(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1〜
図7を用いて、本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、画像形成装置として、複合機100を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0012】
(複合機100の構成)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る複合機100(画像形成装置)の概要を説明する。
図1は実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0013】
複合機100は、制御部1と記憶部2を含む。制御部1は複合機100の各部を制御する。制御部1は、CPU11、画像処理部3を含む。CPU11は制御に関する演算、処理を行う。画像処理部3は、画像データに関する処理を行う。記憶部2はROM、RAM、HDDのような記憶装置を含む。記憶部2は、制御用プログラムや各種データを記憶する。制御部1は、記憶部2に記憶されたプログラム、データに基づき処理を行う。
【0014】
複合機100は、原稿搬送部4aと画像読取部4bを含む。原稿搬送部4aは、セットされた原稿を1枚ずつ、自動的に搬送する。制御部1は、読み取り位置(搬送読取用コンタクトガラス)に向けて原稿を原稿搬送部4aに搬送させる。送り出された原稿は、画像読取部4bの上面に設けられた搬送読取用コンタクトガラスの上面を通過する。
【0015】
画像読取部4bは載置読取用コンタクトガラスを含む。画像読取部4bは載置読取用コンタクトガラスにセットされた原稿を読み取ることもできる。制御部1は、搬送原稿、又は、載置読取用コンタクトガラスにセットされた原稿を画像読取部4bに読み取らせる(スキャンさせる)。画像読取部4bは、読み取った原稿の画像データを生成する。生成された画像データは、記憶部2(RAM又はHDD)に記憶される。
【0016】
また、複合機100は操作パネル5を含む。操作パネル5は、表示パネル51(表示部に相当)、タッチパネル52(操作部に相当)、ハードキー53(操作部に相当)を含む。制御部1は、ジョブに関する画面を表示パネル51に表示させる。また、制御部1は、操作用画像を表示パネル51に表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、ソフトキー、タブ、スイッチである。表示パネル51に対し、タッチパネル52が設けられる。タッチパネル52は、使用者がタッチした位置(座標)を検知する。タッチパネル52の出力に基づき、制御部1は、操作された操作用画像を認識する。使用者は、表示パネル51(タッチパネル52)を操作することにより、ジョブに関する各種設定を行える。例えば、原稿読み取りに関する設定や、コピージョブに関する設定や、送信ジョブに関する設定を行うことができる。
【0017】
ハードキー53は複数設けることができる。例えば、スタートキーやキャンセルキーをハードキー53として設けることができる。スタートキーは、ジョブの実行開始を指示するためのキーである。キャンセルキーは、実行中のジョブを中止させるためのキーである。制御部1は、スタートキーやキャンセルキーの操作を認識する。
【0018】
複合機100はエンジン制御部6と印刷部7を含む。印刷部7は、給紙部7a、用紙搬送部7b、画像形成部7c、定着部7d、両面搬送部7eを含む。印刷部7は、用紙を給紙、搬送し、トナー像を用紙に印刷する。印刷ジョブのとき、制御部1はエンジン制御部6に印刷を指示する。指示に基づき、エンジン制御部6は、印刷部7を制御する。エンジン制御部6は、エンジンCPU61とエンジン記憶部62を含む。エンジン記憶部62は、印刷部7の制御に必要なデータ、プログラムを記憶する。エンジンCPU61は、エンジン記憶部62のデータ、プログラムに基づき、印刷部7を制御する。
【0019】
複合機100は通信部12を含む。通信部12は、制御部1と通信可能に接続される。通信部12は、ネットワークや通信網を介して、コンピューター200やFAX装置300と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信部12は、コンピューター200やFAX装置300から印刷用データを受信する。
