(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720270
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】3Dプリントシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/336 20170101AFI20200629BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20200629BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20200629BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200629BHJP
【FI】
B29C64/336
B29C64/209
B29C64/118
B33Y30/00
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-200889(P2018-200889)
(22)【出願日】2018年10月25日
(65)【公開番号】特開2019-137039(P2019-137039A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2018年10月25日
(31)【優先権主張番号】201810143805.X
(32)【優先日】2018年2月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511067204
【氏名又は名称】金▲宝▼電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】謝 ▲啓▼文
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 宗軒
(72)【発明者】
【氏名】李 洋得
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−088004(JP,A)
【文献】
特開2016−088003(JP,A)
【文献】
特開2016−088002(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102016108351(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0174824(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0130101(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0031159(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0201500(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0252851(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0217088(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第108177335(CN,A)
【文献】
中国実用新案第207954654(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御モジュールと、
前記制御モジュールに電気接続された少なくとも1つの移動モジュールと、
前記少なくとも1つの移動モジュール上に配置され、それぞれ前記制御モジュールに電気接続された粒子型3Dプリントノズルおよびコイル型3Dプリントノズルと、を含み、
前記制御モジュールが、前記少なくとも1つの移動モジュールを介して前記粒子型3Dプリントノズルまたは前記コイル型3Dプリントノズルを移動させ、3Dプリント動作を実行して3Dオブジェクトをプリントするように前記粒子型3Dプリントノズルまたは前記コイル型3Dプリントノズルを駆動し、
前記コイル型3Dプリントノズルが、
第1送入領域および第1送出領域を有する第1ノズルユニットと、
前記第1ノズルユニット上に配置され、前記制御モジュールに電気接続される第1駆動ユニットと、
前記第1ノズルユニット上に配置され、前記制御モジュールに電気接続される第1加熱ユニットと、を含み、
ワイヤ状形成材料が、前記第1送入領域を通って前記第1ノズルユニットに進入するように適用され、
前記第1駆動ユニットが、前記第1ノズルユニット内を移動するように前記ワイヤ状形成材料を駆動するように適用され、
前記第1加熱ユニットが、前記第1ノズルユニット内の前記ワイヤ状形成材料を加熱して、前記ワイヤ状形成材料を溶融し、前記第1送出領域を通って前記第1ノズルユニットから前記ワイヤ状形成材料を押し出すように適用され、
前記粒子型3Dプリントノズルが、
第2送入領域および第2送出領域を有する第2ノズルユニットと、
前記第2ノズルユニット上に配置され、前記制御モジュールに電気接続される第2駆動ユニットと、
前記第2ノズルユニット上に配置され、前記制御モジュールに電気接続される第2加熱ユニットと、を含み、
粒子形成材料が、前記第2送入領域を通って前記第2ノズルユニットに進入するように適用され、
前記第2駆動ユニットが、前記第2ノズルユニット内を移動するよう前記粒子形成材料を駆動するように適用され、
前記第2加熱ユニットが、前記第2ノズルユニット内の前記粒子形成材料を加熱して、前記粒子形成材料を溶融し、前記第2送出領域を通って前記第2ノズルユニットから前記粒子形成材料を押し出すように適用される、3Dプリントシステム。
