特許第6720011号(P6720011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720011
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/36 20060101AFI20200629BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200629BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20200629BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   B65H75/36 H
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301B
   B60L53/30
   H02G11/00
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-150377(P2016-150377)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-16485(P2018-16485A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 久典
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−510602(JP,A)
【文献】 特開2014−093793(JP,A)
【文献】 米国特許第06216834(US,B1)
【文献】 特開2015−104202(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3171867(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0221963(US,A1)
【文献】 実開平01−134680(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/34 − 75/50
B60L 53/30
H02G 11/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して充電を可能とする充電装置であって、
先端側にコネクタを有し、前記先端側とは逆側の固定端側が電力供給元に接続されている第1ケーブル及び第2ケーブルと、
前記ケーブルごとに設けられ、該ケーブルを案内する第1動滑車及び第2動滑車と、
前記各ケーブル及び前記各動滑車を収容し、かつ前記各ケーブルを出し入れ可能とする筐体と、
を備え、
前記筐体内には、前記各動滑車が、前記筐体の正面に対して前後となる方向に重なるようにして設けられていることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記各動滑車を上下方向に各々移動させる第1動力源及び第2動力源を有し、
前記第1動力源及び前記第2動力源が前記筐体の幅方向に直線上に並ぶようにして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記第1動力源として第1モータを有し、
前記第2動力源として第2モータを有し、
前記各モータが、前記筐体の幅方向にモータ出力軸が直線上又は略直線上に並ぶようにして配置されていることを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記第1動滑車及び前記第2動滑車は、前記筐体の幅方向において中央部分の位置に設けられ、
前記第1モータ及び前記第2モータは、前記第1動滑車及び前記第2動滑車を挟んだ両側の位置において、前記モータ出力軸の先端側をそれぞれ前記各動滑車の側に向けてそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記第1動滑車及び前記第2動滑車は、それら各動滑車の中心軸の位置が前記筐体の幅方向に異なるようにしてそれぞれ配置されて設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項6】
前記第1動滑車及び前記第2動滑車の各中心軸の間となる位置に、上下方向に延びるガイドレールが設けられており、
前記ガイドレールは、前記第1動滑車を上下方向に案内する機能と、前記第2動滑車を上下方向に案内する機能とを具備していることを特徴とする請求項5に記載の充電装置。
【請求項7】
前記第1動滑車及び前記第2動滑車よりも前記コネクタの側で前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルをそれぞれ案内する第1定滑車及び第2定滑車を備え、
前記第1動滑車及び前記第2動滑車は、前記筐体の幅方向において中央部分の位置に設けられ、
前記第1定滑車及び前記第2定滑車は、前記各動滑車を挟んだ両側の位置にそれぞれ配置され、
前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、前記第1定滑車又は前記第2定滑車を介して前記筐体の両側部からそれぞれ出し入れされることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項8】
前記第1動滑車及び前記第2動滑車よりも前記コネクタの側で前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルをそれぞれ案内する第1定滑車及び第2定滑車と、