【0020】
(エンジン制御部6による印刷部7の制御)
次に、
図2を用いて、実施形態に係るエンジン制御部6による印刷部7の制御の一例を説明する。
図2は、実施形態に係るエンジン制御部6の制御の一例を示す図である。
【0021】
印刷ジョブを複合機100に行わせることができる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、印刷部7の動作を制御する。印刷ジョブとしては、コピージョブ、ボックス印刷ジョブ、プリンタージョブがある。
【0022】
コピージョブは、セットされた原稿を読み取り、読み取りで得られた画像データに基づき印刷するジョブである。使用者は、原稿をセットする。また、使用者は、操作パネル5にコピージョブに関する設定を行う。スタートキーが操作されたとき、制御部1は、画像読取部4bに原稿を読み取らせる。また、制御部1は、印刷指示及び画像データをエンジン制御部6に送信する。指示及び受信画像データに基づき、エンジン制御部6は、印刷部7に印刷させる。
【0023】
ボックス印刷ジョブは、記憶部2に不揮発的に記憶されている画像データに基づき印刷するジョブである。使用者は、操作パネル5で印刷に用いる画像データを選択する。また、使用者は、操作パネル5にボックス印刷ジョブに関する設定を行う。スタートキーが操作されたとき、制御部1は、印刷指示及び画像データをエンジン制御部6に送信する。指示及び受信した画像データに基づき、エンジン制御部6は、印刷部7に印刷させる。
【0024】
プリンタージョブは、通信部12が受信した印刷用データに基づき印刷するジョブである。通信部12が印刷用データを受信したとき、制御部1は、印刷指示及び印刷用データに基づく画像データをエンジン制御部6に送信する。指示及び受信した画像データに基づき、エンジン制御部6は、印刷部7に印刷させる。
【0025】
印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、1枚ずつ用紙を給紙部7aに送り出させる。給紙部7aは、給紙カセット71、給紙モーター72、給紙ローラー73を含む。給紙カセット71は用紙束を収容する。給紙モーター72は給紙ローラー73を回転させる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は給紙モーター72を動作させる。これにより、給紙ローラー73が回転する。給紙ローラー73と接する用紙が送り出される。
【0026】
印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、用紙を用紙搬送部7bに搬送させる。用紙搬送部7bは、搬送モーター74、搬送ローラー対75を含む。搬送モーター74は搬送ローラー対75を回転させる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、搬送モーター74を動作させる。これにより、搬送ローラー対75が回転する。用紙が機内で搬送される。
【0027】
印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、画像形成部7cにトナー像を形成させる。画像形成部7cは、感光体ドラム76、帯電装置77、露光装置78、現像装置79、転写装置710、メインモーター711を含む。感光体ドラム76は、周面にトナー像を担持する。エンジン制御部6は、感光体ドラム76の帯電を帯電装置77に行わせる。露光装置78は、レーザー装置、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、レンズ、ミラーを含む。エンジン制御部6は、レーザービームによる感光体ドラム76の走査、露光を露光装置78に行わせる。露光装置78は、制御部1から受信した直前画像データ(詳細は後述)に基づき、レーザービームの点消灯を行う。これにより、直前画像データに応じた静電潜像が形成される。エンジン制御部6は、トナーによる静電潜像の現像を現像装置79に行わせる。エンジン制御部6は、トナー像の用紙への転写を転写装置710に行わせる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、メインモーター711を回転させる。メインモーター711は、感光体ドラム76、現像装置79に含まれる回転体、転写装置710に含まれる回転体を回転させる。
