特許第6720203号(P6720203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノボ・ノルデイスク・エー/エスの特許一覧

特許6720203取り付け安全特徴を有するアクセサリ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720203
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】取り付け安全特徴を有するアクセサリ装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20200629BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20200629BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   A61M5/24 500
   A61M5/31 520
   A61M5/315 550J
   A61M5/315 550P
   A61M5/31 530
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-544334(P2017-544334)
(86)(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公表番号】特表2018-506363(P2018-506363A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】EP2016053964
(87)【国際公開番号】WO2016135236
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2019年1月25日
(31)【優先権主張番号】15156963.9
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン, イェンス クリスティアン
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/120776(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/161952(WO,A1)
【文献】 特表2012−519026(JP,A)
【文献】 特表2013−521832(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/111336(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/31
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(200)と吐出された薬剤の用量のログを作成する記録モジュール(400)とを備えたアセンブリであって、路に沿って完全な取付け位置から完全な取付け位置へ前記記録モジュールを前記薬剤送達装置に取り付けられるようになっていて
前記薬剤送達装置が、
‐ 薬剤リザーバ若しくは薬剤リザーバを受け入れる手段、
‐ 用量設定手段、及び
‐ 設定用量を吐出する薬剤吐出手段を備え、
前記記録モジュールが電子回路(420、425)を備え、
前記電子回路(420、425)
‐ 一吐出事象中に前記薬剤吐出手段によってリザーバから吐出される薬剤の用量に関する特性値を取得するセンサ手段(426)と、
‐ 取得された特性値に基づいて用量を決定するプロセッサ手段(425)と、
‐ 前記記録モジュール前記薬剤送達装置に取り付ける際に、オフ状態とオン状態との間で動作可能なスイッチ(450)とを備え、
前記スイッチ、前記記録モジュールの取付状態が完な取付け位置から第1の距離の範囲内であればオン状態にり、前記記録モジュールの取付状態が完な取付け位置から1の距離の範囲外であればオフ状態に
更にアセンブリ
‐ 前記記録モジュールと前記薬剤送達装置のそれぞれに配置された協働する嵌合構造を有するスナップロック(460、212)を備え、当該スナップロック、前記記録モジュール前記薬剤送達装置に取り付ける際に、初期状態から拡張状態を介してスナップイン状態へ動作可能であり、な取付け位置から第2の距離の範囲内での記録モジュールの取付状態に対して、前記スナップロックスナップイン状態にり、
‐ 前記スナップロックが前記スナップイン状態により前に前記スイッチがオン状態にように、前記第2の距離は前記第1の距離よりも短く、
記スイッチはオン状態であるのに、前記スナップロックが前記スナップイン状態になった取付け位置に前記記録モジュールが置かれていないことを表すエラーを前記電子回路によって検出することとし
前記薬剤吐出手段が、用量設定状態に対応する初期軸位置を有する磁石(240)を備え、前記電子回路は、検出された前記磁石の軸位置に基づいて前記エラーを検出する、
アセンブリ。
【請求項2】
‐ 前記磁石が、前記吐出手段の動作の間に回転するように構成され、回転量が、前記吐出手段によってリザーバから吐出される前記薬剤の量に対応し、