前記各定滑車の外周側において該定滑車との間に前記ケーブルを挟んだ状態で設けられる第1送りローラ及び第2送りローラと、
前記各送りローラを回転駆動させる第1送りモータ及び第2送りモータと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項9】
前記各ケーブルを前記筐体内に収容した初期状態において、前記各動滑車から延びる前記ケーブルの向きと前記各動滑車の移動方向とが相違していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項10】
前記第1ケーブルは交流用の充電ケーブルであり、前記第2ケーブルは直流用の充電ケーブルであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のケーブルを収容し、そのケーブルにより車両に対する充電を可能とする充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気自動車や充電可能なハイブリッド自動車(いわゆるプラグインハイブリッド車)が実用化されており、それらの車両に対して充電を行う充電装置が各種提案されている。また、充電装置として、充電用の電力を車両に対して供給する充電用ケーブルを筐体内に収容する構成とし、その筐体に対してケーブルを出し入れするようにしたものも提案されている。筐体内におけるケーブルの出し入れに関しては、例えばケーブルをドラムに巻いて収容する構成があるが、ドラム巻き取り式の充電装置では、ケーブルの繰り出しや引き込みが円滑でないこと等が考えられる。そのため、動滑車を用いてケーブルの繰り出しや引き込みを行う充電装置が考えられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−5148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年における電気自動車等の普及に伴い車両充電に対する要求が拡張され、充電装置の形態も多様化されつつある。例えば、車両に対する充電には一般に交流電力を用いた交流充電と直流電力を用いた直流充電とがあるが、それらの交流充電と直流充電とを1つの充電装置で実現可能することが考えられる。また、これ以外にも、1つの充電装置により複数台の車両に対して同時に充電を行うことが考えられる。これらの場合、充電装置の筐体内に複数のケーブルを収容し、それら各ケーブルを個々に出し入れ可能にする構成が必要となる。
【0005】
この点、上記特許文献1においては、複数のケーブルを収容することに関して構成の開示はなく、検討を要する。つまり、動滑車を用いた充電装置では、ケーブルごとに滑車機構を設けることが必要となり、ケーブルごとの複数の滑車機構を筐体内に収容する場合において筐体サイズの大型化が強いられることが懸念される。また、筐体内において各滑車機構を如何に好適に配置するかについて大いに検討を要する。この点において、既存の技術においては改善の余地があると考えられる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成を有し、かつ使い勝手の良い充電装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成の符号を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
第1の発明は、
車両(C)に対して充電を可能とする充電装置(20)であって、
先端側にコネクタ(23,24)を有し、前記先端側とは逆側の固定端側が電力供給元に接続されている第1ケーブル(21)及び第2ケーブル(22)と、
前記ケーブルごとに設けられ、該ケーブルを案内する第1動滑車(42)及び第2動滑車(52)と、
前記各ケーブル及び前記各動滑車を収容し、かつ前記各ケーブルを出し入れ可能とする筐体(31)と、
を備え、
前記筐体内には、前記各動滑車が、前記筐体の正面に対して前後となる方向に重なるようにして設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、充電装置において筐体内に第1ケーブル及び第2ケーブルが収容され、それぞれが第1動滑車及び第2動滑車の動きに応じて出し入れ可能となっているため、必要に応じていずれかのケーブルを選択的に用いて車両に対する充電を行うことができる。また、筐体内には、筐体の正面に対して前後となる向き(厚み方向)において重なる位置に各動滑車が設けられているため、充電装置(筐体)の幅を過剰に拡張せずとも、筐体内に複数のケーブルを収納可能となっている。その結果、コンパクトな構成を有し、かつ使い勝手の良い充電装置を実現することができる。
【0010】
第2の発明は、前記各動滑車を上下方向に各々移動させる第1動力源(44)及び第2動力源(54)を有し、前記第1動力源及び前記第2動力源が前記筐体の幅方向に直線上に並ぶようにして配置されていることを特徴とする。
【0011】
動滑車ごとに動力源を備える構成において、第1動力源及び第2動力源を筐体の幅方向に直線上に並ぶように配置したため、筐体の厚みを増やすことなく、筐体内に各動力源を収容することができる。これにより、充電装置のコンパクト化が可能となる。
【0012】
第3の発明は、前記第1動力源として第1モータ(44)を有し、前記第2動力源として第2モータ(54)を有し、前記各モータが、前記筐体の幅方向にモータ出力軸が直線上又は略直線上に並ぶようにして配置されていることを特徴とする。
【0013】
各動滑車の動力源として第1モータ及び第2モータを用いる構成において、筐体の幅方向にモータ出力軸が直線上又は略直線上に並ぶようにして各モータを配置したため、筐体の厚みを増やすことなく、筐体内に各モータを収容することができる。これにより、やはり充電装置のコンパクト化が可能となる。
