特許第6721006号(P6721006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特許6721006濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法
<>
  • 特許6721006-濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法 図000002
  • 特許6721006-濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法 図000003
  • 特許6721006-濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法 図000004
  • 特許6721006-濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法 図000005
  • 特許6721006-濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法 図000006
  • 特許6721006-濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721006
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/12 20060101AFI20200629BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20200629BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20200629BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20200629BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20200629BHJP
   F24F 7/00 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   F24F3/12
   A61M16/10 B
   F24F11/74
   F24F11/72
   F24F7/007 B
   F24F7/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-118739(P2018-118739)
(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-219134(P2019-219134A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】右近 哲哉
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−063731(JP,A)
【文献】 特開平04−306426(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/195374(WO,A1)
【文献】 特開平09−105577(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0199518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/12
A61M 16/10
F24F 7/00
F24F 7/007
F24F 11/00−11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外から空気を取り入れる室外用取入部(13)、前記室外用取入部(13)による空気の取り入れと同時に室内から空気を取り入れる室内用取入部(14)、前記室外用取入部(13)によって取り入れられた空気と前記室内用取入部(14)によって取り入れられた空気とが合流されて送り込まれ、合流された空気から所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを生成するガス濃縮部(15)、及び生成した濃縮ガスを室内に給気する給気部(16)を有するガス濃縮器(11)と、
前記ガス濃縮器(11)を制御する制御装置(12)と、を備え、
前記給気部(16)が、室内へ供給する濃縮ガスの流量を調整する流量調整部(42)を有し、
前記室内用取入部(14)が、室内の空気を取り入れる室内用昇圧装置(22)と、取り入れる空気の流量を測定する流量センサ(23)と、を有し、