記電子回路が、決定された前記磁石の回転位置に基づいて、吐出される用量を決定するように構成されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記スナップイン状態前記記録モジュールが完全な取付け位置にまで前記薬剤送達装置に取り付けられたことに対応する、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記スナップロック(460)が前記拡張状態にあるときに、前記スイッチ(450)はン状態にる、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記スナップロック(460)が期状態にあるときに、前記スイッチ(450)がフ状態にる、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記スナップロックが、前記記録モジュールに配置された可撓性の構造と前記薬剤送達装置に配置された非可撓性の嵌合構造とを備える、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記記録モジュールが、前記薬剤送達装置(200)の横方向の突起(212)と係合するための少なくとも1つの個別のスナップロック部材(460)を備え、別のスナップロック部材が、前記横方向の突起によって横方向に移動され引き続いて前記スナップイン状態に対応して内向きにスナップするように構成された、可撓性のワイヤー部分(461、561)を備える、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記スナップロックが、前記薬剤送達装置に配置された可撓性の構造と前記記録モジュールに配置された非可撓性の嵌合構造とを備える、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
‐ 前記薬剤送達装置が、円筒形状の取付け部分を備え、及び
‐ 前記記録モジュールが、円筒形状の取付け部分を受け入れるように構成された円筒形状のボアを備える、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記記録モジュールの1以上のスナップロック構造は、前記記録モジュールの円筒形状のボアに対応して配置されている、請求項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、データの生成、収集、及び記憶に対して適切な医療装置に関する。特定の実施形態では、本発明が、信頼できユーザが使用しやすい様式で薬剤送達用量データを取得し体系化するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示は、例えば、インスリンの送達による糖尿病治療で使用される装置など、回転駆動部材によって駆動されるねじ式ピストンロッドを備えた薬剤送達装置について主に言及しているが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
薬剤注射装置は、薬剤及び生物学的製剤を自己投与する必要がある患者の生活を大いに改善してきた。薬剤注射装置は、数多くの形態があってもよく、注射手段を有するアンプルに過ぎない単純な使い捨て装置のようなものから、或いは、充填済みのカートリッジと使用されるように適合された耐久性のある装置であってもよい。形態や種類に関わりなく、薬剤注射装置は、患者が注射可能薬剤や生物学的製剤を自己投与することを大いに助けることが示されてきた。更に、薬剤注射装置は、自己注射を実行できない人々に対して、介護者が注射可能な薬剤を投与することも大いに助けている。
【0004】
正しい時間に正しい用量で必要とされるインスリン注射を実行することは、糖尿病の管理において不可欠である。すなわち、特定のインスリンレジメンを順守することが大事である。医療従事者が処方された投薬パターンの効果を決定できるようにするため、糖尿病患者は、各注射の用量及び時間のログをつけることが推奨されている。しかし、このようなログは、通常、手書きのノートに記載されているので、記載された情報をデータ処理のためにコンピュータにアップロードすることは容易ではない。更に、患者によって書き留められる事象だけが記載されるので、記載された情報が患者の病気の治療において何らかの価値を有するものにするためには、患者が、各々の注射を記載することを忘れないことが、ノートシステム上、要求される。ログの中で記入漏れや間違った記載があると、注射履歴の有様を誤って認識させることになり、それ故、今後の薬物治療に関する医療従事者の意思決定の基礎を誤らせることになる。したがって、薬剤送達システムの注射情報の記録を自動化することが望ましい場合がある。
【0005】
例えば、US2009/0318865号及びWO2010/052275号で開示されているように、一部の注射装置では、このモニタリング/取得機構が装置自体に組み込まれているが、今日の大部分の装置には組み込まれていない。最も広く使用されている装置は、耐久性のある装置であるか、或いは充填済みの装置であり、純粋に機械的な装置である。充填済みの装置は、空になった後に捨てられ、安価なものなので、装置自体の中に電子データ取得機能を組み込んでも費用に見合った効果が得られない。この問題に対処するために幾つかの解決策が提案されてきた。これらの解決策は、ユーザが、所与の医療装置の使用を示すデータを生成、収集、及び分配するのに役立つであろう。
【0006】
例えば、WO2007/107564号では、機械的なペン装置に取り付けられて、そのペン装置によって生成された信号を測定するように適合された電子式「アドオン(add-on)」モジュールが説明されている。検出された信号は、種々の事象(例えば、それぞれが用量を注射する、用量の設定を示す種々の音)を検出するために使用され得る。メモリは、例えば、幾月かにわたって、タイムスタンプと共に検出された用量を記憶する。このモジュールには、更なる処理と視覚化のため、検出されたデータを外部ユニット(例えば、コンピュータ又は別の携帯装置(例えば、携帯電話、PDAなど))に送信する無線手段が設けられている。WO2010/037828号は、そのようなモジュールをペン形状薬剤送達装置に取り付けるための構成を開示している。US6,482,185号及びWO03/005891号では、ペン装置用の外部装置が更に示されている。WO2013/120776号は、取り付けスイッチとスナップを有する閉鎖部材とを有するアドオン装置を開示している。
【0007】
外部装置は、外部装置が取り付けられている装置から生じる信号又は事象を検出するように設計されているので、2つの装置が互いに対して正確に配置され、正しく動作することを確実にし不正確な測定を避けることが重要である。
【0008】
