(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
各図全体にわたって、同じ参照数字および記号は、特段明記されない限り、同じ特徴、要素、コンポーネント、または図示した実施形態の一部を示すために使用される。また、本主題開示は、次に図を参照して詳細に説明するが、図示した例示的な実施形態に関連してそのように行われる。特許請求の範囲によって定められる本主題開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、変更および修正は、記載された例示的な実施形態になされてもよいことが意図される。
【0016】
本明細書に開示した実施形態は、利用できる視野のより完全な使用により走査方向と分光方向の両方において良好な分解能を有することができるSEEプローブを記載する。これらの実施形態は、最小の歪みで画像を提供もする。
【0017】
<SEEプローブ構造>
図1は、本開示による前方ビューSEEプローブ100の例示的な実施形態の図が示されている。この例示的なSEEプローブ100は、その近位端から遠位端まで、軸Oxに沿って配置された光ファイバ10(光ガイドコンポーネント)と、集束またはコリメートレンズ12(光集束コンポーネント)と、スペーサアセンブリ14とを備える。スペーサアセンブリ14は、鏡面15、および回折格子16(回折格子コンポーネント)を含む。(左から右への矢印に示すような)広帯域光または他の電磁放射は、図示されていない光源からファイバ10に結合または他の方法で供給することができる。光または電磁放射は、レンズ12によって集束されて、実質的にコリメートされた光ビームを形成する。この光(または他の電磁放射)は、集束レンズ12、スペーサ14を通じて移動し、鏡面15によって反射され、次いで回折格子16に入射する。回折格子16において、光は、光の波長および入射角に従って回折させられる。(波長λまたは波長帯Δλを有する)各回折光は、ターゲット試料18(例えば、組織)上の特有の空間位置に集束する。
【0018】
図1に示すように、位置X
1、X
2、およびX
3は、波長λ
1、λ
2、およびλ
3の分散光が試料にそれぞれ当たってスペクトル分散された光線20を、形成する試料18上の特有の空間位置である。言い換えれば、回折格子16によって、光(または他の電磁放射)は、試料上に形成された平面または線20に集束させられる。
図1に示す平面または線20は、スペクトル符号化線と呼ばれる。回折格子16は、光ビーム中の波長の1つ(例えば、
図1のλ1)をプローブ100の軸(Ox)に実質的に平行に伝搬させるように設計されている。他の波長(例えば、λ
2、λ
3など)は、軸Oxに対して異なる角度で回析される。試料18によって散乱される光(または他の電磁放射)は、ファイバ10または異なるファイバ(図示せず)に結合され、または他の方法でそれに戻すことができ、次いで、集束された光は、分光計(図示せず)を含む検出器(図示せず)へ送り届けることができる。分光計において、戻る光(または他の電磁放射)のスペクトルは、電気信号として読み取ることができ、次いで、この電気信号は、コンピュータまたは他のデジタルプロセッサ(図示せず)を用いた組織の線画像を生成するように使用することができる。
【0019】
ターゲット試料(例えば、概して「体腔」と呼ばれる血管、食道、および鼻腔などの腔)の2次元(2D)画像を取得するために、例示的なSEEプローブ100は、例えば、当業者に理解されるうるやり方でプローブを回転または振動させることによって回転の矢印22によって示されるように光軸Oxのまわりに回転走査することができる。さらに、プローブ100は、長手方向に移動(並進)することができ、それによってターゲット試料の画像が、異なる深さでまたは異なる作動距離で得られる。この長手方向の移動は、「プルバック」操作と呼ばれるプロセス中に近位端に向かってプローブの先端(遠位端)を引っ張り戻すことによって行うことができる。
【0020】
図2Aは、例示的なSEEプローブ200のイメージングパラメータを示す。
図2Aでは、例示的なSEEプローブ200から放出される回折光は、結像面150(照明面)に入射して、動距離(Wd)でスペクトル分散された(符号化された)照明線110を形成する。
図2Aに示すように、プローブ軸Oxはz軸であり、結像面150で、プローブ軸は、z軸がx軸およびy軸に交差する中心点120を通過する。SEEプローブ200の光学部品のいずれかが位置合わせ不良であるとき、例えば、回折格子の溝の方向が、プローブに対して傾斜している、または照明ファイバとレンズの接合が不良であるとき、照明線110は、結像面150の中心120からずれる。結果として、光線110の少なくとも一部は、プローブ軸の方向に向かわない。
【0021】
