(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粒子状超吸収性ポリマー、及び、粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.01wt%〜5wt%の中和アルミニウム塩、を含む粒子状超吸収性ポリマー組成物であって、
該中和アルミニウム塩は、pH値が5.5〜8の中和アルミニウム塩水溶液として、該粒子状超吸収性ポリマーの表面上にあり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量(CRC)が、粒子状超吸収性ポリマー組成物1g当たり、25g〜40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
該CRCは超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行う前か後のどちらかで測定され、該粒子状超吸収性ポリマーに処理試験を行う前の、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、20×10−8cm2〜200×10−8cm2であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の圧縮率が、1.30mm2/N〜4mm2/Nであり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行ったときに、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の透過率安定指数が、0.60〜0.99であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の12wt%〜25wt%で有し;かつ
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、内部架橋剤を含むアクリル酸系重合体粒子に該中和アルミニウム塩水溶液と表面架橋剤をコーティングし、次いで、コーティングされた粒子の表面を加熱して表面架橋し、脱イオン水を粒子状超吸収性ポリマー組成物400g当たり24.0g〜40.0gの量で表面架橋した粒子へ加えることにより得られる、
前記粒子状超吸収性ポリマー組成物。
標準ふるい分級で規定される粒径が150μmを超えて600μm未満の粒子を、前記粒子状超吸収性ポリマー組成物の85wt%以上で有し、該粒子の標準ふるい分級で規定される重量平均粒径(D50)が300〜400μmである、請求項1に記載の粒子状超吸収性ポリマー組成物。
粒子状超吸収性ポリマー、及び、粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.01wt%〜5wt%の中和アルミニウム塩、を含む粒子状超吸収性ポリマー組成物であって、
該中和アルミニウム塩は、pH値が5.5〜8の中和アルミニウム塩水溶液として、該粒子状超吸収性ポリマーの表面上にあり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量(CRC)が、粒子状超吸収性ポリマー組成物1g当たり、25g〜40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
該CRCは超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行う前か後のどちらかで測定され、該粒子状超吸収性ポリマーに処理試験を行う前の、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、20×10−8cm2〜200×10−8cm2であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の圧縮率が、1.30mm2/N〜4mm2/Nであり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行ったときに、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の透過率安定指数が、0.60〜0.99であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の15wt%未満で有し;かつ
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、内部架橋剤を含むアクリル酸系重合体粒子に該中和アルミニウム塩水溶液と表面架橋剤をコーティングし、次いで、コーティングされた粒子の表面を加熱して表面架橋し、脱イオン水を粒子状超吸収性ポリマー組成物400g当たり24.0g〜40.0gの量で表面架橋した粒子へ加えることにより得られる、
前記粒子状超吸収性ポリマー組成物。
標準ふるい分級で規定される粒径が150μmを超えて600μm未満の粒子を、前記粒子状超吸収性ポリマー組成物の85wt%以上で有し、該粒子の標準ふるい分級で規定される重量平均粒径(D50)が300〜400μmである、請求項6に記載の粒子状超吸収性ポリマー組成物。
標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の6wt%〜15wt%で有する、請求項6に記載の粒子状超吸収性ポリマー組成物。
a)アクリル酸、メタクリル酸、又は2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸から選ばれる重合性不飽和酸基含有モノマー、あるいはそれらの混合物を、55wt%〜85wt%;
b)a重合性不飽和酸基含有モノマーa)を中和して50〜80mol%にするための、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選ばれるアルカリ塩基を、14wt%〜45wt%;
c)内部架橋剤であって、成分a)、b)、及びc)を重合することで、表面を有する超吸収性ポリマーに造粒されるヒドロゲルになる、内部架橋剤を、a)の質量に対して0.001wt%〜5.0wt%;
d)該超吸収性ポリマーの表面に塗布される表面架橋剤を、超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.001wt%〜5.0wt%;及び
e)pH値が5.5〜8の中和アルミニウム塩水溶液の形態で該超吸収性ポリマーの表面上にある中和アルミニウム塩を、超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.001wt%〜5.0wt%;
を含む超吸収性ポリマー組成物であって、
該超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量が、超吸収性ポリマー組成物1g当たり、25g〜40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
該CRCは超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行う前か後のどちらかで測定され、処理試験を行う前の該超吸収性ポリマー組成物の処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、20×10−8cm2〜200×10−8cm2であり;
該超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行ったときに、該超吸収性ポリマー組成物の透過率安定指数が、0.60〜0.99であり;
標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、0〜12wt%で有し;
該粒子の標準ふるい分級で規定される重量平均粒径(D50)が300〜400μmであり;かつ
該超吸収性ポリマー組成物は、該内部架橋剤を含むアクリル重合体に該中和アルミニウム塩水溶液と該表面架橋剤をコーティングし、次いで、コーティングされた重合体の表面を加熱して表面架橋し、脱イオン水を超吸収性ポリマー組成物400g当たり24.0g〜40.0gの量で表面架橋した重合体へ加えることにより得られる、
前記超吸収性ポリマー組成物。
標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、前記超吸収性ポリマー組成物の3wt%〜12wt%で有する、請求項13に記載の超吸収性ポリマー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書の文脈において、以下の各用語又は各語句は以下の意味を含む。
【0011】
本開示で利用されるとき、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」及び語句「含む(comprise)」由来の他の類義語は、任意の定められた特徴、要素、整数、工程、成分、又は成分の存在を規定する無制限な用語を意味し、かつ1つ以上の他の特徴、要素、整数、工程、成分もしくはこれらの群の存在又は追加を除外するものではないことに留意されたい。
【0012】
本明細書で使用され、本発明の組成物中の成分量を修飾している、又は、本発明の方法で使用される用語「約」は、発生し得る数量の変化を意味する。数量の変化は、例えば、現実世界の濃縮物又は使用溶液を調製するために用いられる典型的な計量と溶液の取扱方法を通してや、これらの手法における不測の誤差を通してや、組成物の作製又は方法の実施に用いる材料の製造、原料、又は純度の違いを通してなどで発生し得る。用語「約」は、特定の初期混合物から得られた組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。用語「約」に修飾されようがされまいが、請求項は量の均等物を含む。
【0013】
本明細書に使用される用語「遠心分離保持容量(CRC)」は、粒子状超吸収性ポリマーが飽和し、制御された条件下で遠心分離された後に、液体を保持する能力を意味し、本明細書に記載の遠心分離保持容量試験により測定され、サンプルの質量1グラム当たりに保持される液体のグラム(g/g)によって記載される。
【0014】
本明細書に使用される用語「圧縮率」は、本明細書に開示された圧縮率試験に記載されるように、粒子状超吸収性ポリマー組成物の、圧力変化に対する応答としての相対的な体積変化の尺度を意味する。
【0015】
本明細書に使用される用語「架橋された(crosslinked)」、「架橋(crosslink)」、「架橋剤(crosslinker)」、又は「架橋している(crosslinking)」は、通常水溶性である物質を効率よく実質的に水不溶性で膨潤性にするための任意の手段を意味する。そのような架橋手段としては、例えば、物理的な絡み合い、結晶性ドメイン、共有結合、イオン錯体、イオン会合、水素結合といった親水性会合、疎水性会合、又はファンデルワールス力が挙げられる。
【0016】
本明細書に使用される用語「内部架橋剤」又は「モノマー架橋剤」は、ポリマーを形成するためにモノマー溶液中に架橋剤を使用することを意味する。
【0017】
本明細書に使用される用語「乾燥超吸収性ポリマー組成物」は、約20%未満の水分を有する超吸収性ポリマー組成物を意味する。
【0018】
用語「ゲル透過率」は、粒子の集合全体としての特性であり、粒度分布、粒子形状、並びに、膨潤ゲルの粒子間の開気孔のつながり、剛性率、及び表面改質に関する。実際には、超吸収性ポリマー組成物のゲル透過率は、液体が膨潤した粒子の集合を通ってどれくらい早く流れるかの尺度である。低いゲル透過率は、液体が超吸収性ポリマーを通って容易に流れることができないことを示し(一般的にゲルブロッキングと呼ばれる)、そして、(おむつ使用中の尿の第二の挙動などの)いずれかの強制的な液体の流れが、代替の経路を取る必要があることを示す(例えばおむつ漏れ)。
【0019】
用語「粒子」及び「粒子状」などは、用語「超吸収性ポリマー」とともに使用されるときに、離散的なユニットの形態を意味する。このユニットは、フレーク、繊維、塊、顆粒、粉末、球体、粉末材料など、並びにこれらの組み合わせを含むことができる。この粒子は、任意の好ましい形状、例えば、立方体、棒状体、球状、半球状、円形、半円形、角のある形状、不規則な形状などを有することができる。
【0020】
用語「粒子状超吸収性ポリマー」及び「粒子状超吸収性ポリマー組成物」は、超吸収性ポリマー及び超吸収性ポリマー組成物の形態が離散的な形態であることを意味し、「粒子状超吸収性ポリマー」及び「粒子状超吸収性ポリマー組成物」は、1000μm未満、又は約150μm〜約850μmの粒径を有してよい。
【0021】
本明細書に使用される用語「透過率」は、多孔質構造、この場合架橋ポリマーの効果的なつながりの尺度を意味するものであり、粒子状超吸収性ポリマー組成物のボイド率、及びつながりの程度により規定される。
【0022】
本明細書に使用される用語「透過率安定指数」は、制御された条件下で処理試験を行った後に、粒子状超吸収性ポリマーが初期透過率を維持する能力を意味する。本明細書に開示された処理試験に記載されるように、処理前のサンプルの透過率に対する、処理後のサンプルの透過率の比率を意味する。
【0023】
用語「ポリマー」は、限定されるものではないが、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマー、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び変性体を含む。さらに、別段の限定がない限り、用語「ポリマー」は、これらの材料の全ての可能な構造異性体を含むものとする。これらの構造としては、限定されるものではないが、イソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称性が挙げられる。
