(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した紙製棒状体を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明を適用した紙製棒状体1を示す斜視図である。本発明を適用した紙製棒状体1は、例えば、アイスクリーム類、氷菓、チョコレートや飴等の菓子、フランクフルト等の食品9に挿通されて用いられる。
【0022】
紙製棒状体1は、1枚の紙Pが複数回折り返されて複数の折返部21が形成されて、紙Pが積層される積層構造2を備える。紙製棒状体1は、紙Pが折り返される折返方向Xを短手方向として、折返方向Xに紙Pの面内方向で直交する折返直交方向Yを長手方向として、棒状に形成される。また、紙Pが積層される方向を積層方向Zとする。積層構造2は、積層方向Zで隣接して外側に露出される2つの折返部21の間に、紙Pの継目となる継目部22が形成される。
【0023】
図2(a)は、本発明を適用した紙製棒状体1に用いられる紙Pを示す斜視図であり、
図2(b)は、紙Pを折返直交方向Yから見た断面図である。
【0024】
紙Pは、
図2(a)に示すように、平面視矩形状に形成されて、ポリエチレン(PE)等のラミネート加工が表面Psに施されたラミネート紙が用いられる。ラミネート紙は、紙成分とラミネート成分とにより構成され、紙成分が50質量%以上含まれている。紙Pは、折返方向Xにおける端面をP1−1、P1−2とし、折返直交方向Yにおける端面をP2とする。ラミネート紙は、厚さが例えば0.2mm程度とされるが、1.0mm程度までとされることが望ましい。
【0025】
紙Pは、折返直交方向Yに延長されて罫線加工される罫線部7が表面Psに設けられる。紙Pは、
図2(b)に示すように、罫線部7が折返方向Xに所定の間隔で、一方の表面Psと他方の表面Psとで一対となって設けられる。罫線部7は、紙Pの折り返しや紙Pの厚みを考慮して、その位置が調整されるものであり、端面P1−1側及び端面P1−2側の両側から順次紙Pを折り返すとき、紙Pの折返方向Xにおける中央側に向かうにつれて隣り合う罫線部7との間隔が徐々に広くなるように調整される。なお、紙Pは、罫線部7が省略されていてもよい。
【0026】
次に、紙Pの折返パターンについて説明する。
図3(a)は、折返パターン“LL”となる積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図であり、
図3(b)は、折返パターン“RR”となる積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図である。なお、以下では、積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図については、紙Pが折り返されることを説明するために積層方向Zに積層される紙Pの各々の層が離間されて図示されるが、実際には紙Pの各々の層は離間されることなく互いに圧着されるものとする。
【0027】
紙Pをn回折り返したときの各々の折返部21を、一方の端面P1−1側から他方の端面P1−2側に向けて、折返部21−1、折返部21−2、・・・、折返部21−k、・・・、折返部21−n(k、nは自然数)とする。積層構造2を折返直交方向Yから見たとき、一方の端面P1−1を始点として、左回りとなるように紙Pが折り返されることを左折Lといい、右回りとなるように紙Pが折り返されることを右折Rというものとする。即ち、各々の折返部21−kで、左折Lとなるように、又は右折Rとなるように紙Pが折り返されることとなる。このとき、紙Pの折返パターンは、各々の折返部21−kにおける左折L又は右折Rを折返部21−1、折返部21−2、・・・の順に並べた“L”と“R”の文字列で表記される。
【0028】
例えば、
図3(a)に示すように、積層構造2は、折返部21−1、折返部21−2でそれぞれ左折Lとなるように紙Pが折り返されるものとなるため、折返パターン“LL”となる。同様に、積層構造2は、
図3(b)に示すように、折返部21−1、折返部21−2でそれぞれ右折Rとなるように紙Pが折り返されるものとなるため、折返パターン“RR”となる。
【0029】
上述したように紙Pの折返パターンは、各々の折返部21−kにつき左折L又は右折Rの2通りの折り返しが考えられるため、紙Pがn回折り返されるときには、2
n通りの折返パターンが考えられる。
【0030】
積層構造2は、
図3(a)に示すように、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側の折返パターン“LL”となるとき、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれる。同様に、積層構造2は、
図3(b)に示すように、一方の端面P1−1側の折返パターン“RR”となるとき、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれる。即ち、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側から2回連続で左折Lとなるように、又は2回連続で右折Rとなるように、紙Pが折り返されることで、折返方向Xにおける紙Pの端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれることとなる。
【0031】
