特許第6720461号(P6720461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720461
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】部品規制構造部
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   B65G47/14 101B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-257869(P2016-257869)
(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公開番号】特開2018-95472(P2018-95472A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭45−033131(JP,Y1)
【文献】 特開2001−072233(JP,A)
【文献】 実開昭59−046642(JP,U)
【文献】 特開2006−240791(JP,A)
【文献】 特開昭48−078657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される部品は、六角形の本体部とされた小径部と、この小径部に一体化されている円形のフランジからなる大径部を有するものであり、
ほぼ鉛直方向に起立している壁部材に、搬送板をほぼ水平方向の姿勢で固定し、搬送板の平坦な表面で形成された部品搬送路を部品が滑動するようにした形式の構造部において、
正常な姿勢の部品の通過を許容するとともに、異常な姿勢の正常部品や異常な形状の混入部品の通過を禁止する通過形状部が規制部材に形成され、
通過形状部は、壁部材側形状部と規制部材側形状部の複合によって形成され、
規制部材は、壁部材と搬送板の両方または壁部材と搬送板のいずれかに固定され、
壁部材に肉厚部を設けて大径部が通過するガイド溝を形成し、
肉厚部の表面に第1ガイド面が形成され、
ガイド溝の奥の面に第2ガイド面が形成され、
第1ガイド面に連続した傾斜面によって第1ガイド面を壁部材側へ偏倚させ、
第2ガイド面に連続した傾斜面によって第2ガイド面を壁部材側へ偏倚させ、
部品の搬送方向で見て、第2ガイド面に連続した傾斜面は、第1ガイド面に連続した傾斜面よりも後流側に配置され、
規制部材は、第2ガイド面に連続した傾斜面よりも後流側に配置し、
規制部材の搬送方向上流側では、部品は、小径部が第1ガイド面に接触するとともに、大径部は第2ガイド面から離れて移送され、部品が規制部材に進入するときには、第2ガイド面に連続する傾斜面の後流側のガイド溝の深さを選定して、部品は、小径部が第1ガイド面から離れ、大径部が第2ガイド面に接触するように構成したことを特徴とする部品規制構造部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送板に形成された部品搬送路を部品が滑動する形式の構造において、異常姿勢や他の混入部品を排除する、部品規制構造部に関している。
【背景技術】
【0002】
特開2001−072233号公報や特開2006−199495号公報には、部品搬送路を移動してきた部品が異常姿勢になっているときに、通過規制部材において部品の通過を禁止することが記載されている。そして、この通過規制部材には部品の通過空間が形成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−072233号公報
【特許文献2】特開2006−199495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような通過規制部材では、部品の形状に適応した通過空間が通過規制部材に形成してあり、正常な姿勢の部品の通過は許容され、異常な姿勢や形状の部品の通過を禁止する。このように単一の部材である通過規制部材に通過空間全体を形成するものであると、通過規制部材の外形寸法が大きくなり、部品搬送路の幅寸法の縮小が困難となり、部品規制構造部分の小型化が行いにくい、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、部品の通過を許容する規制形状部を、壁部材側と規制部材側の形状部の複合によって形成して、部品全体に適応した通過形状部を構成し、規制構造部の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
