【文献】
Abstracts of the General Meeting of the American Society for Microbiology,2007年,Vol.107,p.267, E-012
【文献】
Cell. Microbiol.,2011年,Vol.13, No.9,p.1358-1370
【文献】
Vir. Res.,2011年,Vol.160,p.404-408
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒト化抗体またはその断片が、配列番号20で記載された重鎖FR1(Framework region 1);配列番号21で記載された重鎖FR2;配列番号22または配列番号28で記載された重鎖FR3;及び配列番号23で記載された重鎖FR4を含む重鎖可変領域と、配列番号24で記載された軽鎖FR1;配列番号25で記載された軽鎖FR2;配列番号26で記載された軽鎖FR3;及び配列番号27で記載された軽鎖FR4を含む軽鎖可変領域とをさらに含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその断片。
前記ヒト化抗体が、それぞれ配列番号10及び配列番号12;配列番号32及び配列番号34;配列番号36及び配列番号38;配列番号40及び配列番号42;配列番号44及び配列番号46;配列番号48及び配列番号50;配列番号52及び配列番号54;配列番号56及び配列番号58;配列番号60及び配列番号62;配列番号64及び配列番号66;配列番号68及び配列番号70;配列番号72及び配列番号74;配列番号76及び配列番号78;または、配列番号80及び配列番号82で記載された重鎖及び軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載のヒト化抗体またはその断片。
前記抗体またはその断片が、配列番号1のペプチドの9番目、45番目、54番目、76番目、94番目または129番目のアミノ酸残基に特異的に結合するものである、請求項1,5,8のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
前記ウイルスが、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するウイルス、ピコルナウイルス科(Picorna viridae)に属するウイルス、レトロウイルス科(Retroviridae)に属するウイルス、ヘルペス(Herpes)属ウイルス、フィロウイルス科(Filoviridae)に属するウイルス、コロナウイルス科(Coronaviridae)に属するウイルス、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)に属するウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属するウイルス、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)に属するウイルスで構成される群から選択されたものである、請求項16に記載の組成物。
前記ウイルスが、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、脳心筋炎ウイルス、メンゴウイルス(Mengovirus)、レオウイルス(Reovirus)、HIV(human immunodeficiency virus)、エボラウイルス(Ebolavirus)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus;SARS)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus;MERS)、HCMV(human cytomegalovirus)及びハンタンウイルス(Hantaan virus)からなる群から選択されたウイルスである、請求項16に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は一つの様態として配列番号1の分離されたペプチドに特異的に結合する抗体または前記ペプチドの結合断片を提供する。
前記抗体はこれに制限されないが、その例としてマウス抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体であってもよい。
【0015】
本発明の前記ヒト化抗体または前記ペプチドの結合断片は抗原と直接的に結合するマウスの単クローンまたはモノクローナル抗体の可変領域の相補性決定部位を人間抗体骨格に移植して、本来のマウス抗体の親和度及び特異性を維持しながら人体内でHAMA(human anti-mouse antibody)反応を抑制する優秀性を有している。さらに、脱免疫(de-immunization)方法を用いて免疫原性を下げたヒト化抗体として、人間に投与する時に免疫原性を著しく下げて安全な製剤として使用されうる。すなわち、これは配列番号1のペプチド部位が外部に露出された細胞に反応して影響を与えながら人間の免疫システムとより良好に相互作用して、例えばウイルス感染細胞と反応しながら補体依存性細胞毒性(complement-dependent cytotoxicity、CDC)または抗体依存性細胞性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)を起こさないようにして目的細胞をより効率的に治療することができる。また、免疫原性の減少により人間の免疫システムが前記抗体を外来のものと認識しないという利点がある。また、より少ない量、より少ない頻度の薬物を投与した時にも、人間の循環システム内の半減期が天然発生抗体と類似するという利点がある。
【0016】
本発明で前記配列番号1の分離されたペプチドに特異的に結合するマウス抗体は「mVSF(mouse Virus Suppressing Factor)」と通称してもよく、キメラ抗体は「chVSF(chimeric Vrus Suppressing Factor)」と通称してもよく、ヒト化抗体は「hzVSF(humainzed Virus Suppressing Factor)」と通称してもよい。本発明で用語、ヒト化抗体hzVSFまたはその変異体は互いに混用されてもよく、hzVSFはhzVSF野生型(hzVSF_wt)及びhzVSFの変異体(例えば、hzVSF_var1、hzVSF_v1またはhzVSF_1などで表記)と混用されてもよい。
【0017】
本発明で配列番号1の分離されたペプチドはビメンチン(vimentin)のアミノ酸142番〜294番の位置に該当するもので、本発明の抗体またはその断片が結合することができる限り、前記配列だけでなく前記配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。前記配列番号1の分離されたペプチドはエピトープを含む抗原領域であって、抗体またはその断片と結合されて本発明と同様の機能を示すことができる限り、ビメンチンアミノ酸の142番〜211番または211番〜294番であってもよい。また、このような相同性を有するアミノ酸配列であれば、一部配列が欠失、変形、置換または付加されたアミノ酸配列も本発明の範囲内に含まれるのは自明である。ビメンチンはVIM遺伝子によりコードされるタンパク質であって、細胞内の小器官(organelle)を支持し位置に固定させる機能をするもので、主に細胞の骨格、タンパク質の移動及び細胞のシグナル伝達に関与することが知られており、がんマーカーとして用いられることが知られているが、ここに結合しうる抗体が抗ウイルス作用をすることができることに関しては知られていなかった。
【0018】
本発明の配列番号1の分離されたペプチドに特異的に結合する抗体または前記ペプチドの結合断片はウイルスに感染された細胞に特異的に反応することで、ウイルス感染細胞でVSF(Virus suppressing factor)の受容体が外部に現れ、これに結合することである。このような本発明の抗体または前記ペプチドの結合断片は前記のようにウイルス感染細胞特異的な結合により抗ウイルス活性及び抗炎症活性を示すため、抗ウイルス用組成物、ウイルス感染性疾患、炎症性疾患の予防または治療分野においても有用に用いることができる。
【0019】
前記抗体または前記ペプチドの結合断片は、具体的に配列番号1のペプチドの9番目、45番目、54番目、76番目、94番目または129番目のアミノ酸残基に特異的に結合するものであってもよく、より具体的には配列番号1のペプチドの9番目、45番目、54番目、76番目、94番目及び129番目のアミノ酸残基に特異的に結合するものであってもよいが、配列番号1の分離されたペプチドに特異的に結合する限り、これに制限されない。
【0020】
本発明において用語、「抗体」は、免疫学的に特定抗原と反応性を有する免疫グロブリン分子を含む、抗原を特異的に認識するリガンド役割をするタンパク質分子を意味し、ポリクローン抗体、モノクローン抗体、全体(whole)抗体及び抗体断片をすべて含む。また前記用語はキメラ性抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)及び二価(bivalent)または二重特異性分子(例えば、二重特異性抗体)、ダイアボディー、トリアボディー及びテトラボディーを含む。前記用語はさらにFcRnに対する結合機能を保有した単鎖抗体、scAb、抗体不変領域の誘導体及びタンパク質スカフォールドに基礎した人工抗体を含む。全体抗体は2つの全長の軽鎖及び2つの全長の重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は重鎖とジスルフィド結合で連結されている。前記全体抗体はIgA、IgD、IgE、IgM及びIgGを含み、IgGは亜型(subtype)としてIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む。
【0021】
ここで使用される用語、「断片」、「ペプチドの結合断片」及び「抗体断片」は、抗体の抗原結合活性を保有する本発明の抗体の任意の断片を称するもので、互換的に用いられる。例示的な抗体断片は一本鎖抗体、Fd、Fab、Fab’、F(ab’)
2、dsFvまたはscFvを含むが、これに限定されない。前記FdはFab断片に含まれている重鎖部分を意味する。前記Fabは軽鎖及び重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域及び重鎖の一番目不変領域(CH1ドメイン)を有する構造で、一個の抗原結合部位を有する。Fab’は重鎖CH1ドメインのC末端に一つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有することでFabと相異する。F(ab’)
2抗体はFab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合をなして生成される。Fv(variable fragment)は重鎖可変部位及び軽鎖可変部位のみを有している最小の抗体フラグメントを意味する。二重ジスルフィドFv(dsFv)はジスルフィド結合で重鎖可変部位と軽鎖可変部位が連結されていて、単鎖Fv(scFv)は一般的にペプチドリンカーを介して重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域が共有結合で連結されている。このような抗体断片はタンパク質加水分解酵素を用いて得ることができ(例えば、全体抗体をパパインで制限切断するとFabを得ることができ、ペプシンで切断するとF(ab’)
2断片を得ることができる)、好ましくは遺伝子組み換え技術を通じて製作することができる。
【0022】
本発明で用語、「モノクローナル抗体」は、実質的に同様の抗体集団から収得した単一分子組成の抗体分子を称して、このようなモノクローナル抗体は特定エピトープに対して単一結合特異性及び親和度を示す。
【0023】
典型的に免疫グロブリンは重鎖及び軽鎖を有し、それぞれの重鎖及び軽鎖は不変領域及び可変領域(前記部位はドメインとしても知られている)を含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、相補性決定領域(complementarity-determining region、以下「CDR」という)と呼ばれる3つの多変可能な領域及び4つの構造領域(framework region、以下「FR」という)を含む。前記CDRは主に抗原のエピトープ(epitope)に結合する役割をする。それぞれの鎖のCDRは典型的にN末端からスタートして順次的にCDR1、CDR2、CDR3と呼ばれ、また特定CDRが位置している鎖により識別される。
【0024】
