(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720207
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】器具駆動装置内のロードセル
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20200629BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20200629BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20200629BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
G01L1/22 F
A61B34/30
B25J9/06 B
B25J19/02
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-554257(P2017-554257)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公表番号】特表2018-517893(P2018-517893A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】GB2016051079
(87)【国際公開番号】WO2016170315
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】1506710.1
(32)【優先日】2015年4月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,キース
(72)【発明者】
【氏名】フールチャンド,ニッキ プリヤム ス−リン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,トーマス ベイツ
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−517421(JP,A)
【文献】
特開2007−125404(JP,A)
【文献】
実開平02−024349(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0172713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/22
G01L 5/00− 5/28
B25J 1/00−21/02
A61B 34/30−34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームから器具に駆動を提供するための駆動ユニットであって、
前記器具の対応するエレメントと係合される複数の駆動エレメントを備えており、各前記駆動エレメントは駆動軸に沿って動作可能とされかつ各前記駆動エレメントの前記駆動軸は互いに実質的に平行とされており、
前記駆動軸が平行とされた前記駆動エレメントのロードセンシングのために前記駆動エレメントに結合された複数の可撓体と、各前記可撓体を、他の前記可撓体に印加されるロードから隔離するように、前記複数の可撓体を支持する一体部材からなるフレームと、を含むロードセル構造を備えている、ことを特徴とする駆動ユニット。
【請求項2】
前記駆動ユニットは複数のリードスクリューを備える一方、各前記駆動エレメントは前
記リードスクリューのそれぞれ1つと螺合するように構成されており、
前記フレームが一組のアパーチャを画定している一方、前記リードスクリューが前記ア
パーチャを貫通して延び出しかつ前記可撓体が前記フレームから前記リードスクリューま
で前記アパーチャを横切って延び出している請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
各前記可撓体は、各前記リードスクリューが各前記可撓体に関してその長手方向の軸回
りに自由に回転できるように構成されている、少なくとも1つのベアリングを介して各前
記リードスクリューに結合されている請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記可撓体は、前記駆動エレメントの前記駆動軸に垂直な平面内に並んで配置されてい
る請求項1〜3の何れか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記可撓体は、実質的に平坦であり、前記駆動エレメントの前記駆動軸に対して垂直に
