特許第6720407号(P6720407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6720407
(24)【登録日】2020年6月19日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】多面体玩具
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/08 20060101AFI20200629BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   A63F9/08 502Z
   A63F9/08 503B
   A63H33/00 302C
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-517457(P2019-517457)
(86)(22)【出願日】2018年11月21日
(86)【国際出願番号】JP2018043030
【審査請求日】2019年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】508031014
【氏名又は名称】株式会社エイチ・ディー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】西原 明
(72)【発明者】
【氏名】小林 邦広
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3167890(JP,U)
【文献】 実公昭63−017504(JP,Y2)
【文献】 特開平09−056925(JP,A)
【文献】 特許第6410955(JP,B1)
【文献】 実公昭61−018935(JP,Y2)
【文献】 特開2011−087883(JP,A)
【文献】 特公昭63−036272(JP,B2)
【文献】 米国特許第4461480(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0264584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/06− 9/12
A63H 33/00−33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
12個の多面体から構成される多面体玩具であって、
前記多面体は、それぞれ4角錐形状を有しており、
三角形面が他の多面体の三角形面と重なるように6つの多面体からなる第1及び第2の立方体を形成し、かつ、当該2つの立方体を同一平面上に載置した状態において、
前記第1及び第2の立方体はそれぞれ、
立方体の上面を構成する第1の多面体が、前記立方体の第1の側面を構成する第2の多面体及び前記第1の側面と隣接する第2の側面を構成する第3の多面体と、各底面の各辺により連結され、
前記第2の多面体が、立方体の前記第2の側面と対向する第3の側面を構成する第4の多面体と、各底面の各辺により連結され、
前記第4の多面体が、立方体の前記上面と対向する下面を構成する第5の多面体と、各底面の各辺により連結され、かつ、
前記第5の多面体が、立方体の前記第1の側面と対向する第4の側面を構成する第6の多面体と、各底面の各辺により連結され、
前記第1の立方体の前記第3の多面体が、前記第2の立方体の前記第6の多面体と、各底面の各辺により連結され、
前記第2の立方体の前記第3の多面体が、前記第1の立方体の前記第6の多面体と、各底面の各辺により連結されていることを特徴とする多面体玩具。
【請求項2】
少なくとも1台の多面体玩具により遊技可能な請求項1に記載の多面体玩具。
【請求項3】
少なくとも2台の多面体玩具を互いに雌雄状にして嵌合させることにより、遊技可能な請求項1に記載の多面体玩具。
【請求項4】
少なくとも2台の多面体玩具をそれぞれ変容させることにより、積木のように遊技可能な請求項1に記載の多面体玩具。
【請求項5】
前記12個の多面体が1つの連結部材を介して連結されている請求項1に記載の多面体玩具。
【請求項6】
前記12個の多面体が前記1つの連結部材を介して互いに間隔を空けて連結されている請求項5に記載の多面体玩具。
【請求項7】
前記連結部材の幅寸法は、前記多面体の底面の辺の寸法よりも短い請求項6に記載の多面体玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方体の形態から、種々の形態に変容させることができる多面体玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに雌雄状に嵌合可能で、しかも星型多面体と立方体の間で変容可能な2つの玩具本体からなる多面体玩具が知られており、その構成及び製造方法が、特許文献1に開示されている。
