(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プリセットされた充填容量が異なるカートリッジ(600、600’、600’’、600’’’)を有するある範囲の自動注射器(100、100’、100’’)のうち1つを製造する方法であって、
a)前部本体ハウジング(220)を備える前部本体アセンブリ(100b、100c、100c’、100c’’)を提供するステップと、
b)所与の充填容量のカートリッジ(600、600’、600’’、600’’’)を提供するステップであって、前記カートリッジが、軸に沿って延在するカートリッジ本体(605)と、前記カートリッジ本体(605)内に軸方向で摺動可能に配置されたピストン(630)とを備え、前記カートリッジ本体(605)が遠位出口部分(610)および近位開放端を画定する、ステップと、
c)後部本体ハウジング(200)と、駆動ラムアセンブリ(310、320)と、前記駆動ラムアセンブリ(310、320)に作用して、保持されたカートリッジ(600、600’、600’’、600’’’)の前記ピストン(630)を遠位へと駆動するように構成された力を提供するアクチュエータ(330)とを備える後部本体アセンブリ(100a)を提供するステップであって、前記駆動ラムアセンブリ(310、320)が、前記アクチュエータ(330)の力に対抗して前記後部本体ハウジング(200)に対して解放可能に保持される、ステップと、
d)前記カートリッジ(600、600’、600’’)の前記充填容量にしたがって、異なる長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’、XS’、XS’’、XS’’’、XR’、XR’’、XR’’’)の間隔形状を有するある範囲のラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)から選択された、ある長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’、XS’、XS’’、XS’’’、XR’、XR’’、XR’’’)の間隔形状を画定するラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)を提供するとともに、前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’)上に、第1の音生成形状構成(403、403’、403’’)を提供するステップであって、前記第1の音生成形状構成(403、403’、403’’)が、組み立てられた前記自動注射器(100、100’、100’’)に対して、前記自動注射器(100、100’、100’’)の前記後部本体及び前部本体ハウジング(200、220)に関連付けられた第2の音生成形状構成と協働して、吐出操作の間に1つ以上のクリック音を生成するように構成され、該ステップd)が、異なるクリック音生成形状を有するある範囲のラムスペーサ部材(400、400’、400’’)からラムスペーサ部材(400、400’、400’’)を選択することを含む、ステップと、
e)前記後部本体アセンブリ(100a)の前記駆動ラムアセンブリ(310、320)と保持されたカートリッジ(600、600’、600’’)の前記ピストン(630)との間に前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’)が軸方向で配置されるようにして、前記前部本体アセンブリ(100b、100c、100c’、100c’’)、前記カートリッジ(600、600’、600’’)、前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’)、および前記後部本体アセンブリ(100a)を組み立てるステップとを含む、方法。
前記後部本体アセンブリ(100a)が、前記ある範囲の自動注射器(100、100’、100’’)それぞれに対して共通の設計のものである、請求項1に記載の方法。
前記トリガアセンブリ(380、340)が、第1のロック要素(380)とトリガ要素ばね(340)とを備え、前記第1のロック要素(380)が、前記後部本体ハウジング(200)に対して、係止位置から離れて起動位置に至るように移動可能に配置され、前記トリガ要素ばね(340)が、前記第1のロック要素(380)を前記係止位置に向かって付勢させて、前記トリガアセンブリ(380、340)を係止状態で維持するように作用する、請求項3または4に記載の方法。
前記トリガアセンブリ(380、340)が、第1のロック要素(380)とトリガ要素ばね(340)とを備え、前記第1のロック要素(380)が、前記後部本体ハウジング(200)に対して、係止位置から離れて起動位置に至るように移動可能に配置され、前記トリガ要素ばね(340)が、前記第1のロック要素(380)を前記係止位置に向かって付勢させて、前記トリガアセンブリ(380、340)を係止状態で維持するように作用し、ステップe)の後、前記針シールド(350)と前記第1のロック要素(380)との間の協働が可能にされて、前記針シールド(350)を前記延長位置から前記収縮位置へと移動させることによって前記第1のロック要素(380)が動作して、前記トリガアセンブリ(380、340)が係止状態から解放されて、前記アクチュエータ(330)の力によって前記駆動ラムアセンブリ(310、320)が動作することが可能になる、請求項4に記載の方法。
ステップe)で、前記針シールド(350)と前記第1のロック要素(380)との間の連結を確立するステップが提供され、それにより、前記針シールド(350)と前記第1のロック要素(380)との間の相対的な軸方向移動が防止される、請求項6に記載の方法。
前記駆動ラムアセンブリ(310、320)が長手方向部材(310)を含み、前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)の細長い傾斜形状が、前記カートリッジ本体(605)の前記近位開放端に軸方向で挿入されるように寸法決めされ、前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)が、前記駆動ラムアセンブリ(310、320)の前記長手方向部材(310)を少なくとも部分的に収容する、近位に面した軸方向で延在する開口部(415’、415’’)を画定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
前記アクチュエータ(330)が、前記駆動ラムアセンブリ(310、320)の前記長手方向部材(310)の長手方向ボア内部に配置される螺旋圧縮ばねである、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
前記ラムスペーサ部材(400’、400’’、400’’’)が、前記カートリッジ(600、600’、600’’)と関連付けられた行程終了停止形状(611)と協働して、保持されたカートリッジ(600、600’、600’’)の前記カートリッジ本体(606)に対する前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’)の遠位方向移動を制限するように適合された、投与終了停止面(401、401’、401’’)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
前記ラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)の前記投与終了停止面(401、401’、401’’、401’’’)が、ラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)の遠位に面する表面(410’、410’’、410’’’)から所定の距離(XR’、XR’’、XR’’’)に配設される遠位に面する表面であり、前記投与終了停止面(401、401’、401’’、401’’’)が、前記カートリッジ本体(605)の近位端面(611、611’、611’’、611’’’)と協働するように構成される、請求項11に記載の方法。
ラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)を提供するステップd)において、前記ステップが、異なる色のラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)のセットから、色付きのラムスペーサ部材(400、400’、400’’、400’’’)の色を選択して、前記カートリッジ(600、600’、600’’、600’’’)の内容物を表すステップを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【0006】
上記に特定した従来技術の装置を考慮して、本発明の1つの目的は、低コストでの製造を可能にすることである。
【0007】
第1の態様では、本発明は、プリセットされた充填容量が異なるカートリッジを有するある範囲の自動注射器のうち1つを製造する方法に関し、方法は、
a)前部本体アセンブリを提供するステップと、
b)所与の充填容量のカートリッジを提供するステップであって、カートリッジが、充填容量が異なるある範囲のカートリッジから選択されるとともに、軸に沿って延在するカートリッジ本体と、カートリッジ本体内に軸方向で摺動可能に配置されたピストンとを備え、カートリッジ本体が遠位出口部分および近位開放端を画定する、ステップと、
c)後部本体ハウジングと、駆動ラムアセンブリと、駆動ラムアセンブリに作用して、保持されたカートリッジのピストンを遠位へと駆動するように構成された力を提供するアクチュエータとを備える後部本体アセンブリを提供するステップであって、駆動ラムアセンブリが、アクチュエータの力に対抗して後部本体ハウジングに対して解放可能に保持される、ステップと、
d)カートリッジの充填容量にしたがって、異なる長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’、XS’、XS’’、XS’’’、XR’、XR’’、XR’’’)の間隔形状を有するある範囲のラムスペーサ部材から選択された、長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’、XS’、XS’’、XS’’’、XR’、XR’’、XR’’’)の間隔形状を画定するラムスペーサ部材を提供するステップと、
e)後部本体アセンブリの駆動ラムアセンブリと保持されたカートリッジのピストンとの間にラムスペーサ部材が軸方向で配置されるようにして、前部本体アセンブリ、カートリッジ、ラムスペーサ部材、および後部本体アセンブリを組み立てるステップとを含む。
【0008】
第1の態様によれば、ラムスペーサ部材は、組立てラインにおいて最後に取り付けられるものであり、自動注射器の性能の大部分を規定する。したがって、主に汎用部品を含む、1つの装置プラットフォームを開発し製造することが可能である。ラムスペーサ部材の変形例をそれぞれの薬物候補に合わせることによって、柔軟でコスト効率が良い装置の開発および装置製造ラインが可能になる。同時に、多数の特徴およびパラメータは、問題となっている特別な治療用途に合わせて特徴およびパラメータが具体的に適合された、モジュール式設計による特注であってもよい。