【請求項2】
前記制御モジュールが、前記3Dオブジェクトのスライス層の精細度に基づいて、前記3Dプリント操作を実行するように前記粒子型3Dプリントノズルまたは前記コイル型3Dプリントノズルを駆動することを決定する、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【請求項3】
前記制御モジュールが、前記3Dオブジェクトの内部輪郭および外部輪郭に基づいて、前記3Dプリント操作を実行するように前記粒子型3Dプリントノズルまたは前記コイル型3Dプリントノズルを駆動することを決定する、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【請求項4】
前記制御モジュールにそれぞれ電気接続された2つの移動モジュールをさらに含み、
前記粒子型3Dプリントノズルが、一方の前記移動モジュールに配置され、前記コイル型3Dプリントノズルが、他方の前記移動モジュールに配置される、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【請求項5】
前記コイル型3Dプリントノズルが、さらに、前記第1ノズルユニット上に配置された第1放熱ユニットを含み、
前記第1放熱ユニットが、前記制御モジュールに電気接続され、前記第1ノズルユニットの少なくとも一部の熱を放散するように適用される、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【請求項6】
前記粒子型3Dプリントノズルが、さらに、前記第2ノズルユニット上に配置された第2放熱ユニットを含み、
前記第2放熱ユニットが、前記制御モジュールに電気接続され、前記第2ノズルユニットの少なくとも一部の熱を放散するように適用される、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【請求項7】
前記第2駆動ユニットが、前記第2ノズルユニット内に移動可能に配置されたねじであり、
前記ねじの第1セクションが、前記第2送入領域に位置し、
前記ねじの第3セクションが、前記第2送出領域に位置し、
前記第2加熱ユニットが、前記ねじの第2セクションに対応し、
前記第2セクションが、前記第1セクションと前記第3セクションの間に接続される、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【請求項8】
前記粒子型3Dプリントノズルの形成材料の送出量が、前記コイル型3Dプリントノズルの送出量よりも多く、前記コイル型3Dプリントノズルの制御精度が、前記粒子型3Dプリントノズルの制御精度よりも高い、請求項1に記載の3Dプリントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D(three dimensional)プリントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援製造(computer-aided manufacturing, CAM)の発展に伴い、製造産業は、オリジナルのデザインプロトタイプを迅速に製造することのできるラピッドプロトタイピング(rapid prototyping, RP)技術を発展させた。ラピッドプロトタイピング技術は、幾何学形状の制限がなく、プリントされる部分が複雑であればあるほど、より卓越した技術を表す。ラピッドプロトタイピング技術は、労力および処理時間を大幅に減らすことができ、最短の時間で、3Dコンピュータ支援設計(computer-aided design, CAD)で設計された部分を忠実に表すことができる。それは、触ることができるだけでなく、その幾何学曲線を正確に感じ取ることができ、部品の組み立て能力、及び機能の試験を行うことが可能である。
【0003】
ラピッドプロトタイピング法には、例えば熱溶解積層法(fused deposition modeling, FDM)や薄膜積層法(laminated object manufacturing, LOM)等の多くの種類がある。しかしながら、上述したラピッドプロトタイピング法を用いて3Dオブジェクトをプリントする3Dプリント装置は、プリントヘッドが1つしかないため、形成材料は、押し出されて溶融状態でプリントプラットフォームにプリントされる前に、プリントノズルにおいて加熱、駆動、押し出し等のプロセスを行われなければならない。そのため、3Dオブジェクトの製造時間は上述したプロセスによって制限され、プリント効率を上げるのが難しい。
【0004】
また、コイル型3Dプリント装置については、形成材料が固定された外径を有するワイヤ材であるため、大量のプリントタスクを実行する(例えば、大きな体積の3Dオブジェクトをプリントする)時に、より長い製造時間が必要となる。また、ワイヤ材は、その材料特性によっても制限されるため、材料全てを上手くワイヤ材に変換して、3Dプリントの要件を満たした外径を有するワイヤ材にすることはできない。
【0005】
以上のように、上述した問題を解決する改善策を提供することが、本分野に関する技術者が考慮すべき課題となっている