前記制御装置(12)は、前記流量センサ(23)の検出値と前記流量調整部(42)により調整された濃縮ガスの流量とを一致させるように、前記流量調整部(42)及び前記室内用昇圧装置(22)の少なくとも一方の動作を制御する、濃縮ガス供給装置。
【請求項2】
前記所定のガス成分が酸素であり、
前記ガス濃縮器(11)が、酸素よりも二酸化炭素を吸着しやすい吸着剤を備えている、請求項に記載の濃縮ガス供給装置。
【請求項3】
前記所定のガス成分が酸素であり、
前記ガス濃縮器(11)が、酸素よりも窒素を吸着しやすくかつ窒素よりも二酸化炭素を吸着しやすい吸着剤を備えている、請求項1又は2に記載の濃縮ガス供給装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の濃縮ガス供給装置を用いた濃縮ガス供給方法であって、
室外用取入部(13)と室内用取入部(14)との双方から同時にガス濃縮器(11)に空気を取り入れるステップ、
前記ガス濃縮器(11)において、室外から取り入れた空気と室内から取り入れた空気とを合流させ、合流させた空気からガス濃縮部(15)によって所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを生成するステップ、及び
給気部(16)によって前記濃縮ガスを室内に供給するステップ、を含み、
前記室内用取入部(14)が取り入れる空気の流量を測定する流量センサ(23)の検出値と、流量調整部(42)により調整される、前記給気部(16)が室内へ供給する濃縮ガスの流量とを一致させるように、前記流量調整部(42)及び前記室内用昇圧装置(22)の少なくとも一方の動作を制御する、濃縮ガス供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、濃縮ガス供給装置、及び濃縮ガス供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、室内の酸素濃度を向上させて居住者の快適性の用に供するガス富化装置が記載されている。このガス富化装置は、室外ユニット及び室内ユニットを有する空気調和装置に組み込まれている。具体的に、ガス富化装置は、室外ユニットに組み込まれるガス富化ユニット、減圧ポンプ、酸素供給主管、及び吐出主管と、室内ユニットに組み込まれる吐出口と、吐出主管と吐出口とを接続する送風管と、を備えている。
【0003】
上記のガス富化装置は、減圧ポンプの運転により、ガス富化ユニットを通過した酸素濃縮ガスが酸素供給主管を通過して減圧ポンプに吸い込まれ、吐出主管、送風管を通過して吐出口から室内に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−77065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のガス富化装置は、室外から取り入れた空気から酸素濃縮ガスを生成して室内に供給しているので、室内における気圧が高くなり、窓や扉等の隙間を介して室外へ空気が漏れてしまう。つまり、ガス富化装置によって酸素濃度が高められた室内の空気が室外へ逃げてしまうため、効率よく室内の酸素濃度を高めることができない。
【0006】
本開示は、室内における所定のガス成分の濃度を効率よく高めることができる濃縮ガス供給装置及び濃縮ガス供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の濃縮ガス供給装置は、室外から空気を取り入れる室外用取入部前記室外用取入部による空気の取り入れと同時に室内から空気を取り入れる室内用取入部前記室外用取入部によって取り入れられた空気と前記室内用取入部によって取り入れられた空気とが合流されて送り込まれ、合流された空気から所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを生成するガス濃縮部、及び生成した濃縮ガスを室内に給気する給気部有するガス濃縮器と、
前記ガス濃縮器を制御する制御装置と、を備え、
前記給気部が、室内へ供給する濃縮ガスの流量を調整する流量調整部を有し、
前記室内用取入部が、室内の空気を取り入れる室内用昇圧装置と、取り入れる空気の流量を測定する流量センサと、を有し、
前記制御装置は、前記流量センサの検出値と前記流量調整部により調整された濃縮ガスの流量とを一致させるように、前記流量調整部及び前記室内用昇圧装置の少なくとも一方の動作を制御する
【0008】
この構成によれば、室外と室内との双方から同時に空気を取り入れて所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを室内に供給するので、室外の空気のみを取り入れて室内に濃縮ガスを供給する場合に比べて、室内の気圧の上昇が抑制され、所定のガス成分の濃度が高められた室内の空気が室外へ逃げるのを抑制することができる。したがって、室内における所定のガス成分の濃度を効率よく高めることができる。
