特許第6719980号(P6719980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日揮触媒化成株式会社の特許一覧

特許6719980鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法
<>
  • 特許6719980-鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法 図000005
  • 特許6719980-鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法 図000006
  • 特許6719980-鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法 図000007
  • 特許6719980-鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法 図000008
  • 特許6719980-鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法 図000009
  • 特許6719980-鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6719980
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/00 20060101AFI20200629BHJP
   B01J 38/02 20060101ALI20200629BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20200629BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20200629BHJP
   B01J 29/90 20060101ALI20200629BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   B01J38/00 A
   B01J38/02
   B01J38/00 301Z
   B01J35/10 301A
   B01J29/08 M
   B01J29/90 M
   C10G11/18
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-107239(P2016-107239)
(22)【出願日】2016年5月30日
(65)【公開番号】特開2017-205744(P2017-205744A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-98813(P2016-98813)
(32)【優先日】2016年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】酒井 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】濱田 玲
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 勝英
(72)【発明者】
【氏名】迫田 尚夫
【審査官】 佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−144151(JP,A)
【文献】 特表2009−526632(JP,A)
【文献】 米国特許第05393412(US,A)
【文献】 国際公開第2011/136217(WO,A1)
【文献】 特表平04−503373(JP,A)
【文献】 特開昭59−010347(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0224465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C10G 1/00 − 99/00
C22B 7/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解用触媒表面に鉄が堆積して細孔を閉塞し、失活した触媒を再活性化する方法であって、容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積をV0とし、上昇気流で前記触媒を流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の上昇気流で、温度800℃以下で、0.5〜30時間流動させて、触媒同士を接触させ、表面に堆積した鉄の摩耗除去を行い、再活性化触媒を得ることを特徴とし、フレッシュ触媒、鉄堆積流動接触分解用触媒、および再活性化触媒の水銀圧入法で測定したLog微分細孔容積分布で50〜500nmの範囲で最大細孔容積を占める細孔直径が下記式1で表される条件を満たす鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法。