図2Bは、SEEプローブが回転されるときに、SEEプローブ200の視野(FOV)で見られるスペクトル符号化照明線110を示す。軸Oxのまわりにプローブ200を回転させることによって、スペクトル符号化線110は、2次元(2D)エリア130内のターゲット試料を走査することができる。しかしながら、照明線110が中心120からずれているとき、視野の中心に照明光が当たらないエリア140があることになる。これは、SEE画像再構成プロセスにおいてターゲット試料のこのエリア140から情報を得ることができないことを意味する。言い換えれば、照明されていないエリア140は、視野の中心において不明瞭エリア(obscuration area)として働く。この不明瞭を防ぎ、エリア140から情報を得ることを可能にするために、プローブの遠位端は、結像面150のx方向およびy方向に移動または傾斜することができるが、そのような移動は、機械的に制限され得る、または被験者にとって好ましくないものであり得る。さらに、小さいサイズの筒状ターゲット試料を撮像するとき(例えば、毛細管などの狭い内腔を撮像するとき)、空間的な制限により結像面のxおよびy方向にプローブを移動または傾斜することができない可能性がある。したがって、本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、プローブ200の遠位光学部品の適切な位置合わせは、視野の中心に不明瞭が生じないことを確実にする。別な形で表現するならば、プローブ200の遠位光学部品の適切な位置合わせは、より良い撮像を実現することができるように視野全体が適切に照明されることを確実にする。
【0022】
<プローブ製造プロセス>
図3は、SEEプローブ200を組み立てる製造プロセスの例を示す。
図3のステップ1では、ファイバ202およびレンズ210は、当業者に知られているやり方で接合または接続することによって共に組み立てられる。平行して、ステップ2で、スペーサアセンブリ220は、ガラス棒を所望のスペーサ形状に研磨し、次いで鏡面230を作製し、回折格子240を形成することによって作られる。
図3に与えられた図面は、例示的なファイバ、レンズ、およびスペーサの要素を単に例示のために示すことを理解されたい。これらの要素の形状および寸法は、限定するものでなく、これらの要素が多数の他の形状および寸法を作り、とる。例えば、スペーサについては、異なる寸法のいくつかのガラス(またはプラスチック)棒が使用されてもよい。鏡面230および回折格子240を形成するために、ガラス棒は、所望の角度で研磨することができる。研磨後、研磨された面は、清掃され研磨されて鏡を形成し、同じやり方で、回折格子240は、スペーサ220の異なる研磨された面に形成することができる。
【0023】
ステップ3で、レンズ210は、例えば、接合または接続することによってスペーサアセンブリ220と共に組み立てられる。結果として、プローブ200の遠位光学部品が組み立てられる。次に、ステップ4で、プローブ200の遠位光学部品およびファイバは、ドライブケーブル310(ドライブケーブル、またはガイドケーブル)に挿入され、そこに固定されて一体ボディ(integral body)を形成する。最後に、プローブ200の遠位光学部品を内側に収容するドライブケーブル310は、以下にさらに説明するように、内視鏡アセンブリの内側シース320の内部にさらに配置される。プローブ200における遠位光学部品の適切な位置合わせは、高品位の撮像にとって重要であることが当業者には理解されよう。しかしながら、ファイバを遠位光学部品に位置合わせすることに注意が払われる場合でも、完全な位置合わせが実現され得ることはありえず、ファイバと遠位光学部品要素の間でいくらかの横方向および回転の位置合わせ不良となる可能性がより高い。
【0024】
図4は、内側にSEEプローブ200を収容する組立式SEE内視鏡300を示す。内視鏡300において、組立式プローブ200の遠位光学部品は、例えば、接合することによって、ドライブケーブル310の内径内部に配置される。プローブ200の遠位光学部品は、ドライブケーブル310と共に、プローブの近位端に位置する図示していないトルク発生モータによって内側シース320内で回転させられる。少なくとも内視鏡アセンブリの遠位端で、検出ファイバ330は、内側シース320の外面のまわりに配置される。検出ファイバを保護するために、外側シース340が、検出ファイバ330を覆う。外側シース340の遠位先端で、少なくともプローブ200の遠位光学部品および検出ファイバ330を覆うように、透明窓カバー350が設けられる。
【0025】
図3のステップ1〜4のアセンブリプロセス中、ドライブケーブル310内部の遠位光学部品の位置合わせ不良、またはSEEプローブ200の位置合わせ不良の蓄積により製造誤差が生じ得る。具体的には、プローブ200における遠位光学部品の適切な位置合わせは、高品質撮像にとって重要であることが、当業者により理解されよう。しかしながら、撮像ファイバを遠位光学部品に位置合わせすることに注意が払われる場合でも、完全な位置合わせが実現される得ることはありえず、ファイバと遠位光学部品要素の間でいくらかの横方向および回転の位置合わせ不良となる可能性がより高い。小さい位置合わせ不良の蓄積により、スペクトル符号化照明線110が視野の中心を通過しなくなる。そのような製造誤差は、ファイバ202およびレンズ210の位置合わせ不良、(例えば、研磨の誤差による)鏡面230の位置合わせ不良、(例えば、スペーサの製造時の誤差による)回折格子240の表面の位置合わせ不良、回折格子パターンの方向の位置合わせ不良、およびレンズ210とスペーサ220の接合の位置合わせ不良を含む。例えば、以下により詳細に説明するように、回折格子パターンが1度傾いている場合、上述した設計の照明光学部品からのスペクトル符号化照明線は、n=1.528、かつ鏡面および回折格子表面の角度Θ