【0014】
第4の発明は、前記第1動滑車及び前記第2動滑車は、前記筐体の幅方向において中央部分の位置に設けられ、前記第1モータ及び前記第2モータは、前記第1動滑車及び前記第2動滑車を挟んだ両側の位置において、前記モータ出力軸の先端側をそれぞれ前記各動滑車の側に向けてそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0015】
各動滑車が筐体の幅方向における中央部付近に配置される構成では、その動滑車の両側に空きスペースを設けることができ、この空きスペースを用いて各モータを好適に配置できる。この場合、モータでは、その構造上においてモータ出力軸に沿う方向のサイズが大きくなるが、そのモータ出力軸のサイズを加味しつつも各モータを好適に配置できる。
【0016】
第5の発明は、前記第1動滑車及び前記第2動滑車は、それら各動滑車の中心軸(42a,52a)の位置が前記筐体の幅方向に異なるようにしてそれぞれ配置されて設けられていることを特徴とする。
【0017】
第1動滑車及び第2動滑車の各中心軸を筐体の幅方向に異なる位置としたため、筐体内において各動滑車により案内されるケーブルを筐体幅方向にずらして配置でき、ケーブルを互いに絡まりにくくすることができる。そのため、各ケーブルの円滑なる出し入れを実現できる。また、各中心軸が互いに離間することで、各動滑車において移動機構を取り付けやすくなる、メンテナンス性が良い等、好適な構成を実現できる。
【0018】
第6の発明は、前記第1動滑車及び前記第2動滑車の各中心軸(42a,52a)の間となる位置に、上下方向に延びるガイドレール(39)が設けられており、前記ガイドレールは、前記第1動滑車を上下方向に案内する機能と、前記第2動滑車を上下方向に案内する機能とを具備していることを特徴とする。
【0019】
第1動滑車及び第2動滑車の各中心軸を筐体の幅方向に異なる位置とした構成において、それら各中心軸の間となる位置にガイドレールを設けることで、ガイドレールの両側に各動滑車をそれぞれ隣り合わせで配置できる。この場合、ガイドレールに両方の動滑車における案内機能を付与することにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
第7の発明は、前記第1動滑車及び前記第2動滑車よりも前記コネクタの側で前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルをそれぞれ案内する第1定滑車(41)及び第2定滑車(51)を備え、前記第1動滑車及び前記第2動滑車は、前記筐体の幅方向において中央部分の位置に設けられ、前記第1定滑車及び前記第2定滑車は、前記各動滑車を挟んだ両側の位置にそれぞれ配置され、前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルは、前記第1定滑車又は前記第2定滑車を介して前記筐体の両側部からそれぞれ出し入れされることを特徴とする。
【0021】
各動滑車よりもコネクタ側に第1定滑車及び第2定滑車を備える構成において、それら各定滑車を、筐体の幅方向中央の各動滑車を挟んだ両側の位置にそれぞれ配置し、第1ケーブル及び第2ケーブルを、各定滑車を介して筐体の両側部からそれぞれ出し入れ可能とした。この場合、ケーブルごとに、その出し入れに要する機構を正面視左右に分散して配置することができ、筐体の厚み低減を好適に実現できるものとなる。
【0022】
また、各定滑車を、筐体の幅方向中央の各動滑車を挟んだ両側の位置にそれぞれ配置した構成では、各定滑車の下方空間(又は上方空間)を利用して動滑車用の各モータを配置することができる。この場合、それら各モータを直線上に配置することも容易となる(第4の発明に関連)。そのため、筐体の厚みを増やすことなく、各動滑車の動力機構を好適に設置できる。
【0023】
第8の発明は、前記第1動滑車及び前記第2動滑車よりも前記コネクタの側で前記第1ケーブル及び前記第2ケーブルをそれぞれ案内する第1定滑車(41)及び第2定滑車(51)と、前記各定滑車の外周側において該定滑車との間に前記ケーブルを挟んだ状態で設けられる第1送りローラ(48)及び第2送りローラ(58)と、前記各送りローラを回転駆動させる第1送りモータ(49)及び第2送りモータ(59)と、を備えることを特徴とする。
【0024】
各動滑車よりもコネクタ側に第1定滑車及び第2定滑車を備える構成において、ケーブル送り用の第1送りローラ及び第2送りローラを設けるとともに、各送りローラを回転駆動させる第1送りモータ及び第2送りモータを設ける構成とした。この場合、筐体に対してケーブルを円滑に出し入れさせることができる。
【0025】
第9の発明は、前記各ケーブルを前記筐体内に収容した初期状態において、前記各動滑車から延びる前記ケーブルの向きと前記各動滑車の移動方向とが相違していることを特徴とする。
【0026】
各ケーブルを筐体内に収容した初期状態において、各動滑車から延びるケーブルの向きと各動滑車の移動方向とが相違していると、動滑車が移動することに応じてケーブルの向きが変化する。この場合、動滑車の位置に応じて、各ケーブルにおける相互の近接状態が変化することになり、ケーブルどうしの相互干渉が生じるといった不都合を抑制できる。
【0027】
第10の発明は、前記第1ケーブルは交流用の充電ケーブル(21)であり、前記第2ケーブルは直流用の充電ケーブル(22)であることを特徴とする。
【0028】
