特許第6720902号(P6720902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6720902車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720902
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェア
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20200629BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20200629BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20200629BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20200629BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   H04Q9/00 331A
   G06F13/00 357A
   B60R16/02 630L
   G06F3/0484 120
   H04M1/00 U
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-50050(P2017-50050)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-157257(P2018-157257A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智章
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋之
【審査官】 藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−249104(JP,A)
【文献】 特開2015−115649(JP,A)
【文献】 特開2016−144065(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0048648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048−3/0489
13/00
H03J9/00−9/06
H04M1/00
1/24−1/82
99/00
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された複数の機器と、それら機器の動作を制御するために車両に搭載されたコンピュータとを備えており、ユーザーの携帯する情報端末が前記コンピュータに対し双方向通信可能に接続される車載機器の制御装置において、
前記情報端末は、前記コンピュータに対し接続された状態のとき、前記情報端末の操作パネルに対する操作に基づいて前記機器を動作させるためのアプリケーションソフトウェアを動作させるものであり、
前記アプリケーションソフトウェアは、車両に搭載される各機器のデータを取得する取得処理と、車両に搭載される各機器のうちユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を前記取得したデータを用いて識別する識別処理と、前記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を前記操作パネルに表示させる表示処理と、ユーザーが前記操作パネルに表示された前記操作系を操作したときの同操作に対応した指令信号を前記情報端末から前記コンピュータに出力する出力処理と、を実行するものであり、
前記コンピュータは、前記出力処理を通じて前記情報端末から出力された指令信号を入力すると、その指令信号に基づいてユーザーが操作しようとしている前記機器を動作させるものであり、
前記取得処理によって取得される各機器のデータは、車両上における各機器の三次元座標であり、
前記アプリケーションソフトウェアは、車両に対する情報端末の相対位置を確定する位置確定処理を実行するものであり、その位置確定処理を通じて車両に対する情報端末の相対位置が確定した後、前記識別処理を実行するものであり、
前記識別処理は、車両上における各機器の三次元座標、並びに、車両に対する前記情報端末の相対位置及びその変化態様に基づき、前記各機器のうちのユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものであることを特徴とする車載機器の制御装置。
【請求項2】
前記取得処理によって取得される各機器のデータは、車両に搭載される各機器の車種毎のデータのうちの前記情報端末が持ち込まれた車両のデータである請求項1に記載の車載機器の制御装置。
【請求項3】
前記取得処理によって取得される各機器のデータは、各機器に関係する画像データであり、
前記アプリケーションソフトウェアは、前記情報端末に設けられているカメラによって撮影された前記機器の実画像を取り込む画像取込処理を実行するものであり、その画像取込処理を通じて前記カメラにより撮影された前記機器の実画像を取り込んだ後、前記識別処理を実行するものであり、
前記識別処理は、前記取得処理によって取得された前記各機器に関係する画像データ、及び、前記画像取込処理によって取り込まれた前記機器の実画像に基づき、前記各機器のうちのユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものである請求項1又は2に記載の車載機器の制御装置。
【請求項4】
前記取得処理によって取得される各機器のデータには、各機器に関係する画像データが含まれており、
前記アプリケーションソフトウェアは、前記情報端末に設けられているカメラによって撮影された前記機器の実画像を取り込む画像取込処理を実行するものであり、その画像取込処理を通じて前記カメラにより撮影された前記機器の実画像を取り込むものであり、
前記識別処理は、車両上における各機器の三次元座標、並びに、車両に対する前記情報端末の相対位置及びその変化態様に基づき、前記各機器のうちのユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別することができないときには、前記取得処理によって取得された前記各機器に関係する画像データ、及び、前記画像取込処理によって取り込まれた前記機器の実画像に基づき、前記各機器のうちのユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものである請求項に記載の車載機器の制御装置。
【請求項5】
前記取得処理によって取得される各機器のデータには、各機器に関係する画像データが含まれており、
前記アプリケーションソフトウェアは、前記情報端末に設けられているカメラによって撮影された前記機器の実画像を取り込む画像取込処理を実行するものであり、その画像取込処理を通じて前記カメラにより撮影された前記機器の実画像を取り込んだ後、前記位置確定処理を実行するものであり、
