(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体側より順に、物体側が凸面の正の第1レンズ、像側が凹面の負の第2レンズ、像側が凹面の負の第3レンズ、物体側が凸面の正の第4レンズ、負の第5レンズ、像側が凹面の第6レンズからなり、
前記第4レンズの材質が硝子であり、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第5レンズ、及び前記第6レンズの材質がプラスチックであり、
fを全系の焦点距離、
f4を第4レンズの焦点距離、
Nd4を第4レンズのd線における屈折率、
IHを最大像高として、
条件式
0.3 < f4/f < 0.7
Nd4 > 1.7
f/IH > 2.5
を満足するレンズ系。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下の実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0015】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0016】
図1から
図7に関連してレンズ系の実施例が開示されている。各実施例で開示されているように、一実施形態のレンズ系は、物体側より順に、物体側が凸面の正の第1レンズ、像側が凹面の負の第2レンズ、像側が凹面の負の第3レンズ、物体側が凸面の正の第4レンズ、負の第5レンズ、像側が凹面の第6レンズを備える。第4レンズの材質が硝子である。第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第5レンズ、及び第6レンズの材質がプラスチックである。fを全系の焦点距離、f4を第4レンズの焦点距離、Nd4を第4レンズのd線における屈折率、IHを最大像高として、
条件式1、条件式2、及び条件式3を満足する。
0.3 < f4/f < 0.7 (条件式1)
Nd4 > 1.7 (条件式2)
f/IH > 2.5 (条件式3)
【0017】
上記のレンズ系が備える構成により、比較的に小型で高い解像力を有し、温度変化に伴う焦点位置変動を抑えたレンズ系を、比較的に安価に実現することができる。
【0018】
一般的にプラスチックレンズはガラスレンズに比べて、温度変化に伴う屈折率の変動が大きい。そのため、フォーカスを固定した状態で使用することが想定される場合や、レンズ系がフォーカス機構を有しない場合等には、温度変化に伴う性能変動、特に焦点位置の変動を光学的に抑える必要がある。
【0019】
条件式1は、温度変化に伴う屈折率変動の小さいガラス材質の第4レンズの焦点距離と全系の焦点距離の関係を規定している。条件式1の上限を超えると、ガラス材質の第4レンズの屈折力が弱くなり、相対的に第4レンズ以外のプラスチックレンズの屈折力が強くなる。そのため、温度変化時の焦点位置の変動が大きくなり易い。条件式1の下限を超えると、第4レンズの屈折力が相対的に強くなる。そのため、収差補正が難しくなると共に、組み立て誤差による性能バラツキが大きくなる。条件式1を満足することで、レンズ全系としての温度変化に伴う焦点位置の変動を抑えることができる。また、収差補正が容易となり、組み立て誤差による性能バラツキを抑制することができる。
【0020】
条件式2は第2レンズのd線における屈折率を規定している。条件式2を満足することでレンズ系の小型化と良好な収差補正が実現できる。
【0021】
条件式3は全系の焦点距離と最大像高の関係を規定している。条件式3を満足することでレンズの画角を狭くすることができ、遠くの被写体を拡大して撮影することができる。
【0022】
条件式1−1を満足することが望ましい。
0.35 < f4 / f < 0.6 (条件式1‐1)
条件式1−1を満足することで、上記の効果がより顕著となる。
【0023】
fiを第iレンズの焦点距離として、条件式4を満足する。
|f4|<|fi| (条件式4)
【0024】
条件式4は第4レンズの焦点距離とその他のレンズの焦点距離の関係を規定している。条件式4を満足することで、プラスチック材質の各レンズの屈折力が比較的に弱くなる。そのため、温度変化に伴う各レンズの焦点距離変動を抑えることができる。これにより、レンズ全系の焦点位置の変動を抑制することができる。
【0025】
f1を第1レンズの焦点距離として、条件式5を満足する。
0.45 < f1/f < 0.7 (条件式5)
【0026】
条件式5は第1レンズの焦点距離と全系の焦点距離の関係を規定している。条件式5の上限を超えると、第1レンズの屈折力が弱くなり、レンズ系の大型化を招く。条件式5の下限を超えると、第1レンズの屈折力が強くなりすぎるために、特に軸上収差の補正が難しくなる。
【0027】
条件式5−1を満足することが望ましい。
0.5 < f1/f < 0.7 (条件式5−1)
【0028】
TTを光学全長として、条件式6を満足する。
0.95 < TT/f < 1.3 (条件式6)
【0029】
条件式6は光学全長と全系の焦点距離の関係を規定している。条件式6を満足することで、小型でありながら、収差が良好に補正されたレンズ系を実現することができる。
【0030】