延び出している請求項1〜4の何れか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記可撓体は、実質的に同一平面とされている請求項4に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記フレームは、実質的に剛性を有している請求項1〜6の何れか1項に記載の駆動ユ
ニット。
【請求項8】
前記フレームは、前記可撓体と一体である請求項1〜7の何れか1項に記載の駆動ユニ
ット。
【請求項9】
各前記可撓体は、前記可撓体の撓みを検知するための歪みゲージに結合されている請求
項1〜8の何れか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記駆動エレメントを駆動するための複数のモータと、前記駆動エレメントおよび前記
モータを支持する剛性ハウジングと、を備えており、
前記ハウジングは、前記モータが取り付けられる第1のコンポーネントと、前記駆動エ
レメントが内部で動作可能とされた第2のコンポーネントの、2つのコンポーネントを有
しており、前記ロードセル構造が、前記第1のコンポーネントと前記第2のコンポーネン
トの間に挟まれている請求項1〜9の何れか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記ハウジングの前記第2のコンポーネントは、前記駆動軸の周りの前記駆動エレメン
トの回転を防止するように構成されている請求項10に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
各前記モータと前記リードスクリューの間にスプライン結合を有しており、各前記スプ
ライン結合は、各前記モータと各前記リードスクリュー間の軸方向の遊びを許容するよう
に構成されている請求項2に従属する請求項10または11に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
外科用器具との係合のために配置された請求項1〜12のいずれか1項に記載の駆動ユ
ニットを備えていることを特徴とする外科用ロボット。
【請求項14】
前記駆動ユニットは、前記ロボットの前記アームの先端に配置されている請求項13に
記載の外科用ロボット。
【請求項15】
前記外科用ロボットは、前記駆動ユニットを備える可動性のアームと、前記アームに係
合された外科用器具と、を有しており、前記器具は、前記対応するエレメントを備え、前
記対応するエレメントは、それによって駆動されるように前記駆動エレメントに係合され
ている請求項13または14に記載の外科用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用ロボットアームと外科用器具間の機械的インターフェース内のロードセンシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外科手術を実行するためのロボットアームを設計する際の1つの望ましい特徴は、アームが比較的小さく軽量であることである。これらの特徴は多くの利点を提供する。例えば、手術が行われる前に技術者が容易にアームを特定位置にセットできることや、より多くのアームを手術部位の周りに接近して取り付けることができることや、アームを動かすのに必要な力がかさばった装置よりも少ないことである。特にアームの遠位端におけるサイズおよび重量を低減することが望ましい。器具は通常アームの遠位端に取り付けられることから、このことはアームと器具間のインターフェースのサイズおよび重量を低減することを意味している。
【0003】
ロボット手術用の器具は、ロボットの制御下で動作可能な様々な機械的エレメントを有していてもよい。アーム上に設けられたインターフェースは、その外側に1つ以上の動作可能な機械的エレメントを含んでいてもよい。かかる機械的エレメントは、器具がインターフェース上の所定の位置にある時に、器具上の対応するエレメントと結合されていてもよい。アーム上のかかる動作可能なエレメントは、アーム内のモータまたは他のアクチュエータによって駆動されていてもよいし、かかる動作がインターフェースを介して器具の対応するエレメントに伝達されるようになっていてもよい。このようにして、器具上の機械的エレメントがアームから駆動されるようになっていてもよい。ロボットの制御システムは、器具に対する機械的駆動装置の位置およびかかる駆動装置によって印加された力に関するフィードバックを受信できることが望ましい。これを行うための1つの方法は、アームと器具間のインターフェース上に1つ以上の力センサを設けることである。
【0004】
このようなセンサを設けることの困難さは、第一にアームの大型化を回避するために小型で軽量でなければならないことである。しかも手術時に加わる力は比較的小さい場合があることから、かかるセンサは相対的に敏感で正確なものでなければならない。このことは、センサの慎重な設計を必要とする。加えて、複数のセンサが複数の力の経路上にある力を検知するように設けられている時には、1つの経路上の力が別の経路上の測定に影響を及ぼさないように配置されていることが望ましい。