上記を考慮するに、本発明の目的は、ユーザが取り付け可能なモジュールを備えた薬剤アセンブリを、安全に、簡単に、コスト効率よく操作することを可能にする装置及び方法を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の開示では、上記の1以上の目的に対処する実施形態及び態様、或いは、後述の開示から明らかな目的、並びに例示的な実施形態の記載から明らかな目的に対処する実施形態及び態様について説明することになる。
【0010】
したがって、本発明の第1の一般的な態様では、第1のユニットと第2のユニットを備えたアセンブリが提供され、第1のユニットは、経路に沿って完全に取り付けられていない位置から完全に取り付けられた位置へ、第2のユニットに取り付けられるように適合されている。アセンブリは、スイッチとスナップロックを備える。スイッチは、第1のユニットが第2のユニットに取り付けられているときに、オフ状態とオン状態との間で動作可能であり、第1のユニットが完全に取り付けられた位置から第1の距離の範囲内に取り付けられているときにオン状態にあり、第1のユニットが完全に取り付けられた位置から第1の距離より外側に取り付けられているときにオフ状態にある。スナップロックは、第1のユニットが第2のユニットに取り付けられているときに、初期状態(すなわち、拡張されていない)から拡張状態を介してスナップイン状態に動作可能であり、第1のユニットが完全に取り付けられた位置から第2の距離の範囲内に取り付けられているときに、スナップロックはスナップイン状態にあり、第2の距離は第1の距離よりも短い。
【0011】
この構成によって、スナップロックがスナップイン状態にある前に、スイッチがオン状態にあることが確実にされている。
【0012】
例示的な一実施形態では、第2のユニットが、薬剤送達装置であり、第1のユニットが、記録モジュールである。薬剤送達装置は、薬剤リザーバ若しくは薬剤リザーバを受け入れるための手段、用量設定手段、及び設定用量を吐出するための薬剤吐出手段を備える。代替的に、装置は、時間だけを記録する記録モジュールを有する固定用量装置であり得る。記録モジュールは、吐出された薬剤の用量のログを作成するように適合された電子回路を備え、電子回路は、一吐出事象中に吐出手段によってリザーバから吐出される薬剤の用量に関する特性値を取得するように適合されたセンサ手段、及び取得された特性値に基づいて用量を決定するように適合されたプロセッサ手段を備える。
【0013】
例示的な一実施形態では、スイッチがオン状態にある電子回路が、スナップロックがスナップイン状態にある取り付け位置内に第1のユニットがない状態に対応するエラー条件を検出するように適合されている。
【0014】
本発明の特定の態様では、薬剤送達装置と記録モジュールとを備えた医療用アセンブリが提供される。記録モジュールは、経路に沿って完全に取り付けられていない位置から完全に取り付けられた位置へ薬剤送達装置に取り付けられたときに、薬剤送達装置から吐出された薬剤の用量のログを作成するように適合されている。薬剤送達装置は、薬剤リザーバ若しくは薬剤リザーバを受け入れるための手段、用量設定手段、及び設定用量を吐出するための薬剤吐出手段を備える。記録モジュールは、一吐出事象中に吐出手段によってリザーバから吐出される薬剤の用量に関する特性値を取得するように適合されたセンサ手段、取得された特性値に基づいて用量を決定するように適合されたプロセッサ手段、及び記録モジュールが薬剤送達装置に取り付けられたときにオフ状態とオン状態との間で動作可能なスイッチを備え、スイッチは、記録モジュールが完全に取り付けられた位置から第1の距離の範囲内に取り付けられているときにオン状態にあり、記録モジュールが完全に取り付けられた位置から第1の距離より外側に取り付けられているときにオフ状態にある。アセンブリは、記録モジュールと薬剤送達装置のそれぞれに配置された協働する嵌合(mating)構造を備えたスナップロックを更に備え、スナップロックは、記録モジュールが薬剤送達装置に取り付けられたときに、初期状態から拡張状態を介してスナップイン状態へ動作可能であり、スナップロックは、記録モジュールが完全に取り付けられた位置から第2の距離の範囲内に取り付けられているときにスナップイン状態にある。スナップロックがスナップイン状態にある前に、スイッチがオン状態にあることを確実にするために、第2の距離は第1の距離よりも短く、スイッチがオン状態にある電子回路は、スナップロックがスナップイン状態にある取り付け位置に記録モジュールがない状態に対応するエラー条件を検出するように適合されている。
【0015】
薬剤吐出手段は、用量設定状態に対応する初期軸位置を有する磁石を備え、電子回路は、検出された磁石の軸位置に基づいてエラー条件を検出するように適合され得る。検出された軸位置は、絶対位置である必要はないが、予期された公称値又はモジュールに対する位置との照合であり得る。磁石は、吐出手段の動作の間に回転するように構成され得る。回転の量は、吐出手段によってリザーバから吐出される薬剤の量に対応し、電子回路は、決定された磁石の回転位置に基づいて、吐出される用量を決定するように構成され得る。
【0016】
スナップイン状態は、完全に取り付けられた位置にある、薬剤送達装置に取り付けられた記録モジュールに対応し得る。完全に取り付けられた位置では、スナップロックが、初期状態に対応して拡張されておらず又は部分的に拡張され得る。通常、スナップロックが拡張状態にあるときに、スイッチはオン状態にあり、スナップロックが初期状態にあるときに、スイッチはオフ状態にある。
【0017】
スナップロックは、スナップイン状態にあるときに、意図された小さい軸方向の遊びを有するように設計され得る。これは、正の値を有する第2の距離をもたらす。したがって、軸方向の遊びがなければ、第2の距離は観念的にはゼロである。
【0018】
スナップロックは、記録モジュールに配置された1以上の可撓性の構造と、それに対応する薬剤送達装置に配置された非可撓性の嵌合構造とを備え得る。代替的に、可撓性の構造は、薬剤送達装置に又はそれらの両方に配置され得る。
【0019】
