(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720232
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】システム家具
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
A47B97/00 K
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-19751(P2018-19751)
(22)【出願日】2018年2月7日
(65)【公開番号】特開2019-136164(P2019-136164A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2018年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】特許業務法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三島 亮祐
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−178560(JP,A)
【文献】
特開2007−260416(JP,A)
【文献】
特開平05−293017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 97/00
A47B 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンター前部下面側とキャビネット前面との隙間を化粧材で隠蔽するシステム家具において、
前記化粧材は、長手方向に延びるとともに前記キャビネットに取付可能に設けられ、且つ、前方に開放する開放部を備えたベース材と、当該ベース材に対して着脱可能であって前記開放部を閉塞する閉塞面を備えたカバー材とを含み、
前記ベース材は、略鉛直面内に位置するベース面を備え、当該ベース面が前記キャビネットの上部前面に固定されることを特徴とするシステム家具。
【請求項2】
前記ベース材は、前記ベース面と、当該ベース面の上部及び下部に位置する上顎部及び下顎部を備え、前記カバー材は、前記上顎部及び下顎部間に嵌合する形状を備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム家具。
【請求項3】
前記カバー材は、前記閉塞面の上部に連なる上部横行片と、閉塞面の下部に設けられた下部突条と、上部横行片の延出方向に沿って長手方向に所定間隔を隔てて配置されたクッション材とを備え、当該クッション材を介して上部横行片を前記上顎部に押圧したときの反発力で前記下部突条を前記下顎部に嵌合させることを特徴とする請求項2記載のシステム家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム家具に係り、更に詳しくは、キッチンや、洗面化粧台などを構成するカウンターと、当該カウンターを支持するキャビネットとの前部隙間を隠蔽する構造を備えたシステム家具に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチン、洗面化粧台などのシステム家具は、例えば、人造大理石により構成されたカウンターと、当該カウンターを支持するキャビネットと、カウンターの面内に設けられたシンク及び調理機器、若しくは洗面ボールとを備えて構成されている。キャビネットは、左右の側板間において、前後に出し入れ可能に設けられた引き出しや、前部を開閉する扉等を備えて構成されている。
この一方、カウンターはキャビネットの上部に固定される構造とされ、当該カウンターの前部下面側と、キャビネットの前部上面側との間には、長手方向(左右方向)に延びるモール等の部材が介装されて正面側の隙間を隠蔽し、意匠的に優れた装飾性を付与したものが知られている。
【0003】
なお、カウンターとキャビネットとの間の隙間や、キャビネットの前面側に位置する扉同士の隙間を隠蔽する構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−307053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された構成にあっては、左右方向に長いカバー材がキャビネットの側板に着脱可能に設けられたものとなっている。
具体的には、側板に凹部を設ける一方、カバー材の上縁部と下縁部にリブを設け、当該リブを凹部に面接触するように嵌合させる構成となっている。
特許文献1記載の構成は、凹部をキャビネットに設けなければならないため、当該キャビネットの構造を複雑化してしまう、という不都合を招来する。しかも、キャビネットは、カバー材を取り付ける専用箱となり、汎用箱として利用可能なキャビネットにカバー材を取り付けることができない、という不都合がある。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、キャビネットに特別な加工を必要とすることなく、カウンターとキャビネットとの間の隙間を隠蔽することのできるシステム家具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、汎用箱として利用可能なキャビネットに対して隙間の隠蔽が可能なシステム家具を提供することにある。
更に、本発明の目的は、ベース材にカバー材を確実に保持させることができる一方で、当該カバー材の着脱を容易に行うことのできるシステム家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、カウンター前部下面側とキャビネット前面との隙間を化粧材で隠蔽するシステム家具において、