【0024】
本明細書に使用される用語「ポリオレフィン」は、限定されるものではないが、一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなど、これらのホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び修飾物などの材料を含む。用語「ポリオレフィン」は、限定されるものではないが、イソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称性を含むこれらの全ての可能な構造を含むものとする。コポリマーは、アタクチック及びブロックコポリマーを含む。
【0025】
本明細書で使用される用語「超吸収性ポリマー」は、最も有利な条件下で、0.9質量%塩化ナトリウムを含む水溶液中で、それらの質量の少なくとも約10倍、又はそれらの質量の少なくとも約15倍、又はそれらの質量の少なくとも約25倍を吸収できる超吸収性ポリマー及び超吸収性ポリマー組成物を含む、水膨潤性及び水不溶性有機又は無機材料を意味する。
【0026】
本明細書で使用される用語「超吸収性ポリマー組成物」は、本発明による表面添加剤を含む超吸収性ポリマーを意味する。
【0027】
本明細書で使用される用語「表面架橋」は、超吸収性ポリマー粒子の表面近くの機能的架橋度を意味し、一般にそれは超吸収性ポリマー粒子の内部の機能的架橋度より高い。本明細書で使用されるときには、「表面」は、粒子の外側に面した境界を説明するものである。
【0028】
本明細書で使用される用語「熱可塑性」は、熱に曝されたときに軟化し、室温に冷却したときに非軟化状態に実質的に戻る材料を説明するものである。
【0029】
本明細書で使用され、かつ乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の成分を示す用語「質量%」又は「wt%」は、別段本明細書で特定しない限り、乾燥超吸収性ポリマー組成物の質量を基準とするものとして解釈されたい。
【0030】
本明細書で使用される用語「含水量」は、含水量試験によって測定される粒子状超吸収性ポリマーに含まれる水の量を意味するものである。
【0031】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において付加的な用語を伴って規定してよい。
【0032】
発明の詳細な説明
実施例及び/又は実施形態の典型的な態様を例示を目的として記載したが、この詳細な説明及び添付の図面は本発明の範囲を限定するものではない。したがって、本発明の理念及び範囲から逸脱しなければ、当業者は種々の変更、適応、及び代替を行ってよい。仮想の例示として、本明細書における1〜5という範囲の開示は、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4、及び4〜5の範囲のいずれかの請求に対応すると考えられるものとする。
【0033】
本発明によれば、改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマーは、本明細書に記載された方法を用いて達成することができる。これらの改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理に対する耐性が向上し、かつ、市販の粒子状超吸収性ポリマーと比較して機能低下が低減している。
【0034】
別の実施形態として、本発明は、粒子状超吸収性ポリマー、及び、粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.01wt%〜約5wt%の中和アルミニウム塩を含む、安定性が改善された粒子状超吸収性ポリマー組成物であって、
該中和アルミニウム塩は、pH値が約5.5〜約8の中和アルミニウム塩水溶液として、粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布され;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量が、粒子状超吸収性ポリマー組成物1g当たり、約25g〜約40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
処理試験を行う前の該粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、約20×10
−8cm
2〜約200×10
−8cm
2であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の圧縮率が、約1.30mm
2/N〜約4mm
2/Nであり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の約15wt%未満で、約3wt%〜約15wt%で、又は約6wt%〜約15wt%で有する、前記粒子状超吸収性ポリマー組成物に関する。
【0035】
さらに本発明は、安定性が改善された粒子状超吸収性ポリマー組成物であって、
a)アクリル酸、メタクリル酸、又は2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸から選ばれる重合性不飽和酸基含有モノマー、あるいはそれらの混合物を、約55wt%〜約85wt%;
b)重合性不飽和酸基含有モノマーa)を中和して50〜80mol%にするための、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選ばれるアルカリ塩基を、約14wt%〜約45wt%;
c)内部架橋剤であって、成分a)、b)、及びc)を重合することで、表面を有する粒子状超吸収性ポリマーに造粒されるヒドロゲルになる、内部架橋剤を、a)の質量に対して約0.001wt%〜約5.0wt%;
d)粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布される表面架橋剤を、粒子状超吸収性組成物の質量に対して約0.001wt%〜約5.0wt%;及び
e)pH値が約5.5〜約8の中和アルミニウム塩水溶液の形態で粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布される中和アルミニウム塩を、粒子状超吸収性組成物の質量に対して約0.001wt%〜約5.0wt%;
を含み、
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量が、粒子状超吸収性ポリマー組成物1g当たり、約25g〜約40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
処理試験を行う前の該粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、約20×10
−8cm
2〜約200×10
−8cm
2であり;
粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理試験を行った後に、その処理された粒子状超吸収性ポリマー組成物の透過率安定指数が、約0.60〜約0.99であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の約15wt%未満、又は約3wt%〜約15wt%、又は約6wt%〜約15wt%で有する、前記粒子状超吸収性ポリマー組成物に関する。
【0036】
別の実施形態では、安定性が改善された粒子状超吸収性ポリマー組成物は、以下の工程;
a)粒子状超吸収性ポリマーを提供する工程;
b)中和アルミニウム塩をpH値が約5.5〜約8の中和アルミニウム塩水溶液に調製する工程;及び
c)中和アルミニウム塩水溶液を粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布する工程;
を含むプロセスによって製造されてよく、
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の中和度は約50mol%〜約80mol%であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量(CRC)が、粒子状超吸収性ポリマー組成物1g当たり、約25g〜約40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
処理後の粒子状超吸収性ポリマーに処理試験を行う前の、自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、約20×10
−8cm
2〜約200×10
−8cm
2であり;
圧縮率が、約1.30mm
2/N〜約4mm
2/Nであり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が150μmを越えて600μm未満の粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の約85wt%以上で有し;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される重量平均粒径(D50)が300〜400μmの粒子を有する。
【0037】
また本発明は、粒子状超吸収性ポリマー、及び、粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.01wt%〜約5wt%の中和アルミニウム塩を含む、安定性が改善された粒子状超吸収性ポリマー組成物であって、
該中和アルミニウム塩は、pH値が約5.5〜約8の中和アルミニウム塩水溶液として、粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布され;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の遠心分離保持容量が、粒子状超吸収性ポリマー組成物1g当たり、約25g〜約40gの0.9質量%塩化ナトリウム水溶液であり;
処理試験を行う前の該粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、約20×10
−8cm
2〜約200×10
−8cm
2であり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物の圧縮率が、約1.30mm
2/N〜約4mm
2/Nであり;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が600μmを超える粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の約6wt%〜約15wt%で有する、前記粒子状超吸収性ポリマー組成物に関する。
【0038】
さらに本発明は、粒子状超吸収性ポリマー、及び、粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して0.01wt%〜約5wt%の中和アルミニウム塩を含む、安定性が改善された粒子状超吸収性ポリマー組成物であって、
該中和アルミニウム塩は、pH値が約5.5〜約8の中和アルミニウム塩水溶液として、粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布され;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される粒径が150μmを越えて600μm未満の粒子を、該粒子状超吸収性ポリマー組成物の約85wt%以上で有し;
該粒子状超吸収性ポリマー組成物は、標準ふるい分級で規定される重量平均粒径(D50)が300〜400μmの粒子を有する、前記粒子状超吸収性ポリマー組成物に関する。
【0039】
好適な超吸収性ポリマーは、合成、天然、生分解性、及び、変性天然のポリマーから選択することができる。超吸収性ポリマーに関して使用される架橋という用語は、通常水溶性である物質を効率よく実質的に水不溶性で膨潤性にするための任意の手段を意味する。そのような架橋手段としては、例えば、物理的な絡み合い、結晶性ドメイン、共有結合、イオン錯体、イオン会合、水素結合といった親水性会合、疎水性会合、又はファンデルワールス力が挙げられる。超吸収性ポリマーは内部架橋を含み、さらに表面架橋を含んでもよい。
【0040】
本発明の実施形態に記載されている超吸収性ポリマーは、超吸収性ポリマーに対して約55wt%〜約99.9wt%の重合性不飽和酸基含有モノマーを初期重合することによって得られる。好適なモノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸といったカルボキシル基を含有するもののいずれか、あるいは2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸、あるいはそれらの混合物を含む。酸基の少なくとも約50wt%がカルボキシル基であることが望ましく、酸基の少なくとも約70wt%がカルボキシル基であることがさらに望ましい。
【0041】
