【文献】
中村 徹,機械学習によるプライバシ設定推測手法の精度向上に関する一考察,CSS2016 コンピュータセキュリティシンポジウム2016論文集,日本,一般社団法人情報処理学会,2016年10月 4日,VOL. 2016 No. 2,p.18-25
【文献】
中村 徹,機械学習によるプライバシ設定推測手法に関する評価,SCIS2016 コンピュータセキュリティシンポジウム2016予稿集,日本,一般社団法人情報処理学会,2016年 1月19日,p.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記推測モデル評価部が決定した質問セットを前記設定対象ユーザの端末装置へ通信回線を介して送信し、該端末装置から通信回線を介して該質問セットの質問に対する前記設定対象ユーザによる設定値を受信する問合せ部をさらに備える、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の情報管理装置。
情報管理装置が、複数のユーザの各々について個人情報の提供の許可について設定する複数の項目の各々の設定値を格納する設定ファイルを設定ファイル記憶部に記憶する設定ファイル記憶ステップと、
前記情報管理装置が、前記設定ファイルに含まれる前記複数の項目のうち所定の質問数の項目の質問から構成される質問セットを、前記設定ファイルに含まれる前記複数の項目の中から前記質問数の項目を選択する組合せの数よりも少ない個数だけ選択する質問セット選択ステップと、
前記情報管理装置が、前記質問セット選択ステップにより選択した質問セット毎に、当該質問セットの項目に対応する入力値から当該質問セットの項目以外の残りの項目を少なくとも含む導出対象項目の設定値を導出する推測モデル、を評価し、該評価結果に基づいて質問セットと推測モデルとを決定する推測モデル評価ステップと、
前記情報管理装置が、前記推測モデル評価ステップにより決定した質問セットの質問に対する設定対象ユーザによる設定値を前記推測モデル評価ステップにより決定した推測モデルの入力値に使用して該推測モデルにより導出された設定値と、前記設定対象ユーザによる設定値とに基づいて、前記設定ファイルに含める当該設定対象ユーザの設定値を決定するファイル設定ステップと、を含む情報管理方法であって、
前記質問セット選択ステップは、前記設定ファイルに含まれる前記複数の項目を前記質問数のクラスタにクラスタリングし、前記質問数のクラスタから各々に項目を選択して前記質問数の質問から構成される質問セットを生成する、
情報管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報管理システムの構成例を示す図である。
図1において、情報管理装置1と端末装置3とは、通信回線を介して、データを送受する。情報管理装置1は、ファイル記憶部11と、質問セット選択部12と、推測モデル評価部14と、ファイル設定部16と、問合せ部17とを備える。ファイル記憶部11は、設定ファイル21を記憶する。端末装置3は、問合せ対応部31を備える。
【0015】
設定ファイル21は、複数のユーザの各々について個人情報の提供の許可について設定する複数の項目の各々の設定値を格納する。
【0016】
質問セット選択部12は、設定ファイル21に含まれる複数(M個)の項目のうち所定の質問数(N個)の項目の質問から構成される質問セットを選択する。但し、「M>N」である。該選択される質問セットの個数は、設定ファイル21に含まれる複数(M個)の項目の中から質問数(N個)の項目を選択する組合せの数よりも少ない個数である。質問数(N個)は、ユーザに対して設定値を問い合わせる項目の個数である。このため、Nの値が小さいほど、ユーザの設定値の設定にかかる負担が小さくなる。
【0017】
推測モデル評価部14は、質問セット選択部12が選択した質問セット毎に、当該質問セットに対応する推測モデルを評価する。ある質問セットに対応する推測モデルは、当該質問セットの項目に対応する入力値から導出対象項目の設定値を導出する推測モデルである。導出対象項目は、少なくとも、当該質問セットの項目以外の残りの項目を含む。導出対象項目は、設定ファイル21の全ての項目であってもよく、又は、設定ファイル21の一部の項目であってもよい。推測モデル評価部14は、該評価結果に基づいて、質問セットと推測モデルとを決定する。
【0018】
ファイル設定部16は、推測モデル評価部14が決定した質問セットの質問に対する設定対象ユーザによる設定値を推測モデル評価部14が決定した推測モデルの入力値に使用して、該推測モデルにより設定値を導出させる。ファイル設定部16は、該推測モデルにより導出された設定値と、該設定対象ユーザによる設定値とに基づいて、設定ファイル21に含める該設定対象ユーザの設定値を決定する。