【0009】
第1の態様によれば、ラムスペーサ部材の間隔形状は、選択されたカートリッジの充填レベルまたは充填容量にしたがって、保持されたカートリッジのピストンを駆動ラムアセンブリの遠位端から所定の距離(X1’、X1’’、X1’’’)だけ分離するように構成されてもよい。
【0010】
別の方法として、またはそれに加えて、ラムスペーサ部材の間隔形状は、選択されたカートリッジの充填レベルまたは充填容量にしたがって、ラムスペーサ部材の遠位端面からある距離(XR’、XR’’、XR’’’)に配置された投与停止面を備えてもよい。ピストンがカートリッジ本体内の初期位置に位置する選択されたカートリッジにしたがって、前記距離(XR’、XR’’、XR’’’)は、ピストンの近位面とカートリッジ本体の近位端面との間の軸方向距離にしたがって選択されてもよい。それにより、ある範囲の異なるカートリッジから特定のカートリッジを選択した後、自動注射器によって吐出することができる明確な投与量である、有効行程長さ(XS’、XS’’、XS’’’)を画定することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、後部本体アセンブリは、ある範囲の自動注射器それぞれに対して共通の設計のものであってもよい。かかる実施形態では、後部本体アセンブリは、長期保存用に予め組み立てられ、後で最終組立ての際に、様々な異なる薬物容器の1つと連結させてもよい、内蔵式の付勢モジュールを提供する。したがって、後部本体アセンブリは、このようにして、特定の治療用途にそれぞれ適用可能である、多種多様な異なる自動注射器に対して利用されてもよい。
【0012】
組立て済みの自動注射器は、駆動ラムアセンブリを後部本体ハウジングに対して保持された位置から解放すると、アクチュエータの力によってラムアセンブリが駆動されて、ピストンが遠位へと駆動されるようにして、動作するように構成されてもよい。
【0013】
方法はさらに、後部本体アセンブリを提供する方法ステップc)において、方法が、
c1)後部本体ハウジングと、駆動ラムアセンブリと、アクチュエータと、トリガアセンブリとを提供するステップと、
c2)前記力を確立するため、アクチュエータを付勢状態にするステップと、
c3)アクチュエータを付勢状態で維持しながら、後部本体ハウジングと、駆動ラムアセンブリと、アクチュエータと、トリガアセンブリとを組み立てるとともに、トリガアセンブリを係止状態に配置して、アクチュエータの力に対抗して駆動ラムアセンブリを後部本体ハウジングに対して解放可能に保持するステップとを含むように規定してもよい。
【0014】
ステップc3)で、アクチュエータを付勢状態で維持しながら、後部本体ハウジングと、駆動ラムアセンブリと、アクチュエータと、トリガアセンブリとを組み立てる方法ステップは、トリガアセンブリを用いて行われてもよい。
【0015】
さらなる実施形態では、トリガアセンブリは、第1のロック要素とトリガ要素ばねとを備え、第1のロック要素は、後部本体ハウジングに対して、係止位置/係止状態から離れて起動位置に至るように移動可能に配置され、トリガ要素ばねは、第1のロック要素を係止位置/係止状態に向かって付勢させて、トリガアセンブリを係止位置/係止状態で維持するように作用する。
【0016】
トリガ要素ばねは、圧縮モードで作用して、第1のロック要素を係止位置/係止状態に向かって推進するように作用する、圧縮ばねであってもよく、または圧縮ばねを含んでもよい。トリガ要素ばねはアクチュエータと同軸で配置されてもよい。アクチュエータが螺旋ばねの形をした作動ばねとして提供される場合、トリガ要素ばねは、作動ばねと同軸で配置され、それと軸方向で重なり合ってもよい。
【0017】
さらなる実施形態では、トリガアセンブリは、前部本体アセンブリを後部本体アセンブリと組み立てるステップe)の前は、トリガ要素ばねを初期圧縮状態で維持するように作用する。さらなる別の実施形態では、トリガアセンブリは、組み立てられた自動注射器を起動するまで、トリガ要素ばねを初期圧縮状態で維持するように作用する。
【0018】
トリガ要素ばねを後部本体アセンブリ内に配置することによって、自動注射器の構成要素総数の特に大部分が、汎用後部本体アセンブリに含まれてもよく、それにより、例えば、薬剤カートリッジ、ラムスペーサ部材など、非汎用部品を含めた後の組立てステップ数が低減される。
【0019】
一実施形態では、アクチュエータを付勢状態にする方法ステップc2)は、ステップc3)の前に実施されてもよい。他の実施形態では、ステップc2)は、ステップc3)に規定された組立ての間に行われてもよい。さらに他の実施形態では、アクチュエータの付勢は、一部はステップc3)の前に、一部はステップc3)に規定された組立ての間に実施される。
【0020】
トリガ要素ばねの圧縮は、アクチュエータの付勢が行われている間に実施されてもよい。さらなる他の実施形態では、アクチュエータの付勢および/またはトリガ要素ばねの圧縮は、後部本体ハウジングとの組立て操作の間に、これらの構成要素を後部本体ハウジングに対して相対移動させることによって行われる。
【0021】
方法はさらに、前部本体アセンブリを提供する方法ステップa)が、
a1)前部本体ハウジングと、針アセンブリと、針シールドとを、後部本体アセンブリのトリガアセンブリと協働させるために提供するステップと、
a2)前部本体ハウジングと、針アセンブリと、針シールドとを互いに対して配置して、針シールドが、延長位置と収縮位置との間で前部本体ハウジングに対して軸方向で移動できるようにするステップとを含むように規定されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、針アセンブリを提供するステップa1)は、針アセンブリがカートリッジと固定的に付着されたカートリッジを提供することによって行われる。かかるカートリッジおよび針アセンブリは、充填済みシリンジとして提供されてもよい。他の実施形態では、針アセンブリは、充填済みカートリッジに対して別個に配置された針アセンブリとして提供されてもよく、針アセンブリおよびカートリッジは、後で連結されてそれらの間の流体連通を可能にするように構成される。
【0023】
方法ステップa1)は、針アセンブリおよび針シールドを前部本体ハウジングに対して組み立てる前に、針アセンブリ/針シールドのサブアセンブリを形成することを含んでもよく、メカニズムは、前記針アセンブリ/針シールドのサブアセンブリを前部本体ハウジングと組み立てる前は、針アセンブリと針シールドとの間の相対的な軸方向移動を防止する。前記メカニズムは、針アセンブリ/針シールドのサブアセンブリが前部本体ハウジングと組み立てられると、あるいは、針アセンブリ/針シールドのサブアセンブリが後部本体ハウジングと組み立てられると、針アセンブリと針シールドとの間の前記相対的な軸方向移動の防止を中止させるように設計されてもよい。
【0024】
一般的に、針シールドを装置のハウジングに対して移動させることによる注射の起動を組み込んだ既知の自動注射器では、針シールドを延長位置に向かって付勢させる別個のばね要素が、装置の遠位部分に配設される。
【0025】
しかしながら、第1の態様によれば、トリガ要素ばねは後部本体アセンブリ内に含まれてもよく、組立て操作、ならびにトリガ要素ばねの任意の張力付与は、汎用後部本体アセンブリを組み立てるときに実施されてもよい。
【0026】
さらなる実施形態では、ステップe)の後、またはその間、針シールドとトリガアセンブリとの間の協働が可能にされて、針シールドを延長位置から収縮位置へと移動させることによってトリガアセンブリが動作するか、または係止状態から解放されて、アクチュエータの力によって駆動ラムアセンブリが動作することが可能になるか、またはその力によって駆動ラムアセンブリを動作させる。
【0027】
ステップe)では、針シールドと第1のロック要素との連結を確立するステップが提供されてもよく、それにより、針シールドと第1のロック要素との間の相対的な軸方向移動が防止される。前記連結の例示的な実施形態は、針シールドと第1のロック要素との間の軸方向スナップ接続として提供されてもよい。しかしながら、別の方法として、他の装着手段が使用されてもよい。
【0028】
ラムスペーサ部材は、いくつかの実施形態では、単一部品部材を画定してもよい。代替実施形態では、ラムスペーサ部材は複数部品のアセンブリとして形成されてもよい。さらなる別の実施形態では、ラムスペーサ部材は、ラムスペーサ部材の異なる部分が互いに連結されて、長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’、XS’、XS’’、XS’’’、XR’、XR’’、XR’’’)の間隔形状の調節が可能になるように、調節可能にされてもよい。これにしたがって、異なるように調節されたラムスペーサ部材は、前記範囲のラムスペーサ部材を提供してもよい。
【0029】
ラムスペーサ部材は、細長い傾斜形状を画定するように形成されてもよい。さらなる実施形態では、駆動ラムアセンブリは、駆動ラムの形態で提供されてもよい長手方向部材を含む。ラムスペーサ部材の細長い傾斜形状は、カートリッジ本体の近位開放端に軸方向で挿入されるように寸法決めされる。ラムスペーサ部材は、駆動ラムアセンブリの長手方向部材を受け入れるように寸法決めされた、近位に面した軸方向で延在する開口部を画定する。
【0030】
さらなる実施形態では、ステップe)の後に、また、駆動ラムアセンブリがアクチュエータの力に対抗して後部本体ハウジングに対して保持されている場合、駆動ラムアセンブリの長手方向部材は、カートリッジ本体の近位開放端内へと軸方向で延在する。
【0031】
さらなる実施形態では、駆動ラムアセンブリの長手方向部材は、一部または全体が金属合金から作られる。さらなる別の実施形態では、アクチュエータは、駆動ラムアセンブリの長手方向部材の長手方向ボア内部に配置される螺旋圧縮ばねとして提供される。長手方向部材に金属合金を使用することによって、長手方向部材の材料寸法を低減することが可能になり、それによってさらに、より大きいスプリンガ(springer)を使用することが可能になる。同時に、長期保存の間アクチュエータが付勢状態で保持される、後部本体アセンブリの問題がない保管を利用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、ラムスペーサ部材はクリック音生成形状構成を画定してもよく、それと協働する、自動注射器の別の構成要素のクリック音生成形状構成と関連付けられて、駆動ラムアセンブリを解放した後で、所定の連続したクリックが生成される。
【0033】
ラムスペーサ部材を提供するステップd)で、方法ステップは、異なるクリック音生成形状を有する範囲のラムスペーサ部材から、ラムスペーサ部材を選択することを含んでもよい。選択されたラムスペーサ部材の第1のクリック音形状構成は、自動注射器のハウジングと関連付けられた第2のクリック音形状構成と協働して、用量吐出操作の開始時、その最中、またはその終了時に、少なくとも1つのクリック音を生成するように構成される。いくつかの変形例では、単一または複数のクリック音が、例えばスペーサ部材がカートリッジに対して変位されるときなど、吐出移動の間に生成される。別の方法として、またはそれに加えて、単一または複数のクリック音は、自動注射器のカートリッジを自動注射器のハウジングに対して移動させたときに生成されてもよい。