本明細書等において「〜から構成され」、「〜からなり」、「〜からなる」という用語が用いられる場合、列挙された構成要素に加えて、実質的に屈折力を有さないレンズ、絞り、フィルタ及びカバーガラス等の、実質的に屈折力を有するレンズ以外の光学要素、及び/又は、レンズフランジ、撮像素子及び振れ補正機構等の機構要素を含み得る。例えば、「Aから構成され」、「Aからなり」、「Aからなる」という用語が用いられる場合、Aに加えて、実質的に屈折力を有するレンズ以外の光学要素、及び/又は、機構要素を含み得る。
【0031】
次に、レンズ系の実施形態に係る実施例のレンズ構成を説明する。まず、レンズ系の各実施例の説明で用いられる記号等の意味を説明する。
【0032】
「Lm」はレンズを示す。ここで、Lに続くmは自然数である。mは、物体側からm番目のレンズであることを示す。各実施例において、Lmは、物体側からm番目のレンズであることを示すために割り当てた記号である。各実施例の説明において、記号Lmが割り当てられたレンズと、他の実施例における同じ記号Lmが割り当てられたレンズとが同じレンズであることを意味するものではない。
【0033】
レンズ系が有する複数の面は、iを自然数として、面番号iで識別される。物体側からみて光学要素の最初の面を第1面とし、以降、光線が光学要素の面を通過する順に面番号をカウントアップする。面番号における「STO」は開口絞りSの開口面を表す。「Di」は、第i番目の面と第i+1番目の面との間の光軸上の間隔を示す。
【0034】
レンズ系は、非球面に形成されたレンズ面を持つレンズを含む場合がある。非球面に形成されたレンズ面の面番号には「*」を付して示す。非球面形状は、「x」をレンズ面の頂点からの光軸方向における距離、「y」を光軸に垂直な方向における光軸からの高さ、「c」をレンズの頂点における近軸曲率、「An」をn次の非球面係数、「κ」を円錐定数(コーニック定数)として、次の式によって定義される。
x=cy
2/(1+(1−(1+κ)c
2y
2)
1/2)+ΣAn×y
n
Σは、nについての和を表す。なお、「x」はサグ量とも呼ばれる。「y」は像高とも呼ばれる。「c」は曲率半径の逆数である。
【0035】
「f」は焦点距離を示す。「Fno」はFナンバーを示す。「ω」は半画角を示す。「Y」は最大像高(IH)を示す。「TT」は無限遠被写体に合焦時の光学全長(最物体側のレンズ面から像面までの距離)を示す。「R」は曲率半径を示す。レンズデータに示す曲率半径において、「INF」は平面であることを示す。「Nd」は屈折率を示す。「Vd」は、アッベ数を示す。屈折率Nd及びアッベ数Vdは、d線(λ=587.6nm)における値である。
【0036】
図1は、第1実施例におけるレンズ系100のレンズ構成を、光学部材F及び像面IMAとともに示す。レンズ系100は、第1レンズL1、開口絞りS、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6から構成される。第1レンズL1、第4レンズL4及び第6レンズL6は、正レンズである。第2レンズL2、第3レンズL3及び第5レンズL5は、負レンズである。光学部材Fは、レンズ系100と像面IMAとの間に設けられる。光学部材Fは、例えば、光学フィルタやカバープレート等である。像面IMAには、レンズ系100及び光学部材Fを通過した光が入射する。
【0037】
表1は、レンズ系100が有するレンズのレンズデータを示す。表1において、Di、Nd及びVdは面番号iに対応づけて示されている。
【0039】
表2から表4に、非球面形状を有する面の面番号と、円錐定数κと、非球面係数Anとを示す。円錐定数κ及び非球面係数Anの値について、「E−i」は、10を底とする指数表現、すなわち「10
−i」を示す。ただし、iは整数とする。
【0041】
表5は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系100の全系の焦点距離f、Fno、半画角ω、最大像高Y、及び光学全長TTを示す。
【0043】
レンズ系100は、物体側から順に、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第1レンズL1、像側面が像側に凹面を向けた負の第2レンズL2、像側面が像側に凹面を向けた負の第3レンズL3、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第4レンズL4、負の第5レンズL5、像側面が像側に凹面を向けた正の第6レンズL6を備える。第4レンズL4の材質が硝子であり、第4レンズL4以外のレンズの材質がプラスチックである。すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5、及び第6レンズL6の材質はプラスチックである。
【0044】
図2は、無限遠被写体に合焦した状態でのレンズ系100の球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。球面収差において、一点鎖線はC線(656.27nm)、実線はd線(587.56nm)、破線はg線(435.84nm)の値を示す。非点収差において、実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において、実線はd線の値を示す。各収差図から、実施例1のレンズ系100は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0045】
