特許第6720758号(P6720758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720758
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】板状物の加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/06 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   B24B7/06
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-152084(P2016-152084)
(22)【出願日】2016年8月2日
(65)【公開番号】特開2018-20394(P2018-20394A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 由己
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−34503(JP,A)
【文献】 特開2016−47564(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0236060(US,A1)
【文献】 特開2003−80451(JP,A)
【文献】 特表2002−514976(JP,A)
【文献】 特開平8−195365(JP,A)
【文献】 実開昭63−21559(JP,U)
【文献】 特開2008−296288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/00 − 7/30
B24B 37/00 − 37/34
B24B 29/00 − 29/10
B24B 41/00 − 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物を搬送コンベアにより搬送しながら、前記板状物の主表面を研磨する、板状物の加工装置であって、
前記搬送コンベアは、
前記板状物が載置される搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを下方から支持する定盤と、
前記搬送ベルトを駆動する駆動源とを備え、
前記定盤は、前記搬送ベルトにおける幅方向両端部よりも幅方向内側の部分を支持し、前記搬送ベルトの幅方向両端部は不支持の状態にある、
ことを特徴とする板状物の加工装置。
【請求項2】
前記定盤は、
前記搬送ベルトにおける幅方向両端部よりも幅方向内側の部分を支持する支持部と、
前記搬送ベルトの幅方向において前記支持部に隣接し、かつ上下方向において前記搬送ベルトから離間して配置され、前記搬送ベルトの幅方向両端部よりも幅方向外側に延出する延出部とを備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の板状物の加工装置。
【請求項3】
前記延出部は、
前記搬送ベルトと対向し、前記搬送ベルトの幅方向外側へいくにつれて下方に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の板状物の加工装置。
【請求項4】
前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は5°〜15°である、
ことを特徴とする請求項3に記載の板状物の加工装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトにおける、前記支持部よりも幅方向外側に位置する部分の幅寸法は10mm〜30mmである、
ことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の板状物の加工装置。
【請求項6】
前記板状物の幅寸法は、前記支持部の幅寸法よりも小さい、
ことを特徴とする請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の板状物の加工装置。
【請求項7】
前記板状物を研磨する研磨工具と、
前記研磨工具による前記板状物の研磨部に研磨スラリーを供給する研磨スラリー供給部とを、
さらに備える、
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の板状物の加工装置。
【請求項8】
幅方向両端部よりも幅方向内側の部分が定盤により下方から支持され、前記幅方向両端部が不支持状態にある搬送ベルトに板状物を載置する工程と、
前記板状物を前記搬送ベルトにより搬送しながら、前記板状物の主表面を研磨する工程とを備える、
ことを特徴とする板状物の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の板状物を搬送コンベアにより搬送しながら、前記板状物の主表面の研磨を行う、板状物の加工装置及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス基板等の板状物を搬送コンベアにより搬送しながら、前記板状物の主表面を回転研磨具により研磨する、板状物の加工装置が知られている(特許文献1参照)。
