【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本技術分野の現況には、浚渫用機械のための様々な歯があるが、しかし、実際には、ピンや歯やアダプタでさえ破損なしに、歯の先に影響する逆の力に効果的に、耐えることができるように構成されたものはない。
【0023】
最近接先行技術である
EP2058440は、後部結合パーツすなわちノーズとアダプタとを貫通する横断ピンの助けによって、アダプタに咬み合わせるためのノーズを有する歯を、記載している。歯とアダプタとの間の接触表面は、法線方向および接線方向の力に対して働いている間、安定化に寄与するが、しかし、接触表面の欠如によってアダプタの空洞の内側の歯の運動を引き起こすと上述で説明した逆の力に対しては寄与しない。これらの運動は、ピンへ作用を伝達し、その機能を保持機能から抵抗機能へと突如変更する。ピンは、過剰な力に耐えるようには設計されていないので、同ピンは、変形するか、または、受けた力次第では破損さえする。結果的に、上述の問題、主に、水面下での歯の喪失と、変形に起因するピンの苦心しない(hammerless)引き抜きの妨害と、の問題になる。
図18中に、被引用先行技術文献に係る歯が逆の力を受けているときの、反作用の力を示す。図中で、反作用の力は、ノーズの上側表面の自由端に示し、別の反作用は、傾斜表面の下側に示す。襟の傾斜表面の下側での水平反作用(R
X)は、他の反作用によって相殺されず、歯がシステムから(排出されるように)外に行くようにするので、接触区画を作り、中でも、ピンは、前述のように過剰な力を受ける。ノーズの自由端の上側表面と歯の襟の傾斜表面の下側表面とは、アダプタと接触し、上述の反作用を引き起こすので、歯の先に加わる力(F
I)は、アダプタに対して歯を回転させる。前記反作用R
Xは、結合から歯を排出しようとするものであり、本発明が相殺するものである。
US3349508は、地面掘削用機材のための交換式歯に言及している。個の発明の特徴は、歯ホルダーが受け入れる歯の近位端の形状と、相補的な歯ホルダーの陥凹すなわち受け口の協調的形状と、である。断面において、ホルダーに受け入れられる歯の部分は、上面および下面と、ホルダーに受け入れられる歯の部分の後自由端に隣り合う下セグメントと、を備えるT形状である。
【0024】
US7694443B2およびWO2011149344には、浚渫作業のための、保持システムを通じてアダプタに固定された歯が記載されている。保持スステムは、歯およびアダプタを貫通せず、弾性手段を用いてアダプタに対して引っ張ることによって、ノーズの端を通じて歯を保持している。これらのシステムは、歯のノーズの自由端に、歯に牽引力を及ぼすために用いられる鉤を備える。この鉤は、歯の最も脆弱なパーツになるので、牽引の反作用は、歯とアダプタとの間で対峙されるので、この鉤は、破損される。牽引力を及ぼすことによって、歯とアダプタとが接触するように維持する保持システムにおける弾性手段は、接触表面の間に隙間が発生する弧をと防止できない。これらの隙間が発生したとき、システムはあまり安定化せず、歯およびアダプタは、その間の接触が良好でないので、互いに対して動くことができる。本出願に係る発明は、接触表面の間の安定化によって、隙間の形成を妨げる。
【0025】
スペイン特許文献番号ES−2077412−Aに記載されている非対称な歯およびアダプタのアセンブリは、2つの固定システムを用いる必要がある3パーツから成る。3パーツから成ることは、多数の予備パーツと3つの固定システムとを必要とするので、全体システムを複雑にする。3つの固定システムのうち、1つは、ハンマーを使う必要があるのに対して、残り2つは溶接によって形作られるので、交換作業が長く複雑になる。さらに、ピンは、歯のノーズの一方側でスロットに入れられるので、システムが非対称になり、そのため、システムは、歯の先に印加される力に対して、安定性が悪化し、具体的には、一方側のみに安定になる。歯のノーズの溝も、溝が在る位置でノーズの断面が小さくなるので、歯の抵抗性を悪化させる。
【0026】
本発明は、浚渫用機械に関する本技術分野の現況における既存の解決法の欠点を、特に以下のように、解決する。
・アダプタと歯との間の結合の安定性を向上して、逆の力の作用を防止する。歯とアダプタとの間の接触表面に沿った反作用の力の最適分布に寄与して、歯がアダプタに対して動かないように防止する。