E/DF+0.05 ≦ DT/DF ≦ 1.0 ・・・式1
(a)DF:フレッシュ触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)、
(b)DE:鉄堆積流動接触分解用触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(c)DT:再活性化触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
【請求項2】
触媒同士を接触させたのち、触媒から分離された鉄堆積物からなる微粉を捕集して、再活性化触媒と分別することを特徴とする請求項1に記載の鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法。
【請求項3】
鉄堆積流動接触分解用触媒を内部に充填する摩耗処理部の容器とその上部に分離部および捕集器を備え、摩耗処理部の容器下部には容器内に上昇気流を吹き込むための投入口が設けられてなり、摩耗処理部の容器内で鉄堆積流動接触分解用触媒を流動させ触媒同士を接触させて触媒表面の摩耗処理を行い、得られた再活性化触媒と、鉄堆積物と分離部で分離し、捕集器で鉄堆積物からなる微粉を捕集する機能を備えた鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化装置。
【請求項4】
反応塔、分離部、再生塔、前記請求項3に記載の触媒再活性化装置およびフラクショネータを備えた流動接触分解装置を使用し、原料油および流動接触分解用触媒を反応塔に装入して、原料油の接触分解を行い、分離部で、被処理油と触媒とを分離したのち、被処理油をフラクションネータで分留するとともに、触媒を再生塔で、コーク分を燃焼除去し再生したのち、反応塔に循環させる接触分解方法において、
前記鉄堆積流動接触分解用触媒を摩耗処理部の容器内に充填し、摩耗処理部の容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積をV0とし、前記容器下方から充填した触媒を、上昇気流で流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の空気の上昇気流で、温度800℃以下で、0.5〜30時間、流動させて、触媒同士を接触させ表面に堆積した鉄の摩耗除去を行い、フレッシュ触媒、鉄堆積流動接触分解用触媒、および得られた再活性化触媒の水銀圧入法で測定したLog微分細孔容積分布で50〜500nmの範囲で最大細孔容積を占める細孔直径が下記式1で表される条件を満たす再活性化触媒を、フレッシュ触媒とともに、再生塔に戻し、反応塔に循環させることを特徴とする原料油の流動接触分解方法。
E/DF+0.05 ≦ DT/DF ≦ 1.0 ・・・式1
(a)DF:フレッシュ触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(b)DE:鉄堆積流動接触分解用触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(c)DT:再活性化触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に鉄やニッケルなどが堆積した流動接触分解用触媒の再活性化方法に関する。詳しくは、簡易で効率的に、しかも材料損失が少ない方法で、鉄堆積流動接触分解用触媒を再活性化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動接触分解(以下、FCCとも言う。)は、付加価値の低い重質な油を、高温下で触媒と接触して分解反応させ、付加価値の高いLPGやガソリン、灯油、軽油等に転化するプロセスである。流動接触分解(FCC)で用いられる触媒(以下、流動接触分解用触媒またはFCC触媒とも言う。)としては、たとえば、ゼオライトおよび活性アルミナを主成分として含む固体酸触媒が使用される。
【0003】
FCCでは、アップフロー反応器(通常ライザーと呼ばれている)を使用し、原料油はFCC触媒とともに反応器の底部から供給される。そして流動状態にある触媒を、反応塔と再生塔の間で循環させ、原料油の接触分解が行われる。
FCC触媒は流動接触分解に使用されると次第に活性が低下するが、劣化のメカニズムは次に分類される。
【0004】
1.コーク劣化
ライザー中で接触分解反応が起こるが、分解反応と同時にコークも生成し、コークが触媒の活性点を被覆して反応中に急激に失活する。反応に使用された後の触媒は再生塔に移送され、コークは再生塔中で燃焼除去されるため、再生可能な失活である。たとえば、特許文献1:特表2009−520601号公報には、再生容器の改良方法が開示されている。