【0005】
図1は、外科用アームの器具駆動装置内における力を感知することが可能な配置の1つを示したものである。モータ1がリードスクリュー2をその軸周りに回転させることができるように、リードスクリュー2にはモータ1が取り付けられている。リードスクリュー2のシャフトは、ねじ部3と非ねじ部4を備えている。ベアリング5,6は、シャフトに沿って摺動することができないように、非ねじ部4に接着されている。フォロワーナット8は、リードスクリュー2に螺合されている。フォロワーナット8は、例えば外科用アームの外壁に形成されたスロット内で動作している間は、モータ1によってリードスクリュー2が回転させられた際に回転することができないように動作が制限されている。その結果として、モータ1を用いてリードスクリュー2を回転させることは、フォロワーナット8をリードスクリュー2の軸に沿って並進移動させることになる。フォロワーナット8は、器具が外科用アームに固定された際に器具の一部分の駆動を可能とするために、器具上の対応する構造と嵌合可能な構造9を有している。
【0006】
ロードセル7は、ベアリング5,6間に配置されている。ロードセル7は、
図2にさらに詳細に示されている。ロードセル7は、環状の外側ハウジング10を備えている。膜11は、外側ハウジング10の内部を横切って懸架されている。213,14は、膜11の歪みを感知するように膜11に固定されている。歪みゲージ13,14は、膜11上の歪みを示す電気的出力を提供する。膜11の中心には孔12がある。このタイプのロードセル7は市販されている。例えば、Emsyst社製のEMS 70や、ミュラーインダストリアルエレクトロニック社製のFOWA−1という環状のロードセルがある。これらのロードセルは、ケーブル張力またはボルト圧縮の測定のような用途に用いられている。
【0007】
ロードセル7が
図1の器具駆動装置に取り付けられた際には、リードスクリュー2のシャフトが孔12を挿通した状態で、膜11がベアリング5,6の間に挟持される。外側ハウジング10は、ロボットアームの本体に取り付けられている。このようにして、リードスクリュー2は、ロードセル7によってロボットアームの本体から少なくとも部分的に支持されている。リードスクリュー2の軸に沿って器具から力が印加された場合には、かかる力は、構造9を通してフォロワーナット8に伝えられる。リードスクリュー2のねじ山のピッチは、軸方向の力がリードスクリュー2を回転させないようになっている。その代わりに、かかる力は、リードスクリュー2と共に長手方向に対して固定されているベアリング5,6によってロードセル7の膜11に伝達される。かかる力は、歪みゲージ13,14によって検出されるようになっていてもよい。このことは、器具によって印加される力の指標を提供する。
【0008】
より複雑な器具における全ての動作を可能とするために、ロボットアームは、多くのこのような器具駆動装置を有していてもよい。
図1に示すように、ロードセル7は、器具駆動装置の最も半径方向に張り出した部分にあってもよい。これにより、ロードセル7のパッケージを改善することにより、アームと器具間のインターフェースのコンパクト化に貢献することができる。インターフェースが、
図1に示すタイプの複数の駆動装置を有する場合には、それらを効率的にパッケージする1つの方法は、各駆動装置のロードセル7が、隣接する駆動装置のロードセル7から長手方向にオフセットされるように駆動装置を互い違いに配置することである。しかしながら、これの欠点は、器具駆動装置の全体的な長さを増大させる傾向があることである。
【0009】
外科用ロボットアーム用としては、改善された駆動装置が必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、ロボットアームから器具に駆動を提供するための駆動ユニットであって、かかる駆動ユニットは、前記器具の対応するエレメントと係合される複数の駆動エレメントを備えている一方、各前記駆動エレメントは駆動軸に沿って動作可能とされかつ各前記駆動エレメントの前記駆動軸は互いに実質的に平行とされており、前記駆動軸が平行とされた前記駆動エレメントのロードセンシングのために前記駆動エレメントに結合された複数の可撓体と、
各前記可撓体を、他の前記可撓体に印加されるロードから隔離するように
、前記
複数の可撓体を支持する一体部材からなるフレームと、を含むロードセル構造を備えている、ことを特徴とする。
【0011】
駆動ユニットは、複数のリードスクリューを備えていてもよく、各駆動エレメントは、リードスクリューのそれぞれ1つと螺合するように構成されていてもよい。フレームが一組のアパーチャを画定していてもよいし、リードスクリューがアパーチャを貫通して延び出していてもよいし、可撓体がフレームからリードスクリューまでアパーチャを横切って延び出していてもよい。
