特許第6720346号(P6720346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6720346構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720346
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20200629BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20200629BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20200629BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200629BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200629BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20200629BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20200629BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20200629BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20200629BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200629BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   B22F3/105
   G01B11/00 Z
   G01B11/24 F
   B22F3/16
   B33Y30/00
   B33Y50/00
   B29C64/153
   B29C64/268
   B29C64/386
   B33Y10/00
   B28B1/30
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-559957(P2018-559957)
(86)(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公表番号】特表2019-525991(P2019-525991A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2017056957
(87)【国際公開番号】WO2017194238
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】16169572.1
(32)【優先日】2016年5月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シュテンゲル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アルベルツ
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュバルツェ
(72)【発明者】
【氏名】トニ アダム クロル
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01466718(EP,A1)
【文献】 国際公開第2015/056230(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102013017792(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0098825(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/040433(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102012011217(DE,A1)
【文献】 国際公開第2016/026663(WO,A1)
【文献】 CLIJSTERS S,IN SITU QUALITY CONTROL OF THE SELECTIVE LASER MELTING PROCESS USING A HIGH-SPEED, REAL-以下備考,THE INTERNATIONAL JOURNAL OF ADVANCED MANUFACTURING TECHNOLOGY,英国,2014年 8月10日,VOL:75, NR:5-8,PAGE(S):1089 - 1101,TIME MELT POOL MONITORING SYSTEM,URL,http://dx.doi.org/10.1007/s00170-014-6214-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16、3/105
B29C 64/00−64/40
B33Y 50/00−50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクション(12)における位置に対して関連付ける装置であって、
3次元製品を造り、境界表面(104)を備える基部要素(101)を受容するように構成された構造物造形セクション(12)と、
放射線ビーム(22)を発生し、所定の走査領域(302)上を走査させるように構成された照射ユニット(18)であって、前記所定の走査領域(302)は前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の少なくとも一部を含む、照射ユニット(18)と、
前記放射線ビーム(22)が前記所定の走査領域(302)を走査している間に、前記放射線ビーム(22)のスポット位置(13)において発せられた電磁放射線の時間依存性を有する電磁放射線強度を検出するように構成された検出ユニット(39)と、
制御器(36)であって、
検出された前記電磁放射線強度を、前記放射線ビーム(22)の現在位置を表す位置情報に対して関連付け、
検出された前記時間依存性を有する電磁放射線強度の強度変化と前記位置情報とに基づき、前記走査領域(302)に関する前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の位置を決定し、時間に亙る急激な強度変化は、前記境界表面(104)の縁部に対応するときに識別されるようにし、且つ、