図3は、第2実施例におけるレンズ系200のレンズ構成を、光学部材F及び像面IMAとともに示す。レンズ系200は、第1レンズL1、開口絞りS、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6から構成される。第1レンズL1、第4レンズL4及び第6レンズL6は、正レンズである。第2レンズL2、第3レンズL3及び第5レンズL5は、負レンズである。光学部材Fは、レンズ系200と像面IMAとの間に設けられる。光学部材Fは、例えば、光学フィルタやカバープレート等である。像面IMAには、レンズ系200及び光学部材Fを通過した光が入射する。
【0046】
表6は、レンズ系200が有するレンズのレンズデータを示す。表6において、Di、Nd及びVdは面番号iに対応づけて示されている。
【0048】
表7から表9に、非球面形状を有する面の面番号と、円錐定数κと、非球面係数Anとを示す。円錐定数κ及び非球面係数Anの値について、「E−i」は、10を底とする指数表現、すなわち「10
−i」を示す。ただし、iは整数とする。
【0050】
表10は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系200の全系の焦点距離f、Fno、半画角ω、最大像高Y、及び光学全長TTを示す。
【0052】
レンズ系200は、物体側から順に、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第1レンズL1、像側面が像側に凹面を向けた負の第2レンズL2、像側面が像側に凹面を向けた負の第3レンズL3、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第4レンズL4、負の第5レンズL5、像側面が像側に凹面を向けた正の第6レンズL6から構成される。第4レンズの材質が硝子であり、その他のレンズの材質はプラスチックである。第4レンズL4の材質が硝子であり、第4レンズL4以外のレンズの材質がプラスチックである。すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5、及び第6レンズL6の材質はプラスチックである。
【0053】
図4は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系200の球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示す。球面収差において一点鎖線はC線(656.27nm)、実線はd線(587.56nm)、破線はg線(435.84nm)の値を示す。非点収差において実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、レンズ系200は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0054】
図5は、第3実施例におけるレンズ系300のレンズ構成を、フィルタF及び撮像素子IMAとともに示す。レンズ系300は、第1レンズL1、開口絞りS、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6から構成される。第1レンズL1、第4レンズL4及び第6レンズL6は、正レンズである。第2レンズL2、第3レンズL3及び第5レンズL5は、負レンズである。光学部材Fは、レンズ系300と像面IMAとの間に設けられる。光学部材Fは、例えば、光学フィルタやカバープレート等である。像面IMAには、レンズ系300及び光学部材Fを通過した光が入射する。
【0055】
表11は、レンズ系300が有するレンズのレンズデータを示す。表11において、Di、Nd及びVdは面番号iに対応づけて示されている。
【0057】
表12から表14に、非球面形状を有する面の面番号と、円錐定数κと、非球面係数Anとを示す。円錐定数κ及び非球面係数Anの値について、「E−i」は、10を底とする指数表現、すなわち「10
−i」を示す。ただし、iは整数とする。
【0059】
表15は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系300の全系の焦点距離f、Fno、半画角ω、最大像高Y、及び光学全長TTを示す。
【0061】
レンズ系300は、物体側から順に、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第1レンズL1、像側面が像側に凹面を向けた負の第2レンズL2、像側面が像側に凹面を向けた負の第3レンズL3、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第4レンズL4、負の第5レンズL5、像側面が像側に凹面を向けた正の第6レンズL6から構成される。第4レンズL4の材質が硝子であり、第4レンズL4以外のレンズの材質がプラスチックである。すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5、及び第6レンズL6の材質はプラスチックである。