前記位置確定処理は、前記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データと前記画像取込処理によって取り込まれた前記機器の実画像とに基づき、車両に対する情報端末の相対位置を確定するものである請求項又はに記載の車載機器の制御装置。
【請求項6】
車両には前記情報端末に対する充電を行うための充電台が設けられており、
前記位置確定処理は、前記充電台に前記情報端末がセットされたことに基づき、車両に対する情報端末の相対位置を確定するものである請求項又はに記載の車載機器の制御装置。
【請求項7】
車両及び前記情報端末はそれぞれ全地球測位システム及び電子コンパスを搭載しており、
前記位置確定処理は、車両側の全地球測位システム及び電子コンパスの測定データと前記情報端末側の全地球測位システム及び電子コンパスの測定データとに基づき、車両に対する情報端末の相対位置を確定するものである請求項又はに記載の車載機器の制御装置。
【請求項8】
前記表示処理は、
前記電子コンパスを通じて、前記操作パネルが縦長の状態で前記情報端末が保持されているのか、或いは、前記操作パネルが横長の状態で前記情報端末が保持されているのかを検知し、
前記操作パネルが縦長の状態で前記情報端末が保持されているときには、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を前記操作パネルに表示させるに当たり、同操作系を構成する複数の操作ボタンのうち、操作頻度が他の操作ボタンよりも高い操作ボタンを表示する一方、
前記操作パネルが横長の状態で前記情報端末が保持されているときには、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を前記操作パネルに表示させるに当たり、同操作系を構成する複数の操作ボタンのすべてを表示するものである請求項に記載の車載機器の制御装置。
【請求項9】
前記表示処理は、前記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を前記操作パネルに表示させる際、その操作系の操作説明及び詳細内容を確認するためのヘルプアイコンを併せて前記操作パネルに表示させる請求項1〜のいずれか一項に記載の車載機器の制御装置。
【請求項10】
車両に搭載された複数の機器の動作を制御するコンピュータに対し情報端末が接続されたときに動作され、前記情報端末の操作パネルに対する操作に基づいて同操作に対応した動作を前記機器に行わせるための指令信号を前記コンピュータに出力する車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアであって、
車両に搭載される各機器の車種毎のデータのうち前記情報端末が持ち込まれた車両のデータを取得する取得処理と、
車両に搭載される各機器のうちユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を前記取得したデータを用いて識別する識別処理と、
前記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を前記操作パネルに表示させる表示処理と、を実行するものであり、
前記取得処理によって取得される各機器のデータは、車両上における各機器の三次元座標であり、
前記アプリケーションソフトウェアは、車両に対する情報端末の相対位置を確定する位置確定処理を実行するものであり、その位置確定処理を通じて車両に対する情報端末の相対位置が確定した後、前記識別処理を実行するものであり、
前記識別処理は、車両上における各機器の三次元座標、並びに、車両に対する前記情報端末の相対位置及びその変化態様に基づき、前記各機器のうちのユーザーが前記情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものであることを特徴とする車載機器制御用のアプリケーションソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、各種の機器が搭載されているとともに、それら機器の動作を制御するためのコンピュータも搭載されている。また、ユーザーが携帯している情報端末(スマートフォンやタブレット型パーソナルコンピュータ等)の操作を通じて車両に搭載された機器を動作させたい要望があり、そうした要望を実現するために上記情報端末を上記コンピュータに対し接続するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、情報端末とコンピュータとを接続した状態のもと、制御用ソフトウェアの動作により、車両に搭載された機器を操作するための操作系が情報端末の操作パネル(タッチパネル等)に表示されるようになっている。そして、ユーザーが情報端末の操作パネルに表示された操作系を操作すると、車両に搭載された機器における上記操作に対応した動作がコンピュータによる制御を通じて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−214155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は車両に搭載される機器の数が多くなってきており、それら多くの機器を上記情報端末の操作を通じて動作させようとすると、各機器を操作するための操作系を数多く操作パネルに表示させたり、階層形式で表示させたりしなければならなくなる。これらの場合、ユーザーが所定の機器を動作させる際に、その機器に対応する操作系を操作するうえで細かな操作が必要とされたり、目的の操作系を情報端末の操作パネルに表示させることに手間がかかったりするようになる。その結果、ユーザーが情報端末の操作を通じて機器を動作させることが困難になる。
【0006】
本発明の目的は、ユーザーが情報端末の操作を通じて、車両に搭載された機器を容易に動作させることができる車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車載機器の制御装置では、車両に搭載された複数の機器と、それら機器の動作を制御するために車両に搭載されたコンピュータとを備えており、ユーザーの携帯する情報端末が上記コンピュータに対し双方向通信可能に接続される。上記情報端末は、コンピュータに対し接続された状態のとき、情報端末の操作パネルに対する操作に基づいて上記機器を動作させるためのアプリケーションソフトウェアを動作させるものとされる。このアプリケーションソフトウェアは、次の取得処理、識別処理、表示処理、及び出力処理といった各種の処理を実行するものとされる。上記取得処理は、車両に搭載される各機器のデータを取得する。上記識別処理は、車両に搭載される各機器のうちユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器を前記取得したデータを用いて識別する。上記表示処理は、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を情報端末の操作パネルに表示させる。上記出力処理は、ユーザーが操作パネルに表示された上記操作系を操作したときの同操作に対応した指令信号を情報端末からコンピュータに出力する。そして、コンピュータは、上記出力処理を通じて情報端末から出力された指令信号を入力すると、その指令信号に基づいてユーザーが操作しようとしている機器を動作させるよう構成されている。