前記境界表面(104)の決定された位置に基づき、構造物データセットにおける位置を前記構造物造形セクション(12)における位置に対して関連付け
前記構造物データセットにより定義された付加要素(103)の付加境界表面(105)の位置を、前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の決定された位置に対して関連付けるように構成された、制御器(36)と、
を備える装置。
【請求項2】
前記検出ユニット(39)は、前記放射線ビーム(22)の前記スポット位置(13)に依存する前記電磁放射線強度を検出し、前記位置情報を出力するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記制御器(36)は、前記照射ユニット(18)に対して入力された放射線位置情報に基づいて前記位置情報を決定するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記基部要素(101)上へ付加要素(103)を造るように構成され、該付加要素(103)の付加境界表面(105)は、前記構造物データセットにおける位置と前記構造物造形セクション(12)における位置との間の関連性を考慮することにより、前記基部要素(101)の前記境界表面(104)に一致する、請求項1〜の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記照射ユニット(18)を用いる粉末床溶融結合により、前記基部要素(101)上に前記付加要素(103)を造るように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御器(36)は、
検出された前記電磁放射線強度と関連付けられた前記位置情報とに基づき、2次元画像を作り、
画像処理を用いることにより、前記2次元画像における前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の縁部を識別し、且つ、
識別された前記縁部に基づき、前記走査領域(302)に関する前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の位置を決定する、
ように構成される、請求項1〜の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクション(12)における位置に対して関連付ける方法であって、
3次元製品を造るため、境界表面(104)を備える基部要素(101)を構造物造形セクション(12)内に位置決めする段階と、
放射線ビーム(22)を発生し、該放射線ビームを所定の走査領域(302)上を走査させる段階であって、前記所定の走査領域(302)は前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の少なくとも一部を含む段階と、
前記放射線ビーム(22)が前記所定の走査領域(302)を走査している間に、前記放射線ビーム(22)のスポット位置(13)において発せられた電磁放射線の時間依存性を有する電磁放射線強度を検出する段階と、
検出された前記電磁放射線強度を、前記放射線ビーム(22)の現在位置を表す位置情報に対して関連付ける段階と、
検出された前記時間依存性を有する電磁放射線強度と前記位置情報とに基づき、前記走査領域(302)に関する前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の位置を決定し、時間に亙る急激な強度変化は、前記境界表面(104)の縁部に対応するときに識別されるようにする段階と、
前記境界表面(104)の決定された位置に基づき、構造物データセットにおける位置を前記構造物造形セクション(12)における位置に対して関連付ける段階と、
前記構造物データセットにより定義された付加要素(103)の付加境界表面(105)の位置を、前記基部要素(101)の前記境界表面(104)の決定された位置に対して関連付ける段階と、
を備える方法。
【請求項8】
前記放射線ビーム(22)は前記基部要素(101)の材料構造が影響されないほど低い強度を有する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線ビーム(22)は、相互に対して平行である複数本の照射ベクトル(304)を備えるパターンにて、前記所定の走査領域(302)上を走査される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記基部要素(101)上へ付加要素(103)を造る段階を更に備え、該付加要素(103)の付加境界表面(105)は、前記構造物データセットにおける位置と前記構造物造形セクション(12)における位置との間の関連性を考慮することにより、前記基部要素(101)の前記境界表面(104)に一致する、請求項7〜9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記付加要素(103)は、前記照射ユニット(18)を用いる粉末床溶融結合により、前記基部要素(101)上に造られる、請求項8〜10の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的に、構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置および方法に関する。特に、本発明は、3次元製品を造るために構造物データセットにおける位置を構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末床溶融結合(powder bed fusion)は、粉末状の、特に金属および/またはセラミックの素材が複雑な形状の3次元製品へと加工され得るという付加積層プロセスである。その目的の為に、素材粉末層が(たとえば、担体プレートを備えて成る)キャリヤ上に適用されると共に、粉末層は、造形されるべき製品の所望の幾何学形状に依存して、部位選択的な様式で(たとえばレーザもしくは粒子放射線などの)放射線に対して委ねられる。粉末層内へと侵入する放射線は素材の粉末粒子の加熱を、従って、溶融もしくは焼結を引き起こす。製品が所望の形状およびサイズを獲得するまで、キャリヤ上ですでに放射線処理に委ねられた層に対しては、更なる素材粉末層が順次的に適用される。粉末床溶融結合は、CADデータに基づき、試作品、工具、交換部品、高価な構成要素、もしくは、たとえば歯科的もしくは整形外科的なプロテーゼの造形に対して採用され得る。
