(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
参拝対象物を保管する複数の保管部と、参拝者による参拝が行われる参拝部と、前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝設備であって、
前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置される仕切壁と、
前記参拝用支持位置と前記参拝位置とが並ぶ方向に沿って並んで配置された複数の枠体と、
光透過率を調節可能な調光部材を用いて構成された窓部材と、
光量を調節可能な照明装置と、
前記窓部材の光透過率及び前記照明装置の光量を制御する制御装置と、を備え、
前記仕切壁における前記参拝用支持位置に支持された前記参拝対象物が対向する部分に、前記参拝者が当該参拝対象物を視認するための参拝窓が形成され、
前記参拝窓には、前記窓部材が配置され、
前記照明装置は、前記参拝用支持位置に支持された前記参拝対象物に光が当たる位置に配置され、
前記参拝窓は、前記参拝用支持位置の側から前記参拝位置の側へ向かうに従って段階的に開口面積が大きくなる複数の開口部を備え、
前記複数の開口部のそれぞれは、前記複数の枠体のうち対応する枠体を貫通するように形成され、
前記参拝用支持位置と前記参拝位置とが並ぶ方向に見て、前記複数の開口部のうち前記参拝位置の側に配置された開口部は、前記参拝用支持位置の側において当該開口部に隣接して配置される開口部の全体を含むように形成され、
前記窓部材は、前記複数の開口部の少なくとも1つに配置され、
前記制御装置は、前記搬送装置の搬送作動による前記参拝対象物の前記参拝用支持位置への到着に合わせて、前記窓部材の光透過率の増加、及び、前記照明装置の光量の増加の少なくとも一方を行う参拝設備。
【発明を実施するための形態】
【0009】
参拝設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、参拝設備1は、参拝対象物10を保管する複数の保管部65と、参拝者Pによる参拝が行われる参拝部6と、保管部65と参拝部6に設けられた参拝用支持位置30との間で参拝対象物10を搬送する搬送装置20と、を備えた設備である。参拝設備1は、搬送装置20の作動を制御する制御装置5(
図4参照)を備えており、搬送装置20は、制御装置5による制御を受けて、参拝者Pが参拝しようとする参拝対象物10を保管部65から参拝用支持位置30に搬送すると共に、参拝が終了した参拝対象物10を参拝用支持位置30から保管部65に搬送する。
【0010】
図2に1つの参拝対象物10の側壁部を切り欠いてその内部を示すように、参拝対象物10は、遺骨が納められた骨壺を収納物2とする収納容器(厨子)であり、収納物2の収容空間を形成する箱状(本例では直方体状)に形成されている。収納物2としての骨壺には、故人又はペットの遺骨(以下、単に「遺骨」という。)が納められる。収納物2は、骨袋等の骨壺以外の入れ物とすることもできる。また、収納物2(又は収納物2に納められるもの)は、故人又はペットの遺灰(以下、単に「遺灰」という。)、遺骨及び遺灰の少なくとも一方を含有する製造物(例えば、位牌や仏像等)、遺骨も遺灰も含有しない製造物(例えば、位牌や仏像等)、故人やペットの遺品等の、遺骨以外のものであっても良い。
【0011】
図3に示すように、参拝対象物10は、収納物2に関係のある情報が記された板状体3を有している。なお、板状体3は、
図3及び後に参照する
図6、
図7のみに示し、これら以外の図面では、板状体3を省略して参拝対象物10を簡略化して示している。板状体3は、参拝対象物10における収納物2の収容空間を形成する本体部(箱状部)の側面(側壁部の外面)に取り付けられている。参拝対象物10の本体部は、例えば金属材料(ステンレス等)により形成され、板状体3は、例えば石材により形成される。収納物2に関係のある情報は、文字、図形、記号、又はこれらの組み合わせ等によって表され、板状体3の表面(参拝対象物10の本体部に取り付けられた状態で外側を向く面)に彫刻や印刷等により記される。収納物2に関係のある情報として、故人の家名(名字)、故人の家紋、故人の好きな言葉を例示することができる。
【0012】
図2に示すように、参拝部6には、上下方向Zに延びる仕切壁50が設けられている。仕切壁50は、参拝者Pが参拝を行う参拝位置Sと参拝用支持位置30とを、水平面に沿う第一方向Xにおける仕切位置51(
図1、
図2参照)で仕切るように配置されている。そして、仕切壁50における参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10が第一方向Xに対向する部分に、参拝者Pが当該参拝対象物10を視認するための参拝窓52(参拝用の開口部)が形成されている。よって、参拝者Pは、参拝を行う際に、参拝窓52を通して参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10を目視することができる。参拝窓52は、板状体3の形状及び寸法に合わせて形成され、ここでは矩形状に形成されている。
図1〜
図3に示すように、参拝窓52には窓部材8が配置されている。窓部材8の詳細については後述する。
【0013】
第一方向Xにおける参拝用支持位置30に対して参拝窓52が位置する側(言い換えれば、第一方向Xにおける後述する参拝用支持部31に対して参拝窓52が位置する側)を第一側X1とし、第一側X1とは反対側を第二側X2とすると、