・歯をアダプタから引き抜こうとするアセンブリに対する反作用の力を最小化、または除去する。
・アダプタとピンとを接続するピンを、前述の安定化によって、変形および破断から保護する。
・ピンが抵抗する作動力を減少させて、ピンに必要な材料を低減する。この材料の低減はピンの直径を低減するので、歯およびアダプタにおける該ピンを収納するための孔の直径も低減する。本解決法の歯およびアダプタにおける結合パーツは、本技術分野の現況のものよりも頑丈である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
〔発明の説明〕
本発明に記載される歯は、前損耗部と、(i)鉛直なZY平面について対称であり(ii)本発明に係るアダプタの本体に設けられた空洞内に収納されるための後結合部と、を備える。アセンブリは、浚渫用機械のために、両部材から構成される。好ましくはハンマーレス手段によって、好ましくは鉛直型ロッキングシステムによって、両部は互いに取り付けられる。アダプタは、このような目的に適合する結合手段によって、空洞の反対側の端で、浚渫用機械のカッターヘッドのアームに取り付けられる。
【0028】
上述について、鉛直なZY平面は、Z軸とY軸とによって規定される。z軸は、歯の後結合部の本体とアダプタの空洞に沿う長手方向に延伸する。y軸は、z軸に直交し、鉛直方向に延伸する。x軸は、前述のz軸およびy軸に直交する。
【0029】
本発明の主たる目的は、浚渫作業中に歯先に発生する前述の逆の力を、(i)法線方向および接線方向の力に起因するその他の反作用の力と(ii)側方向のすなわち側方の力とに同時に、歯が最小化される位置で、支持するすなわち抵抗することである。
【0030】
本発明の第1目的は、カッター吸引浚渫機のカッターヘッドにアダプタによって結合可能な歯を設けることであり、これによって、完全に安定化された結合(逆の力に対する安定性を含む)が提供される。前記第1の目的は、請求項1に係る歯によって実現される。
【0031】
本発明の第2目的は、カッター吸引浚渫機のカッターヘッドに歯を結合可能なアダプタを設けることであり、これによって、完全に安定化された結合(逆の力に対する安定性を含む)が提供される。前記第2の目的は、請求項6に係るアダプタによって実現される。
【0032】
本発明の第3目的は、請求項1〜9に係る歯とアダプタとによって構成される、請求項10に係る結合システム、すなわち歯とアダプタとのアセンブリである。
【0033】
第1態様において、本発明は、カッター吸引浚渫機のカッターヘッドにアダプタによって結合されるための、(i)前損耗部と(ii)鉛直なZY平面について対称である後結合部とを備える歯に関する。前記後結合部は、(i)後自由端と(ii)前記前損耗部に拘束される前方端とを備える主体を備える。前記主体は、2つの側面によって接続されている第1上面と第1下面とを備える。前記第1上面の前記後自由端の近くに、前記後自由端から前記前方端に向ってある距離に延設されている上セグメントがある。前記上セグメントに略平行な下セグメントも、前記第1下面に設けられている。
【0034】
前記主体の各側面は、第2下面に平行な第2上面を備える側突出部を規定する。前記第2上面は、前記主体の第1下面上の前記下セグメントに略平行であり、前記第2下面は、第1上面上の前記上セグメントに略平行である。前記表面間の平行度は、前記歯の前記損耗部の先に影響する力を相殺するために、重要である。前記突出部が幅広であるほど、前記接触表面での前記反作用はより拮抗するが、しかし、この度合いは、前記歯と前記アダプタとの間の幾何学的結合次第である。
【0035】
前記突出部の前記第2上面と前記第2下面との間の距離は、前記主体の前記第1上面上の前記上セグメントと前記第1下面の前記下セグメントとの間の距離よりも、小さい。前記突出部の前記第2上面は、好ましくは、前記第1上面の延長であり、両表面は、同一レベルで1つの接触表面を構成する。あるいは、前記第1上面と前記第2表面は、異なる2つの接触表面に、したがって、異なるレベルで、合致してもよい。
【0036】
前記歯は、前記第1上面の中心に、前記後結合部の断面を増やす上リブを備える。前記上リブは、前記第1上面の前記上セグメントと前記前損耗部の端部との間に延設されている。具体的には、前記リブの始点は、前記ノーズの前記前方端の方向における前記上セグメントの端部であり、終点は、前記前損耗部を拘束する前記後結合部である。