【0012】
各可撓体は、各リードスクリューが各可撓体に関してその長手方向の軸回りに自由に回転できるように構成されている、少なくとも1つのベアリングを介して各リードスクリューに結合されていてもよい。
【0013】
フレームは、アームの残りの部分に関連する駆動エレメントを駆動させるためのリードスクリューあるいは他のアクチュエータに対してほぼ垂直に延在していてもよい。可撓体は、少なくともそれらが変形されていない状態においては、フレームの周囲に置かれていてもよい。
【0014】
可撓体は、駆動エレメントの駆動軸に垂直な平面内に並んで配置されていてもよい。
【0015】
可撓体は、実質的に平坦であってもよい。可撓体は、駆動エレメントの駆動軸に対して垂直に延び出していてもよい。
【0016】
可撓体は、実質的に同一平面とされていてもよい。
【0017】
フレームは、実質的に剛性を有していてもよい。フレームは、各可撓体を他の可撓体の動きから隔離するように構成されていてもよい。
【0018】
フレームは、可撓体と一体であってもよい。
【0019】
各可撓体は、可撓体の撓みを検知するための1つ以上の歪みゲージに結合されていてもよい。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、上記のように設定された駆動ユニットは、前記駆動エレメントを駆動するための複数のモータと、前記駆動エレメントおよび前記モータを支持する剛性ハウジングと、を備えており、前記ハウジングは、前記モータが取り付けられる第1のコンポーネントと、前記駆動エレメントが内部で動作可能とされた第2のコンポーネントの、2つのコンポーネントを有しており、前記ロードセル構造が、前記第1のコンポーネントと前記第2のコンポーネントの間に挟まれている。
【0021】
ハウジングの第2のコンポーネントは、駆動軸の周りの駆動エレメントの回転を防止するように構成されていてもよい。
【0022】
各モータとリードスクリューの間にスプライン結合を有していてもよく、各スプライン結合は、各モータと各リードスクリュー間の軸方向の遊びを許容するように構成されていてもよい。スプライン結合は、オルダム結合であってもよい。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、外科用ロボットは、実質的に上記のように設定された駆動ユニットを備えている。
【0024】
前記外科用ロボットは、前記駆動ユニットを備える可動性のアームと、前記アームに係合された外科用器具と、を有していてもよく、前記器具は、前記対応するエレメントを備え、前記対応するエレメントは、それによって駆動されるように前記駆動エレメントに係合されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明を、添付図面を参照して説明する。
【
図2】外科用ロボットアームのロードセルを示す図。
【
図4】
図3の外科用アームの器具マウントを示す図。
【
図5】
図4の器具マウントに取り付けられた器具を示す図。
【
図7】
図4の器具マウントの駆動機構を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に説明する外科用アームにおいては、動作が、アームからアームに取り付けられた器具のパーツに伝達されている。動作を伝達するために、アーム上の可動部材は、器具上の部材と機械的に連結されている。アーム上の部材は、アーム内のモータによって直線的に動作可能である。器具上の部材は、器具のエレメントを動かすことができるジョイントに動作的に結合されている。アーム上の部材は、1組の平行なリードスクリュー,ピストンまたは他のリニアアクチュエータによって駆動される。複数のアクチュエータが、共通のロードセルユニットに取り付けられている。ロードセルユニットは、複数のアクチュエータの全てに対してロードセンシングを提供する一体型エレメントである。ロードセルユニットは、1組のセンサ構造体と、これらのアクチュエータの1つと、センサ構造体を互いに接合すると共に各センサ構造体を他のセンサ構造体から機械的に分離する単一の隔離壁と、を含んでいる。隔離壁は、リニアアクチュエータの動作に対してほぼ垂直に延び出している。センサ構造体は、隔離壁内にある。今回の方法では、センサ構造体を特にコンパクトにすることができる。
【0027】
図3に、外科用ロボットのアームを示す。アームは、患者に外科手術を行うための手術台近くの適切な位置に配置することができるベース20を有している。アームは、その長さ方向沿いに複数の剛性の部材または部位21,22,23と、アームの遠位端26を所望の位置に位置決めするために剛性の部材を互いに相対的に動かすことを可能にする複数のジョイント24,25と、を有している。アームの遠位部位が23とされており、次の最遠位部位が22とされている。器具は、
