特許第6720342号(P6720342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720342
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】モビリティのための予測ルーティング
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20200629BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20200629BHJP
【FI】
   H04W8/26
   H04W4/029
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-558204(P2018-558204)
(86)(22)【出願日】2017年5月5日
(65)【公表番号】特表2019-515573(P2019-515573A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】CN2017083272
(87)【国際公開番号】WO2017190693
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】62/332,639
(32)【優先日】2016年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/584,957
(32)【優先日】2017年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】パドマデヴィ・ピレイ−エスノールト
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/055125(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102868599(CN,A)
【文献】 特表2014−512582(JP,A)
【文献】 CABELLOS. A et al. ,An Architectural Introduction to the Locator/ID Separation Protocol (LISP),draft-ietf-lisp-introduction-13.txt,2015年 4月 2日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/00−12/26
12/50−12/955
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マップサーバによって予測経路のリストを利用する方法であって、
予測経路の前記リストを受けるステップであって、予測経路の前記リストは位置識別子アドレス(RLOC)のリストを備える、ステップと、
予測経路の前記リストを前記マップサーバのメモリに記憶するステップと、
第1のネットワーク要素からユーザデバイスの位置についての要求を受けるステップであって、前記要求は前記ユーザデバイスにパケットを送信することに関連する、ステップと、
予測経路の前記リストに基づいて前記第1のネットワーク要素に複数のユーザ位置を送信するステップであって、前記複数のユーザ位置は、前記パケットが第2のネットワーク要素によって受けられるときに前記第2のネットワーク要素が前記パケットをどこに送信することになるかを識別する、ステップと
を備える方法。
【請求項2】
予測経路の前記リストを前記ユーザデバイスから受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予測経路の前記リストを第三者から受ける、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のネットワーク要素はイグレストンネルルータ(ITR)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のネットワーク要素はパケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW)上で実施される再カプセル化トンネルルータ(RTR)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のネットワーク要素はサービスゲートウェイ(S−GW)上で実施されるイグレス/エグレスルータ(xTR)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
予測経路の前記リストはロケータ/アイデンティフィケーションセパレーションプロトコル(LISP)カノニカルアドレスフォーマット(LCAF)コード化レプリケーションリストエントリタイプを用いて記憶される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
予測経路の前記リストはエンドポイント識別子アドレス(EID)および前記ユーザデバイスの現在のRLOCとともにマップサーバ(MS)によって記憶される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザデバイスの前記位置についての前記要求を受ける前に、前記パケットを記憶するロケータ/アイデンティフィケーションセパレーションプロトコル(LISP)サイトの位置についての要求を前記第2のネットワーク要素から受けるステップをさらに備える請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ネットワークにおいてルータによって予測経路のリストを利用する方法であって、
ユーザデバイスからパケットについての要求を受けるステップと、
前記パケットの位置を第1のネットワーク要素に要求するステップと、
前記位置を前記第1のネットワーク要素から受けた後に前記パケットを第2のネットワーク要素に要求するステップと、
前記第2のネットワーク要素から前記パケットおよび複数の位置を受けるステップであって、前記複数の位置は、前記第1のネットワーク要素に記憶されている予測経路の前記リストに基づ予測経路の前記リストは位置識別子アドレス(RLOC)のリストを備える、ステップと、
前記パケットを複製して、前記複数の位置の各々にコピーを送るステップと
を備える方法。
【請求項11】
前記ルータは、パケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW)上で実施される再カプセル化トンネルルータ(RTR)であり、前記第1のネットワーク要素はマップサーバ(MS)であり、前記ネットワークはアイデンティフィケーション依存型ネットワークである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のネットワーク要素はロケータ/アイデンティフィケーションセパレーションプロトコル(LISP)サイトにおけるイグレストンネルルータ(ITR)である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の位置の1つ以上はサービスゲートウェイ(S−GW)上で実施されるイグレス/エグレスルータ(xTR)を表す、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アイデンティフィケーション依存型ネットワークにおいてルーティングテーブルを有するサーバに接続されるユーザデバイスであって、
メモリと、
前記メモリに接続されており、位置識別子アドレス(RLOC)のリストを決定するように構成されているプロセッサと、
前記プロセッサに接続されており、前記ルーティングテーブルによる記憶のためにRLOCの前記リストを前記ルーティングテーブルに送信し、
前記アイデンティフィケーション依存型ネットワークを通じてパケットをルーティングする際にRLOCの前記リストが利用される、ように構成されている送信器と
を備えるユーザデバイス。
【請求項15】
前記サーバはマップサーバ(MS)であり、RLOCの前記リストはパターン認識および地理的位置の少なくとも1つを用いて前記ユーザデバイスによって決定される、請求項14に記載のユーザデバイス。
【請求項16】
RLOCの前記リストは、前記ユーザデバイスと前記ユーザデバイスを輸送する輸送体とのうちの少なくとも1つの移動の方向に基づいて前記ユーザデバイスおよび第三者のうちの1つによって決定される、請求項14または15に記載のユーザデバイス。
【請求項17】
前記ユーザデバイスによって要求されるパケットは、RLOCの前記リストに基づく2つの異なる位置で前記ユーザデバイスに利用可能である、請求項14から16のいずれか一項に記載のユーザデバイス。
【請求項18】
RLOCの前記リストはエンドポイント識別子アドレス(EID)および前記ユーザデバイスの現在のRLOCとともに前記ルーティングテーブルに送信される、請求項14から17のいずれか一項に記載のユーザデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月2日に出願され、「モビリティのための予測ルーティング」と題された米国特許出願第15/584,957号(仮特許出願ではない)の優先権を主張し、米国特許出願第15/584,957号については、Padmadevi Pillay−Esnaultによって2016年5月6日に出願され、「モビリティのための予測ルーティング」と題された米国仮特許出願第62/332,639号の優先権を主張し、米国仮特許出願第62/332,639号は、その全体が再現されるように参照によって本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし
【0003】
マイクロフィッシュ付録の参照
該当なし
【背景技術】
【0004】
