特許第6720102号(P6720102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720102
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】鏡面ボードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27M 3/00 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   B27M3/00 N
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-38418(P2017-38418)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-144255(P2018-144255A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】512227904
【氏名又は名称】寧波東誠家居用品製造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 大明
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−213451(JP,A)
【文献】 特開2010−234710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0275169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27M 3/00
B27D 5/00
B32B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード表面に鏡面メラミン樹脂層を形成するにあたり、
ベースフィルム裏面に脱膜層を介して保護層、転写層及び接着剤層(30A)が形成された転写フィルム(30)を用意し、ボード(11)又は表面に鏡面メラミン樹脂層(12)が形成されたボード(11)の端面上縁角部を上端にアール加工が施された研磨ロール(20)によってアール加工し、ボード(11)又は鏡面メラミン樹脂層(12)が形成されたボード(11)の端面に転写フィルム(30)を裏面側が端面側になるようにして端面上縁と下縁を覆うように重ね、転写フィルム(30)を上端にアール加工が施された加熱加圧ロール(22)によって加熱加圧して脱膜層からベースフィルムを脱膜させるとともにボード(11)又は鏡面メラミン樹脂層(12)が形成されたボード(11)の端面に接着剤層によって転写層及び保護層を接着させて転写膜(17)を形成するようにしたことを特徴とする鏡面ボードの製造方法。
【請求項2】
上記ボード(11)又は表面に鏡面メラミン樹脂層(12)が形成されたボード(11)の端面の上縁角部及び下縁各部を上端及び下端にアール加工が施された研磨ロール(20)によってアール加工するようにした請求項1記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項3】
ボード(11)端面に転写膜(17)を形成した後、ボード(11)表面にメラミン樹脂シートを重ねて鏡面加熱板によって加熱して鏡面メラミン樹脂層(12)を形成するようにした請求項1記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項4】
ボード原板表面にメラミン樹脂シートを重ねて鏡面加熱板によって加熱して鏡面メラミン樹脂層(12)を形成した後、表面を保護シートで保護し、所定の寸法のボード(11)に切断した後、ボード(11)端面の上縁角部をアール加工し、ボード(11)の端面に転写フィルム(30)を裏面側が端面側になるようにして端面上縁と下縁を覆うように重ね、転写フィルム(30)を加熱加圧してベースフィルムを脱膜層から脱膜させるとともにボード(11)端面に接着剤層によって転写層及び保護層を接着させて転写膜(17)を形成するようにした請求項1記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項5】
ボード(11)の表面には180g/m2以上のメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを重ね、
該メラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード(11)表面に厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層(12)を形成するようにした請求項3又は4記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項6】