例示的な一実施形態では、第1の記録モジュールが、薬剤送達装置の横方向の突起と係合するように適合された少なくとも1つの個別のスナップロックを備え、個別のスナップロックは、横方向の突起によって横方向に移動され、引き続いて、スナップイン状態に対応して内向きにスナップするように適合された可撓性のワイヤー部分を備える。
【0020】
薬剤送達装置は、概して円筒形状の取り付け部分を備え得る。記録モジュールは、その円筒形状の取り付け部分を受け入れるように適合された概して円筒形状のボアを備え得る。記録モジュールのスナップロック構造は、記録モジュールの円筒形状のボアに対応して配置され得る。
【0021】
本明細書において、「インスリン(insulin)」という語は、液体、溶液、ゲル又は微細懸濁液などの制御された様態でカニューレ又は中空針といった送達手段を通過可能である、血糖値制御効果を有する任意の薬剤含有流動可能薬物、例えば、ヒトインスリン及びその類似体、並びに、GLP−1及びその類似体等の非インスリンを包括することを意味する。例示的な実施形態の説明において、インスリンの使用に言及することがあるが、説明されるモジュールは、他の種類の薬剤、例えば、成長ホルモンに対するログを作成するためにも使用され得る。
【0022】
本発明は、図面を参照して以下の実施形態で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】電子記録モジュールを有するペン形状薬剤送達装置を示す。
図1B】電子記録モジュールを有するペン形状薬剤送達装置を示す。
図2】記録モジュールの内部を示す。
図3A】更なる記録モジュールの外部を示す。
図3B図3Aの記録モジュールの分解図を示す。
図4A】スナップリング連結の作動原理を示す。
図4B】スナップリング連結の作動原理を示す。
図5A】第1の状態に対応するカートリッジに取り付けられた図3Bの記録モジュールの断面図を示す。
図5B図5Aのスイッチを詳細に示す。
図5C図5Aのスナップロックを詳細に示す。
図6A】第2の状態に対応する図3Bの記録モジュールの断面図を示す。
図6B図6Aのスイッチを詳細に示す。
図6C図6Aのスナップロックを詳細に示す。
図7】ペン形状薬剤送達の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面では、同様の構造物は、主に同様の参照番号により特定される。
【0025】
下記において、「上方(upper)」及び「下方(lower)」、「右(right)」及び「左(left)」、「水平(horizontal)」及び「垂直(vertical)」などの用語、又は似たような関連する表現が使用される場合、これらは付随する図面にのみ言及するものであり、必ずしも実際の使用状況を表すものではない。図示されている図面は概略表現であり、そのため、種々の構造物の構成、並びにそれらの相対的寸法は、例示目的のみが意図されている。所与の構成要素に対して部材又は要素という用語が使用される場合、一般的には、記載の実施形態においてその構成要素が一体型の構成要素であることを示しているが、代替的に、同じ部材又は要素が幾つかのサブ構成要素を備えてもよく、また、2つ以上の記載の構成要素が、例えば単一の射出成型部品として製造された一体型の構成要素として提供され得る。「アセンブリ」という用語は、所与の組立プロセスの間に単一の又は機能的なアセンブリを提供するために記載の構成要素を組み立て得ることを必ずしも意味するのではなく、単に、機能的により密接に関連がある同じグループの構成要素について説明するために使用されているに過ぎない。
【0026】
図1A及び図1Bは、電子記録装置(これ以降、「記録モジュール」)100が取り付けられているペン形状薬剤送達装置200を示す。本明細書の文脈では、この装置は、装置の具体的な例を提供する「包括的な(generic)」薬剤送達装置であって、それと組み合わせて本発明の実施形態を使用することが意図されているか、又は、本発明の態様の基礎を形成し得る、薬剤送達装置のことである。
【0027】
より具体的には、記録モジュール100は、本体部分110と、モジュールが概して円筒形状のペン装置に取り付けられることを可能にするリング形状部分120とを備えている。本体部分は、電子回路と、カートリッジから吐出される薬剤の量を表す特性値の検出を可能にするセンサ手段と、ユーザにデータを表示するためのディスプレイ130とを備えている。リング部分は、モジュールがペン本体に確実且つ正確に取り付けられることを可能にする連結手段を備えている。電子回路及びセンサ手段は、部分的にリング部分の中に配置されてもよい。
【0028】
ペン装置200は、キャップ部207と、薬剤吐出機構が内部に配置又は統合されるハウジング201を備えた近位本体部分又は駆動アセンブリ部分、並びに遠位カートリッジホルダ部分であって、その内部には遠位穿刺可能膜を備えた薬剤充填済透明カートリッジ213が、配置され、且つ、近位部分に取り付けられた取り外し不可のカートリッジホルダによって所定位置に保持されている、遠位カートリッジホルダ部分を有する、主要部とを備えている。カートリッジホルダは、カートリッジの一部分の点検を可能にする開口と、針アセンブリが取り外し可能に取り付けられることを可能にする遠位連結手段219とを有する。カートリッジは、吐出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが設けられており、例えば、インスリン、GLP-1、又は成長ホルモン製剤を含有し得る。最近位の回転可能用量部材280は、ディスプレイウィンドウ202で表示される薬剤の所望の用量を手動設定(又はダイヤル)するように機能し、ボタン290が起動されると、その所望の用量が吐出され得る。薬剤送達装置で具現化される吐出機構の種類に応じて、吐出機構は、図示の実施形態にあるようなばねを備えてもよい。このばねは、用量設定中に弾性力が加えられ、解除ボタンが起動されると、解除されてピストンロッドを駆動する。代替的に、吐出機構は完全に手動式であってよい。その場合、用量部材及び起動ボタンは、用量設定中に設定用量サイズに応じて近位に移動し、次いで、設定用量を吐出するためにユーザによって遠位に動かされる。