【0003】
更に、粉末床溶融結合の技術は、所謂ハイブリッド生産に対して使用することが可能であり、その間においては、所望の最終的製品を造るために、基部要素上へと付加要素が造形される。此処で、基部要素は、切削、旋削などの従来の技術により成形されていても良く、且つ、付加要素は、上述された如く粉末床溶融結合により造形される。これにより、基部要素は、担体プレートに対して固定されると共に、基部要素は、担体プレートの表面に対して実質的に平行な境界表面を有し得る。その場合、付加要素は、粉末床溶融結合により基部要素に対して容易に付加され得る。
【0004】
上述されたハイブリッド生産の技術は、異なる目標基準が満足され得るという利点を有している。目標基準は、経済的な考察に基づき得る。たとえば、たとえば製造コストの故に、単純な基部の幾何学形状は従来の技術により造形する一方、製品の(たとえば従来は造形され得ない)更に複雑な部分が付加されることが有用であり得る。ハイブリッド生産を適用する更なる理由は、製品の複雑な区画が粉末床溶融結合のみにより付加される如く、(たとえば、基部要素が装置の最大造形体積より大きいので)基部要素が粉末床溶融結合により造形されるには大きすぎる、ということであり得る。更に、機械的基準もまた、ハイブリッド生産を用いる理由であり得る。たとえば、製品の(たとえば強度などの)特定の特性は、これらの特性を呈すべき製品の各要素が従来の技術により造形され得ると共に他の全ての要素は粉末床溶融結合により付加される如く、従来の技術によってのみ達成され得る。他方、たとえば、製品の特定の特性は、これらの特性を呈すべき製品の各要素が粉末床溶融結合により造形され得ると共に他の全ての要素は従来の技術により予め造形される如く、粉末床溶融結合によってのみ達成され得る。
【0005】
更なる可能性として、ハイブリッド生産は、少なくとも2種類の異なる材料を備えて成る材料組合せ物を有する製品を造形するために応用され得る。故に、基部要素は、必ずしも従来の技術により造形されてはおらず、第1材料を用いて粉末床溶融結合により造形されていても良く、且つ、付加要素は、第2材料を用いて粉末床溶融結合により付加される。故に、たとえば、各々が特定材料の要素を造る少なくとも2つの異なる構造物造形セクションを有するデバイスが使用され得る。この場合、基部要素はデバイスの第1構造物造形セクションにおいて造形され得ると共に、付加要素はデバイスの第2構造物造形セクションにおいて基部要素上へと造形され得る。代替的に、2つの別体的なデバイスが使用され得る。
【0006】
付加要素を粉末床溶融結合により造るために、3次元製品を造形する装置が使用される。装置は、付加要素の造形プロセスが開始される前に基部要素が位置決めされるという構造物造形セクションを有する。但し、構造物造形セクションにおける基部要素の位置決めの間には、構造物造形セクション内における基部要素の所定の(もしくは呼び)位置が厳密には満足され得ない様に、空間的許容誤差が生じ得る。斯かる状況において、装置が付加要素を造り始める(すなわち付加要素の第1層を造形する)とき、付加要素の開始層が基部要素の境界表面と一致しないことが起こり得る。換言すると、付加要素の付加境界表面が、基部要素の境界表面に対して厳密には一致しないことがある。基部要素が粉末床溶融結合により造形された場合において、且つ、斯かるオフセットが生じた場合において、付加要素の第1層の充填パターン(ハッチ・パターン)も、基部要素の最上層の充填パターン(ハッチ・パターン)と一致しないことが起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
斯かる状況において、付加要素の付加境界表面と基部要素の境界表面との間のオフセットが生じたとき、最終的な3次元製品における不都合な縁部および誤整列が生じ得る。
【0008】
本発明は、上述の問題、および/または、他の関連問題を解決する装置および方法を提供することを目的としている。
本発明の課題は、従来技術のこれらの欠点を克服して、技術的設備を確実に制御又は操作するための改良された制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に係る、構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置により、且つ、請求項9に係る、構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける方法により対処される。
【0010】
第1の見地に依れば、構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置が提供される。装置は、3次元製品を造るため、境界表面を備えて成る基部要素を受容するため構成された構造物造形セクションを備えて成る。装置は更に、放射線ビームを発生するため、且つ、放射線ビームを、基部要素の境界表面の少なくとも一部を含む所定の走査領域上を走査させる(案内する)ため構成された照射ユニットを備えて成る。装置は更に、放射線ビームのスポット位置において発せられた電磁放射線の電磁放射線強度を検出すべく構成された検出ユニットと、制御器とを備えて成る。制御器は、検出された電磁放射線強度を、放射線ビームの現在位置を表す位置情報に対して関連付け、検出された電磁放射線強度に基づき且つ位置情報に基づき、走査領域に関する基部要素の境界表面の位置を決定し、且つ、境界表面の決定された位置に基づき、構造物データセットにおける位置を基部要素の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける、ように構成される。
【0011】
装置は、たとえば、選択的レーザ溶融(SLM)のための装置、または、選択的レーザ焼結のための装置の如き、たとえば粉末床溶融結合装置などの、3次元製品を造る装置であり得る。構造物データセットは、CADデータを備えて成り得る。たとえば、構造物データセットは、CADファイルを備えて成り得る。構造物データセットは、基部要素上に造形されるべき付加要素に関する情報を備えて成り得る。換言すると、構造物データセットは、付加要素を定義する。構造物造形セクションは、たとえば粉末床溶融結合により3次元製品が其処で造る装置の領域であり得る。構造物造形セクションは、プロセス・チャンバを備えて成り得る。
【0012】