図3に示すように、参拝対象物10は、板状体3が第一側X1となる向きで参拝用支持位置30に支持される。よって、参拝者Pは、参拝窓52を通して、参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10の板状体3を目視することができる。
【0014】
図1及び
図2に示すように、第一方向Xの同じ位置に配置された複数の保管部65によって保管棚60が形成されている。1つの保管棚60を形成する複数の保管部65は、上下方向Zに複数段且つ第二方向Y(水平面において第一方向Xに直交する方向)に複数列配置されている。すなわち、保管棚60は、棚奥行方向が第一方向Xとなり且つ棚横幅方向が第二方向Yとなる向きで設置されている。保管棚60は、上下方向Zに延びる複数の支柱64と、第一方向Xに延びる複数の腕木63(板状部材)とを備えている。腕木63のそれぞれは、第一方向Xに並ぶ一対の支柱64のそれぞれに固定されている。保管部65は、支柱64によって第二方向Yに区画されると共に、腕木63によって上下方向Zに区画されている。
図1に示すように、参拝対象物10は、第二方向Yに離間して配置された一対の腕木63によって下方から支持された状態で、保管部65に保管される。1つの保管部65には1つの参拝対象物10が保管される。保管棚60は、第一方向Xに互いに対向するように一対設けられている。以下では、一対の保管棚60のうち、第一側X1に配置される保管棚60を第一保管棚61とし、第二側X2に配置される保管棚60を第二保管棚62とする。
【0015】
参拝設備1は、一対の保管棚60の側周囲(上下方向視での周囲)を囲む壁体7を備えており、搬送装置20は、壁体7によって囲まれた領域の内部において参拝対象物10を搬送する。
図1〜
図3に示すように、壁体7における参拝部6に配置される壁部(参拝位置Sと参拝用支持位置30とを仕切る部分)は、仕切壁50に対して第一側X1に配置されており、当該壁部における参拝窓52が第一方向Xに対向する部分に開口部7aが形成されている。開口部7aは、第一方向Xに見て参拝窓52の全体を含むように形成されており、参拝者Pは、開口部7a及び参拝窓52を通して、参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10を目視する。壁体7における開口部7aの下側を区画する部分には、線香や供え物等が置かれる祭壇9が形成されている。また、開口部7aの周囲の壁体7の表面(第一側X1を向く面)には、墓地の装飾(例えば、墓石を模した御影石の模様等)が施されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、参拝用支持位置30は、第一保管棚61において一部の保管部65に代えて設けられている。具体的には、第一保管棚61には、保管部65を形成するための単位空間(腕木63及び支柱64によって区画される空間)が上下方向Zに複数段且つ第二方向Yに複数列配置されており、そのうちの一部の単位空間が参拝用支持位置30を形成するための空間として用いられている。そして、
図1に示すように、参拝対象物10は、参拝用支持位置30において、第二方向Yに離間して配置された一対の腕木63によって下方から支持される。すなわち、参拝用支持位置30に設けられた一対の腕木63により、参拝用支持位置30において参拝対象物10を支持する参拝用支持部31が構成されている。このように、参拝用支持位置30には、搬送装置20により搬送された参拝対象物10が載置される参拝用支持部31が設けられている。
【0017】
図1及び
図2に示すように、搬送装置20はスタッカークレーンである。具体的には、搬送装置20は、床面部に設置されたレール49に案内されて走行する走行体41と、走行体41に立設されたマスト42と、マスト42に案内されて昇降(上下方向Zに沿って移動)する昇降体43と、昇降体43に支持された移載装置45と、を備えている。制御装置5は、各種センサ(例えば、ロータリエンコーダ等)の検出情報に基づき、搬送装置20の作動(具体的には、走行体41の走行作動、昇降体43の昇降作動、及び移載装置45の移載作動)を制御する。
【0018】
制御装置5は、マイクロコンピュータ等のプロセッサを備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、プロセッサ等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御装置5の各機能が実現される。制御装置5は、搬送装置20に設けられても、搬送装置20とは独立に設けられても良い。また、制御装置5が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが搬送装置20に設けられ、残りのハードウェアが搬送装置20とは独立に設けられても良い。
【0019】
移載装置45は、搬送装置20における参拝対象物10の支持部(後述する下方支持部44)と、移載対象箇所(保管部65又は参拝用支持位置30)における参拝対象物10の支持部(本例では一対の腕木63)との間で、参拝対象物10を移載する装置である。移載装置45は、参拝対象物10を下方から支持する下方支持部44を第一方向Xに沿って出退移動させるフォーク機構を備えている。このフォーク機構は、昇降体43側に引退させた引退位置(
図1に示す下方支持部44の位置)と、この引退位置から移載対象箇所側に突出させた突出位置(
図2に示す下方支持部44の位置)との間で、下方支持部44を第一方向Xに沿って出退移動させる。下方支持部44の第二方向Yの幅は、一対の腕木63の第二方向Yの間隔よりも狭く形成されている。このフォーク機構は、引退位置に対して第一方向Xの両側の突出位置に、下方支持部44を移動させることができるように構成されている。