2つの玩具本体を玩具本体Aと玩具本体Bとすると、各玩具本体A及び玩具本体Bは、それぞれ8個の多面単位体からなっている。
【0003】
その遊戯方法には、主な遊戯方法として2つのパターンがある。
その1つのパターンは次のようである。
特許文献1の第1図に示された形態を玩具本体Aの初期形態として、その状態から分割線14(第1図参照)を中心に玩具本体Aを展開させると、その中から星型多面体の玩具本体Bが現れる。その星型多面体の玩具本体Bを玩具本体Aから取出して分離させる。分離後に玩具本体Aを展開させて、星型多面体を完成させる。
もう1つのパターンは次のようである。
玩具本体Aの前記初期形態の状態では、その立方体の表面に玩具本体Aを構成する各正方形の色彩が現れている。この状態から前記分割線14に交差する分割線を中心に玩具本体Aを展開させて、玩具本体Bを構成する各正方形の色彩が現れるように、玩具本体Aから、玩具本体Bの立方体に変容させるものである。
即ち、特許文献1の多面体玩具の遊戯方法は、玩具本体A又は玩具本体Bの立方体から、その表面を反転させて、色代わりの立方体に変容させる、又は、玩具本体A又は玩具本体Bの立方体と星型多面体に交互に変容させるものである。
【0004】
しかし、玩具本体A又は玩具本体Bを色変りの立方体に変容させる、又は、立方体と星型多面体に交互に変容させるような遊戯方法は、その遊戯のパターンに限界があった。
また、玩具本体A及び玩具本体Bをペアとする遊戯方法が基本とされ、玩具本体A及び玩具本体Bを単体で使用する遊戯方法も限定されていた。
さらに、玩具本体A及び玩具本体Bをペアとする遊戯方法が基本とされ、2つ以上の複数の立方体玩具を組み合わせる等して遊戯の内容を豊富にさせる展開性に乏しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−36272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の多面体玩具は、遊戯方法のパターンが限定的である。そこで、本発明は、従来よりも遊戯パターンが豊富であり、かつ、形態の変化の予測がつかず、そのことによりパズルの要素を高めることが可能な多面体玩具を提供することを目的とする。
また、1つの多面体玩具でも、その形態の変化を楽しむことができる多面体玩具を提供すること、2つ以上の複数の多面体玩具を組み合わせて、遊戯の内容を豊富にさせる展開性を備えた多面体玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、12個の多面体から構成される多面体玩具であって、
多面体は、それぞれ4角錐形状を有しており、
三角形面が他の多面体の三角形面と重なるように6つの多面体からなる第1及び第2の立方体を形成し、かつ、当該2つの立方体を同一平面上に載置した場合の平面視において、
第1及び第2の立方体はそれぞれ、
立方体の上面を構成する第1の多面体が、立方体の第1の側面を構成する第2の多面体及び第1の側面と隣接する第2の側面を構成する第3の多面体と、各底面の各辺により連結され、
第2の多面体が、立方体の第2の側面と対向する第3の側面を構成する第4の多面体と、各底面の各辺により連結され、
第4の多面体が、立方体の上面と対向する下面を構成する第5の多面体と、各底面の各辺により連結され、かつ、
第5の多面体が、立方体の第1の側面と対向する第4の側面を構成する第6の多面体と、各底面の各辺により連結され、
第1の立方体の第3の多面体が、第2の立方体の第6の多面体と、各底面の各辺により連結され、
第2の立方体の第3の多面体が、第1の立方体の第6の多面体と、各底面の各辺により連結されていることを特徴とする多面体玩具である。
【0008】
本発明においては、少なくとも1台の多面体玩具により遊戯可能な多面体玩具となっていることが好ましい。
【0009】
本発明においては、2台の多面体玩具を互いに雌雄状にして嵌合することにより、遊戯可能な多面体玩具となっていることが好ましい。
【0010】
本発明においては、12個の多面体が1つの連結部材を介して連結されていることが好ましい。
【0011】
この場合においては、12個の多面体が1つの連結部材を介して互いに間隔を空けて連結されていることが好ましい。
【0012】