インターネットプロトコル(IP)アドレスセマンティクスはノードの位置およびアイデンティティ(ID)を表す。IPアドレスは多くの場合にセッションを特定するのに用いられ、セッション期間中、固定されることになっている。しかし、モバイルノードは、位置が変化したり、ネットワークアクセスを変更する(たとえば、ワイヤレスフィディリティ(WiFi)からセルラ)ときに、アドレスの変更を行ってもよい。したがって、ノードがセッションについてIPアドレスに依存する場合、ノードのモビリティを実施して、リモートサイトとのセッションを継続し続けることは難しい。モバイルインターネットプロトコルバージョン4(IPv4)、モバイルインターネットプロトコルバージョン6(IPv6)、プロキシモバイルIP、分散モビリティマネジメント(Distributed Mobility Management)(DMM)、汎用パケット無線システム(General Packet Radio Service)(GPRS)トンネリングプロトコル(Tunneling Protocol)(GTP)などのいくつかのIP解決手段は、IPアドレスを固定し続け、トラフィックの再転送に依存するモビリティアンカー概念を用いてこの制限に対処する。一般的には、これらの解決手段では、アンカーにパケットをルーティングした後、最終的な宛先にパケットをルーティングする三角ルーティングのために、レイテンシを導入している。他の解決手段では、アイデンティティ位置分離概念およびマップサーバを用いて、ロケータ/IDセパレーションプロトコル(Locator/ID Separation Protocol)(LISP)などにおいてトラフィックをどこに転送するかを決定する。たとえば、LISPは、エンドポイントアドレスを識別する位置識別子(Route Locator)(RLOC)アドレスと、セッションに用いられるIDを表すエンドポイント識別子(End Point Identifier)(EID)とに依存する。IDがセッション中に固定されるので、IPアドレスの移動および変更はセッションおよび上記の用途に対して透明である。
【0005】
ほとんどの既存の解決手段では、ノードのモビリティを、予測不能でランダムであるなんらかのものとして取り扱う。したがって、多くの場合、既存の解決手段では、マッピングサーバが新しい位置を反映するRLOCを更新する場合に、一般的には、モビリティアンカーを用いたり、類似の概念を用いたり、レイテンシを導入したりすることによって再ルーティングを行うが、最適状態に及ばないルーティングしか提供されない。したがって、既存の解決手段では、5ミリ秒(ms)以下になる場合がある第5世代モバイル規格(5th Generation mobile standard)(5G)などの新しい通信規格のレイテンシ要件を満たすのは難しい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様に係れば、マップサーバによって予測経路のリストを利用する方法が提供される。方法は、予測経路のリストを受けるステップと、予測経路のリストをメモリに記憶するステップと、第1のネットワーク要素からユーザデバイスの位置についての要求を受けるステップであって、要求はユーザデバイスにパケットを送信することに関連する、ステップと、予測経路のリストに基づいて第1のネットワーク要素に複数のユーザ位置を送信するステップであって、複数のユーザ位置は、パケットが第2のユーザデバイスによって受けられるときに第2のユーザデバイスがパケットをどこに送信することになるかを識別する、ステップとを含む。
【0007】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、予測経路のリストは位置識別子アドレス(RLOC)のリストを備えることが実現される。
【0008】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、予測経路のリストをユーザデバイスから受けることが実現される。
【0009】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、予測経路のリストを第三者から受けることが実現される。
【0010】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、第1のネットワーク要素はイグレストンネルルータ(ITR)であることが実現される。
【0011】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、第2のネットワーク要素はパケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW)上で実施される再カプセル化トンネルルータ(RTR)であることが実現される。
【0012】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、第2のネットワーク要素はサービスゲートウェイ(S−GW)上で実施されるイグレス/エグレスルータ(xTR)であることが実現される。
【0013】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、予測経路のリストはロケータ/アイデンティフィケーションセパレーションプロトコル(LISP)カノニカルアドレスフォーマット(LCAF)コード化レプリケーションリストエントリタイプを用いて記憶されることが実現される。
【0014】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、予測経路のリストはエンドポイント識別子アドレス(EID)およびユーザデバイスの現在のRLOCとともにマップサーバ(MS)によって記憶されることが実現される。
【0015】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、ユーザデバイスの位置についての要求を受ける前に、パケットを記憶するロケータ/アイデンティフィケーションセパレーションプロトコル(LISP)サイトの位置についての要求を第2のネットワーク要素から受けるステップが実現される。
【0016】
本開示の一態様に係れば、ネットワークにおいてルータによって予測経路のリストを利用する方法が実現される。方法は、ユーザデバイスからパケットについての要求を受けるステップと、パケットの位置を第1のネットワーク要素に要求するステップと、位置を第1のネットワーク要素から受けた後にパケットを第2のネットワーク要素に要求するステップと、第2のネットワーク要素からパケットおよび複数の位置を受けるステップであって、複数の位置は、第1のネットワーク要素に記憶されている予測経路のリストに基づく、ステップと、パケットを複製して、複数の位置の各々にコピーを送るステップと含む。
【0017】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、予測経路のリストは位置識別子アドレス(RLOC)のリストを備えることが実現される。
【0018】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、ルータは、パケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW)上で実施される再カプセル化トンネルルータ(RTR)であり、第1のネットワーク要素はマップサーバ(MS)であり、ネットワークはアイデンティフィケーション依存型ネットワークであることが実現される。
【0019】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、第2のネットワーク要素はロケータ/アイデンティフィケーションセパレーションプロトコル(LISP)サイトにおけるイグレストンネルルータ(ITR)であることが実現される。
【0020】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、複数の位置の1つ以上はサービスゲートウェイ(S−GW)上で実施されるイグレス/エグレスルータ(xTR)を表すことが実現される。
【0021】
本開示の1つの態様に係れば、アイデンティフィケーション依存型ネットワークにおいてルーティングテーブルを有するサーバに接続されるユーザデバイスが実現される。ユーザデバイスは、メモリと、メモリに接続されており、位置識別子アドレス(RLOC)のリストを決定するように構成されているプロセッサと、プロセッサに接続されており、ルーティングテーブルによる記憶のためにRLOCのリストをルーティングテーブルに送信するように構成されている送信器とを含む。アイデンティフィケーション依存型ネットワークを通じてパケットをルーティングする際にRLOCのリストが利用される。
【0022】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、サーバはマップサーバ(MS)であり、RLOCのリストはパターン認識および地理的位置の少なくとも1つを用いてユーザデバイスによって決定されることが実現される。
【0023】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、RLOCのリストは、ユーザデバイスとユーザデバイスを輸送する輸送体とのうちの少なくとも1つの移動の方向に基づいてユーザデバイスおよび第三者のうちの1つによって決定されることが実現される。
【0024】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、ユーザデバイスによって要求されるパケットは、RLOCのリストに基づく2つの異なる位置でユーザデバイスに利用可能であることが実現される。
【0025】
これとは別に、上記態様のいずれかにおいて、態様の別の実現例により、RLOCのリストはエンドポイント識別子アドレス(EID)およびユーザデバイスの現在のRLOCとともにルーティングテーブルに送信されることが実現される。
【0026】
明確にするために、前述の実施の形態のいずれか1つを他の前述の実施の形態のいずれか1つ以上と組み合わせて、本開示の範囲内で新しい実施の形態を設けてもよい。
【0027】
添付の図面および請求項とともに設けた以下の詳細な説明からこれらの特徴および他の特徴はより明確に理解される。
【0028】
本開示をより完全に理解するために、添付の図面および詳細な説明(同様の参照符号は同様の部分を表す)に関して設けた以下の簡単な説明をここに示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】通信ネットワークを示す。
図2】本開示の実施の形態に係るLISPネットワークを示す。
図3】本開示の別の実施の形態に係るLISPネットワークを示す。
図4】本開示の実施の形態に係る予測RLOCのリストを利用する方法である。
図5】本開示の別の実施の形態に係る予測RLOCのリストを利用する方法である。
