特許第6720223号(P6720223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6720223射出成形されたノイズ低減アセンブリおよび展開システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720223
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】射出成形されたノイズ低減アセンブリおよび展開システム
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/172 20060101AFI20200629BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   G10K11/172
   G10K11/16 100
   G10K11/16 110
【請求項の数】27
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-565769(P2017-565769)
(86)(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公表番号】特表2018-519544(P2018-519544A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016038096
(87)【国際公開番号】WO2016205661
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】62/181,374
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516084767
【氏名又は名称】ウォクナー、マーク、エス.
(73)【特許権者】
【識別番号】516200390
【氏名又は名称】マックニーズ、アンドリュー
(73)【特許権者】
【識別番号】516084756
【氏名又は名称】リー、ケヴィン、エム.
(73)【特許権者】
【識別番号】516084745
【氏名又は名称】ウィルソン、プレストン
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウォクナー、マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】マックニーズ、アンドリュー アール.
(72)【発明者】
【氏名】リー、ケヴィン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、プレストン エス.
【審査官】 鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−538600(JP,A)
【文献】 特開平05−019774(JP,A)
【文献】 特開平02−061699(JP,A)
【文献】 特開平11−172906(JP,A)
【文献】 特開2012−014061(JP,A)
【文献】 特開2007−186186(JP,A)
【文献】 特開平05−092441(JP,A)
【文献】 特表2015−521556(JP,A)
【文献】 特開昭53−005819(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0191987(US,A1)
【文献】 特開平09−189083(JP,A)
【文献】 特開平08−239949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16−11/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中の音源からの音響エネルギーを減衰する共振器であって、前記共振器は、
互いに平行な第一の平面と第二の平面とを有する基部と、
中空本体部であって、
前記基部の前記第二の平面に垂直な断面において、第一の端部と、第二の端部と、当該第一および第二の端部との間の側壁とを有し、
前記第二の端部は前記基部の前記第二の平面に一体的に連結され、
前記中空本体部は前記第一の端部に画定された開口部を有し、
前記開口部は前記第一の端部から前記第二の端部へと延び、前記中空本体部中の容積を画定するものであり、
前記中空本体部は前記共振器が前記液体中に配置され、前記開口部が重力方向に向けられたとき、前記容積中に気体を保持するように構成されているものである、
前記中空本体部と
を有する共振器。
【請求項2】
請求項1記載の共振器において、前記中空本体部は第一の部分と第二の部分とを有し、前記第一の部分は前記第一の端部に近接して配置され、前記第二の部分は前記第二の端部に近接して配置され、前記第一の部分は前記第二の部分よりも狭いものである共振器。
【請求項3】
請求項1記載の共振器において、前記基部と前記中空本体部は射出成形されるものである共振器。
【請求項4】
請求項3記載の共振器において、前記基部と前記中空本体部は同一材料で形成されるものである共振器。
【請求項5】
請求項3記載の共振器において、前記中空本体部はバルーン形状である共振器。
【請求項6】
請求項3記載の共振器において、前記中空本体部はキノコ形状である共振器。
【請求項7】
請求項記載の共振器において、前記第一の部分の幅の割合および前記第二の部分の幅の割合は、前記共振器のが前記液体中において展開される深度に基づいて選択されるものである共振器。