【0005】
2.水熱劣化
再生塔の中は650℃以上の高温で、さらにコークを燃焼させた際に水が生成するため、高温のスチーム雰囲気となっている。FCC触媒の主な活性成分であるゼオライトはこのような条件に晒されると結晶構造が壊れ、活性を失ってしまう。このため、FCC触媒は装置内に滞留する時間が長くなるほど活性が低下する。この種の失活は再生不可能である。
【0006】
3.メタル劣化
FCCで使用される重質な原料油には、原油中に含まれているナトリウム、カルシウム、ニッケル、バナジウム、および、原油の輸送やFCCの前工程で混入する鉄、モリブデンなどの金属が含まれている。いずれの金属も再生塔で除去することができず触媒上に蓄積されるため、FCC触媒が装置内に滞留する時間が長くなるほど金属堆積量は多くなり、触媒活性に悪影響を及ぼす。主な作用は、ナトリウム、カルシウム、バナジウム、モリブデンは活性点を被毒またはゼオライト結晶構造を破壊し失活させ、一方、ニッケルや鉄はFCC触媒の粒子表面に多く分布し、堆積量が増えると細孔を閉塞して活性を低下させるというものである。
【0007】
重質石油類の流動接触分解を行う場合、メタル劣化のうち、原料油中に含まれるニッケル、鉄などの金属が触媒上に堆積する現象が、特に顕著に見られる。これらの金属は触媒の活性を低下させるだけでなく、触媒の選択性も低下させる。すなわち、炭化水素の脱水素反応を促進し、その結果、生成物として好ましくない水素ガスやコークの生成量が増加し、好ましい液化石油ガス、ガソリン、灯軽油の生成量が減少する。
【0008】
このような触媒活性の低下や選択性の低下を避けるために、流動接触分解においては、通常循環系内の触媒の一部を定期的あるいは定常的に抜き出し、フレッシュ触媒と交換して活性を一定に維持する方法が採用されている。しかしながら、金属含有量の多い重質油あるいは残油を処理する場合、触媒の抜き出し量を著しく多くする必要があり、非常に高いコストとなっている。また抜き出された触媒(以下、平衡触媒という。)の廃棄は、産業廃棄物となるため、その処理にはさらにコストがかかる結果となっている。
【0009】
そこで、またニッケルや鉄などの金属の磁性に着目し、これらの金属が多量に堆積して着磁物となった着磁触媒を磁気分離する方法が提案されている(特許文献2:米国特許第5171424号、特許文献3:特開2006−187761号公報)。
活性化剤を含む液体で触媒をスラリー化して、細孔を閉塞した汚染物質を除去することが提案されている(特許文献4:特表2001-506538号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2009−520601号公報
【特許文献2】米国特許第5171424号
【特許文献3】特開2006−187761号公報
【特許文献4】特表2001−506538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2および3のように磁気分離する方法は、FCC触媒中の鉄濃度の高い、すなわち活性の低い粒子を磁気分離により選択的に除去する技術である。FCC触媒上に堆積した鉄は触媒全体に均一に分布している訳ではなく、粒子間および粒子内において不均一に分布している。装置内滞留時間によって触媒上に堆積した鉄量は異なり、滞留時間が長い触媒粒子ほど鉄濃度は高く、短いほど鉄濃度は低くなる。また、個々の触媒粒子についてみると、粒子表面に近いほど鉄濃度が高く、中心に近づくほど鉄濃度は低くなる。つまり、表面は失活していても内部は失活していない状態となっている。
【0012】
特許文献2および3は、実装置投入後長期滞留している低活性の触媒を分離する手法である。この手法を用いると触媒粒子を丸ごと分離除去するため、鉄濃度が低い触媒粒子の内部も一緒に除去されることになる。したがって、内部の有効な触媒部分も廃棄されることになるため、触媒資源の無駄になるとともに、また廃棄物量が多いので処理費用がかさむという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、このような課題を解決すべく、鋭意検討した結果、FCC処理中に、鉄やニッケルが触媒表面の細孔周辺に付着して、触媒が失活していることに着目した。
そして、触媒表面の細孔に付着した鉄やニッケルなどを剥がすことができれば、触媒を有効に再活性して利用できると考えた。しかし、特許文献4のように、活性化剤を使用して液中で除去する方法は、液中分散や固液分離、乾燥などの工程を経るため、非効率的でありコストが高すぎる。
【0014】
そこで、本発明者らは、新たな触媒の再活性方法を開発するため検討した結果、上昇気流を使用して、失活した触媒粒子を流動させ、粒子同士を接触させて粒子表面を摩耗処理することで、表面の細孔周辺に存在する鉄やニッケルを分離して、FCC触媒を再活性化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明の構成は以下の通りである。
