特許第6720343号(P6720343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720343
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】レオメータ
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/04 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   G01N11/04 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-558491(P2018-558491)
(86)(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公表番号】特表2019-503497(P2019-503497A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2017052112
(87)【国際公開番号】WO2017134084
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】102016201537.0
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511066805
【氏名又は名称】ライストリッツ エクストゥルジオンステヒニーク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ミトリングガー
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−284032(JP,A)
【文献】 特開平03−015737(JP,A)
【文献】 特表2010−530545(JP,A)
【文献】 米国特許第04641535(US,A)
【文献】 特表2005−539200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/00〜11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体の流動挙動を判定、及び/又は監視するためのレオメータであって、
流入口(2)と流出口(3)との間に、略直線的で矩形断面を有する流路(4)が形成されたハウジング(1)と、
前記流路(4)に沿って配置された複数の圧力測定装置(5)と、を有し、
前記流路(4)は、その全長に亘って、断面積減少部(6)と増大部(7)とが繰り返し設けられ
前記流路(4)は、互いに平行で、少なくとも1つの仕切り(8)により互いに分離されて2つ設けられ、
前記仕切り(8)は、前記ハウジングの壁との間に、間隙(9)を有しており、前記2つの流路(4)同士が前記間隙(9)によって連通していることを特徴とする、レオメータ。
【請求項2】
各流路長に関して、前記断面積減少部(6)と増大部(7)とは、前記平行な流路(4)間で互いに異なることを特徴とする、請求項に記載のレオメータ。
【請求項3】
前記仕切り(8)は、形状加工された上縁(10)を有することを特徴とする、請求項またはに記載のレオメータ。
【請求項4】
前記流路(4)の前記断面積減少部(6)と増大部(7)とは、形状加工流路壁(11)により形成されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のレオメータ。
【請求項5】
前記流路壁(11)は、その全長に亘って、複数の前記断面積減少部(6)と増大部(7)が設けられることを特徴とする、請求項に記載のレオメータ。
【請求項6】
前記流路壁(11)は、側断面視で正弦波状、台形状、又は鋸歯状であることを特徴とする、請求項またはに記載のレオメータ。
【請求項7】
前記流路(4)は、幅(B)が、前記流路(4)の高さHに対して、式B≧5Hを満たし、可能であれば式B≧10Hを満たすことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のレオメータ。
【請求項8】
前記流路(4)は、その全長に亘って、1から15個の前記断面積減少部(6)と増大部(7)とを有していることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のレオメータ。
【請求項9】
前記仕切り(8)は取り外し可能に形成されることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載のレオメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレオメータに関し、特に熱可塑性物質の流動挙動の判定、及び/又は監視用のレオメータに関する。