搬送される部品は、六角形の本体部とされた小径部と、この小径部に一体化されている円形のフランジからなる大径部を有するものであり、
ほぼ鉛直方向に起立している壁部材に、搬送板をほぼ水平方向の姿勢で固定し、搬送板の平坦な表面で形成された部品搬送路を部品が滑動するようにした形式の構造部において、
正常な姿勢の部品の通過を許容するとともに、異常な姿勢の正常部品や異常な形状の混入部品の通過を禁止する通過形状部が規制部材に形成され、
通過形状部は、壁部材側形状部と規制部材側形状部の複合によって形成され、
規制部材は、壁部材と搬送板の両方または壁部材と搬送板のいずれかに固定され、
壁部材に肉厚部を設けて大径部が通過するガイド溝を形成し、
肉厚部の表面に第1ガイド面が形成され、
ガイド溝の奥の面に第2ガイド面が形成され、
第1ガイド面に連続した傾斜面によって第1ガイド面を壁部材側へ偏倚させ、
第2ガイド面に連続した傾斜面によって第2ガイド面を壁部材側へ偏倚させ、
部品の搬送方向で見て、第2ガイド面に連続した傾斜面は、第1ガイド面に連続した傾斜面よりも後流側に配置され、
規制部材は、第2ガイド面に連続した傾斜面よりも後流側に配置し、
規制部材の搬送方向上流側では、部品は、小径部が第1ガイド面に接触するとともに、大径部は第2ガイド面から離れて移送され、部品が規制部材に進入するときには、第2ガイド面に連続する傾斜面の後流側のガイド溝の深さを選定して、部品は、小径部が第1ガイド面から離れ、大径部が第2ガイド面に接触するように構成したことを特徴とする部品規制構造部である。
【発明の効果】
【0007】
正常な姿勢の部品の通過を許容するとともに、異常な姿勢の正常部品や、異常な形状の混入部品の通過を禁止する通過形状部が規制部材に形成され、この通過形状部は、壁部材側形状部と規制部材の規制部材側形状部の複合によって形成されている。
【0008】
通過形状部は、壁部材側形状部と規制部材側形状部の複合によって形成されているので、壁部材側形状部を部品の外形の一部、例えば、部品形状の半分に適応する状態で形成し、規制部材側形状部を部品の外形の一部、例えば、部品形状の半分に適応する状態で形成し、両形状部を複合、すなわち合体することによって、部品の外形全体に適応する通過形状部が形成される。したがって、部品搬送路の幅方向で見て、通過形状部の形成に要する部材、すなわち壁部材側部材と規制部材との合体寸法が縮小され、規制構造部の小型化が可能となる。
【0009】
1つの規制部材に部品全体に適応した通過形状部、すなわち通過空間を形成したものであると、部品の幅方向で見た規制部材自体の寸法が大きくなる。そして、このような寸法の大きな規制用部品が部品搬送路を横切るような姿勢で配置されるので、規制構造部全体が大型化されることになる。本発明では、このような寸法的な不具合が解消される。
【0010】
部品の移動方向で見て、通過形状部の上流側においては、異常振動等の何らかの原因で部品が部品搬送路から跳ね上がったりしないようにするために、ガイド構造が壁部材に形成してある。このようなガイド構造の断面形状をそのまま後流側へ延長し、所要の形状変更を施して、壁部材側形状部を形成することができる。したがって、通過形状部の片側部分が上記ガイド構造の延長構造によって形成することができ、通過形状部の形成が簡素化される。
【0011】
規制部材は、壁部材と搬送板の両方または壁部材と搬送板のいずれかに固定されている。したがって、規制部材の規制部材側形状部を壁部材側形状部に対向させて位置づけることが確実に行えて、通過形状部の形成が正確になされる。そして、規制部材は、壁部材と搬送板の両方または壁部材と搬送板のいずれかに固定されているので、規制部材の取り付け剛性を高く維持することができ、規制構造部の剛性向上にとって好適である。
【0012】
さらに、規制部材側形状部は、部品の外形の一部に適応した形状であるから、部品外形全体に適応した通過形状部を製作する場合に比して、規制部材の製作が簡単になり、製作工数の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】規制構造部の各部平面図と要部の断面図である。
図2】部品の外形図である。
図3】パーツフィーダの外形図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の部品規制構造部を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1図3は、本発明の実施例を示す。
【0016】
最初に、部品について説明する。
【0017】