[1] 流動接触分解用触媒表面に鉄が堆積して細孔を閉塞し、失活した触媒を再活性化する方法であって、容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積をV0とし、上昇気流で前記触媒を流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の上昇気流で、温度800℃以下で、0.5〜30時間流動させて、触媒同士を接触させ、表面に堆積した鉄の摩耗除去を行い、再活性化触媒を得ることを特徴とし、フレッシュ触媒、鉄堆積流動接触分解用触媒、および再活性化触媒の水銀圧入法で測定したLog微分細孔容積分布で50〜500nmの範囲で最大細孔容積を占める細孔直径が下記式1で表される条件を満たす鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法。
E/DF+0.05 ≦ DT/DF ≦ 1.0 ・・・式1
(a)DF:フレッシュ触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(b)DE:鉄堆積流動接触分解用触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(c)DT:再活性化触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
【0016】
[2] 触媒同士を接触させたのち、触媒から分離された鉄堆積物からなる微粉を捕集して、再活性化触媒と分別することを特徴とする[1]の鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法。
【0017】
[3] 鉄堆積流動接触分解用触媒を内部に充填する容器とその上部に分離部および捕集器を備え、容器下部には容器内に上昇気流を吹き込むためも投入口が設けられてなり、容器内で鉄堆積流動接触分解用触媒の摩耗処理を行い、得られた再活性化触媒と、鉄堆積物と分離部で分離し、捕集器で鉄堆積物からなる微粉を捕集する機能を備えた鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化装置。
【0018】
[4] 反応塔、分離部、再生塔、触媒再活性化装置およびフラクショネータを備えた流動接触分解装置を使用し、原料油および流動接触分解用触媒を反応塔に装入して、原料油の接触分解を行い、分離部で、被処理油と触媒とを分離したのち、被処理油をフラクションネータで分留するとともに、触媒を再生塔で、コーク分を燃焼除去し再生したのち、反応塔に循環させる接触分解方法において、
前記鉄堆積流動接触分解用触媒を容器内に充填し、容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積をV0とし、前記容器下方から充填した触媒を、上昇気流で流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の空気の上昇気流で、温度800℃以下で、0.5〜30時間、流動させて、触媒同士を接触させ表面に堆積した鉄の摩耗除去を行い、フレッシュ触媒、鉄堆積流動接触分解用触媒、および得られた再活性化触媒の水銀圧入法で測定したLog微分細孔容積分布で50〜500nmの範囲で最大細孔容積を占める細孔直径が下記式1で表される条件を満たす再活性化触媒を、フレッシュ触媒とともに、再生塔に戻し、反応塔に循環させることを特徴とする原料油の流動接触分解方法。
E/DF+0.05 ≦ DT/DF ≦ 1.0 ・・・式1
(a)DF:フレッシュ触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(b)DE:鉄堆積流動接触分解用触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
(c)DT:再活性化触媒の最大細孔容積を占める細孔直径(nm)
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法を採用することで、鉄堆積物により失活した触媒の活性を効率的に回復させることが可能となり、これに伴い廃触媒量を低減できるとともに、新たに導入されていたフレッシュ触媒の使用量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明にかかる再活性化装置の概略図を示す。
図2】本発明にかかる再活性化方法を用いた、原料油の接触分解反応の概略工程図を示す。
図3】使用前のフレッシュ触媒の表面SEM写真を示す。
図4】鉄堆積触媒の表面SEM写真を示す。
図5】摩耗処理後の触媒の表面SEM写真を示す。
図6】摩耗処理前後の細孔容積の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の方法は、流動接触分解プロセスにおける鉄堆積した流動接触分解用触媒の再活性化方法に適用される。