本発明の実施形態に記載されている超吸収性ポリマーを作製するプロセスは、超吸収性ポリマーに対して約55wt%〜約99.9wt%の重合性不飽和酸基含有モノマーを初期重合することによって得られる。好適なモノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸といったカルボキシル基を含有するもののいずれか、あるいは2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸、あるいはそれらの混合物を含む。酸基の少なくとも約50wt%がカルボキシル基であることが好ましく、酸基の少なくとも約75wt%がカルボキシル基であることがさらに好ましい。
【0042】
酸基は、アルカリ塩基により少なくとも約25mol%程度まで、又は約50mol%〜約80mol%まで中和される。すなわち、酸基はナトリウム、カリウム、又はアンモニウムの塩として存在することが好ましい。アルカリ塩基の量は、粒子状超吸収性ポリマー組成物の約14wt%〜約45wt%であってよい。アルカリ塩基は、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムを含んでもよい。いくつかの態様では、アクリル酸又はメタクリル酸の重合によって得られるポリマーを用いることが好ましく、それらのカルボキシル基は内部架橋剤の存在下で中和される。モノマー溶液へのアルカリ塩基の添加、又は、アルカリ塩基へのアクリル酸などのモノマーの添加のどちらかで、中和できることに留意されたい。
【0043】
いくつかの態様では、エチレン性不飽和モノマーと共重合することができる第二の好適なモノマーは、限定されるものではないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート、エトキシ化(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、又はアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含んでよい。このようなモノマーは、共重合性モノマーの約0wt%〜約40wt%の範囲で存在してよい。
【0044】
前記モノマーがアクリル酸の場合、それが部分中和されたアクリル酸塩は、重合後に粒子状吸水剤中でポリマーになる。部分中和されたポリアクリル酸塩を完全に等モルの未中和ポリアクリル酸とみなして換算することにより、アクリル酸の変換値を決定してよい。
【0045】
本発明の超吸収性ポリマーはまた、少なくとも一つの内部架橋剤を、重合性不飽和酸基含有モノマーの合計量に対して約0.001wt%〜約5wt%、又は約0.2wt%〜約3wt%含む。内部架橋剤は一般的に、少なくとも二つのエチレン性不飽和二重結合を有するか、又は一つのエチレン性不飽和二重結合と一つの官能基を有する。前記官能基は、重合性不飽和酸基含有モノマーの酸基又はいくつかの官能基に対して反応性であり、内部架橋成分として使用できる酸基に対して反応性であり、かつ、重合性不飽和酸基含有モノマーの重合中に存在するものである。
【0046】
超吸収性ポリマーに使用される内部架橋剤の例としては、脂肪族不飽和アミド(例えば、メチレンビスアクリル−又は−メタクリルアミド又はエチレンビスアクリルアミドなど);
ポリオール又はアルコキシル化ポリオールとエチレン性不飽和酸の脂肪族エステル(例えば、ブタンジオール又はエチレングリコール、ポリグリコール又はトリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレートなど);
約1〜約30モルのアルキレンオキシドでオキシアルキル化、好ましくはエトキシル化されたトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレートエステル;
グリセロール及びペンタエリスリトールの、並びに好ましくは約1〜約30モルのエチレンオキシドでオキシエチル化されたグリセロール及びペンタエリスリトールの、アクリレート及びメタクリレートエステル;
アリル化合物(例えば、アリル(メタ)アクリレート、好ましくは約1〜約30モルのエチレンオキシドと反応させられたアルコキシル化アリル(メタ)アクリレート、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、マレエート化ジアリルエステル、ポリ−アリルエステル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、少なくとも二つのビニル基を含むポリシロキサン、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ジオール、ポリオール、ヒドロキシアリル又はアクリレート化合物及びリン酸又は亜リン酸のアリルエステルなど);並びに、
メタクリルアミド又はアクリルアミドなどの不飽和アミドのN−メチロール化合物といった架橋可能なモノマー、及びこれら由来のエーテルが挙げられる。また、アルミニウム金属塩などのイオン性架橋剤を使用してもよい。また、上述の架橋剤の混合物を利用してもよい。
【0047】
別の実施形態では、超吸収性ポリマーは、第2の内部架橋剤を、重合性不飽和酸基含有モノマーの合計量に対して約0.001wt%〜約0.1wt%含んでよい。第2の内部架橋剤は、少なくとも二つのエチレン性不飽和二重結合を有する組成物を含んでもよく、
メチレンビスアクリルアミド又は−メタクリルアミド、又はエチレンビスアクリルアミド;
さらに、ジアクリレート又はトリアクリレートといった、ポリオールの不飽和モノ−又はポリカルボン酸のエステルで、例えばブタンジオール−又はエチレングリコールジアクリレート又−メタクリレート;
及びそれらのアルコキシル化誘導体;
さらに、アリル化合物で、例えば、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレエート化ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、ジ及び−トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸又は亜リン酸のアリルエステルなどが挙げられる。また、酸基に対して反応性の官能基を少なくとも一つ有する化合物を用いてもよい。その例として、メタクリルアミド又はアクリルアミド、及びこれら由来のエーテルなどの、アミドのN−メチロール化合物、並びにジ−及びポリグリシジル化合物が挙げられる。
【0048】
アゾ又はペルオキソ化合物、レドックス系又はUV開始剤、(増感剤)、及び/又は放射線などの通常の開始剤が、フリーラジカル重合を開始するために使用される。いくつかの態様では、開始剤は、フリーラジカル重合を開始するために使用され得る。好適な開始剤は、限定されるものではないが、アゾ又はペルオキソ化合物、レドックス系又はUV開始剤、増感剤、及び/又は放射線が挙げられる。
【0049】
重合は超吸収性ポリマーゲルを形成し、超吸収性ポリマーゲルは超吸収性ポリマー粒子、又は粒子状超吸収性ポリマーに造粒される。超吸収性ポリマーゲルは、一般的に超吸吸収性ポリマーゲルの約40wt%〜約80wt%の含水量を有する。粒子状超吸収性ポリマーは、一般的に約50μm〜約1000μm、又は約150μm〜約850μmの範囲の粒径を有する。本発明は、U.S.スタンダード30メッシュスクリーンを通して、U.S.スタンダード50メッシュスクリーン上に残ったものを測定したときに、約300μm〜約600μmの粒径を有する少なくとも約40wt%の粒子、約300μm〜約600μmの粒径を有する少なくとも約50wt%の粒子、又は、約300μm〜約600μmの粒径を有する少なくとも約60wt%の粒子を含んでよい。さらに、本発明の超吸収性ポリマー粒子の粒度分布は、例えばW.S.Tyler社(オハイオ州、Mentor)から入手可能なRO−TAP(登録商標)メカニカルシーブシェイカーB型を用いて測定したときに、約600μmを超える粒径を有する約30wt%未満の粒子と、約300μm未満の粒径を有する約30wt%未満の粒子と、約150μm未満の粒径を有する0wt%〜5wt%の粒子とを含んでよい。
【0050】
本発明の粒子状超吸収性ポリマーの別の実施形態では、樹脂粒子の粒径は次のように設定される。質量平均粒径は通常約200μm〜約450μm、又は約300μm〜約430μm、又は約300μm〜約400μm、約350μm〜約400μm、又は約360μm〜約400μm、又は約370μm〜約400μmである。さらに、150μm未満の粒子の割合は通常0〜約8wt%、又は0〜約5wt%、又は0〜約3wt%、又は0〜約1wt%である。さらに、600μmを超える粒子の割合は通常0〜約25wt%、又は3〜約15wt%、又は5〜約12wt%、又は5〜約8wt%である。
【0051】
粒径は、粒子を分散重合及び分散乾燥することで調整してよい。しかし、一般に、特に水性重合を行う場合、粒子は乾燥後に粉砕及び分級され、特定の粒径分布を得られるように質量平均粒径D50、及び150μmより小さい粒子と600μmより大きい粒子の量が調整される。例えば、質量平均粒径D50を有する粒子の粒径を400μm以下へ小さくし、また150μm未満の粒径と600μm超の粒径を有する微粒子の量を減らすことにより、特定の粒度分布が達成される場合、粒子は、ふるいなどの一般的な分級装置を用いて乾燥後にまず粗粒子と微粒子に分級されてよい。この工程は、好ましくは5000μm〜600μm、又は2000μm〜600μm、又は1000μm〜600μmの粒径を有する粗粒子を除去する。その後、主調整工程において、150μm未満の粒径を有する粒子が除去される。除去された粗粒子は廃棄してよいが、上記粉砕工程を経て、再度粉砕されることが多い。したがって、このように粉砕工程を経て、特定の粒度分布で製造されて得られる粒子状超吸収性ポリマーは、不規則に粉砕された粒子から構成される。
【0052】
粒子状超吸収性ポリマーは、本明細書に記載されたように、付加的な化学薬品及び処理により、表面処理されている。特に、粒子状超吸収性ポリマーの表面は、表面架橋剤の添加及び熱処理により架橋されている(一般的に表面架橋と呼ばれる)。一般的に、表面架橋は、粒子内部の架橋密度に対して、粒子状超吸収性ポリマー表面近傍のポリマーマトリクスの架橋密度を増加させるための工程である。表面架橋剤の量は、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物に対して約0.01wt%〜約5wt%の量でよく、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して約0.1wt%〜約3wt%や、約0.1wt%〜約1wt%などでよい。
【0053】
好ましい表面架橋剤として、ポリマー鎖のペンダント基(典型的には酸基)に対して反応性の官能基を1つ以上有する化学薬品が挙げられる。表面架橋剤は、縮合反応(縮合架橋剤)、付加反応、又は開環反応において、ポリマー構造の官能基と反応する官能基を含む。これらの化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン‐オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3‐ジオキソラン‐2‐オン(エチレンカーボネート)、4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン(プロピレンカーボネート)、又は4,5‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オンが挙げられる。
【0054】
粒子状超吸収性ポリマーを表面架橋剤又は表面架橋剤を含む液体と接触させた後、その処理された粒子状超吸収性ポリマーを、約50℃〜約300℃、又は約75℃〜約275℃、又は約150℃〜約250℃の温度で、その温度に応じて約5分〜約90分の時間で熱処理を行うと、ポリマー構造の外側領域が内部領域と比較してより強く架橋される(すなわち表面架橋)。熱処理の持続時間は、ポリマー構造の所望の特性プロファイルが熱の影響により破壊される危険性によって制限される。
【0055】
表面架橋のある特定の態様では、粒子状超吸収性ポリマーはエチレンカーボネートで表面処理され、続いて超吸収性ポリマー粒子の表面架橋に影響するよう加熱される。これにより、超吸収性ポリマーの表面架橋密度及びゲル強度特性が向上する。より具体的には、粒子状超吸収性ポリマーをエチレンカーボネート表面架橋剤のアルコール水溶液と混合することで、表面架橋剤は粒子状超吸収性ポリマーに塗布される。アルコール水溶液中のアルコールの量は、アルキレンカーボネートの溶解性によって決定でき、また例えば防爆といった様々な理由からできる限り少なく抑える。好適なアルコールは、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、又はブチルグリコール、並びにこれらアルコールの混合物である。いくつかの態様では、溶媒は好ましくは水であり、典型的には乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して約0.3wt%〜約0.5wt%の量で使用される。さらに他の態様では、エチレンカーボネート表面架橋剤は、例えば二酸化ケイ素(SiO
2)などの無機担体材料との粉末混合物、又はエチレンカーボネートの昇華による蒸気状態で塗布されてよい。
【0056】
所望の表面架橋特性を達成するために、エチレンカーボネートなどの表面架橋剤は、粒子状超吸収性ポリマー上に均一に分配されるべきである。このために、混合は、例えば流動床ミキサー、パドルミキサー、ロータリードラムミキサー、又はツインワームミキサーなどの、当技術分野で知られている適切なミキサー内で行われる。粒子状超吸収性ポリマーの1つの製造工程中に、粒子状超吸収性ポリマーのコーティングを行うことも可能である。ある特定の態様では、このために好適なプロセスは、逆懸濁重合プロセスである。
【0057】