【0008】
上記構成によれば、ユーザーによって車両に持ち込まれた情報端末が車両のコンピュータと接続されると、情報端末によるアプリケーションソフトウェアの動作を通じて、情報端末が持ち込まれた車両における各機器のデータが取得され、ユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器が上記取得したデータを用いて識別される。そして、ユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器が識別されると、その識別された機器に対応する操作系が情報端末の操作パネルに表示される。このため、ユーザーが情報端末を用いて所定の機器を動作させようとしているとき、その機器を識別して同機器に対応する操作系のみを情報端末の操作パネルに大きく表示させることが可能となる。このように操作系を情報端末の操作パネルに表示させることによって、同操作系を操作するうえで細かな操作が必要とされたり、目的の操作系を操作パネルに表示させることに手間がかかったりすることはなくなり、ユーザーが情報端末の操作を通じて車両に搭載された機器を容易に動作させることができるようになる。
【0009】
上記車載機器の制御装置において、上記取得処理によって取得される各機器のデータについては、車両に搭載される各機器の車種毎のデータのうちの情報端末が持ち込まれた車両のデータとすることが考えられる。
【0010】
この構成によれば、車両に搭載される各機器の車種毎のデータのうちから、情報端末が持ち込まれた車両のデータを取得するようにしているため、ユーザーが情報端末を持ち込んだ車両がいずれの車種であっても、その車種に対応した各機器のデータを取得することができる。従って、ユーザーが初めて乗る車両であっても、同ユーザーが携帯している情報端末を用いて、その車両に搭載された各種機器の操作を行うことができる。
【0011】
上記車載機器の制御装置において、上記取得処理によって取得される各機器のデータについては、各機器に関係する画像データとすることが考えられる。また、上記アプリケーションソフトウェアは、情報端末に設けられているカメラによって撮影された上記機器の実画像を取り込む画像取込処理を実行するものであり、その画像取込処理を通じて上記カメラにより撮影された上記機器の実画像を取り込んだ後、上記識別処理を実行するものとすることが考えられる。更に、上記識別処理は、上記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データ、及び、上記画像取込処理によって取り込まれた上記機器の実画像に基づき、各機器のうちのユーザーが上記情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものとすることが考えられる。
【0012】
上記構成によれば、各機器のうちユーザーが操作しようとしている機器を同ユーザーが情報端末のカメラで撮影すると、その撮影された機器の実画像、及び、取得処理によって取得された各機器に関係する画像データに基づき、ユーザーが操作しようとしている機器が識別される。そして、情報端末の操作パネルにはユーザーが操作しようとしている機器に対応した操作系が表示され、その操作系に対するユーザーの操作を通じて上記機器の動作が行われるようになる。
【0013】
上記車載機器の制御装置において、上記取得処理によって取得される各機器のデータは、車両上における各機器の三次元座標とすることが考えられる。また、上記アプリケーションソフトウェアは、車両に対する情報端末の相対位置を確定する位置確定処理を実行するものであり、その位置確定処理を通じて車両に対する情報端末の相対位置が確定した後、上記識別処理を実行するものとすることが考えられる。更に、上記識別処理は、車両上における各機器の三次元座標、並びに、車両に対する情報端末の相対位置及びその変化態様に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものとすることが考えられる。
【0014】
上記構成によれば、各機器のうちユーザーが操作しようとしている機器に対し同ユーザーが情報端末を向けると、そのときの情報端末の車両に対する相対位置及びその変化態様、並びに、取得処理によって取得された各機器の車両上における三次元座標に基づき、ユーザーが操作しようとしている機器が識別される。そして、情報端末の操作パネルにはユーザーが操作しようとしている機器に対応した操作系が表示され、その操作系に対するユーザーの操作を通じて上記機器の動作が行われるようになる。この場合、ユーザーが操作しようとしている機器に情報端末を向けるだけで、その機器に対応する操作系が情報端末の操作パネルに表示されるため、上記機器を動作させるための操作が一層容易になる。
【0015】
上記車載機器の制御装置において、上記取得処理によって取得される各機器のデータには、各機器に関係する画像データが含まれているものとすることが考えられる。また、上記アプリケーションソフトウェアは、情報端末に設けられているカメラによって撮影された機器の実画像を取り込む画像取込処理を実行するものであり、その画像取込処理を通じて上記カメラにより撮影された機器の実画像を取り込むものとすることが考えられる。更に、上記識別処理は、車両上における各機器の三次元座標、並びに、車両に対する前記情報端末の相対位置及びその変化態様に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別することができないときには、上記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データ、及び、上記画像取込処理によって取り込まれた機器の実画像に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器を識別するものとすることが考えられる。
【0016】
各機器のうちの所定の機器を操作ようとしてユーザーが同機器に対し情報端末を向けたとき、その情報端末を向けた方向に他の機器が存在している状況では、ユーザーが操作しようとしている機器を識別できない可能性がある。上記構成によれば、ユーザーが操作しようとしている機器に対し同ユーザーが情報端末を向けても上記機器を識別できないとき、ユーザーが情報端末のカメラで上記機器を撮影すると、その撮影された機器の実画像、及び、取得処理によって取得された各機器に関係する画像データに基づき、ユーザーが操作しようとしている機器が識別されるようになる。上述した状況のもとでも、ユーザーが操作しようとしている機器を識別し、その機器に対応した操作系を情報端末の操作パネルに表示させることができる。
【0017】
上記車載機器の制御装置において、上記取得処理によって取得される各機器のデータには、各機器に関係する画像データが含まれているものとすることが考えられる。また、上記アプリケーションソフトウェアは、情報端末に設けられているカメラによって撮影された機器の実画像を取り込む画像取込処理を実行するものであり、その画像取込処理を通じて上記カメラにより撮影された機器の実画像を取り込んだ後、上記位置確定処理を実行するものとすることが考えられる。更に、上記位置確定処理は、上記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データと上記画像取込処理によって取り込まれた上記機器の実画像とに基づき、車両に対する情報端末の相対位置を確定するものとすることが考えられる。