【0020】
移載装置45による下方支持部44から保管部65への参拝対象物10の移載動作について説明すると、搬送装置20は、まず、走行体41の走行作動及び昇降体43の昇降作動により、参拝対象物10を支持した状態で引退位置に位置する下方支持部44を、移載対象の保管部65に対して設定された上側目標位置に移動させる。次に、搬送装置20は、移載装置45のフォーク機構により下方支持部44を引退位置から突出位置に移動させる。この際、移載対象の保管部65が第一保管棚61の保管部65である場合には、下方支持部44は引退位置に対して第一側X1の突出位置まで第一側X1に向けて移動され、移載対象の保管部65が第二保管棚62の保管部65である場合には、下方支持部44は引退位置に対して第二側X2の突出位置まで第二側X2に向けて移動される。その後、搬送装置20は、昇降体43の昇降作動により下方支持部44を下降させて参拝対象物10を保管部65に降ろした後、移載装置45のフォーク機構により下方支持部44を突出位置から引退位置に移動させる。
【0021】
移載装置45による下方支持部44から参拝用支持部31への参拝対象物10の移載動作については、上側目標位置が参拝用支持部31に対して設定された上側目標位置に置き換わる点を除いて、上述した下方支持部44から第一保管棚61の保管部65への参拝対象物10の移載動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、
図2に示すように、参拝用支持位置30における参拝対象物10の支持位置は、第一保管棚61の保管部65における参拝対象物10の支持位置よりも第一側X1にずれているため、参拝用支持部31に参拝対象物10を移載する場合の突出位置は、第一保管棚61の保管部65に参拝対象物10を移載する場合の突出位置よりも第一側X1に設定される。
【0022】
移載装置45による保管部65から下方支持部44への参拝対象物10の移載動作について説明すると、搬送装置20は、まず、走行体41の走行作動及び昇降体43の昇降作動により、引退位置の下方支持部44を、移載対象の保管部65に対して設定された下側目標位置に移動させる。次に、搬送装置20は、移載装置45のフォーク機構により下方支持部44を引退位置から突出位置に移動させた後、昇降体43の昇降作動により下方支持部44を上昇させて参拝対象物10を下方支持部44にて保管部65から掬い、その後、移載装置45のフォーク機構により下方支持部44を突出位置から引退位置に移動させる。ここでの突出位置は、移載装置45による下方支持部44から保管部65への参拝対象物10の移載動作と同様に、移載対象の保管部65が第一保管棚61及び第二保管棚62のいずれの保管部65であるかに応じて、引退位置に対して第一側X1又は第二側X2の突出位置とされる。なお、同一の保管部65に対して設定される上側目標位置及び下側目標位置について、下側目標位置は、第二方向Yについては上側目標位置と同じ位置に設定され、上下方向Zについては上側目標位置よりも設定距離だけ下側に設定される。
【0023】
移載装置45による参拝用支持部31から下方支持部44への参拝対象物10の移載動作については、下側目標位置が参拝用支持部31に対して設定された下側目標位置に置き換わる点を除いて、上述した第一保管棚61の保管部65から下方支持部44への参拝対象物10の移載動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、同一の参拝用支持部31に対して設定される上側目標位置及び下側目標位置について、下側目標位置は、第二方向Yについては上側目標位置と同じ位置に設定され、上下方向Zについては上側目標位置よりも設定距離だけ下側に設定される。
【0024】
上述したように、参拝者Pが参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10を視認するための参拝窓52には、窓部材8が配置されている。
図3に示すように、参拝窓52(後述する開口部70)は第一方向Xに見て矩形状に形成されており、窓部材8は、開口部70に嵌まる大きさの平板状(外縁形状が矩形の平板状)に形成されている。そして、窓部材8は、光透過率を調節可能な調光部材8aを用いて構成されている。例えば、一対のガラス基板の間に調光部材8aが挟まれた構造体や、ガラス基板(ガラス板)の表面(参拝窓52に配置された状態で第一側X1を向く表面又は第二側X2を向く表面)に調光部材8aが貼り付けられた構造体を窓部材8として用いることができる。調光部材8aは、透明状態(光透過率が高い状態)と不透明状態(光透過率が低い状態)とに切り替えることが可能な調光素子であり、液晶分子の配光を制御して光透過率を変化させる液晶方式や、電気化学反応によって光透過率を変化させるエレクトロクロミック方式等、あらゆる方式(原理)の調光素子を用いることができる。調光部材8aとして、シート状(フィルム状)の部材を用いることもできる。また、調光部材8aは、不透明状態に切り替えられた状態で乳白色となるもの、不透明状態に切り替えられた状態で濃色となるもの、不透明状態に切り替えられた状態で鏡状態となるもの等を用いることができる。
【0025】
制御装置5は、調光部材8aの光透過率を調節するための調光装置25を制御することで(