上記メラミン樹脂シートを3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の上昇率でもって115°C〜125°Cの範囲内の設定温度まで昇温し、所定時間保持した後、上記設定温度から3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の下降率でもって降温するようにした請求項5記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項7】
上記転写シートの転写層が木目模様を有する請求項1記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項8】
上記メラミン樹脂シートは木目模様を有する請求項3又は4記載の鏡面ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鏡面ボードの製造方法に関し、特にボード端面に材料が現れず、商品性を大幅にアップできるようにした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングテーブルやセンターテーブルなどの天板には木目の美しい鏡面ボードがよく用いられる。
【0003】
この鏡面ボードを製造する場合、天然の板材の表面にポリエステル樹脂塗料などを塗って硬化させ平滑に研磨するという作業を繰り返した後、最後にバフによって光沢研磨仕上げを行うようにした方法が知られている(特許文献1)。
しかし、この鏡面ボードでは板材の木目がそのまま見えるので、高級感のある木目鏡面ボードを製造する場合には木目の美しい高級な板材を使用する必要があってコスト高になる。
【0004】
他方、中密度繊維板(以下、「MDF」という) の表面に下地塗料を塗布し、硬化後に研磨し、その上に天然木の木目模様を転写又は印刷した後、透明な仕上げ塗料を塗布し、硬化後に仕上げ研磨をして製造するようにした鏡面ボードが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
しかし、この鏡面ボードでは天然木に樹脂塗料を塗布する場合に比較して安価であるものの、印刷層や転写層が非常に薄く、その木目模様から受ける印象が薄っぺらで天然木とは大きく相違し、見栄えの点で劣る。
【0005】
また、木目模様を有する厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートをMDFに積層して高圧プレスすることによって、MDFの表面に厚さ0.1mm以上のメラミン樹脂層を形成し、メラミン樹脂層の上に厚さ0.05mm以上のポリウレタン樹脂塗膜を研磨・塗り重ねることによって0.1mm以上のポリウレタン樹脂の透明塗膜を形成し、このポリウレタン樹脂の透明塗膜の表面を鏡面仕上げするようにした鏡面ボードが提案されている(特許文献4)。
この鏡面ボードでは他の鏡面ボードに比較して表面の光沢度が優れているものの、光沢度をさらにアップすることが求められていた。
【0006】
これに対し、本件発明者は、MDFボードの表面に180g/m2以上のメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを重ね、該メラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード表面に厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層を形成するようにした鏡面ボードの製造方法を開発し提案するに至った(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−181492号公報
【特許文献2】特開2007−111859号公報
【特許文献3】特開2000−61392号公報
【特許文献4】実用新案登録第3181575号公報
【特許文献5】特開2014−213451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献5記載の鏡面ボードは表面の光沢度を大幅にアップできたものの、鏡面ボードの端面にはMFDボードの端面がそのまま露出しており、商品性の点で改良の余地があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、鏡面ボード端面に材料が現れず、商品性を大幅にアップできるようにした鏡面ボードの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る鏡面ボードの製造方法は、ボード表面に鏡面メラミン樹脂層を形成するにあたり、ベースフィルム裏面に脱膜層を介して保護層、転写層及び接着剤層が形成された転写フィルムを用意し、ボード又は鏡面メラミン樹脂層が形成されたボードの端面上縁角部をアール加工し、ボード又は鏡面メラミン樹脂層が形成されたボードの端面に転写フィルムを裏面側が端面側になるようにして端面上縁と下縁を覆うように重ね、転写フィルムを加熱加圧して脱膜層からベースフィルムを脱膜させるとともにボード又は鏡面メラミン樹脂層が形成されたボードの端面に接着剤層によって転写層及び保護層を接着させて転写膜を形成するようにしたことを特徴とする。