前記化粧材は、長手方向に延びる
とともに前記キャビネットに取付可能に設けられ、且つ、前方に開放する開放部を備えたベース材と
、当該ベース材に対して着脱可能
であって前記開放部を閉塞する閉塞面を備えたカバー材
とを含み、
前記ベース材は、略鉛直面内に位置するベース面を備え、当該ベース面が前記キャビネットの上部前面に固定される、という構成を採っている。
【0009】
また、前記ベース材は、前記ベース面と、当該ベース面の上部及び下部に位置する上顎部及び下顎部を備え、前記カバー材は、前記上顎部及び下顎部間に嵌合する形状を備える、という構成を採っている。
【0010】
なお、前記カバー材は、前記閉塞面の上部に連なる上部横行片と、閉塞面の下部に設けられた下部突条と、上部横行片の延出方向に沿って長手方向に所定間隔を隔てて配置されたクッション材とを備え、当該クッション材を介して上部横行片を前記上顎部に押圧したときの反発力で前記下部突条を前記下顎部に嵌合させる、という構成を採ることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベース材がキャビネットに取り付けられ、カバー材がベース材の開放部を閉塞するように着脱可能に設けられる構成であるから、カバー材を取り付けるための構造をキャビネットに設ける必要性がなく、汎用性を有するキャビネットに適用可能となる。
【0012】
また、ベース材が略鉛直面内に位置するベース面を有するため、ねじ等でベース材をキャビネットに難なく取り付けることができ、キャビネット側に、ベース材を取り付けるための特別な加工を不要とすることができる。
【0013】
更に、上顎部と下顎部にカバー材が嵌合する形状であれば、カバー材を上下より挟み込むようにしっかり保持することができ、意図しない脱落も防止できる。
【0014】
また、クッション材が所定間隔ごとに設けられ、カバー材の長手方向における断続的位置で反発力を生じさせる構成であるから、長手方向全域において反発力を生じさせる構造とする必要がなく構成を簡易にする一方、カバー材の着脱を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係るシステムキッチンの概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において方向若しくは位置を示す用語は、特に明示しない場合には、
図1に示されるシステムキッチンを正面に見た状態を基準とする。
【0017】
図1において、システム家具としてのシステムキッチン10は、左右方向を長手方向とする平面視略長方形状のカウンター11と、当該カウンター11の下面側に位置する箱状のキャビネット12と、カウンター11の前部下面側とキャビネット12の前面上部との隙間G(
図2参照)に位置して当該隙間Gを隠蔽する化粧材15とを備えて構成されている。
【0018】
カウンター11は、本実施形態では人造大理石により構成されている。このカウンター11において、上面左側に、例えば、電磁調理器具16が配置されている一方、右側には、ワークスペースSを介してシンク17が配置されている。電磁調理器具16は、カウンター11の面内に設けられた図示しない方形の開口内に配置され、シンク17は人造大理石による一体構造の他、別体のシンクをカウンター11の下面側に接着等の手段を介して一体化することにより構成されている。
ここで、カウンター11の上面前端は、
図2に示されるように、カウンター11の後方側上面位置に対して高低差dを有するように緩やかに隆起する傾斜面11aとされ、前部下面側は、前下方に向かって下向きに湾曲する湾曲面11bを経て面位置が低く設けられた前部下平面11cとされている。本実施形態におけるカウンター11は、前部下平面11cの位置が図示のものよりも更に下方に位置してカウンター11の前端面の上下方向寸法が更に長く設定されたものが当初の製品形状をなしているものであり、これに対しデザインの選択肢を広げる等の要請に応じて前記上下方向寸法を短くしたスリムタイプに本発明が適用されている。
【0019】
前記化粧材15は、アルミニウムを成形素材として、例えば、押出成形による一体成形品により構成されている。この化粧材15は、その長手方向すなわち左右方向に延びるベース材20及び当該ベース材20に着脱可能なカバー材21を含む。ベース材20は、
図2、
図3に示されるように、キャビネット12の上部前端、具体的には、側板23及び/又は側板間に配置される図示しない中間仕切板の上部前端面23aに固定用ねじ24を介して取付可能となっている。
ベース材20は、略鉛直面内に位置して後面側が上部前端面23aに接するベース面25と、このベース面25の上部及び下部に位置する上顎部30及び下顎部31を備えており、これら上顎部30及び下顎部31により、ベース面25の前方が開放する開放部27が形成されている。
【0020】
前記上顎部30は、ベース面25に対して略直交する前方に向けられた上部平面部32と、この上部平面部32の前端に連なるとともに上方に向かうに従って後退する傾斜面33を備えた起立部34とからなる。
この一方、下顎部31は、ベース面25の下端に連なる下部平面部36により構成されている。この下部平面部36は、前記上部平面部32と略平行に延び、且つ、当該上部平面部32よりも前方に突出するように前後幅が長く設けられている。具体的には、キャビネット12の一部を構成する引き出し用の前板若しくは扉12aの前面に対して前方に突出する長さとなる前後幅を有する。下顎部31の前端側上面には、凹部40が設けられている。この凹部40は、長手方向(