【0028】
印刷ジョブのとき、エンジン制御部6は、用紙に転写されたトナー像の定着を定着部7dに行わせる。定着部7dは、定着モーター712、定着用ローラー対713、ヒーター714を含む。定着モーター712は定着用ローラー対713を回転させる。ヒーター714は定着用ローラー対713を熱する。定着用ローラー対713のニップに用紙が進入する。定着用ローラー対713は、用紙に熱と圧力を加える。これにより、トナー像が用紙に定着する。定着後の用紙は用紙搬送部7bにより機外に排出される。
【0029】
両面印刷を行うとき、エンジン制御部6は、片面印刷済の用紙を画像形成部7cの上流まで両面搬送部7eに搬送させる。両面搬送部7eは、用紙の前後、表裏を逆転させるスイッチバック機構(不図示)を含む。エンジン制御部6は、用紙の前後、表裏が逆転された片面印刷済用紙を画像形成部7cの上流に合流させる。
【0030】
(画像処理部3による画像処理)
次に、
図3を用いて、実施形態に係る画像処理部3の画像処理の一例を説明する。
図3は、実施形態に係る画像処理部3の画像処理の一例を説明するための図である。
【0031】
画像処理部3は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuitである。)である。言い換えると、画像処理部3は、画像処理用に設計された集積回路である。印刷ジョブのとき、画像処理部3は、画像データに画像処理を施す。コピージョブやボックス印刷ジョブのとき、操作パネル5でなされた設定に基づき、画像処理が行われる。以下、
図3を用いて、コピージョブやボックス印刷ジョブのときの画像データの処理の流れの一例を説明する。
【0032】
図3に示すように、画像処理部3は、第1モジュール31、第2モジュール32、第1バッファメモリー33、第3モジュール34、第2バッファメモリー35、第4モジュール36を含む。第1バッファメモリー33と第2バッファメモリー35は、例えば、リングバッファである。
【0033】
画像読取部4bが読み取った画像データに基づき、コピージョブやボックス印刷ジョブが行われる。画像読取部4bの読み取りで得られた画像データは、画像処理部3に入力される。第1モジュール31は、入力された画像データを圧縮する。圧縮された画像データは、ひとまず、記憶部2(RAM又はHDD)に記憶される。コピージョブのとき、圧縮された画像データは、印刷部7の準備ができ次第、記憶部2から読み出される。ボックス印刷ジョブのとき、圧縮された画像データは、後日、使用者が操作パネル5で選択した時点に読み出される。
【0034】
圧縮された画像データは、第2モジュール32に入力される。第2モジュール32は、圧縮された画像データを伸長する。第2モジュール32は、設定に応じて、伸長後の画像データの回転や変倍(ズーム)を行う。第2モジュール32は、1ページの画像データの全体的なレイアウトに関する処理を行う。例えば、1枚の用紙に複数ページの画像データを含める場合、第2モジュール32は、回転処理や縮小処理を行う。
【0035】
第2モジュール32が処理した画像データは、第1バッファメモリー33に出力される。第1バッファメモリー33は、画像データを一時的に蓄える。第1バッファメモリー33に蓄えられた画像データは、順次、第3モジュール34に出力される。
【0036】
第3モジュール34は、画素値の変換に関するモジュールである。第3モジュール34は、色変換処理を行う。第3モジュール34は、色変換処理として、例えば、エコプリント処理、スムージング処理、スクリーニング処理、ハーフトーン処理を行う。エコプリント処理は、トナーの消費量を減らす処理である。エコプリントの設定がなされているとき、第3モジュール34は、エコプリント処理を行う。エコプリント処理では、各画素の画素値は、薄くなる方向に補正される。スムージング処理は、平滑化フィルターを用いて濃淡変動を緩やかにする処理である。画像データの各画素は、濃度に応じた画素値を有する。一方、画素にトナーをのせる、のせないという2値的な選択に基づき、トナー像が形成される。スクリーニング処理、ハーフトーン処理は、網点(ドットの粗密)により画像の濃淡を再現するための処理である。
【0037】