【0034】
さらなる実施形態では、ラムスペーサ部材は、保持されたカートリッジのピストンと協働するように構成された遠位に面する表面を画定し、駆動ラムアセンブリの長手方向部材と協働するように近位開口部内に配置された、近位に面する当接面を画定し、前記長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’)は、遠位に面する表面と当接面との間の軸方向の広がりを画定する。適切な長さ寸法(X1’、X1’’、X1’’’)を選択することによって、構成要素間の意図しない軸方向の緩みが回避されてもよい。これにより、潜在的なカートリッジ損傷のリスクが低減され、自動注射器の起動中に起こることがある望まれないノイズを低減するのに役立つ。
【0035】
さらなる実施形態では、ラムスペーサ部材は、カートリッジと関連付けられた行程終了停止形状と協働して、保持されたカートリッジのカートリッジ本体に対するラムスペーサ部材の遠位方向移動を制限するように適合された、投与終了停止面を備える。
【0036】
さらなる実施形態では、ラムスペーサ部材の投与終了停止面は、ラムスペーサ部材の遠位に面する表面から所定の距離を有する位置に配設された、遠位に面する表面であり、投与終了停止面は、カートリッジ本体の近位端と協働して、カートリッジ本体に対するラムスペーサ部材の移動の行程を制限するように構成される。
【0037】
さらなる実施形態では、後部本体アセンブリの後部本体ハウジングは、キャビティにつながる遠位に配置された開口部を画定し、キャビティはトリガアセンブリを完全に収容する。後部本体アセンブリは、トリガアセンブリが後部本体ハウジングのキャビティの外側に突出しないアセンブリとして提供されてもよいので、後続の取扱いステップの間に意図せずに起動されるリスクを大幅に低減することができる。
【0038】
さらなる実施形態では、後部本体アセンブリの残りの部品、例えば駆動ラムアセンブリおよびアクチュエータは、後部本体ハウジングの境界壁内に完全に保持されて、後続の組立て操作の間保存し安全に取り扱うことができる、サブアセンブリを提供する。
【0039】
さらなる実施形態では、ラムスペーサ部材を提供するステップd)は、ある範囲の異なる色のラムスペーサ部材から、色付きのラムスペーサ部材の色を選択するステップを含んでもよい。ラムスペーサ部材の色付き部分の色など、ラムスペーサ部材の色は、カートリッジの内容物を表すのに使用されてもよい。
【0040】
かかる色付きのラムスペーサ部材を含む組み立てられた自動注射器の場合、窓を通して、または1つ以上の透明区画を通してなど、色付きのラムスペーサ部材の少なくとも一部分に対して外からの視認(exterior view)が実現されてもよい。色付きのラムスペーサ部材の外からの視認は、起動の前および/または後のどちらかで実現されてもよい。そのため、吐出操作が進行するにつれて、色付きのラムスペーサ部材の目に見える部分が増加してもよい。
【0041】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法のいずれかによって提供される自動注射器に関する。
【0042】
さらなる態様では、かかる自動注射器は以下の特徴のいずれかを含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、自動注射器は、
ベースと、
ベースに対して配置された薬物カートリッジであって、
a)遠位端および近位端を有し、中央長手方向軸を規定するとともに、針に接続するように適合された、遠位に配置された出口を有する、細長い本体と、
b)本体に収容されるとともに、遠位方向に軸方向で駆動されて、出口を通して薬物の一回量を吐出するように構成された、ピストンとを備える、カートリッジと、
ピストンと協働するように適合されたプランジャと、
力を提供するとともに、プランジャに作用してピストンを遠位に駆動するように配置された、アクチュエータと、
延長位置と収縮位置との間でベースに対して軸方向で移動可能な針シールドとを備えてもよく、
自動注射器は、アクチュエータの力に対抗してプランジャを初期軸方向位置で解放可能に維持するように構成され、針シールドによって操作されるロックを画定し、
プランジャは、プランジャねじ構成要素と関連付けられ、ベースは、プランジャねじ構成要素と動作可能に連結するように適合されたベースねじ構成要素を画定し、
作動の前は、a)プランジャねじ構成要素は、ベースねじ構成要素と動作可能に連結され、b)ロックは、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の相対回転を防ぐように作用し、それによってプランジャを初期軸方向位置で維持し、
ロックは、針シールドを収縮位置に向かって移動させると、ロックが解除されて、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の相対回転が可能になって、プランジャが初期軸方向位置から解放され、薬物の一回量が吐出されるように構成される。
【0044】
かかる自動注射器では、装置は、予め応力を付与された作動ばねなどのアクチュエータを作動させて、ベースに対する針シールドの移動によってプランジャの軸方向移動を解放する、針シールド起動の吐出アセンブリを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、針シールドを延長位置から収縮位置へと軸方向で移動させたとき、アクチュエータに蓄積されたエネルギーは変化しないので、この移動を行うために針シールドに働く力は、アクチュエータによって提供される力に対抗するプランジャの移動を誘発しない。したがって、特に、高粘性の液体を吐出する自動注射器、または細い注射針とともに使用するように構成された自動注射器など、プランジャに大きい力を働かせるように構成されたアクチュエータを有する自動注射器の場合、針シールドの移動は、アクチュエータによって提供される力によって大きく妨げられない。
【0045】
自動注射器は、ベースねじ構成要素とプランジャねじ構成要素との間の動作可能な連結を維持したままロックを解除する前に、アクチュエータによって加えられる力が、ベースねじ構成要素およびプランジャねじ構成要素を互いに対して回転させるように作用する力成分を有する力へと移行するように構成されてもよい。可能な針シールドばねによって働く力とは別に、吐出アセンブリを起動するのに針シールドを移動させる際に、針シールド構成要素の移動に起因し得る摩擦力のみを克服すればよい。
【0046】
ロックは、作動の前はロックを維持するように係合し、作動すると係脱する、協働する幾何学形状を有する第1および第2の構成要素を係合することを含むように構成されてもよく、係脱は、協働する幾何学形状の変形を含まない。
【0047】
カートリッジ本体は近位に面する後面を画定してもよい。カートリッジの遠位に配置された出口は、遠位方向に延在する前部針および近位方向に延在する後部針の両方を有する針ユニットの後部針によって穿孔されるように適合された、穿孔可能なセプタムを備えてもよい。代替の構成では、カートリッジ本体の出口部分は、カートリッジ本体に対して固定的に取り付けられた注射針を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、ベースは装置のハウジングを形成する。自動注射器は、ベースに対して固定的に装着された針を収容してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、前部針は、針シールドに対して手動で操作可能であるように構成されるので、針シールドが注射部位に接して保持されたとき、前部針を針シールドに対して、またはその逆で手動操作することによって、全部針が注射部位内へと手動で貫入され、その後、ロックが解除される。
【0050】
装置の一部に対して手動で働く押し力が、針に対して作用して前部針を注射部位内へと手動で貫入させる手動力へと移行されるようにして装置を構成することによって、ユーザによる注射針の挿入の制御が改善される。同時に、この構成を使用することによって、投与の間、針はユーザから隠される。針挿入手順の制御が改善されることによって、潜在的なユーザの不安感を緩和することができる。作動移動の第1の部分は、針を針シールドに対して前方へと移動させて、針をユーザの皮膚に挿入する。移動の第2の部分は吐出アセンブリを作動させる。特定の実施形態では、これによって、デバイスの作動前に、ユーザが針の前部先端を手動で挿入することが可能になり、ユーザが操作を中断したい場合に投与が適時に停止されてもよい。
【0051】
プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の相対回転移動は、第1の回転軸を中心にして行われてもよい。いくつかの実施形態では、第1の回転軸は、カートリッジの本体の中央長手方向軸に対して同軸で配置される。他の実施形態では、第1の回転軸および中央長手方向軸は互いに非同軸で配置される。
【0052】
本開示の文脈では、「ベースねじ構成要素」、「プランジャねじ構成要素」、および「プランジャねじ構成要素に動作可能に連結するように適合されたベースねじ構成要素」について言及する場合、これは、プランジャねじ構成要素がベースねじ構成要素と動作可能に連結されたとき、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の相対移動が、螺旋状の案内移動を用いてもたらされると解釈されるものとする。螺旋状の案内移動の非限定例としては、ねじ込み結合、およびトラックとトラックフォロワの連結が挙げられる。ねじ込み結合は、第1の回転軸に沿った定リード、または第1の回転軸に沿った不等リードを有する、協働するねじ山を用いて提供されてもよい。ねじ付き構成要素は、連続したねじ付き区画を用いて、複数のねじ山セグメントを用いて提供されてもよい。トラックとトラックフォロワの連結は、前記第1の回転軸に対して一定ピッチを有するトラック、または第1の回転軸に沿って変動ピッチを有するトラックを画定してもよい。
【0053】
螺旋状の案内移動がねじ込み結合によって提供される場合、ねじ込み係合は、非自己ロック式のねじ込み係合として形成されてもよい。
【0054】
プランジャねじ構成要素は、プランジャねじ構成要素から径方向外側に延在し、ベースねじ構成要素によって提供される雌ねじを係合するように構成された、雄ねじとして提供されてもよい。あるいは、プランジャねじ構成要素は、ベースねじ構成要素によって提供される雄ねじを係合するように構成された、プランジャねじ構成要素の軸方向ボアの側面部分から径方向内側に延在する、雌ねじ構成要素を画定してもよい。いくつかの実施形態では、ねじ構成要素は、プランジャに固定的に取り付けられるか、またはプランジャと一体的に形成されるなど、プランジャによって形成される。
【0055】
針は、前部針に対する滅菌バリアを組み込んでもよい。後部針が存在する用途では、後部針に対する、または前部針および後部針の両方に対する滅菌バリアが組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、滅菌バリアは、針の少なくとも一部、即ち前部針または後部針を収容する閉じたキャビティとして構成される、可撓性のカバーまたはシースとして形成されてもよい。
【0056】