【0002】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載されたような特徴を有するレオメータに関する。
【背景技術】
【0003】
熱可塑性物質は通常、押し出し法や射出成型法により処理される。材料は、コンパウンダー又は同方向回転二軸押出機を使用して調製されることが一般的である。この場合、通常、スクリュー式可塑化ユニットにより、可塑性物質の可塑化が実現される。通常、可塑化された可塑性物質の溶融物は非ニュートン流体であって、その挙動は時間又は剪断速度に依存する。ここで、粘度は一定ではなく、剪断速度に応じて変動する。可塑性物質溶融物及び可塑性物質溶液はまた、伸長粘度が歪み速度及び応力持続時間に依存し、例えば歪み硬化のような特殊効果が生じることで、複雑な伸長レオロジー挙動を示す。例えば、H.J.Luger、J.Miethlingerによる伸長及び剪断レオメトリーにおけるガラス繊維強化ポリプロピレンの研究、ポーランドのソスノヴィエツで2015年に開催されたプラスチック技術の発展についての会議(Advances in Plastics Technology Conference)(2015年)、又はMiethlingerによるポリマー押出及び配合(Polymer extrusion and compounding)−現在の研究活動、オーストリアのレオーベン鉱山業大学で2015年に開催された第24回レオーベンプラスチックシンポジウム(2015年)によれば、純粋な剪断レオロジー実験では得られない重要な追加情報を、伸長レオロジー研究では提供することができることが知られている。これは、熱可塑性物質を処理する際に、数学的、理論的に認識できる範囲が限られた非常に複雑なプロセスが生じることを意味する。また、当該プロセスは、例えば記録、最適化、さらには可塑化プロセスの品質向上を目的として、実験的にシミュレーション又は調査できる範囲も限られている。これは特に、主に可塑化に使用されるバリアスクリュー及び伸長要素のついたスクリュー(ここで特に重要なのはウェーブスクリューとエネルギー伝達スクリュー)において顕著である。
【0004】
可塑化された非ニュートン物質の粘度を測るための、粘度測定装置が特許文献1に開示されている。ここでは、押出スクリューで生成された素材が、矩形スロットから押し出される。さらに、流路となる当該スロットには複数の圧力センサが設けられる。
【0005】
特許文献2に、公知の液体物質の内部摩擦を測定する装置が開示されている。当該装置によると、摩擦に加えて、液体の摩擦係数も判定できる。これを実現するために、液体が流れるスリーブが設けられる。スリーブ内には、ベンチュリ管と同様に機能するように狭窄部が設けられてもよい。測定値を記録するために、温度計が設けられる。
【0006】
特許文献3は、流動性物質のレオロジー特性を判定する装置も開示している。当該文書に応じて製造されたスロット式レオメータは、テーパ形状の環状間隙が設けられ、当該間隙で圧力が測定される。
【0007】
特許文献4は、可塑化された物資が所定の断面積と所定の長さを有する毛細管を流れる際の圧力低下を判定する装置を開示する。ここで、容積調整可能なポンプにより溶融物が毛細管を通じて押し込まれる。この流動プロセスを圧力トランスデューサ及び温度測定トランスデューサを用いて監視できる。
【0008】
特許文献5により、調整可能な間隙を有するレオメータも公知となっている。このレオメータにより剪断速度と、剪断力が判定できる。
【0009】
この先行技術により公知となったレオメータにより、非ニュートン流体が流れる際の特定のプロセスが認識可能である。しかし、各レオメータの構造に応じて、これが実現できる用途は非常に限定されてしまっており、混練及び搬送要素、バリアスクリュー、ウェーブスクリュー及び/又はエネルギー伝達スクリューによる複雑な可塑化プロセスの品質の再現は不可能である。
【0010】
したがって、先行技術は、1つ以上のメルト流路又は流路を有する、異なる様々な連続動作式レオメータ、いわゆる押出レオメータを示していることになる。ここで、いずれの装置においても通常、複数の流路は平行に接続されている。これにより、1つの測定プロセスにより、異なる剪断速度に基づく複数の測定値を記録することができる。しかし、これでは可塑化用スクリュー、特にバリアスクリューの複雑なプロセスをシミュレーション又は調査することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許第42,20,157A1号明細書