このような加工装置の搬送コンベアとしては、板状物が載置される搬送ベルトと、前記搬送ベルトを下方から支持するプレート(定盤)と、前記搬送ベルトを駆動する駆動源とを備えており、前記プレート(定盤)が前記搬送ベルトよりも幅方向外側にはみ出して、前記搬送ベルトを幅方向の全域にわたって支持するものがある。
【0003】
例えば、図6に示すような、板状物であるガラス基板Gを搬送するための搬送コンベア102においては、定盤122が搬送ベルト121よりも幅方向外側にはみ出しており、搬送ベルト121は幅方向の端部まで定盤122により支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−34503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の搬送コンベア102によりガラス基板Gを搬送しながら、ガラス基板Gの研磨を行う場合、ガラス基板Gの研磨に伴って生じるスラッジやスラリーが、搬送ベルト121の幅方向端部から搬送ベルト121と定盤122との間に侵入することがある。特に、搬送ベルトが幅方向の全域にわたってプレート(定盤)により支持されている場合、スラッジやスラリーが搬送ベルト121と定盤122との間に侵入および滞留し易い。
【0006】
スラッジやスラリーが搬送ベルト121と定盤122との間に侵入して滞留すると、搬送ベルト121のスラッジやスラリーが侵入した部分が盛り上がる。この盛り上がった部分にガラス基板Gが乗り上げると、ガラス基板Gは回転研磨具により加圧されているため、破損するおそれがある。
また、搬送ベルト121と定盤122との間にスラッジやスラリーが滞留すると、搬送ベルト121に破れが生じたり、定盤122が摩耗したりして、加工装置の寿命が短くなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明においては、搬送ベルトと搬送ベルトを支持する定盤とを備えた搬送コンベアにより板状物を搬送しながら前記板状物の研磨を行う際に、搬送ベルトと定盤の搬送ベルトを支持している部分との間にスラッジやスラリーが滞留することを防止できる板状物の加工装置及び加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する板状物の加工装置及び加工方法は、以下の特徴を有する。
即ち、本発明に係る板状物の加工装置は、板状物を搬送コンベアにより搬送しながら、前記板状物の主表面を研磨する、板状物の加工装置であって、前記搬送コンベアは、前記板状物が載置される搬送ベルトと、前記搬送ベルトを下方から支持する定盤と、前記搬送ベルトを駆動する駆動源とを備え、前記定盤は、前記搬送ベルトにおける幅方向両端部よりも幅方向内側の部分を支持し、前記搬送ベルトの幅方向両端部は不支持の状態にある。
このような構成により、研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルトと定盤の搬送ベルトを支持している部分との間に滞留することがなく、板状物が破損することを防止できるとともに、搬送ベルトの破れや定盤の摩耗を抑制して、加工装置の寿命を延ばすことができる。
【0009】
また、前記定盤は、前記搬送ベルトにおける幅方向両端部よりも幅方向内側の部分を支持する支持部と、前記搬送ベルトの幅方向において前記支持部に隣接し、かつ上下方向において前記搬送ベルトから離間して配置され、前記搬送ベルトの幅方向両端部よりも幅方向外側に延出する延出部とを備えている。
これにより、前記延出部の幅方向端部から落下する研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルトに付着することを防止することができる。
【0010】
また、前記延出部は、前記搬送ベルトと対向し、前記搬送ベルトの幅方向外側へいくにつれて下方に傾斜する傾斜面を有する。
これにより、傾斜面上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが幅方向外側へ流動するように誘導され、搬送ベルトと定盤の支持部との間に滞留することを防止できる。
【0011】
また、前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は5°〜15°である。
これにより、傾斜面上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが、滞りなく幅方向外側へ流動することとなる。
【0012】
また、前記搬送ベルトにおける、前記支持部よりも幅方向外側に位置する部分の幅寸法は10mm〜30mmである。
このような構成により、傾斜面上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが、傾斜面に沿って幅方向外側へ流動する前に傾斜面の傾斜に抗して幅方向内側へ流動した場合でも、定盤の支持部と搬送ベルトの中央部との間に達することがない。