表面架橋剤の溶液は、乾燥粒子状超吸収性ポリマーに対して約0wt%〜約1wt%、又は約0.01wt%〜約0.5wt%の熱可塑性ポリマーを含んでもよい。熱可塑性ポリマーの例としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン‐アクリル酸コポリマー(EAA)、エチレン‐アルキルメタクリレートコポリマー(EMA)、ポリプロピレン(PP)、マレエート化ポリプロピレン、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエステルを挙げることができ、またPP、EVA、EMA、EEA、EBA、HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE、および/又はVLDPEの混合物といったポリオレフィンの全ファミリーの混合物も有利に使用することができる。本明細書で使用される用語「ポリオレフィン」は、上記で定義されている。特定の態様では、マレエート化ポリプロピレンは、本発明で使用するのに好適な熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーは、水溶性又は分散性などのさらなる利点を有するように官能化してもよい。
【0058】
粒子状超吸収性ポリマーのコーティング処理の後に行う熱処理は、次のように行ってよい。一般に、熱処理は約100℃〜約300℃の温度である。高い反応性を有するエポキシド架橋剤を使用する場合、より低い温度が可能である。しかし、エチレンカーボネートを使用する場合は、熱処理は約150℃〜約250℃が好適である。この特定の態様では、処理温度は滞留時間及びエチレンカーボネートの種類に依存する。例えば、約150℃の温度では、熱処理は1時間以上行われる。これに対し、約250℃の温度では、所望の表面架橋特性を得るには数分(例えば約0.5分〜約5分)で十分である。熱処理は、当技術分野で知られている従来の乾燥機又はオーブン内で行ってよい。
【0059】
表面架橋に加えて、粒子状超吸収性ポリマー組成物は、他の化学成分によってさらに表面処理されてよい。本発明の粒子状超吸収性ポリマー組成物は、粒子状超吸収性組成物の質量に対して約0.01wt%〜約5wt%のアルミニウム塩を含み、アルミニウム塩はpH値が約5.5〜約8、又は約6〜約7の中和アルミニウム塩水溶液として、粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布される。あるいは、粒子状超吸収性ポリマー組成物は、粒子状超吸収性組成物の質量に対して約6wt%〜約15wt%のアルミニウム塩水溶液を含み、アルミニウム塩水溶液はpH値が約5.5〜約8、又は約6〜約7の中和アルミニウム塩水溶液として、表面架橋粒子状超吸収性ポリマーの表面に塗布される。アルミニウム塩の水溶液は、アルミニウムカチオン、及びヒドロキシルイオン又は脱プロトン化ヒドロキシル系有機酸のアニオンを含んでよい。好ましい有機酸の例は、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、又は3‐ヒドロキシプロピオン酸などのヒドロキシモノカルボン酸である。
【0060】
また、ダメージコントロールに対する耐性を含む安全性が大きく改善された超吸収性ポリマー組成物は、意外にも、pH値が約5.5〜約8、又は約6〜約7に調整され、また適切な濃度と量であるアルミニウム塩水溶液を、超吸収性ポリマーにコーティングすることで得られる。アルミニウム塩水溶液は、水酸化アルカリと硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウム水和物の反応生成物を含む。別の実施形態では、アルミニウム塩水溶液は、水酸化ナトリウムと硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウム水和物の反応生成物を含む。さらに別の実施形態では、アルミニウム塩水溶液は、アルミニウム化合物及び有機酸を含む。アルミニウム化合物と有機酸(塩)との混合物は、酸性又は塩基性であり得る。また、pH値は塩基性又は酸性の物質を用いて所望の範囲に調整できる。pH調整のための塩基性物質の例として、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、又は重炭酸ナトリウムが挙げられる。pH調整のための酸性物質の例として、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、メチルスルホン酸、又は水中の二酸化炭素が挙げられる。塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、及びポリ塩化アルミニウムなどの酸性アルミニウム塩、又はアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸アンモニウムなどの塩基性アルミニウム塩は、同様にpH調整のために使用することができる。
【0061】
アルミニウム塩水溶液は、粒子状超吸収性ポリマーの表面処理の様々な段階で添加されてよい。一実施形態では、アルミニウム塩水溶液は、表面架橋溶液と共に粒子状超吸収性ポリマーに塗布されてよい。
【0062】
アルミニウム塩水溶液は、後処理とも呼ばれる表面処理工程の後に添加されてよい。一実施形態では、表面架橋粒子状超吸収性ポリマー及びアルミニウム塩は、当業者に周知の手段を用いて混合される。具体的には、約6wt%〜約15wt%のアルミニウム塩水溶液が、表面架橋粒子状超吸収性ポリマー組成物に塗布される。
【0063】
改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して約0wt%〜約5wt%、又は約0.001wt%〜約3wt%、又は約0.01wt%〜約2wt%のカチオン性ポリマーを含んでよい。本明細書において使用されるカチオン性ポリマーは、水溶液中でイオン化した際に正電荷を持つイオンになり得る官能基を含むポリマー又はポリマーの混合物を意味する。カチオン性ポリマーの好適な官能基としては、限定されるものではないが、一級、二級、又は三級アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基、及び第四級アンモニウム基が挙げられる。合成系カチオン性ポリマーの例としては、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)、又はポリ(エチレンイミン)の塩又は部分塩が挙げられる。天然系カチオン性ポリマーの例としては、部分脱アセチル化キチン、キトサン、及びキトサン塩が挙げられる。
【0064】
改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して約0wt%〜約5wt%、又は約0.001wt%〜約3wt%、又は約0.01wt%〜約2wt%の水不溶性無機粉末を含んでよい。不溶性無機粉末の例としては、二酸化ケイ素、シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、クレー、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性粘土などが挙げられる。不溶性無機粉末添加剤は、上記のリストから選択される単一の化合物又は化合物の混合物であってよい。シリカの例として、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、二酸化ケイ素、ケイ酸、及びケイ酸塩が挙げられる。いくつかの特定の態様では、微細な非晶質二酸化ケイ素が好ましい。製品としては、Evonik社(ニュージャージー州、Parsippany)から入手可能なSIPERNAT(登録商標)22S及びAEROSIL(登録商標)200が挙げられる。いくつかの態様では、無機粉末の粒径は、1,000μm以下、例えば、100μm以下でよい。
【0065】
改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して約0wt%〜約30wt%、又は約0.001wt%〜約25wt%、又は約0.01wt%〜約20wt%の水溶性ポリマーを含んでよい。水溶性ポリマーは、例えば、部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、又はポリアクリル酸が挙げられ、好ましくは重合形態である。これらのポリマーの分子量は、それらが水溶性である限り重要ではない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン及びポリビニルアルコールである。本発明にかかる吸収性ポリマー中のこのような水溶性ポリマーの好ましい含有量は、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の合計量に対して0〜30wt%、又は0〜5wt%である。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールなどの合成系ポリマーは、モノマーが重合するときのグラフトベースともなり得る。
【0066】
改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物の質量に対して約0wt%〜約5wt%、又は約0.001wt%〜約3wt%、又は約0.01wt%〜約2wt%の脱塵剤を含んでよく、例えば米国特許6,090,875及び5,994,440に記載されるような、親水性及び疎水性の脱塵剤である。
【0067】
いくつかの態様では、改善された透過率安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物に対し、任意で追加の表面添加物を使用してよく、例えば、シクロデキストリン、ゼオライト、無機又は有機塩、または同様な材料といった臭気結合物質、及びアンチケーキング剤、流れ変性剤、界面活性剤、粘度調整剤などである。
【0068】
本発明の改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、熱処理工程の後に、脱プロトン化有機酸塩、アルミニウム塩、又はポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマーの水溶液といった水溶液で処理されてもよい。処理された粒子状超吸収ポリマー組成物は、粒子状超吸収性ポリマー組成物に対して、約3wt%〜約15w%、又は約4wt%〜約12wt%、又は約5wt%〜約11wt%の含水率を有する。
【0069】
本発明の改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、好ましくは以下の方法及び実施例に例示された方法を含む、当技術分野で開示されている様々な方法により調製することができる。粒子状超吸収性ポリマー組成物は、大規模な工業的方法で連続的又は不連続的に調製されてよく、後処理は本発明に従って実施されている。
【0070】
一つの方法によると、モノマーは、水酸化ナトリウムといったアルカリ塩基をモノマーに添加するか、又はモノマーをアルキル塩基溶液に添加することによって部分的に中和させる。その後、アクリル酸などのモノマーが部分中和されたものは、架橋剤及び任意のさらなる成分の存在下で溶液中でのフリーラジカル重合によりゲル化し、さらに、そのゲルは粉砕、乾燥、すり潰し、及び所望の粒径に分級され、これによって粒子状超吸収性ポリマーを形成する。この重合は連続的又は不連続的に行ってよい。
【0071】
本発明では、高容量の超吸収性ポリマー組成物粒子の粒径は、粉砕及び分級を含む製造プロセスに依存する。粒子状超吸収性ポリマーの粒径分布が、正規分布又はベル形状の曲線と似ていることは、当業者にとって公知である。様々な理由により粒径の正規分布がいずれかの方向に偏ることも、当業者にとって公知である。
【0072】
粒子状超吸収性ポリマーを製造する別の方法によると、逆懸濁及び乳化重合は、本発明にかかる生成物の調製に使用することもできる。これらのプロセスによると、アクリル酸などのモノマーの部分中和水溶液は、保護コロイド及び/又は乳化剤を用いて疎水性の有機溶媒に分散され、さらにフリーラジカル開始剤によって重合が開始される。内部架橋剤は、モノマー溶液に溶解されこれと一緒に計量供給されるか、又は、重合中に別々に適宜添加されるかのいずれかでよい。グラフトベースとしての水溶性ポリマーの添加は、モノマー溶液を介してか、又は、油相中に直接導入されることで適宜行ってよい。それから水は混合物から共沸除去され、ポリマーは濾別され適宜乾燥される。内部架橋は、モノマー溶液に溶解された多官能性架橋剤による内部重合、及び/又は、重合工程中の適切な架橋剤とポリマーの官能基との反応により行われる。
【0073】
本発明の改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は、自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)、 遠心分離保持容量(CRC)、約0.9psiの荷重下での吸収性(0.9psi AUL)、及び圧縮率により測定される一定の特徴又は特性を示す。FSGBP試験は、一般に「自由膨潤」条件と呼ばれる条件にした後、拘束圧下で10
−8cm
2の範囲の(例えば吸収性構造体から分離して)粒子状超吸収性ポリマー組成物の膨潤ベッドの透過率を測定するものである。これに関連して、用語「自由膨潤」は、説明されるような試験溶液を吸収する際に抑制荷重なしで粒子状超吸収性ポリマーが膨潤させられることを意味する。
【0074】