図4参照)、調光部材8aを用いて構成された窓部材8の光透過率を制御する。例えば、液晶方式の調光素子やエレクトロクロミック方式の調光素子のように電気的に光透過率を制御可能な調光素子を調光部材8aとして用いる場合、調光装置25は、調光部材8aへの印加電圧を制御する電圧制御装置とされ、制御装置5は、調光装置25を介して調光部材8aへの印加電圧を制御する(例えば、電圧を印加する状態と電圧を印加しない状態とを切り替える)ことで、窓部材8の光透過率を調節する。
【0026】
図3に示すように、参拝部6には、光量を調節可能な照明装置90が設けられている。照明装置90は、参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10に光が当たる位置に配置されている。具体的には、照明装置90は、参拝対象物10の第一側X1の端面(板状体3の表面)に光が当たる位置に配置されている。そして、照明装置90の光量は、制御装置5により制御される(
図4参照)。本実施形態では、照明装置90は複数の光源を備えており、当該複数の光源の少なくとも一部から発せられた光が、参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10に照射される。なお、光源は、点光源(白熱電球や発光ダイオード等)、線光源(蛍光灯等)、面光源(有機EL光源等)のいずれであっても良い。そして、制御装置5は、発光させる光源の数、及び各光源の光量の少なくとも一方を制御することで、照明装置90の光量(照明装置90全体での光量)を調節する。
【0027】
上記のように、光透過率を調節可能な調光部材8aを用いて構成される窓部材8を参拝窓52に配置すると共に、光量を調節可能な照明装置90を参拝用支持位置30に支持された参拝対象物10に光が当たる位置に配置することで、参拝者Pから見た参拝窓52よりも参拝用支持位置30の側の領域(搬送装置20や保管棚60の配設領域)の視認性を、窓部材8の光透過率の調節や照明装置90の光量の調節によって制御することができる。すなわち、窓部材8の光透過率が増加するに従って上記の視認性が高くなり、また、照明装置90の光量が増加するに従って上記の視認性が高くなる。そして、制御装置5は、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着に合わせて、窓部材8の光透過率の増加、及び、照明装置90の光量の増加の双方を行うように構成されている。これにより、参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着よりも後の時点では、参拝窓52を通して参拝対象物10を見る参拝者Pに満足感を与えることができる程度に上記の視認性を高く確保できながら、参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着よりも前の時点では上記の視認性を低く抑えることが可能となっている。これにより、参拝対象物10が参拝用支持位置30に向けて搬送装置20によって搬送されていることに参拝者Pの意識が向き難くして、参拝部6における厳粛な雰囲気が損なわれることを抑制することができる。また、このように制御装置5が窓部材8の光透過率及び照明装置90の光量の双方を制御する構成とすることで、これら2つの制御量(光透過率及び光量)を同時に制御して参拝部6における演出効果を高めることが可能となっている。例えば、これら2つの制御量を漸増又は漸減させることで、厳かさを良好に演出することができる。
【0028】
図5は、制御装置5により実行される制御フローの一例を示している。
図5に示すように、制御装置5は、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着すると(ステップ#01:Yes)、窓部材8の光透過率を増加させる光透過率増加制御を実行すると共に(ステップ#02)、照明装置90の光量を増加させる光量増加制御を実行する(ステップ#03)。例えば、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着する前の時点では、窓部材8の光透過率がその調節範囲内で最も低い透過率に維持され、光透過率増加制御(ステップ#02)では、窓部材8の光透過率を、その調節範囲内で最も高い透過率まで増加させる構成とすることができる。また、例えば、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着する前の時点では、照明装置90の光量がその調節範囲内で最も小さい光量(すなわち、非点灯状態でのゼロ)に維持され、光量増加制御(ステップ#03)では、照明装置90の光量を、その調節範囲内で最も大きい光量(例えば、定格光量)まで増加させる構成とすることができる。
【0029】
制御装置5は、検出装置29(
図4参照)の検出情報に基づき、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着したか否かの判定(ステップ#01)を行う。検出装置29は、参拝対象物10が参拝用支持位置30に位置する場合と、参拝対象物10が参拝用支持位置30に位置しない場合とで、互いに異なる信号を制御装置5に出力する。例えば、検出装置29を、参拝用支持部31に参拝対象物10が載置されているか否かを検出するセンサ(遮光式の光センサ等)により構成し、制御装置5が、参拝用支持部31に参拝対象物10が載置されたことが検出装置29により検出されると、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着したと判定する構成とすることができる。なお、検出装置29を、非接触式のセンサではなく接触式のセンサとすることもできる。また、制御装置5が、下方支持部44の第一方向Xの位置(引退位置からの突出量)を検出するセンサ(ロータリエンコーダ等)の検出情報に基づき、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着したか否かの判定を行う構成とすることもできる。