MおよびΘ
Gがそれぞれ41.4および42.7度にあるとき、視野角の観点から約1.6度だけ光軸からずれ得る。回折格子240は、650line/mmの溝密度を有する。この場合には、青色の場合、416nmの光がプローブ200の軸Oxの方向に−6次で回折される。この例では、パターン傾斜と照明線のずれ角度の間の比1:1.6は、特定のプローブパラメータについて、以下により詳細に説明する式(13)から計算される。言い換えれば、パターン傾斜と照明線のずれ角度の間の比は、様々なプローブパラメータで異なる。
【0026】
<SEEプローブ幾何学的パラメータ>
図5Aは、実施形態によるSEEプローブ200の遠位光学部品の例における幾何学的パラメータを示す。
図5Aに示すように、遠位光学部品は、レンズ210に接合されたファイバ202と、スペーサ220に接続されたレンズ210とを含む。スペーサ220は、鏡面230と、回折格子240とを含む。一実施形態では、ファイバ202は、シングルモードファイバまたはマルチモードファイバであり得る。レンズ210は、屈折率分布型(GRIN)レンズまたはボールレンズであり得る。スペーサ220は、ガラスまたは成形プラスチックで作製することができる。
【0027】
ファイバ202を通じて、広帯域光は、図示されていない光源から送り届けられ、この光は、GRINレンズ210に導かれる。次いで、この光は、レンズ210によってコリメートされ、コリメートされたビームは、スペーサ220に送り届けられる。スペーサ220は、鏡面230などの光反射面を有する。鏡面230は、スペーサの一部を研磨することによって、または反射金属層でスペーサの一部をコーティングすることによって作製することができる。スペーサ220を通じて移動する光ビームは、鏡面230に対して臨界角よりも大きい角度で鏡面230に入射し、したがって、面230に入射した光は、回折格子240に向かって完全に反射する。回折格子240は、スペーサ220の別の面上に形成された回折格子パターンを有する。回折格子パターンは、知られているやり方でガラスまたは樹脂で作製することができる。鏡面230で反射された光は、回折格子240の回折格子表面に入射し、次いでターゲット試料(図示せず)に向かって回折される。この回折光は、ターゲット試料の異なる点に入射する異なる波長(λ
1、λ
2、λ
3)を有するスペクトル符号化光における照明光としてターゲット試料に向かう。
【0028】
ファイバは、シングルモードファイバまたはマルチモードファイバであり得る。レンズは、GRINレンズまたはボールレンズであり得る。スペーサは、ガラスまたはプラスチックからなり得る。このファイバ広帯域光(または単色光)が光源からレンズへ送り届けられることを考慮した。例示的な一実施形態では、スペーサ材料は、屈折率n=1.528を有し、鏡面および回折格子表面の角度Θ
MおよびΘ
Gは、それぞれ41.4度および42.7度である。回折格子240は、650line/mmの溝密度を有する。この場合には、青色の場合、416nmの光が、プローブ200の軸Oxの方向に−6次で回折される。緑色および赤色の場合、498nmおよび621nmの光がそれぞれ−5次および−4次内で回折される。
【0029】
図5Aに示す前方ビューSEEプローブ200では、プローブの光軸がz”軸であり、鏡の法線および回折格子の法線がx”−z”平面であるように直交座標系(第1の座標系)x”,y”,z”を定める。
図5Bは、直交座標系(第1の座標系)x”,y”,z”を示す。z’軸が回折格子表面の法線に平行であり、y’軸がy”軸に平行であるように別の直交座標系(第2の座標系)x’,y’,z’を定めることもできる。
図5Cは、直交座標系(第2の座標系)x’,y’,z’を示す。
【0030】
<SEEプローブの入射角の計算およびシミュレーション>
図6は、回折格子240の表面から直角に見たときの回折格子表面を示す。ここで、回折格子の回折格子ベクトルがx軸に平行であり、z軸がz’軸に平行であるように別の直交座標系(第3の座標系)x,y,zを導入する。この第3の座標系では、回折格子パターン(
図6のx方向)は、x’方向に対して角度αだけ傾いていると仮定する。
【0031】
次に、上述した3つの異なる直交座標系を考慮し、
図7は、回折格子240の入射面および回折光の面を示す。
図7では、ここで、スペーサ220における入射ビームの主光線の波動ベクトルをk
sと定め、空気中の回折ビームの波動ベクトルをk
dと定める。次いで、座標系x,y,z中のベクトルk
sおよびk
dの各成分を、それぞれ(k
sx,k
sy,k
sz)、および(k
dx,k
dy,k
dz)と定める。
【0032】
前述の定義に基づいて、次に、波動ベクトルの大きさを以下のように計算することができる。波動ベクトルの大きさは、
【数1】
【0033】
図6および
図7に定めたジオメトリから、式(3)を得る。
【数2】
【数3】
【0035】
