、前記動脈瘤の骨組みを作る工程とを含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図13c
図14
図15
図16a
図16b
図17a
図17b
図17c
図18
図19a
図19b
図20a
図20b
図20c
図20d
図20e
図21
図22