特許第6720908号(P6720908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6720908
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】参拝設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   E04H13/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-55646(P2017-55646)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-159189(P2018-159189A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新中 秀信
(72)【発明者】
【氏名】古屋 春仁
(72)【発明者】
【氏名】清川 渉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英紀
(72)【発明者】
【氏名】亀田 幸則
(72)【発明者】
【氏名】有馬 寿哉
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−237780(JP,A)
【文献】 特開平10−324226(JP,A)
【文献】 米国特許第04688359(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
B08B 1/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参拝対象物を保管する複数の保管部と、前記保管部と参拝者による参拝が行われる参拝部との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝設備であって、
塵埃除去部材を用いて前記参拝対象物の外面から塵埃を除去する清掃装置を更に備え、
前記搬送装置は、第一搬送装置を備え、
前記第一搬送装置は、走行体と、前記走行体に立設されたマストと、前記マストに案内されて上下方向に沿って移動する昇降体と、前記昇降体に支持されて移載対象箇所との間で前記参拝対象物を移載する移載装置と、を備え、
前記移載装置は、前記参拝対象物を水平方向に移動させる水平移動機構を備え、
前記塵埃除去部材は、前記移載装置による前記水平移動機構を用いた移載動作によって搬送方向へ移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に、前記参拝対象物の前記搬送方向への移動に伴って前記参拝対象物に対して前記搬送方向とは反対方向へ相対的に移動するように設けられている参拝設備。
【請求項2】
前記塵埃除去部材は、前記参拝部へ向かって水平方向に移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に設けられている請求項1に記載の参拝設備。
【請求項3】
記塵埃除去部材は、前記水平移動機構に連動しない位置に固定されている請求項2に記載の参拝設備。
【請求項4】
前記塵埃除去部材は、前記第一搬送装置による前記保管部からの前記参拝対象物の取り出し動作によって水平方向に移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に設けられている請求項1に記載の参拝設備。
【請求項5】
前記塵埃除去部材は、前記保管部に対する前記参拝対象物の出し入れを行う出入部に位置するように、前記保管部に固定されている請求項4に記載の参拝設備。
【請求項6】
前記塵埃除去部材は、前記第一搬送装置に設けられている請求項1に記載の参拝設備。
【請求項7】
前記移載装置は、前記参拝対象物を下方から支持する支持体を備え、
前記塵埃除去部材は、前記支持体との上下方向の間隔が固定された固定部材に固定されている請求項6に記載の参拝設備。
【請求項8】
前記清掃装置は、前記塵埃除去部材に隣接する位置に、前記塵埃除去部材によって前記参拝対象物の外面から除去された塵埃を吸引する吸引装置を備えている請求項1からのいずれか一項に記載の参拝設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参拝対象物を保管する複数の保管部と、保管部と参拝者による参拝が行われる参拝部との間で参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
参拝設備の一例が、特開2002−235459号公報(特許文献1)に記載されている。具体的には、特許文献1には、骨壺(1)が収納された収納容器(2)を収納装置(A)に複数保管し、参拝者が参拝に訪れた際に、搬送装置(C)によって所望の収納容器(2)を収納装置(A)から取り出して参拝者が待つ参拝部(B)に搬送する納骨システムが記載されている。収納容器(2)の外側面には、故人の名前等が記載された銘盤(5)が取り付けられており、参拝者は、参拝部(B)に搬送された収納容器(2)の銘盤(5)を見ながら参拝を行う。このように、特許文献1の構成では、骨壺(1)が収納された収納容器(2)が参拝対象物として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−235459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような参拝設備では、参拝対象物は、比較的長期間に亘って参拝設備において用いられるため、参拝対象物の外面(特に上面)には塵埃が堆積しやすい。そして、参拝対象物という性質上、外面に塵埃が堆積した参拝対象物が参拝者の目に触れることは好ましくなく、たとえ参拝者の目に触れない場合であっても、参拝対象物の外面に塵埃が堆積することは、故人の尊厳の保持の観点から好ましくない。しかしながら、特許文献1にはこの点についての記載はない。
【0005】