回折光の波動ベクトルk
dy"のy”成分は、式(10)によって与えられ、ただし、k
dy"は、αがゼロでないとき、ゼロではないことに留意されたい。
k
dy"=−k
dxsinα+k
dycosα
=−(k
sx+2πmG)sinα+k
sycosα
=−2πmGsinα (10)
【0036】
これは、回折格子パターンが傾いているときに、回折光レインボーがプローブ軸の方向に向かないことを意味する。言い換えると、SEE光の少なくとも一部は、横方向シフトにより視野の中心に到達しない。
【0037】
ここで、照明のレインボー横方向シフトの角度θ
RLSを式(11)のように定める。
【数5】
【0038】
次に、α=0およびk
dx"=0のときに回折格子の式を満足する波長であるλ
0を導入する。
【数6】
【0039】
αが小さく、k
dy"<<k
dであるとき、θ
RLSは、
【数7】
のように近似することができる。
【0040】
これは、レインボーの横方向シフト角度(lateral shift angle)θ
RLSが回折格子パターン傾斜角αに比例することを意味する。
【0041】
シミュレーション結果
表1は、出願の出願人により製造されたプロトタイプカラーSEEプローブの例示的な設計に基づくパラメータを示す。ここで、照明面上の視野の中心に対する青チャンネル光のレインボー曲線ずれを調べるためにシミュレーションが行われた。
【0042】
表1:試料プローブパラメータ
【表1】
【0043】
S−BSL7の屈折率については、表2に示されたセルマイヤーの式の係数を用いてセルマイヤーの式
【数8】
を使用し、ここで、合計の各項は、波長√C
iにおける強度B
iの吸収共鳴を表す。
【0044】
表2 S−BSL7のセルマイヤー係数
【表2】
【0045】
次に、
図8Aは、式(9)によって計算されたレインボー曲線の視野角を示す。波長範囲は、400から480nmである。回折格子パターンの傾きαは、0、0.5、1.0、および1.5度である。視野角は、プローブ軸(z”)から測定される。視野角は、y”およびx”の方向について、それぞれ、
【数9】
のアークタンジェントとして計算される。x”は、スペクトル符号化方向であることに留意されたい。
【0046】
図8Bは、式(11)によって計算される回折格子パターンの傾きαについてのレインボー横方向シフトθ
RLSの角度、および式(13)によって計算されるその近似を示す。この波長および角度の範囲内で、
図8Bにプロットした結果は、式(13)が、式(11)によって計算される値の良好な近似であることを示す。ここで、−mGλ
0は1.62である。この結果は、回折格子パターンが1度傾いており、他のプローブ/シース部が上記の例における設計として組み立てられているとき、後処理中に撮像データを補正する場合でも、FOV中心における直径で3.2度のブラインドエリア(不明瞭エリア)が存在することを示す。
【0047】
図8Aおよび
図8Bに示された結果は、回折格子パターンが傾いているときにFOV中心にブラインドエリアが存在し得ることを示す。同じタイプの誤差は、上述したように、任意の他の位置合わせ不良で予期される。この不明瞭を防ぐために、1つの選択肢は、傾斜の公差を可能な限りゼロ近くにさせるようにアセンブリの精度を高めることができる。しかしながら、この解決策は、製造の時間と費用を増大させる。別の選択肢は、他の部品アセンブリの角度を変更することによってこの傾斜の影響を補償する。
【0048】
選択肢の1つは、k
dx"=0であるときにk
dy"=0であるように、ファイバ/GRINレンズアセンブリをスペーサ上に取り付けることであり得る。式(3)の代わりに、
【数10】
を満足するように、GRINレンズから回折格子表面までの光線の角度を変化させる。
【0049】
別の選択肢は、ドライブケーブル回転軸からレインボー横方向シフトθ
RLSの角度だけプローブ光軸を傾斜させることである。したがって、製造ステップにおいて、位置合わせプロセスを能動的に実行することが有利であり、例えば、プローブからのレインボー光が回転軸方向に通り抜けることができることを確実にするように、レーザビームをプローブに導入して遠位光学部品の位置合わせを助けることができる。どちらの場合も、内視鏡のサイズが制限されている場合、大きい角度だけ部分を傾斜させることは簡単ではないので、回折格子パターンの傾きを最小にすることが重要である。
【0050】
したがって、能動的位置合わせの効果を知るために、出願人は、前方ビューSEEイメージングにおいて傾いた回折格子パターンのシミュレーションモデルを開発した。例示的なSEEカラープローブについてのシミュレーション結果は、パターンが傾斜され、他の部分が従来のように設計されたように組み立てられる場合、FOV中心にブラインドエリアが存在することを立証する。したがって、本明細書に示された位置合わせの解決策は、中心FOVの不明瞭を防ぐまたは少なくとも最小にすることができ、したがって、改善された撮像結果を達成することができる。特に、シミュレーションモデルは、照明FOVの中心で不明瞭が生じないことを確実にするために、傾斜量(位置合わせ範囲)を演繹的に評価するために使用することができる。
【0051】