【0062】
図6は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系300の球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示す。球面収差において一点鎖線はC線(656.27nm)、実線はd線(587.56nm)、破線はg線(435.84nm)の値を示す。非点収差において実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、レンズ系300は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0063】
図7は、第4実施例におけるレンズ系400のレンズ構成を、フィルタF及び撮像素子IMAとともに示す。レンズ系400は、第1レンズL1、開口絞りS、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6から構成される。第1レンズL1及び第4レンズL4は、正レンズである。第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5及び第6レンズL6は、負レンズである。光学部材Fは、レンズ系400と像面IMAとの間に設けられる。光学部材Fは、例えば、光学フィルタやカバープレート等である。像面IMAには、レンズ系400及び光学部材Fを通過した光が入射する。
【0064】
表16は、レンズ系400が有するレンズのレンズデータを示す。表16において、Di、Nd及びVdは面番号iに対応づけて示されている。
【0066】
表17から表19は、非球面形状を有する面の面番号と、円錐定数κと、非球面係数Anとを示す。円錐定数κ及び非球面係数Anの値について、「E−i」は、10を底とする指数表現、すなわち「10
−i」を示す。ただし、iは整数とする。
【0068】
表20は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系400の全系の焦点距離f、Fno、半画角ω、最大像高Y、及び光学全長TTを示す。
【0070】
レンズ系400は、物体側から順に、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第1レンズL1、像側面が像側に凹面を向けた負の第2レンズL2、像側面が像側に凹面を向けた負の第3レンズL3、物体側面が物体側に凸面を向けた正の第4レンズL4、負の第5レンズL5、像側面が像側に凹面を向けた負の第6レンズL6から構成される。第4レンズの材質が硝子であり、第4レンズL4以外のレンズの材質がプラスチックである。すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5、及び第6レンズL6の材質はプラスチックである。
【0071】
図8は、無限遠被写体に合焦した状態のレンズ系400の球面収差、非点収差、及び歪曲収差を示す。球面収差において一点鎖線はC線(656.27nm)、実線はd線(587.56nm)、破線はg線(435.84nm)の値を示す。非点収差において実線はd線のサジタル像面、破線はd線のメリディオナル像面の値を示す。歪曲収差において実線はd線の値を示す。各収差図から、レンズ系400は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0072】
表21は、第1実施例から第4実施例における各条件式に係る数値を示す。
【0074】
表22は、各条件式に関する焦点距離f及びfi(iは1から6までの自然数)を示す。
【0076】
表23は、各条件式に関する屈折率Nd4、最大像高IH、及び光学全長TTを示す。
【表23】
【0077】
本実施形態に係るレンズ系によれば、比較的に高い解像力を有するレンズ系を提供することができる。また、温度変化に伴う焦点位置の変動を抑制したレンズ系を提供することができる。また、比較的に小型、安価で、狭画角のレンズ系を提供することができる。
【0078】
本実施形態に係るレンズ系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置の撮像用のレンズ系に適用できる。本実施形態に係るレンズ系は、フォーカス機構を有しないレンズ系に適用できる。本実施形態に係るレンズ系は、フォーカス機構を有するレンズ系にも適用できる。本実施形態に係るレンズ系は、ズーム機構を有しないレンズ系に適用できる。本実施形態に係るレンズ系は、ズーム機構を有するレンズ系にも適用できる。本実施形態に係るレンズ系は、レンズ非交換式の撮像装置が備える撮像レンズに適用できる。本実施形態に係るレンズ系は、一眼レフレックスカメラ等のレンズ交換式カメラの交換レンズに適用できる。
【0079】
次に、本実施形態に係るレンズ系を備えるシステムの一例としての移動体システムを説明する。
【0080】
図9は、無人航空機(UAV)40及びコントローラ50を備える移動体システム10の一例を概略的に示す。UAV40は、UAV本体1101、ジンバル1110、複数の撮像装置1230、及び撮像装置1220を備える。撮像装置1220は、レンズ装置1160及び撮像部1140を備える。レンズ装置1160は、上述したレンズ系を備える。UAV40は、上述したレンズ系を有する撮像装置を備えて移動する移動体の一例である。移動体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。