【0037】
前記歯は、さらに、前記前損耗部と前記後結合部すなわちノーズとの間に配設され、両部を拘束する位置を決める前記第1主体を囲むストッパーを備える。前記ストッパーは、カラー(collar)または周突出部またはフランジとして、前記第1主体を囲み、2つのV形状側面を備える。前記V形状側面の間の距離は、前記側突出部の間の距離よりも、大きい。前記ストッパーの目的は、以下である。
・上側および下側のデフレクタ(deflector)によって、前記アダプタを損耗から保護する。前記逸らせ板は、バラバラにされた材料の流れの向きを変えるように設計されており、このような材料がアダプタに対して摩擦や衝突をしないように防止する、すなわち、その損耗を防止する。
・長期に亘る損耗後に、アダプタと接触する。前記アダプタは、厚いほど、前記アダプタと接触しているときにうけるより大きな圧力に抵抗できる。前記アダプタは、前記歯と前記アダプタとの間のさらなる接触区域を決める。
【0038】
前記ストッパーの長さに沿った厚みは、結合作業中に受ける圧力次第で、様々である。具体的には、前記ストッパーは、上側と下側とに最厚区域を備える。前記歯の前記結合部の前記突出部の前記第2上面と前記第2下面とは、前記ストッパーの前記V形状側面にであるまで、延設されている。
前記第2表面と前記V形状側面との間の前記ユニオン(union)は、前記上リブ区域の増加を規定する。さらに、前記ユニオンは、前記異なる表面の間の前記ユニオン補強するための曲面によって、成される。
【0039】
第2態様において、本発明は、カッターヘッドのアームにアダプタに歯を結合するすなわち取り付けるためのアダプタに関する。前記アダプタは、(i)前記カッターヘッドのアームに前記アダプタを取り付けるための後結合端と、(ii)鉛直なZY平面について対称であり、前記歯と結合する前結合端と、を備える。前記前結合端は、底端と開口端とを備える主空洞を備える。前記底端は、前記後結合端に拘束される。前記空洞は、2つの側壁を決める2つの側面によって接続されている第1上面と第1下面とを備える。前記アダプタの前記空洞の幾何学的構成は、両面の間の結合が可能なように、前記歯の前記ノーズの幾何学的構成に、相補的である。
【0040】
前記主空洞の各側面すなわち各側壁は、第2下面に略平行な第2上面を備える側溝を備える。前記第2上面は、前記主空洞の第1下面上の前記底端に隣り合う下セグメントに略平行であり、前記第2下面は、第1上面上の前記底端に隣り合う上セグメントに略平行である。前記上セグメントは、前記空洞の前記第1上面の一部であり、前記下セグメントは、前記空洞の前記第1下面の一部である。前記面の間の平行度は、前記歯の前記損耗部の先に影響する力を相殺するのと同時に発生する反作用の力のために、重要である。前記溝は、好ましくは、連続しており、このため、その表面に沿って中断されないので、前記第2面に沿う前記反作用の力の一様分布を得ることができる。
【0041】
前記溝の前記第2上面と前記第2下面との間の距離は、前記空洞の前記第1上面と前記第1下面との前記セグメントの間の距離よりも、小さい。前記溝の前記第2上面は、好ましくは、前記第1上面と同一レベルであるが、しかし、異なるレベルにあってもよい。
【0042】
前記空想の2つの前記側壁、具体的には、前記側壁の自由端は、前記歯の形状に連動して、V形状を備える。
【0043】
上述によれば、前記歯は、(i)前損耗部と(ii)アダプタに設けられた空洞内に収納されるための後結合部すなわちノーズとを規定する。前記歯と前記アダプタとは、結合されたとき、浚渫用機械のためのアセンブリすなわち結合システムを構成する。両部材は、好ましくはハンマーレスな、鉛直型保持システムによって、互いに取り付けられる。前記アダプタは、このような目的に適合する結合手段によって、前記空洞の反対側の端で、前記カット吸引浚渫機のカッターヘッドのアームに取り付けられる。
【0044】
したがって、上述のように、本発明の主たる目的である(好ましくは浚渫用機械に適用される)歯、アダプタ、および両部材から構成されるアセンブリは、歯とアダプタとの間の接触表面の安定性を高め最適化した結果、歯先に影響する力が、力の方向に無関係に、アダプタに伝達され、同時に、カッターヘッドのアームに伝達されることが可能になる。このため、作動力は、歯とアダプタとの間にあるアセンブリの接触表面から離れるように移動して、接触表面を作動力から解放すると共に、任意の部材の破断および緩和を可能な限り防止する。