<位置合わせのSEEプローブ方法>
図9Aおよび
図9Bは、プローブ200の遠位光学部品をドライブケーブル310に固定するプローブ製造プロセス中に行われる能動的位置合わせの例を示す。
図10Aおよび
図10Bは、能動的位置合わせプロセス中に結像面において観察される視野を示す。
【0052】
能動的位置合わせの例は、
図9Aおよび
図9Bに示されるように実行され得る。
図9Aは、x,y,z座標系内でx方向から見たプローブ200の照明光学部品アセンブリおよびドライブケーブル310を示す。この例では、プローブ200の照明光学部品およびドライブケーブル310は、ドライブケーブル軸500が光プローブの軸Oxに平行である(これと同心にある)ように位置合わせされる。この場合には、上記の製造誤差により、スペクトル符号化照明線510は、プローブ200の照明光学部品の軸Oxを通らない。結果として、この視野における照明光は、ドライブケーブル軸500を通らず、したがって、
図10Aに示すように、それは、走査されたエリア130の中心120のまわりのエリア140を照らさない。
【0053】
照明光が走査エリア130の中心120を照らすことを確実にするために、プローブ200の照明光学部品およびドライブケーブル310を固定する製造ステップにおいて、能動的位置合わせが実行される。能動的位置合わせにおいて、光のビーム(例えば、レーザビーム)は、プローブ200を通じて伝達することができ、プローブ200の遠位端の正面に、例えば作動距離(Wd)に、位置するスクリーンまたはセンサは、ドライブケーブル軸500がスクリーンまたはセンサ上に位置するか能動的に確認するために使用することができる。次いで、スーパーコンティニウムレーザ、LED、またはランプのような広帯域光源からの光を照明光学部品のファイバ202に導入することによって、照明線110が軸500を通るときを直接または間接的にモニタすることが可能である。プローブ200の照明光学部品とドライブケーブル310を固定(固着)するときに、
図9Bに示すように、プローブ200の照明光学部品を傾斜させることができ、それによってスペクトル符号化照明線110がドライブケーブル軸500を通り、
図10Bに示すように、照明光が視野の中心に到達する。位置合わせプロセスが、スペクトル符号化照明線110がドライブケーブル軸500を通り、照明光が視野の中心に到達することを確実にすると、
図9Bに示すように、例えば機械的保持要素960および962によって、プローブ200の光学部品をドライブケーブル310に固定することが可能である。プローブ200の光学部品をドライブケーブル310に位置合わせし、固定(固着)するために使用される機械的保持要素960および962は、前もって製造された筒状構造であり得、または所望の角度でプローブ200の光学要素を1つまたは複数保持するために働くエポキシまたは樹脂の付着であり得る。
【0054】
このようにして、SEE光プローブ200は、プローブ軸Oxがドライブケーブル310の軸500に対して傾斜角αであるように配置することができる。この傾斜角は、上記の傾斜の計算およびシミュレーションから得ることができる。すなわち、
図8Aおよび
図8Bに示すように、傾斜角および対応するレインボー横方向シフト角度の範囲は、照明光が視野の中心に到達し、不明瞭が防がれることを確実にするように、SEEプローブの遠位光学部品を位置合わせするために使用することができる。
【0055】
上記の位置合わせにおいて、広帯域光源を用いる代わりに、異なる波長を有する複数の単色光源を使用することができる。この場合、回折格子240によって回折される特定の波長の光である複数の光スポット610(610a、610b、610c)は、
図11Aに示されるように、スクリーンまたはセンサ上に現れる。スポット610から、プローブ200の照明光学部品からの回折光であるスペクトル符号化照明線110の位置を評価することが可能である。したがって、不明瞭エリアが視野内に残らないことを確実にするために、
図11Bに示すように、スペクトル符号化照明線110がドライブケーブル軸500を通るまで、
図10Bに示すように、ドライブケーブル310内でプローブ200の照明光学部品を傾斜させることができる。
【0056】
プローブが回折光を複数の次数で発生させるとき、1つの単色光源が、上記の位置合わせに使用されてもよい。例えば、
図5Aのプローブは、青い光を−6次で発生させることができるが、ここで同時に、他の次数で、例えば、(それぞれラムダ(lambda)1〜3として示される)−5次および−4次で回析される光である。
【0057】
回折光を複数の次数で有する場合には、1つの光スポット710および2つの光スポット720(720a、720b)は、回折格子240によってそれぞれ−6次および−5次/−4次で回折される光であり、
図12Aに示すように、スクリーンまたはセンサ上に現れる。スポット710および720から、広帯域光がプローブに入力されるときに、プローブ200の照明光学部品からの回折光であるスペクトル符号化照明線110の位置を正確に評価することが可能である。ここでも、スペクトル符号化照明線110がドライブケーブル軸500を通り、