【請求項8】
請求項7記載の共振器において、前記割合は前記深度において前記容積に所望の体積の前記液体が流入するように選択されるものである共振器。
【請求項9】
請求項8記載の共振器において、前記共振器は少なくとも一部が前記所望の体積の液体に基づく音響周波数を有するものである共振器。
【請求項10】
液体中の音源からの音響エネルギーを減衰する装置であって、前記装置は、
互いに平行な第一の平面と第二の平面とを有する基部と、
複数の中空本体部であって、
前記複数の中空本体部の各々は、前記基部の前記第二の平面に垂直な断面において、第一の端部と、第二の端部と、当該第一および第二の端部との間の側壁とを有し、
前記第二の端部は前記基部の前記第二の平面に一体的に連結され、
前記中空本体部は前記第一の端部に画定された開口部を有し、
前記開口部は前記第一の端部から前記第二の端部へと延び、前記中空本体部中の容積を画定するものであり、
前記中空本体部は前記共振器が前記液体中に配置され、前記開口部が重力方向に向けられたとき、前記容積中に気体を保持するよう構成されているものである、
前記複数の中空本体部と、
前記基部に画定され、少なくともいくつかの前記中空本体部の間に配置される複数の孔部と
を有する装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記孔部は装置が前記液体中に沈められたときに気泡が通過するように構成されており、それにより、前記装置の浮力を減少させるものである装置。
【請求項12】
請求項10記載の装置において、前記共振器は複数の列および行を有するアレイ中に配列されるものである装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、少なくともいくつかの前記共振器は前記列または行からオフセットされているものである装置。
【請求項14】
請求項12記載の装置において、前記共振器は第一の形状を有する第一の共振器と第二の形状を有する第二の共振器とを含み、前記第一の形状は前記第二の形状とは異なるものである装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、前記第一および第二の共振器は前記アレイ内にランダムに分布しているものである装置。
【請求項16】
請求項12記載の装置において、前記共振器は第一の高さを有する第一の共振器と、第二の高さを有する第二の共振器とを有するものである装置。
【請求項17】
請求項12記載の装置において、隣接する共振器間の距離は前記アレイにわたって変化するものである装置。
【請求項18】
請求項12記載の装置において、前記距離は前記アレイにわたってランダムに分布しているものである装置。
【請求項19】
ノイズ低減システムであって、
複数の折り畳み式フレームと、
各折り畳み式フレーム内に画定された開口部に挿通されたチェーンであって、前記複数の折り畳み式フレームを機械的に連結および支持するものである、前記チェーンと、
複数の細長いチェーンガード部であって、
各前記チェーンガード部は前記フレームの前記開口部に近接する位置に枢動自在に連結され、
各前記チェーンガード部はその長さに沿って凹部が画定された本体部を有し、それにより、少なくとも部分的に前記チェーンを受け入れるものであり、
各前記チェーンガード部は、(a)当該チェーンガード部の長さが対応する前記フレームに垂直である開状態から、(b)当該チェーンガード部の長さが対応する前記フレームに平行である閉状態まで枢動するように構成されているものである、
前記チェーンガード部と、
各前記フレーム上に配置された複数の共振器であって、各共振器は、開放端部と、閉鎖端部と、当該開放端部および閉鎖端部との間の側壁をと有する中空本体部を含み、前記閉鎖端部は前記対応するフレームに配置された基部の第一の平面に一体的に連結されるものである、前記複数の共振器と
を有するシステム。
【請求項20】
請求項19記載のシステムにおいて、前記中空本体部は、前記開放端部に画定され、前記開放端部から前記閉鎖端部まで延びる開口部を有し、前記開口部は前記中空本体部中の容積を画定するものであり、前記中空本体部は、前記共振器が液体中に沈められ、前記開口部が重力方向に向けられたとき、前記容積中に気体を保持するように構成されているものである、システム。
【請求項21】
請求項19記載のシステムにおいて、前記中空本体部は第一の部分と第二の部分とを有し、前記第一の部分は前記開放端部に近接して配置され、前記第二の部分は前記閉鎖端部に近接して配置され、前記第一の部分は前記第二の部分よりも狭いものであるシステム。
【請求項22】
請求項19記載のシステムにおいて、前記共振器は少なくとも一つのフレーム上において不規則に離間されているものであるシステム。
【請求項23】
請求項19記載のシステムにおいて、前記共振器は複数の形状および/または大きさを有するものであるシステム。
【請求項24】
請求項23記載のシステムにおいて、前記複数の形状および/または大きさは少なくとも一つのフレームにおいてランダムに分布しているものであるシステム。
【請求項25】
請求項19記載のシステムにおいて、前記システムは展開形態から格納形態へと折り畳まれるように構成されており、前記展開形態において前記フレームは拡張位置にあり、それにより前記フレームは格納状態にあるときよりも互いに離間して配置されるものであり、前記格納形態において前記フレームは収縮位置にあり、それにより前記共振器は展開状態にあるときよりも互いに接近して配置されるものであるシステム。