図6】本開示の様々な実施の形態に係るネットワーク要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず、以下、1つ以上の実施の形態の例示的な実現例が示されているが、現在知られていたり、既存であったりするかにかかわらず、開示されているシステムおよび/または方法を任意の技術を用いて実施してもよいと解するべきである。開示は、以下に示されている例示的な実現例、図面および技術(本明細書に示され説明されている典型的な設計および実現例を含む)にいかなる場合も限定されるべきではなく、添付の請求項の範囲(これらの均等物の完全な範囲をともなう)内で修正してもよい。
【0031】
複数のユーザデバイスなどのノードのモビリティを実施すると、たとえば、複数のユーザデバイスに対してセッションを継続し続けること、および新しい通信規格のレイテンシ要件を達成することなどの様々な問題が起こる。上述のモビリティ問題に対処する、予測ルーティングを用いるシステムおよびプロトコルをここで開示する。既存の解決手段ではノードのモビリティを予測不能でランダムであるものとして取り扱っているが、ユーザデバイス(たとえば、携帯電話器、タブレットなど)が用いられる実際の生活状況を検討することによってパターンを推測して簡略化を実現してもよい。このパターンおよび/または簡略化に基づいて、高確率で(たとえば、地理的位置、ユーザ端末(UE)でのハンドオーバの信号などを用いて)予測することができる経路(たとえば、LISPのRLOC)のリストをユーザデバイスまたはサードパーティによって生成する。その後、経路のリストは、ルーティングまたは転送構成(たとえば、LISPにおけるマップサーバ)に予めアップロードされる。その後にユーザデバイスがパケットを要求するとき、ネットワーク要素(たとえば、パケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway)(P−GW)またはLISPサイト)は、サイトから受けたパケットを複製して、パケットのコピーを実際の経路(すなわち、現在の経路)に基づいて送るか、パケットのコピーをユーザデバイスの実際のRLOCに(たとえば、あるサービスゲートウェイ(S−GW)に)送り、別のコピーを予測経路に基づいて送るか、マップサーバに記憶されているRLOCのリストに基づく予測RLOCに(たとえば別のS−GWに)送る。このようにすることによって、ユーザデバイスについてのセッションが継続し続けられ、新しい通信規格のレイテンシ要件を満たすことができる。原理は、モバイルユーザデバイスを見つけることができる可能性がある位置にパケットを送ることである。解決手段は、パケットがモバイルデバイス自体よりも先に新しい位置に到達する可能性が高い場合に、帯域を使用することと、レイテンシをきわめて低くすることとの妥協を図ることで、レイテンシを低減し、かつ確実にパケットロスをほぼゼロにするものである。
【0032】
図1は通信ネットワーク100を示す。示されているように、通信ネットワーク100は第1の発展型地上無線アクセス(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)(E−UTRAN)140を含み、これは第2のE−UTRAN150に重なる。説明のために第1および第2のE−UTRAN140および150が示されているが、実際に適用する際には通信ネットワーク100は任意の数のE−UTRANを含んでもよい。第1のE−UTRAN140は、第1の複数の基地局141、第2の複数の基地局143および第3の複数の基地局145を含む。第2のE−UTRAN150は第4の複数の基地局151および第5の複数の基地局153を含む。第1〜第5の複数の基地局141、143、145、151および153の各々は、Node B、発展型Node B(eNB)、無線基地局(BTS)または他の類似の要素であってもよい。
【0033】
第1の複数の基地局141中の基地局はX2インタフェースを用いて内部接続され、S1インタフェースを用いて第1のS−GW121と相互接続される。第2の複数の基地局143中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第2のS−GW123と相互接続される。第3の複数の基地局145中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第3のS−GW125と相互接続される。第4の複数の基地局151中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第4のS−GW131と相互接続される。最後に、第5の複数の基地局153中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第5のS−GW133と相互接続される。
【0034】
第1のE−UTRAN140は第1の発展型パケットコア(Evolved Packet Core)(EPC)120によって担当される。第1のEPC120はそれぞれ第1、第2および第3のS−GW121、123および125を含む。第2のE−UTRAN150は第2のEPC130によって担当される。第2のEPC130はそれぞれ第4および第5のS−GW131および133を含む。第1のEPC120内の第1、2および第3のS−GW121、123および125はS5/S8インタフェースを用いて第1のP−GW111と通信する。EPC130内の第4および第5のS−GW131および133は別のS5/S8インタフェースを用いて第2のP−GW113と通信する。第1のP−GW111は第1のEPC120とコアインターネット110との間のインタフェースに配置される。第2のP−GW113は第2のEPC130とコアインターネット110との間の別のインタフェースに配置される。
【0035】
通信ネットワーク100はユーザデバイス160をさらに含む。ユーザデバイス160は図1では携帯電話器として示されているが、ユーザデバイス160は、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタントなどであってもよい。図1に示されているように、ユーザデバイス160は矢印で示されているように位置Aから位置Eに移動する。ユーザデバイス160は位置A、BおよびCで第1、第2および第3の複数の基地局141、143および145によってそれぞれ担当され、位置DおよびEで第4および第5の複数の基地局151および153によってそれぞれ担当される。
【0036】
ユーザデバイス160が移動すると、ユーザデバイス160は位置A、BおよびCで第1のP−GW111によって担当され、位置DおよびEで第2のP−GW113によって担当される。これに加えて、ユーザデバイス160は第1のE−UTRAN140を利用することから第2のE−UTRAN150を利用することに切り替わる。E−UTRAN140からE−UTRAN150に移行するときにコアインターネット110にアクセスし続けるために、ユーザデバイス160は新しいIPアドレスを取得する必要がある。この移行時に、セッションの継続が失われる場合がある。セッションの継続が失われる場合、新しい通信規格のレイテンシ要件を達成できない場合がある。
【0037】
図2は本開示の一実施の形態に係るLISPネットワーク200を示す。図2のLISPネットワーク200は図1の通信ネットワーク100と同様である。しかし、図1の通信ネットワーク100とは異なり、図2のLISPネットワーク200は、以下により詳細に説明されているさらなる機能を持つネットワーク要素を含む。
【0038】
図2に示されているように、LISPネットワーク200は第1のE−UTRAN240を含み、これは第2のE−UTRAN250に重なる。図2の第1および第2のE−UTRAN240および250は、図1の第1および第2のE−UTRAN140および150と同様である。説明のために第1および第2のE−UTRAN240および250が示されているが、実際に適用する際にはLISPネットワーク200は任意の数のE−UTRANを含んでもよい。第1のE−UTRAN240は、第1の複数の基地局241、第2の複数の基地局243および第3の複数の基地局245を含む。第2のE−UTRAN250は第4の複数の基地局251および第5の複数の基地局253を含む。一実施の形態では、第1〜第5の複数の基地局241、243、245、251および253の各々はNode B、eNB、BTSまたは他の類似の要素であってもよい。図2の第1〜第5の複数の基地局241、243、245、251および253は、図1の第1〜第5の複数の基地局141、143、145、151および153と同様である。
【0039】
一実施の形態では、第1の複数の基地局241中の基地局はX2インタフェースを用いて内部接続され、S1インタフェースを用いて第1のS−GW221と相互接続される。一実施の形態では、第2の複数の基地局243中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第2のS−GW223と相互接続される。一実施の形態では、第3の複数の基地局245中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、さらに別のS1インタフェースを用いて第3のS−GW225と相互接続される。一実施の形態では、第4の複数の基地局251中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第4のS−GW231と相互接続される。最後に、一実施の形態では、第5の複数の基地局253中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第5のS−GW233と相互接続される。一実施の形態では、様々な基地局を相互接続するのにX2インタフェース以外のインタフェースを用いてもよい。一実施の形態では、様々な基地局を第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233に接続させるのにS1インタフェース以外のインタフェースを用いてもよい。
【0040】
第1のE−UTRAN240は、それぞれ第1、第2および第3のS−GW221、223および225を含む第1のEPC220によって担当される。第2のE−UTRAN250は、それぞれ第4および第5のS−GW231および233を含む第2のEPC230によって担当される。図2の第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233は、図1の第1〜第5のS−GW121、123、125、131および133と同様である。図2の第1および第2のEPC220および230は、図1の第1および第2のEPC120および130と同様である。