【特許文献2】独国特許第3,490,044T1号明細書
【特許文献3】独国特許第19,529,578A1号明細書
【特許文献4】独国特許第19,846,579C1号明細書
【特許文献5】米国特許第5,277,058A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特にプロセスの監視や、バリアスクリュー、ウェーブスクリュー、エネルギー伝達スクリュー及びその他伸長要素によるスクリュー式可塑化ユニットの研究開発に利用可能なレオメータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明により、請求項1の特徴の組合せにより実現される。従属項は、本発明の構成のさらなる利点を示す。
【0014】
即ち、本発明によると、レオメータは、流入口と流出口との間で、略直線的な流路が少なくとも1つ形成されたハウジングを有する。この流路は矩形断面を有する。圧力測定装置が流路に沿って設けられる。本発明によると、流路がその全長に亘って、断面積減少部と増大部とが繰り返し設けられるように形成される。
【0015】
本発明の特に有利な改良点として、流路が互いに平行で、少なくとも1つの仕切りにより互いに分離されて2つ設けられている。仕切りは、当該仕切りの反対側のハウジングの壁とともに、間隙を形成する。この結果、間隙を介して、一方の流路から他方の流路への流れが可能となる。
【0016】
バリアスクリュー、ウェーブスクリュー、エネルギー伝達スクリュー等のプロセススクリューにおける複雑なプロセスを調査、シミュレーション、及び/又は監視することに関して、当該スクリュー式可塑化ユニットにおける流動プロセスは非常に複雑で、推進流や背圧流が重畳されることが理解されよう。この推進流は、スクリュー回転によるもので、背圧流はスクリューによる工具抵抗によるものである。したがって、本発明のレオメータによると、スクリュー内のプロセスが実験的にシミュレーションでき、本発明による溶融物又は溶液の複数の剪断及び伸長変形に基づくプロセス監視のために、伸長レオロジーの利点を有利に活用可能である。
【0017】
本発明のレオメータの構成により、非ニュートン流体の推進流が生じないという効果が得られる。したがって、推進流の影響を受けずに、非ニュートン流体の背圧流挙動を調査できる。
【0018】
本発明によると、流入口を通じて、可塑化流動性材料を導入できる。これは、押出機、ギアポンプ等により実現できる。押し出し、射出成型又は混合プロセス中のプロセス監視のため、適宜追加ポンプを介在させて、運搬中の材料の一部をレオメータ内に導くことができる。
【0019】
一定の温度を保つために、さらに例えば180から300℃の間の温度にレオメータを加熱することが有利である。一方で、本発明によると、供給された材料を、一部のみ可塑化することも可能である。これによっても、バリアスクリュー内で生じる溶融挙動を実験的に記録、及び/又はオンラインで監視できる。
【0020】
本発明によると、流路の断面積は可変であるため、設定された断面積に応じて、異なる圧力プロファイルが実現される。これにより、特に製造プロセスのオンライン監視中に、熱可塑性材料の組成及び品質についての結果を導き出すことができる。また、工業利用される材料は添加物質を含むため、化合物が形成されることを特筆すべきであろう。添加物質の挙動は、異なる様々なパラメータに基づき、製造プロセス中に変動し得る。当該変動を、オンライン監視により早期段階で検出できる。したがって、例えば調整作用のような、高品質製造を維持するための適切な手段がとれる。
【0021】
本発明によると、互いに平行な2つの流路が使用されるが、互いに断面積の増減が異なる形態であることが重要となり得る。即ち、流入口から一方の流路の断面積が低減し、他方の流路の断面積が増加するということである。したがって、各流路長又は有効長に応じて、2つの流路で圧力状態が異なる。したがって、仕切りの間隙を介した流体の移動の態様が異なる。本発明によると、この間隙は流路全長に亘って一定の高さであってもよい。また、間隙の高さは変化してもよい。
【0022】
本発明の特に好ましい改良点として、仕切りが形状加工された上縁を有することが挙げられる。上縁は、矩形、双曲線状、波形又はその他形状に設計でき、それぞれ異なる一方から他方の流路への流入が実現される。本発明のレオメータは、高汎用性で、実験的に複雑なフロー条件を判定するために使用できる。
【0023】
本発明によると、仕切りは取り外し可能に形成されてもよい。この結果、流路の構成を変えずに、一方から他方の流路への移動条件を変えることができる。
【0024】