透過率は、多孔質構造の有効なつながりの尺度である。また、多孔質構造が、繊維マット又はフォームスラブ、もしくは本発明の場合、本明細書で通常粒子状超吸収性ポリマー組成物といわれる粒子状超吸収性ポリマー及び粒子状超吸収性ポリマー組成物、もしくはSAPであっても、透過率は、粒子状超吸収性ポリマー組成物のつながりの空隙率及び程度で指定することができる。ゲル透過率は、粒子状超吸収性ポリマー組成物全体の塊の特性であり、粒度分布、粒子形状、開気孔のつながり、剛性率、及び膨潤ゲルの表面改質に関する。実際には、粒子状超吸収性ポリマー組成物の透過率は、液体が膨潤した粒子の塊を通ってどれくらい早く流れるかの尺度である。低いゲル透過率は、液体が粒子状超吸収性ポリマー組成物を通って容易に流れることができないことを示し、このことは一般的にゲルブロッキングと呼ばれ、いずれかの強制的な液体の流れ(おむつ使用中の尿の第二の挙動など)が、代替の経路を取る必要があることを示す(例えばおむつ漏れ)。
【0075】
遠心分離保持容量(CRC)試験は、粒子状超吸収性ポリマー組成物が飽和し、制御された条件下で遠心分離された後に、液体を保持する能力を測定する。結果として得られる保持容量は、サンプルの質量1グラム当たりに保持される液体のグラム(g/g)により記載される。
【0076】
荷重下吸収性(AUL)試験は、粒子状超吸収性ポリマー組成物が、0.9psiの荷重下で、室温の蒸留水中の0.9質量%塩化ナトリウム(試験溶液)を吸収する能力を測定する。
【0077】
圧縮率試験は、圧力変化に対する応答としての粒子状超吸収性ポリマー組成物の相対的な体積変化を測定するものであり、処理前の粒子状超吸収性ポリマー組成物、又は製造された直後の粒子状超吸収性ポリマー組成物に対して行われる。
【0078】
本明細書に記載された遠心分離保持容量、荷重下吸収性、及びゲルベッド透過率の全ての値は、本明細書に記載される遠心分離保持容量試験、荷重下吸収性試験、自由膨潤ゲルベッド透過率試験、及び圧縮率試験によって決定されるものとして理解されるべきである。
【0079】
本発明の方法により製造された改善された安定性を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物は;
遠心分離保持容量が、約25g/g〜約40g/g、又は約27g/g〜約35;
0.9psiでの荷重下吸収性が、約15g/g〜約24g/g、又は約16g/g〜約22g/g;
圧縮率が、約1.30mm
2/N〜約4mm
2/N、又は約1.30mm
2/N〜約3.5mm
2/N;
透過率安定指数が、約0.60〜約0.99、また約0.70〜約0.97;そして
処理された粒子状超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行う前に、処理前自由膨潤ゲルベッド透過率(FSGBP)が、約20×10
−8cm
2〜約200×10
−8cm
2;
であってよく、また、粒子状超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行った後に、粒子状超吸収性ポリマー組成物は、透過率安定指数が約0.60〜約0.99、又は約0.70〜約0.97である。さらに、粒子状超吸収性ポリマー組成物は、生理食塩水に対する4.8kPaでの加圧下吸収倍率(AAP)が、20g/g以下、又は15g/g〜20g/gである。
【0080】
本発明の粒子状超吸収性ポリマー組成物は、通常約150μm〜約850μmの粒径を有し、標準ふるい分級で規定される600μmを超える粒径を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物を約1wt%〜約40wt%、又は600μmを超える粒径を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物を約1wt%〜約35t%、又は600μmを超える粒径を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物を約12wt%〜約25wt%、又は600μmを超える粒径を有する粒子状超吸収性ポリマー組成物を約15%未満含む。さらに、本発明の粒子状超吸収性ポリマー組成物は、約300〜約400μm、又は約350〜約400μm、又は約360〜約400μm、又は約370〜約400μmの標準ふるい分級で規定される重量平均粒径(D50)を有してもよい。
【0081】
本発明の粒子状超吸収性ポリマー組成物は、生理用ナプキン、おむつ、または創傷被覆材を含む多くの吸収性物品に使用することができ、また、それらは大量の経血、尿、又は他の体液を急速に吸収する特性を有する。本発明の製剤は、圧力下でさえも吸収された液体を保持し、かつ膨潤状態で構造内にさらなる液体を分配することもできるので、それらはより好ましくは、従来の最新の超吸収性組成物と比べたときに、綿毛などの親水性繊維材料について、より高濃度で使用される。また、それらは、おむつ構造内に綿毛含有物のない均質な超吸収剤層として使用するのに適しており、その結果として、特に薄い製品が可能である。さらに、ポリマーは、大人向けの衛生製品(例えば失禁用製品)に用いるのに適する。
【0082】
本発明のポリマーは、さらなる使用に適した吸収性物品にも利用される。特に、本発明のポリマーは、水又は水性液体のための吸収材に用いる吸収性組成物に使用でき、好ましくは、体液吸収のための構造に、発泡及び非発泡シート状構造に、包装材料に、植物成長のための構造に、土壌改良剤として、又は活性化合物担体として使用できる。このために、紙又は綿毛又は合成繊維との混合により、あるいは紙、綿毛、又は不織布の基材間に超吸収性ポリマーを分配することにより、あるいはキャリア材料への加工により、それらはウェブに加工される。
【0083】
試験手順
遠心分離保持容量試験(CRC)
CRC試験は、粒子状超吸収性ポリマー組成物が飽和して、そして制御された条件下で遠心分離を行った後に、その中に液体を保持する能力を測定する。結果として得られる保持容量は、サンプルの質量1グラム当たりに保持される液体のグラム(g/g)によって記載される。CRC試験は、粒子状超吸収性ポリマー組成物に本明細書に記載の処理試験を行う前、又は後のいずれかで行われてよい。被試験サンプルは、U.S.スタンダード30メッシュスクリーンを通して事前に篩い分けられ、U.S.スタンダード50メッシュスクリーン上に残った粒子から調製される。その結果、粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプルは、約300μm〜約600μmの範囲の粒径を有する。粒子は、手動又は自動で事前に篩い分けられてよい。
【0084】
保持容量は、約20gの事前に篩い分けられた粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプルを、サンプルに自由に試験溶液(蒸留水中の0.9質量%塩化ナトリウム)を吸収させつつサンプルを収容する水透過性袋に入れて測定される。Dexter社(アメリカ、コネチカット州、Windsor Locksに事業所を有する。)から入手できる型式番号1234Tのヒートシールフィルターペーパーなどの、ヒートシール可能なティーバッグ材料は、大部分の利用に適している。前記の袋は、5インチ×3インチの袋材料を半分に折り曲げて、開口端部を2か所ヒートシールし、2.5インチ×3インチの長方形の袋にすることで形成される。ヒートシールは、材料端部の内側約0.25インチである。サンプルが袋内に収納された後に、袋の残った開口端部もヒートシールされる。対照として空の袋も作る。試験されるそれぞれの粒子状超吸収性ポリマー組成物に対して、3つのサンプルが用意される。
【0085】
シールした袋を、それらが完全に濡れるまで押し込んでいるかを確認しながら、約23℃の試験溶液が入った皿に沈める。濡らした後、粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプルを約30分間溶液中に留め、その後溶液から取り出し、一時的に非吸収性の平らな面に置く。
【0086】
その後、濡れた袋を互いに離して、サンプルに約350Gの力をかけることができる適切な遠心分離機のバスケットの外周端部に置く。一つの適切な遠心分離機は、集水バスケット、デジタル回転計、及び平らな袋状サンプルの保持及び排水に対応した機械加工排水バスケットを有する、CLAY ADAMS DYNAC II、型式#0103である。複数のサンプルを遠心分離する場合、スピン時のバスケットのバランスを取るために、遠心分離機内で対向する位置にサンプルを配置する。(濡れたものも空のものも含め)その袋を、(例えば、約240〜360Gの力の変動を伴って目標の約350Gの力を達成するために)約1,600rpmで3分間遠心分離する。Gの力は、急加速又は重力にさらされる物体に加わる慣性力の単位として定義され、海面での32ft/sec
2に等しい。袋を取り出して秤量するが、最初に空の袋(対照物)を秤量し、続いて粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプルを含む袋を秤量する。袋自体に保持される溶液を考慮した、粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプルに保持される溶液の量が、超吸収性ポリマーの遠心分離保持容量(CRC)であり、超吸収性ポリマー1g当たりの流体のg数で表される。より具体的には、保持容量は次式で決定される。
CRC=[遠心分離後のサンプル袋の質量−遠心分離後の空袋の質量−乾燥サンプルの質量]/乾燥サンプルの質量
【0087】
3つのサンプルを試験し、結果を平均して粒子状超吸収性ポリマー組成物のCRCを決定する。
【0088】
自由膨潤ゲルベッド透過率試験(FSGBP)
本明細書で使用されるように、0psi膨潤圧下ゲルベッド透過率試験(FSGBP)とも呼ばれる自由膨潤ゲルベッド透過率試験は、一般に「自由膨潤」条件と呼ばれる条件下での、ゲル粒子(例えば、粒子状超吸収性ポリマー組成物、又は表面処理前の粒子状超吸収性ポリマーなど)の膨潤ベッドの透過率を決定する。用語「自由膨潤」は、説明されるような試験溶液を吸収する際に、抑制荷重なしでゲル粒子が膨張させられることを意味する。ゲルベッド透過率試験を行うための適切な装置は、
図1、2及び3に示されており、一般に500として示されている。試験装置集成体528は試験容器を含み、一般に530として示され、プランジャーは一般に536として示される。プランジャーは、長手軸方向に開けられたシリンダーホールを有するシャフト538、及びシャフトの底に位置するヘッド550を含む。シャフトホール562は、約16mmの直径を有する。プランジャーヘッドは接着などによりシャフトに接続される。12個のホール544は、シャフトの放射軸に開けられており、3個は、90°ごとに配置されて、約6.4mmの直径を有する。シャフト538は、LEXANロッド又は均等の材料から機械加工されて、約2.2cmの外径及び約16mmの内径を有する。
【0089】
プランジャーヘッド550は、7個のホール560の同心円状の内輪及び14個のホール554の外輪を有し、全てのホールは、約8.8mmの直径並びにシャフトに沿って約16mmの孔を有する。プランジャーヘッド550は、LEXANロッド又は均等の材料から機械加工されており、約16mmの高さ、及びそれがシリンダー534内に最低壁間隔で適合するが、依然として自由にスライドするように調整されている直径を有する。プランジャーヘッド550及びシャフト538の全長は約8.25cmであるが、プランジャー536の所望の質量を得るために、シャフトの上部を機械加工することができる。プランジャー536は、しっかりと張るために二軸延伸され、かつプランジャー536の下端に取り付けられた100メッシュステンレス鋼クロススクリーン564を含む。スクリーンをプランジャーヘッド550にしっかりと取り付けるようにする適切な溶媒を用いて、スクリーンはプランジャーヘッド550に取り付けられる。過剰な溶媒がスクリーンの開口部中に移動して、液流のための開口面積を減らすことのないように、慎重になる必要がある。IPS社(米国カリフォルニア州Gardenaに営業所を有する)製アクリル接着剤Weld−On#4が適切な接着剤である。
【0090】
試験容器530は、シリンダー534と、しっかりと張るために二軸延伸され、かつシリンダー534の下端に取り付けられた400メッシュステンレス鋼クロススクリーン566とを含む。スクリーンをシリンダーにしっかり取り付けるようにする適切な溶媒を用いて、スクリーンをシリンダーに取り付ける。過剰な溶媒がスクリーンの開口部中に移動して、液流のための開口面積を減らすことのないように、慎重になる必要がある。アクリル接着剤Weld−On#4(IPS社)が適切な接着剤である。
図2に568として示されているゲル粒子サンプルは、試験中にシリンダー534内のスクリーン566上に支持されている。
【0091】
シリンダー534は、透明なLEXANロッド又は均等の材料からくり貫くか、又はLEXAN管又は均等の材料から切削してよく、約6cmの内径(例えば、約28.27cm
2の断面積)、約0.5cmの壁厚及び約7.95cmの高さを有する。66mmの外径を有する領域534aがシリンダー534の下部31mmに存在するように、ステップがシリンダー534の外径に機械加工される。領域534aの直径と適合するo−リング540が、ステップの上部に位置してよい。
【0092】