【0029】
図1A及び図1Bは、充填済みタイプの薬剤送達装置を示している。すなわち、この薬剤送達装置は、予め取り付けられたカートリッジと共に提供され、カートリッジが空になると廃棄される。代替的な実施形態では、薬剤送達装置は、搭載カートリッジが交換可能であるように設計されてもよい。その場合、搭載カートリッジは、例えば、カートリッジホルダを装置の主要部から取り外すように適合される「後方搭載型(rear-loaded)」、或いは、代替的には、装置の主要部に取り外し不可に取り付けられているカートリッジホルダの遠位開口を通じてカートリッジを挿入する「前方搭載型(front-loaded)」の形態となる。
【0030】
図2を参照すると、記録モジュール300の第1の例示的な実施形態が示されている。内部の設計と部品を見せるために外部の覆い部が取り外されている。覆い部は、ユーザに対向する外側部を提供しており、モジュールが装着位置にある際にペンに対向する外面は、主要本体によって構成されている(以下参照)。
【0031】
モジュールは、概して円筒型のリング形状部分320と本体部分330とを有する主要本体310を備えており、この本体部分330上に電子回路の大部分が取り付けられている。主要本体は、LDSポリマーで形成されており、LDS(Laser Direct Structuring)技術を用いて集約配線を達成することができる。弾性特性を有するポリマーは、可撓性のヒンジラッチを一体的に形成することを可能にする。より具体的には、リング部分は、薬剤送達ペン本体に装着されるように適合された概して円筒型の表面と、一対の対向している一体的に形成された連結構造体321であって、ペン装置上の対応する連結構造体に係合して、モジュールが確実に装着されるようにする連結構造体321とを備えている。遠位方向を向いた周方向の止め面329を有することにより、リング部分の遠位部はより大きな直径を有している。この止め面329は、図1Bで見られるように、モジュールがペンに装着される際に、キャップを受容し、キャップに係合するよう適合されている。
【0032】
リングの内表面とペン本体の外表面とは、形状嵌めされているか、又は微妙に摩擦係合しているかの何れかであり得る。モジュール上の各連結構造物は、近位部分323と、遠位部分324と、中央部分とを有するラッチの形態であり、中央部分は、統合形成された可撓性ヒンジ325によってリング部分に枢動的に接続され、ラッチが周軸に対応していくらかの角度枢動することを可能にする。この配置によって、近位部分が外側に向かって移動すると遠位ラッチ部分は内側に向かって動き、その逆も同様である。近位ラッチ部分は、各々、ペン装置上の対応する連結構造と係合するように適合された内部突起326を備えており、遠位ラッチ部分は、各々、記録モジュールとカートリッジホルダとの間の円周方向の隙間214(図1B参照)への挿入によって、キャップがペン本体に取り付けられる際に、キャップと係合するように適合された突起327を備えている。モジュールを、正確に、回転自在に、確実にペンに取り付けるため、モジュールには、ペンの対応する突起218(図4A参照)に軸方向に係合するよう適合されたスロット518(図4A参照)が設けられている。図1Bに示している実施形態では、突起は、ペンのカートリッジホルダ210上に設けられ、ペンのディスプレイウィンドウ202の反対側に配置される。それによって、電子ディスプレイ130は、モジュールがペンに取り付けられている際にペンのディスプレイウィンドウに隣接して配置される。代替的に、電子ディスプレイは、ペンのディスプレイウィンドウの反対側に配置され得るか、又は設計によってユーザが2つの回転位置の間を選択することを可能にする。本体部分330上には、主な電子部品340、ディスプレイ341、キャップスイッチ342、及びバッテリ343が取り付けられている。図示の実施形態では、記録モジュールは、リング部分320に直接的に取り付けられた磁力計345の形態で周方向に配置された3つのセンサを備えている。センサと主な電子部品は、LDSを用いて接続されている。磁力計及び電子回路は、取り囲まれた吐出機構の磁気部材の回転運動の形態で、吐出される薬剤の用量に関する特性値を検出し取得するように適合されている。これは、本明細書で参照されることによって組み込まれている、WO2014/161952号とEP14194548.5号において、より詳細に説明されている。例えば、装置の種類を認識することを可能にするために、更なるセンサを設けてもよい。例えば、センサは、記録モジュールが取り付けられたペンの部分の色を検出したり、対応配置されたバーコードを読み取ったりするように適合されてもよい。
【0033】
記録モジュールには、例えば、(図示せぬ)1以上のボタンの形態のユーザ入力手段が設けられ得る。この入力手段は、ユーザがモジュールを制御する(例えば、ユーザがログエントリを切り替える)ことを可能にする。記録モジュールには、モジュールへの/からのデータの送受信を可能にする送信手段が更に設けられ得る。例えば、NFC又はその他の無線手段によってログデータをユーザのスマートフォンに送信することができる。
【0034】
図3A及び3Bを見ると、記録モジュール400の第2の例示的な実施形態が、組み立てられた形態と、それに対応した分解図とで示されている。モジュール400は、上述の図1Aの記録モジュール100と同じ一般的な外観を有し、ディスプレイウィンドウ407と、ペン装置への装着を可能にするボア413とを備えている。ラッチ322の形態の連結手段が設けられる代わりに、可撓性のスナップリング460がボア内に配置されている。この可撓性のスナップリング460は、遠位側では、ハウジングの一部として形成された数々の周方向のフランジ部分414と、近位側では、対応するペン装置のカートリッジホルダに形成された対応するコード構造体に係合するように適合されたコード構造体(例えば、切り欠け部475)を備えた挿入されたコードリング470との間で所定の位置で保持される(以下参照)。フランジ部は、一対の対向する切り欠け部415が設けられており、これらは、ペンのカートリッジホルダの連結突起がスナップリングと係合することを可能にする。