本発明の部品規制構造部で処理される部品は、搬送板の平坦な表面で形成された部品搬送路を滑動するようなものであり、例えば、溶着用突起を備えたプロジェクションナット、フランジ付きナットなど種々なものがある。この実施例は、フランジ付きのドームナットである。
【0018】
図2図1(B1)などに示すように、鉄製のドームナット1は、六角形の本体部2の下側に円形のフランジ3が一体に形成され、本体部2の上側に半球形のドーム部4が一体に形成されている。内部には、図示していないが、雌ねじが形成してある。
【0019】
つぎに、部品搬送路について説明する。
【0020】
部品搬送路は、符号100で示されている部品規制構造部の一部を構成している。部品搬送路5としては、部品移送機器の色々な箇所に採用されている。この実施例では、図3に示す振動式パーツフィーダ6の部品搬送路5である。円形のボウル7が起振部8によって加振され、螺旋形の細長い部品搬送路5上をドームナット1が移送される。ドームナット1は、部品搬送路5のような送出部材11を経て、目的箇所へ到達するようになっている。部品搬送路5は、送出部材11の箇所へ連続的に伸びている。
【0021】
ボウル7の壁を構成する壁部材9が、ほぼ鉛直方向に起立した状態で配置してある。壁部材9にほぼ水平方向の姿勢とされた搬送板10が、溶接などで固定してある。部品搬送路5は、搬送板10の平坦な表面で形成されている。部品搬送路5には、ドームナット1を壁部材9側に寄せ付けて搬送するために、搬送板9側が低くなる傾斜が付与してあり、その傾斜角度は図中、θで示されている。
【0022】
つぎに、ガイド構造について説明する。
【0023】
ドームナット1が異常振動等の何らかの原因で部品搬送路5から跳ね上がったりしないようにするために、ガイド構造が採用されている。このガイド構造は、図1(B1)に示すように、フランジ3が通過し、その深さ方向が部品搬送路5の幅方向とされている、ガイド溝13である。このような溝構造を形成するために、壁部材9に肉厚部14が形成され、その下部にガイド溝13が形成してある。
【0024】
肉厚部14の表面が第1ガイド面15とされ、ガイド溝13の奥の面が第2ガイド面16とされている。B1−B1断面の箇所においては、本体部2が第1ガイド面15を擦りながら移動し、フランジ3の外周面と第2ガイド面16の間には空隙がある。なお、B1−B1断面が(B1)図であり、B2−B2断面が(B2)図である。Cについても同様である。
【0025】
このように、肉厚部14にガイド溝13が形成され、第1ガイド面15を本体部2が滑動する形状とされている。第1ガイド面15とそれに連続しているガイド溝13および第2ガイド面16によって、壁部材側形状部17が形成されている。このような形状によって、フランジ3、本体部2、ドーム部4の左側が壁部材側形状部17に部分的に適応して通過できるようになっている。
【0026】
つぎに、規制部材について説明する。
【0027】
規制部材18の内側には、ドーム部4に適応した湾曲部19が形成され、その下側に連続させて本体部2に対面する内壁面20が形成され、さらにその下側にフランジ3が通過するガイド溝21が形成されている。
【0028】
このように、規制部材18の内側に、湾曲部19、内壁面20、ガイド溝21が形成され、これらの形状部をドームナット1が通過する形状によって、規制部材側形状部22が形成されている。このような形状によって、フランジ3、本体部2、ドーム部4の右側が規制部材側形状部22に部分的に適応して通過できるようになっている。
【0029】
規制部材18は、壁部材9と搬送板10の両方に対して溶接等で固定されているか、または壁部材9と搬送板10のいずれかに溶接等で固定されている。本実施例では、図1(C1)に示すように、壁部材9と搬送板10の両方に溶接してある。
【0030】
規制部材18は、図1(C1)で示す箇所では、ハッチングを付した断面状態として示されているが、図1(B1)で示す箇所では、離れた箇所に位置しているので、外形線で示されている。
【0031】
つぎに、通過形状部について説明する。
【0032】
通過形状部12は、ドームナット1の外形に適応した通過空間である。上記壁部材側形状部17と規制部材側形状部22が複合して、図1(C1)に示すように、ドームナット1全体に適応した通過形状部12が構成されている。
【0033】