照射ユニットは、たとえば、粒子放射線または電磁放射線の形態で放射線を発する少なくともひとつの放射線源を備えて成り得る。照射ユニットは、たとえば、電子ビームを発生する電子供給源、または、レーザ・ビームを発生するレーザ源などを備えて成り得る。装置は更に、放射線ビームを構造物造形セクション内の所望位置へと導向する、たとえば少なくとも一枚の調節可能ミラーなどを備えて成るスキャナ・ユニットを備えて成り得る。更に、照射ユニットは、放射線ビームを構造物造形セクション内の所望の焦点位置(スポット位置)へと焦点合わせする少なくともひとつの可動レンズの如き焦点合わせ手段を備えて成り得る。走査領域は、構造物造形セクション内における2次元平面の区画を表し得る。走査領域は、矩形状を有し得る。基部要素の境界表面は、実質的に走査領域内に位置し得る。
【0013】
検出ユニットは、たとえば、光学的検出器などの検出器を備えて成り得る。検出ユニットは、熱放射線を検出する高温検出デバイスを備えて成り得る。検出ユニットは、溶融または焼結スポットにより発せられた熱放射線に対応する波長領域における電磁放射線に感応する検出器を備えて成り得る。熱放射線は赤外波長領域内であり得ると共に、検出器は、赤外放射線領域における熱放射線に対して感応的であり得る。検出器は、検出器における一定の波長領域における熱放射線の照射強度に依存した電気信号を出力し得る。単一もしくは複数の電気信号に基づいて温度値を算出する評価ユニットが配備され得る。更に、検出ユニットにおいては、各々が所定の波長領域における熱放射線を検出すべく構成された複数の検出器が配備され得る。
【0014】
制御器は、少なくともひとつのCPUを備えて成り得ると共に、少なくともひとつのメモリを備えて成り得る。制御器は、ひとつの中央制御ユニットとして構成され得るか、または、必ずしも装置の同一箇所には配備されない複数の制御ユニットにより具現され得る。位置情報は、構造物造形セクション内におけるレーザ・スポットの箇所を表す2次元または3次元の位置情報を備えて成り得る。検出された電磁放射線強度は、放射線ビームの現在位置を表す位置情報と共に、データセット内に記録され得る。
【0015】
構造物データセット内における位置は、少なくともひとつの較正パラメータを記憶することにより、構造物造形セクションにおける位置と関連付けられ得る。較正パラメータに基づき、装置は、放射線ビームを、構造物造形セクション内の所望箇所へと正確に導向し得る。たとえば、放射線ビームは、基部要素上に付加要素を造形するために、基部要素の境界表面の位置へと正確に導向され得る。
【0016】
制御器は、構造物データセットにより定義された付加要素の付加境界表面の位置を、基部要素の境界表面の決定された位置に対して関連付けるべく構成され得る。
【0017】
本開示内容において、“付加境界表面”という表現は、それを基部要素の“境界表面”から区別するために、付加要素の境界表面を記述すべく使用される。此処で、“付加境界表面”という表現の“付加”という語句は、区別性の理由のみで使用されており、“付加”という語句によれば、付加境界表面が付加要素に属すること以外の技術的意味は意図されない。
【0018】
付加要素の付加境界表面は、付加要素を造る粉末床溶融結合のプロセスにおいて第1層として描画されるべき表面に対応し得る。付加境界表面は、付加境界表面が、基部要素の境界表面と同一の形状およびサイズを有するという付加要素の表面に対応し得る。付加境界表面は、基部要素の境界表面上に一致して形成される表面であり得る。
【0019】
基部要素の境界表面の決定された位置(すなわち、基部要素の境界表面の決定された実際位置)を、構造物データセットにおいて定義された付加境界表面に対して合致させるために、最良適合アルゴリズムが使用され得る。此処で、最良適合アルゴリズムは、構造物データセットにより定義された付加要素の付加境界表面の位置と、基部要素の境界表面の決定された位置との間の最良適合を決定する。
【0020】
検出ユニットは、放射線ビームのスポット位置に依存する電磁放射線強度を検出すると共に、位置情報を出力すべく構成され得る。
【0021】
検出ユニットは、構造物造形セクションにおける所定位置において発せられた光を検出ユニットの検出器へと導向する光導向ユニットを備えて成り得る。此処で、“光”という表現は、可視光に限定されず、且つ、たとえば、可視スペクトル、赤外スペクトルおよび紫外スペクトルの内の少なくともひとつのスペクトルにおける電磁放射線を包含し得る。特に、本明細書において使用される“光”という表現は、放射線ビームのスポット位置(たとえばレーザ・スポット位置)において熱放射線として発せられた電磁放射線を包含し得る。光導向ユニットは、たとえば、2本の回転軸心を有するひとつの回転可能ミラー、または、複数の回転可能ミラーを備えて成り得る。光導向ユニットは、検出平面内の特定の所定点にて発せられた光(熱放射線)が検出ユニットの検出器へと導向される如く、電気的に制御可能であり得る。検出平面は、デバイスの描画平面、すなわち、最上の粉末層に対応する平面に対応し得る。検出ユニットは、光導向ユニットの構成に基づいてスポット位置を決定すべく構成され得る。たとえば、スポット位置は、光導向ユニットの回転可能ミラーのミラー位置に基づいて決定され得る。更に、光検出ユニットは、構造物造形セクション内における検出平面の2次元画像を造るため構成された2次元の光学的検出器を備えて成り得る。その場合、スポット位置は、2次元画像の強度最大値を決定することにより、2次元画像から導出され得る。位置情報は、構造物造形セクションにおける基準座標系に関するスポット位置を表し得る。たとえば、位置情報は、たとえば、基部要素の境界表面を構成する平面などの構造物造形セクションの所定平面内におけるスポット位置を表す2次元の位置情報であり得る。
【0022】
制御器は、照射ユニットに対して入力された放射線位置情報に基づいて位置情報を決定すべく構成され得る。
【0023】
照射ユニットは、放射線ビームを、構造物造形セクション内における所望箇所へと導向すべく構成され得る。故に、装置は、たとえば回転可能ミラーを備えて成るスキャナ・ユニットを備えて成り得る。照射ユニットに対しては、放射線ビームの所望位置を表す放射線位置情報が入力され得る。たとえば、この放射線位置情報に基づき、スキャナ・ユニットの各回転可能ミラーが調節され得る。放射線ビームの現在位置を表す位置情報は、放射線位置情報から導出され得る。
【0024】
制御器は、検出された電磁放射線強度の強度変化に基づいて、基部要素の境界表面の位置を決定すべく構成され得る。