【請求項26】
請求項25記載のシステムにおいて、前記チェーンガイド部は前記システムが前記展開形態にあるときに開状態にあり、前記チェーンガード部は前記システムが前記格納形態であるときに前記閉状態にあるものであるシステム。
【請求項27】
請求項19記載のシステムにおいて、複数の孔部が前記基部に画定され、前記孔部は少なくともいくつかの前記共振器の間に配置されるものであるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は航海船、鉱物や石油掘削作業、および海洋建設および解体からのノイズなどからの、水中放音のためのノイズ低減装置に関するものである。
【0002】
本願は、2015年6月18付で提出された米国特許仮出願第62/181374、「Injection Molded Noise Abatement Assembly and Deployment System」の優先権を主張するものであり、この引用によってその全体を本願の一部とするものである。
【背景技術】
【0003】
多くの水中ノイズ低減装置が提案されてきた。いくつかは水中ノイズ源若しくはその近傍を取り囲みまたは当該水中ノイズ源若しくはその近傍に展開される形状因子中で実施される。「Device for damping and scattering hydrosound in a liquid」と題する米国特許出願公開第2011/0031062号は、複数の浮揚性気体筐体(空気を含むバルーン)が固い水中フレームに繋がれており、それが当該気体筐体の大きさによって定められた周波数範囲において水中ノイズを吸収することが記載されている。「Underwater Noise Reduction System Using Open−Ended Resonator Assembly and Deployment Apparatus」と題される、米国特許出願公開第2015/0170631号には、水中ノイズ環境においてそこからのノイズを減衰するために展開される、浸漬可能な開口端を有する共振器システムが開示されている。これらおよびこれらに関する出願および書類は引用によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0004】
水中ノイズ低減システムは人口ノイズを、その環境への影響を減らすために低減するためのものである。海上工事のための杭打ち、石油およびガス掘削台、および航海船などが望ましくなく低減されるべきノイズの例である。しかしながら、水中ノイズ低減システムの設置、展開および梱包は、これらの装置は一般的に巨大で収容や展開に手間がかかるため、困難なものである。
【0005】
さらに、現行のノイズ低減システムはゴム、プラスチックおよび/または金属の複合材料を使用している。均一でない材料から作られたシステムは一つの材料で製造されたシステムに比べて製造のコストがかかってしまう。
【0006】
本出願は水中ノイズ低減装置およびシステムおよびそのような装置を保管および展開する方法に関するものである。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第5,587,564号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2015/0083520号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2013/0299274号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2013/0001010号明細書
(特許文献5) 米国特許第3,022,632号明細書
(特許文献6) 米国特許第5,457,291号明細書
(特許文献7) 米国特許出願公開第2012/0324641号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) WOCHNER et al.,"Attenuation of low frequency underwater noise using arrays of air−filled resonators."Inter−noise 2014(2014),pg 1−2[online]URL=<https://www.acoustics.asn.au/conference_proceedings/INTERNOISE2014/papers/p595.pdf>
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで描写される例示的な実施形態は革新的な特徴を有するが、所望の特性のためにそれらのうちの各自が不可欠またはそれのみで必要ではない。以下の説明および図は本開示の特定の例示的実施形態を詳細に示すが、これは数多く存在する本開示の様々な原理を実施する数多くの例示的方法を表しているものである。上記例示的実施形態は、しかしながら、本開示の数多くの可能な実施形態を限定するものではない。特許請求の範囲を限定することなく、いくつかの有利な特徴がここで要約される。以下の発明を実施するための形態において図と共に扱われたとき本開示における他の物体や、有効で新規の特徴であるものが説明されるが、これらは本発明の描写のためのものであって限定するためのものではない。