【0019】
問合せ部17は、推測モデル評価部14が決定した質問セットを設定対象ユーザの端末装置3へ通信回線を介して送信し、該端末装置3から通信回線を介して該質問セットの質問に対する該設定対象ユーザによる設定値を受信する。
【0020】
端末装置3において、問合せ対応部31は、情報管理装置1の問合せ部17からの問合せに応じて回答を行う。問合せ対応部31は、情報管理装置1から通信回線を介して受信した質問セットの質問に対する設定値を、通信回線を介して情報管理装置1へ送信する。情報管理装置1の問合せ部17は、設定対象ユーザの端末装置3の問合せ対応部31から受信した「質問セットの質問に対する設定値」を、「質問セットの質問に対する設定対象ユーザによる設定値」として使用する。
【0021】
なお、情報管理装置1の問合せ部17は、設定対象ユーザの端末装置3の問合せ対応部31により、設定対象ユーザの認証を実施してもよい。問合せ部17は、設定対象ユーザの認証が合格した場合にのみ、設定対象ユーザの端末装置3の問合せ対応部31から受信した「質問セットの質問に対する設定値」を、「質問セットの質問に対する設定対象ユーザによる設定値」として使用してもよい。
【0022】
図2は、本実施形態に係る情報管理装置1のハードウェアの構成例を示す図である。
図2において、情報管理装置1は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)51と記憶部52と通信部53とを備える。これら各部はデータを交換できるように構成されている。
【0023】
CPU51は情報管理装置1の制御を行う。この制御機能は、CPU51がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。記憶部52は、CPU51で実行されるコンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。記憶部52は、設定ファイル21とプログラム54とを記憶している。
図1に示される情報管理装置1の各部の機能は、
図2に示されるCPU51が記憶部52に記憶されているプログラム54を実行することにより実現される。また、
図1に示される情報管理装置1のファイル記憶部11は、
図2に示される記憶部52内に設けられる。通信部53は、通信回線を介して他の装置と通信する。通信部53は、通信回線を介して、端末装置3と通信する。
【0024】
なお、情報管理装置1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0025】
図3は、本実施形態に係る設定ファイル21の構成例を示す図である。
図3において、設定ファイル21は、ユーザの識別情報(ユーザID)に関連付けて、複数(M個)の項目1〜項目Mの設定値を格納する。設定ファイル21は、複数のユーザIDの各々について、M個の項目1〜項目Mの設定値を格納する。一つの項目は、当該項目について個人情報の提供の許可について設定する項目である。例えば、ある項目は、「現在の位置情報をナビゲーションサービスに提供する」ことを許可するか否かを設定する項目である。また、例えば、ある項目は、「ユーザの性別及び年齢を商品の案内サービスに提供する」ことを許可するか否かを設定する項目である。
【0026】
項目の設定値は、
図3の例では、当該項目について、個人情報の提供を許可することを示す場合に「数値1(YESを表す)」であり、個人情報の提供を許可しないことを示す場合に「数値0(NOを表す)」であり、個人情報の提供の機会の都度に許可するかを確認することを示す場合に「数値2(要確認を表す)」である。
なお、項目の設定値は、2値(個人情報の提供を許可する又は許可しない)であってもよく、又は、3値以上であってもよい。本実施形態は、項目の設定値が2値又は3値以上のいずれである場合にも適用できる。項目の設定値が3値以上である例を以下に挙げる。
(項目の設定値が3値以上である例1:3値の例)
数値0:個人情報の提供を許可しない。
数値1:個人情報の提供を許可する。
数値2:個人情報の提供の機会の都度に許可するかを確認する。
(項目の設定値が3値以上である例2:4値の例)
数値0:個人情報の提供を許可しない。
数値1:個人情報の提供を常に許可する。
数値2:個人情報の提供を特定のユーザ(例えば、属性が友人であるユーザ)のみに許可する。
数値3:個人情報の提供を特定のグループ(例えば、属性がゲームであるサービス提供者のグループ)のみに許可する。
【0027】
次に、