【0035】
図3Bの分解図を見ると、モジュール400は、モジュールの種々の部品の取り付け基盤として機能する本体部材410を備えており、主要本体は、モジュールが取り付け位置にあるときにペンに対向する「内側の」外部面となり、「外側の」外部面は、覆い部405と、ディスプレイウィンドウ部406とによって設けられ、ディスプレイウィンドウ部406は、透明ウィンドウ407を受け入れるための開口と、モジュールのキャップ対向面を形成するリング部408とを備えている。
【0036】
本体部材410は、ボア413を設ける概して円筒形状のリング形状部分411と、主な電子回路が取り付けられる延長部412を有する「上部」分とを有している。(図示せぬ)何枚かの両面テープ片が本体部材に付着されており、可撓性のプリント回路基板(PCB)420を所定位置に確実に保持するよう機能している。PCBは、主要部分421と、リング部に取り付けられるように適合された一対の対向する「翼」部422とを備えている。PCB上には、幾つかの電子部品425と、幾つかの磁力計426と、ディスプレイ接触部427とが取り付けられている。翼部は、リング部上に磁力計を円周方向に配置するように主として機能する。ボタン電池430が、PCBに接続され、本体部材と係合するように適合されたクリップ431によって適所に保持される。ディスプレイ440は、フレックスリボンケーブル447を介して、主要なPCB部分の上面に取り付けられるように適合されている。本体スイッチ部材450は、本体部材上に取り付けられ、PCBと連動するように適合されている。スイッチは、記録モジュールが何時ペン本体に取り付けられたかを検出する。キャップスイッチ部材451は、本体部材上に取り付けられ、PCBと連動するように適合されている。スイッチは、ペンキャップ207(図1A参照)が何時ペンに取り付けられたかを検出する。
【0037】
オープンリング形状のワイヤースナップ部材460は、本体部材のボアの遠位対向開口部内に取り付けられるよう適合されている。スナップ部材は、一対の対向する連結部461を備えており、ペン本体に装着された際にモジュールを所定位置に可逆的に係止するように機能する。ワイヤースナップ部材は、以下でより詳細に説明される。コードリング470は、スナップ部材の近くのボア内に取り付けられ、すなわち、キースロット(key-and-slot)コーディングによって、ペン装置のコーディング構造と協働するように適合されている。コーディングは、所与のモジュールが、作動適合されたペン装置(例えば、所与の濃度で所与の薬剤を含む)にのみ確実に取り付けられるように機能する。コードリングは、更に、所与のコーディングに対応する色分けをするように機能し得る。これにより、モジュールが、概して「包括的な(generic)」色で形成されることが可能になる。コードリングは、スナップリングをボア内で適所に保持するように使用されてもよい。代替的な実施形態では、コード構造体は、記録モジュール及びペンの他の部分上に配置されてもよい。
【0038】
図4A及び4Bを参照すると、ボア513を有するモジュール本体部材510の代替的な実施形態が断面図で示されている。本体部材は、本体部材に係合するように適合された中央部分562と、例えば、ペンカートリッジホルダ上の対応するスナップ連結手段に係合する際に個々の可逆的なスナップロックを設けるようにそれぞれ適合された2つの対向する脚部561とを有するオープンワイヤースナップリング部材560が設けられている。図示の実施形態では、ペンスナップ連結手段は、ペンカートリッジホルダ210の近位に設けられた一対の両側の突起212の形態にある。この突起は、更に、記録モジュールがペンに取り付けられていない際にペンキャップを所定位置に係止するように機能する。図示の実施形態では、カートリッジホルダの近位部には、一対の切り欠き部215の形態におけるコード構造体が設けられ、コード構造体は、例えば、(図示せぬ)コードリングに形成された対応するコード突起に係合するように適合されている。モジュール本体部材510は、カートリッジホルダの突起218と軸方向に係合し、それによって、ペン本体のモジュールを回転可能に配置するように適合されたスロット518を備える。
【0039】
図4Aでは、記録モジュールは、ペンに部分的に取り付けられており(カートリッジホルダのみを図示)、スナップリングは、連結突起の遠位対向傾斜面に当接している。記録モジュールを完全に取り付けられた位置へと移動させると、各スナップリングの脚部は、横方向に拡張して、次いで、連結突起の近位で所定位置に止まる。連結突起の近位対向傾斜は遠位対向傾斜よりも傾斜の度合いが大きいため、記録装置をペンから取り外すのに必要な力は、取り付け時よりも大きい。図示のスナップリングは、開いた構成を有するが、代替的に、リングのスナップ部が機能性に応じて移動が許容される限り、閉じたリングの形態であってもよい。更なる代替例として、例えば、個々のスナップ連結部に対して、スナップリングを個々のワイヤー部分(真っ直ぐな又は湾曲したワイヤー部分など)と交換してもよい。
【0040】
図5Aは、図1B図4Aで示されたカートリッジホルダに対応するカートリッジホルダ210に取り付けられた、図3Bの記録モジュール400の断面図を示している。図3Bを参照して説明されたように、モジュールは、本体部材410、ディスプレイウィンドウ部分406、コードリング470、スナップリング460(図5B及び図5C参照)、可撓性のPCB420に配置された電子回路、及び本体スイッチ部材450を備える。カートリッジホルダ210は、円周フランジ211と一対の両側のスナップ突起212を備える。図5Bは、本体スイッチ部材450を詳細に示し、図5Cは、カートリッジホルダのスナップ突起212とスナップリング460を詳細に示す。
【0041】
