特許第6720451号(P6720451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6720451テーブル状部材と壁材から形成された空間構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720451
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】テーブル状部材と壁材から形成された空間構造体
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20200629BHJP
   E03B 3/03 20060101ALI20200629BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20200629BHJP
   E03B 11/14 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   E03F1/00 Z
   E03B3/03 B
   E03B3/02 Z
   E03B11/14
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-257642(P2015-257642)
(22)【出願日】2015年12月29日
(65)【公開番号】特開2017-120004(P2017-120004A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−248661(JP,A)
【文献】 特開2014−136930(JP,A)
【文献】 特開2014−012977(JP,A)
【文献】 特開2014−088668(JP,A)
【文献】 特開2007−056611(JP,A)
【文献】 特開2002−097707(JP,A)
【文献】 特開2007−023663(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0369757(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1030605(KR,B1)
【文献】 特開平08−192848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D17/00−17/20
E03B1/00−11/16
E03F1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平盤部と筒状の脚部からなるテーブル状部材と壁材から形成される空間構造体であって、テーブル状部材の平盤部の縁には脚部と同じ方向に開口した複数の凹部がリブで形成され、壁材の上端と下端部には前記凹部に挿入可能な凸部が設けられ、かつ凸部と凸部の間隔はテーブル状部材の平盤部最外縁リブ部の厚さの2倍以上とされ、前記テーブル状部材をその脚部を対向させるように組み合わせてユニットとし、ユニットを複数組み合わせて得られた空間構造体の最外辺ユニットの対向する2枚の平盤部間に前記壁材をずらして挿入して形成した空間構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル状部材と壁材から形成された空間構造体を利用して液体特に雨水を貯留する雨水流出抑制用の貯留槽技術および軽量盛土技術などに属する。
【背景技術】
【0002】
空間構造体を形成するため使用されるテーブル状部材と壁材は主として一時的に雨水を貯留し、徐々に流出させる雨水流出抑制施設を構築する滞水材あるいは軽量盛土材として使用されている。テーブル状部材の形状は平盤部と脚部から構成され、壁材と合わせ熱可塑性樹脂を射出成形して製造される例が多い。雨水流出抑制施設としての貯留槽、浸透槽として使用される例として以下の開示がある。(特開平10-252108、特開2001-90167、特開2006-200356、特開2009-57695)
またテーブル状部材を軽量盛土に利用する例として以下の技術が公開されている。(特開2007-2419、特開2009-57695)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-252108
【特許文献2】特開2001-90167
【特許文献3】特開2006-200356
【特許文献4】特開2009-57695
【特許文献5】特開2007-2419
【特許文献6】特開2009-57695
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のテーブル状部材と壁材は1対1に対応して使用されていた。そのためテーブル状部材同士の接続用の継手が必要であった。本願は上記部材で形成する空間構造体の最外辺部のテーブル状部材の接続を壁材を使用することで達成するための技術の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、平盤部と筒状の脚部からなるテーブル状部材と壁材から形成される空間構造体であって、テーブル状部材の平盤部の縁には脚部と同じ方向に開口した複数の凹部がリブで形成され、壁材の上端部と下端部には前記凹部に挿入可能な凸部が設けられ、かつ凸部と凸部の間隔はテーブル状部材の平盤部最外縁リブ部の厚さの2倍以上とされ、前記テーブル状部材をその脚部を対向させるように組み合わせてユニットとし、ユニットを複数組み合わせて得られた空間構造体の最外辺ユニットの対向する2枚の平盤部間に前記壁材をずらして挿入して形成した空間構造体である。
テーブル状部材で形成する空間構造体の最外辺部に使用する継手を壁材で代替できるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ユニットを形成するテーブル状部材の平盤部の縁には脚部と同じ方向に開口した複数の凹部がリブで形成され、壁材の上端部と下端部には前記凹部に挿入可能な凸部が設けられ、かつ凸部の間隔はテーブル状部材の平盤部最外縁リブ部の厚さの2倍以上に設定されている。ユニットを立体的に配置し空間を形成し、その空間構造体の最外辺部のユニットのテーブル状部材の対向する2枚の平盤部間に前記壁材をずらして挿入するため以下の効果がある。