さらにこの場合においては、連結部材の幅寸法は、多面体の底面の辺の寸法よりも短いことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊戯パターンが豊富であり、かつ、形態の変化の予測がつかず、そのことによりパズルの要素を高めることが可能な多面体玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】2つの立方体を形成した状態の多面体玩具の上面側からの斜視図
図2】同底面側からの斜視図
図3】立方体における多面体の頂点及び辺の位置関係を示す斜視図
図4】玩具の多面体の底面を展開した展開図の一例
図5】(A)は本体部の上面側の斜視図であり、(B)は本体部の底面側の斜視図
図6】(A)は蓋部の上面側の斜視図であり、(B)は蓋部の底面側の斜視図
図7】連結部材の平面図
図8】遊戯パターンAにおける多面体玩具の形態を示す斜視図
図9】同斜視図
図10】同斜視図
図11】同斜視図
図12】同斜視図
図13】同斜視図
図14】同斜視図
図15】同斜視図
図16】同斜視図
図17】同斜視図
図18】同斜視図
図19】同斜視図
図20】遊戯パターンBにおける2つの多面体玩具の形態を示す斜視図
図21】同斜視図
図22】同斜視図
図23】同斜視図
図24】同斜視図
図25】同斜視図
図26】同斜視図
図27】同斜視図
図28】遊戯パターンCにおける2つの多面体玩具の形態を示す斜視図
図29】同斜視図
図30】同斜視図
図31】同斜視図
図32】同斜視図
図33】同斜視図
図34】遊戯パターンDにおける2つの多面体玩具の形態を示す斜視図
図35】同斜視図
図36】同斜視図
図37】同斜視図
図38】同斜視図
図39】同斜視図
図40】同斜視図
図41】同斜視図
図42】同斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。なお、本明細書においては、共通する構成には、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に図示して詳細な説明は省略し、必要に応じて同一の符号で示すこととする。
【0016】
本実施形態の多面体玩具(以下、単に玩具とも称する)1は、12個の多面体U1〜U6及びV1〜V6を備えており、各多面体U1〜U6及びV1〜V6はそれぞれ、底面U1a〜U6a及びV1a〜V6aと、底面U1a〜U6a及びV1a〜V6aの4つの辺U1b〜U6b及びV1b〜V6b、U1c〜U6c及びV1c〜V6c、U1d〜U6d及びV1d〜V6d、U1e〜U6e及びV1e〜V6e、並びに、4つの三角形面U1f〜U6f及びV1f〜V6f、U1g〜U6g及びV1g〜V6g、U1h〜U6h及びV1h〜V6h、U1i〜U6i及びV1i〜V6iと、を備える4角錐形状を有している。図1においては、6つの多面体U1〜U6が第1の立方体11を形成しており、6つの多面体V1〜V6が第2の立方体21を形成している。図1及び図2においては、第1の立方体11及び第2の立方体21を同一平面上に載置した状態が示されている。なお、第2の立方体21が有する構成のうち、第1の立方体11の構成と共通する構成については、第1の立方体11と同一の名称及び符号を付してその説明を省略する。
【0017】
図1及び図2の状態においては、多面体U1〜U6は、三角形面が他の多面体の三角形面と重なっている。同様に、多面体V1〜V6は、三角形面が他の多面体の三角形面と重なっている。そのため、図3に示すように、多面体U1〜U6及びV1〜V6はそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の各対角線Cが交わる点に4角錐形状の頂点Tが形成され、各対角線Cに沿って各稜線が形成されている。図3においては、対角線Cを一点鎖線にて示している。
【0018】
本実施形態では、第1の立方体11及び第2の立方体21を同一平面上に載置した状態において、第1の多面体U1及びV1がそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の上面11a及び21aを構成している。
【0019】
第2の多面体U2及びV2はそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の第1の側面11b及び21bを構成している。
【0020】
第3の多面体U3及びV3はそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の第2の側面11c及び21cを構成している。第2の側面11c及び21cはそれぞれ、第1の側面11b及び21bに隣接している。
【0021】