図5に示すように、アームの遠位端に取り付けられ得る。今回の例では、器具は、細長いシャフト28の遠位端にエンドエフェクタ27を備えている。使用時には、器具を患者の身体内に通すことができ、エンドエフェクタ27を用いて外科手術を実行することができる。外科医は、外科用ロボットとエンドエフェクタ27のジョイントを、アームのジョイントおよびアームと器具間のインターフェース内に設けられたモータおよび位置・力センサに通信可能に連結された操作ステーションから操作することができる。
【0028】
図4に、アームの遠位端26をより詳細に示す。アームの末端部材23は、リストジョイント25によってアームの最後から2番目の部材22に取り付けられている。今回の例では、リストジョイント25は単純な回転ジョイントであるが、例えば本発明者らの同時係属出願PCT/GB2014/053523に記載されているような、より複雑な構成とすることもできる。末端部材23は、器具をアームに取り付けることができるインターフェースを規定している。インターフェースは、U字断面形状のチャンネル29を含んでいる(
図6参照)。チャンネル29は、外科用器具の近位端と嵌合するように構成されている。複数の駆動タブ30がチャンネル29内に突出している。各駆動タブ30は、アームの外壁内のそれぞれの窓31を貫通して延びている。これらの窓31は互いに平行である。窓31の延長方向は、アームの遠位先端の方を向いている。アームの外壁の内側には、各駆動タブ30に対して駆動機構が設けられており、かかる駆動機構はそれぞれの駆動タブ30をその窓31の長さ方向に沿って駆動できるように構成されている。駆動タブ30は、ツールがインターフェースに取り付けられた時にツール上の対応する駆動エレメントが駆動タブ30と係合するように構成されかつ配置されている。ツール上のこれらのエレメントは、ツール上の動作可能な外部エレメント、例えば
図5のエンドエフェクタ27の顎部またはツールのシャフトが方向を変えることを可能にするジョイント、に連結されている。これにより、ツールがインターフェース上の所定位置に固定されると、ツールの動作可能な外部エレメントがアーム内の駆動機構の操作により動作可能となる。ツール上の各駆動エレメントは、ツールのシャフト内を通る可撓性繊維に取り付けられていてもよく、その際にはそれぞれ動作可能な外部エレメントの1つに結合されている。このようにして、アーム上の駆動タブ30が動かされると、それに結合された駆動エレメントを動かすことになり、その駆動エレメントに結合された可撓性繊維が次々に動かされて、器具の可動コンポーネントを動かすことになる。
【0029】
図6は、アームの遠位端26の端面図である。
図6は、アームの末端部材23の内部に駆動ユニット32があることを示している。駆動ユニット32は、駆動タブ30を動かす駆動機構を備えている。駆動ユニット32は、
図7〜
図9に詳細に示されている。
【0030】
駆動ユニット32は、3つの駆動タブ30を駆動するための3つの独立して操作可能な駆動機構を備えている。以下の説明では、各駆動機構の類似のコンポーネントは、同一の参照番号によって示され、サフィックス“a”、“b”および“c”でもってそれぞれ3つの駆動機構のパーツを識別する。
【0031】
各駆動機構はリードスクリュー40を備えている。リードスクリュー40の一端はエンドベアリング41に支持されている。リードスクリュー40の他端は、リードスクリュー40を電動モータ43に結合するマルチパートモータカプラ42と回転可能に固定されている。今回の例では、カプラ42はオルダムカプラである。カプラ42の一つの目的は、モータ43の回転軸とリードスクリュー40との間の小さな半径方向のオフセットを調整することである。リードスクリュー40の主要部44にはねじが切られている。フォロワーナット45は、ねじ部上を動く。ナット45には雌ねじが切られており、リードスクリュー40と螺合している。リードスクリュー40の両端部46は滑らかである。2つのベアリング47,48が、それらがリードスクリュー40と軸方向に固定されるように滑らかな両端部46に取り付けられている。ベアリング47,48は、接着剤を用いてリードスクリュー40に固定されていてもよいし、リードスクリュー40上の半径方向外方に延びる肩部49と、リードスクリュー40に螺合されたロックナット50との間に挟持されていてもよい。フォロワーナット45は、駆動タブ30を構成する構造51(
図8)を有している。構造51は、外科用器具上の対応する構造と係合して、器具上の構造をリードスクリュー40の軸に沿って前後に動かすように構成されている。
【0032】