【0018】
上記車載機器の制御装置において、車両は情報端末に対する充電を行うための充電台が設けられているものとすることが考えられる。また、上記位置確定処理は、上記充電台に情報端末がセットされたことに基づき、車両に対する情報端末の相対位置を確定するものとすることが考えられる。
【0019】
上記車載機器の制御装置において、車両及び情報端末はそれぞれ全地球測位システム及び電子コンパスを搭載しているものとすることが考えられる。また、上記位置確定処理は、車両側の全地球測位システム及び電子コンパスの測定データと情報端末側の全地球測位システム及び電子コンパス測定データとに基づき、車両に対する情報端末の相対位置を確定するものとすることが考えられる。
【0020】
上記車載機器の制御装置において、上記表示処理は、次のように実行されるものとすることが考えられる。すなわち、電子コンパスを通じて、操作パネルが縦長の状態で情報端末が保持されているのか、或いは、操作パネルが横長の状態で情報端末が保持されているのかを検知する。そして、操作パネルが縦長の状態で情報端末が保持されているときには、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を操作パネルに表示させるに当たり、同操作系を構成する複数の操作ボタンのうち、操作頻度が他の操作ボタンよりも高い操作ボタンを表示する。一方、操作パネルが横長の状態で前記情報端末が保持されているときには、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を操作パネルに表示させるに当たり、同操作系を構成する複数の操作ボタンのすべてを表示する。
【0021】
上記構成によれば、操作パネルが縦長の状態で情報端末がユーザーにより保持されているか、操作パネルが横長の状態で情報端末がユーザーにより保持されているかに応じて、操作パネルに表示させる操作系の操作ボタンの数の適正値が変わってくるが、それに応じて操作パネルに表示される操作ボタンの数を変更することができる。
【0022】
上記車載機器の制御装置において、上記表示処理は、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を操作パネルに表示させる際、その操作系の操作説明及び詳細内容を確認するためのヘルプアイコンを併せて操作パネルに表示させるものとすることが考えられる。
【0023】
この構成によれば、ユーザーが操作しようとしている機器に対応した操作系を操作パネルに表示したとき、同操作系の操作の仕方や操作の意味が分からない場合には、操作パネルに表示されたヘルプアイコンを操作することにより、上記操作系の操作説明及び詳細内容を確認することができる。従って、情報端末の操作パネルに対する操作を通じて車両に搭載された機器を動作させることに慣れていないユーザーであっても、情報端末の操作による記機器の動作を行うことができる。
【0024】
上記課題を解決する車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアは、車両に搭載された複数の機器の動作を制御するコンピュータに対し情報端末が接続されたときに動作され、情報端末の操作パネルに対する操作に基づいて同操作に対応した動作を上記機器に行わせるための指令信号を前記コンピュータに出力する。アプリケーションソフトウェアは、次の取得処理、識別処理、及び表示処理を実行する。上記取得処理は、車両に搭載される各機器の車種毎のデータのうち情報端末が持ち込まれた車両のデータを取得する。上記識別処理は、車両に搭載される各機器のうちユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器を前記取得したデータを用いて識別する。上記表示処理は、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系を情報端末の操作パネルに表示させる。そして、ユーザーが操作パネルに表示された上記操作系を操作したときの同操作に対応した指令信号がコンピュータに出力されると、コンピュータは上記指令信号に基づいてユーザーが操作しようとしている機器を動作させる。
【0025】
上記構成によれば、ユーザーによって車両に持ち込まれた情報端末が車両のコンピュータに接続されると、その情報端末によるアプリケーションソフトウェアの動作を通じて、情報端末が持ち込まれた車両における各機器のデータが取得され、ユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器が上記取得したデータを用いて識別される。そして、ユーザーが情報端末を用いて動作させようとしている機器が識別されると、その識別された機器に対応する操作系が情報端末の操作パネルに表示される。このため、ユーザーが情報端末を用いて所定の機器を動作させようとしているとき、その機器を識別して同機器に対応する操作系のみを情報端末の操作パネルに大きく表示させることが可能となる。このように操作系を情報端末の操作パネルに表示させることによって、同操作系を操作するうえで細かな操作が必要とされたり、目的とする操作系を操作パネルに表示させることに手間がかかったりすることはなくなり、ユーザーが情報端末の操作を通じて車両に搭載された機器を容易に動作させることができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ユーザーが情報端末の操作を通じて、車両に搭載された機器を容易に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアが適用される車両全体を示す略図。
図2】同制御装置の電気的構成を示すブロック図。
図3】上記アプリケーションソフトウェアの動作時における各種処理の実行手順を示すフローチャート。
図4】情報端末のタッチパネルに空調装置の操作系が表示されている状態を示す正面図。
図5】情報端末のタッチパネルに空調装置の操作系が表示されている状態を示す正面図。
図6】情報端末のタッチパネルに後部モニタの操作系が表示されている状態を示す正面図。
図7】情報端末のタッチパネルに後部モニタの操作系が表示されている状態を示す正面図。
図8】上記アプリケーションソフトウェアの動作時における各種処理の実行手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアの第1実施形態について図1図7を参照して説明する。
【0029】
図1に示すように、車両1内の前部にはドライビングシート2及びパッセンジャーシート3が車幅方向(図1の左右方向)に並ぶように設けられている。更に、ドライビングシート2及びパッセンジャーシート3の後側(図1の下側)には複数のセカンドシート4,5が車幅方向に並ぶように設けられており、それらセカンドシート4,5の後側には複数のサードシート6,7が車幅方向に並ぶように設けられている。