図12Bに示すように視野全体が正確に照明されるように、
図10Bに示すように、プローブ200の照明光学部品を傾斜させることができる。
【0058】
上述したように、技術的シミュレーションにおいて、ターゲット試料上のスペクトル符号化照明線110は、わずかに湾曲していることができる。任意のネガティブな効果は、画像上のこの湾曲によって、後処理で安全かつ正確に補償することができる。例えば、グリッドのような一定パターンを有することができる較正チャートを用いたSEE撮像によって湾曲した照明線について波長−時間座標(分光計からのデータ)と極座標または直交座標(処理された画像)との間の関係を理解することができる。この関係を後処理に適用することによって、分光計センサからの波長−時間領域内のデータを、補正された画像に補償することができる。
【0059】
<イメージングシステム>
本開示の例示的な一実施形態によるSEEプローブを用いて画像を取得するシステム1300は、
図13の図に示されている。
図13のシステム1300は、例えば、光源1370と、検出器/分光計1380と、光ファイバ回転接合(FORJ)1330と、撮像用ワンド(imaging wand)1340と、画像処理コンピュータ1350とを備える。光源1370は、広帯域スペクトルの光を出力するスーパーコンティニウムレーザまたはランプ、あるいは単色または狭帯域スペクトルの光を出力するレーザダイオードまたはLED、あるいは他の電磁放射源であり得る。波長の範囲は、約400nmから800nmまでである可視領域内であり得る。しかしながら、他の波長も使用可能である。例示的なイメージングシステム1300では、光は、直接ガイドすることができ、または他の方法で照明ファイバ1372と呼ばれ得るソースファイバの中に結合することができる。照明ファイバ1372は、FORJ1330に接続することができ、この光は、撮像用ワンドまたはSEEプローブ1340の照明ファイバ1302にさらにガイドされる(および/または関連付けられる)。
【0060】
SEEプローブ1340は、その近位端でFORJ1330に接続される。SEEプローブ1340は、照明ファイバ1302と、ドライブケーブル1310内に配置された遠位光学部品1315のアセンブリとを備え、このドライブケーブル1310は、外側シース1320内に配置される。このように、光源1370から放出された照明光は、遠位光学部品アセンブリ1315へ送り届けられ、次いで回折格子によって前方ビュー結像面上へ回折される。物体またはターゲット試料(例えば、組織)から戻る散乱された光は、SEEプローブ1340の遠位端のまわりに配置された検出ファイバによって集めることができ、この集められた光は、FORJ1330の外側に配置される1つまたは複数の検出ファイバ1382によってガイドされる。検出ファイバ1382は、コリメート用または分散用光学システム1384を介して検出器/分光計1380に接続することができる。検出器/分光計1380は、選択した波長の強度を検出することができる。選択した波長を検出するこの例示的な機能は、分光計によって実行することができる。
【0061】
FORJ1330内に収容される機械的走査ユニットによって方向1328にワンドまたはプローブ1340を機械的に回転させることによって、ターゲット試料の2次元画像を得ることができる。機械的走査ユニット(図示せず)は、照明ファイバ1302および遠位光学部品アセンブリ1315とともにドライブケーブル310を回転させるために、例えば、ガルバノスキャナまたはモータによって実行することができる。コンピュータ1350は、コンピュータ実行可能命令(プログラムコード)を実行して、システム1300の様々な部分を制御し動作させるように構成された1つまたは複数のマイクロプロセッサを備えている。コンピュータ1350は、検出器/分光計1380から得た信号に基づいて画像を再構成するようにプログラムすることも可能である。
【0062】
図14は、
図13に示されるシステムに適用できる制御処理システムの概略ブロック図である。
図14に示すように、コンピュータ制御システムは、
図13に示すコンピュータ1350の典型である。
図14では、コンピュータ1350は、中央処理装置(CPU)1401と、記憶メモリ(RAM)1402と、ユーザ入出力(I/O)インタフェース1403と、システムインタフェース1404とを備える。
図14に示されるコンピュータ1350は、システムインタフェース1404を介してイメージングシステム1300へ送信できる指令を発することができる。タッチパネルスクリーンは、キーボード、マウス、ジョイスティック、ボールコントローラ、およびフットペダルに加えて、ユーザインタフェースユニット/イメージングプロセッサの一部として含まれ得るが、フットペダルもユーザインタフェースの一部として含まれ得る。ユーザは、ユーザインタフェースユニット/イメージングプロセッサを用いて例示的なフロントビューSEEプローブを介して人体の内腔の内部を観察し始めるように指令することができる。例えば、ユーザがユーザインタフェース1403を介して指令を入力するとき、この指令は、実行のために中央処理装置CPU1401へ送信され、それによってCPUにシステムインタフェース1404を介して光源1370、検出器/分光計1380、またはFORJ1330のうちの1つまたは複数に指令を発させる。