エンドベアリング41は、駆動機構の本体ブロック60に支持されている。モータ43は、駆動機構のエンドブロック61に支持されている。本体ブロック60とエンドブロック61とは、エンドブロック61内の滑らかな両端の穴を貫通して本体ブロック60内のねじ孔に挿入されているボルト(図示せず)によって一体に取り付けられている。
【0033】
本体ブロック60とエンドブロック61の間には、複合ロードセルユニット63が挟まれている。複合ロードセルユニット63は、
図9の端部に示されていると共に、
図10において様々な図で示されている。複合ロードセルユニット63は、略剛体のフレームを構成する一体型の本体エレメントと、フレームと一体である一組の幾分かの可撓性を有するウェブ65と、を備えている。フレームは3つの環状リング64a,64b,64cを構成しており、駆動機構に設置されると、それらの壁はリードスクリュー40の軸線と平行に延びている。リング64a,64b,64cは互いに一体化されている。ウェブ65a,65b,65cは、環状リング64a,64b,64cのそれぞれ1つの内部を横切って延びている。各ウェブ65a,65b,65cの中心には、フランジ66a,66b,66cと、スルーホール67a,67b,67cがある。複合ロードセルユニット63が駆動機構に設置されると、リードスクリュー40は各スルーホール67を貫通すると共に、各フランジ66は各ベアリング47,48間に挟持される。ベアリングとロードセルの間にパッキンカップが介在されていてもよい。ベアリング47,48はそれぞれのリードスクリュー40に対して軸方向に固定されていることから、ウェブ65の中央部もまたリードスクリュー40に対して軸方向に取り付けられている。一方、ウェブ65の外側部分は、フレームの本体ブロック60に対してボルト62で保持されている、フレームのそれぞれの環状リング64と一体とされている。
【0034】
歪みゲージ68はウェブ65に結合されている。ウェブ65は薄くて幾分可撓性を有していることから、スルーホール67を貫通するリードスクリュー40によってフランジ66に軸方向の荷重が印加されると、ウェブ65は撓むことができる。かかる撓みは、各リードスクリュー40の軸方向荷重を示す電気的出力を提供する歪みゲージ68によって感知することができる。ウェブ65は実質的に剛性のある環状リング64によって互いに分離されていることから、各リードスクリュー40の荷重を独立して検知することができる。ウェブ65の代わりの撓み可能なエレメントは、指状または梁状であってもよい。ウェブ65間のより厚いおよび/またはより剛性の高い領域はウェブ65間の力の伝播を抑制しており、このことは別の歪みゲージに関連する力経路からの力によってある歪みゲージによる測定が改悪される危険性を低減している。
【0035】
複合ロードセルユニット63のフレームは、3つのリードスクリュー40a,40b,40cのそれぞれ1つに対応する3つのセンサのためのキャリアとして振る舞う。このように単一のキャリアによりこれらを統合することにより、省スペース化を図ることができる。
【0036】
複合ロードセルユニット63のフレームは、全ての3つのロードセルの可撓性エレメント65を支持する単一材料で形成された一体構造である。かかる材料は、例えばアルミニウムのような金属材料であってもよいし、あるいはポリマー材料であってもよい。フレームは、可撓性エレメント65が互いに同一平面内にあるように配置されている。ウェブ65は平坦である。複合ロードセルユニット63は、3つのウェブ65が同一平面になるように配置されている。3つのロードセルが、リードスクリュー40の回転軸を横断する共通平面内に並んで配置されていることから、駆動機構を特にコンパクトにすることができる。さらに、複合ロードセルユニット63が組み立てられて駆動機構の本体ブロック60に一体的に取り付けることができることから、駆動機構を組み立てる作業がより容易になされている。
【0037】
ウェブ65を支持するフレームは、それ自体可撓性を有していてもよい。フレームは駆動機構の本体ブロック60に対してボルト止めされていることから、本体ブロック60がフレームを強化しかつあるウェブ65上のロードを他から隔離することを当てにされてもよい。
【0038】