第4の多面体U4及びV4はそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の第3の側面11d及び21dを構成している。第3の側面11d及び21dはそれぞれ、第2の側面11c及び21cと対向している。
【0022】
第5の多面体U5及びV5はそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の下面11f及び21fを構成している。
【0023】
第6の多面体U6及びV6はそれぞれ、第1の立方体11及び第2の立方体21の第4の側面11e及び21eを構成している。第4の側面11e及び21eはそれぞれ、第1の側面11b及び21bと対向している。
【0024】
これらの多面体U1〜U6及びV1〜V6は、第1の立方体11及び第2の立方体21において、次のような連結関係を備えている。
【0025】
第1の立方体11においては、第1の立方体11の上面11aは、第1の多面体U1の4角錐形状の底面U1aにより構成されている。底面U1aの辺U1bは、第2の多面体U2の底面U2aの辺U2bと連結されている。また底面U1aの辺U1cは、第3の多面体U3の底面U3aの辺U3bと連結されている。
【0026】
第1の立方体11の第1の側面11bは、第2の多面体U2の4角錐形状の底面U2aにより構成されている。底面U2aの辺U2cは、第4の多面体U4の底面U4aの辺U4dと連結されている。
【0027】
第1の立方体11の第2の側面11cは、第3の多面体U3の4角錐形状の底面U3aにより構成されている。
【0028】
第1の立方体11の第3の側面11dは、第4の多面体U4の4角錐形状の底面U4aにより構成されている。底面U4aの辺U4eは、第5の多面体U5の底面U5aの辺U5dと連結されている。
【0029】
第1の立方体11の下面11fは、第5の多面体U5の4角錐形状の底面U5aにより構成されている。底面U5aの辺U5eは、第6の多面体U6の底面U6aの辺U6eと連結されている。
【0030】
第1の立方体11の第4の側面11eは、第6の多面体U6の4角錐形状の底面U6aにより構成されている。
【0031】
第2の立方体21においては、第1の多面体V1〜第6の多面体V6はそれぞれ、第1の立方体11における第1の多面体U1〜第6の多面体U6と同様の連結関係を有している。
【0032】
さらに、第1の立方体11を構成する第3の多面体U3の4角錐形状の底面U3aの辺U3dは、第2の立方体21を構成する第6の多面体V6の4角錐形状の底面V6aの辺V6cと連結されている。同様に、第1の立方体11を構成する第6の多面体U6の4角錐形状の底面U6aの辺U3cは、第2の立方体21を構成する第3の多面体V3の4角錐形状の底面V3aの辺V3dと連結されている。
【0033】
このように本実施形態の玩具1では、第1の立方体11及び第2の立方体21は、第3の多面体U3と第6の多面体V6との連結構造、及び、第6の多面体U6と第3の多面体V3との連結構造とにより、連結されている。
【0034】
図4に示す本実施形態の玩具1の展開図の一例から明らかなように、本実施形態の玩具1では、各多面体U1〜U6及びV1〜V6はそれぞれ、底面の隣接する2辺が、他の多面体と連結されている。
【0035】
ここで、各多面体U1〜U6及びV1〜V6の構成について、第1の多面体U1を例として説明する。なお、多面体U2〜U6及びV1〜V6が有する構成のうち、多面体U1の構成と共通する構成については、多面体U1と同様の名称及び符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図5及び6に示すように、第1の多面体U1は、4角錐形状の側面を構成する4つの三角形面U1f〜U1iを有する本体部31と、4つの三角形面の底面側の端部により囲まれた開口部31aを塞ぐように本体部31に取り付けられる蓋部32とを有している。本実施形態では、本体部31及び蓋部32はいずれも合成樹脂により形成されている。
【0037】