【0030】
そして、制御装置5は、参拝対象物10の参拝用支持位置30からの搬出が開始されるまでの間(ステップ#04:No)、窓部材8の光透過率を、光透過率増加制御(ステップ#02)による増加後の値に維持すると共に、照明装置90の光量を、光量増加制御(ステップ#03)による増加後の値に維持する。そして、参拝対象物10の参拝用支持位置30からの搬出開始タイミングが到来すると(ステップ#04:Yes)、制御装置5は、窓部材8の光透過率を減少させる光透過率減少制御を実行すると共に(ステップ#05)、照明装置90の光量を減少させる光量減少制御を実行する(ステップ#06)。例えば、光透過率減少制御(ステップ#05)では、窓部材8の光透過率を、その調節範囲内で最も低い透過率まで減少させる構成とすることができる。また、例えば、光量減少制御(ステップ#06)では、照明装置90の光量を、その調節範囲内で最も小さい光量まで減少させる構成とすることができる。参拝対象物10は、参拝者Pによる参拝が終了すると参拝用支持位置30から搬出されるため、参拝者Pにより参拝の終了の操作(例えばスイッチの操作)がなされたことや、参拝者Pによる参拝の開始から設定時間経過したこと等を条件に、参拝対象物10の参拝用支持位置30からの搬出開始タイミングが到来したと制御装置5が判定する構成とすることができる。
【0031】
このように、制御装置5は、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着に合わせて、窓部材8の光透過率を増加させる光透過率増加制御と、照明装置90の光量を増加させる光量増加制御とを実行し、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30からの搬出開始に合わせて、窓部材8の光透過率を減少させる光透過率減少制御と、照明装置90の光量を減少させる光量減少制御とを実行する。なお、「合わせて」とは、対象となる2つのタイミング(例えば、参拝対象物10が参拝用支持位置30へ到着するタイミングと、光透過率増加制御を開始するタイミング)に相関があることを意味し、これら2つのタイミングが一致する場合だけでなく、これら2つのタイミングがずれている場合も含む概念である。後者の場合の例として、例えば、光透過率増加制御を開始するタイミングを、参拝対象物10が参拝用支持位置30へ到着するタイミングよりも設定時間だけ遅らせ(或いは早めた)タイミングに設定することができる。
【0032】
本実施形態に係る参拝設備1は、更に以下のような構成を備えることで、参拝部6における演出効果(荘厳さや高級感等)の向上を図っている。
【0033】
図2及び
図3に示すように、参拝窓52は、参拝用支持位置30の側から参拝位置Sの側へ向かうに従って(すなわち、第一側X1に向かうに従って)段階的に開口面積が大きくなる複数の開口部70を備えている。具体的には、仕切壁50における参拝窓52を形成する部分には、第一側X1から順に、第一枠体81、第二枠体82、及び第三枠体83が設けられている。第一枠体81、第二枠体82、及び第三枠体83のそれぞれは平板状に形成されており、板面が第一方向Xに直交する姿勢で配置されている。各枠体(81,82,83)には、厚さ方向(第一方向X)に貫通する矩形状の開口部70が形成されており、第二枠体82に形成された開口部70(第二開口部72)は、第三枠体83に形成された開口部70(第三開口部73)よりも開口面積が大きく形成され、第一枠体81に形成された開口部70(第一開口部71)は、第二開口部72よりも開口面積が大きく形成されている。そして、第二開口部72は第一方向Xに見て第
三開口部7
3の全体を含むように形成され、第一開口部71は第一方向Xに見て第二開口部72の全体を含むように形成されている。
図3に示すように、参拝者Pの視点位置から参拝対象物10を見る方向は第一方向Xに平行或いはそれに近い方向となるため、上記のように各開口部(71,72,73)を形成することで、参拝位置Sで参拝を行う参拝者Pは、参拝窓52の奥行き感を感じることができる。なお、参拝窓52が備える開口部70の数は3つ以外でも良く、その数は適宜変更可能である。
【0034】
図3に示すように、窓部材8は、複数の開口部70のうちの最も参拝位置Sの側(最も第一側X1)の開口部70(第一開口部71)に配置されている。すなわち、窓部材8は、第一開口部71に嵌まる大きさの平板状に形成され、第一開口部71を塞ぐように第一枠体81に固定されている。一方、第二開口部72及び第三開口部73には窓部材8は配置されずに開放されている。参拝窓52が複数の開口部70を備える場合には、窓部材8は複数の開口部70の少なくとも1つに配置されるが、本実施形態ではこのように、窓部材8は複数の開口部70の1つのみに配置されている。
【0035】
また、
図3に示すように、参拝窓52が複数の開口部70を備えることに対応して、照明装置90が備える複数の光源は、複数の開口部70のそれぞれにおける参拝用支持位置30の側(第二側X2)の複数の位置に分かれて配置されている。具体的には、第一開口部71における参拝用支持位置30の側の位置、第二開口部72における参拝用支持位置30の側の位置、及び、第三開口部73における参拝用支持位置30の側の位置の3つの位置に分かれて、照明装置90が備える複数の光源が配置されている。