ドームナット1の外形に適応するとは、寸法や形状が正常である正常部品、すなわち正常ドームナット1が正常な姿勢で移送されてきたとき、該ナットの通過を許容し、正常ドームナット1のフランジ3が斜めになっていたり縦向きに起立していたりした異常姿勢で移送されてきたとき、該ナットの通過を禁止し、さらに、異形の混入部品の通過を禁止することを意味している。異形の混入部品とは、過大な寸法のドームナットや頭部付きボルト等であり、通過形状部12を通過できない外形の部品を意味している。
【0034】
図示の通過形状部12は、ドームナット1の外形に適応したものであるが、部品が他の形状に換わった場合には、上記壁部材側形状部17や規制部材側形状部22の形状は、その部品の形状によって種々変形される。
【0035】
つぎに、偏倚構造について説明する。
【0036】
第1ガイド面15は、ボウル7の円弧形状と同じ円弧形状になっており、規制部材18の手前で連続した傾斜面24に連なっている。この傾斜面24に連続した状態で第1ガイド面15が搬送方向に伸びている。このような傾斜面24を介して第1ガイド面15は、図1(D)に示すように、壁部材9側、すなわちボウル7の中心側へ偏倚している。
【0037】
一方、ガイド溝13の奥にある第2ガイド面16は、平面的に見て、傾斜面24に連続または傾斜面24のわずか搬送方向側から、傾斜面25に連なっている。この傾斜面25に連続した状態で第2ガイド面16が搬送方向に伸びている。このような傾斜面25を介して第2ガイド面16は、図1(D)に示すように、壁部材9側、すなわちボウル7の中心側へ偏倚している。
【0038】
そして、傾斜面25の搬送方向後流側においては、フランジ3の外周面が第2ガイド面16を擦りながら移送されるとともに、図1(C1)、(C2)に示すように、本体部2と第1ガイド面15の間に空隙が存在している。
【0039】
つぎに、ドームナットの移送挙動について説明する。
【0040】
規制部材18から搬送方向上流側に離隔した箇所、すなわち図1(A)のB1−B1断面箇所付近においては、ドームナット1は傾斜角度θによって、その本体部2が第1ガイド面15に接触し、フランジ3の外周面と第2ガイド面16の間には隙間が存在する状態で移送される。その後、本体部2が傾斜面24に差し掛かり、ドームナット1の移送方向が壁部材9側へ変向される。さらに移送されて、本体部2が傾斜面24の後流側の第1ガイド面15に対面する位置に移動してくると、今度は、フランジ3の外周面が第2ガイド面16に接触し、本体部2が第1ガイド面15から離れた状態で移送される。
【0041】
上述のように、ドームナット1が傾斜面24、25を通過すると、フランジ3の外周面が第2ガイド面16を擦り、本体部2が第1ガイド面15から離れるようにするために、傾斜面25の後流側のガイド溝13の深さが選定してある。
【0042】
上記の移送挙動によって、ドームナット1の中心部は移動軌跡線26に示す状態になる。つまり、最初の段階では、ボウル7の円弧形状に沿った移動軌跡であり、それに連続して傾斜面24と傾斜面25の一部に沿った斜め方向の移動軌跡に変わり、その後、送出部材11に沿ったボウル7の中心側に偏倚した移動軌跡となる。
【0043】
傾斜面25の後流側、すなわち規制部材18に入る直前の段階で、傾斜角度θによって、ドームナット1のフランジ3が第2ガイド面16に接触している。このため、ドームナット1の部品搬送路5の幅方向の位置決めが確定した状態で規制部材18に達する。
【0044】
このときに、ドームナット1の姿勢が図1(C1)に示すように正常であれば、そのまま規制部材18の通過形状部12を通過する。もし、ドームナット1の姿勢が何らかの原因でフランジ3が傾斜したり起立したりする場合には、通過形状部12を通過することが禁止され、異常姿勢の送出が回避される。また、ドームナット1とは異なった異形の混入部品が搬送されてきた場合も、通過形状部12の通過が禁止される。
【0045】
異常姿勢や混入部品を排除するために、図1(A)に符号27で示すように、規制部材18の端面を排除傾斜面とすることにより、そこに突き当たった部品を排除傾斜面27に沿って部品搬送路5から転落させることができる。
【0046】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0047】
正常な姿勢のドームナット1の通過を許容するとともに、異常な姿勢の正常ドームナット1や、異常な形状の混入部品の通過を禁止する通過形状部12が規制部材18に形成され、この通過形状部12は、壁部材側形状部17と規制部材18の規制部材側形状部22の複合によって形成されている。
【0048】