【0041】
一実施の形態では、第1のEPC220内の第1〜第3のS−GW221、223および225はS5/S8インタフェースを用いて第1のP−GW211と通信する。一実施の形態では、第2のEPC230内の第4および第5のS−GW231および233はS5/S8インタフェースを用いて第2のP−GW213と通信する。一実施の形態では、第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233を第1および第2のP−GW211および213に接続させるのにS5/S8インタフェース以外のインタフェースを用いてもよい。
【0042】
第1のP−GW211は第1のEPC220とコアインターネット210との間のインタフェースに配置され、第2のP−GW213は第2のEPC230とコアインターネット210との間の別のインタフェースに配置される。図2の第1および第2のP−GW211および213は図1の第1および第2のP−GW111および113と同様である。図2のコアインターネット210は図1のコアインターネット110と同様である。
【0043】
LISPネットワーク200はユーザデバイス260をさらに含む。図2のユーザデバイス260は図1のユーザデバイス160と同様である。ユーザデバイス260は図2では携帯電話器として示されているが、ユーザデバイス260は、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタントなどであってもよい。
【0044】
図2に示されているように、ユーザデバイス260は矢印で示されているように位置Aから位置Eに移動する。この経路に沿って、ユーザデバイス260は位置A、BおよびCで第1〜第3の複数の基地局241、243および245によってそれぞれ担当され、位置DおよびEで第4および第5の複数の基地局251および253によってそれぞれ担当される。したがって、ユーザデバイス260は位置A、BおよびCで第1のP−GW211によって担当され、位置DおよびEで第2のP−GW213によって担当される。示されているように、ユーザデバイス260は位置Cと位置Dとの間で第1のE−UTRAN240によって担当されることから第2のE−UTRAN250によって担当されることに切り替わる。
【0045】
LISPネットワーク200は、その位置によって識別可能であって、LISPネットワーク200のエッジに配置される複数のネットワーク要素(たとえばLISPサイトデバイス)を含む。たとえば、ネットワーク要素の1つはLISPサイト270(LISPインフラストラクチャを持つ。以下でより完全に説明される)のためのエッジネットワーク要素271であり、別のネットワーク要素は、コアインターネット210と第1のEPC220との間に配置される第1のP−GW211であり、別のネットワーク要素は、図2のコアインターネット210と第2のEPC230との間に配置される第2のP−GW213である。図2に示されていないが、ネットワーク要素(LISPサイトデバイスとも称する)は、1つ以上のIPルータによって相互接続される。
【0046】
図2のネットワーク要素は、たとえば、イグレストンネルルータ(ingress tunnel router)(ITR)、エグレストンネルルータ(egress tunnel router)(ETR)および/または再カプセル化トンネルルータ(Re−encapsulating Tunnel Router)(RTR)であってもよい。ITRは、宛先IDを宛先RLOCにマッピングする役割を果たすエッジネットワーク要素である。ITRはパケットをカプセル化して、他のLISPサイト270にそれを転送するし、あるいは、宛先が従来のIPを用いる場合には単純にパケットを転送してもよい。ITRは、まったくトンネルを設けないし、同様の機能も実行しない。さらに言えば、ITRはマッピングおよびカプセル化機能しか実行しない。当業者であれば、本開示に触れれば、たとえばユーザデバイスの予測ルートを探索する任意のネットワーク要素をITRの代わりに利用してもよいと解する。
【0047】
ETRはコアネットワーク(IPを用いる)からパケットを受けて、LISPパケットをカプセルから取り出し(非カプセル化し、とも称する)、LISPパケットをローカル宛先EIDに関連するユーザデバイス260に転送するエッジネットワーク要素である。RTRは、2013年1月付けの「ロケータ/IDセパレーションプロトコル(LISP)」と題されたリクエスト・フォー・コメンツ(Request for Comments)(RFC)6830(参照によって援用される)で詳述されている再カプセル化トンネル機能を実施するルータである。LISP RTRは、たとえば、イグレスパケットのLISPヘッダを削除した後にエグレスパケットの先頭に新しいLISPヘッダを付加することによって、ETR機能とITR機能とを入れ替えるによってパケット再ルーティングを実行する。当業者であれば、本開示に触れれば、宛先の有力候補位置に応じてパケットの宛先を修正したり、パケットを複製したりするように構成されている任意のネットワーク要素をRTRの代わりに利用してもよいと解する。
【0048】
多くの場合に、ネットワーク要素はイグレス機能とエグレス機能との組合せを持ち、したがって、xTRと称することがある。xTRは、トンネルエンドポイントであるルータを指し、用語、トンネルルータと同義的に用いられることがある。図2に示されているように、ITR、ETR、xTRおよび/またはRTR機能は、図2のLISPネットワーク200内の基礎となる構成要素をカバーする。一実施の形態では、xTR1、xTR2、xTR3、xTR6およびxTR7は図2の第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233にそれぞれ関連する。別の実施の形態では、RTR1、RTR2およびITR1は第1のP−GW211、第2のP−GW213およびエッジデバイス271にそれぞれ関連する。
【0049】
図2のLISPネットワーク200は、MS280によって図2にまとめて表されているマップサーバおよびマップリゾルバなどのLISPインフラストラクチャネットワーク要素も含む。マップサーバは、ETRとそのローカルEIDとを登録するデバイスである。マップリゾルバは、ITRによって送られるクエリに応答してEID−RLOCマッピングを解決するデバイスである。MS280はサーバまたは他のネットワークまたはコンピューティングデバイス(図示せず)上で動作してもよい。MS280をLISPネットワーク200内で集中させてもよい。MS280は登録されたEIDをLISPマッピングシステムにアドバタイズ/集約する。一実施の形態では、すべてのLISPサイト270がLISPマッピングシステムを用いることができる。
【0050】
LISPネットワーク200はEIDアドレスおよびRLOCアドレスを含む名前空間処理を利用する。一実施の形態では、EIDアドレスはIPフォーマット中にあり、識別子のみである。各EIDアドレス(たとえば、EID1、EID2など)は、ユーザデバイス260などの特定のユーザデバイスを識別する。例として、図2のEID1 291はユーザデバイス260に割り当てられた識別子である。
【0051】
LISPネットワーク200は予測経路のリストも利用する。LISPネットワーク200に関して、予測経路のリストは、図2に示されているようにRLOC292、293、294および295を含むRLOCのリスト290を備える。RLOC292、293、294および295はLISPネットワーク200内の様々なルータおよびノードのIPアドレスである。RLOC292、293、294および295はルーティング可能なアドレスであり、到達可能性は通常のIPプロトコル、ルーティングテーブルなどによる。RLOC292、293、294および295は位置を基礎とする。一実施の形態では、RLOCのリスト290はユーザデバイス260によってMS280にアップロードされる。一実施の形態では、RLOCのリスト290はサードパーティによってアップロードされてもよい。一実施の形態では、RLOCのリスト290は、ユーザデバイス260のEID1 291と、ユーザデバイス260の現在RLOCまたは実際のRLOCと、他のパケットルーティング情報とともにアップロードしてもよい。
【0052】
RLOCのリスト290に含まれるRLOC292、293、294および295は高確率で予測することができる。一実施の形態では、ここで用いられているが、高確率は約50%〜100%以下の確率を指す。一実施の形態では、高確率は約40%を超える確率を指す。RLOCのリスト290は様々な異なる技術を用いて決定してもよい。たとえば、地理的位置を用いて(たとえば、三角形の位置に対して複数のセルタワーを用いたユーザデバイス260の全地球測位システム(global positioning system)(GPS)能力を用いてなど)RLOCのリスト290を予測してもよい。認識パターン(たとえば、常にユーザは平日に特定のルートを用いて午前8時に仕事に向かうなど)に基づいて、予測RLOCのリスト290を定式化することもできる。
【0053】
図2に示されているように、MS280はユーザデバイス260から受けた予測RLOCのリスト290を記憶する。一実施の形態では、ユーザデバイス260は、D.Farinacciらによって2016年10月29日に発表されたインターネット技術標準化委員会(Internet Engineering Task Force)(IETF)文書draft−ietf−lisp−lcaf−20「LISPカノニカルアドレスフォーマット(LCAF)」(参照によって本明細書に援用される)に記載されているLISPカノニカルアドレスフォーマット(LISP canonical address format)(LCAF)コード化レプリケーションリストエントリ(replication list entry)(RLE)タイプを用いて予測RLOC292、293、294および295をMS280に登録する。一実施の形態では、サードパーティデバイスが予測RLOC292、293、294および295を登録してもよい。
【0054】