【0009】
記制御装置は、室内に供給する濃縮ガスの流量と室内から取り入れる空気の流量とを一致させるように前記室内用取入部及び前記給気部の少なくとも一方を制御する。
この構成によ、制御装置が、室内に供給する濃縮ガスの流量と室内から取り入れた空気の流量とを一致させるように取入部及び給気部の少なくとも一方を制御するので、室内の気圧の変動を抑制して室内と室外との気圧差を可及的に小さくすることができ、室内の空気が室外に漏れたり、室外から空気が侵入したりするのを抑制することができる。
【0010】
記給気部が、室内へ供給する濃縮ガスの流量を調整する流量調整部を有し、
前記室内用取入部が、室内の空気を取り入れる室内用昇圧装置と、室内に取り入れる空気の流量を測定する流量センサと、を有し、
前記制御装置は、前記流量センサの検出値と前記流量調整部により調整された濃縮ガスの流量とを一致させるように、前記流量調整部及び前記室内用昇圧装置の少なくとも一方の動作を制御する。
この構成によ、室内の気圧の変動を抑制して室内と室外との気圧差を可及的に小さくすることができ、室内の空気が室外に漏れたり、室外から空気が侵入したりするのを抑制することができる。
【0015】
)好ましくは、前記所定のガス成分が酸素であり、
前記ガス濃縮器が、酸素よりも二酸化炭素を吸着しやすい吸着剤を備えている。
この構成によれば、室内から取り入れた空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤で吸着し、二酸化炭素の濃度を低下させた酸素濃縮ガスを室内に供給することができるので、室内の酸素濃度を高めつつ二酸化炭素の濃度を低下させることができる。
【0016】
)好ましくは、前記所定のガス成分が酸素であり、
前記ガス濃縮器が、酸素よりも窒素を吸着しやすくかつ窒素よりも二酸化炭素を吸着しやすい吸着剤を備えている。
この構成によっても、室内から取り入れた空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤で吸着し、二酸化炭素の濃度を低下させた酸素濃縮ガスを室内に供給することができるので、室内の酸素濃度を高めつつ二酸化炭素の濃度を低下させることができる。
【0017】
)本開示の濃縮ガス供給方法は、
上記(1)〜()のいずれか1つに記載の濃縮ガス供給装置を用いた濃縮ガス供給方法であって、
室外用取入部と室内用取入部との双方から同時にガス濃縮器に空気を取り入れるステップ、
前記ガス濃縮器において、室外から取り入れた空気と室内から取り入れた空気とを合流させ、合流させた空気からガス濃縮部によって所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを生成するステップ、及び
給気部によって前記濃縮ガスを室内に供給するステップ、を含み、
前記室内用取入部が取り入れる空気の流量を測定する流量センサの検出値と、流量調整部により調整される、前記給気部が室内へ供給する濃縮ガスの流量とを一致させるように、前記流量調整部及び前記室内用昇圧装置の少なくとも一方の動作を制御する
【0018】
この濃縮ガス供給方法によれば、室外と室内との双方から空気を取り入れて所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを生成し、当該濃縮ガスを室内に供給するので、室外の空気のみを取り入れて室内に濃縮ガスを供給する場合に比べて、室内の気圧の上昇が抑制され、所定のガス成分の濃度が高められた室内の空気が外部へ逃げるのを抑制することができる。したがって、室内における所定のガス成分の濃度を効率よく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る濃縮ガス供給装置を示す概略図である。
図2】ガス濃縮器の具体的な構成図である。
図3】濃縮ガス供給装置の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態に係る濃縮ガス供給装置を示す概略図である。
図5】濃縮ガス供給装置の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図6】第3の実施形態に係る濃縮ガス供給装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施形態に係る濃縮ガス供給装置を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る濃縮ガス供給装置を示す概略図である。