図5A図5Cは、スナップリングの連結セクション461が、カートリッジホルダのスナップ突起212の後ろで適所にスナップした、完全に取り付けられた状態にある記録モジュールを示し、本体スイッチ部材450は、カートリッジホルダのフランジ211によって歪められて、PCBの対応する接触点と接触し、それによって、スイッチをオンにして、モジュールがペン装置に取り付けられたことを電子機器に示す。図5Cから分かるように、この実施形態では、スナップリングが、スナップ突起の後ろで完全に収まらないが、わずかに拡張して突起の近位対向傾斜に「停止」する。
【0042】
図6A図6Cは、図5A図5Cに対応し、拡張したスナップリングの連結セクション461が、カートリッジホルダのスナップ突起212の上端に「停止」した状態で、記録モジュールが部分的に取り付けられた状態を示している。したがって、スナップリングが、スナップ突起の後ろ(又は図5Cで示されたような傾斜上)の、そのロックされた位置へ完全にスナップするまで、モジュールは、完全に取り付けられていない位置にある。例えば、材料の小さいピースがモジュールとペンとの間の隙間471に捕まったならば、その状況が生じ得る(図6B参照)。
【0043】
本発明の態様は、上述のようにモジュールが完全にはペンに取り付けられていない、且つ、ユーザがそれに気が付いていない、この種の状況に対処する。実際、モジュールのスナップリングがロッキング突起に全く係合しなかったならば、モジュールは、ペンに緩く配置され、落下する傾向がある。その状況は、ユーザによってしっかりと認識可能であるように想定され得る。上述の記録モジュールの作動原理は、ペンの内側の動く磁気部材から発する比較的弱い磁場の検出に基づくので、2つのユニットが互いに対してそれらの特定の位置で正確に配置され、用量の正しく正確な検出を確実にすることが重要である。したがって、記録モジュールが完全且つ正確に取り付けられていなければ、検出された値が不正確であるか又は全く何の値も検出されない場合もある。
【0044】
部分的に取り付けられた状況に対処するために、記録モジュール400は、ペンに取り付けられたときに位置試験を実行し、その位置が不正確ならば、ユーザに通知するように設計されており、すなわち、モジュールは、磁力計を有するその完全な取り付け位置にあるのではなく、それによって、磁気部材に対して正確な位置にあるのではない。試験が実行されることを確実にするために、本体スイッチ部材450は、スナップリングが適所にスナップする前に起動されるようなやり方でスナップリングに対して配置され、これは、スナップリングが完全に又は部分的に拡張状態にあるうちに、位置試験が実行されることを可能にする。実際、スイッチとスナップリングの両方が、特定の位置に配置されたフランジ及びスナップ突起を有する所与のカートリッジホルダと協働するように設計されている。
【0045】
上述の構成によって、3つの一般的な取り付けシナリオが対処される。(i)スナップリングが、カートリッジホルダのスナップ突起と全く係合せず、本体スイッチが起動されない。位置試験が実行されないが、モジュールはほんのわずかに緩やかにペンに配置されるのみなので、モジュールが正確に取り付けられず、したがって、用量は検出されず記録されないことがユーザにとって明らかであることが想定され得る。(ii)スナップリングはスナップ突起と係合するが、完全には適所にスナップしない。しかし、本体スイッチは、このポイントで起動され、これは位置試験が実行されることを可能にする。位置試験が正しくない取り付け位置の検出をもたらすならば、ユーザは、例えば、ディスプレイ内の情報によって及び/又は聴覚的警報によって知らされ、これはユーザに取り付けがチェックされなければならないことを知らせる。(iii)スナップリングは、カートリッジホルダの突起の後ろで完全に適所にスナップし、本体スイッチが起動され、これは位置試験が実行されることを可能にする。
【0046】
位置試験は、位置試験そのものであり、又は機能試験であり得る。第1の場合では、記録モジュールに検出手段が設けられ、所与の構造体の位置が、例えば、機械的又は光学的手段によってチェックされることを可能にする。例えば、光学的手段は、所与の構造体が所定の位置範囲内に配置されているか否かをチェックするために使用され得る。上述の種類のペン装置に対して、そのような構造体は、カートリッジホルダとペン本体との間の移行(transition)であり得る。2つの構造体は、例えば、異なる色を有している。代替的に、特定のしるしがペンに配置され得る。例えば、その位置がその後に特定され得るところのしるしを所与の表面が作る。
【0047】
代替的に、記録装置には、検出手段が設けられ、機能試験が実行されることを可能にする。例えば、上述の実施例では、薬剤の用量が吐出される前、間、後で、ペン吐出機構内に取り囲まれた磁気部材の位置を検出及び取得するように適合された、磁力計及び電子回路が記録装置に設けられている。WO2014/161952号及びEP14194548.5号で開示されているように、磁気部材が、用量吐出の間に回転されることに加えて一吐出事象の間に軸方向に移動されもする、吐出機構に対して、磁気部材の軸方向位置も検出され得る。
【0048】
したがって、ペン装置内の内部要素、例えば、磁気部材の軸方向位置を検出する能力は、記録装置がペン装置に軸方向に正確に取り付けられていることをチェックするために使用され得る。磁気部材は、非常に明確な軸方向位置、すなわち、用量設定位置を有する。
【0049】
そのようなエラー検出を可能にする磁気部材を備えた薬剤送達装置の一例は、図7を参照しながら説明される。図7は、図1Aで示されたペン形状薬剤送達装置200の分解図を示している。
【0050】