図3に示すように、第一開口部71における参拝用支持位置30の側の位置に配置される光源を第一光源91とし、第二開口部72における参拝用支持位置30の側の位置に配置される光源を第二光源92とし、第三開口部73における参拝用支持位置30の側の位置に配置される光源を第三光源93とすると、第一光源91は、第一枠体81の第二側X2を向く外面に配置され、第二光源92は、第二枠体82の第二側X2を向く外面に配置され、第三光源93は、第三枠体83の第二側X2を向く外面に配置されている。第一光源91、第二光源92、及び第三光源93のそれぞれは、単数又は複数の点光源、線光源、又は面光源により構成される。照明装置90が備える複数の光源(ここでは、第一光源91、第二光源92、及び第三光源93)をこのように配置することで、光源間の第一方向Xにおける配置位置の差を、照明装置90による光の演出に利用することができる。第一光源91、第二光源92、及び第三光源93の間で、光量増加制御や光量減少制御の実行時における光量の変化タイミングを互いに異ならせても良い。
【0036】
本実施形態では、第一光源91は、第一枠体81の第二側X2を向く外面において第一開口部71の矩形状の外周縁に沿って配置され、第二光源92は、第二枠体82の第二側X2を向く外面において第二開口部72の矩形状の外周縁に沿って配置され、第三光源93は、第三枠体83の第二側X2を向く外面において第三開口部73の矩形状の外周縁に沿って配置されている。なお、各光源は、対応する開口部(第一光源91の場合には第一開口部71)の外周縁に全域に亘って沿うように配置しても、対応する開口部の外周縁の一部(例えば、矩形状の外周縁における対向する一対の辺部)のみに沿うように配置しても良い。
【0037】
〔その他の実施形態〕
次に、参拝設備のその他の実施形態について説明する。
【0038】
(1)上記の実施形態では、制御装置5が、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着に合わせて、窓部材8の光透過率の増加、及び、照明装置90の光量の増加の双方を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、制御装置5が、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着に合わせて、窓部材8の光透過率の増加、及び、照明装置90の光量の増加の一方のみを行う構成とすることもできる。このような場合に、窓部材8の光透過率の増加、及び、照明装置90の光量の増加の他方を、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30への到着とは無関係なタイミング(例えば、参拝者P等の人為操作に基づくタイミング)で行っても良い。
【0039】
(2)上記の実施形態では、制御装置5が、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30からの搬送開始に合わせて、窓部材8の光透過率の減少、及び、照明装置90の光量の減少の双方を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、制御装置5が、搬送装置20の搬送作動による参拝対象物10の参拝用支持位置30からの搬送開始に合わせて、窓部材8の光透過率の減少、及び、照明装置90の光量の減少の一方のみを行う構成とすることもできる。
【0040】
(3)上記の実施形態では、参拝窓52が、第一側X1に向かうに従って段階的に開口面積が大きくなる複数の開口部70を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、参拝窓52が、開口面積が互いに等しい複数の開口部70を備える構成とすることもできる。また、参拝窓52が、1つの開口部70のみを備える構成とすることもできる。
【0041】
(4)上記の実施形態では、照明装置90が備える複数の光源が、第一方向Xの複数の位置(具体的には、複数の開口部70のそれぞれにおける参拝用支持位置30の側の複数の位置)に分かれて配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、照明装置90が備える単数又は複数の光源が、第一方向Xの同じ位置に配置される構成や、第一方向Xにおける複数(但し、照明装置90が備える開口部70の数とは異なる数)の位置に配置される構成とすることもできる。また、
図3で示す各光源(91,92,93)の配置位置は単なる一例であり、各光源をその他の場所に配置することも可能である。
【0042】
(5)上記の実施形態では、窓部材8が、複数の開口部70のうちの最も参拝位置Sの側の開口部70に配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、窓部材8が、