充電ケーブルとして交流用の充電ケーブルと直流用の充電ケーブルとを備える構成であれば、車両への充電時にユーザが交流充電、直流充電のいずれを所望しても、それに応えて所望の充電を実施できる。また、交流用の充電ケーブルと直流用の充電ケーブルとでは、ケーブル径が異なる等の差異が生じるが、上述した本充電装置の各種構成によれば、2種類のケーブルを好適に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】住宅用電力システムの概要を示す構成図。
図2】充電装置の概要を示す斜視図。
図3】(a)は充電装置を正面側から見た内部斜視図、(b)は充電装置を背面側から見た内部斜視図。
図4】(a)は充電装置の内部構造を示す正面図、(b)は充電装置の内部構造を示す背面図。
図5】滑車機構の動きを示す説明図。
図6】充電装置における電気的構成を示すブロック図。
図7】滑車機構の別の構成を示す概略図。
図8】充電装置の正面図。
図9】充電装置の左側面図。
図10】充電装置の右側面図。
図11】充電装置の背面図。
図12】充電装置の平面図。
図13】充電装置の底面図。
図14】充電装置を正面右上方から見た斜視図。
図15】充電装置を正面左上方から見た斜視図。
図16】充電装置においてケーブル収容状態を示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅に設けられる充電装置を具体化しており、その充電装置は、例えば建物外壁に沿って設置されるもの、あるいは建物インナガレージ内においてガレージ内壁に沿って設置されるものとなっている。
【0031】
図1は、住宅用電力システムの概要を示す構成図である。図1において、建物10には受電盤11が設けられており、その受電盤11には、商用電力であるAC200Vの交流電力が送電線12を介して供給される。受電盤11には電力線13を介して分電盤14が接続されている。分電盤14に供給される交流電力は、負荷電力線15を介して各種の各電気負荷16(例えば家電装置、照明器具等)に供給されるとともに、充電電力線17を介して充電装置20に供給されるようになっている。
【0032】
充電電力線17は二方に分岐されており、そのうち一方には電力変換装置18が設けられている。電力変換装置18は、AC/DC変換器やDC/DC変換器を備えて構成されており、分電盤14から供給される交流電力を直流電力に変換して充電装置20に供給する。これにより、充電装置20に対する交流電力及び直流電力の供給が可能となっている。
【0033】
充電装置20は、主に自動車等の車両に対する充電を行う充電機器であり、ハイブリッド自動車や電気自動車のバッテリに対して充電用電力を供給する。本充電装置20では特に、交流電力を用いた交流充電(AC充電)と直流電力を用いた直流充電(DC充電)とが可能になっている。例えば、AC充電は普通充電として用いられ、DC充電は急速充電として用いられる。充電装置20は、AC充電用のケーブル21とDC充電用のケーブル22とを有しており、これら各ケーブル21,22は電動モータの駆動により繰り出し及び引き込みがなされるようになっている。ただしその詳細は後述する。なお、ケーブル21,22が「第1ケーブル、第2ケーブル」に相当する。
【0034】
車載バッテリのAC充電を行う場合には、充電装置20からケーブル21が繰り出され、その先端に設けられたコネクタ23が車両Cの接続口Xに接続される。そして、この状態で交流電力によりバッテリ充電が実施される。また、車載バッテリのDC充電を行う場合には、充電装置20からケーブル22が繰り出され、その先端に設けられたコネクタ24が車両Cの接続口Xに接続される。そして、この状態で直流電力によりバッテリ充電が実施される。
【0035】
次に、充電装置20の構成について詳細に説明する。図2は、充電装置20の概要を示す外観斜視図であり、図3は、充電装置20の筐体内部の構成を示す内部斜視図である。図3において(a)は、充電装置20を正面側から見た斜視図であり、(b)は、充電装置20を背面側から見た斜視図である。また、図4において(a)は、充電装置20の内部構造を示す正面図であり、(b)は、充電装置20の内部構造を示す背面図である。図3及び図4では、説明の便宜上、各ケーブル21,22にドットを付して表示している。
【0036】
図2に示すように、充電装置20は、各ケーブル21,22を収容する筐体31を有している。筐体31は、建物壁に沿って配置される薄形箱状をなしており、正面視において左右両側から各ケーブル21,22が繰り出されるようになっている。筐体31は、正面視において左右方向の幅寸法が前後方向の厚み寸法よりも大きく、背面部が建物壁に対向するようにして配置される。また、筐体31には前面側の左右2カ所に各ケーブル21,22のコネクタ23,24を収容するコネクタ収容口32が設けられている。なお、コネクタ23,24やコネクタ収容口32の形状はケーブル21,22ごとに相違しており、コネクタ23,24の収容位置が間違えられることがないようになっている。筐体31は、概ね高さ2m、幅1m、厚み20cm程度の大きさを有している。
【0037】
各ケーブル21,22は筐体31の上部位置の出入口から繰り出されるようになっており、ケーブル非使用状態では、各ケーブル21,22が筐体31の上部位置から地面につかない程度の長さで筐体31外に露出するようになっている。
【0038】
筐体31には、ケーブル21,22の繰り出し及び引き込みを指示する操作部34や、ケーブル使用時においてケーブル21,22が繰り出し状態及び引き込み状態のいずれかにあることを示す表示部35が設けられている。表示部35には、異常発生していることを示す異常表示部が含まれていてもよい。
【0039】