より具体的には、ペンが、窓開口部202を有する管状ハウジング201を備え、管状ハウジング201の内側にカートリッジホルダ210が固定的に取り付けられ、薬剤が充填されたカートリッジ213がカートリッジホルダ内に配置されている。カートリッジホルダには、遠位連結手段219が設けられ、針アセンブリ216が解放可能に取り付けられることを可能にし、2つの両側のスナップ突起212の形態にある近位連結手段が設けられ、キャップ207がカートリッジホルダと取り付けられた針アセンブリとを覆うように解放可能に取り付けられることを可能にし、更に、突起218はペンが例えばテーブルの上端上で転がることを妨げる。ハウジングの遠位端部内では、ナット要素225が固定的に取り付けられ、ナット要素は、中央ねじ式ボア26を備え、ハウジングの近位端部内では、中央開口部を有するばねベース部材208が、固定的に取り付けられている。駆動システムは、2つの両側の長手方向溝を有し且つナット要素のねじ式ボア内に受け入れられるねじ式ピストンロッド220、ハウジング内で回転可能に配置されたリング状に形成されたピストンロッド駆動要素230、及び駆動要素と回転係合したリング状に形成されたクラッチ要素240を備え、その係合はクラッチ要素の軸方向の動きを可能にする。クラッチ要素には、ハウジングの内面の対応するスパインと係合するように適合された外側スパイン要素241が設けられ、これはクラッチ要素が、スパインが係合する回転ロック近位位置と、スパインが係合解除されている回転自由遠位位置との間で、移動することを可能にする。直前で述べたように、両方の位置で、クラッチ要素は、駆動要素に回転ロックされている。駆動要素は、ピストンロッドの溝と係合する2つの対向する突起231を有する中央ボアを備え、それによって、駆動要素の回転が回転をもたらし、それによって、ピストンロッドとナット要素との間のねじ式係合のために、ピストンロッドの遠位軸方向の移動がもたらされる。駆動要素は、ハウジングの内面に配置された対応するラチェット歯205と係合するように適合された、一対の反対側の円周方向に延在した可撓性のラチェットアーム235を更に備える。駆動要素とクラッチ要素は、それらを共に回転ロックするがクラッチ要素が軸方向に移動されることを可能にする、協働連結構造を備え、これはクラッチ要素がその遠位位置まで軸方向に移動されることを可能にし、そこでは、回転することが許容され、それによって、ダイアルシステムからの回転動作を駆動システムに伝達することが可能である。
【0051】
ピストンロッドの上では、内容物終了(EOC)部材228がねじ式に取り付けられ、及び、遠位端部の上では、ワッシャー227が回転可能に取り付けられている。EOC部材は、リセットチューブとの係合のために一対の両側の半径方向突起229を備える。
【0052】
ダイアルシステムは、ラチェットチューブ250、リセットチューブ260、外側の螺旋状に配置された用量数の列を有するスケールドラム270、吐出されるべき薬剤の用量を設定するためのユーザが操作するダイアル部材280、解放ボタン290、及びトルクねじ255を備える。リセットチューブは、ラチェットチューブの内側で軸方向ロックされるように取り付けられるが、2、3度の回転が可能である。リセットチューブは、その内面上に、2つの対向する長手方向の溝269を備えている。その溝269は、EOC部材の半径方向の突起229と係合するように適合されており、それによって、EOCは、リセットチューブによって回転され得るが、軸方向へ移動することが可能である。クラッチ要素は、ラチェットチューブ250の外側遠位端部分の上で軸方向ロックされるように取り付けられ、これは、ラチェットチューブがクラッチ要素を介してハウジングとの回転係合に入り及び出るように軸方向に移動され得ることをもたらす。ダイアル部材280は、軸方向ロックされるように取り付けられるが、ハウジングの近位端部の上で回転自由であり、ダイアルリングは、リセットチューブに回転ロックされた通常の動作の下にあり、それによって、ダイアルリングの回転が、リセットチューブ及びそれによってラチェットチューブの対応する回転をもたらす。解放ボタン290は、リセットチューブに対して軸方向ロックされるが、回転は自由である。リターンばね295が、ボタン及びボタンに取り付けられたリセットチューブへの、近位方向に向けられた力を提供する。スケールドラム270は、ラチェットチューブとハウジングとの間の円周空間内に配置され、ドラムは、長手方向スパイン251、271と協働することによってラチェットチューブに回転ロックされ、ねじ式構造と協働することによってハウジングの内面と回転ねじ式係合し、それによって、ドラムがラチェットチューブによってハウジングに対して回転されたときに、数字の列がハウジング内の窓開口部202を通過する。トルクばねは、ラチェットチューブとリセットチューブとの間の円周空間内に配置され、その近位端部においてばねベース部材208に固定され、その遠位端部においてラチェットチューブに固定され、それによって、ばねが、ラチェットチューブがダイアル部材の回転によってハウジングに対して回転されたときに歪まされる。可撓性のラチェットアーム252を有するラチェット機構が、ラチェットチューブとクラッチ要素との間に設けられ、後者には、内側円周歯構造242が設けられ、各歯はラチェットストップを提供し、それによって、ラチェットチューブは、用量が設定されるときにリセットチューブを介してユーザによってそこまで回転されるところの位置において保持される。設定用量が低減されることを可能にするために、ラチェット解放機構262が、リセットチューブに設けられ、ラチェットチューブに作用し、これは設定用量が、ダイアル部材が反対方向へ回されることによって1以上のラチェットきざみ幅(increment)によって低減されることを可能にし、解放機構は、リセットチューブがラチェットチューブに対して上述の2、3度だけ回転されたときに駆動される。
【0053】
図7の機構の動作の詳細な説明は、WO2014/161952及びEP14194548.5において見られ得る。
【0054】
例示的な実施形態の上記の説明では、種々の部品に対して記載の機能性をもたらす種々の構造及び手段が、本発明の概念が当業者にとって明確である程度に説明された。種々の構成要素の詳細な構造及び仕様は、本明細書の規定に沿って当業者により実行される、通常の設計手順の対象と見なされる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7