【0081】
UAV本体1101は、複数の回転翼を備える。UAV本体1101は、複数の回転翼の回転を制御することでUAV40を飛行させる。UAV本体1101は、例えば、4つの回転翼を用いてUAV40を飛行させる。回転翼の数は、4つには限定されない。UAV40は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
【0082】
撮像装置1230は、所望の撮像範囲に含まれる被写体を撮像する撮像用のカメラである。複数の撮像装置1230は、UAV40の飛行を制御するためにUAV40の周囲を撮像するセンシング用のカメラである。撮像装置1230は、UAV本体1101に固定されていてよい。
【0083】
2つの撮像装置1230が、UAV40の機首である正面に設けられてよい。さらに他の2つの撮像装置1230が、UAV40の底面に設けられてよい。正面側の2つの撮像装置1230はペアとなり、いわゆるステレオカメラとして機能してよい。底面側の2つの撮像装置1230もペアとなり、ステレオカメラとして機能してよい。複数の撮像装置1230により撮像された画像に基づいて、UAV40の周囲の3次元空間データが生成されてよい。複数の撮像装置1230により撮像された被写体までの距離は、複数の撮像装置1230によるステレオカメラにより特定され得る。
【0084】
UAV40が備える撮像装置1230の数は4つには限定されない。UAV40は、少なくとも1つの撮像装置1230を備えていればよい。UAV40は、UAV40の機首、機尾、側面、底面、及び天井面のそれぞれに少なくとも1つの撮像装置1230を備えてもよい。撮像装置1230は、単焦点レンズ又は魚眼レンズを有してもよい。UAV40に係る説明において、複数の撮像装置1230を、単に撮像装置1230と総称する場合がある。
【0085】
コントローラ50は、表示部54と操作部52を備える。操作部52は、UAV40の姿勢を制御するための入力操作をユーザから受け付ける。コントローラ50は、操作部52が受け付けたユーザの操作に基づいて、UAV40を制御するための信号を送信する。
【0086】
コントローラ50は、撮像装置1230及び撮像装置1220の少なくとも一方が撮像した画像を受信する。表示部54は、コントローラ50が受信した画像を表示する。表示部54はタッチ式のパネルであってよい。コントローラ50は、表示部54を通じて、ユーザから入力操作を受け付けてよい。表示部54は、撮像装置1220に撮像させるべき被写体の位置をユーザが指定するユーザ操作等を受け付けてよい。
【0087】
撮像部1140は、レンズ装置1160により結像された光学像の画像データを生成して記録する。レンズ装置1160は、撮像部1140と一体的に設けられてよい。レンズ装置1160は、いわゆる交換レンズであってよい。レンズ装置1160は、撮像部1140に対して着脱可能に設けられてよい。
【0088】
ジンバル1110は、撮像装置1220を可動に支持する支持機構を有する。撮像装置1220は、ジンバル1110を介してUAV本体1101に取り付けられる。ジンバル1110は、撮像装置1220を、ピッチ軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル1110は、撮像装置1220を、ロール軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル1110は、撮像装置1220を、ヨー軸を中心に回転可能に支持する。ジンバル1110は、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の少なくとも1つの軸を中心に、撮像装置1220を回転可能に支持してよい。ジンバル1110は、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸のそれぞれを中心に、撮像装置1220を回転可能に支持してよい。ジンバル1110は、撮像部1140を保持してもよい。ジンバル1110は、レンズ装置1160を保持してもよい。ジンバル1110は、ヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸の少なくとも1つを中心に撮像部1140及びレンズ装置1160を回転させることで、撮像装置1220の撮像方向を変更してよい。
【0089】
図10は、UAV40の機能ブロックの一例を示す。UAV40は、インタフェース1102、制御部1104、メモリ1106、ジンバル1110、撮像部1140、及びレンズ装置1160を備える。
【0090】
インタフェース1102は、コントローラ50と通信する。インタフェース1102は、コントローラ50から各種の命令を受信する。制御部1104は、コントローラ50から受信した命令に従って、UAV40の飛行を制御する。制御部1104は、ジンバル1110、撮像部1140、及びレンズ装置1160を制御する。制御部1104は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。メモリ1106は、制御部1104がジンバル1110、撮像部1140、及びレンズ装置1160を制御するのに必要なプログラムなどを格納する。