そこで、参拝対象物の外面に塵埃が堆積することを、比較的簡素な構成で抑制することが可能な参拝設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた参拝対象物を保管する複数の保管部と、前記保管部と参拝者による参拝が行われる参拝部との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝設備の特徴構成は、塵埃除去部材を用いて前記参拝対象物の外面から塵埃を除去する清掃装置を更に備え、前記搬送装置は、第一搬送装置を備え、前記第一搬送装置は、走行体と、前記走行体に立設されたマストと、前記マストに案内されて上下方向に沿って移動する昇降体と、前記昇降体に支持されて移載対象箇所との間で前記参拝対象物を移載する移載装置と、を備え、前記移載装置は、前記参拝対象物を水平方向に移動させる水平移動機構を備え、前記塵埃除去部材は、前記移載装置による前記水平移動機構を用いた移載動作によって搬送方向へ移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に、前記参拝対象物の前記搬送方向への移動に伴って前記参拝対象物に対して前記搬送方向とは反対方向へ相対的に移動するように設けられている点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、参拝対象物が塵埃除去部材の設置場所を搬送方向に通過する際に、参拝対象物の外面に作用する位置に設けられた塵埃除去部材が、参拝対象物に対して搬送方向とは反対方向へ相対的に移動する構成となるため、搬送装置による参拝対象物の搬送作動を有効に利用して、参拝対象物の外面から塵埃を除去することが可能となる。この際、塵埃除去部材を搬送方向とは反対方向へ移動させる必要はなく、移動させる場合であってもその移動量は小さく抑えることができるため、比較的簡素な構成で参拝対象物の外面からの塵埃の除去が可能となる。
なお、上記の特徴構成では、参拝対象物の外面から塵埃を除去するためには参拝対象物を搬送する必要があるが、少なくとも参拝者が参拝に訪れた際には、対応する参拝対象物が保管部から参拝部に搬送されると共に、参拝が終わると当該参拝対象物は参拝部から保管部に搬送されるため、このような搬送の機会を利用して参拝対象物の外面からの塵埃の除去が可能となる。すなわち、保管部に保管されている間に少量の塵埃は参拝対象物の外面に堆積し得るが、参拝者が参拝する度に塵埃の除去を行うことができるため、少なくとも参拝時には、参拝対象物の外面に塵埃が堆積した状態となることは抑制される。
以上のように、上記の特徴構成によれば、参拝対象物の外面に塵埃が堆積することを、比較的簡素な構成で抑制することが可能な参拝設備を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態に係る参拝設備の平面図
図2】第一の実施形態に係る参拝設備の側面図
図3】第一の実施形態に係る清掃装置の動作の説明図
図4】第二の実施形態に係る参拝設備の側面図
図5】第三の実施形態に係る参拝設備の側面図
図6】第三の実施形態に係る参拝設備の側面図
図7】その他の実施形態に係る清掃装置の動作の説明図
図8】その他の実施形態に係る参拝設備の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一の実施形態〕
参拝設備の第一の実施形態について、図面(図1図3)を参照して説明する。図1に示すように、参拝設備1は、参拝対象物10を保管する複数の保管部61と、保管部61と参拝者による参拝が行われる参拝部6との間で参拝対象物10を搬送する搬送装置20と、を備えた設備である。本実施形態では、図1及び図2に示すように、上下方向Zに複数段且つ水平方向に複数列配置された複数の保管部61によって保管棚60が形成されている。以下では、各段における複数の保管部61の配列方向(水平方向)を棚横幅方向Xとし、棚横幅方向Xに直交する水平方向を棚奥行方向Yとする。
【0010】
図3に示すように、参拝対象物10は、遺骨が納められた骨壺を収納物2とする収納容器(厨子)であり、収納物2の収容空間を形成する箱状部13を備えている。箱状部13により参拝対象物10の外面が形成される。箱状部13は、直方体状に形成されており、底壁部、底壁部よりも上方に位置する頂壁部、及び、底壁部と頂壁部とを接続する4つの側壁部を備えている。そして、底壁部及び4つの側壁部によって開口部を上部に有する本体部が形成され、頂壁部が当該開口部を開閉する蓋部として機能するように構成されている。箱状部13は、例えば金属材料(ステンレス等)により形成される。箱状部13の側面(側方側の外面11)には、当該側面との間に下方に開口する隙間を形成するように被係合部12が設けられている。被係合部12は、互いに反対側を向く一対の側面のそれぞれに設けられている。このような被係合部12を設けることで、保管部61のような参拝対象物10の保管場所に対して参拝対象物10を出し入れする際に、装置の係合部(本実施形態では、後述する移載装置44のフック44b)又は作業者の指を上記隙間に挿入させて参拝対象物10を水平方向に移動させることが可能となっている。
【0011】
収納物2としての骨壺には、故人又はペットの遺骨(以下、単に「遺骨」という。)が納められる。収納物2は、骨袋等の骨壺以外の入れ物とすることもできる。また、収納物2(又は収納物2に納められるもの)は、故人又はペットの遺灰(以下、単に「遺灰」という。)、遺骨及び遺灰の少なくとも一方を含有する製造物(例えば、位牌や仏像等)、遺骨も遺灰も含有しない製造物(例えば、位牌や仏像等)、故人やペットの遺品等の、遺骨以外のものであっても良い。
【0012】
箱状部13には、収納物2に関係のある情報が記された板状体3が取り付けられる。図3に示すように、板状体3は、被係合部12によって下方から支持される状態で、箱状部13の側面に取り付けられる。板状体3は、例えば石材により形成される。収納物2に関係のある情報は、文字、図形、記号、又はこれらの組み合わせ等によって表され、板状体3の表面(箱状部13に取り付けられた状態で外側を向く面)に彫刻や印刷等により記される。収納物2に関係のある情報として、故人の家名(名字)、故人の家紋、故人の好きな言葉を例示することができる。
【0013】
図1及び図2に示すように、保管棚60は、上下方向Zに延びる複数の支柱62と、棚奥行方向Yに延びる複数の腕木63(板状部材)とを備えている。腕木63のそれぞれは、棚奥行方向Yに並ぶ一対の支柱62のそれぞれに固定されている。保管部61は、支柱62によって棚横幅方向Xに区画されると共に、腕木63によって上下方向Zに区画されている。図1に示すように、参拝対象物10は、棚横幅方向Xに離間して配置された一対の腕木63によって下方から支持された状態で、保管部61に保管される。1つの保管部61には1つの参拝対象物10が保管される。
【0014】