濃縮ガス供給装置10は、室外の空気(外気(大気))及び室内の空気(内気)を同時に装置内に取り入れ、当該空気から所定のガス成分の濃度を高めた濃縮ガスを生成し、この濃縮ガスを室内に供給する。
【0021】
本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、所定のガス成分として酸素の濃縮ガス(例えば、体積含有率が90%以上の酸素濃縮ガス)を生成し、この濃縮ガスを室内に供給することによって室内の酸素濃度を高める。したがって、本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、例えば、標高の高い山地や高原のように気圧が低い環境において室内の酸素濃度を高めるために好適に用いることができる。また、濃縮ガス供給装置10は、酸素の濃縮ガスの生成過程で発生する酸素濃度の低いガス、言い換えると窒素濃度の高いガス(窒素濃縮ガス)を排気ガスとして室外へ排気する。
【0022】
本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)方式が適用されている。濃縮ガス供給装置10は、ガス濃縮器11と、このガス濃縮器11を制御する制御装置12とを備えている。
【0023】
(ガス濃縮器11の構成)
ガス濃縮器11は、空気を内部に取り入れる取入部13,14を有している。この取入部13,14は、室外の空気を取り入れる室外用取入部13と、室内の空気を取り入れる室内用取入部14とを含む。室外用取入部13は、濃縮ガス供給装置10の筐体10Aに設けられた外気取入口10Bから外気を取り入れる。室内用取入部14は、筐体10Aに設けられた内気取入口10Cから内気を取り入れる。また、室内用取入部14は、内気取入口10Cから取り入れられる空気の流量を計測する流量センサ23を含む。
【0024】
ガス濃縮器11は、内部に取り入れた空気から酸素濃縮ガスを生成するガス濃縮部15と、生成した濃縮ガスを室内に供給する給気部16と、窒素濃縮ガスを室外へ排気する排気部17と、を有している。給気部16は、筐体10Aに設けられた給気口10Dから室内へ濃縮ガスを供給する。排気部17は、筐体10Aに設けられた排気口10Eから外部へ排気ガスを排出する。
【0025】
図2は、ガス濃縮器の具体的な構成図である。
室外用取入部13は、室外の空気を取り入れて圧縮し、ガス濃縮部15に送り込む室外用昇圧装置21を有している。本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、PSA方式が採用されているので、室外用昇圧装置21としてエアコンプレッサが用いられる。したがって、以下の説明においては、室外用昇圧装置21のことを室外用コンプレッサと呼ぶ。
【0026】
室内用取入部14は、室内の空気を取り入れて圧縮し、ガス濃縮部15に送り込む室内用昇圧装置22を有している。この室内用昇圧装置22としてもエアコンプレッサが用いられている。したがって、以下の説明においては、室内用昇圧装置22のことを室内用コンプレッサと呼ぶ。室外用コンプレッサ21と室内用コンプレッサ22とは同時に駆動され、ガス濃縮器11には室外と室内との双方から同時に空気が取り入れられる。
【0027】
室外用コンプレッサ21により圧縮された空気と室内用コンプレッサ22により圧縮された空気とは合流した状態でガス濃縮部15に送り込まれる。
なお、室内用コンプレッサ22は、インバータ制御等によって出力(モータの運転周波数及び電圧)を連続的又は段階的に増減できる出力可変型であり、制御装置12によって出力が制御される。そして、この出力制御によって室内から取り入れる空気の流量を調整することができる。ただし、室内用昇圧装置22は、エアコンプレッサ単体だけではなく、その前後に流量を調整する調整弁を備えていてもよい。この場合、コンプレッサの出力を変えずに流量調整弁によって室内から取り入れる空気の流量を調整することができる。
室外用コンプレッサ21も、室内用コンプレッサ22と同様にインバータ制御等による出力可変型であってもよい。
【0028】
ガス濃縮部15は、第1,第2切換弁31A,31Bと、第1,第2吸着筒32A,32Bと、第1,第2チェック弁(逆止弁)33A,33Bと、パージ弁34と、プロダクト弁35と、酸素タンク(貯留タンク)36とを有している。
【0029】
第1,第2切換弁31A,31Bは、例えば電磁切換弁であり、室外用及び室内用コンプレッサ21,22の吐出側の流路に接続されている。第1切換弁31Aは3ポート弁であり、一のポートに室外用及び室内用コンプレッサ21,22の吐出側流路が接続され、他のポートに第1吸着筒32Aへのガス流路が接続され、さらに他のポートに排気管51が接続されている。排気管51は、前述の排気部17を構成し、排気口10E(図1参照)に接続されている。第2切換弁31Bも3ポート弁であり、一のポートに室外用及び室内用コンプレッサ21,22の吐出側流路が接続され、他のポートに第2吸着筒32Bへのガス流路が接続され、さらに他のポートに排気管51が接続されている。