図2中紙面直交方向)に沿って直線状に連続する一条の溝により構成され、下部平面部36の長手方向両端にそれぞれ開放する(
図3参照)。また、下部平面部36の上面側において凹部40の後方位置には、当該凹部40よりも前後(
図3中左右)の開放幅が大きい溝41,42が凹部40と平行な位置でそれぞれ形成され、これにより、下部平面部36の上面側が凹凸形状となって強度確保がなされるようになっている。
なお、ベース面25は、その上端面25aが、上顎部30よりも上方に位置する上下方向長さを備えて構成されている。これにより、上端面25aがキャビネット12の側板23の上端面と面一に連なってカウンター11の支持面として作用し得るようになっている。
【0021】
前記カバー材21は、前記開放部27の前方を閉塞する湾曲面からなる閉塞面44と、この閉塞面44の上端に連なるとともに、上顎部30の下面側に相対位置可能な上部横行片45と、閉塞面44の下部側で下向きに突設された下部突条47と、上部横行片45の延出方向に沿って長手方向に所定間隔を隔てて配置されたクッション材49とを備えて構成されている。これにより、クッション材49を介して上部横行片45を上顎部30に押圧したときの反発力で下部突条47が下顎部31の凹部40に嵌合して開放部27が閉塞され、ひいては、隙間Gを隠蔽できるようになっている。クッション材49は、上部横行片45の長手方向両端部に設けるとともに、その中間部に少なくとも1箇所設けることが好ましい。なお、カバー材21において、上部横行片45の上面側中間には、上顎部30の前端に位置する傾斜面33に沿うように突設された延長片50が上部横行片45に沿って一体に形成されている。また、上部横行片45の後端には、下端位置が上部横行片45の後端よりも前方に位置するように傾斜した屈曲片52が形成されている。さらに、閉塞面44の下端には垂下片44aが連設されており、当該垂下片44aは、前記下部突条47が凹部40に嵌合したときに、下顎部31の前端面に当接するように設けられ、これによりベース材20が隠蔽される。
【0022】
なお、化粧材15の左右両端には、必要に応じて図示しないキャップが着脱できるように設けられている。
【0023】
次に、本実施形態に係る化粧材15を取り付ける場合には、キッチン10の長手方向寸法に対応する長さとなるようなベース材20とカバー材21を用意する。用意したものが、キッチンの長手方向寸法と異なる場合は、作業現場にて切断する。そして、ベース材20のベース面25を側板23及び図示しない中間仕切板の上部前端面23aに押し当て、ねじ24を用いて固定する。この際、ベース面25にねじ24を挿通させるための穴を予め設けておいてもよいが、ねじ24をねじ込むことで強制的に開通させてもよい。
【0024】
ベース材20の取り付けが完了した後、カバー材21をベース材20に装着する。この作業は、カバー材21の上部側に位置する延長片50を上顎部30の起立部34と、カウンター11の湾曲面11bとの間に差し込むことによって行われる。クッション材49の上面が上部平面部32の下面に押し当たる位置まで差し込まれた状態では、カバー材21の下部側すなわち下部突条47は凹部40に嵌合しておらず、
図2に示される位置よりも右上方位置にある。
ここで、クッション材49が厚みを減少するようにカバー材21を押し上げつつカバー材21の下部に押し込み力を付与することで、下部突条47が凹部40に嵌合する。そして、このとき、クッション材49が初期の厚みに復帰しようとする弾力を発揮し、これによって下部突条47と凹部40との嵌合が強く維持されるようになる。
【0025】
なお、カバー材21を外す場合には、カバー材21の前方下端側にある垂下片44aを指先で押し上げることによって下部突条47を凹部40から脱落させればよい。
【0026】
従って、このような実施形態によれば、カウンター11とキャビネット12との間の隙間Gを隠蔽するにあたり、カウンター11側に特別な加工を施すことなく隠蔽を行うことができる、という効果を得る。
【0027】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではない。
【0028】
例えば、前記実施形態では、化粧材15がアルミニウムを素材とした成形品によるものとしたが、その他の金属若しくは合成樹脂を素材として用いることもでき、木材等の採用も妨げない。カバー材21が合成樹脂成形品で構成された場合には、上部横行片45が閉塞面44に対して屈曲角度を変化するように弾性変形可能となり、初期形状に復帰しようとする反発力が生ずるため、樹脂製の場合には、クッション材は省略することができる。
また、カウンター11の前端側下面形状は、図示構成例に限らず、下面全体がほぼ同一平面位置にあるもの等であってもよく、この場合には、カバー材21の形状を変更すれば足りる。
更に、ベース材20は、カバー材21を上下二箇所で保持される構成であればよく、上顎部30、下顎部31の形状等も任意に変更することができ、これに対応してカバー材21を形状変更すればよい。
また、本発明のシステム家具は、システムキッチン、洗面化粧台に限定されるものではなく、カウンターと同等の天板をキャビネットの上部に備えて隠蔽を必要とする他のシステム家具にも適用可能である。
要するに、本発明は、キャビネット側への特別な加工を必要とすることなく上記の隠蔽が可能となる構成であれば足りる。
【符号の説明】
【0029】
10…システムキッチン(システム家具)、11…カウンター、12…キャビネット、15…化粧材、20…ベース材、21…カバー材、25…ベース面、27…開放部、30…上顎部、31…下顎部、40…凹部、44…閉塞面、45…上部横行片、47…下部突条、49…クッション材、G…隙間