また、前記のような本発明の抗体が不変領域を含む場合、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組み合わせ(combination)またはこれらの混成(hybrid)による不変領域を含むことができる。
【0025】
本発明で用語、「組み合わせ(combination)」とは、二量体または多量体を形成する時、同一起源単鎖免疫グロブリン不変領域を暗号化するポリペプチドが相異する起源の単鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。その例として、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMの不変領域からなるグループから選択された2つ以上の不変領域から二量体または多量体を形成することができる。
【0026】
本発明で用語、「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖免疫グロブリンの重鎖不変領域内に2つ以上の相異した起源の免疫グロブリン重鎖不変領域に該当する配列が存在することを意味し、その例としてIgG、IgA、IgD、IgE及びIgMのCH1、CH2、CH3及びCH4からなるグループから選択される1つ〜4つのドメインからなるドメインのハイブリッドが可能である。
【0027】
本発明のヒト化抗体はこれに制限されないが、人間免疫グロブリンγ4を基盤にヒト化されることができ、補体結合性がないためCDCを起こさないという利点がある。
前記ヒト化抗体または前記ペプチドの結合断片は、配列番号2で表された重鎖CDR1;配列番号3または配列番号14(配列番号3の9番目アミノ酸であるトレオニンがアスパラギン酸に置換)で表された重鎖CDR2;及び配列番号4または配列番号15(配列番号4の4番目アミノ酸であるトレオニンがアスパラギンに置換)で表された重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号5で表された軽鎖CDR1;配列番号6、配列番号16(配列番号6の3番目アミノ酸であるトレオニンがアスパラギン酸に置換)、配列番号17(配列番号6の3番目アミノ酸であるトレオニンがアスパラギン酸に、6番目アミノ酸であるアラニンがグリシンに置換)、または配列番号18(配列番号6の3番目アミノ酸であるトレオニンがアスパラギン酸に、5番目アミノ酸であるロイシンがアルギニンに、6番目アミノ酸であるアラニンがグリシンに置換)で表された軽鎖CDR2;及び配列番号7または配列番号19(配列番号7の6番目アミノ酸であるセリンがトレオニンに置換)で表された軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含む、抗体または前記ペプチドの結合断片であってもよい。
【0028】
また、前記ヒト化抗体または前記ペプチドの結合断片は人間のFR(framework region)を含み、これに制限されないが、配列番号29、配列番号30、配列番号31で表された人間免疫グロブリンガンマであってもよく、また配列番号20で表された重鎖FR1(framework region 1);配列番号21で表された重鎖FR2;配列番号22または配列番号28(配列番号22の8番目アミノ酸であるリジンがトレオニンに、10番目アミノ酸であるイソロイシンがアラニンに置換)で表された重鎖FR3;及び配列番号23で表された重鎖FR4を含む重鎖可変領域、及び配列番号24で表された軽鎖FR1;配列番号25で表された軽鎖FR2;配列番号26で表された軽鎖FR3;及び配列番号27で表された軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域であってもよい。
【0029】
前記ヒト化抗体または前記ペプチドの結合断片は、具体的に、(a)配列番号2、配列番号3及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号6及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;(b)配列番号2、配列番号3及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号16及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;(c)配列番号2、配列番号3及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号17及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;(d)配列番号2、配列番号3及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号18及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;(e)配列番号2、配列番号3及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号18及び配列番号19でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;(f)配列番号2、配列番号14及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号6及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;(g)配列番号2、配列番号3及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号6及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4;(h)配列番号2、配列番号14及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号6及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4;(i)配列番号2、配列番号14及び配列番号15でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号6及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4;(j)配列番号2、配列番号14及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号18及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4;(k)配列番号2、配列番号14及び配列番号15でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号18及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4;(l)配列番号2、配列番号14及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号18及び配列番号19でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3及びFR4;(m)配列番号2、配列番号14及び配列番号15でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号20、配列番号21及び配列番号28及び配列番号23でそれぞれ記載された重鎖FR1、FR2、FR3及びFR4、及び配列番号5、配列番号18及び配列番号19でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3、及び配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27でそれぞれ記載された軽鎖FR1、FR2、FR3またはFR4;(n)配列番号2、配列番号14及び配列番号4でそれぞれ記載された重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、及び配列番号5、配列番号16及び配列番号7でそれぞれ記載された軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含む、抗体または前記ペプチドの結合断片であってもよい。
【0030】
前記(a)抗体はhzVSF_WT、(b)抗体はhzVSF_var1、(c)抗体はhzVSF_var2、(d)抗体はhzVSF_var3、(e)抗体はhzVSF_var4、(f)抗体はhzVSF_var5、(g)抗体はhzVSF_var6、(h)抗体はhzVSF_var7、(i)抗体はhzVSF_var8、(j)抗体はhzVSF_var9、(k)抗体はhzVSF_var10、(l)抗体はhzVSF_var11、(m)抗体はhzVSF_var12、(n)抗体はhzVSF_var13をそれぞれ含んでもよい。
【0031】
前記ヒト化抗体及び前記ペプチドの結合断片は、これに制限されないが、それぞれ配列番号10及び配列番号12;配列番号32及び配列番号34;配列番号36及び配列番号38;配列番号40及び配列番号42;配列番号44及び配列番号46;配列番号48及び配列番号50;配列番号52及び配列番号54;配列番号56及び配列番号58;配列番号60及び配列番号62;配列番号64及び配列番号66;配列番号68及び配列番号70;配列番号72及び配列番号74;配列番号76及び配列番号78;配列番号80及び配列番号82で記載された重鎖及び軽鎖可変領域を含む、抗体及び前記ペプチドの結合断片であってもよい。
【0032】
前記マウス抗体は具体的に、配列番号137で記載された重鎖CDR1;配列番号138で記載された重鎖CDR2;及び配列番号139で記載された重鎖CDR3を含む重鎖可変領域、及び配列番号134で記載された軽鎖CDR1;配列番号135で記載された軽鎖CDR2;及び配列番号136で記載された軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域を含んでもよく、より具体的に、配列番号9で記載された重鎖可変領域及び配列番号8で記載された軽鎖可変領域を含むものであってもよいが、これに制限されるものでははい。
【0033】
前記キメラ抗体は具体的に、配列番号141または配列番号142で記載された重鎖可変領域及び配列番号140で記載された軽鎖可変領域を含むものであってもよく、より具体的に、配列番号146または配列番号148で記載された重鎖及び配列番号144で記載された軽鎖を含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記scFvはこれに制限されるものではないが、mVSFの安全性のために製造したscFvも含んでもよい。その例として、
図4に記載された配列により製造されたscFvであってもよい。また、配列番号131で記載された重鎖可変領域及び配列番号133で記載された軽鎖可変領域がリンカーで連結された形態であってもよい。また、配列番号130の塩基配列でコードされる重鎖可変領域及び配列番号132の塩基配列でコードされる軽鎖可変領域がリンカーで連結された形態であってもよい。このようなscFvはE.coli発現ベクター内に配列番号150の塩基配列でクローニングされてもよい。
【0035】
具体的な実施例によると、本発明者らはhzVSF_wt、3個の代替(alternative)及びその13個の変異体であるヒト化抗体を製造した後、抗ウイルス効能を確認した(実施例6)。また、FDA承認を受けて市販中である医薬品との免疫原性を比較した結果、免疫原性が最も低い人間抗体であるヒュミラ(Humira)と同様な水準の免疫原性を示すことを確認して(表7)、抗ウイルス剤または抗炎症剤として使用するとき起こりうる副作用がなく、安全な抗ウイルスまたは医薬品として使用可能であることを確認した。また、hzvSF_wt変異体を用いてT細胞分析を介してT細胞の増殖に大きく影響与えないことを確認し(表8)、臨床に用いるときに免疫源として作用して副作用を起こす可能性が低いことを確認した。また、薬物動態学分析を介して、生体内の半減期が臨床的利用に用いられるほどに高いことを確認した(実施例8)。また、インターフェロンと比較時、4nM以上の濃度で細胞毒性を示さないことを確認し、インターフェロンとは異なり副作用が少ないことを確認した(実施例11)。また、本発明のhzVSF(野生型及び変異体)がマウスにおいてEMC−Dウイルス感染に対する抗ウイルス効能及び免疫細胞の浸潤抑制とそれによるランゲルハンス島の破壊を著しく阻害し、ウイルス感染による糖尿病を格別に治療しうることを確認した(実施例12)。肝炎ウイルスも著しく阻害しうることを確認した(実施例13〜16)。インフルエンザウイルス感染に対しても免疫細胞の浸潤なく、抗ウイルス効果及び抗炎症効果を確認し(実施例17)、多様なウイルスに対して抗ウイルス効果があることを確認して(表15)、汎用的な抗ウイルス剤として用いられることを確認した。また、マウスモデルにおけるウイルス感染時に炎症性サイトカインの分泌を抑制することを確認して(実施例19)、様々な炎症性疾患の治療剤として用いられることを確認した。