【0030】
第1,第2切換弁31A,31Bは、それぞれ第1,第2吸着筒32A,32Bを室外用及び室内用コンプレッサ21,22に接続する第1の態様と、第1,第2吸着筒32A,32Bを排気管51に接続する第2の態様とに切り換える。第1の態様では、室外用及び室内用コンプレッサ21,22から送り込まれた圧縮空気が第1,第2吸着筒32A,32Bに導入されて第1,第2吸着筒32A,32Bが加圧される。第2の態様では、第1,第2吸着筒32A,32B内が大気に開放されて減圧され、第1,第2吸着筒32A,32B内のガスが室外に排気される。
【0031】
第1切換弁31Aと第2切換弁31Bとは、第1吸着筒32A及び第2吸着筒32Bの一方が第1の態様のときに他方が第2の態様となるように、交互に動作する。したがって、室外用及び室内用コンプレッサ21,22から第1吸着筒32Aに圧縮空気が導入されている間は、第2吸着筒32Bの空気が大気に開放され、室外用及び室内用コンプレッサ21,22から第2吸着筒32Bに圧縮空気が導入されている間は、第1吸着筒32Aが大気に開放される。
【0032】
第1,第2吸着筒32A,32Bの内部には、吸着剤が収容されている。この吸着剤は、ゼオライトからなり、酸素よりも窒素を選択的に吸着する性質を有している。また、吸着剤は、高圧下で窒素を吸着し、低圧下で吸着した窒素を脱離させる。したがって、室外用及び室内用コンプレッサ21,22から第1,第2吸着筒32A,32Bに導入された空気中の窒素が吸着剤に吸着され、空気中の酸素の濃度が高められた状態で吸着筒32A,32Bから排出される。
【0033】
さらに、吸着剤は、窒素よりも二酸化炭素を選択的に吸着する。したがって、室外用及び室内用コンプレッサ21,22から第1,第2吸着筒32A,32Bに導入された空気中の窒素だけでなく二酸化炭素も吸着剤に吸着される。
【0034】
第1,第2吸着筒32A,32Bの下流側のガス流路には、それぞれ第1,第2チェック弁33A,33Bが設けられている。この第1,第2チェック弁33A,33Bは、第1,第2吸着筒32A,32Bから排出された酸素濃縮ガスが下流側にのみ流れるように流れ方向を制御する。第1吸着筒32Aと第1チェック弁33Aとの間の流路と、第2吸着筒32Bと第2チェック弁33Bとの間の流路とを接続する流路には、パージ弁34が設けられている。
【0035】
第1,第2チェック弁33A,33Bの下流側の流路は合流し、プロダクト弁35に接続され、さらにプロダクト弁35の下流側には酸素タンク36が接続されている。第1,第2吸着筒32A,32Bから排出された酸素濃縮ガスは、第1,第2チェック弁33A,33B、プロダクト弁35を介して酸素タンク36に貯留される。
【0036】
濃縮ガス供給装置10の給気部16は、減圧弁41と流量調整弁(流量調整部)42とを有している。減圧弁41は、酸素タンク36の下流側に接続され、酸素タンク36からの酸素濃縮ガスを減圧する。流量調整弁42は、室内に供給する酸素濃縮ガスの流量を調整する。流量調整弁42は、例えば室内に供給する酸素濃縮ガスの流量を、毎分1L〜10Lといった所定の範囲内で連続的又は段階的に調整する。
【0037】
濃縮ガス供給装置10の排気部17は、第1,第2切換弁31A,31Bに接続された排気管51を有している。第1,第2吸着筒32A,32Bは、室外用及び室内用コンプレッサ21,22に接続されている間は高圧となるので、その後、排気管51に接続されることによって大気に開放され、圧力が低下する。そのため、第1,第2吸着筒32A,32B内のガスは、排気管51を介して室外に排出される。
【0038】
なお、濃縮ガス供給装置10が、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)方式である場合には、取入部13,14の昇圧装置21,22として加圧ブロア又は加圧ポンプが用いられ、排気部17が、第1,第2吸着筒32A,32Bを負圧にする真空ポンプをさらに含むことになる。
【0039】
以上の構成を有するガス濃縮器11において、第1,第2切換弁31A,31Bが図2に示される状態のとき、室外用及び室内用コンプレッサ21,22により取り込まれ圧縮された空気が第1吸着筒32Aに送り込まれる。そして、第1吸着筒32Aにおいて、空気中の窒素が吸着剤に吸着され、酸素濃縮ガスが生成される。生成された酸素濃縮ガスは第1チェック弁33A、プロダクト弁35を介して酸素タンク36に貯留される。酸素タンク36に貯留された酸素濃縮ガスは、減圧弁41で減圧された後、流量調整弁42により流量が調整されて室内に供給される。
【0040】