輪状重り548は、シャフト538上で自由にスライドするように、直径約2.2cm及び深さ1.3cmのザグリ穴を有する。また、輪状重りは約16mmの貫通孔548aも有する。輪状重り548は、ステンレス鋼から、又は蒸留水中の0.9重量%塩化ナトリウム溶液である試験溶液の存在下で、腐食に耐性のある他の最適な材料から形成できる。プランジャー536及び輪状重り548の合計重量は、約596グラム(g)と等しく、それは約28.27cm
2のサンプル面積に対して、約0.3ポンド/平方インチ(psi)、又は約20.7ダイン/cm
2(2.07kPa)のサンプル568にかけられた圧力に対応する。
【0093】
後述の試験中に試験溶液が試験装置を通過するときに、一般に試験容器530は堰600上に置かれる。堰の用途は、試験容器530の上部からあふれ出した液体をそらして、あふれ出した液体を分別回収装置601に移すことである。堰は、ビーカー603を備えた天秤602の上方に位置することができ、膨潤したサンプル568を通過していく食塩水を回収するためにその上に置いている。
【0094】
「自由膨潤」条件下のゲルベッド透過率試験を行なうために、プランジャー536(その上に乗っている重り548を有する)が、空の試験容器530に置かれ、重り548の上部から試験容器530の下部までの高さは、0.01mmの精度を持つ適切なゲージを用いて測定される。測定中に厚さゲージがかける力は、可能な限り低くなるべきであり、好ましくは、約0.74ニュートン未満である。それぞれの空の試験容器530、プランジャー536、及び重り548の組み合わせの高さを測定すること、及び複数の試験装置を用いるときはどのプランジャー536及び重り548が使われるかを記録することが重要である。サンプル568を後で飽和し膨潤するときは、同じプランジャー536及び重り548が、測定に使われるべきである。また、サンプルカップ530が置かれている台が水平であり、重り548の上面がサンプルカップ530の底面と平行であることも好ましい。
【0095】
被試験サンプルは、U.S.スタンダード30メッシュスクリーンを通して事前に篩い分けられ、U.S.スタンダード50メッシュスクリーン上に残った粒子から調製される。その結果、粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプルは、約300μm〜約600μmの範囲の粒径を有する。超吸収性ポリマー粒子は、例えば、W.S.Tyler社(オハイオ州Mentor)製RO−TAPメカニカルシーブシェイカーB型によって、事前に篩い分けできる。篩分けは、10分間行なわれる。約2.0gのサンプルは、試験容器530内に置かれ、試験容器の底に均一に広げられる。次に、サンプルを飽和させ、サンプルを抑制荷重なしに膨潤させるために、容器(その中には、2.0gのサンプルを有し、プランジャー536及び重り548がない)を0.9%食塩水に約60分間沈める。飽和中において、サンプルカップ530が、液体容器の底より僅かに上になるように、サンプルカップ530は、液体容器内にあるメッシュ上にセットされる。メッシュは、サンプルカップ530中への食塩水の流れを妨げない。適切なメッシュは、Eagle Supply and Plastic社(米国ウィスコンシン州Appletonに営業所を有する)から部品番号7308として得ることができる。試験セル内の完全に平坦な食塩水表面からも明らかなように、食塩水は超吸収性ポリマー組成物粒子を余り覆わない。また、食塩水の深さは余り低くないので、セル内の表面は、食塩水というよりも、もっぱら膨潤超吸収性物によって規定される。
【0096】
この期間の終了時に、プランジャー536及び重り548の集成体は、試験容器530内の飽和したサンプル568上に置かれて、次に、サンプル容器530、プランジャー536、重り548、及びサンプル568が、溶液から取り出される。取り出した後、測定前に、サンプル容器530、プランジャー536、重り548、及びサンプル568は、適切な平坦かつ均一な厚さの大型の格子状非変形プレート上に約30秒間に置かれることになる。0点が初期高さの測定値から変わっていないならば、前に使ったものと同じ厚さゲージを用いて、重り548の上部からサンプル容器530の底までの高さを再び測定することにより、飽和したサンプル568の厚さは決定される。サンプル容器530、プランジャー536、重り548、及びサンプル568は、排水のための設けられる平坦かつ均一な厚さの大型の格子状非変形プレート上に置いてもよい。プレートは7.6cm×7.6cmの全体寸法を有しており、各格子は、長さ1.59cm×幅1.59cm×深さ1.12cmのセルの大きさの寸法を有する。適切な平坦かつ大型の格子状非変形プレート材料は、McMaster Carr Supply社(米国イリノイ州シカゴに営業所を有する)から入手可能なカタログ番号1624K27の放物状拡散パネルであって、それは適切な寸法に切断することができる。また、最初の空の集成体の高さを測定するときには、この平坦かつ大型のメッシュ非変形プレートが存在しなければならない。厚さゲージが係合された後に、できる限り早く高さ測定が行なわれるべきである。空のサンプル容器530、プランジャー536、及び重り548を測定することから得られた高さ測定値が、サンプル568を飽和させた後に得られた高さ測定値から引かれる。結果の値は、膨潤サンプルの厚さ、又は高さ「H」である。
【0097】
飽和したサンプル568、プランジャー536、及び重り548を内部に有するサンプル容器530中に0.9%食塩水の流れを送達することにより、透過率測定が始められる。容器中への試験溶液の流速は、食塩水がシリンダー534の上部から溢れ出るように調整され、それによって、サンプル容器530の高さと等しい一定の上部圧力になる。例えば定量ポンプ604のような、シリンダー上部からの少量であるが一定の量の流出を確保するのに十分である任意の適切な手段により、試験溶液は加えられてよい。溢れ出た液体は、分別回収装置601に移される。時間に対するサンプル568を通過する溶液の量は、天秤602及びビーカー603を用いて、重量測定法で測定される。溢流が始まると直ぐに、天秤602からのデータ点が、毎秒で少なくとも60秒間集められる。データ収集は、手動又はデータ収集ソフトウェアで行なわれてよい。膨潤したサンプル568を通過する流速Qは、サンプル568を通過する液体(グラム単位)対時間(秒単位)の線形最小二乗フィットにより、グラム/秒(g/s)の単位で決定される。
【0098】
cm
2単位の透過率は、次式:K=[Q×H×μ]/[A×ρ×P]{式中、K=透過率(cm
2)、Q=流速(g/秒)、H=膨張したサンプルの高さ(cm)、μ=液体粘度(poise)(この試験で使われる試験溶液は約1センチポアズ)、A=液流の断面積(この試験で使われるサンプル容器は28.27cm
2)、ρ=液体密度(g/cm
3)(この試験で使われる試験溶液は約1g/cm
3)、及びP=静水圧(ダイン/cm
2)(通常は約7,797ダイン/cm
2)。}により得られる。静水圧は、P=ρ
*g
*h{式中、ρ=液体密度(g/cm
3)、g=重力加速度(名目上981cm/秒
2)、及びh=液体の高さ(例えば本明細書に記載されるゲルベッド透過率試験では7.95cm)。}から計算される。
【0099】
最低でも2つのサンプルが試験されて、その結果が、粒子状超吸収性ポリマー組成物サンプルのゲルベッド透過率を決定するために平均される。
【0100】
粒子状超吸収性ポリマー組成物に本明細書に記載される処理試験を行う前に、FSGBPは本明細書に記載されるように測定されてよい。このようなFSGBPの値は、粒子状超吸収性ポリマー組成物の「処理前」FSGBPと呼ぶことができる。FSGBPは、粒子状超吸収性ポリマー組成物に処理試験を行った後に測定されてもよい。このようなFSGBPの値は、「処理後」FSGBPと呼ぶことができる。粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理前FSGBPと、粒子状超吸収性ポリマー組成物の処理後FSGBPとの比較は、組成物の安定性の尺度として使用されてよい。本明細書で報告された全ての「処理前」及び「処理後」FSGBPの値は、事前に篩い分けされた300μm〜600μmの粒子のサンプルを用いて測定されたことに留意されたい。
【0101】
荷重下吸収性試験(AUL(0.9psi))
荷重下吸収性(AUL)試験は、材料が0.9psiの荷重下にあるときに、粒子状超吸収性ポリマー組成物が、室温の蒸留水中の0.9質量%塩化ナトリウム(試験溶液)を吸収する能力を測定する。AULを試験するための装置は次の:
・シリンダー、4.4gのピストン、及び317gの標準重りを含むAUL集成体。この集成体の要素は、以下にさらに詳しく記載される。
・トレイの壁と接触せずに底部にガラスフリットを置くのに十分に幅広い、平底の正方形プラスチックトレイ。9インチ×9インチ(22.9cm×22.9cm)で深さが0.5〜1インチ(1.3〜2.5cm)であるプラスチックトレイが、通常この試験法で用いられる。
・直径9cmの、「C」気孔率(25〜50μm)を有する焼成ガラスフリット。このフリットは、食塩水(蒸留水中の0.9質量%塩化ナトリウム溶液)中で平衡化して予め調製される。フリットは、新しい食塩水の少なくとも2つの部分で洗浄されるのに加えて、AUL測定の前に少なくとも12時間食塩水に浸されなければならない。
・Whatman社、Grade 1の直径9cmの円形ろ紙。
・食塩水(蒸留水中の0.9重量%塩化ナトリウム溶液)の供給。
から構成される。
【0102】
図4に示すように、粒子状超吸収性ポリマー組成物410を入れるAUL集成体400のシリンダー412は、同心を確保するために、1インチ(2.54cm)の内径を有する熱可塑性管にわずかに機械加工を行って得られる。機械加工後、400メッシュステンレス鋼ワイヤクロス414を赤熱するまで炎中で加熱することによってシリンダー412の底部に取り付け、その後、冷却するまでシリンダー412をステンレス鋼ワイヤクロス上に保持する。失敗したり、壊れたりした場合には、シールの手直しをするためにはんだごてを使用してもよい。シリンダー412の平滑な底部を維持し、内側をゆがめないように注意しなければならない。
【0103】
4.4gのピストン(416)は、直径1インチの固体材料(例えば、PLEXIGLAS(登録商標))から作られ、シリンダー412に結合することなくぴったりと収まるように機械加工される。
【0104】
317gの標準重り418は、62,053dyne/cm
2(約0.9psi)の抑制荷重を与えるために使用される。重りは、1インチ(2.5cm)の直径を有する円筒状のステンレス鋼重りであり、シリンダー412に結合することなくぴったりと収まるように機械加工される。
【0105】
特に指定のない限り、少なくとも約300gsm(0.16g)の超吸収性ポリマー組成物粒子の層に相当するサンプル410が、AULの試験に使用される。サンプル410は、U.S.スタンダード30メッシュを通して事前に篩い分けられ、U.S.スタンダード50メッシュ上に残った超吸収性ポリマー組成物粒子から用意される。超吸収性ポリマー組成物粒子は、例えば、W.S.Tyler,Inc.社(オハイオ州メンター)から入手できるRO−TAP(登録商標)機械式ふるい振とう機モデルBで事前に篩い分けることができる。篩い分けは約10分間行われる。
【0106】
超吸収性ポリマー組成物粒子410をシリンダー412に入れる前に、シリンダー412の内側を帯電防止布で拭く。
【0107】
篩い分けられた粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプル410の望ましい量(約0.16g)は、秤量紙の上に秤取され、シリンダー412の底部でワイヤクロス414の上に均一に分配される。シリンダーの底部における粒子状超吸収性ポリマーの質量は、以下に記載されるAUL計算に使用するために「SA」として記録される。粒子状超吸収性ポリマー組成物がシリンダーの壁に密着しないように注意する。シリンダー412内の超吸収性ポリマー組成物粒子410の上に4.4gのピストン412及び317gの重り418を慎重に置いた後、シリンダー、ピストン、重り、及び粒子状超吸収性ポリマー組成物を含むAUL集成体400は秤量され、質量は質量「A」として記録される。
【0108】
焼成ガラスフリット424(上述)はプラスチックトレイ420内に置かれ、食塩水422が焼成ガラスフリット424の上面の高さと同等な高さまで加えられる。円形ろ紙426は、ガラスフリット424の上に静かに置かれ、その後、粒子状超吸収性ポリマー組成物410を有するAUL集成体400がろ紙426の上に置かれる。次に、AUL集成体400は、トレイ内の食塩水の高さを保つように注意しながら、1時間の試験期間に亘ってろ紙426の上に放置される。1時間の試験期間の最後にAUL装置は秤量され、この値は質量「B」として記録される。
【0109】
AUL(0.9psi)は、次式:AUL(0.9psi)=(B−A)/SA{式中、A=乾燥SAPを有するAULユニットの質量、B=60分間の吸収後のSAPを有するAULユニットの重量、SA=実際のSAPの重量。}から計算される。
【0110】
少なくとも2回の試験が行われ、その結果が、0.9psi荷重下におけるAUL値を決定するために平均される。粒子状超吸収性ポリマー組成物サンプルは、約23℃、及び約50%の相対湿度で試験される。
【0111】
加圧下吸収倍率[AAP(0.7psi)]