【0030】
車両1におけるドライビングシート2及びパッセンジャーシート3よりも前側(図1の上側)の部分には、ユーザーに対し車両1を運転する際のサポート情報として、例えば地図情報や現在位置などの位置情報を提供するナビゲーション装置8が設けられている。このナビゲーション装置8は、車両1の現在位置を検知するための全地球測位システム(GPS)9、及び、車両1の方位及び水平面に対する傾きを検知するための三軸タイプの電子コンパス10を備えている。
【0031】
車両1におけるドライビングシート2とパッセンジャーシート3との間には、ユーザーが携帯する情報端末(この例ではスマートフォン)11に対する充電を行うための充電台12が設けられている。上記情報端末11は、操作パネル(この例ではタッチパネル)18及びカメラ19を備えているとともに、ナビゲーションシステムと同様に、全地球測位システム(GPS)20、及び、三軸タイプの電子コンパス21も備えている。
【0032】
車両1におけるセカンドシート4,5とドライビングシート2及びパッセンジャーシート3との間には、セカンドシート4,5及びサードシート6,7に座ったユーザーから視認可能な後部モニタ13が設けられている。セカンドシート4の右側には、車両1内の空調を行う空調装置14の空気吹き出し口15、及び、車両1内を照らすための照明装置16が設けられている。
【0033】
セカンドシート4,5及びサードシート6,7はモータの駆動を通じてリクライニング動作等の各種動作が可能となっており、各シート4〜7の近傍にはそれぞれ対応するシート4〜7に対し上記各種動作を行わせる際にユーザーによって操作される操作パネル4a〜7aが設けられている。また、車両1には、同車両1に搭載された機器であるセカンドシート4,5、サードシート6,7、ナビゲーション装置8、後部モニタ13、空調装置14、及び照明装置16等々の動作を制御するためのコンピュータ17が搭載されている。
【0034】
次に、車両1に搭載された各種機器を制御するための制御装置の電気的構成について説明する。
図2に示すように、同装置は上記コンピュータ17を備えている。コンピュータ17は、充電台12と接続されており、その充電台12に情報端末11がセットされたことを検知可能となっている。コンピュータ17とユーザーが携帯する情報端末11とは無線による双方向通信を通じて接続可能となっている。また、コンピュータ17には、全地球測位システム9からの車両1の現在位置に関する情報、及び、電子コンパス10からの車両1の方位及び水平面に対する傾きに関する情報が入力される。
【0035】
情報端末11は、コンピュータ17と接続されたとき、タッチパネル18に対する操作に基づいて車両1に搭載された各種の機器を動作させるためのアプリケーションソフトウェアを動作させる。このアプリケーションソフトウェアは、情報端末11の記憶部に格納(記憶)されていてもよいし、コンピュータ17の記憶部に格納(記憶)されていてもよい。情報端末11によって動作された上記アプリケーションソフトウェアは、情報端末11のタッチパネル18に対するユーザーによる操作に基づいて同操作に対応した動作を上記機器に行わせるための指令信号をコンピュータ17に出力する。
【0036】
コンピュータ17は、情報端末11からの指令信号を入力すると、その指令信号に基づいて車両1に搭載された各種の機器、すなわちセカンドシート4,5、サードシート6,7、ナビゲーション装置8、後部モニタ13、空調装置14、及び照明装置16のうち、ユーザーが操作しようとしている機器の駆動回路に対し上記指令信号を出力する。これにより、ユーザーが操作しようとしている機器において情報端末11のタッチパネル18に対するユーザーによる操作に対応した動作が行われるよう、上記機器の動作がコンピュータ17を通じて制御される。
【0037】
次に、上記アプリケーションソフトウェアの動作態様について詳しく説明する。
図3は、このアプリケーションソフトウェアの動作時における各種処理の実行手順を示すフローチャートである。同図から分かるように、上記各種処理として、ステップ101(S101)の取得処理、S102の画像取込処理、S103の識別処理、S104の表示処理、及びS105の出力処理が実行される。以下、上記各処理の詳細について列記する。
【0038】
[取得処理(S101)]
アプリケーションソフトウェアの動作時には、まずS101の取得処理として、車両に搭載される各機器の車種毎のデータのうち、情報端末11が持ち込まれた車両1のデータを取得する。詳しくは、情報端末11とコンピュータ17とが接続されたとき、コンピュータ17から車両1の車種に関する情報が情報端末11に送信される一方、情報端末11は上記車種に関する情報に基づき車両1の車種に対応した各機器のデータをアプリケーションソフトウェアのデーターベースから取得する。
【0039】
このように取得される各機器のデータとしては、例えば車両1の各機器(この例ではセカンドシート4,5、サードシート6,7、ナビゲーション装置8、後部モニタ13、空調装置14、及び照明装置16)に関係する画像データがあげられる。詳しくは、セカンドシート4,5及びサードシート6,7における操作パネル4a〜7a、ナビゲーション装置8、後部モニタ13、空調装置14の空気吹き出し口15、並びに照明装置16の外形形状のデータが上記画像データとして用いられる。
【0040】
[画像取込処理(S102)]
この処理は、ユーザーが車両1に搭載された各機器のうちの操作しようとしている機器を情報端末11のカメラ19で撮影したとき、その撮影された機器の実画像を取り込むためのものである。すなわち、ユーザーが操作しようとしている機器、セカンドシート4,5及びサードシート6,7における操作パネル4a〜7a、ナビゲーション装置8、後部モニタ13、空調装置14の空気吹き出し口15、並びに照明装置16のうちのいずれかを撮影すると、撮影した機器の実画像が取り込まれる。
【0041】
[識別処理(S103)]
この処理については、情報端末11のカメラ19で撮影された機器の実画像が上記画像取込処理(S102)によって取り込まれた後に実行される。この識別処理では、車両1に搭載される各機器のうちユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器を、上記取得処理を通じて取得したデータ(画像データ)を用いて識別する。詳しくは、上記取得処理によって取得した各機器の画像データ(外形形状のデータ)と、上記画像取込処理によって取り込まれた機器の実画像とに基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器を識別する。すなわち、取得した各機器の外形形状のデータのうち、取り込まれた機器の実画像の外形形状と同一であると見なせるものを、ユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器であると識別する。
【0042】
[表示処理(S104)]