なお、上述した説明では、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれる場合を例示しているが、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2側に置き換えた場合についても同様である。即ち、図示は省略するが、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2側から2回連続で左折Lとなるように、又は2回連続で右折Rとなるように、紙Pが折り返されることで、折返方向Xにおける紙Pの端面P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれることとなる。このとき、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2側の折返パターン“LL”又は折返パターン“RR”となる。
【0032】
即ち、以下の表1に示す折返パターンとなるとき、紙Pの端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれることとなる。
【0034】
図4(a)は、折返パターン“RL”となる積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図であり、
図4(b)は、折返パターン“RLLL”となる積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図である。
【0035】
積層構造2は、
図4(a)に示すように、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側の折返パターンが“RL”となるとき、折返部21−1で右折Rとなるように紙Pが折り返されて、さらに折返部21−2で左折Lとなるように紙Pが折り返される。このとき、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1がいずれの折返部21の内側に折り込まれない。積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21の内側に折り込まれるためには、
図4(b)に示すように、さらに折返部21−3、折返部21−4で左折Lとなるように紙Pが折り返される必要がある。このとき、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側の折返パターン“RLLL”となる。
【0036】
このように、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側から右折Rとなるように紙Pが折り返され、さらに3回連続で左折Lとなるように紙Pが折り返される場合、折返方向Xにおける紙Pの端面P1−1が折返部21−4の内側に折り込まれる。
【0037】
なお、上述した説明では、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−4の内側に折り込まれる場合を例示しているが、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2側に置き換えた場合についても同様である。即ち、図示は省略するが、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−2側から右折Rとなり、3回連続で左折Lとなるように紙Pが折り返される場合、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる。このとき、積層構造2は、他方の端面P1−2側の折返パターン“LLLR”となる。
【0038】
図5(a)は、折返パターン“LR”となる積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図であり、
図5(b)は、折返パターン“LRRR”となる積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図である。
【0039】
積層構造2は、
図5(a)に示すように、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側の折返パターンが“LR”となるとき、折返部21−1で左折Lとなるように紙Pが折り返されて、さらに折返部21−2で右折Rとなるように紙Pが折り返される。このとき、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1がいずれの折返部21の内側に折り込まれない。積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21の内側に折り込まれるためには、
図5(b)に示すように、さらに折返部21−3、折返部21−4で右折Rとなるように紙Pが折り返される必要がある。このとき、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側の折返パターン“LRRR”となる。
【0040】
このように、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側から左折Lとなるように紙Pが折り返され、さらに3回連続で右折Rとなるように紙Pが折り返される場合、折返方向Xにおける紙Pの端面P1−1が折返部21−4の内側に折り込まれる。
【0041】
なお、上述した説明では、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21の内側に折り込まれる場合を例示しているが、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2側に置き換えた場合についても同様である。即ち、図示は省略するが、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2側から左折Lとなり、3回連続で右折Rとなるように紙Pが折り返される場合、折返方向Xにおける紙Pの端面P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる。このとき、積層構造2は、他方の端面P1−2側の折返パターン“RRRL”となる。