ステンレス鋼400メッシュ標準ふるい(38μmのメッシュサイズ)は、内径60mmのプラスチック製支持円筒の底に結合され、そして、0.9000gの吸水性樹脂又は吸水剤がふるいの上に均一に振りかけられる。60mmより僅かに小さい外径を有し、かつ支持円筒内で隙間なく垂直方向に自由にストロークするように支持円筒内で適合するべくサイズ決めされたピストンを調製した。4.83kPa(0.7psi)の荷重が吸水性樹脂又は吸水剤に均一にかかるように、ピストンは調整される。ピストン及び荷重は、この順序で吸水性樹脂又は吸水剤の上に置かれ、そして、この測定装置の総質量Wa(g)が測定される。その後、直径90mmのガラスフィルター(相互理化学硝子製作所社製、孔径100μm〜120μm)は、直径150mmのペトリ皿の内に置かれ、各溶液がガラスフィルターの上面の高さまで加えられる。
【0112】
ガラスフィルターの上に、ろ紙(Whatman社、Grade 1の直径9cmの円形ろ紙)は置かれて、ろ紙が完全に濡れるようにし、かつ、余分な溶液は除かれる。
【0113】
その後、測定装置は濡れたろ紙の上に置かれ、圧力下で接触した溶液を吸収した。1時間後、測定装置は持ち上げられ、測定装置の質量Wb(g)が測定される。このように測定されたWa及びWbの値から、加圧下吸収倍率(g/g)は次式:AAP(0.7)(g/g)={Wb(g)−Wa(g)}/(0.9gの吸水性樹脂)を用いて計算された。
【0114】
含水量試験
「水分%」として測定される含水量は、次のように計算できる:1)予め秤量したアルミニウム秤量皿内で、5.0gの超吸収性ポリマー組成物(SAP)を正確に秤量する;2)SAP及び皿を、105℃に予熱した標準的なラボオーブンに3時間入れる;3)皿及び内容物を取り出して再秤量する;並びに4)次式:水分%=[{(皿の質量+処理前SAPの質量)−(乾燥したSAP及び皿の質量)}×100]/処理前SAPの質量、を用いて水分%を計算する。
【0115】
圧縮率試験
圧縮率試験は、粒子状超吸収性ポリマー組成物の、圧力変化に対する応答としての相対的な体積変化を測定する。試験はZwick引張・圧縮試験機、Zwicki1120で行う。上部に可動ピストンを設けた有底の厚肉シリンダーの試験セル内に、超吸収性ポリマー組成物のサンプルを置く。シリンダーは直径5cm、深さ1cmである。ピストンは、0.2mm/minの速度で動く。ピストンがサンプルの表面に接触したときに、垂直抗力を増やしはじめる。垂直抗力が90Nに達したときに、試験を終了する。0N及び90Nの垂直抗力でのサンプルの高さが、Zwick引張・圧縮試験機に接続されているコンピュータで自動的に記録される。
圧縮率=(初期高さ−最終高さ)/(初期高さ)×(ピストンの表面積)/(最大垂直抗力)
【0116】
処理試験
処理試験は、外力に対する超吸収性ポリマー組成物の性能特性の安定性を測定する。試験条件は、吸収性物品の減量プロセスをシミュレートするように選択する。粒子状超吸収性ポリマー組成物のサンプル40gを、8インチのU.S.スタンダード18メッシュスクリーンを通して合板(寸法22.5”×17.25”×0.03”、アメリカウィスコンシン州ウォーソーにあるCentral Wisconsin Paper社から市販されている)の上に散布し、直径8インチの円を作る。その後、別の合板をサンプルの上に置き、合板−サンプル−合板のサンドイッチにする。その後、1150ポンド/平方インチの油圧、及び20rpmの速度に設定した2ロールカレンダープレス機(BF Perkins社、シリアル番号H8617−67)に、そのサンドイッチを通す。次いで、処理されたサンプルを合板から取る。CRC、AUL、及びFSGBPを、初期及び処理後のサンプルに対して測定する。透過率安定指数は、超吸収性ポリマー組成物の安定性の指標として用いられる。これは、次式:透過率安定指数=(処理後サンプルのGBP)/(初期サンプルのGBP)を用いて計算される。
【実施例】
【0117】
以下のSAP半製品A、B及びB1、中和アルミニウム塩C〜F、比較例1〜5、並びに、実施例1〜14は、特許請求の範囲に記載されている粒子状超吸収性ポリマー組成物を含む製品、及び粒子状超吸収性ポリマー組成物の製造方法の発明を例示するものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。特に明記しない限り、全ての部、及びパーセント(%)は乾燥粒子状超吸収性ポリマー組成物を基準とする。
【0118】
SAP半製品A
超吸収性ポリマーは以下のようにして製造できる。撹拌機及び冷却コイルを備えたポリエチレン容器中に、2.0kgの50%NaOHと3.32kgの蒸留水を加えて、20℃に冷却した。次に、0.8kgの氷アクリル酸をその苛性溶液に加えて、溶液を20℃に再冷却した。4.8gのポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、4.8gのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートSARTOMER(登録商標)454製品、及び1.6kgの氷アクリル酸を第一の溶液に加えて、次に4〜6℃に冷却した。そのモノマー溶液に窒素を約5分間バブリングした。次に、モノマー溶液を長方形のトレイ中に排出した。80gの1質量%H
2O
2水溶液、120gの2質量%過硫酸ナトリウム水溶液、及び72gの0.5重量%エリソルビン酸ナトリウム水溶液をモノマー溶液に加えて重合反応を開始させた。撹拌機を停止し、その開始させたモノマーを20分間にわたって重合させた。
【0119】
粒子状超吸収性ポリマーは以下のようにして調製できる。得られたヒドロゲルを切り刻んで、Hobart 4M6工業用押し出し機で押し出して、次にProcter&Schwartz型式062の強制空気オーブン内において175℃で、空気の上昇流で12分間、空気の下降流で6分間、20インチ×40インチ穴あき金属トレイ上で、5質量%未満の最終製品水分レベルまで乾燥させた。乾燥した材料をProdeva315−S型粉砕機内で粗粉砕し、MPI666−F3段ロールミル内で粉砕し、Minox MTS600DS3Vを用いてふるいにかけて、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた半製品Aは4.0%の水分を含有していた。
【0120】
SAP半製品B
超吸収性ポリマーは以下のようにして製造できる。撹拌機及び冷却コイルを備えたポリエチレン容器中に、1.9kgの50%NaOHと3.34kgの蒸留水を加えて、20℃に冷却した。次に、0.83kgの氷アクリル酸をその苛性溶液に加えて、溶液を20℃に再冷却した。4.46gのポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、4.46gのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートSARTOMER(登録商標)454製品、及び1.65kgの氷アクリル酸を第一の溶液に加えて、次に4〜6℃に冷却した。そのモノマー溶液に窒素を約5分間バブリングした。次に、モノマー溶液を長方形のトレイ中に排出した。80gの1質量%H
2O
2水溶液、120gの2質量%過硫酸ナトリウム水溶液、及び72gの0.5重量%エリソルビン酸ナトリウム水溶液をモノマー溶液に加えて重合反応を開始させた。撹拌機を停止し、その開始させたモノマーを20分間にわたって重合させた。
【0121】
粒子状超吸収性ポリマーは以下のようにして調製できる。得られたヒドロゲルを切り刻んで、Hobart 4M6工業用押し出し機で押し出して、次にProcter&Schwartz型式062の強制空気オーブン内において175℃で、空気の上昇流で12分間、空気の下降流で6分間、20インチ×40インチ穴あき金属トレイ上で、5質量%未満の最終製品水分レベルまで乾燥させた。乾燥した材料をProdeva315−S型粉砕機内で粗粉砕し、MPI666−F3段ロールミル内で粉砕し、Minox MTS600DS3Vを用いてふるいにかけて、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた半製品Bは4.3%の水分を含有していた。
【0122】
SAP半製品A1
超吸収性ポリマーは以下のようにして製造できる。撹拌機及び冷却コイルを備えたポリエチレン容器中に、2.0kgの50%NaOHと3.32kgの蒸留水を加えて、20℃に冷却した。次に、0.8kgの氷アクリル酸をその苛性溶液に加えて、溶液を20℃に再冷却した。4.8gのポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、4.8gのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートSARTOMER(登録商標)454製品、及び1.6kgの氷アクリル酸を第一の溶液に加えて、次に4〜6℃に冷却した。そのモノマー溶液に窒素を約5分間バブリングした。次に、モノマー溶液を長方形のトレイ中に排出した。80gの1質量%H
2O
2水溶液、120gの2質量%過硫酸ナトリウム水溶液、及び72gの0.5重量%エリソルビン酸ナトリウム水溶液をモノマー溶液に加えて重合反応を開始させた。撹拌機を停止し、その開始させたモノマーを20分間にわたって重合させた。
【0123】
粒子状超吸収性ポリマーは以下のようにして調製できる。得られたヒドロゲルを切り刻んで、Hobart 4M6工業用押し出し機で押し出して、次にProcter&Schwartz型式062の強制空気オーブン内において175℃で、空気の上昇流で10分間、空気の下降流で6分間、20インチ×40インチ穴あき金属トレイ上で、5質量%未満の最終製品水分レベルまで乾燥させた。乾燥した材料をProdeva315−S型粉砕機内で粗粉砕し、MPI666−F3段ロールミル内で粉砕し、Minox MTS600DS3Vを用いてふるいにかけて、700μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた半製品A1は、600μmより大きい粒子を12%含んでいた。得られた半製品A1の含水量は4.0%と測定された。
【0124】
中和アルミニウム塩C
200gの硫酸アルミニウム溶液(20%水溶液)を、磁気撹拌子を用いてビーカー内で撹拌した。この溶液に、混合物のpHが7になるまで水酸化ナトリウム溶液(50%水溶液を加えた。全体として130gの水酸化ナトリウム溶液を消費した。白色のコロイド懸濁液を15分間撹拌し、さらにTurnaxミキサーを用いて1分間せん断し凝集塊を砕いた。さらに精製することなく、中和アルミニウム塩をSAPの変性に用いた。
【0125】
中和アルミニウム塩D
120gの硫酸アルミニウム溶液(20%水溶液)を、磁気撹拌子を用いてビーカー内で撹拌した。この溶液に、混合物のpHが6.5になるまでアルミン酸ナトリウム溶液(20%水溶液)を加えた。全体として60gのアルミン酸ナトリウム溶液を消費した。白色のコロイド懸濁液を15分間撹拌し、さらにTurnaxミキサーを用いて1分間せん断し凝集塊を砕いた。さらに精製することなく、中和アルミニウム塩をSAPの変性に用いた。
【0126】
中和アルミニウム塩E
49gの乳酸(88%、ADM社から市販されている)及び161.5gの水を1000mlビーカーに加えた。そのビーカーを氷浴中で冷却し、溶液を磁気撹拌子で撹拌した。アルミン酸ナトリウムの溶液(73.2g、43%wt/wt水溶液)をビーカー内に加えた。次に、硫酸アルミニウム水和物(59.3g、48%wt/wt水溶液)をビーカー内に加えた。得られた混合物はpH値が6.3の透明な溶液であった。得られた中和アルミニウム塩溶液を、SAPの表面改質に用いた。
【0127】
中和アルミニウム塩F
19.2gのグリコール酸(Sigma−Aldrich社から市販されている)及び130.1gの水を1000mlビーカーに加えた。そのビーカーを氷浴中で冷却し、溶液を磁気撹拌子で撹拌した。アルミン酸ナトリウムの溶液(103.7g、20%wt/wt水溶液)をビーカー内に加えた。次に、硫酸アルミニウム水和物(44.9g、40%wt/wt水溶液)をビーカー内に加えた。得られた混合物はpH値が6.0の透明な溶液であった。得られた中和アルミニウム塩溶液を、SAPの表面改質に用いた。
【0128】
比較例1
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、4gの硫酸アルミニウム水和物溶液(48%wt/wt水溶液)及び12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.1%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は21.7である。
【0129】
比較例2
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、6gのアルミン酸ナトリウム溶液(33%wt/wt水溶液)及び12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.2%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は20.7である。
【0130】
比較例3
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液C及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は20.1である。
【0131】
比較例4
11.4gの中和アルミニウム塩溶液Eを、12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)と混合した。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、その混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.2%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は19.7である。