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粒子型3Dプリントノズルおよびコイル型3Dプリントノズルを有する3Dプリントシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態において、3Dプリントシステムは、制御モジュールと、少なくとも1つの移動モジュールと、粒子型3Dプリントノズルと、コイル型3Dプリントノズルとを含む。移動モジュール、粒子型3Dプリントノズル、およびコイル型3Dプリントノズルは、それぞれ制御モジュールに電気接続され、粒子型3Dプリントノズルおよびコイル型3Dプリントノズルは、移動モジュール上に配置される。制御モジュールは、移動モジュールを介して粒子型3Dプリントノズルまたはコイル型3Dプリントノズルを移動させ、3Dプリント動作を実行して3Dオブジェクトをプリントするように粒子型3Dプリントノズルまたはコイル型3Dプリントノズルを駆動する。
【発明の効果】
【0008】
3Dプリントシステムは、粒子型3Dプリントノズルおよびコイル型3Dプリントノズルを含むため、2つの異なるノズルのそれぞれの利点により3Dオブジェクトのプリントプロセスを最適化することができる。つまり、制御モジュールは、3Dオブジェクトのスライス層の精細度または3Dオブジェクトの内部および外部の輪郭に基づいて、適切なプリントノズルを選択して駆動することができる。粒子型3Dプリントノズルは、比較的大きな送出量を有するため、3Dオブジェクトの内部構造をプリントして、プリント時間を有効に減らし、プリント効率を上げるのに適している。また、コイル型3Dプリントノズルは、比較的高い制御精度を有するため、3Dオブジェクトの外面構造をプリントして、3Dオブジェクトの精細度と美的効果を上げるのに適している。
【0009】
本発明の上記および他の特徴および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0011】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る3Dプリントシステムの概略図である。
【
図2】
図1の3Dプリントシステムの電気接続の概略図である。
【
図3】
図3(a)は、コイル型3Dプリントノズルの概略図であり、
図3(b)は、
図3(a)の局部断面図である。
【
図4】
図4(a)は、粒子型3Dプリントノズルの概略図であり、
図4(b)は、
図4(a)の局部断面図である。
【
図5】
図1の3Dオブジェクトの局部断面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係る3Dプリントシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を例として、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面および関連説明において、可能な限り、同一または類似する構成要素には、同一の参照番号を使用する。
【0013】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る3Dプリントシステムの概略図である。
図2は、
図1の3Dプリントシステムの電気接続の概略図である。
図1および
図2を参照すると、本実施形態において、3Dプリントシステム100は、コイル型(フィラメント型)3Dプリントノズル110と、粒子型(ペレット型)3Dプリントノズル120と、第1移動モジュール130と、第2移動モジュール140と、制御モジュール150と、プラットフォーム160とを含み、コイル型3Dプリントノズル110は第1移動モジュール130の上に配置され、コイル型3Dプリントノズル110および第1移動モジュール130はそれぞれ制御モジュール150に電気接続され、粒子型3Dプリントノズル120は第2移動モジュール140の上に配置され、粒子型3Dプリントノズル120および第2移動モジュール140はそれぞれ制御モジュール150に電気接続される。第1移動モジュール130および第2移動モジュール140は、例えば、それぞれ3軸(X−Y−Z)移動モジュールであり、それぞれ上述したプラットフォーム160を移動させるようにコイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120を駆動するために使用されて、オブジェクトプリントプリントプリント制御モジュール150が、コイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120をさらに駆動させて、プラットフォーム160上に3Dオブジェクト200をプリントするようにする。
【0014】
図3(a)は、コイル型3Dプリントノズルの概略図である。
図3(b)は、
図3(a)の局部断面図である。
図1〜
図3(b)を参照すると、本実施形態において、コイル型3Dプリントノズル110は、第1ノズルユニット112と、第1駆動ユニット114と、第1加熱ユニット116とを含み、第1駆動ユニット114は、第1ノズルユニット112の上に配置され、第1駆動ユニット114は、制御モジュール150に電気接続される。第1加熱ユニット116は、第1ノズルユニット112の上に配置され、第1加熱ユニット116は、制御モジュール150に電気接続される。第1ノズルユニット112は、第1送入領域E1および第1送出領域E2を有する。上述した説明に基づき、ワイヤ状形成材料(フィラメント)M1は、第1送入領域E1を通って第1ノズルユニット112に進入するように適用され、第1駆動ユニット114によって、第1ノズルユニット112内を移動するように駆動され、第1駆動ユニット114は、例えば1対のローラと、ローラを駆動するために使用されるモータ(図示せず)とを含む。同時に、第1加熱ユニット116は、第1ノズルユニット112内のワイヤ状形成材料M1を加熱して、ワイヤ状形成材料M1が溶融状態に変換され、第1駆動ユニット114に押され、第1送出領域E2を通って第1ノズルユニット112から押し出されるように適用される。