【0008】
一観点において、本発明は液体中の音源からの音響エネルギーを減衰する共振器を対象とする。前記共振器は、互いに平行な第一の平面と第二の平面とを有する基部を含む。前記共振器はまた、前記基部の第二の平面に垂直な断面において、第一の端部と、第二の端部と、当該第一および第二の端部との間の側壁とを有する中空本体部を含み、前記第二の端部は前記基部の第二の平面に一体的に連結され、前記中空本体部は前記第一の端部に画定された開口部を有し、前記開口部は前記第一の端部から前記第二の端部へと延び、前記中空本体部内の容積を画定するものであり、前記中空本体部は前記共振器が前記液体中に配置され、前記開口部が重力方向に向けられたとき、前記容積中に気体を保持するように構成されている。
【0009】
別の観点において、本発明は液体中の音源からの音響エネルギーを減衰する装置を対象とする。前記装置は、互いに平行な第一の平面と第二の平面とを有する基部を含む。前記装置はまた、複数の中空本体部を含み、前記複数の中空本体部の各々は、前記基部の前記第二の平面に垂直な断面において、第一の端部と、第二の端部と、当該第一および第二の端部との間の側壁とを有し、前記第二の端部は前記基部の前記第二の平面に一体的に連結され、前記中空本体部は前記第一の端部に画定された開口部を有し、前記開口部は前記第一の端部から前記第二の端部へと延び、前記開口部は前記中空本体部中の容積を画定するものであり、前記中空本体部は前記共振器が前記液体中に配置され、前記開口部が重力方向に向けられたとき、前記容積中に液体を保持するように構成される。前記装置はまた前記基部に画定される複数の孔部を含み、前記孔部は少なくともいくつかの前記中空本体部間に配置される。
【0010】
別の観点において、本発明はノイズ低減システムを対象とする。前記システムは複数の折り畳み式フレームを含む。前記システムはまた各折り畳み式フレーム内に画定された開口部に挿通されたチェーンを含み、前記チェーンは前記折り畳み式フレームを機械的に連結および支持する。前記システムはまた複数の細長いチェーンガード部を含み、各前記チェーンガード部は前記フレームの前記開口部に近接する位置に枢動自在に連結され、各前記チェーンガード部はその長さに沿って凹部が画定された本体部を有し、それにより、少なくとも部分的に前記チェーンが受け入れるものであり、各前記チェーンガード部は、(a)当該チェーンガード部の長さが対応する前記フレームに垂直である開状態から、(b)当該チェーンガード部の長さが対応するフレームに平行である閉状態まで枢動するように構成される。前記システムはまた各前記フレームに配置される複数の共振器を含み、各共振器は開放端部と、閉鎖端部と、当該開放端部および閉鎖端部との間の側壁とを有する中空本体部を含み、前記閉鎖端部は前記対応するフレームに配置された基部の第一の平面に一体的に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本概念の特質および利点のより十分な理解のために、公的な実施形態に関する下記の詳細な説明を、添付の図面と共に参照する。
図1図1は、一つの実施形態に従った水中ノイズ低減装置を示す。
図2図2は、一つの実施形態に従った前記装置上に折りたたまれたまたは格納形態の共振器上のパネルの例を示す。
図3図3は、図1の装置上に配置されることが出来る音響共振器の例を示すs。
図4図4は、一つの実施形態に従ったパネル中の複数行の共振器の透視図を示す。
図5図5は、図4に示されるチェーンおよび引き延ばされた支持体の拡大図を示す。
図6図6は、部分的に折りたたまれたまたは部分的に格納された状態のチェーンおよびチェーンガイド部の拡大図を示す。
図7図7は、チェーンおよびチェーンガイド部の斜視図である。
図8図8は、共振器の一般的な行に配置された図7に示したチェーンガイド部の上面図である。
図9図9は、展開形態の複数のパネルの透視図を示す。
図10図10は、格納形態のパネルの透視図を示す。
図11図11は、周期的配列における共振器の一配列の透視図を示す。
図12図12は、ランダムまたは非周期的配列における共振器の一配列の透視図を示す。
図13図13は、一つの実施形態に従った共振器の一配列の平面図を示す。
図14図14は、図13に示される配列を前記基部の逆側から見た図である。
図15図15は、バルーン形の断面図を有する共振器を示す。
図16図16は、きのこ形の断面図を有する共振器を示す。
図17図17は、図15および16で示された共振器よりも第一の末端における断面がより幅広い共振器を示す。
図18図18は、第二の末端における断面幅よりも第一の末端における断面幅が大きい共振器を示す。
図19図19は、共振器の簡易化された描写を示す。
図20図20は、共振周波数と共振器の展開深度の関係の数学的モデルと実験データの比較を示すグラフである。
図21図21は、ランダム共振器アセンブリと周期的共振器アセンブリの試作品を示す。