なお、筐体31の前面側には、ケーブル21,22ごとに、コネクタ収容口32や操作部34、表示部35が左右に分かれてそれぞれ配置されており、それら左右の各部の間には、前面板部36が設けられている。例えば、前面板部36は、充電装置20の背後の建物壁と同様の壁材を用いて構成されるとよく、前面板部36と建物壁とで同じ面材が用いられることで、充電装置20の設置状態での見栄え向上を図ることができる。
【0040】
図3及び図4に示すように、充電装置20は、筐体内部の構造として、四角枠状の枠体38と、各ケーブル21,22を案内する2組の滑車機構40,50とを備えている。このうち、一方の滑車機構40は、AC充電用のケーブル21を案内するために設けられ、他方の滑車機構50は、DC充電用のケーブル22を案内するために設けられている。
【0041】
各ケーブル21,22は、枠体38に対して固定される固定端側と、コネクタ23,24(図2参照)が接続されている先端側とが互いに逆になるように配置されており、正面視(図3(a)、図4(a))で言えば、AC充電用のケーブル21は、枠体38の右枠部38aに対して一端が固定され、他端側が筐体左側から出し入れされるようになっている。また、DC充電用のケーブル22は、枠体38の左枠部38bに対して一端が固定され、他端側が筐体右側から出し入れされるようになっている。なお、各ケーブル21,22の固定端側は電力供給元に接続されている。
【0042】
各滑車機構40,50は、それぞれに定滑車41,51及び動滑車42,52を有している。定滑車41,51は、筐体31内の所定の固定位置において正逆両方向に回転可能な回転円盤であり、動滑車42,52は、筐体31内において上下方向に位置移動しながら正逆両方向に回転可能な回転円盤である。定滑車41,51は、動滑車42,52よりもコネクタ23,24の側(すなわちケーブル先端側)で各ケーブル21,22をそれぞれ案内するものとなっている。定滑車41,51が「第1定滑車、第2定滑車」に相当し、動滑車42,52が「第1動滑車、第2動滑車」に相当する。
【0043】
定滑車41,51は、筐体31内の上部、すなわち上枠部38c付近であって、左右いずれかの枠部38a,38bに近い位置に設けられている。また、動滑車42,52は、筐体左右方向の略中央位置に設けられている。動滑車42,52は、筐体31の正面に対して前後となる方向に重なるようにして設けられている。ケーブル収容状態、すなわち筐体外におけるケーブル21,22の露出長さが最も短い状態では、動滑車42,52は、定滑車41,51に対して上下方向に最も離れた位置、すなわち下枠部38d付近に位置している。
【0044】
本実施形態では、各ケーブル21,22を互いに逆となる方向に出し入れ可能としているため、各滑車機構40,50で定滑車41,51の位置が互いに逆になっており、定滑車41は正面視左側、定滑車51は正面視右側に位置している。また、各滑車機構40,50の動滑車42,52は、各々の中心軸42a,52aの位置が左右にずれるように配置されている。この場合、筐体幅方向において、一方の動滑車42は定滑車41に近い側に、他方の動滑車52は定滑車51に近い側にそれぞれ配置されている。
【0045】
ここで、AC充電用のケーブル21とDC充電用のケーブル22とでは時間あたりの通電電力が大小異なることから、ケーブル径(ケーブル太さ)が相違しており、ケーブル22の方がケーブル21よりもケーブル径が大きいものとなっている。そのため、各ケーブル21,22の許容曲げ半径を考慮して、DC充電用の定滑車51及び動滑車52の径が、AC充電用の定滑車41及び動滑車42の径よりも大きくなっている。
【0046】
また、上枠部38cには、滑車機構40,50よりもケーブル固定端側において各ケーブル21,22を支持するケーブル支持部43,53が設けられている。ケーブル支持部43,53は、左右の各枠部38a,38bから延びるケーブル21,22を上枠部38c付近で固定支持する部材である。各ケーブル支持部43,53は、ケーブル固定端よりも枠体中央寄りに設けられており、左右方向(すなわち筐体幅方向)に見て定滑車41とケーブル支持部43との中央位置に動滑車42が設けられている。また、左右方向(すなわち筐体幅方向)に見て定滑車51とケーブル支持部53との中央位置に動滑車52が設けられている。
【0047】
上述したように、AC充電用の定滑車41及び動滑車42の径と、DC充電用の定滑車51及び動滑車52の径とが相違していることから、筐体31内では、各動滑車42,52で折り返されたケーブル21,22の延びる角度、例えば鉛直方向に対する角度が相違するものとなっている。具体的には、AC充電用の滑車機構40では、動滑車42が小径であるために、鉛直方向に対してケーブル21のなす角度が比較的大きく、DC充電用の滑車機構50では、動滑車52が大径であるために、鉛直方向に対してケーブル21のなす角度が比較的小さくなっている。このため、筐体31内において、ケーブルどうしが近づくのは、正面視で見てそれら両者が交差する部分のみであり、ケーブルどうしの接触が生じにくいものとなっている。
【0048】
上枠部38cと下枠部38dとの間には、動滑車42,52の上下方向の移動を案内するガイドレール39が設けられている。ガイドレール39は枠体38の左右方向に見て中央位置に設けられており、その左右一方の側に動滑車42の中心軸42aが配置され、他方の側に動滑車52の中心軸52aが配置されている。つまり、ガイドレール39は、各動滑車42,52の中心軸42a,52aの間に設けられ、各動滑車42,52に共通の昇降案内手段となっている。
【0049】