一実施の形態では、ユーザデバイス260がある位置から次に移動する際、ユーザデバイス260のEID1 291は同じままである。例として、最初にMS280が、xTR3を含む予測RLOC293を用いて位置Cにあるユーザデバイス260のEID1 291をマッピングしていると仮定する。EID1 291に関連するユーザデバイス260が位置Cから位置Dへ移動すると、ユーザデバイス260は図2のLISPネットワーク200の第3のS−GW225に含まれるLISP xTR3によってもはや担当されなくてもよく、図2のLISPネットワーク200の第4のS−GW231に含まれるLISP xTR6によって担当され始めてもよい。図2に示されているように、xTR6はRLOC294に含まれる。したがって、EID1 291はMS280によって位置Dで予測RLOC294にマッピングされる。したがって、ユーザデバイス260が、ある位置から次の位置に移動する際、そのRLOCを変更しても、ユーザデバイス260のEID1 291は同じままである。
【0055】
一実施の形態では、ユーザデバイス260のEID1 291は、MS280での個々のユーザデバイス260のマッピング中、ローミングEIDと、RLOC292、RLOC293、RLOC294またはRLOC295などの特定のRLOCとに関連する。さらに、予測RLOC292、293、294および295の各々は、D.Farinacciらによって2016年10月17日に発表されたIETF文書draft−ietf−lisp−signal−free−multicast−02「シグナルフリーLISPシグナリング」(参照によって本明細書に援用される)に記載されているRLEを用いて表される。たとえば、予測RLOCのリスト290内の予測RLOC292は、ユーザデバイス260を担当している現在のデバイスがxTR1(すなわち、第1のS−GW221に含まれるもの)であり、ユーザデバイス260を担当することになる、予測される次のデバイスはxTR2(すなわち、第2のS−GW223に含まれるもの)になることを示す。予測RLOC292、293、294および295の各々に2つのエントリが示されているが、さらなるデバイスが予測RLOC292、293、294および295に含まれてもよいと解するべきである。たとえば、予測RLOCのリスト290内の予測RLOC292は他の実施の形態ではxTR1、xTR2、xTR3などを含むことができる。
【0056】
RLOCのリスト290内の各々の予測RLOC292、293、294および295は、ユーザデバイス260が位置Aから位置Eにわたって移動する際に、将来、ユーザデバイス260を担当すると予測される1つ以上のネットワーク要素(たとえば、ルータ、ゲートウェイなど)によって後を継がれるユーザデバイス260を担当する現在のネットワーク要素(たとえば、ルータ、ゲートウェイなど)を含む。たとえば、RLOC292は、ユーザデバイス260を担当すると予測される次のネットワーク要素xTR2によって後を継がれるユーザデバイス260を担当している現在のネットワーク要素xTR1を含む。
【0057】
ユーザデバイス260に関連するEID1 291に転送されるパケットが存在する場合、ユーザデバイス260の近傍の第1および第2のP−GW211および213などのネットワーク要素(たとえば、ルータ、ゲートウェイなど)がパケットを複製して、複製されたパケットを第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233などのネットワーク要素(たとえば、ルータ、ゲートウェイなど)に送ることになる。一実施の形態では、エッジデバイス271のITR1がパケットの複製を実行してもよい。第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233などのネットワーク要素は、MS280に記憶されている予測RLOC292、293、294および295にしたがってユーザデバイス260に達することができる。
【0058】
ユーザデバイス260が、パケット要求が送信されたときのものであったときのネットワーク要素(たとえば、第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233)にパケットのコピーを届け、MS280に記憶されている予測RLOCのリスト290に基づいてユーザデバイス260が次のものであると予測されるときのネットワーク要素(たとえば、第1〜第5のS−GW221、223、225、231および233)にパケットの別のコピーを届けることによってパケットは送信されることになる。
【0059】
図2に示されているように、EID1 291に関連するユーザデバイス260の位置は位置Aから位置Eへの移動中に変化する。ユーザデバイス260はそのEID1 291を第1〜第5の複数の基地局241、243、245、251および253、すなわち第1および第2のE−UTRAN240および250に登録する。したがって、ネットワーク要素(たとえば、P−GW211および213)に含まれるRTRまたはユーザデバイス260にパケットを送ることを試みているネットワーク要素(たとえば、S−GW221、223、225、231および233)に含まれるxTRは、ユーザデバイス260の現在の位置より先にパケットを送り始めることができるし、ユーザデバイス260がRTRまたはxTRのサービスエリアを越している場合にパケットを送るのを止めることができる。さらに、ITRおよび/またはRTRは、関連するxTR(たとえば、ユーザデバイス260に達することができるxTR)にパケットを送ることしかしないように調整を行うことができる。したがって、セッションが継続され続け、上記で指摘されたレイテンシ問題が避けられる。
【0060】
本開示の実施の形態は図2のアーキテクチャを用いて実施される。まず、EID1 291に関連するユーザデバイス260がMS280に予測RLOCのリスト290を登録する。その後、ユーザデバイス260がホストまたは他のデバイスとの通信セッションまたは接続を開始する。例として、ユーザデバイス260は、パケットまたは一連のパケットを要求することによってホストまたは他のネットワーク要素との通信セッションまたは接続を開始してもよい。ユーザデバイス260がパケットを要求すると、RTR1を含む第1のP−GW211はMS280に連絡して、要求されたパケットまたはパケットを記憶しているホストが属する箇所を見つける。MS280は所望のパケットまたはパケットを記憶しているホストの位置を決定して、RTR1を含む第1のP−GW211に位置を通知する。要求されたパケットまたはホストが、ITR1を含むエッジデバイス271に関連するLISPサイト270に位置すると仮定して、RTR1を含む第1のP−GW211が、ITR1を含むエッジネットワーク要素271に関連するLISPサイト270にデータパケットについての要求を転送する。
【0061】
その後、ITR1を含むエッジネットワーク要素271に関連するLISPサイト270がMS280に連絡して、要求されたパケットをどこに送るかを決定する。MS280は予測RLOCのリスト290を参照して、ITR1を含むエッジネットワーク要素271に関連するLISPサイト270に、要求されたパケットについてのルーティング情報を提供する。その後、ITR1を含むエッジネットワーク要素271に関連するLISPサイト270が、受けた情報に基づいて、要求されたパケットを送信する。たとえば、EID1 291に関連するユーザデバイス260が、RTR1を含むP−GW211に対応するカバーエリアにあることを情報が示した場合、パケットはそこに送られる。
【0062】
パケットを受けた後、第1のP−GW211に関連するRTR1がパケットを複製して、予測RLOCのリスト290に基づいたMS280から受けた情報にしたがってパケットを送る。EID1 291に関連するユーザデバイス260が、xTR1を含む第1のS−GW221とxTR2を含む第2のS−GW223とによって担当されている可能性が高いことを情報が示した(すなわち、情報によってRLE:xTR1、xTR2を含むRLOC292が識別される)場合、RTR1を含む第1のP−GW211はxTR1を含む第1のS−GW221にデータパケットのコピーを送り、xTR2を含む第2のS−GW223にデータパケットの別のコピーを送る。したがって、データパケットは当然位置Bまたは位置CでEID1 291に関連するユーザデバイス260によって受けられる。
【0063】
図3は開示の一実施の形態に係るLISPネットワーク300を示す。図3のLISPネットワーク300は図2のLISPネットワーク200と同様である。示されているように、LISPネットワーク300は第1のE−UTRAN340を含み、これは第2のE−UTRAN350に重なる。図3の第1および第2のE−UTRAN340および350は、図2の第1および第2のE−UTRAN240および250と同様である。説明のために第1および第2のE−UTRAN340および350が示されているが、実際に適用する際にはLISPネットワーク300は任意の数のE−UTRANを含んでもよい。第1のE−UTRAN340は、第1の複数の基地局341、第2の複数の基地局343および第3の複数の基地局345を含む。第2のE−UTRAN350は、第4の複数の基地局351および第5の複数の基地局353を含む。一実施の形態では、第1〜第5の複数の基地局341、343、345、351および353の各々はNode B、eNB、BTSまたは他の類似の要素であってもよい。
【0064】
図3の第1〜第5の複数の基地局341、343、345、351および353は、図2の第1〜第5の複数の基地局241、243、245、251および253と同様である。第1の複数の基地局341中の基地局はX2インタフェースを用いて内部接続され、S1インタフェースを用いて第1のS−GW321と相互接続される。第2の複数の基地局343中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第2のS−GW323と相互接続される。第3の複数の基地局345中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第3のS−GW325と相互接続される。第4の複数の基地局351中の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第4のS−GW331と相互接続される。最後に、基地局353の第5の複数の基地局は別のX2インタフェースを用いて内部接続され、別のS1インタフェースを用いて第5のS−GW333と相互接続される。一実施の形態では、様々な基地局を相互接続するのにX2インタフェース以外のインタフェースを用いてもよい。一実施の形態では、様々な基地局を第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333に接続させるのにS1インタフェース以外のインタフェースを用いてもよい。