【0011】
ここで、ベースフィルムにはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂などを原料とする各種フィルムを用いることができる。脱膜層には加熱によって軟化しあるいは溶融する公知の材料、例えば可塑性樹脂などを用いることができる。転写層は染料インクや顔料インクを含む樹脂で製造されることができる。保護層は転写層を保護できるものであればよい。
【0012】
本発明の特徴の1つはボード表面に鏡面メラミン樹脂層を形成するにあたり、ボード(鏡面メラミン樹脂層形成済みのボードも含む)端面に転写フィルムを端面の上縁と下縁を覆うように重ね、転写フィルムを加熱加圧して脱膜層を軟化又は溶融させてベースフィルムを脱膜させるとともに、接着剤層によって転写層及び保護層をボード端面に接着させて転写膜を形成するようにした点にある。
これにより、ボード表面に鏡面メラミン樹脂層を形成すると、ボード端面が転写膜で被覆され、ボード材料がそのまま露出しないので、見栄えがよく、鏡面ボードを使用した商品の商品性を大幅に向上できる。
【0013】
ところで、ボード端面にそのまま転写膜を形成すると、表面の鏡面メラミン樹脂層と端面の転写膜とが交わる端縁のラインが鋭い角度となり、商品性上、端縁が真っ直ぐに伸びて優れた見栄えを得ることができるものの、ユーザーが鏡面ボードの表面を手で触ったときに、鋭い角度の端縁で手に苦痛を感じたり手を傷めるおそれがある。
【0014】
本発明の第2の特徴はボード(鏡面メラミン樹脂層形成済みのボードも含む)端面の上縁角部をアール加工し、ボードの端面に転写フィルムを端面の上縁と下縁を覆うように重ねて転写膜を形成するようにした点にある。
これにより、表面の鏡面メラミン樹脂層と端面の転写膜とが交わる端縁のラインが丸みを帯びて柔らかな印象をユーザーに与えることとなって優れた見栄えを得ることができ、ユーザーが鏡面ボードの表面を手で触ったときに、ボード端縁で手に苦痛を感じたり手を傷めることもない。
【0015】
ボード(鏡面メラミン樹脂層形成済みのボードも含む)端面の上縁角部だけでなく下縁各部もアール加工するようにしてもよい。
【0016】
ボード表面に鏡面メラミン樹脂層を形成する場合、ボード端面に転写膜を形成した後、ボード表面にメラミン樹脂シートを重ねて鏡面加熱板によって加熱して鏡面メラミン樹脂層を形成するのがよい。
【0017】
また、ボード原板表面にメラミン樹脂シートを重ねて鏡面加熱板によって加熱して鏡面メラミン樹脂層を形成した後、表面を保護シート、例えば紙、フィルム、樹脂シートで保護し、所定の寸法のボードに切断した後、ボード端面の上縁角部をアール加工し、ボードの端面に転写フィルムを裏面側が端面側になるようにして端面上縁と下縁を覆うように重ね、転写フィルムを加熱加圧してベースフィルムを脱膜層から脱膜させるとともにボード端面に接着剤層によって転写層及び保護層を接着させて転写膜を形成することもできる。保護シートは鏡面メラミン樹脂層が損傷し汚れるのを回避する観点から転写膜の形成後に剥がすのが好ましい。
【0018】
鏡面メラミン樹脂層を形成する場合、具体的には、ボードの表面には180g/m2以上のメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを重ね、該メラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード表面に厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層を形成する。
【0019】
こうして得られた鏡面メラミン樹脂層の光沢度は特許文献4記載のボードに比較して大幅にアップしており、非常に美麗な鏡面ボードが製造できる。また、特許文献4記載の鏡面ボードの場合のようにポリウレタン樹脂を塗布し研磨し塗り重ねるという工程が不要となり、低コスト化を実現できる。
【0020】
さらに、メラミン樹脂が表面に現れるので、硬度が高く、耐熱性・耐火性に優れた鏡面ボードが得られる。
【0021】
メラミン樹脂シートには離型剤と艶出し剤を含有させているので、例えばポリシリコンを適量含有させているので、鏡面加熱板からの離型性をアップさせることができ、さらには艶出し剤が鏡面メラミン樹脂層の表面の艶を向上させるとともに平滑度を向上させ、これによって鏡面メラミン樹脂層の光沢度を大幅にアップさせることができる。
また、メラミン樹脂シートと木製ボードの接着性を向上させる上で、メラミン樹脂シートには接着剤を含有させるのがよい。