注射装置は、プランジャに連結され、ロックを解除するとプランジャを駆動するように構成された、貯蔵エネルギー源の形態のアクチュエータを備えてもよい。貯蔵エネルギー源の非限定例としては、予め引っ張られたばね、圧縮ガスなどのばね要素が挙げられ、貯蔵エネルギーは、自動注射器を製造する間、蓄積されてもよい。他の形態では、エネルギー源は、注射メカニズムを作動させる前の、装置の初期操作の間に充電されるように構成される。貯蔵エネルギー源は、保持されたカートリッジから吐出されることが意図される薬物の総量を吐出するため、自動注射器を動作させるのに十分なエネルギーを貯蔵し、また任意に、カートリッジを前方へと駆動して後部針に連結するため、および/または針遮蔽動作のために針シールドを駆動するため、余剰エネルギーを貯蔵する。
【0057】
特定の形態では、アクチュエータは、軸方向力をプランジャに働かせる螺旋圧縮ばねとして提供される。代替の形態では、螺旋圧縮ばねは、それに加えて、プランジャねじ構成要素およびベースねじ構成要素を互いに対して回転させるように作用する、トルクを働かせるように構成される。
【0058】
プランジャは駆動ラムを含んでもよい。さらに、プランジャは、駆動ラムと保持されたカートリッジのピストンとの間に位置付けられる、駆動ラムのためのラムスペーサ部材を含んでもよい。自動注射器のいくつかの実施形態では、作動ばねは、駆動ラムの長手方向ボアの内部に配置される螺旋圧縮ばねである。駆動ラムは、ステンレス鋼などの金属合金から作られてもよい。あるいは、駆動ラムはプラスチック材料から作られてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、自動注射器は、針シールドおよび針と関連付けられて、前部針をその遮蔽状態へと推進するか、または針シールドを前部針が遮蔽された状態へと推進する、針シールドばねを含んでもよい。特定の実施形態では、針シールドばねはアクチュエータまたは作動ばねとは別個の要素である。針シールドばねの例示の非限定的な実施形態としては、自動注射器の他の構成要素とは別個にもしくは一体的に形成された、圧縮モードおよび/またはねじりモードで作用する螺旋ばね、板ばね、プラスチックばね、またはプラスチック材料のばね要素などのばねが挙げられる。
【0060】
自動注射器のいくつかの実施形態では、ロックは、針シールドが延長位置から収縮位置に向かって移動するにつれて軸方向で移動可能な第1のロック要素を含み、第1のロック要素およびプランジャねじ構成要素は、作動の前は、プランジャねじ構成要素とベースとの間の回転ロックを維持するように構成された、協働するロック形状をそれぞれ画定し、協働するロック形状は、針シールドを収縮位置に向かって移動させると、ロックを解除してプランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の回転を可能にするように適合される。
【0061】
第1のロック要素は、針シールドサブアセンブリの一部として、あるいは針シールドとは別個であるが、針シールドの移動によって操作される構成要素として、針シールドと一体的に形成されてもよい。
【0062】
自動注射器の特定の実施形態では、第1のロック要素はベースに対して回転しないようにされる。第1のロック要素およびプランジャねじ構成要素は、作動の前は、プランジャねじ構成要素と第1のロック要素との間の回転ロックを維持するように構成された、協働するロック形状をそれぞれ画定してもよく、協働するロック形状は、針シールドを収縮位置に向かって移動させると、ロックを解除してプランジャねじ構成要素と第1のロック要素との間の回転を可能にするように適合される。
【0063】
代替実施形態では、第1のロック要素は、針シールドがその収縮位置に圧入されていると、ベースに対して回転できるが、針シールドが延長位置にあると、ベースに対して回転しないようにされる。第1のロック要素およびプランジャねじ構成要素は、相対回転は防ぐが軸方向の変位は許容するように構成された、それぞれ協働する幾何学形状を画定する。
【0064】
本発明の1つの態様によれば、ロックは、初期格納状態においてのみ、即ち吐出アセンブリの作動前のみ、作動可能のままにすればよいこと、即ち係止モードのままにすればよいことに留意されたい。吐出アセンブリの作動後、ロックを再度係止モードに入れる必要はなく、即ち、針シールドをその延長位置に戻したときに、ロック要素がプランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の相対回転を防ぐ必要はない。
【0065】
自動注射器のいくつかの実施形態では、ベースねじ構成要素は、ベースと一体的に形成されることなどによって、ベースに対して固定的に配設される。ベースがハウジングまたはハウジングの一区画を画定している場合、ベースねじ構成要素は、ハウジングに対して軸方向および回転方向で固定される。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のロック要素は第1のロック機構を画定し、プランジャねじ構成要素は協働するロック機構を画定し、第1のロック機構および協働するロック機構の一方は軸方向トラックを画定し、第1のロック機構および協働するロック機構の他方はトラックフォロワを画定する。かかる実施形態では、軸方向トラックは、第1の回転軸と平行な方向で延在するトラックとして形成されてもよい。したがって、針シールドを延長位置から収縮位置に向かって移動させると、第1のロック要素とプランジャねじ構成要素との間の相対回転を誘発することなく、ロックが解除される。ロックの解除後にのみ、即ちトラックフォロワがトラックを係脱すると、第1のロック要素とプランジャねじ構成要素との間の回転が可能になる。その後、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の回転移動は、ねじ込み接続の動作可能な連結によって、アクチュエータが働かせる力によって誘発される。
【0067】
他の実施形態では、第1の回転軸と平行な方向で延在する前記軸方向トラックの代わりに、軸方向トラックは、20°未満、あるいは15°未満、あるいは15°未満、さらに別の方法として5°未満など、第1の回転軸に対してある角度で延在するように形成されてもよい。このようにわずかな角度を付けた軸方向トラックは、特定の用途では、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の限定された回転が、針シールドが軸方向で変位する間のみ誘発されるので、許容可能であろう。
【0068】
ベースが自動注射器のハウジングの一部を形成するか、またはハウジングを画定する、自動注射器の他の代替実施形態では、ベースねじ構成要素は、軸方向で固定されているがベースに対して回転可能に装着された、回転可能な構成要素によって画定される。ロックは、針シールドが延長位置から収縮位置に向かって移動するにつれて軸方向で移動可能である、第1のロック要素を含む。第1のロック要素および回転可能な構成要素は、作動の前は、回転可能な構成要素とプランジャねじ構成要素との間の回転ロックを維持するように構成された、協働するロック形状をそれぞれ画定し、協働するロック形状は、針シールドを収縮位置に向かって移動させると、ロック解除して、回転可能な構成要素とプランジャねじ構成要素との間の回転を可能にするように適合される。
【0069】
第1のロック要素はベースに対して回転しないようにされてもよい。第1のロック要素および回転可能な構成要素は、作動の前は、回転可能な構成要素と第1のロック要素との間の回転ロックを維持するように構成された、協働するロック形状をそれぞれ画定し、協働するロック形状は、針シールドを収縮位置に向かって移動させると、ロック解除して、回転可能な構成要素とプ第1のロック要素との間の回転を可能にするように適合される。かかる実施形態では、プランジャねじ構成要素はベースに対して回転しないようにされてもよい。かかる実施形態では、プランジャはベースに対して非回転的に装着されてもよく、プランジャねじ構成要素はプランジャ上に固定的に配設されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1のロック要素は第1のロック機構を画定し、回転可能な構成要素は協働するロック機構を画定し、第1のロック機構および協働するロック機構の一方は軸方向トラックを画定し、第1のロック機構および協働するロック機構の他方はトラックフォロワを画定する。かかる実施形態では、軸方向トラックは、第1の回転軸と平行な方向で延在するトラックとして形成されてもよい。したがって、針シールドを延長位置から収縮位置に向かって移動させると、第1のロック要素と回転可能な構成要素との間の相対回転を誘発することなく、ロックが解除される。ロックが解除された後でのみ、即ちトラックフォロワがトラックを係脱すると、第1のロック要素と回転可能な構成要素との間の回転が可能になる。その後、回転可能な構成要素とプランジャとの間の回転移動が、回転可能な構成要素およびプランジャのねじ構成要素の動作可能な連結により、アクチュエータが働かせる力によって誘発される。
【0071】
他の実施形態では、第1の回転軸と平行な方向で延在する前記軸方向トラックの代わりに、軸方向トラックは、20°未満、あるいは15°未満、あるいは15°未満、さらに別の方法として5°未満など、第1の回転軸に対してある角度で延在するように形成されてもよい。特定の用途では、このようにわずかに角度を付けた軸方向トラックは、回転可能な構成要素上に配設されたプランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の限定された回転が、針シールドが軸方向で変位する間のみ誘発されるので、許容可能なものと見なされるであろう。
【0072】
自動注射器のいくつかの実施形態では、プランジャねじ構成要素は、プランジャにおける最初の第1の軸方向変位の間のみ、ベースねじ構成要素と動作可能に連結されるが、第2の軸方向変位では、プランジャねじ構成要素はベースねじ構成要素と動作可能に連結された状態から解放されて、プランジャをその後も継続して軸方向で変位させることができる。
【0073】
プランジャを軸方向で解放した後、プランジャの行程終了位置は、カートリッジの近位に面する後面に対するプランジャの所定の軸方向停止位置によって提供されてもよい。自動注射器は、プランジャの停止形状がカートリッジの近位に面する後面を直接係合するようにして構成されてもよい。あるいは、1つ以上の中間構成要素が、プランジャとカートリッジの近位に面する後面との間に位置付けられて、カートリッジの近位に面する後面に対する、プランジャの前記予め定められた所定の軸方向停止位置を提供してもよい。
【0074】
自動注射器のいくつかの実施形態では、プランジャねじ構成要素は、カートリッジの円筒状区画の内径よりも大きい、直径などの径方向寸法を有する幾何学形状を備える。特に、多量のエネルギーを蓄積するアクチュエータを有する自動注射器の場合、ねじ構成要素の一方または両方が非金属材料から作られ、長期保存の間アクチュエータが予め緊張させた状態で保たれるような状況であっても、プランジャねじ構成要素の大きい寸法によって、問題がない長期保存を提供する堅牢な設計が可能になる。
【0075】