本発明の好ましい改良点として、形状加工流路壁により、流路断面積の増減が実現される。即ち、好ましくは矩形断面を有するように形成される流路の壁の一つが、例えば、側視断面で、正弦波状、台形状、鋸歯状等となるように形状加工される。ここでは、流路の3つの側壁が、流路の全長を通じて平坦かつ一定に形成され、残りの4つ目の壁が形状加工される。ここで、仕切りによるスロットが、流路の形状加工されていない壁側に設けられることが好ましい。
【0025】
したがって、好ましい実施形態では、本発明のレオメータは、互いに平行な2つの流路を有する。但し、本発明では、流路の数がより多くてもよい。例えば、互いに平行で、流れ移動用間隙が設けられた仕切りにより互いに分離された4つの流路を有してもよい。したがって、ある流路から、隣接する流路へと流れが移動することが可能となる。これにより、バリアスクリュー、ウェーブスクリュー、及び/又はエネルギー伝達スクリューの特定の設計におけるプロセスをシミュレーションできるため、当該スクリューの圧力スループット挙動が実験的に判定できる。本発明のレオメータは推進流が介在しないため、測定データをより容易に解釈でき、生じる物理的プロセスに対応付けることができる。したがって、多くの可能性が開ける。その例として、圧力スループット挙動に基づいて、流れの移動を可能とする仕切りの影響の測定、メルト流路の波形設計、伸長粘度を含む流体の組成物挙動の記録が可能となる。剪断や、伸長変形が多数生じることでさらに、伸長流量計がプロセス分析、監視において特定の方法で使用可能になるという利点が得られる。
【0026】
したがって、対象の流体の特性の調査を含む、多様なプロセスのシミュレーションに対して、本発明のレオメータを使用できる。このため、レオメータは実施中のプロセス監視により、製造工程中に生じる材料特性変化を適切に判定可能とする。この結果、製造工程の品質の向上、再現が可能となる。
【0027】
本発明のレオメータの流路のサイズは、該当する条件に合わせて設定されてもよい。ここで、各流路断面について、流路の幅が、その高さよりもかなり大きく設定されることが好ましくなり得る。ここで、流路の幅は高さよりも5倍又は10倍以上大きくてもよい。これにより、スクリューで生じる流動条件と同様の、流路における流れの場合と同程度の信頼度の流動挙動が保証される。流路の高さの5から10倍以上大きい幅は、流体の壁に対する粘着や摩擦を考慮したもので、流動条件のシミュレーションの向上に寄与する。
【0028】
スクリュー、特にバリアスクリューにおける流動条件をシミュレーション可能とするために、さらに伸長流量計をプロセス分析及び監視に特定の方法で使用する利点を得るために、流路の全長に亘って、1から15個の断面積減少部と増大部とを有し、好ましくは断面積減少部と増大部の数が同じであることが好ましくなり得る。
【0029】
本発明の仕切りは、隣接する流路を互いに分離するものであって、3mmから20mmの幅を有してもよい。
【0030】
したがって、本発明のレオメータの構成と動作態様に関して、特にバリアスクリュー、ウェーブスクリュー、及び/又はエネルギー伝達スクリューにて生じる幾何学的形状を再現し、調査対象材料の異なる複数の剪断速度プロファイルのみでなく、異なる複数のひずみ速度プロファイルを実現することが適切となり得る。この結果、レオメータにおけるこれら流動プロセスにより、圧力信号の時間的変化が示す非常に細かい材料品質の変化を認識可能となる。仕切りとレオメータの内壁とで形成されるスロットにより、上述のスクリューの実際の条件と同一又は少なくともかなり近い背圧流プロセスが実現できる。このようにして、レオメータは、基礎研究や、現状のプロセス監視のいずれにも特に好ましく使用できる。
【0031】
本発明を、図を参照にして、例示的実施形態に基づき以下に説明する。図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明に係わるレオメータの第1の例示的実施形態の部分斜視図である。
図2図2は、図1に示すレオメータの断面図である。
図3図3は、図1と同様の斜視図である。
図4図4aから4cは、本発明に係わる仕切りの簡略的断面形状を複数示す。
図5図5は、図1の構成の簡略的な平面図である。
図6図6は、流路壁の異なる様々な形状を示す。
図7図7は、流路壁の異なる様々な形状を示す。
図8図8は、流路壁の異なる様々な形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の例示的実施形態に係わるレオメータを開放状態で示す。これに対して、図2は断面説明図である。レオメータは、2つの流路4が互いに平行に形成されたハウジング1を有する。流路は、取り外し可能に構成可能な仕切り8により互いに分離される。仕切り8は、カバープレート12の内壁に対して空間があけられた上縁10を有する。当該空間により、間隙9が設けられる(具体的には図2及び図4aから図4c参照)。