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る情報管理方法の例を説明する。
図4及び
図5は、本実施形態に係る情報管理方法の例を示すフローチャートである。以下の説明では、設定ファイル21の構成として
図3の構成例を挙げて説明する。
図3の構成例では、設定ファイル21は、M個の項目を有する。
【0028】
[情報管理方法の第1段階]
図4を参照して、本実施形態に係る情報管理方法の第1段階の例を説明する。情報管理方法の第1段階では、設定対象ユーザに問い合わせる質問セットと、該質問セットに対応する推測モデルとを決定する。
【0029】
(ステップS101)質問セット選択部12は、設定ファイル21のM個の項目の中から所定の質問数(N個)の項目を選択し、選択したN個の項目の質問から構成される質問セットを生成する。質問セット選択部12は、複数の質問セットを生成する。質問セットの個数(P個)は、設定ファイル21のM個の項目の中からN個の項目を選択する組合せの数よりも少ない個数である。質問数(N個)は、予め、情報管理装置1に設定される。質問セットの個数(P個)は、情報管理装置1に予め設定されてもよく、又は、任意でもよい。
【0030】
(ステップS102)推測モデル評価部14は、P個の質問セットの各々について、質問セットに対応する推測モデルを評価する。ある質問セットに対応する推測モデルは、当該質問セットの項目に対応する入力値から当該質問セットの項目以外の残りの項目を少なくとも含む導出対象項目の設定値を導出する推測モデルである。
【0031】
(ステップS103)推測モデル評価部14は、P個の質問セットと推測モデルの組合せの中から、最良の評価結果である質問セットと推測モデルの組合せを選択する。推測モデル評価部14は、該選択した質問セットと推測モデルを、設定対象ユーザに問い合わせる質問セットと、該質問セットに対応する推測モデルに決定する。
【0032】
[情報管理方法の第2段階]
図5を参照して、本実施形態に係る情報管理方法の第2段階の例を説明する。情報管理方法の第2段階では、設定対象ユーザに対する質問セットの問い合わせと、該質問セットに対する回答の設定値及び該質問セットに対応する推測モデルを使用した設定ファイルの更新とを行う。
【0033】
(ステップS11)問合せ部17は、推測モデル評価部14が決定した質問セットを設定対象ユーザの端末装置3へ通信回線を介して送信する。設定対象ユーザの端末装置3は、該質問セットを情報管理装置1から通信回線を介して受信する。設定対象ユーザの端末装置3において、問合せ対応部31は、該受信した質問セットのN個の項目の質問を、該端末装置3の表示画面上に表示させる。
【0034】
設定対象ユーザは、該表示画面上に表示されたN個の項目の質問に対して各々に設定値を、該端末装置3の入力デバイスを使用して入力する。例えば、設定対象ユーザは、「現在の位置情報をナビゲーションサービスに提供する」ことの許可について設定する項目の質問に対して、許可する場合には「数値1(YESを表す)」を入力し、許可しない場合には「数値0(NOを表す)」を入力し、現在の位置情報の提供の機会の都度に許可するかを確認する場合に「数値2(要確認を表す)」を入力する。
【0035】
(ステップS12)設定対象ユーザの端末装置3において、問合せ対応部31は、設定対象ユーザがN個の項目の質問に対して入力した設定値を、情報管理装置1へ送信する。情報管理装置1は、設定対象ユーザの端末装置3から通信回線を介してN個の項目の質問に対する設定値を受信する。情報管理装置1の問合せ部17は、該受信したN個の項目の質問に対する設定値をファイル設定部16へ渡す。
【0036】
(ステップS13)ファイル設定部16は、問合せ部17から、設定対象ユーザについて、N個の項目の質問に対する設定値を取得する。ファイル設定部16は、該取得したN個の項目の質問に対する設定値を入力値にして推測モデルを実行する。該推測モデルは、推測モデル評価部14が決定した質問セット(設定対象ユーザに問い合わせた質問セット)に対応する推測モデルである。ファイル設定部16は、推測モデルの実行結果である導出対象項目の設定値を取得する。導出対象項目は、少なくとも、推測モデルの入力値にした設定値の項目以外の残りの項目を含む。
【0037】
ファイル設定部16は、推測モデルの実行結果の設定値と、問合せ部17から取得した設定対象ユーザによる設定値とに基づいて、設定ファイル21に含める設定対象ユーザの設定値を決定する。
【0038】
例えば、ファイル設定部16は、問合せ部17から取得したN個の項目の質問に対する設定値については、そのまま該当する項目の設定値に使用する。そして、ファイル設定部16は、該N個の項目以外の残りの項目について、推測モデルの実行結果の設定値を使用する。