参拝設備1は、搬送装置20の搬送作動を制御する制御装置5を備えている。搬送装置20は、制御装置5からの搬送指令に応じて、参拝者が参拝しようとする参拝対象物10を保管部61から参拝部6に搬送すると共に、参拝が終了した参拝対象物10を参拝部6から保管部61に搬送する。搬送装置20は、互いに参拝対象物10を移載(授受)することが可能な第一搬送装置21と第二搬送装置22とを備えている。第一搬送装置21は、保管部61と第二搬送装置22との間で参拝対象物10を搬送し、第二搬送装置22は、第一搬送装置21と参拝部6との間で参拝対象物10を搬送する。第一搬送装置21による参拝対象物10の搬送経路は、保管棚60の前方を棚横幅方向Xに沿って延びるように形成されており、第一搬送装置21は、保管棚60の前方を棚横幅方向Xに沿って移動して、保管部61に又は保管部61から参拝対象物10を搬送する。図1に示すように、2つの保管棚60が第一搬送装置21の搬送経路を挟んで対向するように配置されており、第一搬送装置21は、いずれの保管棚60の保管部61に対しても参拝対象物10を移載することができるように構成されている。第二搬送装置22による参拝対象物10の搬送経路は、棚奥行方向Yに沿って延びるように形成されており、当該搬送経路の一端(棚奥行方向Yにおける第一搬送装置21の搬送経路側の端部)が、第一搬送装置21と第二搬送装置22との間で参拝対象物10が移載される中継部4とされ、当該搬送経路の他端(棚奥行方向Yにおける第一搬送装置21の搬送経路とは反対側の端部)が、参拝部6(参拝部6に対応して設定される容器支持場所)とされている。参拝設備1は複数の参拝部6を備えており、第二搬送装置22は、複数の参拝部6に対応して複数設けられている。
【0015】
図1及び図2に示すように、第一搬送装置21はスタッカークレーンである。具体的には、第一搬送装置21は、床面部に設置されたレール49に案内されて走行する走行体41と、走行体41に立設されたマスト42と、マスト42に案内されて上下方向Zに沿って移動する昇降体43と、昇降体43に支持された移載装置44と、を備えている。移載装置44は、参拝対象物10を下方から支持する支持体44aを備え、支持体44aと、保管部61や第二搬送装置22(中継部4)等の移載対象箇所との間で、参拝対象物10を移載する。具体的には、図2に示すように、移載装置44は、参拝対象物10に設けられた被係合部12(図3参照)に係脱自在なフック44b(係合部の一例)を備えており、被係合部12に係合した状態のフック44bを移載方向(棚奥行方向Y)に出退移動させることで、支持体44aと移載対象箇所との間で参拝対象物10を移載するように構成されている。このようなフック式の移載機構は公知であるため詳細な説明は省略するが、フック44bは、被係合部12と参拝対象物10(箱状部13)の側面との間に形成される隙間に対して下方から進入可能な係合部分を有する。そして、フック44bの上下移動又は回転移動により、係合部分が上記隙間に進入してフック44bが被係合部12に係合した状態と、係合部分が上記隙間から離脱してフック44bの被係合部12に対する係合が解除された状態とが切り替えられる。なお、移載装置44が、フック式の移載機構と協働して動作するコンベヤ機構(載置搬送機構)やクランプ機構等を備えても良い。
【0016】
図1図3に示すように、第二搬送装置22はローラコンベヤにより構成されている。第二搬送装置22は、参拝対象物10を水平方向(ここでは棚奥行方向Y)に沿って搬送するように構成されている。すなわち、第二搬送装置22は、参拝対象物10を水平方向に移動させる水平移動機構30として、参拝対象物10を下方から支持した状態で搬送するローラコンベヤ機構を備えている。図2に示すように、第二搬送装置22は、板状体3が参拝部6側を向く向きで、中継部4(図1参照)と参拝部6との間で参拝対象物10を双方向に搬送するように構成されている。なお、第二搬送装置22は参拝対象物10を上下方向Zに沿う軸周りに回転させる回転機構を備えておらず、第一搬送装置21が、板状体3が参拝部6側となる向きで、中継部4において第二搬送装置22との間で参拝対象物10を移載するように構成されている。一方、第一搬送装置21には、移載装置44を昇降体43に対して上下方向Zに沿う軸心周りに回転させるターンテーブル45が設けられており、これにより、互いに対向する一対の保管棚60のそれぞれにおいて板状体3が第一搬送装置21の走行経路側(保管部61に対して参拝対象物10が出し入れされる側)となる向きで参拝対象物10を保管しつつ、板状体3が参拝部6側となる向きで第二搬送装置22に対して参拝対象物10を渡すことが可能となっている。なお、一対の保管棚60の双方において参拝部6における参拝対象物10と同じ向きで参拝対象物10を保管する場合等には、第一搬送装置21がターンテーブル45を備えない構成とすることもできる。
【0017】
参拝部6には、墓地の装飾(例えば、墓石を模した御影石の模様等)が表面に施されたパネル7が設けられている。このパネル7によって、参拝部6において参拝者が参拝を行う領域と、第一搬送装置21、第二搬送装置22、及び保管棚60が設置される領域とが仕切られている。図2に示すように、パネル7には、参拝部6に配置された参拝対象物10に対して水平方向(ここでは棚奥行方向Y)に対向する位置に開口部7aが形成されており、この開口部7aを通して、参拝者が参拝部6に配置された参拝対象物10の板状体3を目視できるように構成されている。開口部7aは、板状体3の形状及び寸法に合わせて形成される。また、開口部7aはガラス板8で塞がれている。ガラス板8として、例えば、通電状態の切替によって透明状態と非透明状態とに切替可能な調光ガラスを用いることができる。また、パネル7における開口部7aよりも下側には、線香や供え物等が置かれる祭壇9が設けられている。なお、図2では、第二搬送装置22によって参拝対象物10が参拝部6に向けて搬送されている状況(参拝対象物10が参拝部6に到達していない状況)を示しており、参拝部6においては、第二の実施形態に係る図4に示されるように、板状体3の表面が開口部7aに近接するように参拝対象物10が配置される。
【0018】