【0025】
たとえば、制御器は、強度変化に対して測定された強度を観察し得る。強度変化が生じた位置においては、基部要素の境界表面の縁部が検出され得る。この目的のために、制御器により閾値解析が適用され得る。たとえば、強度が所定閾値を超えた各位置において、制御器は、これらの箇所には境界表面が存在すると判断し得ると共に、強度が所定閾値未満の各位置において、制御器は、これらの箇所には境界表面が存在しないと判断し得る(または、その逆である)。更に、たとえば、時間に亙るまたは位置に亙る検出された強度値の一次微分係数が観察され得る。制御器は、各ピーク位置に対する一次微分係数を観察し得ると共に、(正または負の)ピークが存在する位置においては、これらの位置にて境界表面の縁部が存在すると判断され得る。
【0026】
装置は、基部要素上へと付加要素を造形すべく構成され得ると共に、付加要素の付加境界表面は、構造物データセットにおける位置と構造物造形セクションにおける位置との間の関連性を考慮することにより、基部要素の境界表面と一致する。
【0027】
構造物データセットにおける位置と構造物造形セクションにおける位置との間の関連性は、たとえば、少なくともひとつの較正パラメータにより表現され得る。たとえば、構造物データセットにおける位置と構造物造形セクションにおける位置との間の関連性は、x方向におけるオフセット値により且つy方向におけるオフセット値により表現され得、その場合、x方向およびy方向は、基部要素の境界表面を構成する平面内に位置する。
【0028】
装置は、照射ユニットを用いる粉末床溶融結合により、基部要素上に付加要素を造り得る。
【0029】
装置は、付加要素を造るために、基部要素の境界表面の位置を決定するのと同一の照射ユニットを使用し得る。付加要素を造り出すために、照射ユニットは、基部要素の境界表面の位置を決定するプロセスの間におけるよりも大きいパワーを印加し得る。
【0030】
制御器は、検出された電磁放射線強度と、関連付けられた位置情報とに基づき、2次元画像を作り、画像処理を用いることにより、2次元画像における基部要素の境界表面の縁部を識別し、且つ、識別された縁部に基づき、走査領域に関する基部要素の境界表面の位置を決定する、ように構成され得る。
【0031】
第2の見地に依れば、構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける方法が提供される。方法は、3次元製品を造るため、境界表面を備えて成る基部要素を構造物造形セクション内に位置決めする段階を備えて成る。方法は更に、放射線ビームを発生すると共に、放射線ビームを所定の走査領域上を走査させる段階であって、所定の走査領域は、基部要素の境界表面の少なくとも一部を含むという段階と、放射線ビームのスポット位置において発せられた電磁放射線の電磁放射線強度を検出する段階とを備えて成る。方法は更に、検出された電磁放射線強度を、放射線ビームの現在位置を表す位置情報に対して関連付ける段階と、検出された電磁放射線強度に基づき且つ位置情報に基づき、走査領域に関する基部要素の境界表面の位置を決定する段階と、境界表面の決定された位置に基づき、構造物データセットにおける位置を構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける段階と、を備えて成る。
【0032】
方法は、たとえば、第1の見地に係る装置により実施され得る。
【0033】
方法は、構造物データセットにより定義された付加要素の付加境界表面の位置を、基部要素の境界表面の決定された位置に対して関連付ける段階を更に備えて成り得る。
【0034】
放射線ビームは、基部要素の材料構造が影響されないほど低い強度を有し得る。
【0035】
放射線ビームは、放射線ビームが基部要素上を走査されたときに、それの材料が溶融しないほど低い強度を有し得る。放射線ビームの強度は、3次元製品を造るプロセスに対して使用される放射線ビームの強度よりも低くされ得る。
【0036】
放射線ビームは、相互に対して平行である複数本の照射ベクトルを備えて成るパターンにて、所定の走査領域上を走査され得る。
【0037】
複数本の照射ベクトルは、相互の間に固定距離を有し得る。
【0038】
基部要素の境界表面の位置は、検出された電磁放射線強度の強度変化に基づいて決定され得る。
【0039】
たとえば、時間に亙る(故に、空間に亙る)急激な強度変化は、境界表面の縁部に対応すると識別され得る。更に厳密には、検出された強度が小さい値から大きい値へと変化した場合、この変化する強度の箇所において、境界表面の縁部が存在すると判断され得る。たとえば、境界表面が、(たとえば素材粉末で満たされた)周囲領域により発せられる熱放射線よりも大きい強度を有する熱放射線を発するなら、小さい検出強度から大きい検出強度への交差部は、レーザ・ビームが周囲領域から境界表面へと走査される箇所に対応する、と判断され得る。
【0040】
方法は更に、基部要素上へと付加要素を造形する段階を更に備えて成り得、付加要素の付加境界表面は、構造物データセットにおける位置と構造物造形セクションにおける位置との間の関連性を考慮することにより、基部要素の境界表面と一致する。
【0041】
付加要素は、照射ユニットを用いる粉末床溶融結合により、基部要素上に造られる。
【0042】
次に、本発明の好適実施例は、添付の概略図を参照して相当に詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】先行技術の装置により生じ得る基部要素と付加要素との間におけるオフセットに関する問題の概略図である。
図1b】本開示内容に係る、オフセットが生じない理想的状況の概略図である。
図2】本開示内容に係る装置の概略的側面図である。
図3a】基部要素の境界表面の位置を検出するプロセスを示す図である。
図3b図3aのプロセスから帰着する複数の交点の点群の代表的表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1aは、先行技術のハイブリッド生産プロセスに対して使用される装置により生じ得るオフセットの問題の概略図を示している。本開示内容の各図は、明示的に示されるのでなければ正確な縮尺ではないことを銘記すべきである。特に、図1aおよび図1bは、正確な縮尺でなく、且つ、例示目的で使用される単なる概略図である。
【0045】