【0036】
本発明はまた一つの様態として、前記抗体または前記ペプチドの結合断片をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター前記ベクターが導入された細胞、前記細胞を用いた抗体または前記ペプチドの結合断片の生産方法及び前記生産方法により生産された抗体または前記ペプチドの結合断片を提供する。
【0037】
前記抗体及び前記ペプチドの結合断片は前記で説明したとおりである。
本発明で抵抗する前記抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、特にこれに制限されないが、哺乳類細胞(例えば、ヒト、サル、ウサギ、ラット、ハムスター、マウス細胞など)、植物細胞、酵母細胞、昆虫細胞またはバクテリア細胞(例えば、大腸菌など)を含む真核または原核細胞で、前記ポリヌクレオチドを複製及び/または発現することができるベクターであってもよく、好ましくは宿主細胞で前記ヌクレオチドが発現されるように適切なプロモーターに作動可能に連結され、少なくとも一つの選別マーカーを含むベクターであってもよい。その例として、ファージ、プラスミド、コスミド、ミニ染色体、ウイルスまたはレトロウイルスベクターなどに前記ポリヌクレオチドが導入された形態であってもよい。
【0038】
前記抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、前記抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドをそれぞれ含む発現ベクターまたは重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドをすべて含む発現ベクターであってもよい。
【0039】
本発明で提供する前記発現ベクターが導入された細胞(形質転換体)は、特にこれに制限されないが、前記発現ベクターが導入され形質転換された大腸菌、ストレプトマイセス、サルモネラ・ティフィムリウムなどのバクテリア細胞;酵母細胞;ピキア・パストリスなどの菌類細胞;ドロソフィラ(Drosophila)、スポドプテラSf9細胞などの昆虫細胞;CHO(中国ハムスター卵巣細胞、chinese hamster ovary cells)、SP2/0(マウス骨髄腫)、人間リンパ芽球(human lymphoblastoid)、COS、NSO(マウス骨髄腫)、293T、メラノーマ細胞、HT-1080、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞、baby hamster kidneycells)、HEK(ヒト胚腎臓細胞、human embryonic kidney cells)、PERC.6(ヒト網膜細胞)などの動物細胞;または植物細胞であってもよい。
【0040】
本発明で用語、「導入」は、前記抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞に伝達する方法を意味する。このような導入は、リン酸カルシウム‐DNA共沈殿法、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション法、ポリブレン媒介形質感染法、電気衝撃法、微細注射法、リポソーム融合法、リポフェクタミン及び原形質体融合法などの当分野で公知された様々な方法により行われる。また、形質導入は感染(infection)を手段としてウイルス粒子を用いて、目的物を細胞内に伝達させることを意味する。また、遺伝子ボンバードメントなどによりベクターを宿主細胞内に導入することができる。本発明で導入は形質転換と混用して使用される。
【0041】
本発明のもう一つの様態として、前記抗体または前記ペプチドの結合断片を含む抗ウイルス用組成物を提供する。
前記抗体及び前記ペプチドの結合断片は前記で説明したとおりである。
【0042】
本発明で「抗ウイルス」は、病原性ウイルスの増殖または複製を抑制してウイルス感染を減少、抑制または予防する効果を意味するが、これに制限されない。前記抗ウイルス活性によりウイルスの増殖または複製が抑制される「病原性ウイルス」は、これに制限されないが、ウイルス感染により宿主細胞のビメンチンの一部が宿主細胞膜の外部に露出されることを特徴とする。この例としては、動物またはヒトで疾病起こすウイルスであって、病原性ウイルスの例としては、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するウイルス、ピコルナウイルス科(Picorna viridae)に属するウイルス、レトロウイルス科(Retroviridae)に属するウイルス、ヘルペス(Herpes)属ウイルス、フィロウイルス科(Filoviridae)に属するウイルス、コロナウイルス科(Coronaviridae)に属するウイルス、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)に属するウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属するウイルス、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)に属するウイルスなどを含んでもよい。病原性ウイルスは、例えば、インフルエンザウイルス、B型及びC型肝炎ウイルス、脳心筋炎ウイルス、メンゴウイルス(Mengovirus)、エボラウイルス(Ebolavirus)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus;SARS)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus;MERS)、レオウイルス(Reovirus)、HIV(human immunodeficiency virus)、HCMV(human cytomegalovirus)またはハンタンウイルス(Hantaan virus)であってもよいが、これに制限されない。特に、本発明によるhzVSFはピコルナウイルス科(Picorna viridae)に属するメンゴウイルスだけでなく、ピコルナウイルス科に属するEMCウイルスとは遺伝体構造とライフサイクルが全く異なるオルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するインフルエンザウイルスでも抗ウイルス効果を示し、またレトロウイルス科(Retroviridae)に属するHIVの増殖も効果的に阻害するなどの汎用的なウイルスに効果を示す(表15)。
【0043】
前記組成物は薬学的組成物、医薬部外品組成物、健康食品用組成物の形態であってもよい。
前記薬学的組成物は薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。
【0044】
本発明で用語、「薬学的に許容可能な担体」とは、生物体を刺激せずに投与化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体または希釈剤をいう。液状溶液に製剤化される組成物において許容される薬学的担体としては、滅菌及び生体に適したものであり、生理食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分の中1成分以上を混合して用いてもよく、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化してもよい。
【0045】
前記薬学的組成物は、経口または非経口の様々な剤形であってもよい。製剤化する場合は、通常に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、1つ以上の化合物の少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤の他にステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような潤滑剤も用いられる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルでなどが用いられる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられる。
【0046】
前記薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれかの製剤を有してもよい。
【0047】
前記本発明の組成物は薬学的に有効な量で投与する。
本発明で用語、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効容量レベルは、個体の種類及び重症度、年齢、性別、疾患の種類、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野でよく知られている要素に応じて決定することができる。本発明の組成物は、個別治療薬として投与するか、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは、順次にまたは同時に投与することができる。そして、単一または多重投与することができる。前記の要素をすべて考慮して副作用なく最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、当業者によって容易に決定することができる。前記の他の治療剤は、インターフェロンであってもよいが、これに制限されない。
【0048】
前記組成物は、抗ウイルス作用によるウイルス感染性疾患の予防または治療を行う組成物であってもよい。
本発明でウイルス感染症は、これに限定されないが、前記ウイルス感染により宿主細胞のヒメンチンの一部が宿主細胞膜の外部に露出される疾患を含んでもよく、その例として、肝炎、エイズ、肺炎、糖尿病だけではなく、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するウイルス、ピコルナウイルス科(Picorna viridae)に属するウイルス、レトロウイルス科(Retroviridae)に属するウイルス、フィロウイルス科(Filoviridae)に属するウイルス、コロナウイルス科(Coronaviridae)に属するウイルス、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)に属するウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属するウイルス、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)に属するウイルス、ヘルペス(Herpes)属ウイルスにより感染されて発生されうるすべての疾患を含むことができる。
【0049】
本発明において用語、「予防」とは、前記組成物の投与により疾患の発症を抑制したり、遅延させるすべての行為を意味し、前記「治療」とは、前記組成物の投与により疾患の症状が好転したり、有利に変更されるすべての行為を意味することができる。
【0050】
前記組成物はウイルス感染細胞に特異的に作用する組成物であってもよい。
前記組成物は免疫細胞の浸潤を抑制するものであってもよく、炎症反応を抑制するものであってもよい(
図45〜48)。本発明の組成物は、炎症誘発サイトカインであるIL-6、TNF-α、IFN-γ、CCL2(MCP-1)を著しく抑制することを確認することができる(
図49)。
【0051】
本発明はもう一つの様態として、前記抗ウイルス用組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、ウイルス感染疾患の治療方法であってもよい。
前記抗ウイルス用組成物及びウイルス感染疾患は前記で説明したとおりである。
【0052】
前記ウイルス感染疾患を治療する方法は、抗体及び薬学的に許容可能な担体をさらに含む薬学的組成物をウイルス感染疾患が発症したり、発症の疑いがある個体に投与する段階を含む、ウイルス感染疾患を治療する方法であってもよく、前記薬学的に許容可能な担体は前記で説明したとおりである。前記ウイルス感染疾患を治療する方法は、好ましくは抗体を含む組成物をウイルス感染疾患にかかった個体に投与する段階を含む、ウイルス感染疾患を治療する方法であってもよい。
【0053】