次に、本開示に係る参拝設備1の要部である清掃装置50の構成について説明する。図1図3に示すように、参拝設備1は、塵埃除去部材51を用いて参拝対象物10の外面11(図3参照)から塵埃を除去する清掃装置50を備えている。なお、本明細書において「除去」とは、除去対象物(塵埃)の少なくとも一部を取り除くという意味である。塵埃除去部材51は、搬送装置20の搬送作動によって搬送方向Tへ移動中の参拝対象物10の外面11に作用する位置に、参拝対象物10の搬送方向Tへの移動に伴って参拝対象物10に対して搬送方向Tとは反対方向へ相対的に移動するように設けられる。具体的には、図3に示すように、塵埃除去部材51はブラシであり、ブラシ体51bと、ブラシ体51bを支持する支持部51aとを備えている。ブラシ体51bは、複数の毛材(例えば、合成繊維、炭素繊維、金属繊維等)の集合体であり、ブラシ体51bの基端部(複数の毛材のそれぞれの一端部)が支持部51aに固定されている。そして、塵埃除去部材51は、ブラシ体51bの先端部(複数の毛材のそれぞれの他端部)が参拝対象物10の外面11に接触する位置に設けられる。以下では、ブラシ体51bの先端部を、塵埃除去部材51の先端部という。
【0019】
本実施形態では、塵埃除去部材51は、参拝部6へ向かって水平方向(ここでは棚奥行方向Y)に移動中の参拝対象物10の外面11に作用(ここでは、接触作用)する位置に設けられている。具体的には、図1及び図3に示すように、塵埃除去部材51は、上下方向Zに見て第二搬送装置22と重複する位置であって、第二搬送装置22(水平移動機構30)に支持された状態の参拝対象物10の上面(上側の外面11)の高さよりも下方に塵埃除去部材51の先端部が配置される位置に設けられている。また、塵埃除去部材51は、水平移動機構30に連動しない位置に固定されている。具体的には、図2及び図3に示すように、支柱62に固定された支持部材80に、支持部51aが固定されることで、塵埃除去部材51が保管棚60に固定されている。図1及び図2に示すように、塵埃除去部材51の棚奥行方向Yの配設位置は、保管部61の棚奥行方向Yの配置領域の中間部とされている。このように、本実施形態では、塵埃除去部材51が固定される「水平移動機構30に連動しない位置」は、移動しない固定位置(具体的には、保管棚60上の位置)であるが、後述する第三の実施形態のように、移動体上の位置(具体的には、第一搬送装置21上の位置)とすることもできる。なお、図1及び図2に示す塵埃除去部材51の棚奥行方向Yの配設位置は単なる一例であり、塵埃除去部材51の棚奥行方向Yの配設位置を、保管部61の棚奥行方向Yの配置領域の端部に合わせることや、保管部61の棚奥行方向Yの配置領域の外部の位置とすることもできる。後者の構成として、例えば図8に示すように、塵埃除去部材51が、棚奥行方向Yにおける保管部61と参拝部6との間(すなわち、保管部61の棚奥行方向Yの配置領域に対して参拝部6側)に配置される構成とすることができる。図示は省略するが、塵埃除去部材51が、棚奥行方向Yにおける保管部61と第一搬送装置21との間(すなわち、保管部61の棚奥行方向Yの配置領域に対して参拝部6側とは反対側)に配置される構成とすることもできる。
【0020】
上記のように塵埃除去部材51が配置されるため、図2及び図3に示すように、第二搬送装置22の搬送作動によって参拝部6へ向かって移動する参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の上面に接触する。よって、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部は、参拝対象物10の上面を参拝対象物10の搬送方向Tとは反対方向へ相対的に摺動する。塵埃除去部材51の搬送方向Tの位置は固定されており、塵埃除去部材51の先端部は、参拝対象物10の搬送方向Tへの搬送速度と同じ大きさの速度で、参拝対象物10に対して搬送方向Tとは反対方向へ移動する。このように、塵埃除去部材51の先端部が、参拝部6へ向かって移動する参拝対象物10の上面を参拝対象物10の搬送方向Tとは反対方向へ相対的に摺動する構成とすることで(すなわち、参拝対象物10の外面11に対する塵埃除去部材51の作用位置が、参拝対象物10に対して搬送方向Tとは反対方向へ相対的に移動する構成とすることで)、参拝部6へ搬送される参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。図2に示すように、塵埃除去部材51の設置場所には、参拝対象物10の上面から除去された塵埃を受ける受け部90が設けられており、参拝対象物10の上面から除去された塵埃は、例えば、当該受け部90と一体に又は別体で設けられた貯留部に貯留される。受け部90は、塵埃除去部材51の設置場所を通過する参拝対象物10よりも下方であって、上下方向Zに見て塵埃除去部材51と重複する位置に配置されている。受け部90は、保管棚60に固定されている。受け部90として、平板部の周縁が上方に屈曲した形状を有する部材(パン等)を用いることができる。なお、搬送方向Tに直交する水平方向(ここでは棚横幅方向X)におけるブラシ体51bの幅は、塵埃除去部材51の設置場所を通過する際の参拝対象物10の向きでの、参拝対象物10の当該水平方向における幅と同じ幅又はそれより大きい幅であると好適である。
【0021】
図2では、第二搬送装置22によって参拝対象物10が参拝部6に向けて搬送されている状況、すなわち、搬送方向Tが棚奥行方向Yに沿って中継部4(図1参照)から参拝部6へ向かう方向となる状況を示しているが、第二搬送装置22によって参拝対象物10が中継部4に向けて搬送される際(すなわち、搬送方向Tが図2とは逆向きになる場合)にも、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の上面に接触する。これにより、参拝部6へ参拝対象物10を搬入する際だけでなく参拝部6から参拝対象物10を搬出する際にも、参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。
【0022】
〔第二の実施形態〕