【0042】
以下の表2に示す折返パターンとなるとき、紙Pの端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれることとなる。
【0044】
いずれにしても積層構造2は、3回連続で左折Lとなるように紙Pが折り返される場合、または3回連続で右折Rとなるように紙Pが折り返される場合には、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれることとなる。
【0045】
図6(a)は、本発明を適用した紙製棒状体1のうち、積層構造2を折返直交方向Yから見た断面図であり、
図6(b)は、積層構造2を折返方向Xから見た側面図であり、
図6(c)は、積層構造2を積層方向Zから見た平面図である。
【0046】
積層構造2は、
図6(a)に示すように、紙Pが罫線部7に沿って9回折り返されて、紙Pが積層方向Zに10層に積層される。積層構造2は、各々の折返部21−1、折返部21−2、・・・、折返部21−8、折返部21−9が右折Rとなるように紙Pが折り返され、折返パターン“RRRRRRRRR”となる。なお、積層構造2は、任意の折返パターンについて、右折の“R”と、左折の“L”とが反転された折返パターンは、一方の端面P1−1を始点とするか、他方の端面P1−2を始点とするかによる違いであり、これらは実質的に同一となる。即ち、積層構造2は、折返パターン“RRRRRRRRR”と、折返パターン“LLLLLLLLL”とは、実質的に同一のものとして扱われてもよい。
【0047】
積層構造2は、加熱によりラミネートが溶融された紙Pが積層方向Zに積層され、プレス機等で加圧されることで、積層方向Zで隣接する紙Pのラミネート面同士が圧着される。積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる。即ち、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、折返方向Xにおける紙Pの他方の端面P1−2が折返部21−8の内側に折り込まれており、紙Pの両端面P1−1、P1−2が露出されない。
【0048】
積層構造2は、複数の折返部21−1、21−2、・・・、21−8、21−9のうち、折返部21−4、21−5、21−6が外側に露出される。このとき、積層構造2は、積層方向Zに隣接して外側に露出される2つの折返部21−4と折返部21−6との間に、紙Pの継目となる継目部22が形成される。この積層構造2は、継目部22が1箇所に形成され、この継目部22は、2つの折返部21−4と折返部21−6とが積層方向Zに圧着されて形成される紙Pの継目である。
【0049】
積層構造2は、
図6(b)に示すように、折返直交方向Yを長手方向として延長されている。積層構造2は、折返直交方向Yの端部2aで紙Pの折返直交方向Yの端面P2が露出される。
【0050】
積層構造2は、
図6(c)に示すように、折返直交方向Yの両方の端部2aが平面視で半円弧状に形成される。なお、積層構造2は、端部2aが平面視で折返方向Xに直線状に延びていてもよく、平面視で如何なる形状とされていてもよい。
【0051】
積層構造2は、転写加工等により例えば凹凸状に形成されることで所定の摩擦係数に調整される摩擦調整部2dが外表面2cに設けられる。摩擦調整部2dは、例えば、折返方向Xに対して傾斜するように所定の間隔を空けて直線状に転写加工される。摩擦調整部2dは、これに限定されず、折返方向Xに対して平行に所定の間隔を空けて直線状に転写加工されてもよいし、折返方向Xに対して垂直に所定の間隔を空けて直線状に転写加工されてもよい。摩擦調整部2dは、外表面2cからわずかに突出されることで、
図1に示すように、外表面2cに接触するように挿通される食品9との摩擦抵抗を調整するために外表面2cに設けられるものとなる。なお、積層構造2は、外表面2cに例えば、所定の文字、図形、記号等が印字、印刷、刻印等されていてもよい。また、積層構造2は、ラミネート紙を構成する紙層とラミネート層との間に印字、印刷、刻印等されていてもよい。
【0052】
図7(a)〜(c)は、本発明を適用した紙製棒状体1の変形例のうち、積層構造2の外表面2cを拡大して折返方向Xから見た側面図である。積層構造2は、
図7(a)に示すように、外表面2cからわずかに凹ませられることで、所定の摩擦係数に調整される摩擦調整部2dが設けられてもよい。また、積層構造2は、
図7(b)に示すように、エンボス加工等により規則的に凹凸状に形成されることで、所定の摩擦係数に調整される摩擦調整部2dが外表面2cに設けられてもよい。また、積層構造2は、
図7(c)に示すように、紙やすり等により不規則的に微細な凹凸状に形成されることで、所定の摩擦係数に調整される摩擦調整部2dが外表面2cに設けられてもよい。なお、摩擦調整部2dは、省略されてもよい。
【0053】
積層構造2は、
図6(a)に示す形態だけでなく、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれるものとして、例えば、
図8〜
図10に示すように、紙Pが9回折り返されて、10層に積層されてもよい。
【0054】
例えば、積層構造2は、
図8(a)に示す折返パターン“RRRRLRRRR”としてもよいし、
図8(b)に示す折返パターン“RRRLRLRRR”としてもよいし、
図8(c)に示す折返パターン“RRRLLLRRR”としてもよい。これら
図8(a)〜
図8(c)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−8の内側に折り込まれる。
【0055】
積層構造2は、