【0022】
例えば、メラミン樹脂シートを3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の上昇率でもって115°C〜125°Cの範囲内の設定温度まで昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、設定温度から3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の下降率でもって降温させることによって、鏡面メラミン樹脂層を木製ボード又は防火板の表面に形成できる。
【0023】
ボードの裏面はボード面を露出させてもよいが、メラミン樹脂シートを重ね、加熱板によって加熱してメラミン樹脂層を形成するようにしてもよい。
また、メラミン樹脂ボードは無地であってもよいが、木目模様を形成してもよい。すなわち、メラミン樹脂シートには木目模様を形成することもできる。
【0024】
メラミン樹脂シートはメチロールメラミンを溶剤に溶かし、紙などの充填剤に含浸させたもので、このメラミン樹脂シートを加熱すると、メチロールメラミンが重縮合を起こし架橋することで熱硬化性のメラミン樹脂となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る鏡面ボードの製造方法の好ましい実施形態を模式的に示す工程図である。
図2】第1の実施形態による方法によって製造された鏡面ボードを示す概略斜視図である。
図3】上記鏡面ボードを示す要部断面図である。
図4】第2の実施形態を模式的に示す工程図である。
図5】第2の実施形態による方法によって製造された鏡面ボードを示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る鏡面ボードの製造方法の好ましい実施形態を示す。図において、鏡面ボード10はMDFボード11をベースに製造されている。このMDFボード11の表面14及び裏面15には厚さ0.1mm程度の鏡面メラミン樹脂層12及びメラミン樹脂層13が形成されている。
【0027】
また、MDFボード11の端面16の上端縁及び下端縁は所定の曲率にアール加工が施され、この上端縁及び下端縁のアール部分16Aを覆うようにして木目模様の転写膜17が形成されている。この転写膜17は転写フィルム30を用いて形成され、転写フィルム30はポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂などを原料とするベースフィルムの裏面に、脱膜層を介して保護層、転写層及び接着剤層の三層30Aを形成して製造されている。
【0028】
本例の鏡面ボード10を製造する場合、図1の(a)に示されるように、MDF原板を所定の寸法に切断して成形した後、図1の(b)に示されるように、MDFボード11の端面全周を硬質の切削刃で切削して見栄えを整える。
【0029】
次に、図1の(c)に示されるような研磨ロール20によってMDFボード11の端面を研磨する。このとき、研磨ロール20の研磨面の上端及び下端にはアール加工が施されており、これによりMDFボード11の上端縁角部及び下端縁角部が所定の曲率でもってアール加工される。
【0030】
こうしてMDFボード11の端面のアール加工及び清掃が済むと、図1の(d)に示されるように、MDFボード11の表面及び端面をローラー研磨した後、MDFボード11の端面に転写フィルム30を加熱加圧ローラー22によって加熱圧着する。転写フィルム30はMDFボード11の端面の上下端縁のアール部分16Aを覆う横幅を有するベースフィルムをベースとし、ベースフィルム裏面には脱膜層を介して保護層、木目模様転写層及び接着剤層の三層30Aが形成されている。
【0031】
加熱加圧ローラー22は180°C〜230°Cの範囲内の温度でもって転写フィルム30を加熱加圧し、これによって転写フィルム30の脱膜層が軟化溶融して転写フィルム30のベースフィルムを剥がすことができるとともに、接着剤層によって転写層及び保護層がMDFボード11の端面に接着されて転写膜が形成され、転写膜の木目模様がMDFボード11の端面に転写される。
【0032】
MDFボード11の端面に木目模様が転写されると、図1の(f)に示されるように、MDFボード11の表面及び裏面に木目模様を有する鏡面メラミン樹脂層を形成する。すなわち、例えば200g/m2のメラミン樹脂を含有し表面に木目模様が形成された厚さ0.15mmのメラミン樹脂シート31を準備する。このメラミン樹脂シート31にはポリシリコン(離型剤兼艶出し剤)及び接着剤が適量含有されている。このメラミン樹脂シート31をMDF11の表面及び裏面に木目が外側になるように重ねる。
【0033】