【0132】
比較例5
11.4gの中和アルミニウム塩溶液Eを、12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)と混合した。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、その混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。11.4gの中和アルミニウム塩溶液E、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び8.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は2.3%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は21.7である。
【0133】
実施例1
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液C及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却し、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)及び40gの脱イオン水を含む溶液で被覆した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は7.9%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.8である。
【0134】
実施例2
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液C及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却し、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、1.6gの乳酸ナトリウム、及び40gの脱イオン水を含む溶液で被覆した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は7.9%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.9である。
【0135】
実施例3
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液C及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却し、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、1.6gのグルコン酸ナトリウム、及び40gの脱イオン水を含む溶液で被覆した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は7.8%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.9である。
【0136】
実施例4
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液D及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却し、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)及び40gの脱イオン水を含む溶液で被覆した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は7.5%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.7である。
【0137】
実施例5
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液D及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却し、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、1.6gの乳酸ナトリウム、及び40gの脱イオン水を含む溶液で被覆した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は7.6%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.6である。
【0138】
実施例6
SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、16gの中和アルミニウム塩溶液D及び8gのエチレンカーボネート溶液(50%wt/wt水溶液)を、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は0.13%と測定された。表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却し、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、1.6gのグルコン酸ナトリウム、及び40gの脱イオン水を含む溶液で被覆した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物の含水量は7.8%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.2である。
【0139】
実施例7
11.4gの中和アルミニウム塩溶液Eを、12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)と混合した。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、その混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。11.4gの中和アルミニウム塩溶液E、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び28.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物は、600μmより大きい粒子を33%含んでいた。生成物の含水量は7.1%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は19.7である。
【0140】
実施例8
ふるいを25/100メッシュのU.S.スタンダードふるいに変更した以外は、実施例9と同様である。得られた生成物は、600μmより大きい粒子を12%含んでいた。生成物の含水量は7.5%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は19.0である。
【0141】
実施例9
11.4gの中和アルミニウム塩溶液Eを、12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)と混合した。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、その混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Bの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で30分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。11.4gの中和アルミニウム塩溶液E、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び28.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物は、600μmより大きい粒子を25%含んでいた。生成物の含水量は7.7%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は20.3である。
【0142】
実施例10
11.4gの中和アルミニウム塩溶液Eを、12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)と混合した。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、その混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。11.4gの中和アルミニウム塩溶液E、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び40.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。生成物の含水量は11%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は19.6である。
【0143】
実施例11
4gのエチレンカーボネートを19.7gの中和アルミニウム塩溶液Fに溶かし、その混合物を、SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。12gの中和アルミニウム塩溶液F、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び32.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。生成物の含水量は8.5%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は19.0である。
【0144】
実施例12
16gのエチレンカーボネート溶液(25%wt/wt水溶液)を、SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、PaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品Aの表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で55分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。11.4gの中和アルミニウム塩溶液E、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び24.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物は、600μmより大きい粒子を25%含んでいた。生成物の含水量は7.7%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は18.5である。
【0145】
実施例13
中和アルミニウム塩溶液Eの代わりにFを使用した以外は、実施例12と同様である。得られた生成物の含水量は6%と測定された。生成物の平均AAP(0.7psi)は19.3である。
【0146】
【表1】
【0147】
【表2】
【0148】
実施例14
11.4gの中和アルミニウム塩溶液Eを、12gのエチレンカーボネート溶液(33%wt/wt水溶液)と混合した。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、その混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して400gのSAP半製品A1の表面に塗布した。次に、表面架橋のために、被覆された材料を対流式オーブン内で185℃で45分間加熱した。次に、表面架橋粒子材料を60℃以下に冷却した。11.4gの中和アルミニウム塩溶液E、0.4gのポリエチレングリコール(分子量8000)、及び28.0gの脱イオン水を混合し透明な溶液を得た。SAP粒子を空気中で流動させ、連続的に混合しながら、得られた混合物をPaascheVL噴霧器から微細に噴霧して表面架橋粒子材料に塗布した。被覆された材料を室温で1日置いた後、20/100メッシュのU.S.スタンダードふるいを用いて篩い分け、850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。得られた生成物は、600μmより大きい粒子を7.9%含み、398μmの平均PSDを有していた。生成物の含水量は7.0%と測定された。生成物の特性は、CRCが30.2g/g、AUL(0.9psi)が17.8g/g、AAP(0.7psi)が18.9g/g、及びGBPが46.2×10
−8cm
2であった。
【0149】
本発明の広範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に示される数値は可能な限り正確に示されている。作業実施例、又は別段の指示されるものを除き、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる成分量、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」により修飾されていると理解されたい。しかし、任意の数値は、それらの各試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。