また、コイル型3Dプリントノズル110は、さらに、例えば扇風機等である、第1ノズルユニット112上に配置され、制御モジュール150に電気接続される第1放熱ユニット111を含むため、制御モジュール150は、第1放熱ユニット111を制御して、第1ノズルユニット112の少なくとも一部の熱を放散することができる。また、本実施形態の第1ノズルユニット112は、さらに、第1放熱ユニット111に対応して面したフィン113で構成されるため、第1加熱ユニット116によって生成された第1ノズルユニット112の熱はフィン113に伝導され、扇風機によって提供された冷却空気流で迅速に冷却されて、第1ノズルユニット112の過熱によってまだ固体状態にあるワイヤ状形成材料M1の早期溶融、あるいは過熱により溶融したワイヤ状形成材料M1の炭化を防ぐことができる。
【0015】
図1に示すように、ワイヤ状形成材料M1は、巻取ロールの上に配置されるように適用され、コイル型3Dプリントノズル110の第1送入領域E1に接続される(
図3(a)に示す)。言及すべきこととして、本発明は単一のワイヤを例に挙げて説明したが、これに限定されない。つまり、図示していない別の実施形態において、3Dプリントシステムは、複数の巻取ロールまたは複数のコイル型3Dプリントノズルで構成され、プリントプロセス中に異なる材料および異なる色を提供する効果を達成してもよい。
【0016】
図4(a)は、粒子型3Dプリントノズルの概略図である。
図4(b)は、
図4(a)の局部断面図である。
図1、
図2、
図4(a)、および
図4(b)を参照すると、本実施形態において、粒子型3Dプリントノズル120は、第2ノズルユニット122と、第2駆動ユニット124と、第2加熱ユニット126とを含み、第2駆動ユニット124および第2加熱ユニット126は、それぞれ第2ノズルユニット122上に配置され、それぞれ制御モジュール150に電気接続される。第2ノズルユニット122は、第2送入領域E3および第2送出領域E4を有する。
図1に示すように、粒子形成材料(パレット)M2は、第2送入領域E3を通って第2ノズルユニット122に進入するように適用される(
図4(a)および
図4(b)に示す)。言及すべきこととして、第2駆動ユニット124は、例えば、ねじおよびねじを駆動するために使用されるモータであり、第2送入領域E3を通って第2ノズルユニット122に進入した粒子形成材料M2を第2送出領域E4に移動させるように駆動するために使用される。移動プロセスの間、第2加熱ユニット126は、通過中の粒子形成材料M2を加熱してよく、粒子形成材料M2が溶融状態に変換され、第2駆動ユニット124によって駆動されて、第2送出領域E4を通って第2ノズルユニット122から押し出される。
【0017】
さらに、第2駆動ユニット124は、第2ノズルユニット122の中に移動可能に配置され、第1セクションS1と、第2セクションS2と、第3セクションS3とを有する。第1セクションS1は、第2送入領域E3に位置し、第3セクションS3は、第2送出領域E4に位置する。第2加熱ユニット126は、ねじの第2セクションS2に対応し、第2セクションS2は、第1セクションS1と第3セクションS3の間に接続される。
【0018】
また、粒子型3Dプリントノズル120は、さらに、例えば扇風機等の、第2ノズルユニット122の上に配置され、制御モジュール150に電気接続される第2放熱ユニット121を含み、第2放熱ユニット121は、第2ノズルユニット122の少なくとも一部の熱を放散するのに適している。同時に、粒子型3Dプリントノズル120は、さらに、第2ノズルユニット122上に配置され、第2加熱ユニット126と第2送入領域E3の間に位置するフィン123を含み、フィン123は、第2放熱ユニット121に面しているため、第2加熱ユニット126によって生成された第2ノズルユニット122の熱はフィン123に伝導することができ、扇風機によって提供された冷却空気流で迅速に冷却されて、第2ノズルユニット122の過熱によってまだ固体状態にある粒子形成材料M2の早期溶融、あるいは過熱により溶融した粒子形成材料M2の炭化を防ぐことができる。
【0019】
言及すべきこととして、本実施形態において、単一の粒子型3Dプリントノズル120を使用したが、本発明はこれに限定されない。上述したコイル型3Dプリントノズル110と同様に、3Dプリントシステムは、複数の粒子型3Dプリントノズルで構成され、プリントプロセス中に異なる材料および異なる色を提供する効果を達成してもよい。
【0020】
コイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120はそれぞれ採用する3Dプリント手段が異なるため、3Dプリントシステム100は、異なるノズルを同時に制御して、必要な効果を達成することができる。
【0021】
例えば、コイル型3Dプリントノズル110について、その形成材料はワイヤ状形成材料M1であるため、必要な駆動力は、粒子型3Dプリントノズル120よりも小さい。つまり、第1駆動ユニット114(例えば、ローラ)に必要な駆動力(例えば、電力または動力源の動力)は、第2駆動ユニット124(例えば、ねじ)に必要な駆動力よりも小さく、第1駆動ユニット114は、より感度が高く、制御しやすい。つまり、形成材料の送出量が同じであることを前提にすると、第1駆動ユニット114の制御精度は、第2駆動ユニット124の制御精度よりも高い、つまり、コイル型3Dプリントノズル110の制御精度は、粒子型3Dプリントノズル120の制御精度よりも高い。
【0022】