【0091】
メモリ1106は、コンピュータが可読な記録媒体でよい。メモリ1106は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ1106は、UAV40の筐体に設けられてよい。UAV40の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0092】
ジンバル1110は、制御部1112、ドライバ1114、ドライバ1116、ドライバ1118、駆動部1124、駆動部1126、駆動部1128、及び支持機構1130を有する。駆動部1124、駆動部1126及び駆動部1128は、モータであってよい。
【0093】
支持機構1130は、撮像装置1220を支持する。支持機構1130は、撮像装置1220の撮像方向を可動に支持する。支持機構1130は、撮像部1140及びレンズ装置1160をヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸を中心に回転可能に支持する。支持機構1130は、回転機構1134、回転機構1136、及び回転機構1138を含む。回転機構1134は、駆動部1124を用いてヨー軸を中心に撮像部1140及びレンズ装置1160を回転させる。回転機構1136は、駆動部1126を用いてピッチ軸を中心に撮像部1140及びレンズ装置1160を回転させる。回転機構1138は、駆動部1128を用いてロール軸を中心に撮像部1140及びレンズ装置1160を回転させる。
【0094】
制御部1112は、制御部1104からのジンバル1110の動作命令に応じて、ドライバ1114、ドライバ1116、及びドライバ1118に対して、それぞれの回転角度を示す動作命令を出力する。ドライバ1114、ドライバ1116、及びドライバ1118は、回転角度を示す動作命令に従って駆動部1124、駆動部1126、及び駆動部1128を駆動させる。回転機構1134、回転機構1136、及び回転機構1138は、駆動部1124、駆動部1126、及び駆動部1128によりそれぞれ駆動されて回転し、撮像部1140及びレンズ装置1160の姿勢を変更する。
【0095】
撮像部1140は、レンズ系1168を通過した光により撮像する。撮像部1140は、制御部1222、撮像素子1221及びメモリ1223を備える。制御部1222は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部1222は、制御部1104からの撮像部1140及びレンズ装置1160に対する動作命令に応じて、撮像部1140及びレンズ装置1160を制御する。制御部1222は、コントローラ50から受信した信号に基づいて、レンズ装置1160に対する制御命令をレンズ装置1160に出力する。制御命令は、レンズ系1168を振動させる命令や、レンズ系1168の温度を検出する命令であってよい。
【0096】
メモリ1223は、コンピュータが可読な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ1223は、撮像部1140の筐体の内部に設けられてよい。撮像部1140の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0097】
撮像素子1221は、撮像部1140の筐体の内部に保持され、レンズ装置1160を介して結像された光学像の画像データを生成して、制御部1222に出力する。制御部1222は、撮像素子1221から出力された画像データをメモリ1223に格納する。制御部1222は、画像データを、制御部1104を介してメモリ1106に出力して格納してもよい。
【0098】
レンズ装置1160は、制御部1162、メモリ1163、駆動機構1161、及びレンズ系1168を備える。レンズ系1168として、上記の実施形態に係るレンズ系を適用できる。
【0099】
制御部1162は、制御部1222からの制御命令に従って、レンズ系1168を振動させてよい。駆動機構1161は、レンズ系1168を振動させる。駆動機構1161は、例えばアクチュエータなどを備える。レンズ装置1160のレンズ系1168により結像された像は、撮像部1140により撮像される。
【0100】
レンズ装置1160は、撮像部1140と一体的に設けられてよい。レンズ装置1160は、いわゆる交換レンズであってよい。レンズ装置1160は、撮像部1140に対して着脱可能に設けられてよい。
【0101】
撮像装置1230は、制御部1232、制御部1234、撮像素子1231、メモリ1233、及びレンズ1235を備える。制御部1232は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部1232は、制御部1104からの撮像素子1231の動作命令に応じて、撮像素子1231を制御する。
【0102】
制御部1234は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御部1234は、レンズ1235に対する動作命令に応じて、レンズ1235の焦点を制御してよい。制御部1234は、レンズ1235に対する動作命令に応じて、レンズ1235が有する開口絞りを制御してよい。