第3モジュール34が処理した画像データは、第2バッファメモリー35に出力される。第2バッファメモリー35は、画像データを一時的に蓄える。第2バッファメモリー35に蓄えられた画像データは、順次、第4モジュール36に出力される。
【0038】
第4モジュール36は、画像の位置を最終的に調整する。操作パネル5で設定された綴じ代や余白の幅に応じ、第4モジュール36は、画像の位置を調整する。例えば、第4モジュール36は、白色の画素の挿入、白色の画素の削除、又は、エンジン制御部6への画像データの送信タイミングの遅延により、用紙内での画像の位置を調整する。
【0039】
また、第4モジュール36は、画像データをエンジン制御部6に送信する。エンジン制御部6に送信される画像データは、印刷直前の画像データである。本説明では、画像処理部3がエンジン制御部6に送信する画像データを直前画像データと称する。つまり、画像処理部3(第4モジュール36)は、印刷直前の画像データである直前画像データを生成する。そして、画像処理部3は、エンジン制御部6からの要求に応じて、直前画像データを送信する。
【0040】
直前画像データは、既に、スクリーニング処理、ハーフトーン処理が行われている。そのため、直前画像データは露光装置78でのレーザービームの点消灯に用いられる。例えば、レーザービームを点灯させる画素には、1の値が、レーザービームを点灯させない画素には、0の値が収められる。直前画像データは、2値的な画像データといえる。画像処理部3は、直前画像データをエンジン制御部6に送信する。エンジン制御部6は、受信した直前画像データに基づき、露光装置78にレーザービームの点消灯を行わせる。
【0041】
ここで、第1バッファメモリー33、第2バッファメモリー35の記憶容量は、1バンド分である。各バッファメモリーの容量は1ページの画像データのサイズよりも少ない。例えば、画像データはバンド単位で処理される。バンドの大きさ(幅)は、バッファメモリーのサイズに応じて、適宜定められる。例えば、1バンドは、5.5mm(副走査方向の幅)×用紙幅(主走査方向の幅)である。1バンドは、主走査方向のラインの束ともいえる。1バンドに含まれる主走査方向のラインの数は、副走査方向の幅÷1画素(1ドット)のピッチとなる。第4モジュール36は、主走査方向の1ライン単位、主走査方向の複数ライン単位、又は、バンド単位で直前画像データを送信する。
【0042】
(進捗画像8の表示)
次に、
図4〜
図6に基づき、実施形態に係る複合機100での進捗画像8の表示の一例を説明する。
図4は、実施形態に係る進捗表示画面5aの一例を示す図である。
図5は、実施形態に係る進捗画像8の変化の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係る代替画像9の変化の一例を示す図である。
図7は、実施形態に係る複合機100での進捗画像8の表示の流れの一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、複合機100は、抽出部37を含む(
図3参照)。抽出部37は、画像処理部3がエンジン制御部6に送信する直前画像データを抽出する(コピーする)。そのため、抽出部37は、エンジン制御部6と画像処理部3をつなぐ画像データ用の信号線に接続される。抽出部37は、例えば、高速メモリーである。直前画像データは順次送信される。そのため、抽出部37は、全ての画像処理が完了した画像データ(直前画像データ)をページの先頭から順番に取得する。
【0044】
制御部1は、抽出された直前画像データに基づき、進捗画像8を表示パネル51に表示させる。進捗画像8は、画像処理の進捗状況を示す。言い換えると、進捗画像8は、1ページの直前画像データのうち、エンジン制御部6に送信済の部分を示す。印刷直前の画像データに基づくので、進捗画像8は、印刷実行結果も示す。
【0045】
進捗画像8を表示するため、複合機100は、表示用データ生成部38(
図3参照)を含む。表示用データ生成部38は、変換処理部39と縮小処理部310を含む。表示パネル51の表示には、RGB形式のデータが用いられる。変換処理部39は、直前画像データをRGB形式にした変換データを生成する。また、表示パネル51の画素数は、直前画像データよりも少ない。そこで、縮小処理部310は、変換データを間引いて(縮小して)、表示用画像データを生成する。制御部1は、表示用画像データに基づき、進捗画像8を表示パネル51に表示させる。