図8(a)に示す形態において、折返部21−3と折返部21−5との間、折返部21−4と折返部21−6との間、及び折返部21−5と折返部21−7との間に3か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図8(b)に示す形態において、折返部21−2と折返部21−4との間、折返部21−3と折返部21−5との間、折返部21−4と折返部21−6との間、折返部21−5と折返部21−7との間、及び折返部21−6と折返部21−8との間に5か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図8(c)に示す形態において、折返部21−2と折返部21−4との間、折返部21−2と折返部21−8との間、及び折返部21−6と折返部21−8との間に3か所の継目部22が形成される。
【0056】
例えば、積層構造2は、
図9(a)に示す折返パターン“RRLRRRLRR”としてもよいし、
図9(b)に示す折返パターン“RRLRLRLRR”としてもよいし、
図9(c)に示す折返パターン“RRLLRLLRR”としてもよい。これら
図9(a)〜
図9(c)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−8の内側に折り込まれる。
【0057】
積層構造2は、
図9(a)に示す形態において、折返部21−2と折返部21−4との間、折返部21−2と折返部21−8との間、及び折返部21−6と折返部21−8との間に3か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図9(b)に示す形態において、折返部21−1と折返部21−3との間、折返部21−2と折返部21−4との間、折返部21−3と折返部21−5との間、折返部21−4と折返部21−6との間、折返部21−5と折返部21−7との間、折返部21−6と折返部21−8との間、及び折返部21−7と折返部21−9との間に7か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図9(c)に示す形態において、折返部21−1と折返部21−3との間、折返部21−1と折返部21−5との間、折返部21−4と折返部21−6との間、折返部21−5と折返部21−9との間、及び折返部21−7と折返部21−9との間に5か所の継目部22が形成される。
【0058】
例えば、積層構造2は、
図10(a)に示す折返パターン“RRLLLLLRR”としてもよい。このとき、
図10(a)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−8の内側に折り込まれる。また、積層構造2は、
図10(b)に示す折返パターン“RLLLRLLLR”としてもよいし、
図10(c)に示す折返パターン“RLLLLLLLR”としてもよい。これら
図10(b)〜
図10(c)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−4の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−6の内側に折り込まれる。
【0059】
積層構造2は、
図10(a)に示す形態において、折返部21−4と折返部21−6との間に1か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図10(b)に示す形態において、折返部21−3と折返部21−5との間、折返部21−4と折返部21−6との間、及び折返部21−5と折返部21−7との間に3か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図10(c)に示す形態において、折返部21−4と折返部21−6との間に1か所の継目部22が形成される。
【0060】
積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる折返パターンとして、
図11に示すように、紙Pが3回折り返されて、4層に構成されるものであってもよい。このとき、
図11に示す積層構造2は、折返パターン“RRR”となり、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が折返部21−2の内側に折り込まれる。積層構造2は、折返部21−1と折返部21−3との間に1か所の継目部22が形成される。
【0061】
また、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2がそれぞれ何れかの折返部21の内側に折り込まれる折返パターンとして、例えば
図12に示すように、紙Pが5回折り返されて、6層に構成されるものであってもよい。このとき、例えば、
図12(a)に示す積層構造2は、折返パターン“RRRRR”となり、
図12(b)に示す積層構造2は、折返パターン“RRLRR”となる。これら
図12(a)〜
図12(b)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−4の内側に折り込まれる。
【0062】
積層構造2は、
図12(a)に示す形態において、折返部21−2と折返部21−4との間に1か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図12(b)に示す形態において、折返部21−1と折返部21−3との間、折返部21−2と折返部21−4との間、及び折返部21−3と折返部21−5との間に3か所の継目部22が形成される。
【0063】
また、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる折返パターンとして、例えば