この処理では、上記識別処理によって識別された機器を操作するための操作ボタン等から構成される操作系を情報端末11のタッチパネル18に表示させる。詳しくは、上記操作系は車両1に搭載される各機器毎に用意されており、各機器毎の操作系のうち上記識別処理によって識別された機器に対応した操作系が選択され、タッチパネル18に表示される。このときの上記操作系の操作ボタンについては、タッチパネル18上に表示されている機器の画像、すなわちユーザーが操作しようとしている機器の画像に重ねて表示されるようにすることが好ましい。
【0043】
なお、図4は、ユーザーが空調装置14を操作しようとして同装置14の空気吹き出し口15を情報端末11のカメラ19で撮影したときのタッチパネル18の表示態様を示している。このときのタッチパネル18には、ユーザーが空調装置14を操作するための操作系、詳しくは同操作系を構成する操作ボタン22,23,24が表示される。また、ユーザーが操作しようとしている機器の操作系がタッチパネル18に表示されているときには、その操作系の操作説明及び詳細内容を確認するためのヘルプアイコン31が表示される。すなわち、表示処理では、ユーザーが操作しようとしている機器の操作系をタッチパネル18に表示させる際、上記ヘルプアイコン31を併せて表示させるようにしている。そして、このヘルプアイコン31をユーザーがタップすると、タッチパネル18に表示された操作系の操作説明及び詳細内容が表示される。
【0044】
また、表示処理では、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11が保持されているのか、或いは、タッチパネル18が横長の状態で情報端末11が保持されているのかに応じて、タッチパネル18における操作系の操作ボタンの表示のさせ方を変えるようにしている。
【0045】
詳しくは、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11が保持されているのか、或いは、タッチパネル18が横長の状態で情報端末11が保持されているのかを、情報端末11の電子コンパス21を通じて検知する。そして、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11が保持されているときには、上記識別処理によって識別された機器に対応する操作系をタッチパネル18に表示させるに当たり、同操作系を構成する複数の操作ボタンのうち、操作頻度が他の操作ボタンよりも高い操作ボタンを表示する。一方、タッチパネル18が横長の状態で情報端末11が保持されているときには、上記操作系を構成する複数の操作ボタンのすべてを表示する。
【0046】
ちなみに、図4及び図5は、空調装置14の操作系をタッチパネル18に表示した状態を示している。タッチパネル18が横長の状態で情報端末11が保持されている場合には、図5に示すように空調装置14の操作系を構成する複数の操作ボタン22〜30のすべてが表示される。一方、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11が保持されている場合には、図4に示すように空調装置14の操作系を構成する複数の操作ボタン22〜30(図5)のうち、操作頻度が他の操作ボタン25〜30よりも高い操作ボタン22,23,24が表示される。
【0047】
また、図6及び図7は、後部モニタ13の操作系をタッチパネル18に表示した状態を示している。タッチパネル18が横長の状態で情報端末11が保持されている場合には、図7に示すように後部モニタ13の操作系を構成する複数の操作ボタン32〜39のすべてが表示される。一方、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11が保持されている場合には、図6に示すように後部モニタ13の操作系を構成する複数の操作ボタン32〜39(図7)のうち、操作頻度が他の操作ボタン34〜39よりも高い操作ボタン32,33が表示される。
【0048】
[出力処理(S105)]
この処理では、ユーザーがタッチパネル18に表示された操作系を操作したときの同操作に対応した指令信号を情報端末11からコンピュータ17に出力する。そして、コンピュータ17は、情報端末11から出力された指令信号を入力すると、その指令信号に基づいてユーザーが操作しようとしている機器を動作させる。
【0049】
次に、本実施形態における車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションプログラムの作用効果について述べる。
(1)ユーザーによって車両1に持ち込まれた情報端末11が車両1のコンピュータ17と接続されると、情報端末11によるアプリケーションソフトウェアの動作を通じて、情報端末11が持ち込まれた車両1における各機器に関係する画像データ、詳しくは各機器の外形形状のデータが取得される。そして、ユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器が上記取得したデータを用いて識別される。詳しくは、各機器のうちユーザーが操作しようとしている機器を同ユーザーが情報端末11のカメラ19で撮影すると、その撮影された機器の実画像、及び、上記取得された各機器の外形形状のデータに基づき、ユーザーが操作しようとしている機器が識別される。
【0050】
そして、ユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器が識別されると、その識別された機器に対応する操作系が情報端末11のタッチパネル18に表示される。このため、ユーザーが情報端末11を用いて所定の機器を動作させようとしているとき、その機器を識別して同機器に対応する操作系のみを情報端末11のタッチパネル18に大きく表示させることが可能となる。このように操作系をタッチパネル18に表示させることによって、同操作系を操作するうえで細かな操作が必要とされたり、目的の操作系をタッチパネル18に表示させることに手間がかかったりすることはなくなり、ユーザーが情報端末11の操作を通じて車両1に搭載された機器を容易に動作させることができるようになる。
【0051】
(2)タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11がユーザーにより保持されているか、或いはタッチパネル18が横長の状態で情報端末11がユーザーにより保持されているかに応じて、タッチパネル18に表示させる操作系の操作ボタンの数の適正値が変わってくる。すなわち、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11がユーザーにより保持されている場合には、タッチパネル18上における操作ボタンを横に並べるための表示領域が小さくなるため、操作頻度が高い操作ボタンのみを表示させることが好ましい。一方、タッチパネル18が横長の状態で情報端末11がユーザーにより保持されている場合には、タッチパネル18上における操作ボタンを横に並べるための表示領域が大きくなるため、機器の操作に関わる操作ボタンすべてを表示させることが好ましい。
【0052】
こうしたことを考慮して、タッチパネル18が縦長の状態で情報端末11がユーザーにより保持されている場合には、操作系を構成する複数の操作ボタンのうち、操作頻度が他の操作ボタンよりも高い操作ボタンを表示する。一方、タッチパネル18が横長の状態で情報端末11が保持されているときには、操作系を構成する複数の操作ボタンすべてを表示する。これにより、タッチパネル18に表示させる操作系の操作ボタンの数の適正値が情報端末11の持ち方によって変わるとしても、それに応じてタッチパネル18に表示される操作ボタンの数を変更することができる。