特定の実施形態では、自動注射器のハウジングが寸法Lの合計長さを有する場合、ベースねじ構成要素は、ハウジングの近位端から延在するように配置されてもよい。ベースねじ構成要素は、Lの30%未満、あるいはLの20%未満、あるいはLの10%未満、さらに別の方法としてLの5%未満、ハウジングの近位端から延在するように配置されてもよい。
【0076】
特定の実施形態では、プランジャねじ構成要素は、プランジャの全長の75%未満に対応する長さ、あるいはプランジャの全長の50%未満に対応する長さ、あるいはプランジャの全長の25%未満に対応する長さ、さらに別の方法としてプランジャの全長の15%未満に対応する長さの分、プランジャに沿って遠位方向でプランジャの近位端から延在するように寸法決めされてもよい。
【0077】
自動注射器のいくつかの実施形態では、プランジャねじ構成要素はプランジャの近位端に位置する。いくつかの実施形態では、プランジャおよびプランジャねじは一体構成要素として形成されてもよい。他の実施形態では、プランジャねじ構成要素は、プランジャ上の固定の軸方向位置に配置されるリリースナットとして形成されてもよい。リリースナットはプランジャに対して自由に回転可能であってもよい。かかる実施形態では、プランジャは、例えば、協働する係止形状を用いて、または摩擦を用いて、ベースに対して回転方向で係止されることによって、ベースに対して回転しないように構成されてもよい。
【0078】
自動注射器のいくつかの実施形態では、装置はカートリッジをベース内に交換不能に収容し、器具を使用しなければ、カートリッジを装置から取り外すことができない。
【0079】
自動注射器のいくつかの実施形態では、プランジャを初期軸方向位置から解放するために、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の回転を引き起こすように作用する力は、少なくとも部分的にアクチュエータによって働かされる。特定の実施形態では、プランジャを初期軸方向位置から解放するために、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の回転を引き起こすように作用する力は、アクチュエータのみによって働かされる。
【0080】
いくつかの実施形態では、針シールドを収縮位置へと移動させるため、針シールドに外部から加えられる力は、プランジャを初期軸方向位置から解放するために、プランジャねじ構成要素とベースねじ構成要素との間の回転を引き起こすように作用する力成分へと伝達されない。
【0081】
カートリッジおよび別個の針ユニットを組み込んだ実施形態では、カートリッジおよび針ユニットは、最初は、カートリッジおよび針ユニットがある距離だけ分離された構成で保持されてもよい。アクチュエータは、ロックを解除すると、カートリッジおよび後部針を、カートリッジセプタムが後部針によって穿孔される状態に入れ、その後、プランジャを移動させて、針を通して薬剤を投薬することが可能であってもよい。
【0082】
本明細書で使用するとき、「薬剤」という用語は、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液など、制御された方式で中空針またはカニューレなどの送達手段を通すことができる、任意の薬剤を含有する流動性薬物を包含することが意図される。また、投与前に溶解して液状にされる凍結乾燥薬物が、上述の定義によって包含される。代表的な薬剤としては、ペプチド、プロテイン(例えば、インスリン、インスリン類似体、およびCペプチド)、およびホルモン、生物由来の薬剤または活性薬剤、ホルモン剤および遺伝子に基づく薬剤、栄養配合物、および固体状(調剤)もしくは液状の他の物質などの医薬品が挙げられる。
【0083】
以下、本発明について、添付図面を参照してさらに詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下は、所定量の液体薬剤を投与する医用注射装置100の例示的な一実施形態の説明である。装置100は、単一の投与で薬物の一回量を吐出するように構成された自動注射器であり、その後、装置100は処分できる状態にされる。
図1a〜5cは、様々な図によって動作原理の詳細な評価を提供する、動作中の注射装置100の様々な状態を示している。
【0086】
図1c、2c、3c、4a、4b、および5cは、一連の
図1a〜5cのうち残りの図に示されているのよりもいくつか多い構成要素を示していることに留意されたい。さらに、構成要素が動作中に変形することを考慮して、前記最初に言及した一連の図面は、真の動作状態をより正確に反映している。
【0087】
図1aを参照すると、注射装置100は、中央長手方向軸に沿って延在するほぼ管状のハウジングを含む。ハウジングは、装置の遠位端に配置された下部ハウジング区画220と、装置の近位端に配置された上部ハウジング区画200とを含むベースを形成する。下部ハウジング区画220および上部ハウジング区画200は、互いに接合されて、薬剤カートリッジ600を収容するエンクロージャを形成する。図示される実施形態では、ハウジングインサート210が下部ハウジング区画220に取り付けられる。
【0088】
注射装置100は、装置100の遠位端に付着して装置100の針端部を保護する、取外し可能な保護キャップ(図示なし)をさらに含んでもよい。下部ハウジング区画220は2つの対向する窓222を含む。キャップが装置100から取り外されているとき、窓222によって装置100内に収納された薬剤を視認することができる。それに加えて、窓222は、ハウジング内に配置された薬剤カートリッジ600のピストン、あるいはプランジャ装置の存在または位置を検査することによって、装置100が注射に使用されているか否かを、装置のユーザが判断することを可能にする。図示される実施形態では、上部ハウジング区画200は、製造上の理由で、下部ハウジング区画220とは別個の要素として、ただしそれに対して恒久的に固定されて形成されるが、代替実施形態では、下部ハウジング区画220と一体的に形成されてもよい。
【0089】
図1aおよび1bは、保護キャップが取り外された後であるが、投与動作前の状態である、装置100の前面および側面断面図を示している。下部ハウジング区画220の遠位端から突出して示されているのは、下部ハウジング区画220と同軸で、またそれに対して摺動可能に配置された針シールド350である。針シールド350は、下部ハウジング区画220内部に配置された針アセンブリ500の前端部が遮蔽状態にある遠位延長位置と、針アセンブリ500の前部針端部が針シールド350の遠位壁面の中央部に配置されたアパーチャ354を通して突出している第2の近位収縮位置との間で、ハウジングに対して摺動可能である。
【0090】
注射装置100は、針シールド350を遠位延長位置から収縮位置に向かって移動させると、起動されて一回量を注射するように構成される。保護キャップは、下部ハウジング区画220に取り付けられると、針シールド350が操作されるのを防ぎ、それによって注射装置100の早すぎる起動を防ぐ。
【0091】
下部ハウジング区画220は、カートリッジ内部との流体連通を確立するため針によって穿孔されるように適合された、カートリッジセプタム620によって覆われた出口610を有し、摺動可能に配置されたピストン630を有する、薬剤充填済みのカートリッジ600を収容する。ピストン630は、薬剤をカートリッジ600から投薬するために、針がカートリッジセプタム620を穿孔すると、出口610に向かって駆動可能である。投薬は吐出アセンブリによって制御される。カートリッジ600は、近位格納位置から遠位活性位置へと、下部ハウジング区画220に対して移動可能に配置される。
【0092】
下部ハウジング区画220内の遠位にあるのは、カートリッジ600に対して最初は別個の構成で配置される針アセンブリ500の形態の針ユニットである。図示される実施形態では、針アセンブリ500は、針ハブ501から遠位方向および近位方向にそれぞれ突出する、前部針510および後部針520を有する針カニューレを含む。前部針510および後部針520は両方とも、ユーザの皮膚およびカートリッジセプタム620をそれぞれ穿孔する尖った先端511および521を含む。
【0093】
図1cに示されるように、針アセンブリ500は、前部針510および後部針520それぞれの滅菌シースを形成する、前部カバー512および後部カバー522をさらに含んでもよい。前部および後部カバーはそれぞれ、カバー512/522を針ハブ501に向かって押しやると、針511/521の尖った先端部分によって貫通可能である、ゴム製のシースとして形成されてもよい。装置100の使用前は、2つのカバー512/522はそれぞれ、カバーが前部針510および後部針520のそれぞれ1つをシールする延長位置をとる。前部および後部カバーは、接着、溶接、干渉嵌め、別個の装着要素、またはそれらに対応する手段のどれかによって、ハブ510に取り付けられてもよい。
【0094】
針カニューレは、接着、干渉嵌め、または類似の接合プロセスによって、ハブ501に取り付けられてもよい。図示される実施形態では、ハブ501はハウジングとは別個の要素であるが、代替実施形態では、ハウジング200/220の一部として形成されてもよい。ハブ501は、カートリッジに沿って近位に延在し、さらにはカートリッジの近位の位置まで延在する、ほぼ管状の構造として形成される。このように、ハブ501は、カートリッジの円筒状の外壁に沿ってカートリッジ600を支持する。そのため、ハブ501はカートリッジホルダとして働くように設計され、それに対して、カートリッジ600を近位格納位置と遠位活性位置との間で軸方向で摺動させることができる。
【0095】
図示される実施形態では、針ハブ501、およびしたがって針カニューレは、装置100のハウジングに対して軸方向で装着されるので、ハウジングを針シールド350に対して移動させたとき、針カニューレはハウジングの軸方向移動に追随する。
【0096】
図示される実施形態では、針シールド350は、最初は前部針510および前部カバー512を覆うように配置された遠位面を有する、ほぼ管状の部材として形成される。針シールド350は、下部ハウジング区画220に対して摺動可能に装着されて、所定の軸方向距離分の限定された軸方向移動を可能にする。
【0097】
針シールド350は、針シールド350の近位に位置するトリガ要素380と協働する。トリガ要素380も、ほぼ管状の要素として形成され、針シールド350から近位方向で上部ハウジング区画200の近位端に近い位置まで、軸方向で延在する。図示される実施形態では、装置100の組み立てられた状態では、針シールド350およびトリガ要素380は単一の単位体として働き、即ち、トリガ要素380の移動は針シールド350の軸方向移動に追随する。図示される実施形態では、これは、針シールド350およびトリガ要素380によってそれぞれ形成される、協働するスナップ要素(図面では見えていない)の係合によって提供される。スナップ係合により、2つの構成要素間の相対的な軸方向移動が防止される。したがって、トリガ要素380は、針シールド350の延長位置に対応する遠位端位置から、針シールド350の収縮位置に対応する近位端位置まで可逆的に移動可能である。図示される実施形態では、針シールド350およびトリガ要素380はそれぞれ、ハウジング200/220に対する回転移動を防ぐ形で装着される。
【0098】