他方、第2吸着筒32Bは、第2切換弁31Bによって排気管51に接続され、減圧される。この減圧によって第2吸着筒32Bに吸着された窒素が脱着(脱離)され、この窒素を多く含むガスが室外に排出される。
【0041】
また、第1吸着筒32Aを加圧している間に、第2吸着筒32Bには、第1吸着筒32Aで生成された酸素濃縮ガスの一部がパージ弁34を介して供給され、第2吸着筒32Bの圧力を少し上げた状態で、第1,第2切換弁31A,31Bが切り換えられ、第2吸着筒32Bが加圧状態、第1吸着筒32Aが減圧状態となる。以上のようにして、第1,第2吸着筒32A,32B内の吸着剤を用いた窒素の吸着と脱離とを交互に行うサイクルが繰り返され、室内に酸素濃縮ガスが連続的に供給され、室内の酸素濃度が高められる。
【0042】
(制御装置12の構成)
制御装置12は、ガス濃縮器11における室外用及び室内用コンプレッサ21,22、第1,第2切換弁31A,31B、パージ弁34、プロダクト弁35、及び流量調整弁42等の動作を制御し、ガス濃縮器11に上述したような酸素濃縮ガスの生成及び供給を行わせる。
特に、本実施形態の制御装置12は、給気部16が室内に供給する濃縮ガスの流量と、室内用取入部14によって室内から取り入れられる空気の流量とが一致するように、室内用コンプレッサ22の動作を制御する。
【0043】
これは、次の理由による。濃縮ガス供給装置10が、室外のみから取り入れた空気から酸素濃縮ガスを生成して室内に供給した場合、室内の酸素濃度は次第に高められるものの室内における気圧が高くなり、窓や扉等の隙間を介して酸素濃度が高められた室内の空気が室外へ漏れ、効率よく室内の酸素濃度を高めることができなくなる。そのため、本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、室外だけでなく室内からも空気を取り込み、しかも室内から取り込む空気の流量を、酸素濃縮ガスの供給流量に一致させるような制御を行うことによって、室内外の空気の出入りを抑制し、室内の酸素濃度を効率よく高めるようにしている。
【0044】
以下、制御装置12による制御手順について、図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。
給気部16が室内に供給する濃縮ガスの流量は、流量調整弁42によって調整される。具体的には、ユーザが、濃縮ガス供給装置10の操作パネル等に所望の濃縮ガスの流量(設定流量Q)を入力すると、制御装置12が、その設定流量Qを取得し(ステップS1)、当該設定流量Qに応じた開度に流量調整弁42を制御する(ステップS2)。これにより、給気部16からの濃縮ガスの供給流量が設定流量Qに調整される。
【0045】
また、制御装置12は、室内用取入部14における流量センサ23の検出値Qinを取得する(ステップS3)。そして、制御装置12は、設定流量(供給流量)Qと検出値Qinとを比較する処理を行う。具体的に、制御装置12は、設定流量Qと検出値Qinとが一致しているか否かを判定する(ステップS4)。その判定結果が肯定的(Y)である場合、制御装置12は、室内用コンプレッサ22の出力を維持する制御を行う。濃縮ガス供給装置10から室内に供給される濃縮ガスの流量と、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量とが一致している場合、室内における空気の量は一定に保たれ、室内外の気圧も均衡した状態に保たれる。そのため、室内と室外との間の空気の出入りが少なくなり、室内の酸素濃度が高められた状態で維持される。
【0046】
ステップS4において、判定結果が否定的(N)である場合、制御装置12は、ステップS6に処理を進め、設定流量Qが検出値Qinよりも大きいか否かを判定する。そして、その判定結果が肯定的(Y)である場合には、制御装置12は、室内用コンプレッサ22の出力を増大させる制御を行う(ステップS7)。
【0047】
設定流量(供給流量)Qが検出値Qinよりも大きい場合、濃縮ガス供給装置10から室内に供給される濃縮ガスの流量が、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量よりも大きくなるので、室内における空気の量が増大し、室内の気圧が室外よりも高くなる。そのため、酸素濃度が高められた室内の空気が、部屋の窓やドア等の隙間から室外に逃げてしまい、効率よく酸素濃度を高めることが困難となる。したがって、制御装置12は、以上のように室内用コンプレッサ22の出力を増大させることによって、室内から濃縮ガス供給装置10内に取り入れる空気の流量を増大し、室内外の気圧をほぼ均衡した状態に保つ。
【0048】