【0053】
(3)ユーザーが操作しようとしている機器に対応した操作系をタッチパネル18に表示したとき、同操作系の操作の仕方や操作の意味が分からない場合には、タッチパネル18に表示されたヘルプアイコン31をタップすることにより、上記操作系の操作説明及び詳細内容を確認することができる。従って、情報端末11のタッチパネル18に対する操作を通じて車両1に搭載された機器を動作させることに慣れていないユーザーであっても、情報端末11の操作による記機器の動作を行うことができる。
【0054】
(4)アプリケーションソフトウエアの動作時における取得処理では、車両に搭載された各機器の車種毎のデータ(画像データ)のうち、情報端末11が持ち込まれた車両1のデータを取得するようにしているため、ユーザーが情報端末11を持ち込んだ車両1がいずれの車種であっても、その車種に対応した各機器のデータを取得することができる。このため、ユーザーが初めて乗る車両1であっても、同ユーザーが携帯している情報端末11(この例ではスマートフォン)を用いて、その車両1に搭載された各種機器の操作を行うことができる。従って、カーシェアの利用時や外国での車両1の利用時などにおいて、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0055】
(5)車両1のモデルチェンジによって各種機器の搭載位置等が変化したとしても、そうした変化に対しアプリケーションソフトウェアのアップデートで対応することができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションソフトウェアの第2実施形態について図8を参照して説明する。
【0057】
図8は、この実施形態におけるアプリケーションソフトウェアの動作時の各種処理の実行手順を示すフローチャートである。この実施形態では、上記各種処理として、取得処理(S201)、画像取込処理(S202)、位置確定処理(S203)、識別処理(S204)、表示処理(S205)、及び出力処理(S206)が実行される。以下、上記各処理の詳細について説明する。
【0058】
[取得処理(S201)]
この処理では、情報端末11とコンピュータ17とが接続されたとき、コンピュータ17から車両1の車種に関する情報が情報端末11に送信される一方、情報端末11は上記車種に関する情報に基づき車両1の車種に対応した各機器のデータをアプリケーションソフトウェアのデーターベースから取得する。このように取得される各機器のデータとして、この例では車両1上における各機器の三次元座標、及び、第1実施形態と同様の各機器の画像データ(外形形状のデータ)が用いられる。詳しくは、セカンドシート4,5及びサードシート6,7における操作パネル4a〜7a、ナビゲーション装置8、後部モニタ13、空調装置14の空気吹き出し口15、並びに照明装置16についての車両1上での三次元座標及び画像データ(外形形状のデータ)が、上記取得されるデータとして用いられる。なお、車両1における機器の三次元座標とは、その機器における車両1に対する前後方向、左右方向、及び上下方向についての座標を表している。
【0059】
[画像取込処理(S202)]
この処理では、第1実施形態と同様、ユーザーが車両1に搭載された各機器のうちの操作しようとしている機器を情報端末11のカメラ19で撮影したとき、その撮影された機器の実画像が取り込まれる。
【0060】
[位置確定処理(S203)]
この処理は、車両1に対する情報端末11の相対位置を確定するためのものであって、情報端末11のカメラ19で撮影された機器の実画像が上記画像取込処理によって取り込まれた後に実行される。なお、ここでの車両1に対する情報端末11の相対位置には、同情報端末11の車両1に対する前後方向、左右方向、及び上下方向についての相対的な位置、並びに、車両1に対する相対的な方位及び傾斜が含まれている。車両1に対する情報端末11の相対位置を確定する手法としては、次の三つの手法(A)、(B)、(C)のうちのいずれかを採用することが考えられる。
【0061】
(A)上記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データ(外形形状のデータ)と前記画像取込処理によって取り込まれた機器の実画像とに基づき、車両1に対する情報端末11の相対位置を確定する。詳しくは、取得した各機器の外形形状のデータのうち、取り込まれた機器の実画像の外形形状と同一であると見なせるものがある場合、車両1における上記機器を撮影可能な場所に情報端末11が位置していることを意味する。そして、車両1における上記機器を撮影可能な場所に情報端末11が位置しているものとし、そのときの車両1に対する情報端末11の相対位置が上記機器の車両1に対する三次元座標に基づいて確定される。
【0062】
(B)上記充電台12に情報端末11がセットされたことに基づき、車両1に対する情報端末11の相対位置を確定する。詳しくは、車両1において充電台12の位置は決まっていることから、その充電台12に対し情報端末11がセットされたときには同情報端末11が車両1における充電台12に対応した位置にあることを意味する。そして、このときの車両1に対する情報端末11の相対位置が車両1に対する充電台12の相対位置に基づいて確定される。
【0063】
(C)車両1側の全地球測位システム9及び電子コンパス10の測定データと情報端末11側の全地球測位システム20及び電子コンパス21の測定データとに基づき、車両1に対する情報端末11の相対位置を確定する。
【0064】
[識別処理(S204)]
この処理は、上記位置確定処理によって車両1に対する情報端末11の相対位置が確定された後に実行されるものであって、車両1上における各機器の三次元座標、並びに、車両1に対する情報端末11の相対位置及びその変化態様に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器を識別する。詳しくは、ユーザーは、操作しようとしている機器に対し、情報端末11のカメラ19を向けるよう同情報端末11を動かす。このときの車両1に対する情報端末11の相対位置及びその変化態様、並びに、車両1上における各機器の三次元座標に基づき、ユーザーが情報端末11のカメラ19を向けようとしている機器、すなわちユーザーが操作しようとしている機器が識別される。
【0065】
ところで、各機器のうちの所定の機器を操作しようとしてユーザーが同機器に対し情報端末11のカメラ19を向けたとき、その情報端末11を向けた方向に他の機器が存在しているような状況では、ユーザーが操作しようとしている機器を識別できない可能性がある。こうしたことに対処するため、上記識別処理においては、車両1上における各機器の三次元座標、及び、車両1に対する情報端末の相対位置及びその変化態様に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器を識別することができないときには、次のように上記機器の識別を行う。