針シールドばね340は、ハウジング区画200とトリガ要素380との間に配置される。トリガ要素380は針シールドばね340を用いて遠位方向で推進され、それにより、外部から加えられる力が針シールドに対して働いていないとき、針シールドは、
図1aおよび1bに示されるその遠位延長位置をとる。この位置では、トリガ要素380および/または針シールド350上の停止形状によって、2つの構成要素が遠位方向でさらに移動しないようにされる。針シールドが注射部位に押し付けられた状態で装置100が押圧されたときなど、針シールドをハウジングに対して近位方向で移動させるため、外部から加えられる力が針シールド350に働くと、外部から加えられる力は、針シールドばね340によって提供される力に反して作用し、その結果、針シールド350およびトリガ要素380が押しやられて近位方向で移動する。針シールド350が近位収縮位置をとると、トリガ要素380の近位端面が、トリガ要素および針シールド350がハウジングに対してさらに近位に移動しないようにされる(
図2a〜2cを参照)。
【0099】
装置100が注射部位から除去されると、針シールド350は、針シールドばね340による力によって遠位に移動する。注射が行われた後、針シールド350は、
図5cに示されるようにその遠位位置に再び達するので、この位置で係止されて、針シールドが動作不能になる(さらに後述する)。
【0100】
針アセンブリ500は下部ハウジング区画220の遠位端に配置されるので、針シールド350は、針シールドがその延長位置にあるとき針アセンブリを完全に覆う。針シールド350がその近位収縮位置にあるとき、前部針510は針シールド350のアパーチャ354を通って突出する。
【0101】
図1bに示されるように、カートリッジ600は、針ハブ501から径方向内側に延在する2つの弾性アーム530によって、その近位格納位置で維持される。
図1bに示される初期状態では、弾性アーム530は、それらがカートリッジ600の首部分を支持し保定して、カートリッジが遠位方向で移動しないようにする位置をとる。弾性アーム530は、遠位活性位置にあるカートリッジ600を移動させるように作用する十分な力がカートリッジ600に働くと、径方向外側に屈曲するように適合される。しかしながら、針シールド350がその遠位延長位置をとる初期状態では、針シールド350の阻害形状351が弾性アーム530を取り囲んでアームが外側に屈曲するのを防ぎ、結果としてカートリッジ600が遠位に移動するのを防いでいる。後述するように、阻害形状351は、針シールド350をその近位収縮位置へと移動させると、軸方向で移動して、弾性アーム530を径方向外側に屈曲させる余地ができる。
【0102】
注射装置100の吐出アセンブリは、ピストン630を前進させるために装置の中央長手方向軸に沿って遠位方向で駆動され、それによって一回量をカートリッジ600から吐出する、プランジャ装置に基づく。プランジャ装置は、図示される実施形態では、駆動ラムアセンブリ310/320およびラムスペーサ部材400を含む。装置100では、アクチュエータ330は、装置の近位部分に配置されて、駆動ラム310に対して遠位方向に向いた力を働かせる貯蔵エネルギー源を提供する。ラムスペーサ部材400は、駆動ラム310とカートリッジ600のピストン630との間に位置付けられたほぼ管状の部材である。ラムスペーサ部材400は、駆動ラム310によってピストン630に働いて、ピストンを遠位方向で前進させる力を伝達する、中間部材として作用する。図示される実施形態では、ラムスペーサ部材400は装置のハウジングに対して装着され、それによってラムスペーサ部材400は、長手方向で変位可能であるが、ハウジング200、220に対して回転しないようにされる。これは、ラムスペーサ部材400の外表面上に形成された1つ以上の長手方向で延在するリブと協働する案内面を含む、ハウジングインサート210を用いて得られる。
【0103】
アクチュエータは、図示される実施形態では、予め応力を付与された螺旋圧縮ばねとして形成される、作動ばね330の形態で提供される。作動ばね330は、装置を製造する間の圧縮ばねの圧縮ひずみによって付勢される。駆動ラム310はさらに、作動ばね330を駆動ラム310内に位置付けることができるように中空である。作動ばね330の内部に配置される案内要素360は、作動ばね330を案内して横向きに曲がらないようにするのを支援する。案内要素360は、その近位端に、作動ばね330の近位端を支持するばね座として作用するように配置された座部を提供する。
【0104】
ラムスペーサ部材400は、停止面401がラムスペーサ部材400の遠位端から所定の距離に位置付けられて形成されて、カートリッジ600の後端部611と協働し、それによって、カートリッジ600内部でのピストン630の精密な行程終了位置を規定する。ピストン630は、カートリッジ600を充填する間、カートリッジ600の後端部611に対して正確に位置付けることができるので、吐出用量の的確な量を、吐出操作が完了するとカートリッジ600の後端部611に当たる停止面401を利用することによって正確に制御することができる。図示される実施形態では、上述したように、ラムスペーサ部材400は長手方向で延在するリブを含む。長手方向で延在する各リブは、前記停止面401を形成する遠位端面を有する。
【0105】
図示される実施形態では、ラムスペーサ部材400およびハウジングインサート210は、クリック生成要素の1つ以上の対をさらに含む。図示される実施形態では、これは、クリックアーム213と協働し、それを活性化して、注射の間および/または注射の完了時にクリック音を生成するように構成された、ラムスペーサ部材400上の一連の歯403として提供される(
図11aを参照)。歯およびクリックアームの位置は、ハウジングの一部の上、またはカートリッジ600と軸方向で関連付けられた部分上にあるクリック歯と協働するクリックアームを、ラムスペーサ部材400上に形成することなどによって、他の方法で設計されてもよいことが容易に認められるであろう。装置の動作中におけるクリックの生成については、以下でさらに十分に考察する。
【0106】
上述したように、図示される実施形態では、予め応力を付与された作動ばね330の形態のアクチュエータは、駆動アーム310を遠位方向で推進する。注射装置100の非活性化状態では、駆動ラム310と関連付けられたリリースナット320は、上部ハウジング区画200およびトリガ要素380と協働して、作動ばね330の力に対抗して駆動ラム310を初期軸方向位置で保定する。吐出アセンブリを活性化すると、即ちトリガ要素を動作させることによって、リリースナット320が回転方向で解放されて、遠位方向の力をピストン630に対して提供するため、駆動ラムを前方に押し進めることが可能になる。
【0107】
装置の製造中に圧縮される予め応力を付与されたばねを使用する代わりに、自動注射器の他の実施形態は、装置を実際に使用するときに、最初の手順としてばねを圧縮するメカニズムを含んでもよい。また、アクチュエータは、他の実施形態では、吐出アセンブリの回転駆動部を前方に駆動するねじり力を働かせる、予め応力を付与されたねじりばねとして形成されてもよい。あるいは、アクチュエータは、ガスなどの圧縮媒体の形態であってもよい。さらに別の方法として、アクチュエータは、電気化学セルなどのガス発生器を含んでもよい。
【0108】
駆動ラム310は、中央長手方向軸に沿って延在し、閉じた遠位端と、近位端において径方向外側に延在するカラーを有する開いた端部部分とを画定する、深絞りされた金属管として提供される。リリースナット320は、駆動ラム310の近位端で、駆動ラム310を取り囲むように配置される。リリースナット320は、駆動ラム310のカラーに接する円周方向カラーを画定する軸方向ボア321を有して、駆動ラム310がリリースナット320に対して遠位方向で移動しないようにされる。図示される実施形態では、リリースナット320は駆動ラム310に対して自由に回転可能である。
【0109】
いくつかの実施形態では、駆動ラム310は回転しないようにされる。図示される実施形態では、これは、駆動ラム310とラムスペーサ部材400との摩擦係合によって遂行される。ラムスペーサ部材400は回転しないようにされるので、駆動ラム310も回転しないようにされる。
【0110】
しかしながら、他の実施形態では、リリースナット320は、駆動ラム310に対して固定的に取り付けられるか、またはそれと一体的に形成されてもよい。
【0111】
図9a〜9cにさらに詳細に示されるリリースナット320は、装置100が起動前の初期状態にあるとき、ハウジング区画200と関連付けられたねじ山205を係合するねじ山325を画定する。解除可能なロックは、リリースナット320とハウジング区画200との間の相対回転を防ぎ、それによって駆動ラム310を初期軸方向位置で維持するように作用する。
【0112】
図示される実施形態では、ロックは、トリガ要素380によって提供されて、リリースナット320とハウジング区画200との間の相対回転を防ぐ。
図6および8に示されるように、トリガ要素380の軸方向トラック386は、上部ハウジング区画200のそれぞれの軸方向リブ206によって係合されて、トリガ要素380がハウジング200/220に対して回転するのは防ぐが、軸方向変位は可能にするように構成される。図示される実施形態では、リリースナット320の2つの径方向外側に延在する突起328は、トリガ要素380の内表面上で径方向内側に延在する、対応する軸方向トラック388を係合するように適合される(
図5、6、および7を参照)。軸方向トラック388はそれぞれ、軸方向トラック386の遠位端の位置で開いている円周方向で隣り合った区域を画定する、限定された軸方向長さを有する。リリースナット320がトリガ要素380に対して十分に軸方向で変位すると、リリースナット320の回転が可能にされる。しかしながら、起動前の初期状態では、トリガ要素380が、トリガ要素380の既定の起動位置に対して遠位に載置されている限り、リリースナット320は回転しないようにされる。トリガ要素380の起動位置は、トリガ要素380の近位端位置に近接した地点で、ただしその遠位に位置する。
【0113】
リリースナット320がハウジングに対して回転しないようにされている限り、リリースナット320のねじ山325とハウジングのねじ山205との間のねじ込み係合によって、リリースナット320が軸方向で移動しないようにされる。したがって、吐出アセンブリの起動前は、駆動ラム310も、トリガ要素380が起動位置の遠位に位置する限り、遠位方向で移動しないようにされる。
【0114】
ねじ込み接続325/205のリード、ねじ山の長さ、および突起328と軸方向トラック388との間の係合の寸法は、トリガ要素380を起動位置に向かって変位させたとき、リリースナット320が回転するように解放されており、したがってわずかに回転していれば、突起328が軸方向トラック388を再係合できないように構成される。したがって、針シールド350に力を働かせて装置を起動することによって、吐出アセンブリが作動していれば、針シールドに働かせた力が潜在的に解放される場合、駆動ラム310の遠位方向移動を中断することはできず、即ち、駆動ラム310は、要素401/611によって規定される意図された投与終了位置まで、その遠位方向移動を継続する。
【0115】