図13に示すように、紙Pが7回折り返されて、8層に構成されるものであってもよい。このとき、例えば、
図13(a)に示す積層構造2は、折返パターン“RRRRRRR”となり、
図13(b)に示す積層構造2は、折返パターン“RRLRLRR”となる。これら
図13(a)〜
図13(b)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−6の内側に折り込まれる。
【0064】
積層構造2は、
図13(a)に示す形態において、折返部21−3と折返部21−5との間に1か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図13(b)に示す形態において、折返部21−1と折返部21−3との間、折返部21−2と折返部21−4との間、折返部21−3と折返部21−5との間、折返部21−4と折返部21−6との間、及び折返部21−5と折返部21−7との間に5か所の継目部22が形成される。
【0065】
積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる折返パターンとして、
図14に示すように、紙Pが4回折り返されて、5層に構成されるものであってもよい。このとき、例えば、
図14(a)に示す積層構造2は、折返パターン“RRRR”となり、
図14(b)に示す積層構造2は、折返パターン“LLRR”となる。
図14(a)〜
図14(b)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−3の内側に折り込まれる。積層構造2は、
図14(a)に示す形態において、折返部21−2と折返部21−4との間に1か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図14(b)に示す形態において、折返部21−1と折返部21−3との間、折返部21−2と折返部21−4との間及びに2か所の継目部22が形成される。
【0066】
また、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2がそれぞれ何れかの折返部21の内側に折り込まれる折返パターンとして、例えば
図15及び
図16に示すように、紙Pが6回折り返されて、7層に構成されるものであってもよい。このとき、例えば、
図15(a)及び
図15(b)に示す積層構造2は、いずれも折返パターン“RRRRRR”となる。これら
図15(a)〜
図15(b)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−5の内側に折り込まれる。
【0067】
積層構造2は、
図15(a)に示す形態において、折返部21−3と折返部21−5との間に1か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図15(b)に示す形態において、折返部21−4と折返部21−6との間に1か所の継目部22が形成される。このように、
図15(a)及び
図15(b)に示す形態において、互いに折返パターンが同一となるものの、継目部22の位置が異なるものとなる。
【0068】
図16(a)に示す積層構造2は、折返パターン“LLRRRR”となり、
図16(b)に示す積層構造2は、折返パターン“LRRRRR”となる。
図16(a)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−2の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−5の内側に折り込まれる。
図16(b)に示す形態において、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1が折返部21−4の内側に折り込まれ、他方の端面P1−2が折返部21−5の内側に折り込まれる。
【0069】
積層構造2は、
図16(a)に示す形態において、折返部21−1と折返部21−3、折返部21−1と折返部21−5との間に2か所の継目部22が形成される。積層構造2は、
図16(b)に示す形態において、折返部21−3と折返部21−5との間に1か所の継目部22が形成される。
【0070】
このように、積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれるためには、紙Pが少なくとも3回以上同一の折返方向Xに連続して折り込まれて、4層以上に積層される。積層構造2は、紙Pが3回以上の奇数回折り返されて、4層以上の偶数層に積層されることが望ましいが、4回以上の偶数回折り返されて、5層以上の奇数層に積層されていてもよい。また、積層構造2は、紙Pが4層以上であれば、如何なる層数に積層されるものであってもよいが、14層程度までに積層されることが望ましい。
【0071】
積層構造2は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれることで、紙Pをn回折り返したとき、1箇所以上(n−2)箇所以下の継目部22が形成されるものとなる。
【0072】
次に、本発明を適用した紙製棒状体1の作用効果について説明する。
【0073】
本発明を適用した紙製棒状体1は、1枚の紙Pが折り返されて複数の折返部21が形成されて、紙Pが積層方向Zに積層される積層構造2を備え、積層構造2が積層方向Zに圧着されるものとなる。紙製棒状体1は、紙Pが積層される積層構造2が積層方向Zに圧着されることで、曲げ剛性を高めることができる。また、紙製棒状体1は、複数の紙片を接着剤により貼り合わせる作業や、複数の棒状部材を互いに接着剤により接合する作業を省略することができ、製造を簡略化することが可能となる。
【0074】