【0022】
一般的な流動接触分解プロセスとしては、まず重質石油類を流動接触分解装置中で流動状態に保持されている触媒と接触させて分解し、次に分解生成物、未反応原料および触媒の混合物が分離されたのち、炭素質および一部重質炭化水素類が付着した触媒には再生塔で燃焼処理が施される。再生塔で再生された触媒は、反応塔に送られ、これにより連続的に原料油の接触分解反応が行われる。
【0023】
流動接触分解反応中、原料油中に含まれるニッケル、鉄、コバルト、バナジウム、銅などの金属が触媒表面の細孔に堆積して細孔を塞ぎ、触媒を失活させる。これらの金属は原油もしくは輸送貯蔵および処理装置との接触に由来する。本発明における「鉄堆積物」には、鉄とともに、ニッケル、コバルト、バナジウム、銅などの金属の堆積物も含まれる。
【0024】
触媒としては、たとえば、市販のFCC触媒、例えば、HMR、STW、DCT、ACZ、CVZ(何れも日揮触媒化成(株)製の商標または登録商標)などが例示される。未使用の新触媒をフレッシュ触媒といい、流動接触分解装置から抜き出された触媒を平衡触媒ということもある。
【0025】
FCC触媒はフォージャサイト型ゼオライトを含む多孔性無機酸化物から構成され、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−ボリア、チタニア、ジルコニア、シリカ−ジルコニア、珪酸カルシウム、カルシウムアルミネートなどの耐火酸化物、および、カオリン、ベントナイト、ハロイサイトなどの粘土鉱物などを挙げることができる。
【0026】
触媒の平均粒子径は40〜100μm、好ましくは50〜80μmの範囲にあることが好ましい。触媒の平均粒子径が前記範囲にない場合は、好適な触媒流動状態が得られない場合がある。
【0027】
上記触媒の平均粒子径は、篩分粒度分布測定装置(セイシン企業製RPS−85EX)を用いて乾式マイクロメッシュシーブ法により、20、30、45、60、75、90、105、150μmで篩分けし、分級した各試料の質量%を求め、積算質量%をプロットし、50質量%値を平均粒子径とする。また、触媒の嵩比重は0.5〜1.1g/ml、さらには0.6〜1.0g/mlの範囲にあることが好ましい。触媒の嵩比重が前記範囲にない場合も、好適な流動状態が得られないことがある。上記触媒の嵩比重は、UOP Method254−65に基づいて測定する。
【0028】
具体的な測定方法としては、触媒を600℃で2時間焼成し、冷却後、25mlシリンダーに触媒をあふれるまで注ぎ、シリンダー上面からあふれた触媒を水平にすり切り、触媒の質量を測定し、下記式により算出する。
嵩比重(g/ml)=触媒質量(g)/25(ml)
【0029】
このような触媒表面の細孔が「鉄堆積物」によって塞がれて、機能が低下したり、失活する。鉄堆積物量は、触媒の大きさや細孔容積に応じて適宜選択され、連続的に処理される原料油反応物の組成から、活性が低下したかどうかを判断できる。通常、触媒中に鉄堆積物量が0.5質量%を超えた程度で活性が低くなるのが目安である。
【0030】
<1.再活性化方法>
本発明では、鉄が堆積した接触分解用触媒に、摩耗処理を施し、鉄堆積接触分解用触媒を再活性化させる。
【0031】
具体的には、鉄堆積流動接触分解用触媒を容器内に充填し、容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積をV0とし、前記容器下方から充填した触媒を、上昇気流で流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の空気の上昇気流で、触媒を流動させる。図1に体積および界面高さの概念をあわせて示す。VM/V0が1.5よりはるかに小さい値になると、流動性が低いため触媒同士の摩耗が抑えられ、鉄堆積物の除去効率が低くなり、2.5よりははるかに大きい値になると、触媒が乱流状態に近くなり、触媒同士の摩耗する確率が鉄堆積物の除去効率が低下するので好ましくない。
【0032】
この時の処理温度は800℃以下であり、処理時間は、0.5〜30時間である。温度の下限は特に制限されず室温やそれ以下の温度であってもよい。
容器内の触媒充填量は、触媒の組成や大きさ・形状、容器の大きさや形状に応じて適宜選択されるが、容器としては、後記する本発明にかかる再活性化装置が使用される。
【0033】
また、容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積V0および上昇気流で流動させたときに形成される流動層の体積VMは、容器の形状から算出可能であり、容器底部断面積、および、粉体層・流動層と気層とのそれぞれの界面高さから算出できる。また容器底部に円錐部がなく、底面断面積が一定であれば界面高さから、VM/V0を算出できる。なお界面高さは、容器の一部を透明材料(ガラスやアクリル)から構成し、目視で界面に相当する容器の箇所に線を引くことで実測できる。上昇気流で流動させた流動層の界面は、通常、明確であるが、波立つ場合、平均値となるように、界面高さを設定すればよい。