動滑車42,52の移動方向はガイドレール39が延びる向きであり、本実施形態では鉛直上下方向である。これに対し、動滑車42,52から上方に延びる各ケーブル21,22の向きは、動滑車42,52の移動方向とは異なる向きとなっている。すなわち、各ケーブル21,22を筐体31内に収容した初期状態において、各動滑車42,52から延びるケーブル21,22の向きと各動滑車42,52の移動方向とが相違している。そのため、動滑車42,52が上下に移動する際には、筐体31内におけるケーブル21,22の向きが変化することになり、ケーブル21,22の相互で見れば、動滑車42,52の移動に応じてケーブル相互の相対角度が変化するものとなっている。つまり、動滑車42,52の移動方向とケーブル21,22の向きとが同じであれば、動滑車42,52の移動にかかわらずケーブル相互の相対角度は変化しない(平行状態が維持される)が、動滑車42,52の移動方向とケーブル21,22の向きとが相違しているため、動滑車42,52の移動に伴いケーブル相互の相対角度が変化するようになっている。
【0050】
次に、各滑車機構40,50の駆動手段についてより詳細な構成を滑車機構40,50ごとに説明する。
【0051】
滑車機構40は、動滑車42を上下移動させるための駆動手段としてモータ44と案内ベルト45とを有している。モータ44は、回転軸(モータ出力軸)が左右方向、すなわち動滑車42の中心軸42aに直交する方向に向くようにして下枠部38d上に設けられている。案内ベルト45は、無端状ベルト(環状ベルト)であり、下枠部38d付近の支持軸46と上枠部38c付近の支持軸47とに架け渡されて、ガイドレール39に平行に設けられている。この場合、下側の支持軸46は、モータ44の出力軸に連結された駆動軸であり、上側の支持軸47は従動軸である。モータ44が所定回転方向に回転駆動されると、案内ベルト45が周回し、それに伴いガイドレール39に沿って動滑車42が上下動する。
【0052】
また、定滑車41の外周側の上方位置には、筐体31に対するケーブル21の出し入れを行うための第1送りローラとしての送りローラ48が設けられている。送りローラ48は、定滑車41の外周部に対して、ケーブル径に見合う所定距離だけ離間して設けられ、第1送りモータとしてのモータ49の回転駆動により正逆いずれかの方向に回転する。モータ49は、動滑車42の下方位置においてモータ出力軸が上下方向を向くようにして配置されている。この場合、送りローラ48が回転することで、定滑車41と送りローラ48との間に挟まれたケーブル21が定滑車41の外周に沿って移動し、それに伴いケーブル21の出し入れが行われる。
【0053】
図5は、滑車機構40の動きを示す説明図である。初期状態では、滑車機構40は図5(a)の状態にある。そして、ケーブル繰り出し時には、モータ44の駆動により案内ベルト45が周回し、それに伴い図5(b)に示すように動滑車42が上方に移動する。このとき、モータ49が同時駆動されて送りローラ48が回転することに伴い、ケーブル21が繰り出される。また、ケーブル21の引き込み時には、モータ44が逆方向に回転駆動され、それに伴い動滑車42が下方に移動する。このとき、モータ49の駆動により送りローラ48が逆方向に回転することに伴い、ケーブル21が引き込まれる。
【0054】
滑車機構50も滑車機構40と同様の駆動手段を有している。すなわち、滑車機構50は、動滑車52を上下移動させるための駆動手段としてモータ54と案内ベルト55とを有している。モータ54は、回転軸(モータ出力軸)が左右方向、すなわち動滑車42の中心軸42aに直交する方向に向くようにして下枠部38d上に設けられている。案内ベルト55は、無端状ベルト(環状ベルト)であり、下枠部38d付近の支持軸56と上枠部38c付近の支持軸57とに架け渡されて、ガイドレール39に平行に設けられている。この場合、下側の支持軸56は、モータ54の出力軸に連結された駆動軸であり、上側の支持軸57は従動軸である。モータ54が所定回転方向に回転駆動されると、案内ベルト55が周回し、それに伴いガイドレール39に沿って動滑車52が上下動する。
【0055】
また、定滑車51の外周側の上方位置には、筐体31に対するケーブル22の出し入れを行うための第2送りローラとしての送りローラ58が設けられている。送りローラ58は、定滑車51の外周部に対して、ケーブル径に見合う所定距離だけ離間して設けられ、第2送りモータとしてのモータ59の回転駆動により正逆いずれかの方向に回転する。モータ59は、動滑車52の下方位置においてモータ出力軸が上下方向を向くようにして配置されている。この場合、送りローラ58が回転することで、定滑車51と送りローラ58との間に挟まれたケーブル22が定滑車51の外周に沿って移動し、それに伴いケーブル22の出し入れが行われる。
【0056】
ケーブル22の出し入れは、図5で説明した動作と同様であり、モータ54,59が同時駆動されることにより、ケーブル22の繰り出し及び引き込みが行われる。なお、滑車機構40では、モータ44と案内ベルト45とを支持軸46と支持軸47とにより「第1動力源」が構成されており、滑車機構50では、モータ54と案内ベルト55とを支持軸56と支持軸57とにより「第2動力源」が構成されている。
【0057】
筐体31内においては、下枠部38d上において、各動滑車42,52のモータ44,54が回転軸の先端側をそれぞれ各動滑車42,52の側に向けてそれぞれ配置されている。この場合、モータ44,54は、その回転軸が筐体31の幅方向に直線上又は略直線上に並ぶようにして配置されている。これにより、各動滑車42,52のモータ44.54が、筐体31の厚み方向に重なることなく筐体31の幅方向に直線上に並んで配置され、筐体31の厚み拡大が抑制されている。
【0058】