【0046】
図4は、進捗表示画面5aの一例を示す。制御部1は、印刷ジョブの実行中、進捗表示画面5aを表示パネル51に表示させる。
図4のうち、左側の画像が進捗画像8である。
図4は、1ページの進捗画像8の全体が表示されている状態を示す。
【0047】
直前画像データの抽出が進むごとに、表示される進捗画像8の面積は次第に大きくされる。進捗画像8の面積が大きいほど、直前画像データの生成及び送信が進んでいることになる。使用者は、進捗画像8の状態により、1ページの画像データのうち、どの程度まで画像処理が完了しているかを直感的に把握できる。
【0048】
図5を用いて、進捗画像8の変化を説明する。まず、1ページの進捗画像8は短冊状の複数のブロックbで分割される。ブロックbの左端は、進捗画像8の左端である。ブロックbの右端は、進捗画像8の右端である。ブロックbのサイズは、バンドのサイズと対応していてもよい。言い換えると、1ページの直前画像データに含まれるバンド数と、進捗画像8のブロック数を等しくしてもよい。また、ブロックbは、進捗画像8の横方向の1ラインであってもよい。
図5は、1ページを6つのブロックbに分ける例を示している。
【0049】
抽出部37は、少なくとも、1ブロック分の表示用画像データの生成に必要な直前画像データを記憶する。抽出部37は、1ページ分の直前画像データを記憶できてもよい。
【0050】
画像処理の開始後、抽出部37は、直前画像データの抽出を開始する。やがて、抽出部37が先頭ブロックの表示用画像データの生成に必要な直前画像データを抽出する。そして、表示用データ生成部38は、先頭ブロック部分の表示用画像データを生成する。生成された表示用画像データは、記憶部2に記憶される。生成された表示用データに基づき、制御部1は、進捗画像8のうち、先頭のブロックbを表示パネル51に表示させる。
図5の左上の進捗画像8が、先頭のブロックbのみを表示した状態を示す。
【0051】
直前画像データの送信の進行に応じて、抽出部37は、次の1ブロック分の表示用画像データの生成に必要な直前画像データを抽出する。抽出できたとき、表示用データ生成部38は、次の1ブロック分の表示用画像データを生成する。生成された表示用画像データは、記憶部2に記憶される。新たなブロックbが生成済の表示用画像データに追加される。制御部1は、進捗画像8のうち、次のブロックbを表示部に追加表示させる。これにより、進捗画像8がブロック単位で追加されていくように見える。抽出部37による直前画像データの抽出が進むごとに、制御部1は、表示するブロックbを表示パネル51に追加させる。上から下に向かって、表示されるブロックbが次第に増える。
図5は、直前画像データの抽出の進行に応じて、表示されるブロックbが増えることを示す。
【0052】
画像処理部3が1ページの全ての直前画像データを送信した時点で、最後のブロックbの表示用画像データの生成に必要な直前画像データの抽出が完了する。このとき、表示用データ生成部38は、最後のブロックbの表示用画像データを生成する。生成された最後のブロックbの表示用画像データは、記憶部2に記憶される。最後のブロックbの表示用データに基づき、制御部1は、進捗画像8の最下段のブロックbを表示させる。最終的に、制御部1は、進捗画像8のページ全体を表示パネル51に表示させる。
【0053】
進捗画像8は印刷内容を示す。進捗画像8を第三者に見られたくない場合がある。そこで、進捗表示画面5aには、秘密保護ボタンB1が設けられる。秘密保護ボタンB1が操作されたとき(秘密保護操作がなされたとき)、制御部1は、表示モードを秘密保護モードとする。秘密保護モードで秘密保護ボタンB1が操作されたとき、制御部1は、秘密保護モードを解除する。
【0054】
秘密保護モードでは、制御部1は、進捗画像8に代えて、代替画像9を表示させる。なお、秘密保護モードが解除されたとき、制御部1は、代替画像9に代えて、進捗画像8を表示させる。進捗画像8の表示中に秘密保護モードに移行したとき、制御部1は、進捗画像8を代替画像9に切替させる。代替画像9の表示中に秘密保護モードが解除されたとき、制御部1は、代替画像9を進捗画像8に切替させる。
【0055】