前記個体は、牛、豚、羊、鶏、犬、ヒトなどを含む哺乳動物、鳥類などを含み、本発明の前記組成物の投与によりウイルス感染疾患が治療される個体は、制限なく含む。
ここで前記組成物は、薬学的に有効な量で、単一または多重投与されてもよい。ここで、組成物は液剤、散剤、エアロゾル、カプセル剤、腸溶皮錠剤またはカプセル剤または坐剤の形態で投与してもよい。投与経路は、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下内投与、内皮投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などを含むが、これに限定されない。しかし、経口投与時、ペプチドは消化されるため経口用組成物は活性薬剤をコーティングしたり、胃での分解から保護されるように剤形化されるべきである。また、製薬組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置によって投与されてもよい。
【0054】
本発明のまた一つの様態として、前記抗体または前記ペプチドの結合断片を含む炎症性疾患の予防または治療用組成物を提供する。
前記炎症性疾患の予防または治療用組成物は薬学的組成物、医薬部外品組成物、健康機能食品組成物の形態であってもよい。
【0055】
前記炎症性疾患はウイルス感染によるものであってもよい。
本発明はもう一つの様態として、前記炎症性疾患の予防または治療用組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、炎症性疾患の治療方法を提供する。
【0056】
本発明のもう一つの様態として、前記抗体または前記ペプチドの結合断片の抗ウイルス用途を提供する。
(実施例)
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これら実施例はただ本発明を例示するためのもので、本発明の範囲がこれら実施例により制限されるものと解釈されることではない。
【0057】
実施例1:新規なヒト化抗体であるVSFの製造
実施例1−1:chVSF(chimeric VSF)の製造
マウスVSF(mVSF)の主要な機能的部分が単細胞群抗体であるものと仮定し、これと人間免疫グロブリンを遺伝子操作法で交雑(chimerization)してマウス/人間交雑抗体(chAb)を製作した。
【0058】
具体的に、交雑抗体を製作するために、マウスVSFの軽鎖及び重鎖の不変領域(constant region)を人間免疫抗体(κ、γ2またはγ4)の不変領域で代替した。chVSFはpCAGGSベクターを鋳型にして発現ベクターを製作した(
図1)。mVSFの可変重鎖(mVH)(配列番号9)はSacIとKpnI制限酵素部位を含みPCRで増幅した。可変軽鎖(mVL)(配列番号8)はClaIとXhoI制限酵素部位を含みPCR法で増幅した。PCRに用いられたプライマーは表1に記載されたプライマーを利用し、PCR条件は94℃で45秒、60℃で45秒、72℃で45秒で35サイクルを行い、72℃で10分間進行した。
【0059】
【表1】
ヒトの重鎖(配列番号11)はKpnIとSphI制限酵素部位を用い、軽鎖(配列番号13)はXhoIとBglI制限酵素を用いてクローニングした。軽鎖と重鎖を同時に発現させるために、IRES((internal ribosome entry site)をSphIとClaI制限酵素部位を用いて軽鎖と重鎖の間にクローニングした。選別マーカーはSalI制限酵素部位に挿入した。このような方式で
図2の模式図に開示されたようにchVSFを製造した。
【0060】
実施例1−2:2つベクターの発現システムを用いたchVSFの発現
1mg/mlのPEI(Polyethyleneimine)を用いて15μgのpCAGGS−GFPをHEK 293T細胞にトランスフェクションの程度及び発現水準を確認した。同様の方法で前記実施例1-1のchVSFをHEK 293T細胞にトランスフェクションした後、6時間後に培地を2%FBSを含む培地に交替した。3日ごとに細胞培養液を集めて0.45μmのフィルターを利用し、不純物を除去した。タンパク質Aセファロースビーズ(nプロテインA sepharose bead)を用いてchVSFを精製した。chVSFは0.2M グリシン/塩酸バッファー(Glycine/HCl)(pH2.5)で溶出し、中和バッファーとしては1Mトリス‐Cl(Tris-Cl)バッファー(pH9.0)を使用した。具体的に、1M Tris−Clバッファー(pH8.0)をレジン体積の10倍に使用してレジンが均質化されるようにした後、VSF培養液をカラムに通過させた。0.1M Tris−Clバッファー(pH8.0)をカラム体積の5倍以上を流して洗浄した。溶出は0.2M Glycine/HClバッファー(pH2.5)をレジン体積の5倍に流し、中和バッファーを予めて入れておいたチューブに精製されたVSFを収得した。その後に精製されたVSFをSDS−PAGEで確認した。
【0061】
その結果、
図3で示したように、chVSFは免疫グロブリンの特性を有する50kDaの重鎖と25kDaの軽鎖からなる構造であることを確認した。
実施例2:scFv(single-chain variable fragment)の製造及び抗ウイルス効果の確認
VSFの可変領域を用いてscFvを製造した。scFvは配列番号150のDNA配列を有し、前記DNAをE.coli発現ベクターであるpET-22b(+)にクローニングしてscFvを製造した(
図4及び
図5)。
【0062】
具体的に、mVSFのVHとVLをリンカーで連結してscFvを製作し、バクテリア発現ベクターであるpET22b(+)に挿入した後、IPTGを添加して発現を誘導した後、Ni−NTAカラムを用いて精製した(
図6)。
【0063】
その後、前記精製されたscFvを用いて抗ウイルス能を確認した。具体的にEMC−Dウイルスを感染させたL929細胞をscFv、VSFまたは抗EMCDウイルス抗体と共に37℃で30時間培養した。その後、上清液を除去してCellTiter96 AQueous One Solutionを添加した後、OD
450で測定した。その結果VSF(5〜500ng)、scFv(5〜10μg)及び抗EMCDウイルス抗原(1:20希釈)を処理した群すべてで抗ウイルス効果があることを確認した(
図7)。
【0064】
実施例3:chVSFの抗ウイルス能の確認
前記実施例1で製造したchVSFの抗ウイルス能を確認するためにMVIT分析を実施した。
【0065】
具体的に、2%のFBS(Fetal Bovine Serum)が入っているDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)培地を利用して2X10
4の数で96ウェルプレートに敷かれているネズミの星状細胞であるL929に100pfuのEMC−Dウイルスを1時間感染させた後、4μg/mlのVSFを2倍ずつ希釈して処理した。48時間後、10%のホルマリンで10分間細胞を固定させた後、1%のクリスタルバイオレットで10分間染色させた。染色された細胞をPBSを洗浄した後、細胞の生存能を染色程度で評価した。ウイルスの増殖が抑制されたら、すべての細胞が生きて均等な層をなし、クリスタルバイオレット染色も均一な層で染色される。逆に細胞がウイルス感染により溶解されると細胞が外れて染色層がほぼ存在しない。
【0066】
その結果、
図8で示したように、本発明のchVSFはEMC−Dウイルスに対する抗ウイルス効能を示した。このような結果は、既存のマウスVSFだけでなく、マウスVSFを単細胞群抗体と仮定してこれを人間免疫抗体の不変領域と交雑した本願発明のchVSFも抗ウイルス用途に使用されうることを支持するものである。
【0067】
実施例4:ヒト化抗体であるVSFの製造
前記実施例1及び3を基にchVSFを用いてヒト化抗体であるhzVSF(Humanized VSF)を製造した。
【0068】
真核細胞を用いて2種類の組換えタンパク質を発現させようとするとき、使用する発現システム中の一つである2つ遺伝子発現ベクター(two gene expression vector)に該当するpdCMV−dhfr−vector(
図9)を利用した。前記ベクターは2種類の遺伝子を一つのベクター内で互いに異なるトランスクリプションユニットで構成してそれぞれ自体のプロモーターとポリAシグナル(polyA signal)を用いて発現するもので、強力な哺乳類発現プロモーターであるCMV(cytomegalovirus)プロモーターを用いるベクターシステムである。これを利用して
図10の模式図のようなhzVSFを製造した。
【0069】
ここで、前記hzVSFの重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号10で、重鎖領域を配列番号11で、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号12で、軽鎖領域を配列番号13で表した。
【0070】
1mg/mlのPEI(Polyethyleneimine)を用いて15μgのpCAGGS−GFPをHEK 293T細胞にトランスフェクションして、トランスフェクションの程度及び発現水準を確認した。同様の方法で前記chVSF及びhzVSFをHEK 293T細胞にトランスフェクションした後、6時間後に培地を2%FBSを含む培地に交替した。3日ごとに細胞培養液を集めて0.45μmのフィルターを利用し、不純物を除去した。タンパク質Aセファロースビーズ(nプロテインA sepharose bead)を用いてchVSF及びhzVSFを精製した。chVSF及びhzVSFは0.2M グリシン/塩酸バッファー(Glycine/HCl)(pH2.5)で溶出し、中和バッファーとしては1M トリス‐Cl(Tris-Cl)バッファー(pH9.0)を使用した。具体的に、1M Tris−Clバッファー(pH8.0)をレジン体積の10倍に使用してレジンが均質化されるようにした後、VSF培養液をカラムに通過させた。0.1M Tris−Clバッファー(pH8.0)をカラム体積の5倍以上を流して洗浄した。溶出は0.2M Glycine/HClバッファー(pH2.5)をレジン体積の5倍に流し、中和バッファーを予め入れておいたチューブに精製されたVSFを収得した。その後に精製されたVSFをSDS−PAGEで確認し、活性はMVITアッセイを通じて確認した。
【0071】
実験で使用されたVSFを表示すると、次の表2のとおりである。
【0072】
【表2】
その結果、
図11で確認したように、chVSF2及びchVSF4、hzVSF2及びhzVSF4は免疫グロブリンの特性を有する50kDaの重鎖と25kDaの軽鎖からなることを確認した。
【0073】
また、
図12で確認したように、hzVSFも抗ウイルス効果があることを確認した。このような結果は、ヒト化抗体であるhzVSFもVSFと同様に抗ウイルス効果かあることを示唆する。
【0074】
実施例5:ヒト化抗体であるVSFの物性確認
前記実施例4で製造したhzVSFの物性を次のように確認した。
実施例5-1:基本的な分子量パターン及び純度の確認
還元及び非還元SDS−PAGEを利用して分子量のパターン及び純度を確認した。具体的に、hzVSF_v13をSDS−PAGEで分子量に応じてクマシー染色法(Coomassie Staining)で染色してhzVSF_v13の分子量及び純度を確認した。
【0075】
その結果、
図13で示したように、1レーンは非還元ゲルであって、IgG抗体(150kDa)で予想される位置に主要バンドが観察されて、2レーンは還元ゲルであって、IgG抗体の重鎖(約50kDa)と軽鎖(約25kDa)で該当する位置にバンドが観察され、hzVSF_v13が一般的なIgG抗体パターンを示すことが確認された。
【0076】
実施例5-2:分子量、糖パターン及びサイズ変異などの確認
hzVSF_v13の分子量、糖パターン、サイズ変異などを確認するために液体クロマトグラフィー/質量分析(Liquid Chromatography/Mass Spectrometry)を行った。少量のhzVSF_v13をHPLCに注入してピークを観察した。
【0077】
その結果、hzVSF_v13は免疫グロブリンG(IgG)の特性を示すことを確認した(
図14)。Intact Massでは全体分子量(約140kDa)が観察されて、G0/G0、G0F/G1、G1/G1など一般的な糖化されたIgGに該当するピークのパターンが観察された。また、糖除去後の重鎖(約49kDa)及び軽鎖(約23kDa)が観察された。PNGase F処理で糖鎖が除去された重鎖とPNGase Fを処理しない重鎖の分子量を総合するとき、一般的なIgGのグリカンパターンを確認した(G0F、G1F、G2F)。
【0078】
実施例5-3:純度及び凝集度の確認
hzVSF_v13の純度と凝集度を確認するためにSEC−HPLCを利用した。