図22図22は、前記ランダムと周期的共振器アセンブリの試験において測定した減音の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は一つの実施形態に従う水中ノイズ低減装置100を示す。前記ノイズ低減装置100は掘削台、船舶、またはその他の機器などのノイズ発生事象や物の周りまたは近傍の水体中に下ろすことが出来る。ノイズ低減装置100の縦に展開されたパネル上の複数の共振器125は、共振して音エネルギーをを吸収し、それによってノイズ発生事象若しくは物の場所から出る前記放出された音エネルギーを低減する。前記共振器125は、いくつかの実施形態において、空気、窒素、アルゴンまたはこれらの組み合わせなどの気体を保持する空洞部を含む。例えば、共振器125は「水中ノイズ低減パネルおよび共振器構造」と題する米国特許出願第14/494,700号に開示される種類の共振器であってよく、この参照によりそれを本明細書に組み込むものとする。いくつかの実施形態において、共振器102は2または3次元配列で配列される。前記共振器は125は行110に配列してもよく、各行は隣接する行に複数の綱120によって連結される。
【0013】
前記装置100は騒音を出す航海船の後ろに牽引することが出来る。いくつかのこのような装置は、その船からの水中ノイズ放出を減らすシステム内に組み込まれてよい。また、このようなシステムは採掘または掘削リグの1若しくはそれ以上の面の周りに組み立てられることが可能である。
【0014】
ノイズ低減装置100は、例えばその参照によって本明細書に組み込まれるものである「水中ノイズ低減装置および展開システム」と題された2015年1月6日に出願された米国特許出願第14/590,177号に記載されているように拡張自在、且つ、展開自在であってよい。前記共振器パネルの各行を連結する1若しくはそれ以上の綱は上げたり下げたりすることが可能であり、これによって前記パネルが、ベネチアンブラインドのように、縦に折りたたまれる。折りたたまれた、または格納形態のパネル200の例が図2に示される。
【0015】
図3は装置100に配置されることが出来る音響共振器325の例を示すものである。前記共振器325は図中において第一の流体がAで表され、第二の流体がBで表される二流体環境で使用されることが出来る。説明のみを目的として、前記二流体環境は気液環境であることが可能である。より具体的な例示的実施形態では、前記液体330は水であり前記気体は空気である。例えば、前記第一の流体Aは海水であり第二の流体Bは空気であることが可能である。
【0016】
共振器325の一実施形態は流体Bの主容積315が中に含まれる外部本体またはシェル310を有する。前記本体310は実質的に球形、円筒形、または球根状であってもよい。一末端部近傍のテーパ部312は前記本体310の壁を狭窄ネック部314までつながっている。前記ネック部314は前記流体AおよびBを二流体境界面320におけるネック部314中まはたはその近傍で互いに流体連通を起こすような開放部を提供す開口部316を有する。動作時には、流体A中にある前記共振器325外部に存在する圧力振動(音響ノイズ)が前記共振器のネック部またはその近傍にて感知される。膨張、収縮、圧力変動および他の流体力学的変数が前記流体境界面を点線322にて示される前記ネック部314の領域内周辺で動かす。
【0017】
図3の共振器は前記共振器は、ヘルムホルツ共振器の振動によって前記共振器325の近辺において音エネルギーを低減させるように構成され、これは流体AおよびBの組成そして前記ネック部314における前記流体Bおよび/またはAに対する第二の流体Bの体積、開放部216の断面積、およびその他の要素など多くの要素に依存する。
【0018】
図4は一つの実施形態に従ったパネル400中の複数行410にわたる共振器425の斜視図を示す。各行410は、第一のチェーン430および第二のチェーン440によって隣接する行に連結されている。前記チェーン430、440は前記行の平面に対して縦または直交の状態から前記行に対して水平または平行の状態へ折りたたみおよび/または旋回できるチェーンガイド部450に各自機械的に連結されている。行410'に接続された前記チェーンガイド部450は部分的に展開(または折りたたまれた)形態である。前記チェーンガイド部450は硬質プラスティックまたは金属(例えば、耐腐食性金属)から作製されることが出来る細長支持構造であることが出来る。
【0019】
図5は上で説明された前記チェーンおよび細長支持構造の拡大図500を示す。図示されるように、前記チェーン530、540は機械的にそれぞれのガイド部550に連結されている。各ガイド部550は平面560からそれぞれのチェーン530、540に向かって延びる2つの側壁562、564を持つ平面560を有する。前記側壁562、564はまた前記細長支持構造350が前記行510に対して縦向きのとき、前記行510の近位末端部515に向かって延びている。前記側壁は前記チェーン330、340を受け入れるための凹部570を画成する。前記凹部570は、前記チェーンの幅が完全に前記凹部570内に配置されるよう、前記チェーンの幅よりも大きいまたは同等の深度を有することが出来る。
【0020】
前記ガイド部550が水平/格納された状態であるとき(つまり、前記ガイド部550長さ方向が前記行510によって画定される平面に平行であるとき)、前記ガイド部を受け入れるための凹部または開放部575が画定される。前記行の凹部/解放部575は、前記行510の深さにわたって部分的にまたは完全に(例えば、孔部)広がることが出来る。いくつかの実施形態では、前記凹部/解放部575は前記行の幅にわたって広がる。いくつかの実施形態では、前記凹部/解放部575は実質的に前記ガイド部550の形状と一致する。前記凹部/解放部575は前記ガイド部550を水平または格納された状態で完全に受け入れられる深さを持つことが出来る。
【0021】