通過形状部12は、壁部材側形状部17と規制部材18の規制部材側形状部22の複合によって形成されているので、壁部材側形状部17をドームナット1の外形の一部、例えば、ドームナット形状の半分に適応する状態で形成し、規制部材側形状部22をドームナット1の外形の一部、例えば、ドームナット形状の半分に適応する状態で形成し、両形状部を複合、すなわち合体することによって、ドームナット1の外形全体に適応する通過形状部12が形成される。したがって、部品搬送路5の幅方向で見て、通過形状部12の形成に要する部材、すなわち壁部材側部材と規制部材との合体寸法が縮小され、規制構造部100の小型化が可能となる。
【0049】
1つの規制部材18にドームナット全体に適応した通過形状部12、すなわち通過空間を形成したものであると、ドームナットの幅方向で見た規制部材18自体の寸法が大きくなる。そして、このような寸法の大きな規制用部品が部品搬送路5を横切るような姿勢で配置されるので、規制構造部100全体が大型化されることになる。本願発明では、このような寸法的な不具合が解消される。
【0050】
ドームナット1の移動方向で見て、通過形状部12の上流側においては、異常振動等の何らかの原因でドームナット1が部品搬送路5から跳ね上がったりしないようにするために、ガイド構造が壁部材9に形成してある。このようなガイド構造の断面形状をそのまま延長し、所要の形状変更を施して、壁部材側形状部17を形成することができる。したがって、通過形状部12の片側部分が上記ガイド構造の延長構造によって形成することができ、通過形状部12の形成が簡素化される。
【0051】
規制部材18は、壁部材9と搬送板10の両方または壁部材9と搬送板10のいずれかに固定されている。したがって、規制部材18の規制部材側形状部22を壁部材側形状部17に対向させて位置づけることが確実に行えて、通過形状部12の形成が正確になされる。そして、規制部材18は、壁部材9と搬送板10の両方または壁部材9と搬送板10のいずれかに固定されているので、規制部材18の取り付け剛性を高く維持することができ、規制構造部100の剛性向上にとって好適である。
【0052】
さらに、規制部材側形状部22は、ドームナット1の外形の一部に適応した形状であるから、規制部材18の製作が簡単になり、ドームナット1の外形全体に適応した通過形状部12を製作する場合に比して、製作工数の低減が図れる。
【0053】
ドームナット1の移動軌跡線26が傾斜面24、25によって壁部材9側へ偏倚しているので、ドームナット1は壁部材9に近づいた箇所を通過することになる。そのために、部品搬送路5の幅寸法を縮小することができ、それにともなって規制部材18の部品搬送路の幅方向の寸法も短くなり、部品規制構造部100の小型化が実現する。
【0054】
部品搬送路5、壁部材9に形成された断面形状部をそのまま規制形状部へ連続させることができるので、構造簡素化の促進が図れる。
【0055】
上述の実施例では、ドームナット1の形状にしたがって説明したが、ドームナット1の形状は小径である本体部2と、それよりも大径であるフランジ3のように、小径部と大径部からなる部品という概念化された部品として把握し、規制部材18の搬送方向上流側では小径部が第1ガイド面15に接触するとともに、大径部は第2ガイド面16から離れて移送され、規制部材18に進入するときには、小径部が第1ガイド面15から離れ、大径部が第2ガイド面16に接触するように構成することができる。
【0056】
このような構成によって、部品搬送路5の表面を滑動する大径部を第2ガイド面16に接触させながら、規制部材18を通過させるので、部品の移送軌跡が正確かつ均一に維持でき、部品と通過形状部12の相対位置が適確に設定され、部品の通過精度が向上し、優れた部品規制構造部がえられる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
上述のように、本発明の構造部によれば、部品の通過を許容する規制形状部を、壁部材側と規制部材側の形状部の複合によって形成して、部品全体に適応した通過形状部を構成し、規制構造部の小型化を図るものである。したがって、自動車の車体組立工程や、家庭電化製品の板金組立工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 部品、ドームナット
2 本体部
3 フランジ
4 ドーム部
5 部品搬送路
6 振動式パーツフィーダ
7 ボウル
9 壁部材
10 搬送板
12 通過形状部
15 第1ガイド面
16 第2ガイド面
17 壁部材側形状部
18 規制部材
22 規制部材側形状部
24 傾斜面
25 傾斜面
26 移動軌跡線
100 部品規制構造部
図1
図2
図3