【0034】
図1に示すように、ハウジングには、流入する液体を2つの平行な流路4の流入口2に対して分配する流入分配部13が設けられる。この構成で、流体は流路4を流れ、流出口3から流出する。この構成を図5に改めて明確に記載する。図5はさらに、流体運搬用に設けられ得る追加ポンプ14を示す。
【0035】
図5に示すように各流路の領域内に、圧力測定装置5が設けられる。さらに、温度測定装置(不図示)も設けられてもよい。
【0036】
図1から図3に明示するように、流路4はそれぞれ異なる流路断面を有する。したがって、流路の各幅Bが一定であれば、各流路の高さHが異なるか、幅Bと高さHによる有効流路断面が異なる。
【0037】
図2に、流路4の図1に示す底壁が異なる形状に加工されている様子を確認できる。ここではさらに、上縁10とカバープレート12との間に形成された間隙9が特に明確に示される。流れる液体の圧力は、各流路断面に応じて異なり、その圧力により、流体が間隙9を介して一方から他方に移動する際の挙動が異なる。
【0038】
したがって、流路4の壁の形状は、図3に示すように最低部と最高部が形成される。この構成において、図6から図8に、実施可能な様々な異なる形状を示す。図6、並びに図1及び図3に示す形状は、正弦波状である。図7及び図8に示す形状は、台形状又は鋸歯状である。当該図では、流路断面積が図6から図8に示す左から右への矢印で示す流れ方向に沿って、比較的緩やかに減少率を上げながら減少する。したがって、比較的緩やかに圧力が増大する。図7及び8に示す構造では、最高部では流路断面積が最小となるが、その直後に比較的急速に断面積の増大が生じる。
【0039】
図示の例示的実施形態では、各流路の全長は100mmから400mmの間であってもよい。流路の幅Bは、15から40mmの間であってもよく、流路壁の構成における最高部(図3)での最小高さは、0.6から2.0mmであってもよい。図6に示すように、形状の最低部における最大高さは3.0から8.0mmであってもよい。本発明において、調査又は監査対象の幾何学的形状と、流体の各特性に応じて、流路の全長にかけて、1から15個の最高部と1から15個の最低部が互い違いに設けられてもよい。隣接する流路において、断面積減少部6と断面積増大部7(図2参照)が互い違いに設けられてもよい。その結果、一方の流路で最大圧力が実現されながら、同じ長さの他方の流路で、最低圧力となる。
【0040】
図4aから図4cは、仕切り8の上縁10の異なる様々な形状を示す。図4aでは、上縁6が平坦になって、四角形状が形成されて、間隙9が形成されている。一方、図4bでは上縁10が双曲線状に丸められている。また、仕切りの幅方向に亘って、上縁が波形であってもよい。図4cは、さらなる変形例を示す。ここでは、上下仕切りが使用され、間隙9が仕切りの中央領域に配置されてもよい。上述のように、仕切り8の形状が長さ方向に亘って変化するものであってもよい。これにより、仕切りによってもさらなる流動プロセスが実現できる。
【0041】
レオメータは、様々な設置位置に配置して、可塑化ユニット又はスクリューのプロセスに対する実践的なシミュレーション又は監視を実施するものであってもよい。
【0042】
したがって、本発明によるレオメータにより、実験的なスクリューのシミュレーション、特に圧力スループットの挙動についての実験的判定が実施可能となる。本発明のウェーブレオメータにおいて、推進流が生じないため、推進流の影響のない流体の背圧流挙動を調査できる。したがって、測定データと、関連する物理的プロセスがより簡単に解釈可能となる。適切な温度制御により、さらに部分的にのみ可塑化された状態の流体を供給できる。これにより、実験的に溶融挙動を記録、分析できる。概して、レオメータは流体の伸長流動挙動を調査可能とする。本発明の特に重要な態様は、レオメータで現行の製造プロセスを監視することで、流体の性質変化に対応できるようにすることである。また、可塑化を伴わないプロセスを含む多様な流体の種類や、流体プロセス装置のプロセスを監視可能とするように、ウェーブレオメータを使用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ハウジング
2 流入口
3 流出口
4 流路
5 圧力/温度測定装置
6 断面積減少部
7 断面積増大部
8 仕切り
9 間隙
10 上縁
11 流路壁
12 カバープレート
13 流入挙動
14 ポンプ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8