【0034】
かかる処理条件であれば、触媒が流動するとともに適度に接触して、表面部分が摩耗される。このような処理条件によれば、触媒同士を接触させ、表面の細孔に堆積した鉄堆積物が摩耗分離される。
【0035】
摩耗処理することで、触媒表面の細孔部に付着した鉄などの堆積物が除かれるため細孔径が大きくなる。再生の目安としてフレッシュ触媒、鉄堆積流動接触分解用触媒、および再活性化触媒の水銀圧入法で測定したLog微分細孔容積分布で50〜500nmの範囲で最大細孔容積を占める細孔直径をDF、DE、DTとしたとき、下記式1で表される範囲の細孔径を有する再活性化触媒を得ることで再度接触分解装置に用いることができるレベルの活性を有する触媒となる。
【0036】
E/DF+0.05 ≦ DT/DF ≦ 1.0 ・・・式1
この式は、再活性化した触媒の細孔径が、鉄堆積した触媒の細孔の開口比率を5%以上向上したものであることを意味する。
【0037】
摩耗量は、触媒が再活性化されれば、特に制限されないが、中心部分の残量を超えない範囲であればよい。摩耗した部分が失活触媒の「表面部分」に相当し、残部が触媒の「中心部分」となる。
【0038】
さらには、鉄などの堆積物は、表面部分の細孔に多く堆積しているため、上記方法で摩耗すると、表面部分の鉄堆積物を選択的に除去できる。したがって、鉄堆積物の除去は、上記のように細孔径をモニタリングして判断される。おおよその目安として、表面に堆積した鉄を1.0質量%以上、好ましくは1.5質量%以上除去することが好ましいが、細孔径や細孔容積によるのでこの限りでない。
【0039】
再活性化される触媒粒子の粒子径は、摩耗処理によって、実質的に変化しないか、あるいは、若干小さくなることもあるが、再活性触媒はフレッシュ触媒と混合されるので、特に問題となることはない。また、閉塞されていた細孔が堆積物除去により回復するため、細孔分布が、フレッシュ触媒や失活していない接触分解用触媒の細孔分布と同レベルに戻る。
【0040】
摩耗処理された堆積物と触媒はサイクロンなどの分級器などによって分離され、回収された再活性化触媒は、接触分解用触媒に再使用され、分離された鉄堆積物からなる微粉は捕集して摩耗処理によって再活性化された触媒と分別される。
【0041】
再活性化処理前後による触媒表面のSEM写真を図3〜5に示す。これらは実施例で評価する、触媒のSEM写真である。
図3は新触媒(フレッシュ触媒)であり、図4は、鉄堆積した接触分解用触媒である。図5は再活性化した触媒であり、図3で表面にみられる細孔に鉄堆積による図4に示されるような突起物が観察されるが、再活性化処理とともに、突起物が消失して、細孔が出現する。
【0042】
<2.再活性化装置>
本発明にかかる再活性化装置は、鉄堆積した流動接触分解用触媒を内部に充填する容器とその上部に分離部および捕集器を備え、容器下部には容器内に上昇気流を吹き込むための投入口が設けられてなり、容器内で鉄堆積流動接触分解用触媒の摩耗処理を行い、摩耗処理された触媒と、鉄堆積物と分離部で分離し、捕集器で鉄堆積物からなる微粉を捕集する機能を備える。
【0043】
かかる再活性装置の模式図を図1に示す。本発明の再活性装置は、触媒を流動させて接触させる容器内が摩耗処理部であり、その容器上部に分離部と捕集部から構成される。
容器の下部には空気を吹き込むための投入口が設けられる。
【0044】
投入口には、空気供給ラインが設けられ、必要に応じて、該ラインには空気を所定の線速に調整するためのコンプレッサーなどの圧縮手段、空気中の塵や水分を除去するためフィルターやドライヤー、バルブやオリフィス板などが設けられる。
【0045】
容器の容積は、目的とする反応装置の大きさに応じて適宜選択されるが、鉄堆積接触分解用触媒を容器内に充填し、そのときの粉体層の体積をV0とし、前記容器下方から充填した触媒を、上昇気流で流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の空気の上昇気流で、触媒を流動できる空間があれば特に制限ない。
【0046】
容器の上部に設けられる分離部は、上昇気流および重力によって、摩耗処理された触媒と堆積物を分離できるように構成され、たとえば所定の傾斜が設けられたサイクロン型分離手段が設けられる。
【0047】
このような分離手段を保持する治具やストッパーなどが容器外面や底部などに設けられていてもよい。
分離手段の上部に設けられた捕集部としては、バグフィルターなどの公知の集塵装置が用いられる。また、磁気や帯電機構を有する集塵装置を用いることも可能である。摩耗処理によって再活性化された触媒は、分離部によって分離され、そのまま摩耗処理容器内に滞留するか、別途分離部の側面に設けられた回収路より回収される。微粉の鉄堆積物は、上昇気流によって、分離部を通過して、捕集部にて捕集される。