SEC−HPLC条件は次のようである。
【0079】
‐HPLCシステム: Dionex Ultimate 3000
‐カラム: Tosoh TSKgel G3000 SWxl
‐移動相:リン酸バッファー、0.5ml/分
‐注入量:10μl
その結果、典型的なIgG抗体の単量体に該当する位置(渋滞時間約16分)で92.44%の主要ピークが観察されて、二量体位置(渋滞時間約13分)で約6.84%のピークが観察された(
図15)。
【0080】
実施例5−4:pI及び電荷不均一性(charge heterogeneity)の確認
hzVSF_v13の等電荷点を調べるために、pH3からpH10まで勾配を示すゲルでランニングした。
【0081】
その結果、
図16で示したように、hzVS_v13FのpIは7.7と分析され、主要バンドの他、酸性及び塩基性アイソフォーム(acidic/basic isoform)も観察された。これはIgG抗体で一般的に観察される異性体[isomer(例えば、C末端領域の脱アミノ化)]に該当される。
【0082】
前記のような結果は、本発明のヒト化抗体であるhzVSF_v13がIgG抗体と同様な物性を示すことを裏付けるものである。
実施例6:ウイルス抑制効能は維持または増加されながら免疫原性が減少されたヒト化抗体であるhzVSFの変異体製造
実施例6−1:hzVSF alternativeの製造
前記実施例4で製造したhzVSFを基に、3つのalternativeを製造した。各alternativeの活性は野生型の活性と同様または減少した(0.5≦≦1U<1mg/ml)(表3及び表4)。それぞれのalternativeのCDR1〜3のアミノ酸配列を表3に、それぞれの変異体のFR1〜FR4のアミノ酸配列を表4に記載した。
【0084】
【表4】
実施例6-2:hzVSF変異体の製造
前記実施例4で製造したhzVSFを基に、実際生体内で活用するための免疫原性の減少及び親和性成熟(affinity maturation)を介したhzVSF変異体を製造した。その結果、13個の変異体を製造した(表5及び表6)。それぞれの変異体のCDR1〜3のアミノ酸配列を表5に、それぞれの変異体のFR1〜FR4のアミノ酸配列を表6に記載した。
【0086】
【表6】
前記で製造した13個の変異体はすべて抗ウイルス能及び抗炎症能が維持または増加され、野生型に比べて免疫原性が減少されたことを確認した。
【0087】
前記変異体の中で免疫原性が最も低いhzVSF_var12はhzVSF野生型と同様に1unitが500ngで抗ウイルス活性を示し、抗ウイルス能が高く、免疫原性が相対的に低いhzVSF_var13の場合は、250ng/unitの抗ウイルス活性を示した。
【0088】
実施例6-3:hzVSF野生型及びその変異体のエピトープ数(epitope count)の確認
hzVSF野生型とその免疫原性を減少させた前記変異体の中で、代表的な変異体であるhzVSF_var12及びhzVSF_var13のエピトープ数は、現在抗体医薬品として製薬市場でブロックバスター医薬品である4種のエピトープ数を比較した結果、表7で示したように、各HLA class IIで相対的に免疫原性可能性を確認することができた。
【0089】
【表7】
前記表7で総合の値が高いほど世界全体人口でHLA class IIによる副作用の可能性が高いことを意味する。前記結果を通じて免疫原性が減少された本発明のhzVSF_var12及びhzVSF_var13のエピトープ数が全世界的に市販されている4種の医薬品中に免疫原性が最も低いHumiraと同様であることを確認し、このような結果は、本発明のヒト化抗体が抗ウイルス剤として用いられる時起こりうる重大な副作用が極めて低いことを示唆するものであって、安全な抗ウイルスまたは炎症用医薬品としての安定性を裏付けることである。
【0090】
また、各変異体の活性はvar1からvar12までは野生型と同様な活性(0.5mg/U)を示し、var13は野生型より高い活性を示した。
実施例6-4:hzVSF変異体のT細胞分析確認
hzVSF_var12及びhzVSF_var13の免疫原性を評価するために51名の健康なドナーの血液を用いて、ロンザ(Lonza)のインビトロT細胞分析により、本物質がT細胞の増殖に影響を与えるかどうかを確認した。各ドナーの全体末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cell; PBMC)にhzVSF_var12、hzVSF_var13またはKLH(Keyhole limpet hemocyanin)を処理した後、7日間培養した。KLHは酸素を運搬する機能をするメタロタンパク質(metalloprotein)であって、抗体生産時にキャリアタンパク質として用いられ、効果的に免疫反応を起こすため陽性対照群として使用した。その後、CD3+CD4+Edu+で染色されるT細胞の割合(%)を測定した。その結果、KLHは45名の血液ドナーからT細胞の増殖が起こり、88%が反応したが、hzVSF_var12またはhzVSF_var13に反応してT細胞の増殖を誘導した個体は、それぞれ3個体で、5.8%のみ本物質に反応した(
図17)。
【0091】
一方、対照群として7日間培養したPBMCを用いてKLH、hzVSF_v12またはhzVSF_v13によって誘導されたT細胞増殖の刺激指数(stimulation index; SI)を計算した。SI値が2より大きい場合、人に適用したときに免疫原性が大きいと予想され、SI値が0.5より小さい場合はむしろT細胞の増殖を抑制することが予想される。その結果、hzVSF_v12及びhzVSF_v13は1.12及び1.03の低い値のSI値であって、ほとんどの個体で0.6以上2以下のSI値を示すことを確認した。反面、陽性対照群として用いられたKLHは3.91の高いSI値を示した(
図18、
図19及び表8)。
【0092】
【表8】
このような結果により、hzVSF_v12及びhzVSF_v13は実際にウイルス疾患にかかった患者に投与時、免疫原性が低いと予想され、それによる副作用が低いと予想される。
【0093】
実施例7:hzVSF及びその変異体の結合エピトープの確認
前記実施例で製造したhzVSF及びその変異体が結合するペプチドを同定しようとした。
【0094】
その結果、ビメンチン(vimentin)のアミノ酸142番〜294番の分離された配列番号1のペプチドに結合することを確認した(
図54〜
図58)。
実施例8:hzVSF変異体の物性及び薬物動態学の確認
前記実施例6で製造したhzVSF変異体の物性及び薬物動態学を確認するために、代表的な変異体であるhzVSF_var12及びhzVSF_var13を対象に実験を行った。
【0095】
実施例8-1:hzVSF変異体の分子量パターン及び純度の確認
hzVSF_var12及びhzVSF_var13の分子量パターンと純度を確認するためにSDS-PAGEを用いた。還元されたサンプルは、NuPage4X LDSサンプルバッファー(Invitrogen社、NP0007)とNuPage10Xサンプル還元剤(Invitrogen社、NP0009)をhzVSF_var12及びhzVSF_var13と混合した後、70℃で10分間加熱して準備した。非還元サンプルは、還元剤添加及び加熱処理を省略して準備した。それぞれ10μlの1mg/mlの対照群抗体、hzVSF_var12及びhzVSF_var13を4〜12%のSDS-PAGEで電気泳動した後、ゲルをInstantBlue(TripleRed、ISB01L)で染色し、hzVSF_var12及びhzVSF_var13の純度を確認した。
【0096】
その結果、
図20で示したように、非還元サンプルのレーン2及び4では、IgG抗体(約150kDa)で予想される位置で主要バンドが観察され、還元サンプルであるレーン3及び5は、IgG抗体の重鎖(約50kDa)と軽鎖(約25kDa)において該当する位置にバンドが観察されることで、hzVSFの変異体もhzVSFのように、一般的なIgG抗体パターンを示すことが確認された。また、対照群としてIgG4を使用したとき、非還元サンプルのレーン6及び還元サンプルであるレーン7で確認されるパターンと同一であった。また、hzVSF_var12及びhzVSF_var13すべてが良い純度を示すことが確認できた。
【0097】
また、hzVSF_var12及びhzVSF_var13の純度と凝集度を確認するために、hzVSF_var12及びhzVSF_var13をZorbax GF-250μm 9.2mm ID X25cmカラム(Agilent)を用いて、Agilent1200シリーズのHPLC(High-performance liquid chromatography)を利用して、SE(Size Exclusion)-HPLCで分析した。HPLCに注入する前に、1mg/ml濃度のサンプルを0.2μmフィルターでろ過して不純物を除去した。それぞれ100μlのサンプルを注入して、15分間1ml/分にHPLCを作動した。Chemstationソフトウェアを用いて分析した。
【0098】
その結果、典型的なIgG抗体の単量体に対応する位置(渋滞時間約8.65分)で主要ピークを確認し、hzVSF_var12及びhzVSF_var13の純度が95%以上であることを確認した(
図21)。二量体の位置(渋滞時間約7.89-7.93分)から約3.72%と4.43%のピークが観察され、SDS-PAGEの結果と同様にIgG抗体と同様の形態を示すことが確認できた。
【0099】
実施例8-2:hzVSF変異体の 薬物動態学(pharmacokinetics)分析
マウスにhzVSF_var13投薬後の薬物の生体内移行、すなわち血中濃度、消失半減期、代謝速度などを定量的に予測することにより、hzVSF_var13の体内適正投与量、投与間隔及び投与剤形を決定することにより、臨床試験時の参考にする客観的指標を得ようと、次の実験を行った。
【0100】
対照群には、6.25μg(0.31mg/kg)のヒト免疫グロブリンG(Human IgG、polyclonal)を、実験群では6.25μg(25U;0.31mg/kg)、62.5μg(250U;3.10mg/kg)、と625μg(2500U;31.0mg/kg)のhzVSF_var13をマウスの尾静脈に注入した。注入後、1、2、4、8、14、21、28、35日にマウスから採血した後、血清(serum)を分離した後ELISA法を用いて、hzVSF_var13の血中濃度を測定した。
【0101】
ELISAは、プレート上にヒトのガンマ特異免疫グロブリン(anti-human IgG(γ specific))で37℃で2時間、または4℃で一晩培養して固定させた後、3% BSA(Bovine Serum Albumin)でコーティングされていない部分を遮断するために37℃で2時間インキュベーションした。マウスから採血した血清を37℃で1時間反応させた後、HRP(Hoseradish peroxidase)がついているヒトのカッパ特異免疫グロブリン(anti-human IgG(κ specific))で37℃で30分間反応させた。基質としてTMB溶液を用いて暗室で室温で9分30秒間培養した後、450nmの波長でOD値を測定し、hzVSF_var13の血中量を測定した。マウスに投与したhzVSF_var13の各濃度別に単回投与したときのPKパラメータを表9及び
図22のグラフに示した。
【0102】
【表9】
その結果、hzVSF_var13の25U容量で単一投与した場合には、同一容量を投与したSham control(IgG)と比較して血中濃度の推移が同様に減少した。最高濃度(Cmax)及び血中時間濃度の曲線下面積(area under theconcentration curve; AUC)は、投与量が増加するにつれて上昇し、容量に比例することを確認できた。hzVSF_var13の25Uの生体内半減期(t
1/2)は、雄10日、雌13日であって、sham control(雄16日、雌20日)に比べてやや低く現れ、投与量が増加するにつれて生体半減期はやや減少する傾向があることを確認した。雄に比べて雌におけるCmax、AUC、生体内半減期(t
1/2)、生体内全身クリアランス値(CLt)が各投与濃度ですべて高かった。投与35日後、すべてのマウスは剖検を実施して、長期重量測定、組織病理検査、免疫毒性実験、中和能実験を行い、hzVSF_var13が体内に及ぼす毒性有無を調査し、なんの副作用も発見されなかった。
【0103】
前記のような結果は、本発明のhzVSF及びその変異体などが生体内の半減期が異なるヒト化抗体と類似しており、臨床的利用に問題がないことを裏付けることである。
実施例9:hzVSF及び変異体のウイルス抑制能の確認