【0063】
CPU1401は、記憶メモリ1402に記憶されたコンピュータ可読命令を読み出して実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサ(マイクロプロセッサ)で構成されている。コンピュータ可読命令は、本明細書に開示した新規のプロセス、方法、および/または計算の実行に関するプログラムコードを含むことができる。
【0064】
コンピュータ1350は、ノイズリダクション、座標歪み補正、コントラスト改善等などの例示的な画像処理を適用するようにプログラムできるイメージングプロセッサとして機能する。画像処理が実行された後または画像処理中に、データは、イメージングプロセッサからディスプレイ(図示せず)へ送信することができる。液晶ディスプレイ(LCD)は、ディスプレイであり得る。ディスプレイは、例えば、本開示の様々な例示的な実施形態による単色または合成カラー画像から得られる個々の画像を表示することができる。ディスプレイは、観察の日付、人体の一部が観察されているもの、患者の名前、オペレータの名前等などの画像以外の他の情報を表示することもできる。
【0065】
CPU1401は、記憶部/RAM1402に記憶されたコンピュータ可読命令を読み出して実行するように構成されている。コンピュータ可読命令は、本明細書に記載の方法および/または計算の実行のためにそれらを含むことができる。例えば、CPU1401は、SEEプローブの角運動量または回転速度を計算することができ、その情報(回転速度または角運動量)を使用してFORJを動作させることができる。このように、コンピュータ1350は、その角度位置が補正されている新しい画像セットを得ることができる。記憶部/RAM1402は、1つまたは複数のコンピュータ可読および/または書き込み可能媒体を備えるとともに、例えば、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)、光ディスク(例えば、DVD、ブルーレイ)、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えば、不揮発性メモリカード、フラッシュメモリ、固体ドライブ、SRAM、DRAM)、EPROM、EEPROMなどを含むことができる。記憶部/RAM1402は、コンピュータ可読データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することができる。プロセッサのコンポーネントは、バスを介して通信することができる。
【0066】
システムI/Oインタフェース1404は、キーボード、ディスプレイ、マウス、印刷装置、タッチスクリーン、光ペン、光記憶装置、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル、およびネットワーク(有線または無線)が含まれ得る入出力デバイスへの通信インタフェースを提供する。
【0067】
システムI/Oインタフェース1404も、入出力デバイスへの通信インタフェースを提供する。検出器は、例えば、光電子倍増管(PMT)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード検出器(APD)、電荷結合素子(CCD)、マルチピクセルフォトンカウンタ(MPPC)、または他のものを含むことができる。また、検出器の機能は、記憶部/RAM1402に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば、1つまたは複数のプログラム)によって実現することができる。
【0068】
例示的な動作では、ユーザは、例示的なSEEプローブをシースに中に配置することができ、次いでそのような装置/構成を人体の予め定められた位置に挿入することができる。シース単独が、前もって人体に挿入されてもよく、シースの挿入後にSEEプローブをシースに挿入することが可能である。例示的なプローブは、人体の内部で観察するために使用することができ、関節鏡、気管支鏡、副鼻腔鏡、血管内視鏡などの内視鏡として働く。
【0069】
<定義>
説明を参照するのに際して、開示した例を十分に理解するために具体的な詳細が説明される。他の例では、よく知られている方法、手順、コンポーネント、および回路については、本開示を必ずしも長くする必要がないので詳細には説明していない。
【0070】
要素または部分が、別の要素または部分の「の上」、「に対して」、「に接続される」、または「に結合される」と本明細書において言及している場合、要素または部分は、他の要素または部分の上に直接あってもよく、他の要素または部分に直接対してもよく、他の要素または部分に直接接続または結合されてもよく、あるいは要素または部分に介在するものが存在してもよいことを理解されたい。逆に、要素が別の要素または部分の「直接上」、別の要素または部分に「直接接続される」、または別の要素または部分に「直接結合される」ことを指している場合、介在する要素または部分は存在しない。使用されるとき、「および/または」という用語は、そのように与えられる場合、関連して列挙した項目のうちの1つまたは複数のいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