図1aおよび図1bにおいて、基部要素101は担体プレート102に対して固定され、その場合、付加要素103は、基部要素101の境界表面104が付加要素103の付加境界表面105と一致する如く、基部要素101上へと造られるべきである。基部要素101は、従来技術を用いることにより造形されていても良く、または、(たとえば選択的レーザ溶融、すなわちSLMにより)粉末床溶融結合により造形されていても良い。
【0046】
図1aに示された如く、担体プレート102は、3次元製品を造る装置の構造物造形セクションの装置プレート106上に位置される。担体プレート102は、たとえば、ネジまたは合せピンの如き適切な結着手段107を用いることにより位置決めされる。但し、この位置決めの間において、第1許容誤差108が生じ得る。本開示内容に依れば、許容誤差とは、誤整列(すなわち、位置の不確実さ)である。たとえば、これらの許容誤差は夫々、x−y平面に関し、装置プレート106の表面に対して平行に、且つ、担体プレート102の表面に対して平行に生じ得る。更に、許容誤差は、上述のx−y平面に対して直交するz方向(造形方向)において生じ得る。
【0047】
更に、基部要素101は、挟持デバイスの如き適切な位置決め手段109により担体プレート102上に位置決めされる。たとえば、基部要素101を担体プレート102に対して位置決めして固定する位置決め手段109として、公開されなかった欧州特許出願第14194272号に記述された挟持デバイスが使用され得る。基部要素101の位置決めの間、第2許容誤差110が生じ得る。
【0048】
装置が基部要素101上へと付加要素103の製造を開始するとき、装置は基部要素101の厳密な位置を認識しないことから、装置は、基部要素101の境界表面104の厳密な位置を認識しない。故に、第1許容誤差108および第2許容誤差110(および/または、生じ得る他の可能的な許容誤差)は、基部要素101と付加要素103との間のオフセット112に帰着する。故に、基部要素101と付加要素103とを備えて成る最終的な3次元製品は、不都合な縁部を呈する。
【0049】
図1bは、基部要素101の境界表面104が付加要素103の付加境界表面105に対して厳密に一致するという理想的状況を示している。図1bに示された状況は、本開示内容において記述される方法および/または装置により達成され得る。本開示内容に依れば、付加要素103は、許容誤差108、110が存在するときでさえも、不都合なオフセットもしくは縁部なしで、基部要素101上に造形され得る。
【0050】
図2は、3次元製品を造形する装置10を示している。装置10は、本開示内容に係る、構造物データセットにおける位置を装置の構造物造形セクションにおける位置に対して関連付ける装置の例である。装置10によれば、本開示内容に係る方法が実施され得る。
【0051】
装置10は、プロセス・チャンバ12の形態の構造物造形セクションを備えて成る。プロセス・チャンバ12内に配設された粉末適用デバイス14は、(不図示の)素材粉末をキャリヤ16上へと適用する役割を果たす。キャリヤ16は、素材粉末から複数の層で製品が造形されるときに、その造形高さが増大するにつれてキャリヤ16が垂直方向において下方に移動され得る様に、(不図示の)垂直方向に変位可能に設計される。キャリヤは、図1aおよび図1bに関して記述された装置プレート106を備えて成り得る。
【0052】
装置10は更に、キャリヤ16上に適用された素材粉末上へと放射線ビーム22を選択的に照射する照射ユニット18を備えて成る。図2に示された例において、放射線ビーム22はレーザ・ビームであり、且つ、照射ユニット18はレーザ源24を備えて成る。但し、代替的に、たとえば放射線ビーム22は電子ビームであり得ると共に、照射ユニット18は電子供給源を備えて成り得る。キャリヤ16上に適用された素材粉末は、照射ユニット18により、造形されるべき製品(たとえば付加要素103)の所望の幾何学形状に依存した部位選択的な様式でレーザ放射線に対して晒され得る。照射ユニット18は、密封シール可能なハウジング20を有する。放射線源24、特に、たとえば、約1,070〜1,080nmの波長にてレーザ光を放出するダイオード励起イッテルビウム・ファイバ・レーザであり得るレーザ源24により提供される放射線ビーム22、特にレーザ・ビーム22は、開口26を介してハウジング20内へと導向される。
【0053】
照射ユニット18は、放射線ビーム22を案内して加工を行う光学ユニット28を更に備えて成り、光学ユニット28は、放射線源24により発せられた放射線ビーム22を拡大するビーム・エキスパンダ30、放射線ビーム22を焦点合わせする集光レンズ32、スキャナ・ユニット34、および、対物レンズ35の如き光学素子を備えて成る。スキャナ・ユニット34および対物レンズ35は、たとえば、ガルバノメータ・スキャナおよびfθ対物レンズの形態で設計され得る。fθ対物レンズの代わりに、全ての3つの空間方向x、yおよびzにおいて放射線スポット13を走査する3次元集光ユニットが配備され得る。スキャナ・ユニット34によれば、ビーム経路の方向と、ビーム経路に直交する平面内との両方における放射線ビーム22の焦点の位置が、変更かつ適合化され得る。照射ユニット18の動作は、制御器36により制御される。図2においては一台のみの制御器36が示されるが、各々がデバイスの異なるユニットを制御する複数台の制御器が配備され得る。たとえば、一方の制御器は照射ユニット18の動作を制御し得ると共に、他方の制御器は、以下に記述される高温検出ユニットの動作を制御し得る。
【0054】
プロセス・チャンバ12は、周囲雰囲気に対し、すなわち、プロセス・チャンバ12を囲繞する周囲環境に対してシール可能である。プロセス・チャンバ12は、気体供給源40により提供される気体が経由してプロセス・チャンバ12に対して供給され得る気体供給ライン38に対して接続される。気体供給源40からプロセス・チャンバ12に対して供給される気体は、たとえば、アルゴンもしくは窒素の如き不活性気体であり得る。排出ライン42は、付加積層造形方法(粉末床溶融結合)により素材粉末から造られた製品を造形するために、キャリヤ16上に適用された素材粉末に対して電磁または粒子放射線を照射する間におけるプロセス・チャンバ12からの、たとえば素材の粉末粒子または溶着煙粒子の如き粒子不純物を含む気体を排出する役割を果たす。粒子不純物を含む気体は、たとえば、ポンプの如き移送デバイス44により、プロセス・チャンバ12から排出される。移送デバイス44の上流にて排出ライン42内に配設されたフィルタ46は、プロセス・チャンバ12から排出された気体流から粒子不純物を濾過する役割を果たす。フィルタ46を通過した後、気体流は、気体供給ライン38を介してプロセス・チャンバ12内へと再循環され得る。