参拝設備の第二の実施形態について、図面(図4)を参照して説明する。以下では、本実施形態の参拝設備について、第一の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については第一の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態では、塵埃除去部材51は、搬送装置20による保管部61からの参拝対象物10の取り出し動作によって水平方向に移動中の参拝対象物10の外面11に作用(ここでは、接触作用)する位置に設けられている。具体的には、図4に示すように、塵埃除去部材51は、保管部61に対する参拝対象物10の出し入れを行う出入部70に位置するように、保管部61に固定されている。塵埃除去部材51は、塵埃の除去対象の参拝対象物10が保管されている保管部61(以下、「対象保管部」という。)の上側を区画する腕木63(1つ上の保管部61において参拝対象物10を支持する腕木63)に固定されている。出入部70は、保管部61の前側(棚奥行方向Yにおける第一搬送装置21の搬送経路側)の端部に相当する。そして、塵埃除去部材51は、対象保管部に保管されている状態(ここでは、腕木63に支持されている状態)の参拝対象物10の上面の高さ(基準高さ)よりも下方に塵埃除去部材51の先端部が配置される位置に設けられている。図4に示す例では、参拝対象物10が保管部61に保管されている状態で、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の棚奥行方向Yの端部(第一搬送装置21の搬送経路側の端部)に接触している。塵埃除去部材51の設置場所を通過する際の参拝対象物10の位置が、保管部61に保管されている状態よりも高くなる場合には、上記基準高さを、塵埃除去部材51の設置場所を通過する際の参拝対象物10の上面の高さとしても良い。
【0024】
上記のように塵埃除去部材51が配置されるため、図4に示すように、第一搬送装置21の搬送作動(取り出し動作)によって保管部61の外側に向かって搬送方向Tに移動する参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の上面に接触する。よって、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部は、参拝対象物10の上面を参拝対象物10の搬送方向Tとは反対方向へ相対的に摺動する。保管部61から取り出された参拝対象物10は参拝部6に搬送されるため、本実施形態においても上記第一の実施形態と同様に、参拝部6へ搬送される参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。なお、図4に示すように、受け部90は複数の塵埃除去部材51のそれぞれに対応して塵埃除去部材51と同数設けられており、受け部90のそれぞれは、対応する塵埃除去部材51の設置場所を通過する参拝対象物10よりも下方であって、上下方向Zに見て当該対応する塵埃除去部材51と重複する位置に配置されている。対象保管部が最下段以外の段の保管部61となる塵埃除去部材51については、対応する受け部90が、当該保管部61の1つ下の保管部61に保管される参拝対象物10よりも上側に配置されている。
【0025】
図4では、第一搬送装置21によって参拝対象物10が保管部61から取り出される状況、すなわち、搬送方向Tが棚奥行方向Yに沿って保管棚60の前側を向く方向となる状況を示しているが、第一搬送装置21によって参拝対象物10が保管部61に収納される際(すなわち、搬送方向Tが図4とは逆向きになる場合)にも、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の上面に接触する。これにより、保管部61から参拝対象物10を取り出す際だけでなく保管部61に参拝対象物10を収納する際にも、参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。
【0026】
なお、移載装置44は、参拝対象物10を水平方向に移動させる機構(ここでは、フック44bを出退移動させる機構)を備え、第一搬送装置21は、当該機構を用いて、保管部61からの参拝対象物10の取り出し動作や、保管部61に対する参拝対象物10の収納動作を行う。塵埃除去部材51の設置場所において参拝対象物10を水平方向に移動させる機構を水平移動機構30とすると、本実施形態では、第二搬送装置22ではなく第一搬送装置21(移載装置44)が、水平移動機構30を備える。本実施形態と上記第一の実施形態とでは水平移動機構30の構造は異なるが、参拝対象物10を水平方向に移動させる機構である点では共通するため、水平移動機構として共通の符号“30”を用いている。塵埃除去部材51は、保管部61(保管棚60)に固定されるため、本実施形態でも上記第一の実施形態と同様に、塵埃除去部材51は、水平移動機構30に連動しない位置に固定されている。
【0027】
〔第三の実施形態〕
参拝設備の第三の実施形態について、図面(図5図6)を参照して説明する。以下では、本実施形態の参拝設備について、第一の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については第一の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0028】
本実施形態では、塵埃除去部材51は、第一搬送装置21に設けられている。具体的には、図5及び図6に示すように、第一搬送装置21は、支持体44aとの上下方向Zの間隔が固定された固定部材46を備えており、塵埃除去部材51はこの固定部材46に固定されている。そして、塵埃除去部材51は、上下方向Zに見て支持体44aと重複する位置であって、支持体44aに支持されている状態の参拝対象物10の上面の高さ(基準高さ)よりも下方に塵埃除去部材51の先端部が配置される位置に設けられている。塵埃除去部材51の設置場所を通過する際の参拝対象物10の位置が、支持体44aに支持されている状態よりも高くなる場合には、上記基準高さを、塵埃除去部材51の設置場所を通過する際の参拝対象物10の上面の高さとしても良い。移載装置44は棚奥行方向Yの両側の移載対象箇所に対して参拝対象物10を移載できるように構成されており、これに合わせて、一対の塵埃除去部材51が、移載装置44の棚奥行方向Yの中央部に対して棚奥行方向Yの両側に分かれて配置されている。なお、図5及び図6に示すように、受け部90は一対の塵埃除去部材51のそれぞれに対応して一対設けられており、一対の受け部90のそれぞれは、対応する塵埃除去部材51の設置場所を通過する参拝対象物10よりも下方であって、上下方向Zに見て当該対応する塵埃除去部材51と重複する位置に配置されている。受け部90のそれぞれは、昇降体43の上面に固定されている。一対の受け部90が一体的に形成される構成、すなわち、一対の塵埃除去部材51に対して共通の1つの受け部90が設けられる構成とすることもできる。
【0029】