一方、第2駆動ユニット124は、比較的反応が遅く、その制御精度も比較的低いが、その形成材料は粒子形成材料M2であるため、原材料の形状によって制限されない。つまり、コイル型3Dプリントノズル110の送出量は、ワイヤ状形成材料M1の外径によって制限されるが、粒子型3Dプリントノズル120の送出量は原材料の形状によって制限されないため、コイル型3Dプリントノズル110の送出量よりも多い。以上のように、全ての原材料を必要な外径のワイヤ状形成材料M1に変換することはできないため、この場合、粒子形成材料M2を代わりに使用することによって、原材料の選択範囲が拡大される。
【0023】
以上の説明に基づくと、本実施形態の3Dプリントシステム100は、コイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120を使用することによって、最適な方法を採用して、最も効率よく3Dオブジェクト200をプリントすることができる。
【0024】
例えば、
図5は、
図1の3Dオブジェクトの局部断面図である。3Dオブジェクト200は、内部構造210および外表面構造220を含み、それぞれ3Dオブジェクト200の内部輪郭および外部輪郭に属する。一般的に、内部構造210は、3Dオブジェクト200の主要構造として用いられ、その目的は、3Dオブジェクト200に十分な構造強度を持たせて、プラットフォーム160上に支持立設できるようにすることである。反対に、外表面構造220は、3Dオブジェクト200の外観として用いられ、3Dオブジェクト200の美的効果を提供するため、精巧な手段で制御されなければならない。そのため、本実施形態の3Dプリントシステム100のプリントプロセスの間、3Dオブジェクト200の内部および外部輪郭またはスライス層の精細度に基づいて、3Dプリント操作を実行ため、コイル型3Dプリントノズル110または粒子型3Dプリントノズル120を駆動することを決定する。本実施形態の3Dプリントシステム100は、粒子型3Dプリントノズル120を駆動して3Dオブジェクト200の内部構造210をプリントするのに適用され、コイル型3Dプリントノズル110を駆動して3Dオブジェクト200の外表面構造220を駆動するのに適している。その主な理由は、プリント外表面構造220は比較的高い制御精度を有するコイル型3Dプリントノズル110で製造することによって必要な美的効果を達成する必要があるが、内部構造210は美的効果を考慮する必要がないため、送出量が大きい粒子型3Dプリントノズル120で製造することが可能であるためである。言及すべきこととして、本発明は、コイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120の駆動順序を限定しない。
【0025】
図6は、本発明の別の実施形態に係る3Dプリントシステムの概略図である。
図6および
図1を参照すると、
図1の実施形態と異なり、別の実施形態の3Dプリントシステムは、単一の移動モジュール340を有し、コイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120は、いずれも移動モジュール340の上に配置され、移動モジュール340の異なる側に位置する。移動モジュール340は、制御モジュール150に電気接続され、制御モジュール150は、異なるプリントノズルを同時に移動するように移動モジュール340を駆動することができ、コイル型3Dプリントノズル110および粒子型3Dプリントノズル120は、それぞれ制御モジュール150に電気接続される。他の特徴については、上述した実施形態の関連説明を参照することができるため、ここでは説明を省略する。このようにして、別の実施形態の3Dプリントシステムは上述した実施形態と同じ効果を達成することができる。
【0026】
以上のように、3Dプリントシステムは、粒子型3Dプリントノズルおよびコイル型3Dプリントノズルを含むため、2つの異なるノズルの各利点により3Dオブジェクトのプリントプロセスを最適化することができる。つまり、制御モジュールは、3Dオブジェクトのスライス層の精細度または3Dオブジェクトの内部および外部輪郭に基づいて、適切なプリントノズルを選択して駆動することができる。粒子型3Dプリントノズルは、比較的大きな送出量を有するため、3Dオブジェクトの内部構造をプリントするに適用され、プリント時間を有効に減らし、プリント効果を上げる。また、コイル型3Dプリントノズルは、比較的高い制御精度を有するため、3Dオブジェクトの外面構造をプリントすることに適用され、3Dオブジェクトの精細度と美的効果を上げる。
【0027】
以上のごとく、本発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の3Dプリントシステムは、3Dプリント装置およびその3Dプリント方法に応用することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 3Dプリントシステム
110 コイル型3Dプリントノズル
111 第1放熱ユニット
112 第1ノズルユニット
113 フィン
114 第1駆動ユニット
116 第1加熱ユニット
120 粒子型3Dプリントノズル
121 第2放熱ユニット
122 第2ノズルユニット
123 フィン
124 第2駆動ユニット
126 第2加熱ユニット
130 第1移動モジュール
140 第2移動モジュール
150 制御モジュール
160 プラットフォーム
200 3Dオブジェクト
210 内部構造
220 外表面構造
340 移動モジュール
E1 第1送入領域
E2 第1送出領域
E3 第2送入領域
E4 第2送出領域
M1 ワイヤ状形成材料
M2 粒子形成材料
S1 第1セクション
S2 第2セクション
S3 第3セクション