(1)図3に示すように、壁材をずらして、すなわち壁材の凸部をテーブル状部材の端部からはみ出すようにテーブル状部材に設けた凹部に挿入して、次のテーブル状部材をそのはみ出した凸部を全て覆うように凹部に挿入すれば2つのテーブル状部材は壁材で接続される。
(2)従来どおりテーブル状部材と壁材部を1対1に対応して接続することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】は、本発明のテーブル状部材と壁材の概念図である。
図2】は、本発明のテーブル状部材をその脚部を対向させた状態で接続したユニットの側面概念図である。
図3】は、本発明のテーブル状部材の縁部凹部に壁材の凸部をずらして挿入させた状態を示す側面概念図である。
図4】は、本発明のテーブル状部材の縁部凹部に壁材の凸部をずらして挿入させた状態を示す他の側面概念図である。
図5】は、本発明のテーブル状部材の縁部凹部に壁材の凸部をずらして挿入させた状態を示す他の側面概念図である。
図6】は、本発明のテーブル状部材と壁材を従来どおり1対1に挿入し接続した状態を示す側面概念図である。
図7】は、本発明のテーブル状部材と壁材を用いて形成される空間構造体の概念図である。
図8】は、本発明のテーブル状部材と壁材を従来どおり雨水等の流出抑制施設として使用する例を示す。
図9】は、本発明のテーブル状部材と壁材を従来どおり軽量盛土材として使用する例をしめす。
図10】テーブル状部材の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1aに示す通り、本発明のテーブル状部材は平盤部と脚部から構成される。
平盤部は貯留する雨水が上下に流れ下るよう複数の孔が設けられている。形状は正方形、長方形、あるいはそれらの端部を切り欠いた形状であり、全体として密着して配置できる形状であれば良い。脚部はテーパを設けた筒状形を有し、その断面は円形、多角形、梅鉢形など任意に選ぶことができる。図1cに梅鉢形の例を記載する。その他脚部が1つの例を図10に示す。
平盤部と反対側の脚部の端面は閉じられているが、その端面においても任意に孔が設けられている場合もある。平盤部に設ける脚部の位置、個数、寸法も任意に設定可能である。
本願に記載するテーブル状部材はその平盤部の外縁脚部に脚部の方向に向かって開口する複数の凹部がリブにより形成されている。
図では開口する凹部を形成するリブの厚さが最外縁部とそれ以外では異なるが同一であってもよい。また図では開口する凹部が等間隔に配置されているが、等間隔ではなく、非等間隔であって、後述する壁材の凸部が複数挿入できる部分があってもよい。
【0009】
図1bに示す通り、壁材は平板状でその上下端には複数の凸部が設けられている。凸部の形状は前記テーブル状部材の平盤部縁部に設けた凹部に挿入可能に形成されている。
凸部の間隔はテーブル状部材の最外縁部のリブが2枚挿入可能となるように設定されている。一般的には平盤部の最外縁部の厚さの2倍以上の間隔で、接続強度、接続の容易さを考慮して、適切な余裕を設けることが好ましい。
壁材の幅はテーブル状部材の平盤部の幅に対応して設定される。
壁材の長さはテーブル状部材を図2に示すように組み合わせた状態のユニットの高さに対応するため、壁材の長さはテーブル状部材に挿入が可能な範囲であればユニットの高さと異なっていてもよい。
【0010】
ユニットを前後左右上下に配列し、要求される空間構造体を形成し、この空間構造体をシートで覆って雨水等の流出抑制用の貯留槽、浸透槽にする。あるいは軽量盛土材として利用するのは従来と変わらない。本発明は上記空間構造体の最外辺部に使用するテーブル状部材と壁材にかかわる。
本テーブル状部材と壁材は図3に示すように使用される。
図3aでは壁材の最外端の凸部がテーブル状部材の平盤部の外にずれるように挿入されている。凸部間の間隔はテーブル状部材の平盤部最外端のリブが2枚挿入可能とされているため、図3bに示す通り次のテーブル状部材の最外端のリブが挿入され2つのテーブル状部材がその平盤部で接続されることとなる。
これを繰り返すことで空間の最外端部に壁材の最外端の凸部がはみ出ることとなる。その処理は必要に応じそのずれてはみ出た最外端を切り離すか、幅の狭い壁材を用意することでもよい。
また壁材の凸部のずれる数は上記に係らず図4a、図4b、図5a、図5bに示すように任意に設定される。
【0011】
本願発明の趣旨は空間構造体の最外辺部に存在するユニット間の接続を継手に拠らず壁材で可能とすることにあるが、本発明のテーブル状部材と壁材は従来と同じように1対1で使用することも可能である。図6aにその状態を示す。このとき本発明のテーブル状部材の接続は従来のテーブル状部材と同様継手による。図6bはテーブル状部材の平盤部の端部の形状と使用される継手の例を示す。
【0012】
図7は、本テーブル状部材をユニットとし複数前後左右上下に配置し得られた空間構造体の最外辺部に壁材を挿入して得られた空間構造体の概念図である。本図では壁材を半分ずらして挿入した状態を示している。テーブル状部材の接続の観点から最良の状態となる。
この得られた空間構造体の利用方法の例を以下に示す。
(1)雨水等の流出抑制施設として利用する場合は、空間構造体を地下に構築し、設置場所の条件に応じて透水性シートで覆い浸透槽としたり、遮水性シートで覆い貯留槽とする。必要な泥だめ枡、オリフィスなどの付帯施設を設けて本利用に供することは従来通りである。
(2)軟弱地盤の改良用に軽量盛土材として利用する場合は、空間構造体を地下に構築し、透水性シートで覆って土砂の浸入を防止して本利用に供することは従来どおりである。
(3)舞台状に空間構造体を構築し、上部に板を敷き簡易な撤去可能なステージなどとして使用する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
雨水の流出抑制用に使用される一時的貯留、汚染水などの一時貯留槽(図8)、あるいは軽量盛土材(図9)として使用される。また臨時のステージなどとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0014】
1 テーブル状部材
11 テーブル状部材平盤部縁部の凹部
2 壁材
21 壁材の上下端部に設けた凸部
3 平盤部
4 脚部
5 平盤部に設けた結合部
6 継手

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10