上記のように塵埃除去部材51が配置されるため、第一搬送装置21により参拝対象物10の保管部61からの取り出し動作が行われる際に、塵埃除去部材51は、水平方向に移動中の参拝対象物10の外面11に作用(ここでは、接触作用)する位置に配置される。すなわち、図5に示すように、第一搬送装置21の搬送作動(取り出し動作)によって保管部61の外側に向かって搬送方向Tに移動する参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の上面に接触する。よって、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部は、参拝対象物10の上面を参拝対象物10の搬送方向Tとは反対方向へ相対的に摺動する。保管部61から取り出された参拝対象物10は参拝部6に搬送されるため、本実施形態においても上記第一の実施形態と同様に、参拝部6へ搬送される参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。詳細は省略するが、保管部61から参拝対象物10を取り出す際だけでなく保管部61に参拝対象物10を収納する際にも同様に、参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。
【0030】
また、上記のように塵埃除去部材51が配置されるため、第一搬送装置21から第二搬送装置22への参拝対象物10の移載動作が行われる際に、塵埃除去部材51は、参拝部6へ向かって水平方向に移動中の参拝対象物10の外面11に作用(ここでは、接触作用)する位置に配置される。すなわち、図6に示すように、第一搬送装置21の搬送作動(第二搬送装置22と協働した搬送作動を含む。)によって参拝部6へ向かって移動する参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、塵埃除去部材51の先端部が参拝対象物10の上面に接触する。これにより、参拝部6へ搬送される参拝対象物10の上面に存在する塵埃を、第一搬送装置21から第二搬送装置22に参拝対象物10を移載する際に塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。詳細は省略するが、第一搬送装置21から第二搬送装置22に参拝対象物10を移載する際だけでなく第二搬送装置22から第一搬送装置21に参拝対象物10を移載する際にも同様に、参拝対象物10の上面に存在する塵埃を塵埃除去部材51によって除去することが可能となっている。
【0031】
なお、塵埃除去部材51の設置場所において参拝対象物10を水平方向に移動させる機構を水平移動機構30とすると、本実施形態では、上記第二の実施形態と同様に、第二搬送装置22ではなく第一搬送装置21(移載装置44)が、水平移動機構30を備える。そして、本実施形態では、塵埃除去部材51は、搬送装置20(ここでは第一搬送装置21)における水平移動機構30に連動しない位置(部分)に固定されている。
【0032】
〔その他の実施形態〕
次に、参拝設備のその他の実施形態について説明する。
【0033】
(1)上記の各実施形態では、清掃装置50が塵埃除去部材51のみを備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、図7に示す例のように、清掃装置50が、塵埃除去部材51に隣接する位置に、塵埃除去部材51によって参拝対象物10の外面11から除去された塵埃を吸引する吸引装置52を、塵埃除去部材51に加えて備える構成とすることもできる。詳細は省略するが、吸引装置52によって吸引された空気は、例えば、フィルタによって塵埃が除去された後、吸引装置52の外部に排出される。なお、図7では、吸引装置52(吸引口)が塵埃除去部材51に接続される形態を例示しているが、吸引装置52(吸引口)を、塵埃除去部材51に対して搬送方向Tに隣接する位置(例えば、搬送方向Tの上流側に隣接する位置)に設けても良い。
【0034】
(2)上記の各実施形態では、塵埃除去部材51が参拝対象物10の上面から塵埃を除去する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、塵埃除去部材51が、参拝対象物10の上面に加えて、搬送方向Tに直交する水平方向の両側を向く2つの側面(被係合部12が設けられていない2つの側面)の少なくとも一方からも塵埃を除去する構成とすることもできる。この場合、塵埃除去部材51は、搬送装置20の搬送作動によって搬送方向Tへ移動中の参拝対象物10の上面及び側面の双方に作用するように設けられる。この場合、塵埃除去部材51が、参拝対象物10の上面に接触するブラシ体51bとは別に、参拝対象物10の側面に接触するブラシ体51bを備えても良い。また、塵埃除去部材51が、搬送装置20の搬送作動によって搬送方向Tへ移動中の参拝対象物10の側面にのみ作用するように設けられても良い。
【0035】
(3)上記の各実施形態では、塵埃除去部材51のブラシ体51bが複数の毛材の集合体である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ブラシ体51bが単数のシート状部材、又は複数のシート状部材の集合体により構成されても良い。また、上記の各実施形態では、塵埃除去部材51の支持部51aが支持部材80に固定される構成を例として説明したが、搬送方向Tに直交する水平軸心周りに回転自在に支持部材80或いは他の部材に支持される回転軸(シャフト)を、ブラシ体51bを支持する支持部51aとして用い、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際に、支持部51aを回転駆動してブラシ体51bを回転させる構成とすることもできる。すなわち、塵埃除去部材51を回転ブラシとすることができる。また、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際にブラシ体51bを振動又は揺動させる構成や、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過する際にブラシ体51bを上下方向Zに沿う軸心周りに回転させる構成等とすることも可能である。更には、ブラシ体51bが、バネ等の付勢部材の変形(伸縮等)により許容される範囲内で移動可能に構成され、塵埃除去部材51の設置場所を通過する参拝対象物10との接触により、ブラシ体51bが、初期位置から、上下方向Z、搬送方向T、搬送方向Tに直交する水平方向の少なくともいずれかの方向に移動する構成とすることもできる。この場合、ブラシ体51bは、参拝対象物10が塵埃除去部材51の設置場所を通過した後、上記付勢部材の付勢力や重力等により初期位置に戻される。
【0036】