【0039】
(ステップS14)ファイル設定部16は、設定対象ユーザの設定値を、該設定対象ユーザのユーザIDに関連付けて設定ファイル21に格納する。
【0040】
次に、情報管理方法の第1段階の質問セット選択方法(ステップS101)の例1,例2,例3を説明する。
【0041】
[質問セット選択方法の例1]
質問セット選択方法の例1では、質問セット選択部12は、設定ファイル21のM個の項目をN個(質問数)のクラスタに分類する。クラスタリング方法は特に限定しない。クラスタリング方法として、例えば、K−means法を使用してもよい。クラスタリングによって、N個の各クラスタには、設定値の回答の傾向が似ている項目が分類される。次いで、質問セット選択部12は、N個の各クラスタから1個ずつ項目を選択して、N個の項目の質問から構成される質問セットを生成する。質問セット選択部12は、各々異なるP個の質問セットを生成する。質問セットの個数(P個)は、情報管理装置1に予め設定されてもよく、又は、任意でもよい。例えば、質問セット選択部12は、N個の各クラスタから1個ずつ項目を選択する方法によって、N個の項目の質問の全ての組合せの質問セットを生成してもよい。
【0042】
[質問セット選択方法の例2]
質問セット選択方法の例2では、質問セット選択部12は、設定ファイル21のM個の項目の中から無作為にN個(質問数)の項目を選択して、N個の項目の質問から構成される質問セットを生成する。質問セット選択部12は、各々異なるP個の質問セットを生成する。質問セットの個数(P個)は、情報管理装置1に予め設定される。
【0043】
[質問セット選択方法の例3]
質問セット選択方法の例3では、ファイル記憶部11は、
図6に例示される属性情報ファイル23をさらに記憶する。属性情報ファイル23は、設定ファイル21のM個の項目の各々の属性を示す属性情報を格納する。
図6の例では、属性の種類として、「個人情報の利用目的」、「提供対象の個人情報の種類」などがある。属性の一の種類「個人情報の利用目的」には、属性の例として、「ナビゲーションサービス」、「商品案内サービス」、「○○情報提供サービス」などがある。属性の一の種類「提供対象の個人情報の種類」には、属性の例として、「現在位置」、「性別と年齢」、「居住地」、「家族構成」、「性別と年齢と現在位置」などがある。
【0044】
質問セット選択部12は、属性情報ファイル23の同じ種類の属性の中からN個(質問数)の属性を選択する。例えば、質問セット選択部12は、「個人情報の利用目的」の属性の中からN個の属性を選択する。選択対象の属性の種類は、情報管理装置1に予め設定される。
【0045】
質問セット選択部12は、該選択したN個の属性毎に、当該属性に属する項目を同じグループに分類する。これにより、N個の各属性に対応するN個の項目グループが生成される。次いで、質問セット選択部12は、N個の各項目グループから1個ずつ項目を選択して、N個の項目の質問から構成される質問セットを生成する。質問セット選択部12は、各々異なるP個の質問セットを生成する。質問セットの個数(P個)は、情報管理装置1に予め設定されてもよく、又は、任意でもよい。例えば、質問セット選択部12は、N個の各項目グループから1個ずつ項目を選択する方法によって、N個の項目の質問の全ての組合せの質問セットを生成してもよい。
【0046】
以上が情報管理方法の第1段階の質問セット選択方法の例の説明である。
【0047】
[推測モデルの評価方法及び決定方法、並びに、設定対象ユーザの設定値の決定方法の例]
次に、情報管理方法の第1段階の推測モデル評価方法及び決定方法(
図4のステップS102,ステップS103)、並びに、設定対象ユーザの設定値の決定方法(
図5のステップS13)の例を説明する。
図7は、本実施形態に係る推測モデル評価方法の例を示すフローチャートである。
【0048】
(ステップS1)推測モデル評価部14は、設定ファイル21に登録されているユーザの集合をクラスタリングする。クラスタ数(K個)は、予め、情報管理装置1に設定される。クラスタリング方法は特に限定しない。クラスタリング方法として、例えば、K−means法を使用してもよい。
【0049】
ユーザの集合のクラスタリングにおいて、推測モデル評価部14は、設定ファイル21に含まれるユーザIDをクラスタリング対象にして、例えばK−means法によって、設定ファイル21に含まれる該クラスタリング対象のユーザIDに関連付けられている設定値に基づいて、K個のクラスタに、該クラスタリング対象のユーザIDを分類する。クラスタリングの対象のユーザIDは、設定ファイル21に含まれる全てのユーザIDであってもよく、又は、一部のユーザIDであってもよい。ユーザの集合のクラスタリングによって、クラスタリング対象のユーザID(ユーザ)はK個のクラスタに分類される。