【0013】
また、前記板状物の幅寸法は、前記支持部の幅寸法よりも小さい。
これにより、板状物を、定盤の支持部に支持される搬送ベルトの中央部の範囲内に全体が収まるように載置することができ、板状物を搬送ベルトにより搬送しながら研磨する際に、板状物を均一に研磨することが可能となる。
【0014】
また、板状物の加工装置は、前記板状物を研磨する研磨工具と、前記研磨工具による前記板状物の研磨部に研磨スラリーを供給する研磨スラリー供給部とを、さらに備える。
これにより、研磨スラリー供給部から供給された研磨スラリーや、板状物を研磨工具により研磨する際に生じる研磨スラッジが、搬送ベルトと定盤の搬送ベルトを支持している部分との間に滞留することがなく、板状物の破損を防止できるとともに、搬送ベルトの破れや定盤の摩耗を抑制して、加工装置の寿命を延ばすことができる。
【0015】
また、本発明に係る板状物の加工方法は、幅方向両端部よりも幅方向内側の部分が定盤により下方から支持され、前記幅方向両端部が不支持状態にある搬送ベルトに板状物を載置する工程と、前記板状物を前記搬送ベルトにより搬送しながら、前記板状物の主表面を研磨する工程とを備える。
このように板状物の加工を行うことで、板状物を研磨する際に生じる研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルトと定盤の搬送ベルトを支持している部分との間に滞留することがなく、板状物の破損を防止できるとともに、搬送ベルトの破れや定盤の摩耗を抑制して加工装置の寿命を延ばすことが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルトと定盤の搬送ベルトを支持している部分との間に滞留することがなく、板状物が破損することを防止できるとともに、搬送ベルトの破れや定盤の摩耗を抑制して、加工装置の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ガラス基板の加工装置を示す側面図である。
図2】ガラス基板の加工装置を示す平面図である。
図3】ガラス基板の加工装置を示す正面断面図である。
図4】搬送コンベアの搬送ベルト及び定盤を示す正面断面図である。
図5】定盤の別実施形態を示す正面断面図である。
図6】従来の搬送コンベアにおいて、搬送ベルトと定盤との間にスラッジやスラリーが滞留した状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る板状物の加工装置及び加工方法を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0019】
図1図3に示すガラス基板Gの加工装置1は、本発明に係る板状物の加工装置の一実施形態である。加工装置1は、搬送コンベア2と、研磨工具である回転研磨具3と、搬入コンベア4と、搬出コンベア5と、研磨スラリー供給装置6とを備えており、板状物であるガラス基板Gを搬送コンベア2により搬送しながら、ガラス基板Gの主表面を回転研磨具3により研磨するものである。
なお、以下の説明においては、ガラス基板G及び搬送コンベア2の幅方向を、平面視においてガラス基板Gの搬送方向と直交する方向と規定する。
【0020】
搬送コンベア2は、駆動プーリ23と従動プーリ24との間に搬送ベルト21を無端状に張設して構成されており、駆動プーリ23を駆動源であるモータ(不図示)により回転駆動させることにより、搬送ベルト21上に載置されたガラス基板Gを一方向へ搬送する。
【0021】
搬送コンベア2は、搬送ベルト21を下方から支持する定盤22を備えている。定盤22は、ガラス基板Gが載置される搬送ベルト21の下方に配置されている。
搬送ベルト21は、中央部21a及び端部21bを備えている。端部21bは、中央部21aの幅方向両側に連続して形成されている。つまり、中央部21aは、搬送ベルト21の幅方向における中央部であり、端部21bは、搬送ベルト21の幅方向における端部であって、幅方向の一側から他側へ向かって、端部21b、中央部21a、端部21bの順に配置されている。
【0022】
回転研磨具3は、円盤状に形成される研磨盤31の下面にフェルト状の繊維成形体等からなる研磨パッド32を固着して構成されており、ガラス基板Gが載置される搬送ベルト21の上方に、ガラス基板Gの搬送方向に沿って複数配置されている。
【0023】
回転研磨具3においては、搬送コンベア2により搬送されるガラス基板Gの主表面となる上面に研磨パッド32を圧接させた状態で、研磨盤31を回転軸3aを中心として回転させることで、ガラス基板Gの研磨が行われる。研磨パッド32の外径寸法は、ガラス基板Gの幅寸法wと略同等に形成されている。
【0024】
搬入コンベア4は、ガラス基板Gの搬送方向における搬送コンベア2よりも上流側に配置されている。搬入コンベア4は、ガラス基板Gを搬送コンベア2に適宜の間隔で連続的に搬入するための搬送具である。搬入コンベア4は、例えば複数の搬入ローラ41にて構成されている。