(4)上記の各実施形態では、塵埃除去部材51がブラシである場合を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、塵埃除去部材51が、ブラシ以外の部材であっても良い。例えば、塵埃除去部材51がスポンジ成形品やゴム成形品等の弾性体であり、当該弾性体が参拝対象物10の外面11上を摺動することで当該外面11から塵埃が除去される構成とすることができる。弾性体の形状は、例えば、ブレード状(薄板状)とすることができる。また、塵埃除去部材51が不織布等の布体であり、当該布体が参拝対象物10の外面11上を摺動することで当該外面11から塵埃が除去される構成とすることもできる。
また、塵埃除去部材51を、参拝対象物10の外面11上を摺動しない形態のものとすることもできる。例えば、塵埃除去部材51が粘着力や静電気で塵埃を吸着可能な回転体であり、当該回転体が参拝対象物10の外面11上を転動することで当該外面11から塵埃が除去される構成とすることができる。また、塵埃除去部材51が気体(圧縮空気等)を噴射する気体噴射装置の気体噴出部材(ノズル)であり、参拝対象物10の外面11に対する作用位置(気体の噴射位置)が参拝対象物10に対して相対的に移動することで当該外面11から塵埃が除去される構成とすることもできる。
なお、清掃装置50が、複数種類の塵埃除去部材51(例えば、ブラシ体51b及び上記気体噴出部材)を備える構成とすることもできる。
【0037】
(5)上記の各実施形態では、参拝対象物10が、外形が直方体状の収納容器である場合を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、参拝対象物10が、遺骨や骨壺等の収納物2を収納する容器であって、外形が直方体状ではない収納容器であっても良い。例えば、御堂等の建築物の外形を有する収納容器や、仏や菩薩(地蔵菩薩等)等の信仰対象物の外形を有する収納容器を、参拝対象物10とすることができる。なお、収納容器には、収納物2に対して上側から被せられる形態のもの(収納物2を上方及び側方から覆う形態のもの)も含まれる。また、参拝対象物10が収納容器ではない構成とすることもできる。例えば、参拝対象物10を、上述した位牌や仏像等とすることができる。
【0038】
(6)上記の各実施形態では、第一搬送装置21に設けられる移載装置44が、フック式の移載機構を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載装置44が、フック式の移載機構を備えない構成とすることもできる。例えば、移載装置44が、参拝対象物10を下方から支持するフォーク部(プライマリフォーク部)を出退移動可能なフォーク機構を備え、フォーク部を移載対象箇所側に突出させた状態で移載装置44(昇降体43)を昇降させることで、移載装置44と移載対象箇所との間で参拝対象物10が移載される構成とすることができる。このように移載装置44がフック式の移載機構を備えない場合には、参拝対象物10の側壁部の外面に被係合部12が設けられない構成とすることもできる。
【0039】
(7)上記の各実施形態では、第一搬送装置21がスタッカークレーンである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一搬送装置21が、天井側に形成された走行レール(走行経路)に沿って走行して物品を搬送する天井搬送車や、自身の現在位置を認識しながら床面部を自律走行する物品搬送車等の、スタッカークレーン以外の搬送装置であっても良い。また、上記の各実施形態では、参拝対象物10を上下方向Zに沿う軸周りに回転させる回転機構(ターンテーブル45)が第一搬送装置21に設けられる構成を例として説明したが、第二搬送装置22や他の場所にこのような回転機構が設けられる構成とすることもできる。
【0040】
(8)上記の各実施形態では、第二搬送装置22がローラコンベヤにより構成される場合を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第二搬送装置22をベルトコンベヤやスラットコンベヤ等の、ローラコンベヤ以外の搬送機構により構成しても良い。
【0041】
(9)上記の各実施形態では、搬送装置20が、互いに参拝対象物10を移載することが可能な2つの搬送装置(第一搬送装置21及び第二搬送装置22)を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、搬送装置20が単一の搬送装置のみを備える構成や、搬送装置20が互いに参拝対象物10を移載することが可能な3つ以上の搬送装置を備える構成とすることもできる。搬送装置20が単一の搬送装置のみを備える構成として、例えば、搬送装置20が上記の各実施形態での第一搬送装置21のみを備える構成、すなわち、搬送装置20がスタッカークレーンである構成とすることができる。この場合、搬送装置20としてのスタッカークレーンが、参拝部6(参拝部6に対応して設置される参拝対象物10の支持部)に対して参拝対象物10を直接移載する構成、言い換えれば、第二搬送装置22に代えて固定の支持部(参拝用支持部)が設けられる構成となる。このような構成において、塵埃除去部材51を、第一搬送装置21から参拝用支持部へ移載中の参拝対象物10の外面11に作用する位置(すなわち、参拝用支持部へ向かって水平方向に移動中の参拝対象物10の外面11に作用する位置)に配置すると好適である。例えば、上記第三の実施形態の構成(図5図6参照)のように塵埃除去部材51が棚奥行方向Yにおける保管部61(第一搬送装置21に対して参拝部6側に配置される保管部61)と第一搬送装置21の棚奥行方向Yの中心との間に配置される構成とすることで、塵埃除去部材51が参拝用支持部へ移載中の参拝対象物10の外面11に作用する構成となる。
【0042】
(10)上記の各実施形態では、1つの保管部61に1つの参拝対象物10が保管される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1つの保管部61に、複数の参拝対象物10(例えば、2つの参拝対象物10)が棚奥行方向Yに並べて保管される構成とすることもできる。また、上記の各実施形態では、2つの保管棚60が第一搬送装置21の搬送経路を挟んで対向するように配置される構成を例として説明したが、第一搬送装置21の搬送経路に対して一方側(棚奥行方向Yの一方側)のみに保管棚60が配置される構成とすることもできる。
【0043】