【0055】
最後に、装置10は、光学的検出器39を備えて成る高温検出デバイスを備えて成る。図2の実施例において、光学的検出器39は、シール可能であり得るハウジング20内に位置決めされる。たとえば、高温検出デバイスは、公開されなかった欧州特許出願第14194378号に記述された高温検出デバイスであり得る。光学的検出器39を構成する高温検出デバイスは、本開示内容に係る検出ユニットに対応する。
【0056】
高温検出デバイスは、熱放射線を受容すべく構成された光学的検出器39を備えて成る。熱放射線は、(黒体放射の原理により)スポット位置13における温度に依存した特定波長にて強度最大値を有する可視および/または赤外の波長範囲における電磁放射線であり得る。たとえば、選択的レーザ溶融(SLM)において、スポット位置13は実質的に、素材粉末が加熱して溶融される溶融池の位置に対応する。故に、高温検出デバイスは、溶融池の温度を決定すべく構成され得る。光学的検出器39は更に、熱放射線を検出し、熱放射線に依存した電気信号を発生し、且つ、スポット位置13、すなわち、熱放射線が発せられた位置の温度を表す値を出力すべく構成される。本実施例において、光学的検出器39は、検出された放射線強度を表す強度値を出力する。
【0057】
プロセス・チャンバ12内でスポット位置13にて発せられた熱放射線を受容するために、照射ユニット18のスキャナ・ユニット34は、特定位置にて発せられた熱放射線を光学的検出器39に向けて導向すべく使用される。更に、放射線源24により発せられたレーザ放射線に対しては透過的であり乍ら、熱放射線を検出器39に対して反射すべく、半透明ミラー49が使用される。図2に示された半透明ミラー49の位置は、例示的な位置にすぎない。半透明ミラー49は、たとえば、図2に示された位置の上流もしくは下流などの、放射線ビーム22のビーム経路の種々の箇所に配備され得る。高温検出デバイスは、制御器36により制御される。
【0058】
図2に示された配置構成に対する代替策として、高温検出デバイスは、照射ユニット18のスキャナ・ユニット34から独立したそれ自体のスキャナ・ユニットを有する別体的ユニットとして構成され得る。両方の場合において、放射線スポット位置13に関する情報、すなわち、放射線ビーム位置に関する情報は、高温検出デバイスにより出力され得るか、または、照射ユニット18のスキャナ・ユニット34に対して入力された位置信号(放射線位置情報)から導出され得る。換言すると、高温検出デバイスの光学的検出器39により検出された強度値は、箇所依存的に、すなわち、放射線ビーム22の現在位置に依存して、記録される。故に、光学的検出器39により検出された強度値は、放射線ビームの位置を表す位置的情報と共に記録され得る。故に、位置的情報(放射線ビーム位置に関する情報)および強度情報(光学的検出器39により検出された強度値)の両方が、使用かつ処理される。
【0059】
たとえば、高温検出ユニットは、少なくとも光学的検出器39、および、選択的に更なる光学的検出器を備えて成り得る。光学的検出器39は、特定の波長範囲において検出された熱放射線の強度に依存する電気信号を出力すべく構成される。スポット位置13における温度を表す値は、光学的検出器39により出力された強度信号に基づいて算出され得る。
【0060】
図3aは、付加要素103が基部要素101上に造形される前に、基部要素101の境界表面104を検出するプロセスを示している。先ず、走査領域302が定義される。走査領域302は、担体プレート102の表面に対して平行な2次元領域であり、且つ、少なくとも基部要素101の境界表面104全体を含む。走査領域302は、たとえば実質的に矩形であり得る。
【0061】
走査領域302は、相互に対して平行に配置された複数本の(仮想的な)照射ベクトル304を備えて成る。各照射ベクトル34は、必ずしも相互に平行に配置される必要はなく、且つ、他の任意で適切なパターンで配置され得る。放射線ビーム22は、照射ユニット18のスキャナ・ユニット34を用いて、これらの照射ベクトル304に沿って走査される。個々の照射ベクトル304の方向、および、それらの間の距離は、任意に設定され得る。此処で、各照射ベクトル304は、境界表面104の各縁部上、すなわち、基部要素101の境界表面104の外側輪郭上を走査することが好適である。故に、各照射ベクトル304は境界表面104の縁部と交差することから、境界表面104の縁部との交点306を形成する。これらの交点306のひとつが、図3aにおけるX印として例示的に示される。
【0062】
走査領域302の各照射ベクトル304は、非常に低いパワーにて(たとえばレーザ・ビームなどの)放射線ビーム22により走査される。代替的に、レーザ・スポットは、放射線ビーム22により照射される(たとえば、基部要素101および素材粉末などの)材料に対して低パワー密度が印加される如く、デフォーカスされ得る。たとえば、使用されるレーザ・ビーム22のパワーは、100W未満であり得ると共に、走査速度は500mm/sであり得る。好適には、基部要素101および(もし存在するなら)素材粉末の照射された領域は、溶融されるべきでない。更に、基部要素101の材料構造は、放射線ビーム22の走査により影響されるべきでない。各照射ベクトル304は、必ずしも非常に低いパワーではない放射線ビーム22により走査されると共に、代替的に、(たとえば選択的レーザ溶融、すなわちSLMなどの)粉末床溶融結合プロセスを実施すべく使用されるパワーに対応するパワーも使用され得る。換言すると、各照射ベクトル304を走査するために、任意の適切なパワーが使用され得る。
【0063】
本明細書中に記述されるプロセスは、基部要素101を囲繞する素材粉末ありおよび無しの両方で実施され得る。故に、プロセスは、基部要素101が素材粉末に埋め込まれる前または後に実施され得る。素材粉末内への基部要素101の埋め込みは、粉末床溶融結合プロセスを実施するために担体プレート102の表面に対して実質的に平行に素材粉末層を形成するために、必要であり得る。
【0064】