【0025】
搬出コンベア5は、ガラス基板Gの搬送方向における搬送コンベア2よりも下流側に配置されている。搬出コンベア5は、回転研磨具3による研磨が終了したガラス基板Gを搬送コンベア2から順次搬出するための搬送具である。搬出コンベア5は、例えば複数の搬出ローラ51にて構成されている。
【0026】
研磨スラリー供給装置6は、回転研磨具3によるガラス基板Gの研磨部に研磨スラリー61を供給するための装置であり、加工装置1の研磨スラリー供給部を構成している。
研磨スラリー61は、酸化セリウム等の研磨材を水等の溶媒に混濁させることにより構成されている。
【0027】
このように構成される加工装置1においては、搬入コンベア4によって搬送コンベア2に連続的に搬入されたガラス基板Gが搬送コンベア2によって搬送され、搬送コンベア2により搬送されるガラス基板Gの上面が回転研磨具3により研磨され、研磨を終えたガラス基板Gが搬出コンベア6によって搬送コンベア2から排出される。
【0028】
次に、搬送コンベア2の定盤22について詳しく説明する。
定盤22は、搬送ベルト21の中央部21aを支持する支持部221と、幅方向において支持部221に隣接し、かつ上下方向において搬送ベルト21から離間して配置され、搬送ベルト21の両端部21bよりも幅方向外側に延出する延出部222とを備えている。図4に示すように、延出部222は、搬送ベルト21の両端部21bから寸法Lだけ幅方向外側に延出している。
【0029】
搬送ベルト21の中央部21aは、搬送ベルト21における両端部21bよりも幅方向内側の部分であり、搬送ベルト21は定盤22の支持部221により中央部21aのみが支持され、両端部21bは定盤22により支持されていない。つまり、搬送ベルト21の中央部21aは定盤22により支持された状態にあり、両端部21bは不支持の状態にある。
図4に示すように、搬送ベルト21の端部21bは、搬送ベルト21において定盤22の支持部221よりも幅方向外側に位置する部分である。端部21bの幅寸法はWeに設定されている。
【0030】
定盤22における支持部221の上面は搬送ベルト21の支持面221aとなっており、支持面221aは搬送ベルト21に接触している。
定盤22の延出部222における上面は、ガラス基板Gが載置される搬送ベルト21(即ち、搬送ベルト21のうち駆動プーリ23及び従動プーリ24の上方に位置する部分)と対向しており、搬送ベルト21の幅方向外側へいくにつれて下方に傾斜する傾斜面222aに形成されている。傾斜面222aは、搬送ベルト21から離間している。
延出部222の傾斜面222aと搬送ベルト21の下面との離間寸法は、搬送ベルト21の幅方向外側へいくにつれて大きくなっている。傾斜面222aは、水平方向に対して傾斜角度θだけ傾斜している。
【0031】
図4に示すように、搬送ベルト21上に載置され搬送コンベア2により搬送されるガラス基板Gを回転研磨具3により研磨する際には、ガラス基板Gの研磨部に供給された研磨スラリー61やガラス基板Gを研磨することにより生じる研磨スラッジが、搬送ベルト21上を流動して搬送ベルト21の端部21bに到達し、当該端部21bから下方へ落下する。
【0032】
搬送ベルト21の端部21bから下方へ落下した研磨スラリーや研磨スラッジは、定盤22の傾斜面222a上に落下する。傾斜面222a上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジは、傾斜面222aに沿って幅方向外側へ流動し、定盤22の幅方向端部から下方へ落下する。
【0033】
このように、搬送ベルト21と傾斜面222aとは接触しておらず、傾斜面222aは幅方向外側へいくに従って下方に傾斜しているため、傾斜面222a上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジは幅方向外側へ流動するように誘導され、搬送ベルト21と傾斜面222a及び支持面221aとの間に滞留することがない。
【0034】
つまり、傾斜面222aは、傾斜面222a上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが幅方向外側へ流動して傾斜面222aから排出されることを誘導する面として機能している。
また、傾斜面222aの水平方向に対する傾斜角度θは、傾斜面222a上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが、滞りなく幅方向外側へ流動する角度に設定されている。具体的には、傾斜面222aの水平方向に対する傾斜角度θは、5°〜15°に設定されている。
【0035】
これにより、研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルト21と定盤22との間に滞留することがなく、研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルト21と定盤22の支持部221との間に侵入して搬送ベルト21が盛り上がった箇所にガラス基板Gが乗り上げて破損する、といったことが防止できるとともに、搬送ベルト121の破れや定盤122の摩耗を抑制して、加工装置の寿命を延ばすことができる。