【0048】
<3.原料油の流動接触分解方法>
本発明にかかる原料油の流動接触分解方法は、原料油および流動接触分解用触媒を反応塔に装入して、接触分解を行う。
【0049】
原料油としては、通常の炭化水素原料油、例えば、水素化脱硫減圧蒸留軽油(DSVGO)や、減圧蒸留軽油(VGO)を用いることができ、更に、常圧蒸留残渣油(AR)、減圧蒸留残渣油(VR)、脱硫常圧蒸留残渣油(DSAR)、脱硫減圧蒸留残渣油(DSVR)、脱アスファルテン油(DAO)等の残渣油も使用することができ、これらの単独又は混合したものも使用できる。本発明によれば、沸点範囲が常圧で250℃以上の重質油を処理できるが、重質油に一部軽質油を混合したものも用いることができる。
【0050】
本発明で使用する流動接触分解反応装置は、公知のものを特に制限なく使用でき、反応塔、分離部、再生塔、触媒再活性装置およびフラクショネータを備えた流動接触分解装置が使用される。
【0051】
図2にかかる重質油の接触分解反応の概略工程図を示す。
本発明では、原料油および流動接触分解用触媒を反応塔に装入して、流動状態に保持されている触媒と連続的に接触させ、原料油の接触分解を行う。
【0052】
接触分解によって被処理油(分解生成物および未反応物)と触媒の混合物は分離部に送られ、分離部で、被処理油と触媒とを分離したのち、被処理油はフラクションネータで分留される。
【0053】
一方、分離された触媒は、再生塔で、コーク分を燃焼除去することで、再生触媒となり、前記反応塔に連続的に循環される。分離部で分離された触媒は必要に応じてストリッピング処理(図示せず)を行ってもよい。
【0054】
また、図2では、新たに追加されるフレッシュ触媒はフレッシュ触媒ホッパーから再生塔を経由して反応塔に送られるが、フレッシュ触媒の供給はこの限りでない。
本発明において、流動接触分解反応の条件は特に制限されず通常広く行われている条件で、反応塔温度、再生塔温度、触媒/油比、反応圧力、接触時間などが設定される。
【0055】
再生塔より、鉄堆積接触分解用触媒を抜き出すタイミングは、反応生成物組成や触媒活性、さらに触媒の細孔径や細孔容積をモニタリングして判断される。
本発明では、再生塔より抜き出された鉄堆積接触分解用触媒を、容器内に充填し、容器下方から、容器内に鉄堆積流動接触分解用触媒を充填したときの粉体層の体積をV0とし、前記容器下方から充填した触媒を、上昇気流で流動させたときに形成される流動層の体積をVMとして、VM/V0が1.5〜2.5倍となる範囲の空気の上昇気流で、温度800℃以下で、時間0.5〜30時間、触媒を流動させて、触媒同士を接触させ、表面の鉄堆積物の摩耗除去を行う。摩耗除去により、鉄堆積物が分離されて、触媒は再活性化され、必要に応じて追加されるフレッシュ触媒とともに、再生塔に戻し、反応塔に循環させる。また鉄などの堆積物は、触媒表面部分の細孔に多く堆積しているため、上記方法で摩耗すると、表面部分の鉄堆積物を選択的に除去できる。鉄堆積物の除去量は、使用される触媒によって選択され、前記のように式1で表される条件式を有する細孔径の再活性化触媒が得られるように調整される。
【0056】
実施例
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0057】
[実施例1〜4、比較例1〜2]
触媒に含有する金属成分の組成分析方法(Fe,RE23,Al23,Ni,V等)
蛍光X線分析装置(リガク製 RIX―3000)を使用して組成を求めた。一定量の試料と融剤を混合し、この混合物を熔融装置で熔融し、ガラス円板を作製する。このガラス円板を蛍光X線分析装置にセットしてNi-Kα、V-KαのX線強度を測定する。予め準備した濃度とX線強度との検量線を用いて、各種元素の含有量を測定する。
【0058】
触媒の平均粒子径
乾式マイクロメッシュシーブ法により、20、30、45、60、75、90、105、150μmで篩分けし、分級した各試料の重量%を求め、積算重量%をプロットし、50重量%値を平均粒子径とした。
【0059】
触媒の比表面積
試料の比表面積(SA)は比表面積測定装置(マウンテック製 マックソーブ1220)を使用し、BET一点法にて求めた。試料は前処理として600℃で2時間焼成後測定に供した。測定用ガスはN2/He=30vol%/70vol%混合ガスを使用し、試料セルの冷却は液体窒素(−196℃)を使用し、相対圧は0.3とした。
【0060】
触媒の嵩比重
試料の嵩比重(ABD)は、触媒を600℃で2時間焼成し、冷却後、25mlシリンダーに触媒をあふれるまで注ぎ、シリンダー上面からあふれた触媒を水平にすり切り、触媒の質量を測定し、嵩比重(g/ml)=触媒質量(g)/25(ml)により算出する。
【0061】
フレッシュ触媒Aの調製方法