【0066】
すなわち、上記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データ(外形形状のデータ)、及び、上記画像取込処理によって取り込まれた上記機器の実画像に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器を識別する。詳しくは、取得した各機器の外形形状のデータのうち、取り込まれた機器の実画像の外形形状と同一であると見なせるものを、ユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器であると識別する。
【0067】
[表示処理(S205)]
この処理では、第1実施形態と同様、上記識別処理によって識別された機器を操作するための操作系を情報端末11のタッチパネル18に表示させる。
【0068】
[出力処理(S206)]
この処理では、第1実施形態と同様、ユーザーがタッチパネル18に表示された操作系を操作したときの同操作に対応した指令信号を情報端末11からコンピュータ17に出力する。コンピュータ17は、情報端末11から出力された指令信号を入力すると、その指令信号に基づいてユーザーが操作しようとしている機器を動作させる。
【0069】
次に、本実施形態における車載機器の制御装置及び車載機器制御用のアプリケーションプログラムの作用効果について述べる。
(6)各機器のうちユーザーが操作しようとしている機器に対し同ユーザーが情報端末11のカメラ19を向けると、そのときの情報端末11の車両1に対する相対位置及びその変化態様、並びに、取得処理によって取得された各機器の車両1上における三次元座標に基づき、ユーザーが操作しようとしている機器が識別される。そして、情報端末11のタッチパネル18にはユーザーが操作しようとしている機器に対応した操作系が表示され、その操作系に対するユーザーの操作を通じて上記機器の動作が行われるようになる。この場合、ユーザーが操作しようとしている機器に情報端末11のカメラ19を向けるだけで、その機器に対応する操作系が情報端末11のタッチパネル18に表示されるため、上記機器を動作させるための操作が一層容易になる。また、ユーザーが操作しようとしている機器が識別にカメラ19を用いる場合のように外光の影響を受けることもない。
【0070】
(7)ユーザーが操作しようとしている機器に対し同ユーザーが情報端末11を向けても上記機器を識別できないことがある。このようなとき、ユーザーが情報端末11のカメラ19で上記機器を撮影すると、その撮影された機器の実画像、及び、取得処理によって取得された各機器に関係する画像データ(外形形状のデータ)に基づき、ユーザーが操作しようとしている機器が識別されるようになる。このため、所定の機器を操作しようとしてユーザーが同機器に対し情報端末11のカメラ19を向けたとき、その情報端末11を向けた方向に他の機器が存在しているような状況であって、ユーザーが操作しようとしている機器を識別できない場合にも、その機器を識別して同機器に対応した操作系をタッチパネル18に表示させることができる。
【0071】
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ヘルプアイコン31については、必ずしも表示させる必要はない。
【0072】
・タッチパネル18を縦長となるように保持するか情報端末11を保持するか、横長となるように保持するかに応じて、タッチパネル18に表示させる操作ボタン及びその数を変えるようにしたが、こうしたことは必須ではない。
【0073】
・上記取得処理によって取得される各機器に関係する画像データとして、各機器の外形形状のデータを用いたが、各機器の近傍に固有の二次元コード等をプリントしておくとともに、それら二次元コードを各機器に関係する画像データとして用いるようにしてもよい。
【0074】
この場合、上記画像取込処理において、ユーザーが操作しようとしている機器を情報端末11のカメラ19で撮影したとき、その機器の近傍にある二次元コードを含めて同機器の実画像が撮影され、その実画像が取り込まれるようになる。そして、上記識別処理では、上記取得処理によって取得した各機器の画像データ(二次元コード)と、上記画像取込処理によって取り込まれた機器の実画像(二次元コードを含む)とに基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器が識別される。すなわち、取得した各機器の二次元コードのうち、取り込まれた機器の実画像中の二次元コードと同一となるものがある場合、その二次元コードに対応する機器が情報端末11を用いてユーザーが動作させようとしている機器であると識別される。
【0075】
・第1実施形態及び第2実施形態の取得処理において、アプリケーションソフトウェアを車両1のコンピュータ17の記憶部に格納した場合、アプリケーションソフトウェアには必ずしも車両に搭載された各機器の車種毎のデータに関するデーターベースを設定する必要はない。すなわち、この場合にはアプリケーションソフトウェアが格納された車両1に関する各機器のデータのみが同アプリケーションソフトウェアに設定されていればよく、そのデータが上記取得処理を通じて取得されるようにすればよい。
【0076】
・第2実施形態の識別処理において、上記取得処理によって取得された各機器に関係する画像データ、及び、上記画像取込処理によって取り込まれた機器の実画像に基づき、各機器のうちのユーザーが情報端末11を用いて動作させようとしている機器を識別することについては、必ずしも実行する必要はない。
【0077】
・車両1側に設けられている各機器の操作系(操作ボタン等)を省略してもよい。この場合、操作ボタン等を省略した分、車両1をコストダウンさせたり車両1の部品点数を削減したりすることができる。
【0078】
・アプリケーションソフトウェアの表示処理は、ユーザーが操作しようとしている機器の動作状態を情報端末11のタッチパネル18に表示させるものであってもよい。この場合、機器側にその動作状態を表示しなくても、情報端末11のタッチパネル18に上記機器の動作状態を表示させて確認することができる。
【0079】
・情報端末11としてスマートフォンを例示したが、それ以外の情報端末を用いてもよい。例えば、タブレット型パーソナルコンピュータを情報端末11として用いることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…車両、2…ドライビングシート、3…パッセンジャーシート、4…セカンドシート、4a…操作パネル、5…セカンドシート、5a…操作パネル、6…サードシート、6a…操作パネル、7…サードシート、7a…操作パネル、8…ナビゲーション装置、9…全地球測位システム、10…電子コンパス、11…情報端末、12…充電台、13…後部モニタ、14…空調装置、15…空気吹き出し口、16…照明装置、17…コンピュータ、18…タッチパネル、19…カメラ、20…全地球測位システム、21…電子コンパス、22〜30…操作ボタン、31…ヘルプアイコン、32〜39…操作ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8