図6に示す例のように、複数の開口部70のうちの最も参拝用支持位置30の側の開口部70に配置される構成や、窓部材8が、複数の開口部70のうちの、最も参拝位置Sの側の開口部70及び最も参拝用支持位置30の側の開口部70のいずれでもない開口部70(第一方向Xにおける中間位置に配置される開口部70)に配置される構成とすることもできる。窓部材8の配設位置は、演出方法の違いに応じて選択することができる。例えば、窓部材8を複数の開口部70のうちの最も参拝用支持位置30の側の開口部70に配置して、参拝対象物10に対してスポット光が照射されるイメージを演出することや、窓部材8を複数の開口部70のうちの最も参拝位置Sの側の開口部70に配置して、参拝対象物10に対して間接照明が照射されるイメージを演出することができる。また、窓部材8の配設位置を、窓部材8(調光部材8a)の材質に応じて選択することもできる。例えば、光透過率の調節範囲内での最も高い光透過率(すなわち、透明状態での光透過率)に応じて、透明状態での光透過率が高い場合には、窓部材8を複数の開口部70のうちの最も参拝位置Sの側の開口部70に配置し、透明状態での光透過率が低い場合には、窓部材8を複数の開口部70のうちの最も参拝用支持位置30の側の開口部70に配置することができる。また、上記の実施形態では、窓部材8が複数の開口部70の1つのみに配置される構成を例として説明したが、窓部材8が複数の開口部70の2つ以上に配置される構成とすることもできる。
【0043】
(6)上記の実施形態では、移載装置45が、下方支持部44を第一方向Xに沿って出退移動させるフォーク機構を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載装置45が、参拝対象物10を第二方向Yの両側から挟む一対のクランプ部を第一方向Xに沿って出退移動させる機構を備える構成、移載装置45が、参拝対象物10の上部に設けられた突起部(フランジ部等)を把持する把持部を第一方向Xに沿って出退移動させる機構を備える構成、移載装置45が、参拝対象物10の側面に設けられた被係合部(取っ手等)に係脱自在な係合部(フック)を第一方向Xに沿って出退移動させる機構を備える構成等とすることもできる。
【0044】
(7)上記の実施形態では、仕切壁50が壁体7とは別部材である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、仕切壁50が壁体7と一体的に形成される構成としても良い。すなわち、壁体7における参拝部6に配置される部分が仕切壁50を構成しても良い。
【0045】
(8)上記の実施形態では、搬送装置20がスタッカークレーンである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬送装置20が、天井側に形成された走行レール(走行経路)に沿って走行して物品を搬送する天井搬送車や、自身の現在位置を認識しながら床面部を自律走行する物品搬送車等の、スタッカークレーン以外の搬送装置であっても良い。また、上記の実施形態では、搬送装置20が単一の搬送装置により構成される場合を例として説明したが、搬送装置20が、互いに参拝対象物10を移載することが可能な2つ以上の搬送装置を備える構成とすることもできる。
【0046】
(9)上記の実施形態では、参拝対象物10が、外形が直方体状の収納容器(厨子)である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、参拝対象物10が、遺骨や骨壺等の収納物2を収納する容器であって、外形が直方体状ではない収納容器であっても良い。例えば、御堂等の建築物の外形を有する収納容器や、仏や菩薩(地蔵菩薩等)等の信仰対象物の外形を有する収納容器を、参拝対象物10とすることができる。なお、収納容器には、収納物2に対して上側から被せられる形態のもの(収納物2を上方及び側方から覆う形態のもの)も含まれる。また、参拝対象物10が収納容器ではない構成とすることもできる。例えば、参拝対象物10を、上述した位牌や仏像等とすることができる。
【0047】
(10)上記の実施形態では、参拝用支持位置30に参拝用支持部31が設けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、参拝用支持位置30に参拝用支持部31が設けられず、参拝対象物10が下方支持部44により参拝用支持位置30に移動された後、参拝者Pによる参拝が終了するまでの間、参拝対象物10が参拝用支持位置30において下方支持部44にて下方から支持された状態が維持される構成とすることもできる。また、
図7に示す例のように、搬送装置20が、上記の実施形態での搬送装置20に相当する第一搬送装置21とは別に、第一搬送装置21と参拝用支持位置30との間で参拝対象物10を搬送する第二搬送装置22を備える構成とし、参拝者Pによる参拝が終了するまでの間、参拝対象物10が参拝用支持位置30において第二搬送装置22にて支持された状態が維持される構成とすることもできる。なお、
図7に示す例では、第二搬送装置22による参拝対象物10の搬送経路は第一方向Xに沿って延びるように形成されており、当該搬送経路の一端が、第一搬送装置21と第二搬送装置22との間で参拝対象物10が移載される中継部とされ、当該搬送経路の他端が参拝用支持位置30とされている。このような構成では、例えば、第二搬送装置22における参拝対象物10の位置を検出するためのセンサの検出情報に基づき、参拝対象物10が参拝用支持位置30に到着したか否かの判定を行うことができる。
図7に示す例では、第二搬送装置22がローラコンベヤにより構成されているが、第二搬送装置22をベルトコンベヤやスラットコンベヤ等のローラコンベヤ以外の搬送機構により構成しても良い。
【0048】
(11)上記の実施形態では、1つの保管部65に1つの参拝対象物10が保管される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1つの保管部65に、複数の参拝対象物10(例えば、2つの参拝対象物10)が第一方向Xに並べて保管される構成とすることもできる。また、上記の実施形態では、参拝設備1が第一保管棚61及び第二保管棚62の双方を備える構成を例として説明したが、参拝設備1が第一保管棚61及び第二保管棚62のいずれか一方のみを備える構成とすることもできる。