図6は、部分的に折りたたまれたまたは部分的に格納された状態のチェーン630およびチェーンガイド部650の拡大図600を示す。前記チェーンガイド部650はチェーンガイド部装置660上に配置される。この装置660は、例えば前記装置660を前記ガイド部650の末端に枢動的に連結する旋回点670において、前記ガイド部650がその上に取付けられる構造を含む。前記装置660は前記ガイド部650の深さと同等またはより大きい高さ665を有することが出来、これにより前記装置660中の凹部680がガイド部650をその水平または格納された状態で完全に受け入れることが出来る。前記装置660は、上で説明したように、例えば前記装置660を受け入れるために前記行中に画定された開口部または孔部中になど、共振器パネルの行上に配置することが出来る。
【0022】
図7は、上で説明されたチェーン630およびガイド部650の斜視図700を示す。図示されるように、前記ガイド部650は水平状態または格納された状態まで枢動される。前記水平状態において、前記ガイド部650は前記装置660の凹部680内に配置される。前記装置660が共振器パネルの行中の凹部に完全に配置されると、上述したように、前記ガイド部650は前記行によって定められる平面中に横たわることになる。前記ガイド部650を受け入れる前記凹部680により、例えば前記ガイド部350が複数の行を有するパネルにおいて展開されたときなど、折りたたまれた/格納された状態でよりコンパクトな形態が可能となる。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記チェーン7630は前記ガイド部650の内側または非露出面上に(すなわち、ガイド部650が水平位置にあるときにガイド部650の前記凹部680に面するガイド部650の表面上に)配置される。いくつかの実施形態では、一つのチェーンが前記ガイド部650の露出面上に配置され、他方のチェーンは前記ガイド部650の内側/非露出面上に配置される。
【0024】
図8は、共振器820の典型的な行810に配置されたチェーンガイド部650の上面図800である。前記チェーン630は図示されるような折りたたまれたまたは格納形態で前記ガイド部650の露出面に配置される。
【0025】
図9は、展開形態の複数のパネル900の斜視図である。各パネル900は、上で説明したようなチェーンおよびガイド部を有する行を含む。
【0026】
図10は、格納形態のパネル1000の斜視図である。図示されるように、前記パネル1000は、上で説明した枢動自在/回転自在なガイド部によって非常にコンパクトに格納することが出来る。
【0027】
図11は、共振器1100のアレイ1100の斜視図である。前記共振器1100は平面基部1120上に配置される。前記共振器1100は円筒形であり前記基部1120から延びている。開口部1130は前記共振器の基部1120と反対側の末端に画定される。前記アレイ1100は、複数の行1115および列1125の共振器を含む。しかしながら、前記共振器1100は、上で説明したように不規則な間隔および/または不規則な行1115および列1125など、他の形態で配置されることも出来る。
【0028】
動作中は、前記共振器1100の開口部1130が重力方向に向かって面するように(つまり、海底に向かって)前記共振器のアレイ1100は海中で(または他の水体中で)展開される。このような展開により前記開口部1130と前記基部1120の間に空気が閉じ込められ、共振体が形成される。
【0029】
前記共振器1100は、例えば、熱可塑性材料を用いて射出成形によって製造されることが出来る。同様の製造工程(例えば、液体射出成形、反応射出成形など)が考慮され、本開示に含まれるものとする。射出成形の工程において、前記共振器1100は前記基部に一体的に連結してもよい。前記共振器1100と基部1120は、上で述べたような熱可塑性材料など、同じ材料で形成されてもよい。前記共振器1100を射出成形(または同様の/同等の工程)を用いて製造することにより、前記共振器1100の形状、位置合わせ、向き、間隔、大きさなどを所望に応じて変更することが可能である。
【0030】
例えば、前記アレイ1100は、前記共振器アレイの音響減衰を高めるために異なる大きさおよび/または形状を有する共振器1100を含むことが出来る。例えば、いくつかの共振器は円形の断面を有し、他の共振器は長方形の断面を有することが出来る。追加的にまたは代替的に、いくつかの共振器は第一の開口部の大きさ(例えば、狭い開口部)を有し、他の共振器は第二の開口部の大きさ(例えば、広い開口部)を有することが可能である。追加的にまたは代替的に、いくつかの共振器は第一の高さおよび/または第一の壁厚を有する第一の本体を有し、他の共振器は第二の高さおよび/または第二の壁厚を有する第二の本体を有することが可能である。そのような大きさおよび/または形状はアレイにわたって規則的にまたは不規則に分布させるころが出来る。追加的にまたは代替的に、隣接する共振器間の間隔は規則的でも不規則であってもよい。追加的にまたは代替的に、ある行1115および/または列1125中の共振器の並び方は規則的または不規則であり得ることが出来、このようなアレイ1200を図12に示す。
【0031】