【0071】
「下」、「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」、「近位」、「遠位」などの空間的に相対的な用語は、様々な図に示されるようにある要素または特徴と別の要素または特徴の関係を説明するのを容易にするために本明細書に使用され得る。しかしながら、空間的に相対的な用語は、図に示した向きに加えて使用または動作時に装置の異なる向きを含むことが意図されることを理解されたい。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」として記載された要素は、そのときこの他の要素または特徴の「上方」に向けられる。したがって、「下方」などの空間的に相対的な用語は、上方と下方の向きの両方を含み得る。装置は、他のやり方で向けられてもよく(90度または他の向きで回転されてもよく)、明細書に使用される空間的に相対的な説明は、それに応じて解釈されるべきである。同様に、空間的に相対的な用語は、「近位」および「遠位」は、適用された場合、適用可能な場合、交換可能とすることもできる。
【0072】
本明細書に使用されるとき、「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、それ以下を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差の範囲内を意味し得る。
【0073】
「実質的に」という用語は、本明細書に使用されるとき、製造パラメータおよび/または測定誤差の範囲内であることを意味する。
【0074】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、コンポーネント、領域、部分、および/またはセクションを説明するために本明細書中で使用される場合がある。これらの要素、コンポーネント、領域、部分、および/またはセクションは、これらの用語に限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部分、またはセクションを、別の領域、部分、またはセクションと区別するためにのみ使用されてきた。したがって、以下に説明される第1の要素、コンポーネント、領域、部分、またはセクションは、本明細書中の教示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部分、またはセクションと名付けられてもよい。
【0075】
本明細書において使用されている専門用語は、特定の実施形態の説明するためのものに過ぎず、限定することを意図したものではない。本明細書において使用されとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「前記(the)」という単数形は、文脈上特段明確に示していない限り、複数形をも含むことが意図される。「備える、含む(includes)」および/または「含む、備える(including)」という用語は、本明細書において使用されるときには、記述されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/または明示的に述べられていないこれらの群の存在もしくは追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。
【0076】
前述したものは、本開示の原理を示すものに過ぎない。説明している例示的な実施形態への様々な修正および変更は、本明細書中の教示に鑑みて当業者に明らかであろう。実際には、本開示の例示的な実施形態による配置、システム、および方法は、任意のSEEシステム、または他のイメージングシステム、例えば、米国特許第6,341,036号、第7,796,270号、第7,843,572号、第7,859,679号、第8,045,177号、第8,145,018号、第8,780,176号、および第8,812,087号、ならびに米国特許出願第2008/0013960号、および第2011/0237892号、ならびにPCT国際公開WO2015/116951、およびWO2015116939に記載されているものとともに使用することができ、これらの開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
図面に示された例の実施形態を説明する際に、特定の専門用語が明確化のために用いられる。しかしながら、本特許出願の本開示は、そう選択される特定の専門用語に限定されることは意図しておらず、各特定の要素は、同様のやり方で動作する全ての技術的な均等物を含むと理解されたい。
【0078】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本開示は、開示した例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正および均等な構造および機能を含むように最も広い解釈が与えられるべきである。