【0103】
メモリ1233は、コンピュータが可読な記録媒体であってよい。メモリ1233は、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。
【0104】
撮像素子1231は、レンズ1235を介して結像された光学像の画像データを生成して、制御部1232に出力する。制御部1232は、撮像素子1231から出力された画像データをメモリ1233に格納する。
【0105】
本実施形態では、UAV40が、制御部1104、制御部1112、制御部1222、制御部1232、制御部1234、及び制御部1162を備える。しかし、制御部1104、制御部1112、制御部1222、制御部1232、制御部1234、及び制御部1162のうちの複数で実行される処理をいずれか1つの制御部が実行してよい。制御部1104、制御部1112、制御部1222、制御部1232、制御部1234、及び制御部1162で実行される処理を1つの制御部で実行してもよい。本実施形態では、UAV40が、メモリ1106、メモリ1223、及びメモリ1233を備える。メモリ1106、メモリ1223、及びメモリ1233のうちの少なくとも1つに記憶される情報は、メモリ1106、メモリ1223、及びメモリ1233のうちの他の1つ又は複数のメモリに記憶してよい。
【0106】
撮像装置1220が、上記の実施形態に係るレンズ系を有するレンズ装置1160を備えることで、温度変化により生じるぼけを抑制した画像を得ることができる。また、遠くの被写体を拡大しても解像力が高い画像を得ることができる。また、カメラユニット3013が小型かつ安価となる。
【0107】
次に、上記の実施形態に係るレンズ系を備えるシステムの一例としてのスタビライザを説明する。
【0108】
図11は、スタビライザ3000の一例を示す外観斜視図である。スタビライザ3000は、移動体の他の一例である。例えば、スタビライザ3000が備えるカメラユニット3013が、撮像装置1220と同様の構成の撮像装置を備えてよい。カメラユニット3013が、レンズ装置1160と同様の構成のレンズ装置を備えてよい。
【0109】
スタビライザ3000は、カメラユニット3013、ジンバル3020、及び持ち手部3003を備える。ジンバル3020は、カメラユニット3013を回転可能に支持する。ジンバル3020は、パン軸3009、ロール軸3010、及びチルト軸3011を有する。ジンバル3020は、パン軸3009、ロール軸3010、及びチルト軸3011を中心に、カメラユニット3013を回転可能に支持する。ジンバル3020は、支持機構の一例である。
【0110】
カメラユニット3013は、撮像装置の一例である。カメラユニット3013は、メモリを挿入するためのスロット3014を有する。ジンバル3020は、ホルダ3007を介して持ち手部3003に固定される。
【0111】
持ち手部3003は、ジンバル3020、カメラユニット3013を操作するための各種ボタンを有する。持ち手部3003は、シャッターボタン3004、録画ボタン3005、及び操作ボタン3006を含む。シャッターボタン3004が押下されることで、カメラユニット3013により静止画を記録することができる。録画ボタン3005が押下されることで、カメラユニット3013により動画を記録することができる。
【0112】
デバイスホルダ3001が持ち手部3003に固定されている。デバイスホルダ3001は、スマートフォンなどのモバイルデバイス3002を保持する。モバイルデバイス3002は、WiFiなどの無線ネットワークを介してスタビライザ3000と通信可能に接続される。これにより、カメラユニット3013により撮像された画像をモバイルデバイス3002の画面に表示させることができる。
【0113】
スタビライザ3000においても、カメラユニット3013が、上記の実施形態に係るレンズ系を備えることで、温度変化により生じるぼけを抑制した画像を得ることができる。また、遠くの被写体を拡大しても解像力が高い画像を得ることができる。また、カメラユニット3013が小型かつ安価となる。
【0114】
以上、移動体の一例としてUAV40及びスタビライザ3000を取り上げて説明した。撮像装置1220と同様の構成を有する撮像装置は、UAV40及びスタビライザ3000以外の移動体に取り付けられてよい。
【0115】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】レンズ系100は、物体側より順に、物体側が凸面の正の第1レンズL1、像側が凹面の負の第2レンズL2、像側が凹面の負の第3レンズL3、物体側が凸面の正の第4レンズL4、負の第5レンズL5、像側が凹面の第6レンズL6を備え、第4レンズL4の材質が硝子であり、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第5レンズL5、及び第6レンズL6の材質がプラスチックであり、fを全系の焦点距離、f4を第4レンズL4の焦点距離、Nd4を第4レンズL4のd線における屈折率、IHを最大像高として、条件式0.3<f4/f<0.7、Nd4>1.7、f/IH>2.5を満足する。