代替画像9は、黒塗り画像又はサンプル画像である。サンプル画像は、適宜定められる。サンプル画像は、記憶部2に不揮発的に記憶される。記憶部2は、風景画像、人物画像、動物画像、文書画像、ベタ画像のような複数種のサンプル画像を記憶してもよい。操作パネル5は、代替画像9として使用するサンプル画像を選択する操作を受け付けてもよい。制御部1は、選択されたサンプル画像を代替画像9として用いる。
【0056】
代替画像9を表示するときも、抽出部37は、直前画像データを抽出する。また、表示用データ生成部38は、ブロック単位で表示用画像データの生成を繰り返す。生成された表示用画像データは、記憶部2に記憶される。これにより、秘密保護モードが解除されたとき、直ちに進捗画像8を表示させることができる。秘密保護モードでは、制御部1は、進捗画像8の表示用画像データを表示パネル51に与えない。代わりに、制御部1は、代替画像9の画像データを与える。
【0057】
図6は、代替画像9の切り替わり例を示す。
図6では、黒塗り画像を代替画像9として表示する例を示す。
図6に示すように、代替画像9も短冊状の複数のブロックbで分割される。ブロックbの左端は、代替画像9の左端である。ブロックbの右端は、代替画像9の右端である。代替画像9のブロック数、1ブロックのサイズは、進捗画像8のブロック数と同じである。そして、
図6は、
図5と同様に、1ページを6つのブロックbに分ける例を示している。
【0058】
制御部1は、進捗画像8に代えて代替画像9を表示パネル51に表示させる。生成済の進捗画像8の表示用画像データのブロック数がnのとき、制御部1は、代替画像9のn番目のブロックbまでを表示パネル51に表示させる。例えば、生成済の進捗画像8の表示用画像データが先頭ブロックのみのとき、制御部1は、代替画像9の先頭ブロックのみを表示パネル51に表示させる。ページ全体の進捗画像8の表示用画像データが生成されたとき、制御部1は、代替画像9のページ全体を表示パネル51に表示させる。
【0059】
また、進捗表示画面5aには、ページ表示欄C1が設けられる。ページ表示欄C1は、印刷ジョブのうち、進捗画像8又は代替画像9に対応するページは何ページ目であるかを示す。いいかえると、制御部1は、印刷ジョブの何ページの進捗画像8又は代替画像9を表示しているかを表示パネル51に表示させる。
【0060】
進捗画像8により、使用者はどのような印刷結果が得られるかを確認できる。進捗画像8を見たとき、所望の内容の印刷物が得られないと気づく場合がある。進捗表示画面5aには、キャンセルボタンB2が設けられる。これにより、進捗画像8を見て、直ちに印刷ジョブをキャンセル(中止)することができる。用紙、トナー、電力の無駄な消費を無くすことができる。キャンセルボタンB2が操作されたとき、制御部1は、印刷の中止をエンジン制御部6に指示する。中止指示に基づき、エンジン制御部6は、印刷(給紙、用紙搬送、画像形成、転写、定着)を印刷部7に停止させる。また、制御部1は、画像処理部3に画像処理を中止させる。
【0061】
次に、
図7を用いて、印刷ジョブ実行時の進捗画像8の表示の流れの一例を説明する。コピージョブやボックス印刷ジョブのとき、原稿セットや操作パネル5での設定を行う必要がある。これらのジョブのとき、使用者は複合機100(表示パネル51)まで移動する。そこで、コピージョブやボックス印刷ジョブのとき、制御部1は、進捗画像8を表示パネル51に表示させる。
【0062】
図7のスタートは、制御部1が1枚目の用紙の給紙を給紙部7aに開始させた時点である。1枚目の給紙前に、コピーやボックス印刷ジョブの設定がなされ、スタートキーが操作されている。また、コピージョブの場合、スキャンが開始されている。
【0063】
画像処理部3は、進捗表示画面5aを表示パネル51に表示させる(ステップ♯1)。直前に給紙が開始された用紙(直前給紙用紙)に対応するページ(画像データ)の画像処理を開始する(ステップ♯2)。画像処理部3は、給紙開始後に画像処理を開始する。
【0064】
そして、制御部1は、ページ番号をページ表示欄C1に表示させる(ステップ♯3)。複数枚の印刷ジョブのとき、用紙が給紙されるごとに、制御部1は、ページ番号を表示パネル51に変更させる。
【0065】