図6は、充電装置20における電気的構成を示すブロック図である。図6において、制御装置60は、CPUや各種メモリを有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。制御装置60には、操作部34からのユーザ操作信号や、コネクタ収容口32に設けられたコネクタセンサ61の検出信号が入力される。コネクタセンサ61は、ケーブル21,22がコネクタ収容口32に収容されていることを検出するセンサであり、各ケーブル21,22のコネクタ収容口32にそれぞれ設けられている。また、制御装置60には、充電装置20における各滑車機構40,50のモータ44,49,54,59と表示部35とが接続されている。
【0059】
制御装置60は、操作部34からのユーザ操作信号やコネクタセンサ61の検出信号に基づいて、各モータ44,49,54,59に対して駆動信号を出力する。これにより、モータ44,49,54,59が駆動され、各ケーブル21,22の繰り出し及び引き込みが実施される。このとき、車両Cへの充電完了後におけるケーブル引き込み時には、ケーブル21,22がコネクタ収容口32に収容されていること、すなわちコネクタセンサ61からコネクタ検出信号が出力されていることを条件に、ケーブル21,22の引き込みが実施されるようになっている。
【0060】
充電装置20を用いて車両Cへの充電を行わせる場合には、ユーザが、まずAC充電とDC充電とのいずれを実施するかを決め、操作部34を操作することにより、今回用いるケーブルを繰り出させる。例えば、操作部34の押し操作が継続されている期間で、ケーブルの繰り出しが行われるとよい。又は、操作部34の1回の押し操作で所定長さのケーブルが繰り出される構成であってもよい。なおここでは、AC充電が行われるものとして説明を進める。
【0061】
この場合、操作部34の操作に伴うケーブル繰り出し指令に応じて、滑車機構40のモータ44,49が連動され、モータ44による動滑車42の上方移動と、モータ49によるケーブル21の送り(繰り出し)が行われる。そして、コネクタ23を車両Cの接続口Xに接続することに伴い、ケーブル21を介して交流電力が車両Cに対して供給される。これにより、車両Cの蓄電部(車載バッテリ)が充電される。
【0062】
その後、車両Cの充電が完了すると、接続口Xからコネクタ23が離脱され、コネクタ23がコネクタ収容口32に戻される。そしてこの状態で、ユーザが操作部34を操作してケーブル引き込み指令が出されると、当該指令に応じて、滑車機構40のモータ44,49が連動され、モータ44による動滑車42の下方移動と、モータ49によるケーブル21の送り(引き込み)が行われる。これにより、一連の充電作業が完了する。
【0063】
ケーブル21,22を車両Cに接続した状態では、車両Cから建物10側への電力供給も可能となっている。つまり、充電装置20は、車両Cから電力を取り込む電力取込装置としても機能する。例えば、災害時等の非常時には車両Cを電源として、車両Cから建物への非常用電力の供給が可能となっている。ただしこの場合、各モータの駆動は停止され、ケーブル21,22は手動で出し入れされる。なお、充電装置20に、ケーブル出し入れ時における電動/手動の切り替え手段が設けられているとよい。
【0064】
なお、図8図16には、充電装置20の構成を示す。このうち、図8は充電装置20の正面図、図9は充電装置20の左側面図、図10は充電装置20の右側面図、図11は充電装置20の背面図、図12は充電装置20の平面図、図13は充電装置20の底面図、図14は充電装置20を正面右上方から見た斜視図、図15は充電装置20を正面左上方から見た斜視図、図16は充電装置20においてケーブル収容状態を示す参考図である。
【0065】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0066】
上記構成によれば、充電装置20において筐体31内にケーブル21,22が収容され、それぞれが動滑車42,52の動きに応じて出し入れ可能となっているため、必要に応じていずれかのケーブル21,22を選択的に用いて車両Cに対する充電を行うことができる。また、筐体31内には、筐体31の正面に対して前後となる方向(筐体厚み方向)に重なるようにして各動滑車42,52が設けられているため、充電装置20(筐体31)の幅を過剰に拡張せずとも、筐体31内に複数のケーブル21,22を収納可能となっている。その結果、コンパクトな構成を有し、かつ使い勝手の良い充電装置20を実現することができる。
【0067】
動滑車42,52ごとに動力源としてのモータ44,54を備える構成において、モータ44,54を筐体31の幅方向に直線上に並ぶように配置した。特に、モータ44,54をその回転軸が筐体31の幅方向に直線上又は略直線上に並ぶようにして配置した。そのため、筐体31の厚みを増やすことなく、筐体31内に各モータ44,54を収容することができる。これにより、充電装置20のコンパクト化が可能となる。
【0068】
さらに、各動滑車42,52のモータ44,54を、動滑車42,52を挟んだ両側の位置において、モータ回転軸の先端側をそれぞれ各動滑車42,52の側に向けてそれぞれ配置した。各動滑車42,52が筐体31の幅方向における中央部付近に配置される構成では、その動滑車42,52の両側に空きスペースを設けることができ、この空きスペースを用いて各モータ44,54を好適に配置できる。この場合、モータ44,54では、その構造上においてモータ回転軸に沿う方向のサイズが大きくなるが、そのモータ回転軸のサイズを加味しつつも各モータ44,54を好適に配置できる。
【0069】
各動滑車42,52の中心軸42a,52aを筐体31の幅方向に異なる位置としたため、筐体31内において各動滑車42,52により案内されるケーブル21,22を筐体幅方向にずらして配置でき、ケーブル21,22を互いに絡まりにくくすることができる。そのため、各ケーブル21,22の円滑なる出し入れを実現できる。また、各中心軸42a,52aが互いに離間することで、各動滑車42,52において移動機構を取り付けやすくなる、メンテナンス性が良い等、好適な構成を実現できる。