図13は、一つの実施形態に従った共振器1310のアレイ1300の平面図である。図示されるように、前記共振器1310は不規則に間隔を空けられまたはオフセットされているので、すべての共振器が完全に行1315または列1325内に整列しているわけではない。代わりに、前記共振器1310の少なくともいくつかの間隔は、正または負にオフセットされているので、いくつかの共振器1310は互いに近接した間隔であり、他の共振器1310は互いに離れた間隔で配置される。複数の孔部1340はアレイ1300の基部1320に画定される。前記孔部1340は隣接した共振器1310の間に配置され、列1325および行1315(上で開示した正/負のオフセットなしで)に平行である列および行に配置される。前記孔部1340は、前記孔部1625に気泡を通過させることによって、前記アレイの水体(例えば、湖または海)のような液体中への浸漬を容易にする。前記液体が前記気泡を移動させると、前記アレイ1300の浮力が減ってより容易に前記海中に浸漬する。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記孔部1340はいくつかの隣接する共振器1310間のみに配置される。前記孔部1340は、孔部1340が第二の共振器1310よりも第一の共振器1310に近くなるような隣接する共振器1310にオフセットでもあってもよい。追加的に、または代替的に、前記孔部1340は規則的または不規則なパターンで配列してもよい。追加的に、または代替的に、前記孔部1340は異なる大きさおよび/または形状を有することが出来る。上述したように、前記アレイ1300は前記開口部1330が重力方向に向かって面するように(例えば、海底に向かって)液体(例えば、海または他の水体)中で展開される。
【0033】
図14は、前記基部1320と反対側から見た前記アレイ1300の図である。前記共振器1310は前記基部1320の反対側にあるので、前記孔部1340のみがこの図から見とることが可能である。動作中は、図14に示す露出面は海面に面し、反対側の面(そこから延びる共振器1310を有する)は海底に面している。第二の組の孔部1350は、上述のように、各アレイ間に配置されて共振器パネルを形成するそれぞれの綱を受け入れように、前記基部1320に画定される。前記綱は前記パネルを上下させるためにボートや構造物に繋ぐことが出来る。
【0034】
図15〜18は、例示的な実施形態に従った代替的な形状の共振器の断面を示す。例えば、図15は断面がバルーン形状であり、第一の端部1510において狭い断面幅そして第二の端部1520において広い断面幅を有する共振器1500を示す。前記第一の端部1510は展開された位置のときに前記海底に面する開口部1530を含む。それによって、水が前記開口部に入り前記共振器1500の一部を水線1540まで満たし、これは前記開口部1530の断面幅、前記第一の端部1510の断面幅、前記第二の端部1520の断面幅、および前記共振器1500の展開深度に依存する。前記共振器1500が海中により深く展開されるにしたがって、前記共振器1500の外面への水圧が増加する可能性がある。この増加した水圧によって、より多くの水が前記共振器1500に入り、これにより前記共振器1500内における前記水線1540がより高く(すなわち、前記共振器1500の第二の端部1520に寄って)配置されることがある。
【0035】
前記共振器1500が水に満たされるにしたがって、前記共振器の有効質量が増加する。これにより、前記共振器1500の有効質量は一またはそれ以上の開口部1530の大きさ、前記共振器1500(例えば、第一および第二の端部1510、1520における断面の比)における寸法(例えば、断面幅)、および前記共振器の海中における展開深度を変更することによってカスタマイズすることが可能である。前記有効質量を調節することによって、与えられた海中ノイズをより効果的に低減するよう前記共振器1500の共振周波数は「調整」されることが可能である。さらに、前記共振器1500のより大きい有効質量は前記共振器1500の対応するより大きい慣性により増進された音響減衰特性を持つことが可能である。
【0036】
図16は代表的な水線1640を持つキノコ型の断面を有する共振器1600を示す。図17は第一の端部1710において図16または17よりもより大きな断面を有する共振器1700を示す。追加的に、前記第一の端部1710の断面幅は前記第二の端部1720の断面幅よりも大きく、中央部1730の断面幅は前記第一および第二の端部1710、1720の断面幅よりも大きい。図17に代表的な水線1740も示す。図18は前記第一の端部1810が前記第二の端部1820よりも大きい共振器1800を示す。通常、共振器1800は円錐と同様な形状を有する。より大きな前記第一の端部1810の断面幅(およびそれに対応するより大きな開口部1830)は共振器1500、1600、または1700と比較して前記水線1840を低くすることがある。図15〜18に示される断面形状は例示として提供されるものであって本開示はあらゆるおよびすべての断面配列および形状の共振器を含むものであることに注意されたい。さらに、図15〜18に示される共振器は図15〜18に示される断面平面に対して水平な第二の断面において円形または楕円形、長方形、対象的、非対象的であってよい。
【0037】