図9aは、トリガ要素およびリリースナット320が見えている、上部ハウジング区画200の一部切欠き斜視図を示している。リリースナット、トリガ要素、および上部ハウジング区画はともに、リリースナットアセンブリを形成する。明瞭にするため、描写された図は、起動前の初期状態にある注射装置100の選択された構成要素のみを示しているが、作動ばね330および駆動ラム310などの追加の構成要素は省略されている。リリースナット320のねじ山325とハウジング区画200のねじ山205との間の係合が見えている。
図9bは、リリースナットアセンブリを断面斜視図で示している。
【0116】
再び
図1cおよび
図6を参照すると、トリガ要素380は、針シールド350を、針シールドが注射後に延長位置に戻されたとき停止させる針シールドロックを部分的に構成する、一対の弾性アーム392を含む。シールドロックの係止は、ラムスペーサ部材400が投与終了位置に、または投与終了位置に近接した位置に載置された場合にのみ起こるように設計される。したがって、既に開始された吐出手順が、装置100を注射部位から除去することによって中断された場合、その結果として針シールド350が延長位置に向かって変位することによって、針シールド350の係止が不能になる。
【0117】
弾性アーム392はそれぞれ、受動的な非偏向構成から離れて径方向外側に屈曲されるように構成される。受動的な非偏向構成は
図1aで最も良く見られる。弾性アーム392はそれぞれ、針シールド350が停止されると、ハウジング区画200に形成された対応する陥凹部202に入るように構成された、外側突起を形成する。
【0118】
前記針シールドロックは、ラムスペーサ部材400によって形成され、かつそこから径方向外側に延在する、一対のスラストアーム402をさらに組み込む。各スラストアーム402は、それぞれの弾性アーム392と協働し、それに対して径方向外向きの力を働かせて、弾性アーム392を径方向外側に押しやるように構成される。しかしながら、スラストアーム402によって働く径方向外向きの力は単に、駆動ラム310がその投与終了位置に達した後で、弾性アーム392をそれに対応する陥凹部202内へと移動させる。弾性アーム392それぞれの突起がそれに対応する陥凹部202と軸方向で整列しない場合、弾性アーム392は径方向外側に移動しないようにされる。しかしながら、弾性アーム392それぞれの突起がそれに対応する陥凹部202と軸方向で整列すると、弾性アーム392は、径方向外側に移動できるようにされるが、ただし、協働するスラストアーム402が軸方向で整列して、それぞれの弾性アーム392に対して力を働かせると、径方向外側に移動する。
【0119】
以下、主に
図1a〜5cを参照しながら、注射装置100の動作について記載する。
【0120】
装置100を操作する第1のステップとして、上述した保護キャップを装置から取り外す。上述したように、
図1a〜1cは、装置をその初期格納状態で示しており、ただし保護キャップはハウジング200/220から取り外されている。針シールド350はその延長位置にあり、それによって前部針510は遮蔽状態にある。カートリッジ600が、針アセンブリ500から離れて載置されるその初期位置をとっているので、後部針520も遮蔽状態にある。
【0121】
上述の説明によれば、ハウジング200/220は、ハウジングがユーザの手で把持され、装置100の遠位端が注射部位に押し付けられると、針シールド350が皮膚に対して停止されたままになり、ハウジングが針シールド350に対して遠位に移動して、装置100の吐出アセンブリを起動するという点で、針シールド350に対するアクティベータとして作用する。
【0122】
装置100を起動させると(
図2a〜2cを参照)、針シールド350は下部ハウジング区画220に対して近位方向で移動し、針シールド350の遠位端面が針アセンブリ500に向かって移動する。移動によって前部針510が針シールド350の小さいアパーチャ354に通される。針カニューレがアパーチャ354に対して移動すると、上述の前部カバー512(
図2cを参照)は、好ましくは、アパーチャ354の周りの幾何学形状によって引き止められ、それによって、前部カバーが針シールド350と針ハブ501との間で圧縮された状態で、前部針510が前部カバー512を貫通することが可能になる。あるいは、前部カバーはアパーチャ354を貫通して移動することもできる。そのような場合、前部カバーは患者の皮膚に押し付けられ、それによって装置100と注射部位との間で圧縮される。前部カバーの圧縮は、蛇腹状の形であるか、または横に、例えば径方向外側に曲げることができる。前部カバーは、前部カバーが針シールド350と針ハブ501との間で常に圧縮されることを担保する、特定の幾何学形状を有してもよい。針シールド350のアパーチャ354も、前部カバーの適切な圧縮を担保する特定の幾何学形状を有することができる。
【0123】
図1aおよび1bに示される状態では、針シールドばね340によって働く圧力により、トリガ要素380はその遠位位置にある。リリースナット320をハウジング200/220に対して回転方向で係止する解除可能なロックが可能にされ、したがって、駆動ラム310はその初期位置にある。カートリッジ600はその近位格納位置に位置付けられる。
【0124】
針シールド350が所定の位置に、即ち収縮位置に達すると、針シールド350は停止限界に達する(
図2aおよび2bを参照)。この状態で、前部針510は患者の皮膚に挿入され、前部カバー512は圧縮される。針シールド350の移動にしたがって、トリガ要素380はその近位位置へと、即ち始動位置を越えて移動している。
【0125】
図9bを参照すると、トリガ要素380はその近位位置へと移動しているので、トリガ要素380の軸方向トラック388が変位されて、リリースナット320の突起328との係合から係脱する。この状況は
図2aで最も良く見られる。作動ばね330が駆動ラム310およびリリースナット320に対して遠位方向で力を働かせているので、ねじ込み係合325/205によってリリースナット320の回転が誘発される。
図2aおよび2bでは、リリースナット320は、上部ハウジング区画200に対してわずかに回転しており、ねじ込み係合にしたがって、リリースナット320および駆動ラム310は、遠位方向に向かってわずかに軸方向で移動している。駆動ラム310とラムスペーサ部材400との間の最初の空間は排除されているので、作動ばねの力が、駆動ラム310およびラムスペーサ部材400を用いて、カートリッジ600のピストン630に作用することが可能になっている。
【0126】
針シールド350、およびしたがって阻害形状351が近位方向で移動しているので、弾性アーム530は自由に外側に付勢されるようになる。
図3aおよび3bに示されるように、作動ばね330からの力は最初に、駆動ラム310、ラムスペーサ部材400、およびピストン630を、ある距離だけ遠位方向で変位させる。この段階の第1の部分の間、後部針520は、カートリッジのセプタム620から依然として分離されており、したがってカートリッジはピストン630とともに移動するようにされる。作動ばね330の力は、弾性アーム530を外向きに付勢させるのに必要な力を克服するのに十分である。
【0127】
しかしながら、
図3bおよび4bでは、弾性アーム351はカートリッジ600の壁区画に対して重ねられて示されていることに留意されたい。弾性アーム351が実際にはどのように付勢されるかを、より正確に描写することによって、弾性アームが外向きに付勢されて、カートリッジ600の円筒状外表面に接していることが描写されるであろう。
【0128】
最初に、カートリッジ600が遠位に移動する際、ピストン630はカートリッジ600の本体に対してほぼ移動しないので、ラムスペーサ部材400の停止面401とカートリッジ600の後端部611との間の距離は変化しないままである。しかしながら、カートリッジ600を遠位方向で完全に移動させた後、ピストン630はカートリッジ600内部でその移動を開始し、前記距離が減少する。
【0129】
どこかの時点で、カートリッジ600は、針ハブ501に形成された停止機構に当たる、その遠位活性位置へと完全に移動する。後部針620は、カートリッジのセプタム620を貫通しており、針カニューレとカートリッジ600に収容された薬剤との間の流体連通が可能になっている。この位置で、針カニューレは、患者の皮膚およびカートリッジ600に収容された薬剤の両方と接触している。針カニューレとカートリッジ600との間の流体連通が確立された後、駆動ラム310が今度は上部ハウジング区画200に対して押しやられ、作動ばね330によって遠位に推進されることによって、薬剤が患者の体内に注射される。
図3aおよび3bに示される状態では、作動ばね330によって働く力は、流体の第1の部分をカートリッジ600から吐出するため、駆動ラム310に作用している。
【0130】
作動ばね330は、ピストン630に作用し続けて、投与終了機構によって決定された既定の投与終了位置へとピストンを前進させる。ラムスペーサ部材400の停止面401がカートリッジ600の後端部611に達すると、駆動ラム310の移動が停止され、それによって薬剤の吐出が停止される(
図4bを参照)。
【0131】
図4aおよび4bは、注射部位に対して撤回された後の注射装置100を示している。装置が取り除かれると、針シールド350が下部ハウジング区画220に対して前方に移動して、針シールドが針シールドばね340を用いて推進され、それによって前部カバー(図示なし)に対する圧縮圧力が解放される。針シールド350は、収縮位置では前部カバーを保持しなくなるので、前部カバーはその延長位置に戻って、前部針510を覆う傾向になる。代替実施形態では、前部カバーは収縮位置に留まることができる。
【0132】
装置100を患者から取り除くと、前部針510は患者の皮膚から取り除かれる。前記前部カバーがその延長位置に戻る実施形態では、前部カバーは、針カニューレから吐出された余分な薬剤が装置から滴るのを防ぐ。後部カバー(やはり図示なし)は、カートリッジ600からの圧力により、その収縮位置に留まる。
【0133】
上述したように、針シールド350はシールドロックと関連付けられてもよく、それによって針シールド350は、近位収縮位置から遠位延長位置に戻ると、即ち前部針510が遮蔽状態にある場合は、近位方向移動に対抗して係止される。
【0134】
次に
図10を参照すると、上述したような種類のある範囲の自動注射器を製造する好ましい方法。以下の例では、様々な充填容量または充填レベルのカートリッジを有するある範囲の異なる自動注射器100、100’、100’’を、大幅なモジュール性を利用しながら製造することができる。
【0135】
一例では、注射器100は、後部本体アセンブリ100a、前部本体アセンブリ100b、針ユニット100c、カートリッジ600、ラムスペーサ部材400、および最後に前部キャップ100dといったサブアセンブリを利用することによって、組み立てられてもよい。針ユニット100cは、予め組み立てられたユニットとして形成された、針アセンブリ500および針シールド350を含んでもよい。
【0136】
ラムスペーサ部材400は、様々なラムスペーサ部材400、400’、400’’の群から選択される。各ラムスペーサ部材は、特定の自動注射器に対して指定された、カートリッジ600、600’、600’’の特定の充填レベルに従うように形成されるので、薬物投与プロセスの間に注射装置100が操作されると、所定量の薬剤が装置から吐出される。