【0050】
推測モデル評価部14は、K個のクラスタの各々にラベルを付与する。また、推測モデル評価部14は、K個のクラスタの各々の代表値を算出する。クラスタの代表値は、該クラスタに属するユーザIDに関連付けられて設定ファイル21に格納されている設定値の代表値である。代表値は、例えば、重心、平均、最頻値などに基づいて算出される。
【0051】
図8は、本実施形態に係るユーザの集合のクラスタリングを説明するための図である。
図8の例では、クラスタ数は3個(K=3)である。
図8において、ユーザの集合のクラスタリングによって、クラスタリング対象のユーザU1〜U13は、3個のクラスタCL1,CL2,CL3に分類されている。クラスタCL1にはラベル1が付与されている。クラスタCL2にはラベル2が付与されている。クラスタCL3にはラベル3が付与されている。
【0052】
また、各クラスタCL1,CL2,CL3の代表値として、各重心D1,D2,D3が算出されている。クラスタCL1の代表値は、クラスタCL1に属するユーザIDに関連付けられて設定ファイル21に格納されている設定値の重心D1である。クラスタCL2の代表値は、クラスタCL2に属するユーザIDに関連付けられて設定ファイル21に格納されている設定値の重心D2である。クラスタCL3の代表値は、クラスタCL3に属するユーザIDに関連付けられて設定ファイル21に格納されている設定値の重心D3である。
【0053】
推測モデル評価部14は、クラスタリング対象のユーザIDに関連付けて、該ユーザIDが属するクラスタのラベルを記録する。
図9は、本実施形態に係るユーザ付与ラベル情報の構成例を示す図である。
図9において、ユーザ付与ラベル情報は、ユーザIDに関連付けてラベルを示すラベル値を有する。ユーザ付与ラベル情報は、記憶部52に記憶される。
【0054】
図10は、本実施形態に係るクラスタの代表値の構成例を示す図である。
図10の例では、代表値は重心である。
図10の例は、
図8に対応している。
図10においては、各クラスタCL1,CL2,CL3の代表値として、M個の項目1〜項目Mの設定値を要素に持つ重心ベクトルが算出されている。クラスタの代表値は、該クラスタのラベルに関連付けて記憶部52に記憶される。
【0055】
説明を
図7に戻す。以降のステップS2〜S5までは、設定ファイル21に含まれるM個の項目1〜項目Mの中から、P個の質問セット毎に、当該質問セット(評価対象質問セット)のN個(質問数)の項目の組合せを順次選択しながら、評価対象質問セットの個数分つまり合計P回だけ繰り返し実行される。
【0056】
(ステップS2)推測モデル評価部14は、設定ファイル21に含まれるM個の項目1〜項目Mの中から、評価対象質問セットのN個の項目を選択する。
【0057】
(ステップS3)推測モデル評価部14は、設定ファイル21に含まれるM個の項目1〜項目Mのうち、ステップS2で選択したN個の項目の設定値を学習データに使用して、該N個の項目についての入力値に対してK個のクラスタのうちいずれかのクラスタを導出する分類器を生成する。
【0058】
この分類器の生成では、推測モデル評価部14は、設定ファイル21から、ステップS2で選択したN個の項目の設定値を取得する。設定ファイル21からN個の項目の設定値を取得する対象のユーザIDは、設定ファイル21に含まれる全てのユーザIDであってもよく、又は、一部のユーザIDであってもよい。次いで、推測モデル評価部14は、設定ファイル21から取得したN個の項目の設定値を学習データに使用して、分類器を生成する。この生成される分類器は、該N個の項目についての入力値に対して、K個のクラスタのうちいずれかのクラスタを導出する分類器である。例えば、分類器は、導出した結果のクラスタを示すラベルを出力する。分類器として、例えば、サポートベクターマシン(support vector machine:SVM)を利用してもよい。また、多値分類器として、例えば、マルチレベルサポートベクターマシンを利用してもよい。
【0059】
(ステップS4)推測モデル評価部14は、ステップS3で生成した分類器の評価値を算出する。この分類器の評価値の算出では、推測モデル評価部14は、記憶部52に記憶されているユーザ付与ラベル情報を正解データとして、分類器のクラスタの導出結果との比較を行う。推測モデル評価部14は、該比較の結果として、例えば正答率を算出する。
【0060】