図17は、本発明を適用した紙製棒状体1を折返直交方向Yから見た断面図である。紙製棒状体1は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれる。即ち、紙製棒状体1は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が外側に露出されないものとなる。これにより、紙製棒状体1は、人の手が折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2に接触することがなくなるため、皮膚を切傷するのを防止することが可能となる。
【0075】
また、紙製棒状体1は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が積層構造2の折返部21の内側に折り込まれることにより、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2から積層構造2の内部に水分が浸透するのを抑制するものとなる。このため、紙製棒状体1は、積層方向Zに圧着される紙Pが水分によって剥離しにくいものとなり、積層構造2の割れやささくれ等を防止することが可能となる。
【0076】
紙製棒状体1は、積層構造2が積層方向Zの中心線Cで線対称となるように紙Pが積層されることによって、中心線Cを境に一方の外表面2c側と他方の外表面2c側とで曲げ強度が均一となる。このため、紙製棒状体1は、何れの外表面2cを上側又は下側とするかを区別することなく使用できる。
【0077】
紙製棒状体1は、積層構造2が積層方向Zに隣接して外側に露出される2つの折返部21の間に継目部22が形成され、この継目部22が1箇所に形成されることで、積層構造2の内部に水分が浸透するのをさらに抑制するものとなる。
【0078】
紙製棒状体1は、紙Pが4層以上14層以下程度で構成されることによって、所定の曲げ剛性を確保できるものとしながら、折り返しの回数を低減させることで、より容易に製造することが可能となる。
【0079】
紙製棒状体1は、紙P自体の厚みが0.2mm程度と折返方向Xにおける幅よりも十分小さいことから、紙Pが4層以上14層以下程度で構成されることによって、紙Pの端面P1−1側及び端面P1−2側から順次折り返したとき、紙Pの折返方向Xにおける中央側に向かうにつれて隣り合う罫線部7同士の間隔を徐々に広くなるように調整することで、積層構造2の折返方向Xにおける幅を各々の層で略同一となるように折り返すことが可能となる。
【0080】
図18(a)は、本発明を適用した紙製棒状体1のうち、積層構造2の端部2aを拡大して折返方向Xから見た側面図であり、
図18(b)は、積層構造2の端部2aが膨潤化した状態を折返方向Xから見た側面図である。
【0081】
紙製棒状体1は、
図18(a)に示すように、積層構造2の外表面2cに接触するように挿通される食品9との摩擦抵抗を調整するための摩擦調整部2dが設けられることによって、外表面2cと食品9との間に作用する図中矢印W方向への引き抜きに対する抵抗力を向上させることが可能となる。このため、紙製棒状体1は、より強固に食品9に固定させることが可能となる。
【0082】
また、紙製棒状体1は、積層構造2の外表面2cに摩擦調整部2dが設けられることによって、食品9を一部消費して摩擦調整部2dが外側に露出された状態で食品9を口に入れたとき、その舌触りを調整することが可能となる。
【0083】
紙製棒状体1は、
図18(b)に示すように、積層構造2が紙Pの折返直交方向Yの端面P2が露出されることによって、食品9に挿通されたとき、食品9に含まれた水分が紙Pの折返直交方向Yの端面P2から浸透して、積層構造2の端部2a側が膨潤化するものとなる。このため、紙製棒状体1は、食品9から図中矢印W方向への引き抜こうとしたとき、膨潤化した積層構造2の端部2a側が食品9に引っかかることとなり、引き抜きに対する抵抗力が向上するため、食品9に強固に固定することが可能となる。
【0084】
紙製棒状体1は、積層構造2の折返直交方向Yの端部2aが平面視で円弧状に形成されることによって、平面視で折返方向Xに直線状に形成される場合と比較して、紙Pの折返直交方向Yの端面P2が露出する面積が増加する。これにより、紙製棒状体1は、積層構造2の端部2a側に水分が浸透し易くなり、積層構造2の端部2a側が膨潤化しやすいものとなる。このため、紙製棒状体1は、食品9から図中矢印W方向への引き抜こうとしたとき、膨潤化した積層構造2の端部2a側が食品9に引っかかることで、引き抜きに対する抵抗力が向上するため、食品9により強固に固定することが可能となる。
【0085】
紙製棒状体1は、積層構造2の折返直交方向Yの端部2aに鋭角な部分が設けられることなく平面視で円弧状に形成されることによって、食品9を口に入れたとき、積層構造2の折返直交方向Yの端部2aにより口の中が切傷されるのを防止することが可能となる。
【0086】
なお、紙製棒状体1は、例えば、アイスクリーム類等の食品9に挿通されて用いられる以外に、例えば、マドラー、舌圧子、ナイフ、スプーン、フォーク、使い捨て筆記具の支持部、ヘラ等に用いられてもよい。このとき、紙製棒状体1は、適宜所定の機能が確保される形状となるように、周囲に裁断等の加工が施されてもよい。
【0087】
次に本発明を適用した紙製棒状体の製造方法について説明する。紙製棒状体の製造方法は、紙Pを折返方向Xに複数回折り返して複数の折返部21を形成して、紙Pを積層方向Zに積層する積層工程を備える。
【0088】
積層工程では、先ず、ラミネート紙である紙Pを折返直交方向Yに所定の長さに裁断して、
図19(a)に示すように、1枚の紙Pに折返方向Xに所定の間隔で罫線加工を行って、折返直交方向Yに延長した罫線部7を形成する。
【0089】
積層工程では、次に、罫線部7を形成した紙Pを加熱して、紙Pに施されたラミネートを溶融させる。
【0090】