次に、メラミン樹脂シート31を積層したMDF11を2枚のステンレス板32、33で上下から挟む。このステンレス板32、33には加熱冷却用の媒体を流通させるパイプなどの加熱冷却システムが設けられている。また、上側のステンレス板32には表面を鏡面仕上げした鏡面ステンレス板を用いる。このステンレス板32、33によってメラミン樹脂シートを80°Cから加熱し始め、メラミン樹脂シート31のメチロールメラミンが液化する温度域のうちの低温度、例えば120°Cの設定温度まで10分かけて昇温し、この120°Cの温度に10分間保持した後、今度は10分かけて120°Cから80°Cまで降温する。
【0034】
すると、メラミン樹脂シート31のメチロールメラミンがゆっくりとかつ均一に液化してMDF11に貼り付き、接着剤層によって強固に貼着されるとともに、メチロールメラミンが重縮合を起こし架橋することで熱硬化性のメラミン樹脂となるが、ゆっくりと液化させ重縮合させているので、MDFボード11のメラミン樹脂層12、13は均一な厚さとなる。
【0035】
しかも、上側のメラミン樹脂シート12にはポリシリコンが含有されているので、ポリシリコンがメラミン樹脂層12の表面に回り込み、メラミン樹脂層12が鏡面ステンレス板から綺麗に離型するとともに、表面に艶を与え、平滑な表面を構成する。また、ステンレス板32、33の温度が120°Cまでであるので、メラミン樹脂層12が過熱されて焦げることもなく、くもり、傷、焦げつきのない美麗で光沢度の高い木目鏡面メラミン樹脂層12を有する鏡面ボード10が得られる。
【0036】
本例の木目鏡面ボード10は家具や内装建材など、木板を使用するあらゆる用途に木板の代用品として用いることができる。
【0037】
また、図4及び図5は第2の実施形態を示す。本例の鏡面ボード10を製造する場合、図4の(a)に示されるように、MDF原板の表面及び裏面に木目模様を有する鏡面メラミン樹脂層31及びメラミン樹脂層31を形成する。形成の方法は第1の実施形態と同様であるので、その詳細は省略する。MDF原板の表面及び裏面に木目模様を有する鏡面メラミン樹脂層31及びメラミン樹脂層31が形成されると、MDF原板の表面及び裏面に保護シート、例えば樹脂含浸紙を粘着剤などで貼り付け、表裏面の鏡面メラミン樹脂層31及びメラミン樹脂層31を保護する。
【0038】
こうしてMDF原板の表面及び裏面に鏡面メラミン樹脂層31及びメラミン樹脂層31が形成されると、図4の(b)に示されるように、MDF原板を所定の寸法に切断して成形し、図4の(c)に示されるように、MDFボード11の端面全周を硬質の切削刃で切削して見栄えを整える。
【0039】
次に、鏡面メラミン樹脂層31及びメラミン樹脂層31が形成されたMDFボード11の端面を図4の(d)に示されるような研磨ロール20によって研磨する。このとき、研磨ロール20の研磨面の上端及び下端にはアール加工が施されており、これにより鏡面メラミン樹脂層31、メラミン樹脂層31及びMDFボード11の上端縁角部及び下端縁角部が所定の曲率でもってアール加工される。
【0040】
こうしてMDFボード11の端面のアール加工及び清掃が済むと、図4の(e)に示されるように、MDFボード11の端面をローラー研磨した後、図4の(f)に示されるように、MDFボード11の端面に転写フィルム30を加熱加圧ローラー22によって加熱圧着する。転写フィルム30はMDFボード11の端面の上下端縁のアール部分16Aを覆う横幅を有するベースフィルムをベースとし、ベースフィルム裏面には脱膜層を介して保護層、木目模様転写層及び接着剤層の三層30Aが形成されている。
【0041】
加熱加圧ローラー22は180°C〜230°Cの範囲内の温度でもって転写フィルム30を加熱加圧し、これによって転写フィルム30の脱膜層が軟化溶融して転写フィルム30のベースフィルムを剥がすことができるとともに、接着剤層によって転写層及び保護層がMDFボード11の端面に接着されて転写膜17が形成される。
【0042】
こうしてMDFボード11の端面に転写膜17が形成されると、転写膜17の表面にポリウレタン樹脂やUV硬化樹脂を塗布し、樹脂被膜が形成されると、最後にMDFボード11の表裏面の保護シートを剥がすと製品が得られる。
【0043】
なお、上記の例では木目鏡面メラミン樹脂層を形成するようにしたが、無地の鏡面メラミン樹脂層を形成するようにしてもよい。また、MDFに代え、合板やパーティクルボードなどのボードを用いることができ、又コンクリートと石英砂などの材料を積層した防火板などのボードを用いることもできる。
【0044】
さらに、上記の例ではメラミン樹脂シートに、離型剤兼艶出し剤としてポリシリコンを含有させたが、例えばウレタン系の離型剤とシリコン系の艶出し剤を含有させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 鏡面ボード
11 MDF(木製ボード)
12、13 メラミン樹脂層
17 転写膜
図1
図2
図3
図4
図5