【0070】
各動滑車42,52の中心軸42a,52aの間となる位置に、上下方向に延びるガイドレール39を設け、そのガイドレール39により2つの動滑車42,52をそれぞれ上下方向に案内する構成とした。この場合、ガイドレール39に、両方の動滑車42,52における案内機能を付与することにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0071】
各定滑車41,51を、筐体31の幅方向中央の各動滑車42,52を挟んだ両側の位置にそれぞれ配置し、ケーブル21,22を、各定滑車41,51を介して筐体31の両側部からそれぞれ出し入れ可能とした。この場合、ケーブル21,22ごとに、その出し入れに要する機構を正面視左右に分散して配置することができ、筐体31の厚み低減を好適に実現できるものとなっている。
【0072】
また、各定滑車41,51を筐体31の左右両側の位置にそれぞれ配置した構成では、各定滑車41,51の下方空間を利用して、動滑車用の各モータ44,54やケーブル送り用のモータ49,59を配置することができる。そのため、筐体31の厚みを増やすことなく、各動滑車42,52の動力機構やケーブル送り機構を好適に設置できる。
【0073】
ケーブル送り用のローラ48,58及びモータ49,59を設ける構成としたため、筐体31に対してケーブル21,22を円滑に出し入れさせることができる。
【0074】
各ケーブル21,22を筐体31内に収容した初期状態において、各動滑車42,52から延びるケーブル21,22の向きと各動滑車42,52の移動方向とを相違させるようにした。この場合、動滑車42,52の位置に応じて、各ケーブル21,22における相互の近接状態が変化することになり、ケーブルどうしの相互干渉が生じるといった不都合を抑制できる。
【0075】
AC充電用のケーブル21とDC充電用のケーブル22とを筐体31に収容する構成とした。この場合、車両Cへの充電時にユーザがAC充電、DC充電のいずれを所望しても、それに応えて所望の充電を実施できる。また、AC充電用のケーブル21とDC充電用のケーブル22とでは、ケーブル径が異なる等の差異が生じるが、上述した本充電装置20の各種構成によれば、2種類のケーブル21,22を好適に収容することができる。
【0076】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、各ケーブル21,22を筐体31の左右両側からそれぞれ出し入れする構成としたが、これを変更し、筐体31の左右同じ側から各ケーブル21,22を出し入れする構成としてもよい。かかる場合にも、筐体31内において、各動滑車42,52が筐体厚み方向に重なるように設けられているとよい。
【0078】
図7(a)では、定滑車41,51を筐体31の左右両側において同じ側に設けるとともに、筐体31の左右同じ側からケーブル21,22の出し入れを可能としている。また、図7(b)では、定滑車41,51の代わりに、湾曲形状の案内レール71,72を設ける構成としている。
【0079】
・上記実施形態では、各動滑車42,52の中心軸42a,52aを筐体幅方向に異なる位置としたが、これを変更し、各動滑車42,52の中心軸42a,52aを筐体幅方向で同じ位置にしてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、電動モータによりケーブル21,22の繰り出し及び引き込みを行う構成としたが、これを変更し、機械式の引き込み装置を設ける構成としてもよい。この場合、ユーザは、充電作業の開始時には、ケーブル先端側(コネクタ側)を持ってケーブル21,22を引き出し、充電作業の終了時には、引き込み装置の引き込み作動によりケーブル21,22の引き込みを行わせる。
【0081】
・充電装置20において、定滑車41,51及び動滑車42,52の上下位置は逆であってもよく、例えば定滑車41,51を筐体31内の下部位置に、動滑車42,52を筐体31内の上部位置に設ける構成であってもよい。この場合、各モータ44,49,54,59等の配置を上下逆にするとよい。
【0082】
・上記実施形態の充電装置20では、各ケーブル21,22をそれぞれAC充電用、DC充電用としたが、これに限られず、各ケーブル21,22をいずれもAC充電用、又は各ケーブル21,22をいずれもDC充電用としてもよい。いずれにしろ各ケーブル21,22の滑車機構40,50が、筐体31の厚み方向に重なるように設けられているとよい。
【0083】
各ケーブル21,22をいずれもAC充電用又はDC充電用とする場合において、通常充電用ケーブルと急速充電用ケーブルとをそれぞれ設ける構成としてもよい。この場合、通常充電用ケーブルと急速充電用ケーブルとで、滑車機構における定滑車や動滑車の径を相違させるとよい。
【0084】
・充電装置20において、3本以上のケーブルが収容される構成であってもよい。この場合、筐体31内にはケーブルと同数の滑車機構が設けられることとなり、これら各滑車機構が筐体31の厚み方向に重なるように設けられる。
【符号の説明】
【0085】
20…充電装置、21,22…ケーブル、23,24…コネクタ、31…筐体、39…ガイドレール、41,51…定滑車、42,52…動滑車、42a,52a…中心軸、44,54…モータ、48,58…送りローラ、49,59…モータ、C…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16