上述したように、リードスクリューの主要部44は、フォロワーナット45に直線運動を伝達するために、回転駆動されている。ロードセルは、リードスクリュー40の軸方向荷重の測定に影響を与えないようにかかる回転から隔離されていることが望ましい。そのために、各ロードセルに関連する可撓性ウェブ65が、以下のようにして各リードスクリュー40に取り付けられている。可撓性ウェブ65は、その半径方向内側部分において、ウェブ65の可撓性部位よりも厚いリングまたはフランジ66を有している。フランジ66は、2つのベアリング47,48の間に配置されている。リードスクリュー40のシャフトの基端部46がベアリング47,48およびフランジ66を貫通している。ベアリング47,48は、リードスクリュー40の半径方向突起49と、リードスクリュー40に螺合されかつベアリング47,48とフランジ66を一緒にパックするために締結される締結ナット50と、の間に捕捉されることによりフランジ66に対して堅固に固定されている。各ベアリング47,48は、その軸方向の面の一方の他方に対する自由な回転を許容しているが、軸方向に実質的に非圧縮性である。このことは、リードスクリュー40が回転すると、フランジ66とそれゆえウェブ65がかかる回転から隔離されていることを意味している。一方、リードスクリュー40が軸方向に動かされると、その動きは、ウェブ65の変形として測定できるように忠実にフランジ66に伝えられる。ウェブ65がリードスクリュー40の回転運動から実質的に隔離されているという事実は、力測定の精度を向上させる。フランジ66がウェブ65よりも厚いという事実は、ベアリング47,48の隣接する面が共にウェブ65から離間していることを意味している。このことは、ウェブ65がベアリング47,48の面に衝突することなく軸方向に撓むことを許容している。
【0039】
カプラ42は、3つのパーツ90,91,92を備えている(
図8参照)。パーツ90〜92は、各リードスクリュー40の軸方向に沿って略直列に配置されている。パーツ92は、リードスクリュー40に堅固に取り付けられている。パーツ90は、モータ43の出力シャフトに堅固に取り付けられている。パーツ91は、パーツ90とパーツ92の間に位置しており、パーツ90からパーツ92に回転を伝えることができるように両者にスプライン結合されている。パーツ91とパーツ90,92間のスプラインジョイントは、軸方向の遊びを可能とされている。これにより、リードスクリュー40の軸方向の動きがモータ43からの抵抗によって改悪されることを回避しつつ、リードスクリュー40を回転駆動させることができる。また、これにより、測定精度も向上できる。その先端部では、リードスクリュー40がエンドベアリング41の軸方向に摺動自在とされている。スプライン結合における所望の量の軸方向の遊びを維持するために、かかる結合は、パーツ90,91,92間にスペーサを用いて組み立てることができる。一旦残りのパーツが所定位置にセットされたとしても、使用前であればスペーサを除去することができる。カプラ42が3つのパーツ90,91,92を有していてもよく、図示のように、これらの間にスプライン結合を有する2つのパーツまたはそれ以上のパーツを有していてもよい。スプラインは、任意の適切な形状であってよい。例えば、図に示すような放射状の凹凸を有していてもよいし、嵌合部の対応する孔に嵌合するキャスタレーションあるいは軸ピンを有していてもよい。モータの出力シャフトは、リードスクリューのシャフトに対して摺動可能なスプライン結合によって直接連結されていてもよいし、例えば、不規則な筒形状を有する出力シャフトやリードスクリュー内の対応するキー溝に嵌合する出力シャフトによって直接連結されていてもよい。
【0040】
本体ブロック60はナット45を取り囲んでいる一方、器具の対応する構造と係合するための構造51を部分的に取り囲んでいる。本体ブロック60は、ナット45と相互に作用する細長い壁またはリブのような構造および/またはリードスクリュー40が回転された際にそれらが本体ブロック60に対して回転することを防止する構造51を備えていてもよい。
【0041】
図10のロードセルにおいて、ウェブ65はフレームと一体である。別の設計では、ウェブ65/膜は、フレームに取り付けられた別体のコンポーネントで構成されていてもよい。
【0042】
図に示された駆動配置では、駆動は器具に伝達され、負荷はリードスクリュー40によって器具からロードセルに伝えられる。駆動および負荷を伝達するために、他の手法を用いてもよい。例えば、ウェブ65の面に平行な軸周りに回転するピニオンを有するモータがウェブ65に取り付けられていてもよいし、フランジ66を有するスルーホール67を貫通するボルトによって伝達してもよい。モータのピニオンは、器具上のラックまたは他のギアに係合されていてもよい。
【0043】
上述したように、駆動機構は、ロボットのアームに取り付けることができる、好ましくは、器具に機械的駆動インターフェースを提供するためにロボットの遠位部位に取り付けられていることが好ましい。ロボットは、外科用ロボットであってもよい。器具は、外科用器具であってもよい。例えば、器具は、切断、把持、撮像または照射ツールであってもよい。
【0044】
出願人はこれによって、ここに記載の分離した各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示している。なお、そのような特徴または特徴の組合せが本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。