前記共振器1500、1600、1700および/または1800は、例えば図11〜14に示されるように、アレイ内に組み込むことも可能である。このようなアレイは均一(例えば、前記アレイは同じまたは同様の形状を有する共振器を含む)または不均一(例えば、前記アレイは前記共振器1600および1900の両方など、様々な形状を含む)であることが可能である。隣接する共振器間の間隔、行/列における共振器の並び方またはオフセット、および/または前記共振器の大きさは、例えば前記アレイの音響共鳴を低減または増加させるために、上述のように調節または変更することが出来る。追加的に、または代替的に、アレイのパネルは、第一の形状の共振器を持つ第一のアレイと第二の形状の共振器を持つ第二のアレイを含むことが可能である。追加的に、または代替的に、前記パネルは少なくとも一つの不均一なアレイおよび/または少なくとも一つの均一なアレイを含むことが出来る。複数のパネルが同一または異なる共振器の形態を用いて展開されることが出来、これにより共振周波数のスペクトラムを広げてノイズ低減の向上および/または音響性能の向上を提供する(例えば、パネル間の共鳴/エコーの低減によって)。
【0038】
図19は共振器1900を簡易化した描写を示す。前記共振器1900は、中空キャビティ1925と開口部1975を有するネック部を含む。前記中空キャビティ1925は一定の体積の空気、Vair、を保持するように構成されて、前記共振器1900は液体(例えば、水)中に展開され、前記ネック部1950は重力方向に向かって(例えば、海底に向かって)方向づけられる。前記共振器1900が展開された状態であるとき、前記ネック部1950は少なくとも一部が液体で満たされる。したがって、前記共振器1900は二流体ヘルムホルツ共振器として機能することが可能である。
【0039】
前記共振器の音響挙動は気体の体積(Vair)、液体で満たされた前記ネック部1950の長さ(Lneck)、および前記開口部1975の表面積(SA_apper)によって決定される。この気体の体積(Vair)および液体で満たされた前記ネック部の長さ(Lneck)は前記共振器1900に加えられる前記液体の圧力(例えば、水圧)に依存し、これは前記共振器1900の展開深度に依る。これらのパラメータの深度依存性は前記共振器1900の共鳴周波数および音響減衰もまた深度依存性にさせることがある。音響周波数、展開深度、Vair、Lneck、およびSA_aperの関係性は当業者によって理解されるよう数学的にモデル化してもよい。
【0040】
図20に、音響周波数と展開深度の関係の数学的モデルと実験データの比較を示す。この比較は、図の右側に示すように、第一の共振器の大きさ2025および第二の共振器の大きさ2050について繰り返されたものである。この実験データは、異なる材料(鋼、アルミニウム、およびPVC)で作られた共振器を用いて、タンク中(「x」のデータ点)および淡水湖中(円のデータ点)で採取された。
【0041】
図21は、本明細書記載の共振器を組み込んだランダム共振器アセンブリ2100Aおよび周期的共振器アセンブリ2100Bのプロトタイプを示す。これらのアセンブリは、超高分子量ポリエチレン(UHMW PE)の2インチ×16インチ×16インチのブロックを使用して、自動ルータ上で製作された。各自の共振器の内部寸法は、直径0.875インチおよび高さ1.75インチであり、これは液体の最初の数メートル内に展開されたとき、100Hz周辺の共振周波数に対応する。前記ランダムアレイ2100A中の共振器の位置は、後述するように、擬似乱数発生器を用いて周期的なアレイ位置を摂動させることによって決定された。
【0042】
製造および組み立ての容易化のために、個々の共振器用キャビティが一単位パーツ上に設計される。このパーツは、前記プレートとは反対側の端部上において大気に開放されている、固有の数の中空の円筒形突出を持つ平らなプレートとして描写することが出来る。各突出部が一つの共振器を形成する。前記プレート面上への前記共振器の配置は正方格子への擬似ランダムの摂動によって決定される。前記正方格子の単位長さは前記共振器の内径の二倍に設定することが可能である。擬似乱数発生器が前記格子内の各ノードの2次元(つまり、前記突出部に垂直なx−y平面において)摂動を決定するのに使用されることが可能である。隣接する共振器の外径が接触しないように、摂動の大きさを制限してもよい。これらの要因によって、各共振器の中心軸は特定の摂動されたノードとして画定されることが可能である。
【0043】
上述したように、前記共振器アレイの空間的構造は、このアレイを伝播するまたはこのアレイによって放射される音に影響を及ぼすことが可能である。この音響伝播または放射は前記構造に依存して前記アレイによって増強さるか抑制されることがある。前記アレイ中の共振器の位置をランダムにすることによって、このアレイを通過する散乱および再放射された音波の位相が非干渉性であり正味の音の伝達が最小限に抑えられることを、確かにする。ある実験では、前記ランダム化された共振器アセンブリ2100Aは、個々の共振器の共振周波数付近で周期的共振器アセンブリ2100Bよりも約6dB多く音低減し、これは試験水深において約85Hzであった。この試験において測定されたランダムおよび周期的共振器の音低減の比較を図22に示す。
【0044】
当業者であれば本開示を検討することにより本明細書に示されるアイディアを目前の所与の用途に一般化または具体化できるであろうことを理解されよう。本開示それ自体は、上記説明した例示の実施形態に限ることを意図したものではなく、例示の目的で与えたものである。また、複数のその他の類似および均等の実施形態、ならびにこれらのアイディアの延長がこれにより理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図22