【0137】
また、針ユニット100cは、様々な設計の異なる針ユニット100c、100c’、および100c’’の群から選択された、所定の設計の針アセンブリとして提供されてもよい。異なる設計の針ユニット100c、100c’、および100c’’の非限定例は、様々なルーメン直径、様々な針長さなどを有する、異なる針カニューレを含んでもよい。様々なルーメン直径は、例えば、他のタイプの薬物カートリッジに対して、所与の保持されたカートリッジ内に収容された薬物の粘性のばらつきを補償するのに利用されてもよい。
【0138】
一連の異なる針ユニットを形成する代わりに、他の例では、前部本体アセンブリ100bは、汎用針アセンブリを組み込んだ汎用前部本体アセンブリを形成するなど、単一のタイプの針ユニット100cを含むように形成されてもよい。
【0139】
図10によれば、ある範囲の異なる自動注射器100、100’、100’’にわたって利用することができる、汎用後部本体アセンブリ100aが形成される。明らかに、3つの異なるカートリッジ、3つの異なるラムスペーサ部材、および3つの異なる針ユニットのみが示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の数の変形例が利用されてもよい。
【0140】
図13を参照すると、予め組み立てられた後部本体アセンブリ100aが示されている。後部本体アセンブリ100aは、最終的な自動注射器100、100’、100’’のための内蔵モータモジュールを形成する。図示される例では、後部本体アセンブリ100aは、後部本体ハウジング200(上部ハウジング区画とも呼ばれる)と、駆動ラム310およびリリースナット320を含む駆動ラムアセンブリ310/320と、アクチュエータ330(作動ばねとも呼ばれる)と、案内要素360と、第1のロック要素380(トリガ要素とも呼ばれる)およびトリガ要素ばね340(針シールドばねとも呼ばれる)を含むトリガアセンブリ380/340とを備える。
【0141】
後部本体アセンブリ100aを組み立てる間、内部部品は、アクチュエータ330およびトリガ要素ばね340の両方を付勢しながら、後部本体ハウジング200に導入されている。上述したように、トリガアセンブリ380/340は、係止状態で解放可能に維持されて、アクチュエータ330の力に対抗して、駆動ラムアセンブリ310/320を後部本体ハウジング200に対して保持する。また、第1のロック要素380は、後部本体ハウジング200に対して保定され、リリースナット320と係合することによって遠位方向に移動しないようにされる。
【0142】
図12aを参照すると、第1の変形例の自動注射器100’は、第1の変形例のカートリッジ600’および第1の変形例のラムスペーサ部材400’を、自動注射器100’に含めるように選択することによって形成されてもよい。
図12bを参照すると、第2の変形例の自動注射器100’’は、第2の変形例のカートリッジ600’’および第2の変形例のラムスペーサ部材400’’を選択することによって形成されてもよい。2つの図面を比較すると、第1の変形例のカートリッジ600’は第1の充填容量の薬剤を収容し、第2の変形例のカートリッジ600’’は、第1の充填容量よりも少ない第2の充填容量を収容することが明白になる。
図12aおよび12bは、初期状態の、即ち用量を吐出する前の構成要素を示していることに留意されたい。図示される実施形態では、類似の長さを有するカートリッジの充填レベルを変更することによって、充填容量が変更される。
【0143】
図10を参照すると、ラムスペーサ部材400、400’、400’’の様々な変形例はそれぞれ、カートリッジ本体の開いた近位端に挿入するように適合された外径を有する、ほぼ円筒状の部材として形成されてもよい。
図11aおよび11bに示されるように、第1の変形例のラムスペーサ部材400’は、駆動ラム310を受け入れるように寸法決めされた、近位に面した軸方向で延在する開口部415’を画定する。第1の変形例のラムスペーサ部材400’はさらに、ラムスペーサ部材400’の遠位端面から特定の軸方向位置に配置された遠位点401’で終わる、多数の対角線方向に対向した長手方向で延在するリブを画定する。上述したように、ラムスペーサ部材の投与停止面401’は、ラムスペーサ部材400’の遠位に面する表面410’から所定の距離に配設されて、カートリッジのピストンに関する行程終了位置を正確に規定する。
【0144】
このように、ラムスペーサ部材400’は、保持されたカートリッジ600’のピストン630と協働するように構成された遠位に面する表面410’を画定し、駆動ラム310と協働するように近位開口部415’内に配置された、近位に面する当接面420’を画定する。長さ寸法X1’は、遠位に面する表面410’と当接面420’との間の軸方向距離を画定する。長さ寸法X1’は、自動注射器100’が完全に組み立てられたときに、当接面420’と駆動ラム310との間にわずかな距離があるか、または直接接触するように選択される。したがって、自動注射器を起動したとき、別様ではカートリッジの破損または過度の機械的振動に結び付き得る、駆動ラム310の制御されない加速が生じる傾向が少なくなる。
【0145】
第2の変形例のラムスペーサ部材400’’は対応する特徴を呈する。
図12aおよび12bを参照すると、第1の変形例のラムスペーサ部材400’および第2の変形例のラムスペーサ部材400’’は両方とも、同じ合計長さXTを有し、投与停止面401’/401’’は、ラムスペーサ部材400の遠位に面する表面410’/410’’から同じ所定距離XR’/XR’’に配設されることが明白になる。しかしながら、第2の変形例のラムスペーサ部材400’’の長さ寸法X1’’は、第2の変形例のカートリッジ600’’の充填レベルが少ないことを補償するために、第1の変形例のラムスペーサ部材400’の長さ寸法X1’と比較して増大した長さを呈する。吐出操作の前に、ラムスペーサ部材が保持されたカートリッジのピストンに軸方向で当接したとき、特定のラムスペーサ部材の投与停止面401’、401’’は、カートリッジ600’/600’’の後端部611からある距離XS’/XS’’に位置する。
【0146】
図12aおよび12bを比較すると、また、第2の変形例のカートリッジ600’’における充填レベルが少ないことによって、自動注射器の組立て中に、第2の変形例のラムスペーサ部材400’’をカートリッジ本体のより深いところまで挿入できるようになっていることが明白になる。図示される実施形態では、様々な変形例のラムスペーサ部材400、400’、および400’’は、結果として得られる自動注射器100、100’、100’’が組み立てられていると、それらの対応するカートリッジ600、600’、600’’に異なる深さで、即ち完成した自動注射器を起動する前に導入される。この条件により、後端部に対する投与停止面401’/401’’の位置によって画定される、変形例それぞれの行程長さXS’、XS’’が、各変形例で異なるようになる。
【0147】
類似のサイズのカートリッジにおける充填レベルを変更する代わりに、カートリッジの軸方向長さを変更するなど、異なるサイズのカートリッジを提供することによって、対応する変形例が利用されてもよい。
図12cでは、かかる第3のカートリッジ変形例600’’’が、第3の変形例のラムスペーサ部材400’’’とともに示されている。図示される例では、第3のカートリッジ変形例600’’’は、第2のカートリッジ変形例600’’と同じ充填容量を含むが、カートリッジは短い。
【0148】
吐出移動の間に1つまたは一連のクリック音を生成するために、ラムスペーサ部材400、400’、400’’の変形例はそれぞれ、自動注射器の別の要素のクリック音生成形状と協働するように設計された、クリック要素403’、403’’を含んでもよい。かかる他方の要素は、ハウジングに対して固定的に配置されるか、またはハウジングの一部であってもよい。あるいは、他方の要素は、保持されたカートリッジに対して固定的に配置されてもよい。
図1aを参照すると、前記他方の要素はハウジングインサート210として提供されてもよい。
図1aの実施形態では、クリック音生成形状は、特定の軸方向位置で円状に分配された4つの弾性アーム213として提供される。各弾性アーム213は、クリック要素403’、403’’を備えたラムスペーサ部材が作動ばね330の蓄積エネルギーによって駆動されて遠位方向で通過する際に、径方向外側および内側に屈曲するように設計される。自動注射器を起動する前は、弾性アーム213はそれぞれ、クリープを回避するなどのため、付勢されない形でラムスペーサ部材の陥凹部内に収まっていてもよい。
【0149】
所望の流速にしたがって、クリック要素403’、403’’は、例えば各クリック音間の時間間隔を制御することによって、所望のシーケンスでクリック音を作成するように分配されてもよい。ラムスペーサ部材の各変形例400、400’、400’’は、特定の自動注射器100、100’、100’’の所望のクリック音シーケンスに適合するように、ラムスペーサ部材の他の変形例に対してクリック要素403’、403’’の分布および幾何学形状を変更することによって、特定のクリック音シーケンス向けに設計されてもよい。
図11aに示されるラムスペーサ部材400’など、図示される実施形態では、クリック要素403’の2つの別個の平行な組が見えており、各組は、ラムスペーサ部材の軸方向の広がりに沿って分配された一連の径方向で延在する歯から成っている。類似のクリック要素の組が、図示されるクリック要素403’とは対角線方向で対向して配置されてもよい。
【0150】
ラムスペーサ部材の色は、ある範囲のラムスペーサ部材のうち他のものの色と異なってもよい。したがって、ラムスペーサ部材の色、またはその色付き部分は、薬物カートリッジの内容物の指示を提供するため、自動注射器の外側から見えてもよい。ラムスペーサ部材の色は、カートリッジに隣接した窓もしくは開口部を通して見えてもよく、または装置の1つ以上の透明構成要素を通して見えてもよい。
【0151】
本明細書に記載される自動注射器の様々な機能性を提供するさらなる手段として、ラムスペーサ部材は、スラストアーム402の設計を変更するか、またはさらにはそれらを省略することによって、さらに変更されてもよい。例えば、スラストアーム402、402’、402’’を省略することによって、上述の実施形態に関連して記載した針シールドロックの機能が省略されてもよい。あるいは、スラストアームを異なるように設計することによって、針シールドロックが、用量吐出中のより早い段階で使用可能になるように設計されてもよい。
【0152】
カートリッジおよびそれに対応するラムスペーサ部材の特定のセットが選択された後、カートリッジおよびラムスペーサ部材は、汎用前部本体アセンブリ100b、針ユニット100c、汎用後部本体アセンブリ100a、および対応するキャップ100dに対して組み付けられてもよい。上述したように、針ユニット100cは、一群の変形例から選択された変形例として提供されるか、あるいは汎用設計の形で提供されてもよい。
【0153】
いくつかの好ましい実施形態を上記に示してきたが、本発明はこれらに限定されず、以下の特許請求の範囲で定義される主題の範囲内において、他の形で具体化されてもよいことが強調されるべきである。