積層工程では、次に、
図19(b)に示すように、紙Pの両端面P1−1、P1−2に最も近い罫線部7に沿って紙Pを折返方向Xに折り返して折返部21−1、21−9を形成して、紙Pを積層方向Zに積層する。積層工程では、一方の端面P1−1側から折り返して折返部21−1を形成するのと同時に、他方の端面P1−2側から折り返して折返部21−9を形成する。
【0091】
積層工程では、次に、積層方向Zに積層した紙Pの溶融させたラミネート面同士を対向させ積層方向Zに加圧して、積層した紙Pを積層方向Zに圧着する。
【0092】
積層工程では、次に、圧着した紙Pを再度加熱して、加熱した紙Pを罫線部7に沿って折返方向Xに折り返して折返部21を形成して、紙Pを積層方向Zに再度積層する。そして、積層工程では、積層した紙Pを積層方向Zに加圧して圧着する。このように積層工程では、紙Pの加熱から圧着までを所定の回数繰り返す。
【0093】
このとき、積層工程では、紙Pを折返方向Xの端面P1−1側と、端面P1−2側とのそれぞれから順次罫線部7に沿って折り返す。積層工程では、8回折り返すときには、
図20(a)に示すように、端面P1−1側から4回折り返すことで折返部21−1〜21−4を形成して、端面P1−2側から4回折り返すことで折返部21−6〜21−9を形成して、端面P1−1側と端面P1−2側とにそれぞれ紙Pを5層ずつ積層する。
【0094】
そして積層工程では、9回目(最後の1回)を折り返すときには、端面P1−1側と端面P1−2側とに5層ずつ積層したものを紙Pの折返方向Xの略中央に設けた罫線部7に沿って紙Pを折り返して、
図20(b)に示すように、紙Pを10層に積層する。積層工程では、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2を何れかの折返部21の内側に折り込むようにして紙Pを折り返し、積層方向Zに積層して積層構造2を構築し、積層構造2が積層方向Zの中心線Cで線対称となるように紙Pを積層する。
【0095】
このとき、積層工程では、紙Pの9回目を折り返すと同時に、転写加工等により凹凸状の摩擦調整部2dを外表面2cに設ける。また、積層工程では、紙Pの9回目を折り返すと同時に、外表面2c等に、例えば、所定の文字、図形、記号等を印字、印刷等してもよい。
【0096】
積層工程では、次に、積層構造2の折返直交方向Yの両方の端部2aを、平面視で半円弧状に裁断して端部加工を行って、完了となる。
【0097】
なお、積層工程では、折返直交方向Yに所定の長さに裁断した状態で、紙Pを折返方向Xに複数回折り返す場合を例にとり説明したが、これに限定されず、ロール状に巻かれた紙Pを折返直交方向Yに送り出した状態で、紙Pを折返方向Xに複数回折り返して積層してもよい。例えば、積層工程では、ロール状に巻かれた紙Pを折返直交方向Yに送り出した状態で、紙Pを折返方向に所定の回数折り返して積層した後に、紙Pを折返直交方向Yに所定の長さに裁断してもよい。この他、積層工程では、紙Pの最後の1回を折り返す前に、紙Pを折返直交方向Yに所定の長さに裁断し、その後に紙Pを最後の1回を折り返して積層してもよい。
【0098】
なお、積層工程では、紙Pに折返方向Xに所定の間隔で罫線加工を所定の箇所に行って罫線部7を形成する場合を例にとり説明したが、これに限定されず、紙Pを折り返す前であれば、いかなるときに紙Pに罫線部7を形成してもよい。例えば、積層工程では、紙Pの所定の位置に罫線加工を行って罫線部7を形成し、この罫線部7に沿って紙Pを折り返して圧着する。その後に、再度紙Pの所定の位置に罫線加工を行って新たな罫線部7を形成し、この新たな罫線部7に沿って紙Pを折り返して圧着する作業を繰り返して、紙Pを積層してもよい。なお、積層工程では、紙Pに罫線加工を行って罫線部7を形成することで、紙Pの折り返しを容易に行うことが可能となるが、この罫線部7を形成する作業は省略してもかまわない。
【0099】
なお、積層工程では、一方の端面P1−1側から折り返して折返部21を形成するのと同時に、他方の端面P1−2側から折り返して折返部21を形成する場合を例にとり説明したが、これに限定されず、端面P1−1側から端面P1−2側に向けて、又は端面P1−2側から端面P1−1側に向けて、順次折り返して折返部21を形成してもよい。
【0100】
なお、積層工程では、紙Pの最後の1回(
図20(b)の例では、9回目)を折り返すのと同時に、転写加工等により凹凸状の摩擦調整部2dを外表面2cに設ける場合を例にとり説明したが、いかなるときに摩擦調整部2dを形成してもよい。積層工程では、例えば、紙Pを折り返す前に積層構造2の外表面2cとなる位置に予め摩擦調整部2dを設けておき、その後に紙Pを折り返して積層してもよい。また、積層工程では、外表面2c等に、例えば、所定の文字、図形、記号等を印字、印刷等についても、いかなるときに行ってもよい。
【0101】
本発明を適用した紙製棒状体の製造方法は、1枚の紙Pを折り返して折返部21を形成して、紙Pを積層方向Zに積層する積層工程を備え、積層方向Zに紙Pを圧着する。これにより、紙製棒状体の製造方法は、所定の曲げ剛性を確保できるとともに、複数の紙片を接着剤を用いて貼り合わせる作業や、複数の棒状部材を互いに接着剤を用いて接合する作業を省略することができ、製造を簡略化することが可能となる。
【0102】
本発明を適用した紙製棒状体の製造方法は、積層工程では、一方の端面P1−1側から折り返して折返部21−1を形成するのと同時に、他方の端面P1−2側から折り返して折返部21−9を形成することにより、製造をより簡略化することが可能となる。
【0103】
図21(a)は、9層に積層される紙製棒状体の6回目を折り返した後の状態を折返直交方向から見た断面図を示し、
図21(b)は、7回目を折り返した後の状態を折返直交方向から見た断面図である。
【0104】