本実施形態の本体部31の4つの三角形面U1f〜U1iは、4角錐形状の底面U1a側の端部が、対向する三角形面の底面U1a側の端部に向かって折り返されて折り返し部31bが形成されている。このような折り返し部は、対向する三角形面の底面U1a側の端部に向かう寸法が、1.5mm以上であることが好ましい。このような寸法とすることにより、玩具1の強度及び精度を確保することができる。本実施形態では、隣接する2つの三角形面U1f及びU1gは、4角錐形状の底面U1a側の端部の全体に亘って折り返し部31bが形成されている。また、残りの隣接する2つの三角形面U1h及びU1iは、4角錐形状の底面U1a側の端部の延在方向の両端部領域のみに折り返し部31bが形成されており、三角形面の端部の延在方向の中央領域には、折り返し部31bが形成されていない。即ち本実施形態では、隣接する2つの三角形面U1h及びU1iは、底面U1a側の端部の延在方向の中央領域に、折り返し部31bに挟まれた凹部31cがそれぞれ形成されている。このような凹部31cが形成される場合、折り返し部31bは、底面U1a側の端部の延在方向における隣接する辺の接続部からの寸法が、対向する三角形面の底面U1a側の端部に向かう折り返し部の寸法以上であることが好ましく、具体的には、対向する三角形面の底面U1a側の端部に向かう折り返し部の100〜200%の寸法であることが好ましい。このような寸法とすることにより、玩具1の強度及び精度を確保しつつ、シートのぐらつきや強度不足を抑制することができる。
【0038】
蓋部32は、本体部31の開口部31aの全体を塞ぐ形状を有している。特に本実施形態の蓋部32は、凹部31cと若干の間隔を空けて、凹部31cの底面U1a側の全体を塞ぐ形状を有している。さらに本実施形態の蓋部32は、蓋部32を本体部31に取り付けた状態で、折り返し部31bと蓋部32とが実質的に面一となるように構成されている。このように本実施形態では、折り返し部31bと、蓋部32とにより、第1の多面体U1の底面U1aが構成されている。
【0039】
本実施形態では、本体部31の内部に、4角錐形状の頂点Tから開口部31aに向って、筒状部31dが成形されている。そして、蓋部32には、筒状部31dの中空部31eに嵌め入れられる柱状部32aが形成されている。そのため、本実施形態では、柱状部32aを筒状部31dに嵌合することで、開口部31aが閉鎖されて、4角錐形状の多面体U1が構成される。特に本実施形態では、中空部31eの断面を六角形形状とし、柱状部32aの断面を円形としている。このように、中空部31eの断面の形状と、柱状部32aの断面の形状とを異ならせることにより、中空部31eへの柱状部32aの挿入を容易に行うことができる。
【0040】
特に本実施形態では、本体部31の内部には、4角錐形状の底面U1a側の端部の近傍に、押し止め部31fが形成されている。本実施形態では、押し止め部31fは、4角錐形状の底面U1a側の端部の近傍に、端部の全体に沿って環状に形成されている。このような押し止め部31fを形成することにより、中空部31eへの柱状部32aの挿入の際に、蓋部32が本体部31に過剰に付勢されて、本体部が破損することが防止されている。
【0041】
本実施形態の第1の多面体U1は、例えば、本体部31と蓋部32について、それぞれ雄及び雌の各金型を用意し、各金型に射出成型機等により熱可撓性樹脂を射出成形することで製造することができる。
【0042】
本実施形態では、多面体U2〜U6及びV1〜V6は、多面体U1と実質的に同じ構成を有している。なお、凹部31cが形成される三角形面は、必要に応じて任意に変更できるのは当然である。
【0043】
次に、各多面体U1〜U6及びV1〜V6の具体的な連結構造について説明する。本実施形態の玩具1では、連結部材41を備えており、各多面体U1〜U6及びV1〜V6は、連結部材41を介して他の多面体と連結されている。言い換えると、本実施形態の玩具1では、多面体同士が間接的に連結されている。
【0044】
図7に示すように、本実施形態の連結部材41は、階段形状を有する1枚のシートにより構成されている。より具体的には、本実施形態の連結部材41は、11個のL字状部分41aと、2個の長方形部分41bとが接続された構成を有している。本実施形態では、11個のL字状部分41a及び2個の長方形部分41bは一体的に形成されている。
【0045】
本実施形態では、11個のL字状部分41aは、互いに同じ形状を有しており、階段状となるように互いに接続されている。本実施形態のL字状部分41aは、大きな正方形の一つの角から小さな正方形を切り欠いた形状となっている。そのため、角L字状部分41aは、小さな正方形を切り欠く前の大きな正方形の対角線を軸に線対称となっている。
【0046】
長方形部分41bの長辺は、L字状部分41aにおける小さな正方形を切り欠く前の大きな正方形の辺と同じ寸法を有している。また、長方形部分41bの短辺は、L字状部分41aにおける大きな正方形の辺の寸法と小さな正方形の辺の寸法との差に等しい寸法を有している。特に本実施形態では、長方形部分41bの短辺の寸法を、凹部31cの長手方向の寸法と実質的に同じ寸法としている。即ち本実施形態では、連結部材41の幅寸法は、多面体の底面の辺の寸法の60%となっている。