ステップS6において、判定結果が否定的(N)である場合、つまり、設定流量(供給流量)Qが検出値Qinよりも小さい場合、濃縮ガス供給装置10から室内に供給される濃縮ガスの流量が、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量よりも小さくなる。このとき、室内における空気の量が減少することになるため、室内の気圧が室外の気圧よりも低くなり、部屋の窓やドア等の隙間から室外の空気が入り込み、効率よく室内の酸素濃度を高めることが困難となる。そのため、制御装置12は、室内用コンプレッサ22の出力を減少させることによって、室内から濃縮ガス供給装置10内に取り入れる空気の流量を減少させ、室内外の気圧をほぼ均衡した状態に保つ。
【0049】
以上により、第1の実施形態の濃縮ガス供給装置10は、室内の酸素濃度を効率よく高めることができる。
なお、上記実施形態では、室内に供給する濃縮ガスの流量が所望に設定され、この流量に基づいて各種機器の制御が行われていたが、室内の濃縮ガスの濃度が所望に設定され、この濃度に基づいて各種機器の制御が行われてもよい。この場合、室内の濃縮ガスが設定した濃度に達するまで室内に濃縮ガスが供給され、その濃縮ガスの供給流量に合わせて室内から空気を取り込むようにすることができる。
【0050】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に係る濃縮ガス供給装置を示す概略図である。
本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、図1に示す濃縮ガス供給装置10に対してさらに室内気圧センサ61及び室外気圧センサ62を備えたものとなっている。
【0051】
第1の実施形態では、濃縮ガス供給装置10が室内から取り入れる空気の流量を、濃縮ガス供給装置10が室内に供給する濃縮ガスの流量(設定流量Q;供給流量)に一致させるように、制御装置12が室内用コンプレッサ22を制御していたが、本実施形態では、室内気圧センサ61の検出値(室内気圧)Pinと、室外気圧センサ62の検出値(室外気圧)Poutとを一致させることによって、室内気圧Pinと室外気圧Poutとの差圧がなくなるように、制御装置12が室内用コンプレッサ22を制御する。
【0052】
この制御について、図5のフローチャートを参照して詳細に説明する。
制御装置12は、ステップS11において、室内気圧センサ61の検出値Pinと室外気圧センサ62の検出値Poutとを取得する。
次いで、制御装置12は、ステップS12において、室内気圧Pinと室外気圧Poutとを比較する処理を行う。具体的に、制御装置12は、室内気圧Pinと室外気圧Poutとが一致しているか否かを判定する。
【0053】
その判定結果が肯定的(Y)である場合、制御装置12は、室内用コンプレッサ22の出力を維持する制御を行う。室内気圧Pinと室外気圧Poutとが一致している場合、濃縮ガス供給装置10から室内に給気される濃縮ガスの流量と、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量とがほぼ一致し、室内における空気の量は一定に保たれていると考えられる。そのため、室内と室外との間の空気の出入りが少なくなり、室内の酸素濃度が高められた状態で維持される。
【0054】
ステップS12において、判定結果が否定的(N)である場合、制御装置12は、ステップS14に処理を進め、室内気圧Pinが室外気圧Poutよりも大きいか否かを判定する。そして、その判定結果が肯定的(Y)である場合には、室内用コンプレッサ22の出力を増大させる(ステップS15)。
【0055】
室内気圧Pinが室外気圧Poutよりも大きい場合、濃縮ガス供給装置10から室内に供給される濃縮ガスの流量が、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量よりも大きく、室内における空気の量が増大していると考えられる。そして、酸素濃度が高められた室内の空気が、部屋の窓やドア等の隙間から室外に逃げてしまい、効率よく室内の酸素濃度を高めることが困難となる。そのため、制御装置12は、室内用コンプレッサ22の出力を増大させることによって、室内から濃縮ガス供給装置10内に取り入れる空気の流量を増大させ、室内外の気圧をほぼ均衡した状態に保つ。
【0056】
ステップS14において、判定結果が否定的(N)である場合、つまり、室内気圧Pinが室外気圧Poutよりも小さい場合、濃縮ガス供給装置10から室内に供給される濃縮ガスの流量が、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量よりも小さく、室内における空気の量が減少していると考えられる。そのため、部屋の窓やドア等の隙間から室外の空気が室内に入り込み、効率よく室内の酸素濃度を高めることが困難となる。したがって、制御装置12は、室内用コンプレッサ22の出力を減少させることによって、室内から濃縮ガス供給装置10内に取り入れる空気の流量を減少させ、室内外の気圧をほぼ均衡した状態に保つ。