マウス細胞であるL929細胞にEMC-Dウイルスを感染させ、hzVSF野生型及びhzVSF変異体の代表的な変異体であるhzVSF_var12及びhzVSF_var13を処理して、実施例2のMVIT法によりウイルス抑制能を確認した。
【0104】
その結果、
図23で示したように、hzVSF野生型は0.5μg/mlの濃度で100%抗ウイルス効果を示し、hzVSF_var12は0.2μg/ml、hzVSF_var13は0.1μg/mlの濃度で100%の抗ウイルス効果を示すことを確認した。
【0105】
これにより、L929細胞にEMC-Dウイルスを感染させ、同時にVSFを処理したとき、100%の抗ウイルス効果を示すVSFのmlに含まれている最小量を生物学的活性(biological activity)1unitとした。
【0106】
それで各VSFの生物学的活性を表10に示した。
【0107】
【表10】
前記のような結果は、人間単細胞群抗体化、免疫原性の減少及び親和性成熟(affinity maturation)を行って、新たに製造したhzVSF変異体もmVSFより力価が落ちるが、hzVSF_wtよりは優れた効果で副作用がほとんどなく、抗ウイルス効果及び抗炎症効果を示すことができあることを示唆する。
【0108】
実施例10:hzVSFの親和力確認
hzVSFの受容体に対する親和性(Affinity)は、次のような方法で測定した。
L929細胞を6x10
5でプレーティングした後、2 MOIのEMC-Dウイルスを0、2、6、10時間、感染させた。 4unitのリガンド(mVSF、hzVSF_wt及びhzVSF v13)を添加した後、1時間培養してから培養液を集めてKa値を求めた。添加したリガンドの量と反応後に回収されたリガンドとの量の間の差が受容体と結合した量であり、これにより親和度Ka(affinity Ka)及び解離定数Kd(dissociation constant)を求めた(表11)。
【0109】
【表11】
その結果、バイオ製剤の候補物質に相当するKa値(1x10
9)以上を示すことを確認して、バイオ製剤としてhzVSF及びその変異体もまた、受容体に対する結合力が高いことを確認した。
【0110】
実施例11:人間細胞におけるhIFN−α及びhzVSF_wtの抗細胞作用の確認
ヒトの繊維母細胞であるWI-38細胞にEMC-Dを感染させた後、異なる濃度のヒトのインターフェロンとhzVSF_wtを処理して、それぞれの抗ウイルス能と細胞生存力をMTS方法で測定した。
【0111】
詳細は、細胞を96ウェルプレートに入れた後、24時間底につくように培養した。100pfuのEMC-Dウイルスを感染させた後、インターフェロンまたはhzVSFを処理した。48時間を培養した後、MTS[3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium]を処理した。再び2〜3時間を培養した後、490 nmで吸光度を測定し、細胞の生存力を確認した。
図24で見られるように、ヒトのインターフェロンを処理した細胞では、hzVSF_wt処理細胞に比べて少ない量でも90%程度の生存率を示すが、むしろ4nM以上の高濃度を処理すると細胞毒性を示すことを確認した。一方、hzVSF_wtは約4nMから100%の生存率を示し、4nM以上の濃度でも細胞毒性を示さなかった。
【0112】
前記結果から、hzVSFはインターフェロンとは異なり、副作用が少ないことが予測できる。
実施例12:ウイルス性糖尿病におけるhzVSF_wtの炎症細胞の浸潤抑制及び抗炎症の確認
マウスにおけるhzVSF薬物濃度別の糖尿病に対する効能を調査するために、5週齢の雄DBA/2Nマウスに100pfuのEMC-Dウイルスを腹腔注射で感染させた。この後、2、4、16unitのhzVSF_wtを尾静脈に注射した後、3日目から血糖と尿中糖の程度を調査した。また、感染後3日目と7日目のマウスを犠牲にして膵臓を摘出し組織学的調査を実施した。
【0113】
その結果、
図25で示したように、マウスにEMC-Dウイルスを感染させた後、膵臓を摘出してHematotoxylin&Eosin染色した場合、ウイルスのみ感染させた群(virus control)では炎症細胞が浸潤されたか、isletが破壊され、サイズが小さくなった。一方、hzVSF_wtを4unit以上投与した群(virus+ hzVSF)では炎症細胞の浸潤が見えず、isletも正常であった。したがってhzVSF_wtがEMC-Dの増殖を抑制し、炎症細胞の浸潤を防いでisletが破壊されないと考えられる。
【0114】
また、血糖を検出した結果、hzVSF_wtを4unit以上投与した群では、糖尿病が発症しなかったし、血糖水準は200mg/dL未満であって、正常のマウスの範囲に該当された。尿でも8unit以上投与した群では、尿糖(urine glucose)が全く検出されなかった(表12〜表14)。
【0115】
ウイルス糖尿病におけるhzVSF_wt薬物濃度別の糖尿病の発症率を表12に、hzVSF_wt薬物濃度別の血液内のグルコースレベルを表13に、hzVSF_wt薬物濃度別の尿糖レベルを表14に示した。
【0118】
【表14】
前記の結果は、本発明のhzVSF及びその様々な変異体は、マウスにおいてEMC-Dウイルス感染に対する抗ウイルス効能及び免疫細胞の浸潤抑制とそれによるランゲルハンス島(islet)の破壊を著しく阻害し、ウイルスの感染により誘発される糖尿病を著しく治療できることがわかった。すなわち、免疫細胞の浸潤を誘導せずに抗ウイルス効果を示すだけでなく、ウイルス性糖尿病に対する治療可能性のために、様々な炎症性疾患の治療剤として使用できることを示唆するものである。
【0119】
実施例13:mVSFの抗HBV効果の確認
mVSFのヒトB型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus; HBV)に対する抗ウイルス効果を確認するために、HBVを発現するヒトの肝がん細胞であるHepG2.2.15細胞を用いた。
【0120】
HepG2.2.15細胞をプレートに貼り付けた後、mVSFを処理して、3日ごとに細胞から培養液に増殖されて出てくるHBVの表面抗原(HBsAg)の量をELISAで定量した。これを細胞当りのウイルス量で換算した。これと同時に、細胞の数を数えて、相対的な細胞当たりのウイルスの量を測定した。
【0121】
その結果、mVSFの処理はHBsAgの量を明確に減少させ、これらの結果でmVSFが抗HBV効果があることがわかった(
図26)。このような結果は、本発明のhzVSF及びその変異体がHBVウイルスのような肝炎ウイルスも効果的に抑制することで様々なウイルスに対する抗ウイルス効果を示すことを裏付けるものであり、また、9日間mVSFを処理した場合、ウイルスが細胞当たり80%以上減少して、実際のヒトでは、さらに炎症を抑制するため、臨床症状の治療に特に効果があることを示唆する。
【0122】
実施例14:ウイルス感染細胞におけるVSF受容体の発現様相の確認
まず、ウイルス感染細胞におけるVSF受容体が発現されるかを確認するために、B型肝炎にかかった患者の肝臓組織(B型肝炎により肝がんに進行されたが、がんがない部分)とC型肝炎にかかった患者の肝臓組織(C型肝炎により肝がんに進行されたが、がんがない部分)をmVSF抗体で染色した。対照群では、ウイルスに感染していない肝組織(がんがない部分)を使用した。その結果、HBVとHCVが感染した患者から得られた肝組織では、VSF受容体が発現されたが、対照組織では発現されなかったし、これはウィルス感染特異的にVSFの受容体が発現されることを意味する。このような結果は、他の患者から由来した肝組織で繰り返し実験を行った場合も、同様な様相を示した(
図27及び
図28)。
【0123】
次に、ウイルス感染に伴うVSF受容体の発現時期を確認するために、H1N1インフルエンザウイルスをMDCK細胞株に感染させた後、ウイルス複製とVSF受容体の発現を蛍光染色を用いて観察した。その結果、インフルエンザウイルス感染後の時間につれてウイルスの複製が起こり、これにより、VSF受容体の発現も増加することが確認できた(
図29)。これらの結果でVSF受容体は、ウイルス感染によって誘導されることが分かった。
【0124】
また、ヒトのWI-38線維芽細胞にEMC-Dウイルスを感染させた後、VSF受容体の発現とVSFの抗ウイルス効果を確認した(
図30)。
図30の左側は、EMC-D感染によるVSF受容体の発現を確認したものであり、右側はhzVSF_wt処理による抗EMC-D効果及びVSF受容体の発現を示したものである。前記結果を通じてVSFがEMC-Dウイルス感染に対しても抗ウイルス効果及び感染特異的に受容体を発現させることが確認できた。
【0125】
結論的に、ウイルスが感染した細胞は細胞によって時間の差はあるがVSF受容体を発現し、VSFの処理は受容体の発現には影響を及ぼさないが抗ウイルス効果を示すことがわかった。
【0126】
実施例15:B型肝炎ウイルスに対するhzVSFの抗ウイルス効果の確認
ヒトB型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus; HBV)に対するhzVSFの効能を調査するために、代表的な変異体であるhzVSF_var13で次のような実験を行った。
【0127】
実施例15-1:cccDNA(covalently closed circular DNA)分析
HBVが感染したHepG2.2.15細胞株にhzVSF_var13及びHBV薬物(lamivudine;Lami)を各用量に応じて処理して、一週間ごとに細胞数をカウントし、同じ量の細胞を収得した。
【0128】
前記細胞からHBVのcccDNAを得るために、HepG2.2.15細胞を回収した後、溶解緩衝液(25mM EDTA、10mM Tris-HCl;pH7.5、100mM NaCl、1%SDS、0.1mg/ml proteinase K)で細胞を再懸濁した後、55℃で1時間反応させた。MEGA quick-spin total fragment DNA精製キット(intron)で全体HBV DNAを精製した後、plasmid-safe ATP-dependent DNaseで37℃で1時間反応させて、70℃で30分間酵素を不活性させた。その次にHBV rcDNA(relaxed circular DNA)を除去し、HBV cccDNAのみを収得した。以後Accupower 2x greenstar qPCR Master mix (Bioneer)を用いてqPCRでHBV cccDNAの定量分析を行った。
【0129】
PCRプライマーはforward 5’-TGAATCCYGCGGACGACC-3’ (配列番号153)、reverse 5’-CAGCTTGGAGGCTTGAACAG-3’ (配列番号154)(ヌクレオチド1862-1881)(Y=C/T)を使用した。
【0130】
その結果、hzVSF_var13を処理した場合、HBV感染細胞のcccDNA含量は濃度依存的に減少したことが確認され、特に10μg/mlを処理した場合はcccDNA含量がほとんどないことが確認された(
図31)。
【0131】
それで、hzVSFの投与は細胞内のcccDNAの量を著しく減少させるため、HBV治療剤として優れた効果があることが分かった。
実施例15-2:HBV DNA抑制の確認
次に、HBVが感染したHepG2.2.15細胞株にhzVSF_var13とHBV薬物(lamivudine;Lami)を各用量に応じて処理して、一週間ごとに細胞数をカウントし、同じ量の細胞を収得した。
【0132】
細胞内(Intracellular)HBV DNAの場合は、次のように収得した。前記収得したHepG2.2.15細胞を溶解緩衝液(25mM EDTA、10mM Tris-HCl;pH7.5、100mM NaCl、1%SDS、0.1mg/ml proteinase K)で再懸濁させた。以後、55℃で1時間反応させた。その次にMEGA quick-spin total fragment DNA精製キット(intron)に細胞内HBV DNAを得た。細胞外(Extracellular)HBV DNAの場合、細胞を培養した培養液の一定量に溶解緩衝液を処理して抽出した。以後Accupower 2x greenstar qPCR Master mix (bioneer)を用いてqPCRでHBV全体DNAの定量分析を行った。
【0133】
PCRプライマーはforward 5’-CCTCTTCATCCTGCTGCT-3’(配列番号155)、reverse 5’-AACTGAAAGCCAAACAGTG-3’(配列番号156)を使用した。
【0134】
その結果、細胞外HBV DNAの場合、非常に低濃度(0.1μg/ml)のhzVSF_var13を処理した場合も、対照群であるLami処理群に比べてHBV DNA量を大幅に減少させた(