(11)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0044】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した参拝設備の概要について説明する。
【0045】
参拝対象物を保管する複数の保管部と、前記保管部と参拝者による参拝が行われる参拝部との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝設備であって、塵埃除去部材を用いて前記参拝対象物の外面から塵埃を除去する清掃装置を更に備え、前記搬送装置は、第一搬送装置を備え、前記第一搬送装置は、走行体と、前記走行体に立設されたマストと、前記マストに案内されて上下方向に沿って移動する昇降体と、前記昇降体に支持されて移載対象箇所との間で前記参拝対象物を移載する移載装置と、を備え、前記移載装置は、前記参拝対象物を水平方向に移動させる水平移動機構を備え、前記塵埃除去部材は、前記移載装置による前記水平移動機構を用いた移載動作によって搬送方向へ移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に、前記参拝対象物の前記搬送方向への移動に伴って前記参拝対象物に対して前記搬送方向とは反対方向へ相対的に移動するように設けられている。
【0046】
この構成によれば、参拝対象物が塵埃除去部材の設置場所を搬送方向に通過する際に、参拝対象物の外面に作用する位置に設けられた塵埃除去部材が、参拝対象物に対して搬送方向とは反対方向へ相対的に移動する構成となるため、搬送装置による参拝対象物の搬送作動を有効に利用して、参拝対象物の外面から塵埃を除去することが可能となる。この際、塵埃除去部材を搬送方向とは反対方向へ移動させる必要はなく、移動させる場合であってもその移動量は小さく抑えることができるため、比較的簡素な構成で参拝対象物の外面からの塵埃の除去が可能となる。
なお、上記の構成では、参拝対象物の外面から塵埃を除去するためには参拝対象物を搬送する必要があるが、少なくとも参拝者が参拝に訪れた際には、対応する参拝対象物が保管部から参拝部に搬送されると共に、参拝が終わると当該参拝対象物は参拝部から保管部に搬送されるため、このような搬送の機会を利用して参拝対象物の外面からの塵埃の除去が可能となる。すなわち、保管部に保管されている間に少量の塵埃は参拝対象物の外面に堆積し得るが、参拝者が参拝する度に塵埃の除去を行うことができるため、少なくとも参拝時には、参拝対象物の外面に塵埃が堆積した状態となることは抑制される。
以上のように、上記の構成によれば、参拝対象物の外面に塵埃が堆積することを、比較的簡素な構成で抑制することが可能な参拝設備を実現することができる。
【0047】
ここで、前記塵埃除去部材は、前記参拝部へ向かって水平方向に移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に設けられていると好適である。
【0048】
この構成によれば、塵埃除去部材によって外面から塵埃が除去された後の参拝対象物を参拝部に搬送することができる。すなわち、保管部に保管されている間に堆積した塵埃が除去された後の参拝対象物を参拝部に搬送することができるため、外面に塵埃が堆積した参拝対象物が参拝者の目に触れることを抑制することができると共に、参拝される故人の尊厳を適切に保持することが可能となる。
【0049】
上記のように、前記塵埃除去部材が、前記参拝部へ向かって水平方向に移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に設けられる構成において、前記塵埃除去部材は、前記水平移動機構に連動しない位置に固定されていると好適である。
【0050】
この構成によれば、塵埃除去部材を参拝対象物に対して搬送方向とは反対方向へ適切に相対移動させて、参拝対象物の外面からの塵埃の除去効率の向上を図ることができる。
【0051】
また、前記塵埃除去部材は、前記第一搬送装置による前記保管部からの前記参拝対象物の取り出し動作によって水平方向に移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に設けられていると好適である。
【0052】
この構成によれば、参拝対象物を保管部から取り出す際に、参拝対象物の外面から塵埃を除去することができるため、保管部に保管されている間に堆積した塵埃が除去された後の参拝対象物を参拝部に搬送することができる。よって、外面に塵埃が堆積した参拝対象物が参拝者の目に触れることを抑制することができると共に、参拝される故人の尊厳を適切に保持することが可能となる。
【0053】
上記のように、前記塵埃除去部材が、前記搬送装置による前記保管部からの前記参拝対象物の取り出し動作によって水平方向に移動中の前記参拝対象物の外面に作用する位置に設けられる構成において、前記塵埃除去部材は、前記保管部に対する前記参拝対象物の出し入れを行う出入部に位置するように、前記保管部に固定されている好適である。
この構成によれば、塵埃除去部材が出入部よりも保管部の奥側に配置される場合に比べて、参拝対象物を保管部から取り出す際に参拝対象物の外面において塵埃除去部材が作用する領域を広く確保して、参拝対象物の外面からの塵埃の除去効率の向上を図ることができる。
【0054】
また、前記塵埃除去部材は、前記第一搬送装置に設けられていると好適である。
更に、この構成において、前記移載装置は、前記参拝対象物を下方から支持する支持体を備え、前記塵埃除去部材は、前記支持体との上下方向の間隔が固定された固定部材に固定されていると好適である。
【0055】
上記の各構成の参拝設備において、前記清掃装置は、前記塵埃除去部材に隣接する位置に、前記塵埃除去部材によって前記参拝対象物の外面から除去された塵埃を吸引する吸引装置を備えていると好適である。
【0056】
この構成によれば、参拝対象物の外面から除去された塵埃が周囲に拡散されることが抑制される。この結果、参拝対象物の外面からの塵埃の除去を、除去した塵埃が他の参拝対象物の外面に付着することを抑制しながら行うことができる。
【0057】
本開示に係る参拝設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
【符号の説明】
【0058】
1:参拝設備
6:参拝部
10:参拝対象物
11:外面
20:搬送装置
30:水平移動機構
50:清掃装置
51:塵埃除去部材
52:吸引装置
61:保管部
70:出入部
T:搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8