片面印刷の場合、印刷ジョブの開始時、制御部1は、「1」をページ番号としてページ表示欄C1に表示させる。印刷ジョブが進むごとに、ページ番号は1ずつ大きくなる。複合機100では、用紙は表側が下向きに排出される。両面印刷の場合、排出時に表側が下向きとなるように、裏面→表面の順で印刷される。両面印刷の場合、印刷ジョブの開始時、制御部1は、ページ表示欄C1に「2」をページ番号として表示させる。従って、ページ表示欄C1に表示されるページ番号の順番は、ページ順と一致しない場合がある。
【0066】
やがて、抽出部37は、1ブロックの表示用画像データの生成に必要な直前画像データを抽出する(ステップ♯4)。表示用データ生成部38は、1ブロック分の表示用画像データを生成する(ステップ♯5)。制御部1は、生成された表示用画像データを記憶部2に記憶させる(ステップ♯6)。そして、制御部1は、秘密保護モードであるか否かを確認する(ステップ♯7)。言い換えると、制御部1は、秘密保護操作がなされていか否かを確認する。
【0067】
秘密保護モードでないとき(ステップ♯7のNo)、制御部1は、進捗画像8を表示パネル51に表示させる(ステップ♯8)。秘密保護モードのとき、制御部1は、代替画像9を表示パネル51に表示させる(ステップ♯9)。ステップ♯8、ステップ♯9においては、1ブロック分の表示用画像データの追加(ステップ♯4〜ステップ♯6)に基づき、表示されるブロックbが追加される。
【0068】
ステップ♯8、ステップ♯9の次に、制御部1は進捗画像8又は代替画像9のページ全体を表示したか否かを確認する(ステップ♯10)。制御部1は、直前給紙用紙に対応するページの直前画像データの抽出(送受信)が完了したか否かを確認する。
【0069】
まだ、ページ全体を表示していないとき(ステップ♯10のNo)、フローは、ステップ♯4に戻る。ページ全体を表示したとき(ステップ♯10のYes)、制御部1は、印刷ジョブの全ページの画像処理が完了したか否かを確認する(ステップ♯11)。
【0070】
全ページが完了していないとき(ステップ♯11のNo)、制御部1は、次の用紙の給紙を開始したか否かの確認を続ける(ステップ♯12、ステップ♯12のNo→ステップ♯12)。なお、連続して印刷するとき、制御部1は、所定の間隔で用紙を給紙部7aに給紙させる。所定の間隔は、複合機100の印刷速度により定まる。1分間に30枚印刷する複合機100の場合、所定の間隔は、60秒÷30枚=2秒となる。
【0071】
次の用紙の給紙が開始されたとき(ステップ♯12のYes)、制御部1は、表示している進捗画像8又は代替画像9を消す(ステップ♯13)。そして、フローは、ステップ♯2に戻る。
【0072】
印刷ジョブの全ページの画像処理が完了したとき(ステップ♯11のYes)、制御部1は、進捗表示画面5aを消す(ステップ♯14)。その結果、制御部1は、別の画面を表示パネル51に表示させる。ステップ♯14により、進捗画像8又は代替画像9も表示されなくなる。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0073】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、印刷部7、画像処理部3、エンジン制御部6、抽出部37、表示部(表示パネル51)、制御部1を含む。印刷部7は印刷を行う。画像処理部3は、画像データに画像処理を行うモジュールを含む。エンジン制御部6は、印刷ジョブのときモジュールによる処理が完了した印刷直前の画像データである直前画像データを画像処理部3から受信し、直前画像データに基づき印刷部7に画像を形成させる。抽出部37は、画像処理部3がエンジン制御部6に送信する直前画像データを抽出する。表示部は画像を表示する。制御部1は、抽出部37が抽出した直前画像データに基づき、画像処理の進捗状況を示す進捗画像8を表示部に表示させる。
【0074】
これにより、印刷中、画像処理の進捗状況を示す画像を表示することができる。印刷中に視覚に訴える情報を表示することにより、使用者の退屈を軽減することができる。使用者は、進捗画像8により、どの程度、画像処理が進んでいるかを確認できる。例えば、印刷ジョブの何ページ目まで画像処理が完了しているかを確認することができる。また、進捗画像8は、印刷に用いる画像データに基づく。従って、進捗画像8により、所望する印刷物が出力されるか否かを確認することもできる。
【0075】