超安定化Y型ゼオライト(USY)を35質量%、活性アルミナをAl23として7.5質量%、ケイ酸液をSiO2として20質量%、カオリンを乾燥基準で34.5質量%、ホワイトカーボンをSiO2として3質量%、および純水を混合して、触媒基準で30質量%濃度の混合スラリーを作った後、この混合スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を得た。得られた微小球状粒子を洗浄してナトリウム等の不純物を除いた後、希土類金属(RE)塩化物の水溶液を用いて粒子中のRE23として1.1質量%となるようにイオン交換した。イオン交換後に脱水、150℃で乾燥してフレッシュ触媒Aを得た。
【0062】
フレッシュ触媒Bの調製方法
USYを24%、活性アルミナを11質量%、ケイ酸液を18.5質量%、カオリンを46.5質量%、および純水を混合し、触媒基準で30質量%濃度としたスラリーを噴霧乾燥した点、RE23として1.3質量%となるようにイオン交換した点以外はフレッシュ触媒Aと同様の方法でフレッシュ触媒Bを調製した。
【0063】
鉄堆積物接触分解触媒
フレッシュ触媒AをFCC装置で使用し抜出したものを、鉄堆積触媒Aとした。
同様に、フレッシュ触媒BをFCC装置で使用し、抜出したものを、鉄堆積触媒Bとした。
【0064】
【表1】
【0065】
摩耗処理
鉄堆積接触分解触媒Aを、再活性化装置容器に充填し、該容器に空気を流し込み、容器内で体積比(VM/V0)、すなわち、静置時の粉体層に対する流動時の流動層の体積比(流動時/静置時)が1.8となるように、試料を30℃で、20時間(実施例1)、2時間(実施例2)、0.25時間(比較例1)、流動させ、摩耗により微粉化した試料の表面部分の微粉を分離して捕集した。
【0066】
図3に使用前のフレッシュ触媒の表面SEM写真、図4に鉄堆積接触分解触媒の表面SEM写真、および図5に実施例1の摩耗処理後の触媒の表面SEM写真を示す。
図3は触媒の粒子表面は滑らかであり、図4は、鉄が多く堆積しているために、触媒粒子表面に鉄を主成分とする突起物が現れる。そして、摩耗処理することによって、図5に示すような触媒表面の突起物が消失して滑らかな表面となる。
【0067】
また、鉄堆積接触分解触媒Bを、同様に再活性化装置容器に充填し、該容器に空気を流し込み、容器内で触媒体積比が、静置時に対する流動時の体積比(流動時/静置時)が1.8となるように、試料を20時間(実施例3)、2時間(実施例4)、0.25時間(比較例2)、流動させ、摩耗により微粉化した試料の表面部分の微粉を分離して捕集した。
【0068】
フレッシュ触媒B、鉄堆積接触分解触媒Bおよび摩耗処理後の触媒(実施例3)のLog微分細孔容積分布を図6に示す。なおLog微分細孔容積分布の測定は、水銀圧入法による全自動多機能水銀ポロシメーター(Quantachrome社製:POREMASTER 60-GT)を用いて触媒約0.4gを水銀ポロシメーターにセットし、真空脱気した後、20から55000psiの範囲で水銀を圧入して評価した。
【0069】
これにより、各触媒の細孔直径DF、DEおよびDTを評価した。
以上のようにして再活性化した触媒(実施例1〜4および比較例1〜2)を用いて、以下の反応試験を行った。
【0070】
反応試験
流動接触分解用触媒の試験装置(Kayser社製:ACE−MAT、モデルR+)の反応器に摩耗処理後触媒9gを充填し、反応器内温度を520℃とし、原料油として脱硫常圧残油(DSAR)と脱硫減圧蒸留軽油(DSVGO)とを1:1で混合した油を1.2g/minの通油速度で75秒間供給した。このとき、触媒/原料油質量比(Cat/Oil):6.0である。
【0071】
反応開始とともに、生成物回収ラインより生成物を回収し、ついで、原料油供給終了後N2ガスを供給して触媒上の生成物を回収した。回収した生成物を−15℃に冷却した冷却器で生成ガスおよび生成油に分離・定量した後、生成ガス、生成油に含まれる各成分を分離・定量した。その後、空気雰囲気下で反応器を700℃に昇温し、触媒に残ったコークを燃焼しながら、カーボン分析装置(Servomex社製1440D)でコークを定量した。
結果を表2および3に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
表2および3によれば、所定の摩耗処理を行うことで、触媒中のFe濃度が低くなり、触媒表面の鉄堆積物を除去されていることがわかる。そして、このような摩耗処理を行い、各細孔直径が所定の関係式を満足する触媒は、触媒活性が高くなりガソリン収率が大きく向上していることがわかる。
【0075】
すなわち、鉄堆積物により失活した触媒の活性が本発明の処理によって効率的に回復されることが判明した。これに伴い廃触媒量を低減できるとともに、新たに導入されていたフレッシュ触媒の使用量を低減できるという効果も期待できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6