【0047】
図7においては、L字状部分同士の境界及びL字状部分と長方形部材との境界を破線で示している。この破線で示された境界は、連結される2つの多面体の中間に位置することとなる。本実施形態では、11個のL字状部分41a及び2個の長方形部分41bにはそれぞれ、貫通孔Hが形成されている。
【0048】
本実施形態の連結部材41は、ポリスチレンから構成されている。このようなシート状の連結部材41は、例えばポリスチレンシートを連結部材の形状に打抜き加工することにより製造することができる。
【0049】
次に本実施形態の玩具1の組み立ての態様の一例について説明する。まず、連結部材41の2つの長方形部分41bの貫通孔Hを重ね合わせて、連結部材41を環状にする。次に重ね合わせた2つの長方形部分41bの貫通孔Hに、本体部31の筒状部31dを挿入する。挿入後、2つの長方形部分41bを2つの凹部31c上にそれぞれ配置する。配置後、連結部材41が蓋部32と凹部31cとにより挟まれるように、蓋部32の柱状部32aを、筒状部31dの中空部31eに嵌め入れて、1つめの多面体が形成される。
【0050】
次に、連結部材41の他の貫通孔Hに他の多面体の本体部31の筒部31dを挿入し、L字状部分41a同士の境界付近を凹部31c上に配置し、蓋部32の柱状部32aを、筒部31dの中空部31eに嵌め入れることで2つめの多面体が形成される。
【0051】
連結部材41の残りの貫通孔Hに対して同様の作業を行うことで、連結部材41により12個の多面体が連結された本実施形態の玩具1が組み立てられる。
【0052】
本実施形態では、多面体U1〜U6及びV1〜V6は、連結部材41を介して他の多面体と間接的に連結されている。そのため、連結された2つの多面体が間隔をあけて連結されているので、一方の多面体を他方の多面体に対して回転させる際に、他方の多面体が一方の多面体に接触等することにより、回転動作の障害となること及び回転動作の際に多面体が破損することを抑制できる。
【0053】
特に本実施形態では、多面体同士を連結する部分における連結部材41の幅寸法が、凹部31cの長手方向の寸法と実質的に同じ寸法であるため、多面体は、三角形面の端部の延在方向の中央領域でのみ、他の多面体と連結されており、三角形面の端部の延在方向の両端部領域では他の多面体と連結されていない。そのため、連結された2つの多面体を、その底面同士がねじれるように変位させることができる。よって、回転動作をスムーズに行うことができるとともに、連結された多面体の可動範囲を広くすることができる。そのため、変形のバリエーションを豊富にすることができる。
【0054】
玩具1の遊技方法を例示すると次のとおりである。
<遊技パターンA>
この遊技パターンAは、1台の玩具1を用意し、その玩具1により種々の形態に変容させるものである。
本実施形態の玩具1は、図1に示す2つの正方形が連結された形態から、例えば、1つの凸多面体を構成する形態(図8)、1つの直方体を構成する形態(図9)、2つの正二十面体が連結された形態(図10)、平面視した状態において多面体の三角形面のみが見える形態(図11〜14)、平面視した状態において多面体の三角形面及び底面が見える形態(図15図19)に変形させることができる。図9図19に示す形態では、平面視した状態において、玩具1の中心を軸として又は玩具1の中心を通る平面を軸として対称な2つの図形を組み合わせた形態となっている。
【0055】
<遊技パターンB>
この遊技パターンBは、2台の玩具1を用意して遊技するもので、2台の玩具を玩具a及び玩具bとすると、玩具a及び玩具bを図1に示す2つの正方形が連結された形態及び/又は図9に示す1つの直方体を構成する形態として、これらを横方向及び縦方向に組み合わせて、1段又は2段の組み合わせ形態(図20〜27)とするものである。なお、図20〜27においては、玩具aの底面及び三角形面は白抜きで表示し、玩具b底面及び三角形面は網掛けで表示する。
【0056】
<遊技パターンC>
この遊技パターンCは、2台の玩具1を用意して遊技するもので、2台の玩具を玩具a及び玩具bとすると、玩具a及び玩具bを図8に示す1つの凸多面体を構成する形態として、これらを横方向及び縦方向に組み合わせて、1段又は2段の組み合わせ形態(図28〜33)とするものである。なお、図28〜33においては、玩具aの底面及び三角形面は白抜きで表示し、玩具b底面及び三角形面は網掛けで表示する。
【0057】
<遊技パターンD>