【0049】
(12)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0050】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した参拝設備の概要について説明する。
【0051】
参拝対象物を保管する複数の保管部と、参拝者による参拝が行われる参拝部と、前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝設備であって、前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置される仕切壁と、
前記参拝用支持位置と前記参拝位置とが並ぶ方向に沿って並んで配置された複数の枠体と、光透過率を調節可能な調光部材を用いて構成された窓部材と、光量を調節可能な照明装置と、前記窓部材の光透過率及び前記照明装置の光量を制御する制御装置と、を備え、前記仕切壁における前記参拝用支持位置に支持された前記参拝対象物が対向する部分に、前記参拝者が当該参拝対象物を視認するための参拝窓が形成され、前記参拝窓には、前記窓部材が配置され、前記照明装置は、前記参拝用支持位置に支持された前記参拝対象物に光が当たる位置に配置され、
前記参拝窓は、前記参拝用支持位置の側から前記参拝位置の側へ向かうに従って段階的に開口面積が大きくなる複数の開口部を備え、前記複数の開口部のそれぞれは、前記複数の枠体のうち対応する枠体を貫通するように形成され、前記参拝用支持位置と前記参拝位置とが並ぶ方向に見て、前記複数の開口部のうち前記参拝位置の側に配置された開口部は、前記参拝用支持位置の側において当該開口部に隣接して配置される開口部の全体を含むように形成され、前記窓部材は、前記複数の開口部の少なくとも1つに配置され、前記制御装置は、前記搬送装置の搬送作動による前記参拝対象物の前記参拝用支持位置への到着に合わせて、前記窓部材の光透過率の増加、及び、前記照明装置の光量の増加の少なくとも一方を行う。
【0052】
上記の構成によれば、光透過率を調節可能な調光部材を用いて構成される窓部材が、参拝窓に配置されると共に、光量を調節可能な照明装置が、参拝用支持位置に支持された参拝対象物に光が当たる位置に配置されるため、参拝者から見た参拝窓よりも参拝用支持位置側の領域の視認性を、窓部材の光透過率の調節や照明装置の光量の調節によって制御することができる。そして、窓部材の光透過率及び照明装置の光量を制御する制御装置により、搬送装置の搬送作動による参拝対象物の参拝用支持位置への到着に合わせて、窓部材の光透過率の増加及び照明装置の光量の増加の少なくとも一方が行われるため、参拝対象物の参拝用支持位置への到着よりも前の時点では上記の視認性を低く抑え、参拝対象物の参拝用支持位置への到着よりも後の時点では上記の視認性を高く確保することができる。
これにより、参拝対象物の参拝用支持位置への到着よりも前の時点では、参拝対象物が搬送装置によって搬送されていることに参拝者の意識が向き難くして、参拝部における厳粛な雰囲気が損なわれることを抑制することができると共に、参拝対象物の参拝用支持位置への到着よりも後の時点では、参拝用支持位置に支持された参拝対象物の参拝者から見た視認性を高く確保して、参拝者の満足感の向上を図ることができる。
なお、参拝者から見た参拝窓よりも参拝用支持位置側の領域の視認性の制御は、窓部材の光透過率の調節や照明装置の光量の調節という、参拝者に機械的な可動部分が見えない方法で行われるため、参拝部における厳粛な雰囲気を維持しつつ上記のような視認性の制御を行うことができるという利点もある。
また、上記の構成によれば、参拝窓が1つの開口部のみを備える場合に比べて、参拝窓の奥行き感を出し、参拝部における演出効果(荘厳さや高級感等)の向上を図ることができる。
以上のように、上記の構成によれば、搬送装置による参拝対象物の搬送によって厳粛な雰囲気が損なわれることを抑制することが可能な参拝設備を実現することができる。
【0053】
ここで、
前記照明装置は、複数の光源を備え、前記複数の開口部それぞれの外周縁の全域に沿って、前記光源が配置されていると好適である。
【0055】
また、前記窓部材は、前記複数の開口部のうちの最も前記参拝位置の側の開口部に配置されていると好適である。
【0056】
この構成によれば、塵埃、雨水、虫等の異物が、参拝者の参拝位置の側から参拝窓を通って参拝用支持位置の側に入ることを、複数の開口部のうちの最も参拝位置の側の開口部において抑制することができる。よって、参拝用支持位置だけでなく複数の開口部の間の位置にも上記のような異物が入ることを抑制することができ、参拝設備の機能や品位を適切に保つことが容易となる。この構成は、参拝者の参拝位置が屋外に設けられる場合に特に適している。
【0057】
また
、前記照明装置は、複数の光源を備え、前記複数の光源が、前記複数の開口部のそれぞれにおける前記参拝用支持位置の側の複数の位置に分かれて配置されていると好適である。
【0058】
この構成によれば、複数の光源の全てが、参拝者の参拝位置から参拝用支持位置に向かう方向における互いに同じ位置に配置される場合とは異なり、光源間の当該方向における配置位置の差を、照明装置による光の演出に利用することができる。よって、参拝部における演出効果(荘厳さや高級感等)の向上を図ることができる。
【0059】
本開示に係る参拝設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。