【0045】
本発明のこの目的は、両部材の間の接触表面の特有の構造によって実現される。前記特有の構造の接触表面は、全ての力のうち、歯の先端すなわち歯先に発生する全ての力に抵抗するので、前述の逆の力に対して安定化される。
【0046】
前記安定性は、保持システムおよび歯が受ける圧力に抵抗および低減するのに好ましい圧力分布を可能にする接触表面の構成によって、実現される。安定性を向上するために、歯の後結合部とアダプタの前結合端とは、作動力の平衡分布を得るために、対称である。
【0047】
本発明に係るカット歯とアダプタとが備える接触表面と構造的特徴とによって、両部材の間の結合が性能(具体的には、各歯の能率)を増すことができ、このため、浚渫用機械の能率が向上される。
【0048】
よく安定化されたアセンブリによって、歯とアダプタとの間の接触表面の過度の損耗が防止されるので、アセンブリ使用中に、両部材の間の隙間が増えることも防止される。
【0049】
歯は、前損耗部と後結合部すなわちノーズとの2つの異なる部分から構成されている。前損耗部は、地盤に作用する部分であり、地形によって浸食を受ける。後結合部すなわちノーズは、このような目的のためにアダプタに設けられた空洞に挿入される部分であり、地形に対する歯の作業によって生じる反作用および圧力を受ける。後結合部すなわちノーズを構成する第1主体は、1つの自由端と、自由端の反対側にあると共に前損耗部に拘束される前方端と、を備える。主体が備える2つの側面は、各々、逆の力に抵抗する機能を備える側突出部を備える。
【0050】
アダプタも、後結合端と前結合端との2つの部分から構成されている。機械にアダプタを取り付けるための後結合端は、接続される浚渫用機械のカッターヘッドのアームの機種次第で様々な構成を備える。一方、反対側の端、前結合端は、歯の後結合部すなわちノーズを受けるための空洞を備える。歯を受けるためのアダプタの空洞の表面の内部構成は、歯のノーズの表面に相補的である。空洞の各側面も、歯の側突出部のための側溝を備える。このため、両部材の間の完璧な結合が確保される。歯とアダプタとの結合のために、両部は好ましくは、アダプタの上部から下部へ、歯のノーズを突っ切る孔すなわち貫通口を備える。
【0051】
用いられるピンは、好ましくは、回転面を備え、好ましくは、ハンマーレス保持システム(挿入したり取り出したりするために、木槌又は金槌で、打たなくてよいシステム)を備える。
【0052】
アダプタの空洞内に歯の後結合部すなわちノーズがあるアセンブリは、前述の接触表面を規定する平面の結合によって、可能である。歯とアダプタとの間の作動力に抵抗または鎮圧することは、カッター吸引浚渫機のカッターヘッドでの歯の作業状況において、力が歯の損耗先に印加されるときに、接触表面によって実現される。
【0053】
歯とアダプタとの表面の間の接触のこの安定化に起因して、ピンが受ける圧力は、従来のインターロッキングシステムにおけるよりも、小さい。なぜならば、対向表面に予期せぬ力を受けて、保持システムおよび歯/アダプタ接触表面に圧力が放出されるようなとき、歯‐アダプタシステムは、大きな圧力を吸収するからである。このため、このため、より小さい寸法および断面を備える保持システムのピンを設計することが、より小さい圧力を受けるので、できる。ピンの寸法、具体的には直径を小さくすることによって、ピンの収納部に連絡するより小さい孔(より小さい直径)を備える歯およびアダプタの設計が可能になる。このため、歯のノーズとアダプタとは、より頑丈になることができる。
【0054】
上述によれば、重要なことに、歯およびアダプタにおける第1および第2の上面および下面が、接触表面を代表する安定化平面であることは、重視される。安定化平面は、歯先に発生する引き裂く力(具体的には、法線方向、接線方向、および逆の力)を安定化する機能を果たす。上記表面の目的は、アダプタから歯を離そうとする反作用を無効にすることである。(i)歯とアダプタとの間の接触表面に印加される(ii)アダプタから歯を引き抜こうとする逆の力の水平方向の反作用を無効化することは、必要である。引き抜く反作用を防止するために、接触表面における反作用の力は、該力と同じ方向でなければならず、この目的を実現する多ために、略平行な第1および第2の上面および下面が設けられる。