紙製棒状体の製造方法は、
図21(a)に示すように、折返方向Xにおける紙Pの一方の端面P1−1側と、他方の端面P1−2側とから順次紙Pを折り返し、一方の端面P1−1側又は他方の端面P1−2側で4層に積層した部分を形成する。その後、一方の端面P1−1側、又は他方の端面P1−2側で4層に積層した部分の何れか一方を、罫線部7に沿って単独で図中矢印T方向に折り返す。そして、
図21(b)に示すように、紙Pを4層に積層した部分と5層に積層した部分とを積層するように紙Pを図中矢印U方向に折り返すこととなる。即ち、紙製棒状体の製造方法は、紙Pを奇数層に積層する場合には、
図21(a)に示すような一方の端面P1−1側で積層した部分、又は他方の端面P1−2側で積層した部分の何れか一方を単独で折り返す作業が発生する。
【0105】
紙製棒状体の製造方法は、
図20(b)に示すように、紙Pを例えば9回折り返して10層に積層することによって、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1側、端面P1−2側から順次紙Pを折り返したとき、折返方向Xにおける紙Pの端面P1−1側で積層した部分、又は端面P1−2側で積層した部分だけを折り返す作業が発生することがない。即ち、紙製棒状体の製造方法は、紙Pを偶数層に積層することによって、一方の端面P1−1側で積層した部分、又は他方の端面P1−2側で積層した部分の何れか一方を単独で折り返す作業を無くして製造を簡略化することが可能となる。
【0106】
また、紙製棒状体の製造方法では、積層方向Zの中心線Cで線対称となるように紙Pを積層することによって、両方の端面P1−1側と、端面P1−2側からそれぞれ紙Pを折り返したとき、端面P1−1側と、端面P1−2側とで同一の折り返しを行うことができるため、製造をより容易に行うことが可能となる。
【0107】
紙製棒状体の製造方法は、紙Pを折り返す作業と、転写加工等により凹凸状の摩擦調整部2dを外表面2cに設ける作業とを同時に行うことによって、製造を簡略化することが可能となる。
【0108】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0109】
特に、積層構造2は、折返方向Xにおける紙の両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれていれば、折返パターンを構成する“L”と“R”の組み合わせとなり、上述した形態に限定されることなく、いかなる折返パターンであってもよい。
【0110】
また、上述した形態においては、1枚の紙Pが折り返される形態を説明したが、複数の紙Pが折り返されてもよい。このとき、複数の紙Pにおける各々の両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に配置されるように積層構造2を構築する。
【実施例】
【0111】
再冷凍した市販のアイスに棒状体を挿通し、治具にて棒状体を5分間水平に固定したときのアイスの先端部の変位量を測定することにより、棒状体の曲げ剛性を評価した。アイスは、12.8gのプラスチック容器に入れて、内容量を100gとした。
【0112】
表3は、曲げ剛性の評価に用いられた棒状体を示す。比較例1は、白樺が用いられる棒状体である。比較例2は、ポリプロピレン(PP)が用いられる棒状体である。比較例3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる棒状体である。比較例4、5及び本発明例1、2は、紙厚が0.42mm〜0.43mm程度の原紙(坪量370g/m
2)の表面にポリエチレン(PE)によるラミネート加工が施されたラミネート紙が用いられる棒状体である。比較例4、5は、複数のラミネート紙が積層方向に所定の枚数だけ積層されて貼り合わせられる棒状体である。比較例4、5は、棒状体の短手方向における紙の端面が露出されるものとなる。本発明例1、2は、1枚のラミネート紙が折り返されて、積層方向に所定の枚数だけ積層されて圧着される棒状体である。本発明例1、2は、棒状体の折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれるものである。
【0113】
【表3】
【0114】
表4は、各々の棒状体の変位量を測定した結果を示す。棒状体の変位量が小さいほど、棒状体の曲げ剛性が高いものと評価する。
【0115】
【表4】
【0116】
本発明例1、2は、比較例1、比較例3と同程度以上の変位量となったことから、ラミネート紙が用いられたとしても、白樺やPETを用いた場合と同程度の曲げ剛性を有するものと考えられる。また、本発明例1、2は、比較例2よりも小さな変位量となったことから、ラミネート紙が用いられる場合には、PPを用いる場合よりも高い曲げ剛性を有するものと考えられる。
【0117】
紙の積層数が4枚である比較例4と本発明例1とを比較すると、比較例4よりも本発明例1の方が変位量が小さくなった。測定後に、棒状体の短手方向における紙の端面を観察した結果、比較例4は、アイスに挿通されることで、棒状体の短手方向における紙の端面から水分を吸収して膨潤化していた。
【0118】
これに対して、本発明例1は、棒状体の短手方向である折返方向Xの紙の両端面が露出されることなく、何れかの折返部21の内側に折り込まれるものとなる。本発明例1は、アイスに挿通されたとしても、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2から水分を吸収することなく、圧着された紙Pの各々の層同士の剥離も確認されなかった。このため、本発明例1は、折返方向Xにおける紙Pの両端面P1−1、P1−2が何れかの折返部21の内側に折り込まれることによって、棒状体としての曲げ剛性が比較例4よりも向上したものと考えられる。