【0065】
第1のE−UTRAN340は、それぞれ第1、第2および第3のS−GW321、323および325を含む第1のEPC320によって担当される。第2のE−UTRAN350は、それぞれ第4および第5のS−GW331および333を含む第2のEPC330によって担当される。図3の第1〜第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333は図2の第5のS−GW221、223、225、231および233と同様である。図3の第1および第2のEPC320および330は図2の第1および第2のEPC220および230と同様である。
【0066】
EPC320内の第1〜第3のS−GW321、323および325はS5/S8インタフェースを用いて第1のP−GW311と通信する。EPC330内の第4および第5のS−GW331および333はS5/S8インタフェースを用いて第2のP−GW313と通信する。一実施の形態では、S−GW321、323、325、331および333をP−GW311および313に接続させるのにS5/S8インタフェース以外のインタフェースを用いてもよい。
【0067】
第1のP−GW311は第1のEPC320とコアインターネット310との間のインタフェースに配置され、第2のP−GW313は第2のEPC330とコアインターネット310との間のインタフェースに配置される。図3の第1および第2のP−GW311および313は図2の第1および第2のP−GW211および213と同様である。図3のコアインターネット310は図2のコアインターネット210と同様である。
【0068】
LISPネットワーク300はたとえば、列車、バス、地下鉄車両、航空機などの輸送体361内の複数のユーザデバイス360をさらに含む。複数のユーザデバイス360中のユーザデバイスは図2のユーザデバイス260と同様である。一実施の形態では、複数のユーザデバイス360中のユーザデバイスは、携帯電話器、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタントなどであってもよい。
【0069】
図3に示されているように、複数のユーザデバイス360を含む輸送体361は矢印で示されているように位置Aから位置Eに移動する。経路に沿って、輸送体361内の複数のユーザデバイス360は位置A、BおよびCで複数の第1、第2および第3の基地局341、343および345によって担当され、位置DおよびEで第4および第5の複数の基地局351および353によってそれぞれ担当される。したがって、複数のユーザデバイス360は位置A、BおよびCで第1のP−GW311によって担当され、位置DおよびEで第2のP−GW313によって担当される。複数のユーザデバイス360が輸送体361内でまとまって移動すると、複数のユーザデバイス360は、位置Cと位置Dとの間で、第1のE−UTRAN340によって担当されることから第2のE−UTRAN350によって担当されることに切り替わる。
【0070】
LISPネットワーク300は、その位置によって識別可能であって、LISPネットワーク300のエッジに配置される複数のLISPサイトデバイスを含む。たとえば、LISPサイトデバイスの1つはLISPサイト370のためのエッジデバイス371であり、別のLISPサイトデバイスは、コアインターネット310と第1のEPC320との間に配置される第1のP−GW311であり、別のLISPサイトデバイスは、図3のコアインターネット310と第2のEPC330との間に配置される第2のP−GW313である。図3に示されていないが、LISPサイトデバイスは1つ以上のIPルータと相互接続される。
【0071】
図3のLISPサイトデバイス370は、たとえば、図2のLISPサイトデバイスと同様のITR、ETRおよび/またはRTRであってもよい。図3に示されているように、ITR、ETR、xTRおよび/またはRTR機能は、図3のLISPネットワーク300内の基礎となる構成要素をカバーする。一実施の形態では、xTR1、xTR2、xTR3、xTR6およびxTR7は図3の第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333にそれぞれ関連する。別の実施の形態では、RTR1、RTR2およびITR1は第1のP−GW311、第2のP−GW313およびエッジデバイス371にそれぞれ関連する。
【0072】
図3のLISPネットワーク300はMS380などのLISPインフラストラクチャデバイスも含む。図3のMS380は図2のMS280と同様である。図2のLISPネットワーク200と同様に、図3のLISPネットワーク300はEIDアドレスおよびRLOCアドレスを含む名前空間処理を利用する。一実施の形態では、EIDアドレスはIPフォーマット中にあり、識別子のみである。各EIDアドレス(たとえば、EID1、EID2など)は、たとえば、携帯電話器、タブレット、他のモバイル通信デバイスなどの、複数のユーザデバイス360中のユーザデバイスを特定する。例として、図3のEID1 391は複数のユーザデバイス360の第1のユーザデバイス3601に割り当てられる識別子であり、図3のEID2 392は複数のユーザデバイス360の第2のユーザデバイス3602に割り当てられる識別子である。RLOCアドレスはLISPネットワーク300内の様々なルータおよびノードのIPアドレスである。RLOCアドレスはルーティング可能なアドレスであり、到達可能性は通常のIPプロトコル、ルーティングテーブルなどによる。RLOCアドレスは位置を基礎とする。
【0073】
図3に示されているように、予測RLOCのリスト390はMS380に記憶される。予測RLOCのリスト390がより多くのEIDを含むことを除いて、予測RLOCのリスト390は図2の予測RLOCのリスト290と同様であり、これは以下でより詳細に説明される。一実施の形態では、予測RLOCのリスト390はサードパーティによってMS380にアップロードされる。たとえば、輸送体361が列車である場合、予測RLOCのリスト390は列車事業者によって提供され、輸送体361が航空機である場合、予測RLOCのリスト390は航空会社によって提供され、輸送体361がバスである場合、予測RLOCのリストはバス事業者によって提供される。
【0074】
予測RLOCのリスト390内の予測RLOC394、395および396は高確率で予測することができる。予測RLOCのリスト390を様々な異なる技術を用いて決定してもよい。たとえば、地理的位置を用いて(たとえば、三角形の位置に対して複数のセルタワーを用いた輸送体361のGPS能力を用いてなど)予測RLOCのリスト390を予測してもよい。地理的位置の場合、確率はほぼ100%になり得る。一実施の形態では、高確率で予測することができる経路のリストは、ユーザデバイスが無線インタフェースのレンジ内に配置され、無線インタフェースに接続可能であることに基づいている。認識パターン(たとえば、常に輸送体361は平日の午前8時に特定の駅を通過するなど)に基づいて、予測RLOCのリスト390を定式化することもできる。
【0075】
図3に示されているように、MS380は、サードパーティから受けた予測RLOCのリスト390を記憶する。一実施の形態では、サードパーティはLCAFコード化RLEタイプを用いて予測RLOC394、395および396をMS380に登録する。
【0076】
一実施の形態では、サードパーティによるアップロード済み予測RLOCのリスト390は、複数のユーザデバイス360を輸送する輸送体361に関連する単一のEIDを利用する。たとえば、図3の輸送体361はEID393で表される。このような実施の形態では、MS380でのマッピングについて、輸送体361はコンテナデバイスとして取り扱われる。したがって、輸送体361は、すべてが同じ予測経路に沿って移動して、運命的資源共有を行う(fate sharing)複数のEIDのコンテナとして取り扱われる。
【0077】
輸送体361によって輸送されている乗客が所有している各ユーザデバイスはアドレスファミリ中のEIDに関連する(たとえば、アドレスファミリIDを用いる)。たとえば、複数のユーザデバイス360の第1のユーザデバイス3601はEID1 391に関連し、第2のユーザデバイス3602はEID2 392に関連する。乗客を輸送している輸送体361は、EID1 391およびEID2 392を含むEID393に関連する。EID391、392および393のすべては予測RLOCのリスト390とともにMS380に記憶される。一実施の形態では、マルチキャストグループの参加と同様にユーザデバイスをグループEIDに参加させることによって、輸送体361によって輸送されているすべてのEIDのアイデンティティ(たとえば、EID1 391、EID2 392など)をマスクすることもできる。
【0078】
一実施の形態では、輸送体がある位置から次の位置に移動する際、輸送体361のEID393は同じままである。例として、最初にMS380が、xTR3を含む予測RLOC395を用いて位置Cにある輸送体361のEID393をマッピングしていると仮定する。EID393に関連する輸送体361が移動すると、輸送体361内の複数のユーザデバイス360は図3のLISPネットワーク300の第3のS−GW325に含まれるLISP xTR3によってもはや担当されなくてもよく、図3のLISPネットワーク300の第4のS−GW331に含まれるLISP xTR6によって担当され始めてもよい。図3に示されているように、xTR6はRLOC396に含まれる。したがって、EID393はMS380によって位置Dで予測RLOC396にマッピングされる。したがって、輸送体361がある位置から次の位置に移動する際、輸送体361のEID393は同じままである。
【0079】
一実施の形態では、輸送体361が移動する場合、輸送体361内のユーザデバイスすべてが同じ運命的資源(fate)を共有するので、ユーザデバイスのうちの1つのみ(たとえば、3601または3602)によってMS380に新しい位置が登録される。したがって、MS380には輸送体361上のすべてのユーザデバイスからの更新によって負担を強いられるということがない。
【0080】