図32)。細胞内HBV DNAの場合、hzVSF_var13の濃度依存的にHBV DNAを抑制することが確認され、対照群であるLami処理群に比べて著しく優れた効果を示すことが確認された(
図33)。
【0135】
結論として、hzVSFの投与は、細胞内及び細胞外のHBV DNAの量を著しく減少させるので、HBVの治療剤として優れた効果を有することが分かった。
実施例16:C型肝炎ウイルスに対するhzVSFの抗ウイルス効果の確認
実施例16-1:C型肝炎ウイルスのhzVSF_wtの抗ウイルス効果を確認
ヒトC型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus;HCV)に対するhzVSF_wtの効能を調査するために、次のような実験を行った。
【0136】
C型肝炎ウイルスJFH-1ウイルス株(strain)を0.1 MOI(multiplicity ofinfection)でヒト肝細胞であるHuh7.5細胞に感染させた後、3日目、3ng/mlのインターフェロンβと500、1000、2000 unitのhzVSF_wtを処理した後、4日目の細胞培養液と細胞を収集した。細胞はFACSでHCV NS5Aを抗HCV NS5A抗体染色を用いて測定し、細胞培養液はリアルタイム定量PCR(real-timequantitative PCR)を利用してHCV RNA力価(titer)を測定した。
【0137】
その結果、1000 U/mlの処理は、FACSでインターフェロン-βと同様に抗-HCV効果を示した(
図34)。また、リアルタイム定量PCRでウイルス力価を測定した結果、1000 U/mlでhzVSF_wtは約50%の抗HCV効果があるが、インターフェロン-βより弱いことが確認できた(
図35)。
【0138】
しかし、実際のインビボ(in vivo)でのインターフェロンは副作用があるが、hzVSFは副作用がないだけでなく、炎症による症状を治療すると見られるので、実際に適用時は著しい優位性があるだろう。したがって、ウイルス感染の初期に細胞におけるウイルス増殖抑制は、化学薬剤とインターフェロンとの併用にして、ウイルス感染の中期または症状が現れた以降はhzVSFと化学薬品を併用して免疫病理現象を抑制するだけでなく、ウイルスの増殖を抑制する必要がある。つまり、前記のような結果は、ウイルス増殖抑制能に優れた化学薬品(またはインターフェロン)と免疫病理現象の抑制能に優れた本発明のhzVSF_wt及びその様々な変異体の併用治療の可能性を示唆する。しかし、他にもhzVSF_wt及びその様々な変異体の単独でも副作用のない抗ウイルス剤としての適用を示唆する。
【0139】
実施例16-2:C型肝炎ウイルス(HCV 1a)に対するhzVSF変異体の抗ウイルス効果の確認
次に、C型肝炎ウイルスに対してhzVSF変異体の抗ウイルス効果を確認するために、代表的にhzVSF_var13に対して実験を行った。
【0140】
まず、hzVSF変異体のHCV 1a複製抑制効果を確認するために、HCV TNcc(TN cell-culture derived;遺伝子型1a)が感染したHuh7細胞にhzVSF_var13を各容量に応じて処理し、3、6、9、12日に細胞を収得した。次に、HCV感染細胞を回収した後、トリゾール(trizol)を使用して全体RNAを抽出した。以降逆転写を通じてcDNAを収得した後、Accupower 2x greenstar qPCR Master mix(bioneer)を用いてqPCRでHCV RNA及び補正のためのGAPDH(housekeepinggene)の定量分析を行った。
【0141】
HCV標的PCRプライマーとしては、forward 5’-GGGCTATAAGGTGCTAGTGC-3’(配列番号157)、reverse 5’-GGCTGCCAGTGGTAATTGTT-3’(配列番号158)を使用し、GAPDH PCRプライマーとしては、forward 5’-TCCCTGAGCTGAACGGGAAG-3’(配列番号159)、reverse 5’-GGAGGAGTGGGTGTCGCTGT-3’(配列番号160)を用いた。
【0142】
その結果、HCV 1a RNAの含有量は、hzVSF_var13を0.1 U/ml以上の濃度で処理した場合、時間の経過に応じて減少することを確認しており、このようなHCV 1a複製の抑制効果はhzVSF_var13の濃度依存的であることを確認した(
図36のA)。
【0143】
さらに、hzVSF_var13を処理した場合、HCVコアタンパク質の含量を確認するためにウェスタンブロット分析を行った結果、処理された濃度に依存的にタンパク質の含量が減少することを確認した(
図36のB)。
【0144】
次に、hzVSF_var13のHCV薬物対比の効果を確認しようとした。HCV TNcc(遺伝子型1a)が感染したHuh7細胞にhzVSF_var13とHCV薬物(sofosbuvir、simeprevir)を各用量に応じて処理し、一週間ごとにHCV感染細胞を回収した後、トリゾールを用いて全体RNAを抽出した。以後逆転写を通じてcDNAを収得した。次に、Accupower 2x greenstar qPCR Master mix(bioneer)を使用してqPCRでHCV全体RNA(配列番号157及び158のプライマーを用いる)及び補正のためのGAPDH(housekeeping gene)の定量分析を行った。
【0145】
その結果、hzVSF_var13を1μg/mlの濃度で処理した場合は、対照群の薬物に比べても著しくHCV 1aの複製を阻害することを確認した(
図37)。
したがって、HCV TNcc(遺伝子型1a)感染細胞にhzVSF変異体を投与すると、HCV遺伝子(RNA)及びHCVコアタンパク質を減少させるため、hzVSF変異体がHCVに対する抗ウイルス効果を有することが分かった。
【0146】
実施例16-3:C型肝炎ウイルス(HCV 1b)に対するhzVSF変異体の抗ウイルス効果の確認
次に、hzVSF変異体のHCV 1b複製の抑制効果を確認するために、HCV遺伝子型1bのサブゲノムレプリコン(subgenomic replicon)を発現するHuh7細胞にhzVSF_var13とHCV薬物(sofosbuvir、simeprevir)とを各用量に応じて処理し、一週間ごとにHCV感染細胞を回収した後、トリゾールを用いて全体RNAを抽出した。以降逆転写を通じてcDNAを収得した。Accupower 2x greenstar qPCR Master mix(bioneer)を使用してqPCRでHCV全体RNA及び補正のためのGAPDH(housekeeping gene)の定量分析を行った。
【0147】
HCV標的PCRプライマーとしては、forward 5’-ATGCAGCCCAAGGGTATAAG-3’(配列番号161)、reverse 5’-GGTTCTGATGTTAGGGTCGATAC-3’(配列番号162)を用い、GAPDH PCRプライマーとしては、配列番号159と160のプライマーを用いた。
【0148】
その結果、hzVSF_var13を処理した場合、濃度依存的にHCV 1bの複製を抑制することが確認できており、特にhzVSF_var13を1μg/mlの濃度で処理した場合、対照薬であるSofosbuvir及びSimeprevirと同様のレベルで効果を示すことを確認した(
図38のB)。また、hzVSF_var13の処理濃度別にHCV NS5Aのレベルをウエスタンブロットで確認した結果、濃度依存的にHCV NS5Aの量が減少することを確認した(
図38のA)。
【0149】
したがって、HCVレプリコン(遺伝子型1b)発現細胞にhzVSF_var13を投与すると、HCV遺伝子(RNA)及びHCV NS5Aタンパク質の量を減少させるため、HCVに対する抗ウイルス効果を有することが分かった。
【0150】
実施例16-4:C型肝炎ウイルス(HCV 2a)に対するhzVSF変異体の抗ウイルス効果の確認
次に、hzVSF変異体のHCV 2a複製の抑制効果を確認するために、HCV遺伝子型2aが感染したJFH-1細胞にhzVSF_var13とHCV薬物(sofosbuvir、simeprevir)とを各用量に応じて処理し、一週間ごとにHCV感染細胞を回収した後、トリゾールを用いて全体RNAを抽出した。以後逆転写を通じてcDNAを収得した。次に、Accupower 2x greenstar qPCR Master mix(bioneer)を使用してqPCRでHCV全体RNA及び補正のためのGAPDH(housekeeping gene)の定量分析を行った。HCV標的PCRプライマーは配列番号157及び158のプライマーを用い、GAPDH PCRプライマーは配列番号159及び160のプライマーを用いた。
【0151】
その結果、hzVSF_var13を処理した場合、7週が経過した時点では処理濃度に大きな差がない対照群の薬物と同様のレベルでHCV 2aの複製を抑制することを確認した(
図39のB)。さらに、前記の結果を長期的に、すなわち、21週まで確認したとき、1μg/mlの高濃度で処理した場合には、Sofosbuvir及びsimeprevirを処理した場合と同様にHCV 2aの複製抑制効果が維持されることを確認した(
図40)。
【0152】
前記の結果を総合すると、HCV遺伝子型2a感染細胞にhzVSF_var13を投与する場合、HCVの遺伝子(RNA)及びHCVコアタンパク質(
図39のA)を減少させるため、HCVに対する抗ウイルス効果を示すことがわかった。
【0153】
実施例17:インフルエンザウイルス感染に対するhzVSFの治療効果の確認
本願発明のhzVSFの代表的な変異体であるhzVSF_var13のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス及び抗炎症効果を確認するために、マウスで次のような実験を行った。
【0154】
4週齢の雌Balb/cマウスに1X10
5pfuのH1N1インフルエンザA/Puerto Rico/8/34ウイルスを鼻腔に感染させた後、感染2、4または6日目に25、100、400unitのhzVSF_var13を尾静脈から投与した。ウイルス感染後の7日目と9日目のマウスを犠牲にして、H&E染色、肺と体重の重量、粘膜上皮細胞及び繊毛、及び免疫組織化学染色法で免疫細胞の浸潤を調査した。
【0155】
その結果、500 UのhzVSF_var13を投与した群では、対照群に比べてインフルエンザ力価が100倍以上減少した(
図41)。
また、H1N1インフルエンザウイルスを感染させた群は、肺胞に免疫細胞と浸潤が起こった反面、100Uと400Uを投与した群は、投与時期に関係なく非感染対照群の肺組織のように正常の肺のようにインフルエンザウイルスによる症状が治療された。25Uを投与した場合も、投与時期による差はあるが、免疫細胞の浸潤を抑制するため、治療効果があることを確認した(
図42)。
【0156】
また、マウスの肺の気道上皮細胞(epithelial cell)の繊毛(cilia)を観察した結果、非感染対照群と400U hzVSF_var13投与群は、肺気道に繊毛を有している上皮細胞を観察することができた反面、ウイルスに感染された肺では、上皮細胞層がウイルス感染によって消失した(
図43)。
【0157】
また、肺重量とマウスの体重の割合を測定した結果、ウイルスに感染された群は肺に液体が満ちる肺炎の症状により体重あたり肺の割合が増加する反面、hzVSF_var13を投与した群は濃度にある程度比例して、正常マウスの体重あたり肺の割合方向に減少することを確認した(
図44)。
【0158】
最後に、hzVSF_var13の免疫細胞浸潤の抑制効果を観察するために免疫組織化学染色法でCD4 T細胞(
図45及び46)とマクロファージ(macrophage)のマーカー(
図47及び48)を用いて確認した(
図46と48では、10
7pfu感染)。 H1N1インフルエンザウイルス10
7 pfuの感染後7日目のマウスの肺染色でCD4 T細胞とマクロファージの浸潤が起こった反面、hzVSF_var13を投与した群では、CD4 T細胞とマクロファージの浸潤が著しく減少することが確認できた(
図45〜48)。
【0159】
このような結果は、本発明のhzVSF及びその様々な変異体がインフルエンザウイルスに対する優れた抗ウイルス効果だけでなく、さらに免疫細胞の浸潤を抑制する抗炎症効果により炎症を抑制し、副作用がない抗ウイルス剤だけでなく、抗炎症剤として使用することができることを示唆する。
【0160】
実施例18:様々なウイルスに対するhzVSFの抗ウイルス効果の確認
本発明のhzVSF_wt及びその変異体が、様々なウイルスに対する抗ウイルス効果を示すことを確認するために、hzVSF_wt及び代表的な変異体であるhzVSF_var13の効果をインビトロ及びインビボで確認した。インビトロの実験は抗ウイルス能に関するものであり、インビボ実験は抗ウイルス及び抗炎症に対するものである。