この遊技パターンDは、2台の玩具1を用意して遊技するもので、2台の玩具を玩具a及び玩具bとすると、玩具a及び玩具bを、例えば図15図29に示すような、平面視した状態において多面体の三角形面及び底面が見える形態として、これらを雌雄状にして嵌合した形態(図34〜42)とするものである。なお、図34〜42においては、玩具aの底面及び三角形面は白抜きで表示し、玩具b底面及び三角形面は網掛けで表示する。
ここで雌雄状にして嵌合した形態とは、一方の玩具の複数の面により構成される凹部に、他方の玩具の複数の面により構成される凸部が嵌合した状態にあることを示す。
【0058】
以上、遊技パターンAに示されたように、1台の玩具1でも、その形態の変化を楽しむことができる。
また、遊技パターンB〜Dのように、豊富な遊技パターンを提供することができ、その際に、形態の変化の予測がつかない遊技パターンを提供するができる。特に遊技パターンB〜Dでは、2つの玩具1を異なる色とすることにより、表面色の組み合わせを作り出すことができるか否かのバズルの要素を盛り込むことができる。
【0059】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数のいずれか一方として説明された場合、又は、単数もしくは複数のいずれとも限定されずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数又は複数のいずれであってもよい。
本発明を図面及び詳細な実施の形態を参照して説明したが、当業者であれば、本明細書において開示された事項に基づいて種々の変更又は修正が可能であることが理解されるべきである。従って、本発明の実施形態の範囲には、いかなる変更又は修正が含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0060】
1:多面体玩具
11 第1の立方体
11a:上面 11b:第1の側面 11c:第2の側面 11d:第3の側面
11e:第4の側面 11f:下面
21:第2の立方体
21a:上面 21b:第1の側面 21c:第2の側面 21d:第3の側面
21e:第4の側面 21f:下面
31:本体部
31a:開口部 31b:折り返し部 31c:凹部 31d:筒状部
31e:中空部 31f:押し止め部
32:蓋部
32a:柱状部
41:連結部材
41a:L字状部分 41b:長方形部分
C:対角線
H:貫通孔
T:頂点
U1:第1の多面体
U1a:底面 U1b:辺 U1c:辺 U1d:辺 U1e:辺
U1f:三角形面 U1g:三角形面 U1h:三角形面 U1i:三角形面
U2 第2の多面体
U2a:底面 U2b:辺 U2c:辺 U2d:辺 U2e:辺
U3 第3の多面体
U3a:底面 U3b:辺 U3c:辺 U3d:辺 U3e:辺
U4 第4の多面体
U4a:底面 U4b:辺 U4c:辺 U4d:辺 U4e:辺
U5 第5の多面体
U5a:底面 U5b:辺 U5c:辺 U5d:辺 U5e:辺
U6 第6の多面体
U6a:底面 U6b:辺 U6c:辺 U6d:辺 U6e:辺
V1 第1の多面体
V1a:底面 V1b:辺 V1c:辺 V1d:辺 V1e:辺
V2 第2の多面体
V2f:三角形面 V2g:三角形面 V2h:三角形面 V2i:三角形面
V3 第3の多面体
V3a:底面 V3b:辺 V3c:辺 V3d:辺 V3e:辺
V4 第4の多面体
V4a:底面 V4b:辺 V4c:辺 V4d:辺 V4e:辺
V5 第5の多面体
V5a:底面 V5b:辺 V5c:辺 V5d:辺 V5e:辺
V6 第6の多面体
V6a:底面 V6b:辺 V6c:辺 V6d:辺 V6e:辺
【要約】
遊戯パターンが豊富であり、かつ、形態の変化の予測がつかず、そのことによりパズルの要素を高めることが可能な多面体玩具を提供する。立方体の上面を構成する第1の多面体が、立方体の第1の側面を構成する第2の多面体及び第1の側面と隣接する第2の側面を構成する第3の多面体と、各底面の各辺により連結され、第2の多面体が、立方体の第2の側面と対向する第3の側面を構成する第4の多面体と、各底面の各辺により連結され、第4の多面体が、立方体の上面と対向する下面を構成する第5の多面体と、各底面の各辺により連結され、かつ、第5の多面体が、立方体の第1の側面と対向する第4の側面を構成する第6の多面体と、各底面の各辺により連結され、第1の立方体の第3の多面体が、第2の立方体の第6の多面体と、各底面の各辺により連結され、第2の立方体の第3の多面体が、第1の立方体の第6の多面体と、各底面の各辺により連結されている。
図1
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