一実施の形態では、予測RLOC394、395および396の各々はRLEを用いて表される。たとえば、予測RLOCのリスト390の予測RLOC394は、複数のユーザデバイス360を担当している現在のネットワーク要素はxTR1であり、複数のユーザデバイス360を担当することになる、予測される次のネットワーク要素はxTR2およびxTR3になることを示す。予測RLOCの各々に2つまたは3つのエントリが示されているが、任意の数のネットワーク要素が予測RLOC394、395および396に含まれてもよいと解するべきである。たとえば、他の実施の形態では、予測RLOCのリスト390内の予測RLOC395はxTR1、xTR2、xTR3、xTR6などを含むことができる。
【0081】
予測RLOCのリスト390内の各予測RLOC394、395および396は、輸送体361を担当している現在のネットワーク要素と、輸送体361が位置Aから位置Eにわたって移動する際に、将来、輸送体361を担当すると予測される1つ以上のネットワーク要素とを含む。たとえば、RLOC394は、輸送体361を担当している現在のネットワーク要素xTR1を含む。RLOC394は、輸送体361を担当すると予測される次の2つのネットワーク要素、すなわちxTR2と、その後のxTR3も含む。
【0082】
輸送体361内の複数のユーザデバイス360のうちの1つからのパケット要求に基づいてEID393に転送されるパケットが存在する場合、輸送体361の近傍の第1および第2のP−GW311および313などのネットワーク要素がパケットを複製して、複製されたパケットを第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333などのネットワーク要素に送ることになる。一実施の形態では、ITR1を含むエッジネットワーク要素371がパケットを複製してもよい。パケットを受けた後、第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333などのネットワーク要素は、EID393を用い、MS380に記憶されている予測RLOC394、395および396にしたがって第1のユーザデバイス3601に達することができる。
【0083】
輸送体361が、パケット要求が送信されたときのものであったときのネットワーク要素(たとえば、第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333)にパケットのコピーを届け、MS380に記憶されている予測RLOCのリスト390に基づいて輸送体361が次のものであると予測されるときのネットワーク要素(たとえば、第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333)にパケットの別のコピーを届けることによってパケットは送信されることになる。
【0084】
図3に示されているように、EID393に関連する輸送体361の位置は位置Aから位置Eへの移動中に変化する。輸送体361内の複数のユーザデバイス360のうちのユーザデバイスの1つ(たとえば第1のユーザデバイス3601)はそのEID1 391を第1〜第5の複数の基地局341、343、345、351および353、すなわち第1および第2のE−UTRAN340および350に登録する。したがって、ネットワーク要素(たとえば、第1および第2のP−GW311および313)に含まれるRTRまたは第1のユーザデバイス3601にパケットを送ることを試みているネットワーク要素(たとえば、第1〜第5のS−GW321、323、325、331および333)に含まれるxTRは、輸送体361の現在の位置より先にパケットを送り始めることができるし、輸送体361がRTRまたはxTRのサービスエリアを越している場合にパケットを送るのを止めることができる。さらに、ITRおよび/またはRTRは、関連するxTR(たとえば、第1のユーザデバイス3601を含む輸送体361に達することができるxTR)にパケットを送ることしかしないように調整を行うことができる。したがって、セッションが継続され続け、上記で指摘されたレイテンシ問題が避けられる。
【0085】
本開示の実施の形態は図3のアーキテクチャを用いて実施される。まず、サードパーティがMS380に予測RLOCのリスト390を登録する。その後、輸送体361内の複数のユーザデバイス360のうちの第1のユーザデバイス3601がパケットを要求し、RTR1を含む第1のP−GW311がMS380に連絡して、要求されたパケットがどこであるかを見つけ出す。MS380は所望のパケットの位置を決定して、RTR1を含む第1のP−GW311に位置を通知する。要求されたパケットが、ITR1を含むエッジデバイス371に関連するLISPサイト370に位置すると仮定して、RTR1を含む第1のP−GW311が、ITR1を含むエッジデバイス371に関連するLISPサイト370にデータパケットについての要求を転送する。
【0086】
その後、ITR1を含むエッジデバイス371に関連するLISPサイト370がMS380に連絡して、要求されたパケットをどこに送るべきかを決定する。MS380は予測RLOCのリスト390を参照して、ITR1を含むエッジデバイス371に関連するLISPサイト370に、要求されたパケットについてのルーティング情報を提供する。その後、ITR1を含むエッジデバイス371に関連するLISPサイト370は、受けた情報に基づいて、要求されたパケットを送信する。たとえば、EID393に関連する輸送体361が、RTR1を含む第1のP−GW311に対応するカバーエリアにあることを情報が示した場合、パケットはそこに送られる。
【0087】
パケットを受けた後、第1のP−GW311に関連するRTR1がパケットを複製して、予測RLOCのリスト390に基づいたMS380から受けた情報にしたがってパケットを送る。輸送体361の位置に起因してRLOC394を利用するべきであることをMS380から受けた情報が示した場合、RTR1を含む第1のP−GW311はxTR1を含む第1のS−GW321にパケットの第1のコピーを送り、xTR2を含む第2のS−GW323にパケットの第2のコピーを送り、xTR3を含む第3のS−GW325にパケットの第3のコピーを送る。このように、輸送体361が位置A、位置Bまたは位置Cにあるか否かを問わず、輸送体361内の複数のユーザデバイス360のうちの第1のユーザデバイス3601は確実にパケットを取得する。
【0088】
たとえば、図3の輸送体361が平日の午前8:00にxTR2によって担当されるエリアにある予定である状況を考える。3つのサービスエリアxTR1、xTR2およびxTR3すべてにパケットのコピーがあるので、輸送体361が時間通りでありxTR2の近傍にあるか、遅れていてxTR1の近傍にあるか、早すぎてxTR3の近傍にあるかを問わず、当然パケットは第1のユーザデバイス3601によって受けられる。一実施の形態では、より許容性を高める目的で切断時間中にパケットが維持されるようにバッファリングをある程度実行してもよい。
【0089】
図4は予測RLOCのリストを利用する方法400である。方法400は、たとえば、図2のMS280や図3のMS380によって実施される。たとえば、ユーザデバイスがパケットを要求したり、接続/セッションを開始したりしたときに、方法400を用いてもよい。ブロック402では、MSが予測RLOCのリストを受けて記憶する。一実施の形態では、予測RLOCのリストはユーザデバイスまたはサードパーティから受ける。
【0090】
ブロック404では、第1のネットワーク要素がパケットをユーザに送信することができるように、MSが第1のネットワーク要素からユーザの位置についての要求を受ける。一実施の形態では、第1のネットワーク要素は図2のLISPサイト270や図3のLISPサイト370であってもよい。ブロック406では、第2のネットワーク要素がパケットおよび複数の位置を受けるときに、第2のネットワーク要素がパケットを複数の位置の各々に送信することができるように、MSが予測RLOCのリストに基づいて複数のユーザ位置を第1のネットワーク要素に提供する。一実施の形態では、第2のネットワーク要素は図2の第1もしくは第2のP−GW211、213または図3の第1もしくは第2のP−GW311、313であってもよい。一実施の形態では、図2の第1もしくは第2のP−GW211、213または図3の第1もしくは第2のP−GW311、313がパケットを複製して各位置にコピーを送る。一実施の形態では、図2のLISPサイト270または図3のLISPサイト370が、パケットを複製して、複製されたパケットを図2の第1もしくは第2のP−GW211、213または図3の第1もしくは第2のP−GW311、313に送信してもよい。一実施の形態では、時間機構がこの選択を行ってもよい。
【0091】
図5は予測RLOCのリストを利用する方法500である。方法500は、たとえば、図2の第1および第2のP−GW211および213または図3の第1および第2のP−GW311および313によって実施される。たとえば、ユーザデバイス(たとえば、第1のユーザデバイス260、第1のユーザデバイス3601)がパケットを要求したり、接続/セッションを開始したりしたときに、方法500を用いてもよい。ブロック502では、RTRを含むP−GW(たとえば第1のP−GW211、311)がユーザデバイスからパケットについての要求を受ける。ブロック504では、RTRを含むP−GWが第1のネットワーク要素にパケットの位置を要求する。一実施の形態では、第1のネットワーク要素は図2のMS280または図3のMS380である。ブロック506では、RTRを含むP−GWが、第1のネットワーク要素から位置を受けた後、第2のネットワーク要素にパケットを要求する。一実施の形態では、第2のネットワーク要素は、図2のLISPサイト270のITR1を含むエッジネットワーク要素271や図3のLISPサイト370のITR1を含むエッジネットワーク要素371であってもよい。
【0092】
ブロック508では、RTRを含むP−GWが、第1のネットワーク要素に記憶されている予測位置のリストに基づいて第2のネットワーク要素からパケットおよび複数の位置を受ける。一実施の形態では、予測位置のリストは、たとえば、ユーザデバイスまたは第三者(third party entity)によるパケット要求の前に、MSに送信され記憶されている。一実施の形態では、予測位置のリストはアドレスのリストまたはRLOCのリストである。ブロック510では、RTRを含むP−GWがパケットを複製してコピーを複数の位置の各々に送る。パケットを様々な位置に配付するので、ユーザデバイスの位置にかかわらず、パケットを要求したユーザデバイスにパケットを当然届けることができる。