【0162】
【表15】
その結果、脳心筋炎(EMCV)ウイルスに対してはhzVSFがインビトロ及びインビボ両方で著しい抗ウイルス能と抗炎症を示した。メンゴウイルスに対してはインビトロで著しい抗ウイルス能を示した。レオウイルス(Reovirus)に対してもインビトロ及びインビボでの効果を示した。HIVに対しても、インビトロで抗ウイルス効果を示した。HCMVに対しても抗ウイルス能及び抗炎症機能を示した。ハンタンウイルス(Hantaan virus)に対してもインビトロでの効能を示し、B型及びC型肝炎ウイルスに対してもインビトロでの抗ウイルス能を示した。ヒト肝炎と類似の機序でマウスで肝炎を引き起こすMHVに対しては、特にインビボで抗ウイルス及び抗炎症能を示した。インフルエンザウイルスに対してインビトロ及びインビボで抗ウイルス及び抗炎症能を示し、インビボでの効能がさらに優れていた。
【0163】
実施例19:マウスモデルにおけるmVSF投与による炎症性サイトカイン分泌の抑制効果の確認
mVSFが炎症性サイトカインの生成に及ぼす影響を確認するために、マウスにEMC-Dウイルスを感染させ、mVSFを投与して3日後、炎症性サイトカインの量を血清からELISAで測定した。下記表16で示したように、ウイルス感染後の炎症性サイトカインであるIL-6、TNF-α、IFN-γ及びMCP-1が増加したが、mVSFの投与はこれらの炎症性サイトカインの発現を阻害した。
【0164】
【表16】
前記の結果からmVSFはウイルス感染によって誘導される炎症を抑える抗炎症効果もあることが分かった。
【0165】
さらに、マウス急性肝炎でmVSFが炎症性サイトカインの生成に及ぼす影響を確認するために、マウスにマウス肝炎ウイルスを感染させてVSFを処理した後、1日または3日後、炎症性サイトカインの量を血清からELISAで測定した。下記表17で示したように、ウイルス感染後の炎症性サイトカインであるIL-6、TNF-α、IFN-γ及びMCP-1が増加したが、VSFの投与はこれらの炎症性サイトカインの発現を阻害した。また、IFN-αの1回投与がより大きな相乗効果を示すことが分かった。
【0166】
【表17】
前記の結果から、VSFはウイルス感染によって誘導される炎症を抑える抗炎症効能もあることが分かった。
【0167】
実施例20:マウスモデルにおけるhzVSF投与による炎症性サイトカイン分泌の抑制効果の確認
本発明のhzVSFが炎症性疾患の治療のための炎症性サイトカインの分泌を抑制することができるかどうかを確認するために、次のような実験を行った。
【0168】
1x10
5 pfuのH1N1(インフルエンザA/PR8)インフルエンザウイルスに感染したマウスの肺と感染1日後500unitのhzVSF_var13を投与したマウスの肺を摘出した。GLB(Greenberger Lysis Buffer)を肺と一緒に均質化した後、氷の上に30分間静置した後、3,470Xg、7分、4℃で遠心分離を行った。上清液を収得した後、420 X g、10分、4℃で遠心分離した後、前記の肺試料とキャプチャービーズ(capture bead)、PE検出試薬(PE detectionreagent)を1:1:1で50μlずつ混合した後、光を遮断した常温で2時間反応させた。反応後の洗浄バッファーでビーズを再懸濁した後、FACS cantoIIでデータを測定した。
【0169】
その結果、インフルエンザウイルスに感染した7日目に、マウスの肺に前炎症性サイトカイン(pro-inflammatory cytokine)に属するIL-6、TNF-α、IFN-γ、CCL2(MCP-1)の量が著しく増加することが確認できた。しかし、本発明のhzVSF_var13投与の結果、マウスの肺において、前記サイトカインの生成を著しく抑制することが確認できた(
図49)。
【0170】
すなわち、様々な炎症性サイトカインを抑制し、ウイルス感染による様々な炎症性疾患の治療剤として用いられることを示唆する。
実施例21:ビメンチン過発現細胞株(stable cell line)におけるEMC−D感染後のhzVSFの効果確認
ビメンチンを発現しないMCF-7細胞にビメンチン(wt)またはhzVSFとの結合部位を突然変異させたビメンチン(mt)を形質転換させて、ビメンチン(wt)またはビメンチン(mt)過発現細胞株を作製した。次に、同様の発現レベルを有する選別された細胞を用いてMVITアッセイを行った。
【0171】
具体的には、ウェルあたり2x10
4個の細胞を接種した後、2 MOIのEMC-Dウイルスを感染させ、2時間後にhzVSF_var13を256Uから4倍ずつ連続的に希釈して添加し、2日間培養した。その後、細胞をメタノールで固定させた後、0.5%クリスタルバイオレット(crystal violet)で染色し、空気乾燥した後に観察した。
【0172】
その結果、MCF-7親細胞、Mock及びビメンチン(mt)は、ウイルス感染に対するhzVSFの効能を観察できなかったのに対し、ビメンチン(wt)を発現するMCF-7は、ウイルス感染によってビメンチンがVSF受容体(VR)に構造的な変化が誘導されて、hzVSFの抗ウイルス効能があることが確認できた(
図50及び
図51)。
【0173】
次に、細胞毒性を確認するために、WSTアッセイをさらに実施した。前記MVITアッセイと同じ条件でビメンチン(wt)及びビメンチン(mt)細胞を3日間培養した後、テトラゾリウム塩(tetrazolium salt、WST-1)を処理してさらに4時間培養し、450nmの波長で吸光度を測定した。測定後、上清液を除去して細胞をメタノールで固定させた後、0.5%クリスタルバイオレットを用いて固定染色を20分間行った後、空気乾燥させた。染色された細胞をメタノールに溶かし540nmの波長で吸光度を測定した。
【0174】
その結果、MCF-7親細胞、Mock及びビメンチン(mt)は、EMC-Dウイルス感染に対するhzVSF効能が観察されなかったのに対し、ビメンチン(wt)を発現するMCF-7は、ウイルス感染によってビメンチンがVSF受容体(VR)に構造的な変化が誘導されて、hzVSFの抗ウイルス効能があることを確認した(
図52)。
【0175】
次に、ビメンチン過発現細胞株(stable cell line)におけるEMC-D感染によるVSF受容体(VR)の発現様相を確認しようとした。それで、それぞれの安定したMCF-7細胞、すなわち、ビメンチン(wt)及びビメンチン(mt)に5 MOIのEMC-Dを9時間感染させた後、hzVSF_var13で細胞を免疫染色した。細胞を固定させた後、透過化(permeabilization)させ、1:250に希釈したhzVSF_var13を細胞と反応させた。2次抗体としてFITC-ヤギ‐ヒトIgGで反応させて、蛍光顕微鏡で細胞でのhzVSFに対する受容体(VR)発現を確認した(500倍率)。
【0176】
その結果、
図55で示したようにmock及びhzVSFの結合部位が突然変異されたビメンチン発現細胞にはhzVSF_var13が結合しなかったが、wtのビメンチンを発現する細胞ではウイルス感染によってVRが発現されることを確認した(
図53)。
【0177】
実施例22:大腸菌における精製したVR WT及びMTとVSFの結合の確認
Ni-NTAシステムを用いて精製されたp60組換えタンパク質5mgとhzVSF_var13をモル比2:1で計算して、最終的体積が700mlになるようにPBS(phosphate bufferedsaline)で満たした後、4℃オービタルシェーカー(orbital shaker)で3時間インキュベーションした。次に、プロテインAビーズ(50%スラリー)を添加して4℃で1時間インキュベーションした後、プロテインA-hzVSF-VR複合体を3,000xgで4℃で3分間遠心分離した。その後、上清液を除去し、PBSでビーズを洗浄した後、3,000 xgで4℃で3分間再び遠心分離し、このプロセスを3回繰り返した。次に、2X SDS標準緩衝液を加えて5分間加熱し、SDS‐PAGE及びウェスタンブロットを行った。
【0178】
その結果、ビメンチンのY150/R186/Q195/R217/K235/R270である6個のアミノ酸をそれぞれF、K、N、K、R、Kに置換突然変異をさせたタンパクはhzVSFとの結合が確実に低下することを確認した(
図54)。これで、hzVSFはビメンチンのY150/R186/Q195/R217/K235/R270に結合することがわかった。
【0179】
実施例23:HEK293T細胞における過発現させたVR(mt)とVSFとの結合の確認
HEK293T細胞にp60 WTまたはp60 MTを形質転換させた後、hzVSF_v13との結合を確認した。
【0180】
具体的に、2x10
6個のHEK293T細胞を100mm培養ディッシュに接種した後、p60WT(野生型)及びMT(変異体)DNA(ベクター:pcDNA3.1mycHisC)に形質転換させて48時間インキュベーションした。その後、前記細胞を回収した後、1mlの1%CHAPS溶解緩衝液を添加して20分間氷に静置させ、細胞を溶解させた。溶解された細胞を4℃、13,000 rpmで15分間遠心分離して上清液を新しいチューブに移した。700mgのタンパク質に50%スラリーのプロテインAビーズを添加して4℃で1時間の間preclear反応を行った。次に、4℃、3,000 xgで3分間遠心分離した後、上清液を新しいチューブに移した。hzVSF_var13を1:100で処理した後、4℃で一晩インキュベーションしVSFとVRとを結合させた。その後、50%スラリーのプロテインAを添加した後、4℃で1時間反応させた。プロテインA-VSF-VR複合体を得て、ビーズを洗浄するために4℃、3,000 x gで3分間遠心分離し、上清液を除去した。次に、沈殿した複合体に1%CHAPS溶解緩衝液を添加してビーズを3回洗浄した。2X SDS標準緩衝液を入れて加熱し、SDS‐PAGEとイムノブロットを行った。
【0181】
その結果、細胞で過発現させたビメンチンのY150/R186/Q195/R217/K235/R270の6個アミノ酸をそれぞれF、K、N、K、R、Kに置換突然変異をさせたタンパク質は、hzVSFとの結合が確実に低下することを確認した(
図55)。これで、hzVSFはビメンチンのY150/R186/Q195/R217/K235/R270に結合することがわかった。6個のアミノ酸を突然変異で置換したレーンにおけるVSFとの弱い結合はHEK293T細胞に内在する野生型ビメンチンと過発現させた変異ビメンチンとの二量化及び四量化によりVSFが弱く結合すると推定される。
【0182】
前記の結果に続いて、コンピュータプログラムを用い、ビメンチンVSF結合デルを確認した(
図56〜
図58)。分析に使用された具体的なプログラムは、下記の通りである。
【0183】
VRダイマーモデリング:Protein Homology/analogY Recognition Engine V 2.0
( Component software Template detection: HHpred 1.51
Secondary structure prediction: Psi-pred 2.5
Disorder prediction: Disopred 2.4
Transmembrane prediction: Memsat_SVM
Multi-template modelling and ab initio: Poing 1.0
Re-orienting structures for easy viewing: OVOP )
VR_ダイマー及びVSFの複合体モデリング:Pymol
VR_ダイマー及び化合物の複合体モデリング:autodock vina
VRダイマーモデリングを介してVRがhzVSFと結合したときの構造を推定し、結論的にhzVSFはビメンチンのY150/R186/Q195/R217/K235/R270残基に結合することを確認した。
【0184】
前記のような結果は、本発明の配列番号1のペプチドに特異的に結合する抗体または前記ペプチドの結合断片が幅広いウイルス疾患に対して抗ウイルス及び抗炎症効果を示すことを示唆するもので、既存の抗ウイルス剤であるインターフェロンや化学療法剤とは異なり、副作用がなくウイルス感染細胞のみ選択的に適用して、治療時は少量で可能であり、免疫細胞の浸潤を抑制して抗炎症作用をして、様々なウイルスの治療剤として用いられることを示唆する。
【0185】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施されうることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものとして理解しなければならない。本発明の範囲は、前記の詳細な説明ではなく、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。