【0036】
また、搬送ベルト21の中央部21aは、搬送ベルト21の幅方向端から端部21bの幅寸法Weだけ幅方向内側に入り込んだ箇所に位置しているが、この幅寸法Weは、傾斜面222a上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが、傾斜面222aに沿って幅方向外側へ流動する前に傾斜面222aの傾斜に抗して幅方向内側へ流動した場合でも、定盤2の支持部221と搬送ベルト21の中央部21aとの間に達することがない寸法に設定されている。具体的には、端部21bの幅寸法Weは10mm〜30mmに設定されている。
【0037】
さらに、定盤22の延出部222は、搬送ベルト21の端部21bよりも幅方向外側へ延出しているため、定盤22の幅方向端部から下方へ落下した研磨スラリーや研磨スラッジが、定盤22の下方に位置する搬送ベルト21(即ち、搬送ベルト21のうち駆動プーリ23及び従動プーリ24の下方に位置する部分)上に付着することなく、搬送コンベア2よりも下方へ落下することとなる。
【0038】
この場合、定盤22の延出部222における、搬送ベルト21の端部21bよりも幅方向外側に延出する部分の幅寸法Lは、延出部222の幅方向端部から落下する研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルト21に付着することを確実に防止することができる寸法に設定されている。
具体的には、延出部222における搬送ベルト21の端部21bよりも幅方向外側に延出する部分の幅方向の幅寸法Lは、20mm〜40mmに設定されている。
【0039】
以上のように構成される搬送コンベア2においては、両端部21bよりも幅方向内側の部分である中央部21aが定盤22の支持部221により下方から支持された搬送ベルト21に板状物であるガラス基板Gを載置する工程を実施した後に、ガラス基板Gを搬送ベルト21により搬送しながら、ガラス基板Gの主表面である上面を回転研磨具3により研磨する工程を実施することにより、ガラス基板Gの加工を行うように構成されている。
【0040】
このようにガラス基板Gの加工を行うことで、ガラス基板Gの研磨により発生する研磨スラリーや研磨スラッジが搬送ベルト21と定盤22の支持部221との間に滞留して搬送ベルト21に盛り上がりが発生することが抑制され、ガラス基板Gの破損を防止できるとともに、搬送ベルト21の破れや定盤22の摩耗を抑制して加工装置1の寿命を延ばすことが可能となる。
【0041】
また、定盤22における支持部221の幅寸法、及び搬送ベルト21における中央部21aの幅寸法は、ガラス基板Gの幅寸法wよりも大きく形成されており、ガラス基板Gを搬送ベルト21により搬送する際には、ガラス基板Gは全体が中央部21aの範囲内に収まるように搬送ベルト21上に載置される。
【0042】
このように、支持部221及び中央部21aの幅寸法をガラス基板Gの幅寸法wよりも大きく形成することにより、定盤22に支持される中央部21aの範囲内にガラス基板Gを全体が収まるように載置して、ガラス基板Gを搬送ベルト21により搬送しながら研磨する際に、回転研磨具3によりガラス基板Gに均一に圧力をかけることができ、ガラス基板Gを均一に研磨することが可能となっている。
【0043】
本実施形態の定盤22における延出部222の上面は傾斜面222aに形成されているが、定盤22の延出部222の上面は、次のように構成することもできる。
例えば、図5に示すように、定盤22における延出部222の上面を段差面222bに形成することも可能である。
【0044】
段差面222bは、支持部221の支持面221aよりも低位置に位置する面であり、段差面222と支持面221aとの間には段差が形成されている。
段差面222と支持面221aとの間の段差の寸法hは、搬送ベルト21の端部21bから段差面222上に落下した研磨スラリーや研磨スラッジが、段差面222の上方に位置する搬送ベルト21に接触しない大きさに設定されており、段差面222に落下した研磨スラリーや研磨スラッジにより搬送ベルト21が盛り上がることがないように構成されている。
【0045】
また、段差面222に落下した研磨スラリーや研磨スラッジは定盤22の支持面221aと搬送ベルト21の中央部21aとの間に侵入することもなく、搬送ベルト21の盛り上がりによるガラス基板Gの破損の発生を防止することが可能となっている。
【符号の説明】
【0046】
1 加工装置
2 搬送コンベア
3 回転研磨具
6 研磨スラリー供給装置
21 搬送ベルト
21a 中央部(幅方向内側の部分)
21b 端部
22 定盤
221 支持部
222 延出部
222a 傾斜面
G ガラス基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6