また、1ページの進捗画像8は短冊状の複数のブロックbで分割される。1ページの進捗画像8を表示するとき、制御部1は、抽出部37による1ページの直前画像データの抽出の開始後、ページの先頭のブロックbを表示部に表示させる。抽出部37による直前画像データの抽出が進むごとに、制御部1は、表示するブロックbを表示部に追加させる。制御部1は、最終的に1ページの進捗画像8を表示部に表示させる。これにより、画像処理の進行にあわせ、進捗画像8のうち、印刷物の内容を示す領域が次第に増えていく。印刷物の内容を示す領域がブロック単位で追加される。進捗画像8が時間とともに変化する。進捗画像8をアニメーション的に変化させることができる。従って、使用者を視覚的に楽しませることができる。待ち時間中の使用者の退屈を軽減することができる。
【0076】
1ページの進捗画像8は短冊状(長方形)の複数のブロックbで分割される例を上述した。しかし、ブロックbは、格子状(正方形)でもよい。この場合、各格子の表示順が予め定められる。1ページの進捗画像8を表示するとき、制御部1は、抽出部37による1ページの直前画像データの抽出の開始後、先頭(1番目)のブロックbを表示部に表示させる。抽出部37による直前画像データの抽出が進むごとに、制御部1は、表示するブロックbを順番に表示部に追加させる。最後の順番のブロックbが表示されたとき、1ページの進捗画像8の全体が表示される。このように、短冊状(長方形)以外でもよく、格子状(正方形)でもよい。
【0077】
使用者の操作を受け付ける操作部(タッチパネル52)を含む。操作部が秘密保護操作(秘密保護ボタンB1のタッチ)を受け付けたとき、制御部1は、進捗画像8に代えて、予め定められた代替画像9を表示部に表示させる。抽出部37による1ページの直前画像データの抽出の開始後、制御部1は、代替画像9の先頭のブロックbを表示部に表示させる。抽出部37による直前画像データの抽出が進むごとに、制御部1は表示する代替画像9のブロックbを追加させる。制御部1は、最終的に1ページの代替画像9を表示部に表示させる。情報セキュリティや秘密保持のため、進捗画像8を他人に見られたくない場合、進捗画像8を他人に見られないようにすることができる。情報、秘密の漏れを防ぐことができる。進捗画像8に代えて代替画像9を表示させるので、退屈を軽減する効果は無くならない。
【0078】
また、代替画像9は、黒塗り画像又はサンプル画像である。これにより、代替画像9により、印刷完了待ちの使用者を視覚的に楽しませることができる。
【0079】
また、印刷部7は、用紙を1枚ずつ供給する給紙部7aを含む。エンジン制御部6は、印刷部7に用紙を給紙させる。画像処理部3は、給紙が開始されてから、直前に給紙された用紙である直前給紙用紙に対応するページの直前画像データの生成を開始する。次の用紙の給紙前に、制御部1は、直前給紙用紙の進捗画像8又は代替画像9の全体を表示部に表示させる。これにより、ページの給紙開始後、直前給紙用紙に対応する画像(進捗画像8又は代替画像9)の表示を開始することができる。また、次の用紙の給紙前に、直前給紙用紙に対応する画像の全体の表示を終えることができる。実際に画像処理されているページの内容(印刷結果)をリアルタイムに(迅速に)表示することができる。
【0080】
また、制御部1は、印刷ジョブの何ページの進捗画像8又は代替画像9を表示しているかを表示部に表示させる。これにより、使用者は、現在、印刷ジョブの何ページ目が処理されているかを確認できる。
【0081】
また、操作部(タッチパネル52、キャンセルキー)は、印刷ジョブをキャンセルするためのキャンセル操作(キャンセルボタンB2又はキャンセルキーへの操作)を受け付ける。これにより、進捗画像8をみて、印刷ジョブをキャンセル(中止)することができる。所望する(期待する)結果と異なる進捗画像8が表示されたとき、使用者は、印刷ジョブをキャンセルすればよい。用紙、時間、電力の無駄を減らすことができる。
【0082】
また、抽出部37が抽出した直前画像データのデータ形式に変換して表示部で進捗画像8を表示するための表示用画像データを生成する表示用画像データ生成部を含む。制御部1は、表示用画像データに基づき、進捗画像8を表示部に表示させる。これにより、直前画像データを抽出後、迅速に表示用画像データを生成することができる。直前画像データの送信に追随して、進捗画像8を迅速かつリアルタイムに更新することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。