図9のユーザ付与ラベル情報を例に挙げて具体的に説明する。例えばユーザID「UID_A」を例に挙げる。推測モデル評価部14は、設定ファイル21から、ユーザID「UID_A」に関連付けられている項目のうちステップS2で選択したN個の項目の設定値を取得する。推測モデル評価部14は、該取得したN個の項目の設定値を入力値にして分類器を実行し、該実行の結果として導出されたクラスタのラベルを得る。推測モデル評価部14は、ユーザ付与ラベル情報から、ユーザID「UID_A」に関連付けられているラベル(正答ラベルと称する)「1」を取得する。推測モデル評価部14は、分類器の実行結果として導出されたクラスタのラベルと、正答ラベル「1」とを比較する。この比較の結果、両者が一致する場合には正解であり、両者が不一致である場合には不正解である。
【0061】
推測モデル評価部14は、ユーザ付与ラベル情報に含まれる各ユーザIDについて分類器の評価を行い、該評価の結果を総合して評価値を求める。例えば、推測モデル評価部14は、ユーザ付与ラベル情報に含まれる各ユーザIDについて分類器の正解又は不正解を判定し、該判定結果を総合して正答率を算出する。分類器の評価に用いる対象のユーザIDは、ユーザ付与ラベル情報に含まれる全てのユーザIDであってもよく、又は、一部のユーザIDであってもよい。
【0062】
(ステップS5)推測モデル評価部14は、P個の全ての質問セットについて、分類器の生成及び評価が終了したかを判断する。この判断の結果、終了した場合には
図4のステップS103に進む。一方、まだ終了していない場合にはステップS2に戻り、まだ選択されていない質問セットについて、分類器の生成及び評価を行う。
【0063】
次いで、
図4のステップS103では、推測モデル評価部14は、P個の質問セットの各々の分類器のうち最良の評価値である分類器を推測モデルに決定する。例えば、推測モデル評価部14は、P個の質問セットの各々の分類器のうち、正答率が最大である分類器を推測モデルに決定する。該推測モデルに決定した分類器に対応する質問セットは、設定対象ユーザに問い合わせる質問セットである。該推測モデルに決定した分類器は、設定対象ユーザに問い合わせる質問セットに対応する推測モデルである。
【0064】
図5のステップS13では、ファイル設定部16は、問合せ部17から、設定対象ユーザについて、N個の項目の質問に対する設定値を取得する。ファイル設定部16は、該取得したN個の項目の質問に対する設定値を入力値にして推測モデルを実行し、該実行の結果として導出されたクラスタのラベルを得る。ファイル設定部16は、該推測モデルの実行結果のクラスタのラベルに関連付けられているクラスタの代表値を記憶部52から取得する。記憶部52には、
図10に例示されるように各クラスタの代表値が格納されている。ファイル設定部16は、該記憶部52から取得したクラスタの代表値と、問合せ部17から取得した設定対象ユーザによる設定値とに基づいて、設定ファイル21に含める設定対象ユーザの設定値を決定する。
【0065】
例えば、ファイル設定部16は、問合せ部17から取得したN個の項目の質問に対する設定値については、そのまま該当する項目の設定値に使用する。そして、ファイル設定部16は、該N個の項目以外の残りの項目について、記憶部52から取得したクラスタの代表値のうち該当する項目の代表値を使用する。
図10に例示されるように、各クラスタの代表値は、M個の項目1〜項目Mの設定値を要素に持つ重心ベクトルで表される。
【0066】
以上が情報管理方法の第1段階の推測モデル評価方法及び決定方法、並びに、設定対象ユーザの設定値の決定方法の例の説明である。
【0067】
本実施形態によれば、設定ファイル21のM個の項目1〜項目Mに対して、N個の項目の質問に対する設定対象ユーザによる設定値によって、M個の項目1〜項目Mの設定値を決定することができる。これにより、ユーザが個人情報の提供の許可について設定する作業の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0068】
また、本実施形態によれば、設定ファイル21のM個の項目の中から質問数(N個)の項目を選択する組合せの数よりも少ない個数(P個)だけの質問セットに対して推測モデルを評価すればよく、評価対象の推測モデルの個数をP個に抑制することができる。これにより、処理時間の短縮を図ることができるという効果が得られる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0070】
上述した実施形態に係る情報管理装置1の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0071】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。