【0093】
図6は、開示されている実施の形態、たとえば、予測ルーティングを実行するように構成されているネットワーク要素600の概略図である。ネットワーク要素600は、ポート610と、トランシーバユニット(Tx/Rx)620と、プロセッサ630と、ネットワーク設定モジュール650を備えるメモリ640とを備える。ポート610はTx/Rx620に接続されており、Tx/Rx620は、送信器、受信器またはこれらの組合せであってもよい。Tx/Rx620はポート610を介してデータを送受信してもよい。プロセッサ630はデータを処理するように構成されている。メモリ640は、本明細書で説明されている実施の形態を実施するためのデータおよび命令を記憶するように構成されている。ネットワーク要素600は、電気信号および光信号を送受信するために、ポート610およびTx/Rx620に接続されている電光(electrical−to−optical)(EO)構成要素および光電(optical−to−electrical)(OE)構成要素も備えてもよい。
【0094】
プロセッサ630はハードおよびソフトによって実施してもよい。プロセッサ630は、1つ以上の中央処理装置(CPU)チップ、ロジックユニット、コア(たとえば、マルチコアプロセッサのコア)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)およびデジタル信号プロセッサ(DSP)として実施してもよい。プロセッサ630は、ポート610、Tx/Rx620およびメモリ640と通信する。
【0095】
メモリ640は、ディスク、テープデバイスおよびソリッドステートドライブの1つ以上を備えており、メモリ640をオーバーフローデータ記憶デバイスとして用いて、プログラムを記憶し(このプログラムが実行のために選択される場合)、プログラム実行中に読み出される命令およびデータを記憶してもよい。メモリ640は揮発性であってもよく、不揮発性であってもよく、読み出し専用メモリ(ROM)であってもよく、ランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよく、三値連想メモリ(ternary content−addressable memory)(TCAM)であってもよく、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であってもよい。ネットワーク設定モジュール650は、上記で説明されている様々な実施の形態を実施するための命令を実行するプロセッサ630によって実施される。
【0096】
本開示に触れれば、当業者であれば、従来のモビリティ解決手段により、ランダムな動作状態を呈するモビリティに対処することが試みられることを理解する。実際には、動作の大部分は予想可能である。さらに、予想可能な経路を持つ大きいコンテナ(たとえば、列車、航空機、自動車など)の一部であり得る多くのユーザデバイスが存在する。本開示は正確な予測経路を利用し、特定の時刻にパケットをどこに送るかを最適化するのに地理的位置を用いる。本開示はLISPアーキテクチャに関して説明されているが、本開示はロケータとともにIDを用いた任意のモバイルネットワークまたは任意のID依存型ネットワーク(ID oriented network)、ならびに将来の経路を記憶し得る場合の従来のルーティングおよび転送に適用可能である。経路を予め登録し、いつ何時でも最良の転送ルータを認識する原理をすべてのモバイル技術に適用可能である。本開示は、高速移動するモバイルデバイスよりも先にパケットを送ることができるので、パケットロスを確実にほぼゼロにしたり、レイテンシを確実にきわめて低くしたりするのに有用である。本開示により、レイテンシをきわめて低くしつつ、高速移動体向けのセッションが確実に継続される。
【0097】
本解決手段は、モバイルデバイスの移動についての知識(たとえば地理的位置)と共働するRLOCとを用いて「メイク・ビフォア・ブレーク(make−before−break)」機構において試みることに基づいている。解決手段は、現在のRLOCと、次にユーザが関与する、すなわちその現在のRLOCと共通部分を持つ予測RLOCとの両方にパケットを送ることに依存する。限られた数のP−GWしか使用されないので、予測RLOCのリスト(予測RLOCリストとも称する)はP−GWに基づけば小さくなり、高速のモビリティの場合に有用になる。予測RLOCが基地局(たとえばeNodeB)または沿道の装置のような他の装置に基づく場合、RLOCリストは長くなる場合があり、動作速度も遅くなる。
【0098】
本開示のさらなる詳細は、D.FarinacciおよびP.Pillay−Esnaultによって2016年11月13日に発表され、「LISP予測RLOC」と題されたIETF文書draft−farinacci−lisp−predictive−rlocs−01(参照によって本明細書に援用される)に開示されている。
【0099】
実施の形態では、マップサーバによって予測経路のリストを利用する方法は、予測経路のリストを受ける手段と、予測経路のリストをメモリに記憶する手段と、第1のネットワーク要素からユーザデバイスの位置についての要求を受ける手段であって、要求はユーザデバイスにパケットを送信することに関連する、手段と、予測経路のリストに基づいて第1のネットワーク要素に複数のユーザ位置を送信する手段であって、複数のユーザ位置は、パケットが第2のユーザデバイスによって受けられるときに第2のユーザデバイスがパケットをどこに送信することになるかを識別する、手段とを用いる。
【0100】
一実施の形態では、ネットワークにおいて予測経路のリストを利用する方法は、ユーザデバイスからパケットについての要求を受ける手段と、パケットの位置を第1のネットワーク要素に要求する手段と、位置を第1のネットワーク要素から受けた後にパケットを第2のネットワーク要素に要求する手段と、第2のネットワーク要素からパケットおよび複数の位置を受ける手段であって、複数の位置は、第1のネットワーク要素に記憶されている予測経路のリストに基づく、手段と、パケットを複製して、複数の位置の各々にコピーを送ることとを用いる。
【0101】
一実施の形態では、アイデンティフィケーション依存型ネットワークにおいてルーティングテーブルに接続されるユーザデバイスは、メモリ手段と、メモリ手段に接続されており、位置識別子アドレス(RLOC)のリストを決定するように構成されているプロセッサ手段と、プロセッサ手段に接続されており、ルーティングテーブルによる記憶のためにRLOCのリストをルーティングテーブルに送信するように構成されている送信器手段とを含む。アイデンティフィケーション依存型ネットワークを通じてパケットをルーティングする際にRLOCのリストが利用される。
【0102】
本開示においていくつかの実施の形態が提供されているが、本開示の精神または範囲を逸脱しない限りにおいて開示されているシステムおよび方法を多数の他の特定の形態で具体化してもよいと解するべきである。本例は例示的かつ非限定的であると考え、意図を本明細書で与えられている詳細に限定しない。たとえば、様々な要素または構成要素を組み合わせたり、別のシステムに組み込んだりしてもよいし、特定の特徴を省略したり、実施しないようにしたりしてもよい。
【0103】
さらに、個別化されたものや、別体のものとして様々な実施の形態で説明され示されている技術、システム、サブシステムおよび方法を、本開示の範囲を逸脱しない限りにおいて、組み合わせてもよいし、他のシステム、モジュール、技術や方法と統合してもよい。互いに接続されたり、互いに直接接続されたり、互いに通信したりするように示されたり説明されたりしている他の項目は、電気的、機械的、それ以外を問わず、なんらかのインタフェース、デバイスや中間構成要素を介して間接的に接続されたり、通信したりしてもよい。他の変形例、置換例および代替例が当業者によって想到可能であり、本明細書に開示されている精神および範囲を逸脱しない限りにおいて得ることができる。
【符号の説明】
【0104】
100 通信ネットワーク
110 コアインターネット
111 第1のP−GW
113 第2のP−GW
120 第1のEPC
121 第1のS−GW
123 第2のS−GW
125 第3のS−GW
130 第2のEPC
131 第4のS−GW
133 第5のS−GW
140 第1のE−UTRAN
141 第1の複数の基地局
143 第2の複数の基地局
145 第3の複数の基地局
150 第2のE−UTRAN
151 第4の複数の基地局
153 第5の複数の基地局
160 ユーザデバイス
200 LISPネットワーク
210 コアインターネット
211 第1のP−GW
213 第2のP−GW
220 第1のEPC
221 第1のS−GW
223 第2のS−GW
225 第3のS−GW
230 第2のEPC
231 第4のS−GW
233 第5のS−GW
240 第1のE−UTRAN
241 第1の複数の基地局
243 第2の複数の基地局
245 第3の複数の基地局
250 第2のE−UTRAN
251 第4の複数の基地局
253 第5の複数の基地局
260 ユーザデバイス
270 LISPサイト
271 エッジデバイス、エッジネットワーク要素
280 MS
290 RLOCのリスト
292 予測RLOC
293 予測RLOC
294 予測RLOC
295 予測RLOC
300 LISPネットワーク
310 コアインターネット
311 第1のP−GW
313 第2のP−GW
320 第1のEPC
321 第1のS−GW
323 第2のS−GW
325 第3のS−GW
330 第2のEPC
331 第4のS−GW
333 第5のS−GW
340 第1のE−UTRAN
341 第1の複数の基地局
343 第2の複数の基地局
345 第3の複数の基地局
350 第2のE−UTRAN
351 第4の複数の基地局
353 第5の複数の基地局
360 ユーザデバイス
361 輸送体
370 LISPサイト、LISPサイトデバイス
371 エッジデバイス、エッジネットワーク要素
380 MS
390 RLOCのリスト
394 予測RLOC
395 予測RLOC
396 予測RLOC
600 ネットワーク要素
610 ポート
620 Tx/Rx
630 プロセッサ
640 メモリ
650 ネットワーク設定モジュール
3601 第1のユーザデバイス
3602 第2のユーザデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6