放射線ビーム22が各照射ベクトル304に沿い走査される間、高温検出デバイスの光学的検出器39は、時間依存的を有する強度値を測定する。熱放射線の強度は、時間依存様式で測定されることから、各強度値は、夫々の強度値が記録された時点における放射線ビーム22の位置情報に関連付けられ得る。換言すると、検出器39は、放射線ビーム22の現在位置に関する情報に基づく位置依存信号へと変換され得る時間依存信号を測定する。付加的もしくは代替的に、高温検出デバイスは、2次元画像を作るために構成された(たとえばCCDなどの)2次元検出器を使用することにより、または、照射ユニット18のスキャナ・ユニット34から独立したスキャナ・ユニットを使用することにより、位置依存的な強度値を独立的に測定すべく構成され得る。故に、検出された各強度値は、走査領域302内における対応位置に対して関連付けられ得る。
【0065】
図3aの下側部分は、垂直軸上における光学的検出器39により測定された強度、および、水平軸上における時間tを表す例示的なグラフを示している。図3aの下側部分におけるグラフは、各照射ベクトル304の内の一本のベクトルに沿って走査する間に測定された強度変化を示している。装置の制御器36はスキャナ・ユニット34を介して照射ビーム22の移動を制御することから、それは、放射線ビーム22が特定時点において走査領域302内およびプロセス・チャンバ12内のどの位置に対して導向されるかを認識する。故に、図3aのグラフ中に示された時間値は、位置情報へと変換され得る。
【0066】
図3aのグラフに示された如く、強度変化が観察され得、その場合、実験によれば、放射線ビーム22が基部要素101の(たとえば、素材粉末が配備された)境界表面104の外側の領域を照射するという状況と比較して、放射線ビームが境界表面104を照射するときには、検出器39により異なる(すなわち、更に大きい)強度値が検出されることが示された。
【0067】
図3aのグラフにおいて示された如く、このことは、各照射ベクトル304の内の一本のベクトルに対する強度グラフにおける2つの急激な変化(急変)に帰着する。第1の急変は、放射線ビーム22が基部要素101の境界表面104に進入する時点t1において生ずる。第2の急変は、放射線ビームが境界表面104から周囲領域へと抜け出す時点t2にて生ずる。制御器36はこれらの急変を、たとえば単純な閾値解析を用いて検出し得、その場合、閾値308として所定強度値が設定されると共に、制御器36は、測定された強度が、夫々、閾値308を超過し且つそれより低く低下するという交点306が存在することを判断する。付加的もしくは代替的に、たとえば、強度グラフの一次微分係数の如き、交点306を決定する更に複雑な方法が適用され得る。たとえば、この一次微分係数における極大値が観察され得ると共に、これらの極大値は各交点306に対応することが判断され得る。
【0068】
図3bは、上述された解析の結果を示しており、黒色のX印は、検出された交点306を表している。これらの検出された交点306に基づき、制御器36は、走査領域302に関する境界表面104の位置を決定し得る。換言すると、制御器36は、装置の担体プレート102に関し、且つ、プロセス・チャンバ12に関し、境界表面104の位置を決定し得る。これは、適切な方法および/またはアルゴリズムにより行われ得る。たとえば、境界表面104の形状は、制御器36により事前定義して認識され得る。境界表面104の形状は、基部要素101上に造形されるべき付加要素103の付加境界表面105の形状と同一的であり得る。付加要素103は、装置のメモリ内に記憶された(たとえばCADファイルなどの)構造物データセット中に定義され得る。これにより、境界表面104の検出された位置と、構造物データセットにおいて定義された付加境界表面105の位置との間の一致が達成され得る。
【0069】
代替的な評価の方法に依れば、(測定された各強度値および対応位置を備えて成る)決定された複数のデータ点は、組み合わされて、全体的な画像(2次元画像)とされる。この2次元画像において、xおよびy方向はプロセス・チャンバ12内の(すなわち、走査領域302の)xおよびy方向を示し得ると共に、色値(または強度値)は、この位置において測定された強度を表し得る。2次元画像において、強度の差は、たとえば、視覚的に、または、制御器36により、観察され得る。2次元画像における境界表面104の縁部の検出性を向上させるために、仮の色表現が使用され得る。
【0070】
(たとえば、エッジ・フィルタなどの)従来の画像処理方法により、制御器36は、2次元画像における境界表面104の縁部を決定し得る。故に、輪郭情報が作られる。上述された評価方法と同様に、この代替的な評価の方法において、境界表面104の位置は、この輪郭情報に基づいて決定され得る。
【0071】
故に、構造物データセットにおける位置は、構造物造形セクション12における位置に対して関連付けられ得る。換言すると、構造物データセットにおける境界表面104の位置は、構造物造形セクション12における(走査領域302を構成する)描画平面における位置に対して関連付けられ得る。描画平面は、それに対して放射線ビーム22が焦点合わせされると共に、現在の溶融もしくは焼結プロセスが生ずるという平面として定義され得る。換言すると、描画平面は、素材粉末の最上層に対応し得る。この関連付けは、たとえば、装置10のメモリ内に、単一の較正パラメータまたは複数の較正パラメータとして記憶され得る。この関連付けに基づき、装置10は今や、放射線ビーム22を、基部要素101の境界表面104に関する所定位置へと導向させ得る。
【0072】
構造物データセットにおける位置と構造物造形セクション12における位置との間の関連付けに基づき、装置10は今や、付加要素103の付加境界表面105を、基部要素101の境界表面104上へ造ることができる。制御器36は、基部要素の境界表面104に関し、描画平面内におけるレーザ・ビーム22の厳密な位置を認識することから、付加要素103は、図1bに示された如く、付加要素103の付加境界表面105が基部要素101の境界表面104と一致する如く造形され得る。
【0073】
本明細書中に記述された技術を適用することにより、基部要素101上への付加要素103の厳密な位置決めは、(非常に高価な)高度に精密な位置決めツールにより達成される必要はなく、寧ろ、基部要素101の厳密な位置を検出する光学システムにより達成される。故に、記述された技術は、コストが低減され得るという利点を有している、と言うのも、高価である高度に精密な位置決めツールが必要でないからである。故に、(たとえば、上述された挟持デバイスなどの)汎用的であるモジュール式の挟持システムが使用され得る。本明細書中に記述された技術を適用する付加コストは、低いものである。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b