以上により、第2の実施形態の濃縮ガス供給装置10も、室内の酸素濃度を効率よく高めることができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、室内気圧Pinを測定する室内気圧センサ61と、室外気圧Poutを測定する室外気圧センサ62とを備えていたが、これらに代えて室内気圧と室外気圧との差圧を直接的に測定する差圧センサを備えていてもよい。この場合、制御装置12は、差圧センサの検出値を取得し、この検出値がゼロになるように、室内用コンプレッサ22の出力を維持又は増減させ、室内から濃縮ガス供給装置10内に取り入れる空気の量を調整することで、室内外の気圧をほぼ均衡した状態に保つことができる。
【0058】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る濃縮ガス供給装置を示す概略図である。
本実施形態の濃縮ガス供給装置10は、第1ガス濃縮器11Aと、第2ガス濃縮器11Bと、制御装置12とを備えている。
第1ガス濃縮器11Aは、室内用取入部14を備えていないこと以外は、第1の実施形態のガス濃縮器11と同様であり、第2ガス濃縮器11Bは、室外用取入部13を備えていないこと以外は、第1の実施形態のガス濃縮器11と同様である。
【0059】
具体的には、第1ガス濃縮器11Aは、室外の空気を取り入れる室外用取入部(第1取入部)13と、取り入れた空気から濃縮ガスを生成するガス濃縮部(第1ガス濃縮部)15Aと、生成した濃縮ガスを室内に供給する給気部(第1給気部)16Aと、窒素濃縮ガスを室外へ排気する排気部(第1排気部)17Aと、を有している。
【0060】
室外用取入部13は、取入口10Bから空気を取り入れ、給気部16Aは給気口10D1から室内に濃縮ガスを給気し、排気部17Aは、排気口10E1から排気ガスを排出する。給気部16Aは、供給流量を調整する流量調整弁42Aを有する。
【0061】
第2ガス濃縮器11Bは、室内の空気を取り入れる室内用取入部(第2取入部)14と、取り入れた空気から濃縮ガスを生成するガス濃縮部(第2ガス濃縮部)15Bと、生成した濃縮ガスを室内に供給する給気部(第2給気部)16Bと、窒素濃縮ガスを室外へ排気する排気部(第2排気部)17Bと、を有している。
【0062】
室内用取入部14は、取入口10Cから空気を取り入れ、給気部16Bは給気口10D2から室内に濃縮ガスを給気し、排気部17Bは、排気口10E2から排気ガスを排出する。給気部16Bは、供給流量を調整する流量調整弁42Bを有する。
【0063】
制御装置12は、第1給気部16Aから室内に供給される濃縮ガスの流量と、第2給気部16Bから室内に供給される濃縮ガスの流量との総量(給気総量)が、ユーザにより設定された流量となるように、第1,第2流量調整弁42A,42Bの双方を制御する。例えば、制御装置12は、一方の給気部16A,16Bから室内に供給される濃縮ガスの流量を一定に固定し、他方の給気部16A,16Bから室内に供給される濃縮ガスの流量を調整することにより、その総量がユーザにより設定された流量となるように、第1,第2流量調整弁42A,42Bを制御する。
【0064】
また、制御装置12は、室内用取入部14によって室内から第2ガス濃縮器11Bに取り入れられる空気の流量が、第1給気部16A及び第2給気部16Bにおける給気総量と一致するように、室内用取入部14を制御、具体的には室内用コンプレッサ22を制御する。
【0065】
以上のように、本実施形態では、制御装置12が、第1ガス濃縮器11Aと第2ガス濃縮器11Bとを互いに連係させて制御することで、第1の実施形態と同様に、室内と室外との気圧が均衡した状態に保たれ、室内と室外との間の空気の出入りが少なくなり、室内の酸素濃度を効率よく高めることができる。
【0066】
[本開示の作用効果]
以上説明したように、本開示の濃縮ガス供給装置10は、室外と室内との双方から同時に空気を取り入れる室外用及び室内用取入部13,14と、室外用及び室内用取入部13,14によって取り入れられた空気から酸素の濃度を高めた濃縮ガスを生成するガス濃縮部15と、生成した濃縮ガスを室内に給気する給気部16と、を有するガス濃縮器11を備えている。そのため、室外の空気のみを取り入れて室内に濃縮ガスを供給する場合に比べて、室内の気圧の上昇が抑制され、酸素濃度が高められた室内の空気が室外に逃げるのを抑制することができ、室内における酸素濃度を効率よく高めることができる。
【0067】
上記第1及び第3の実施形態では、制御装置12が、室内に供給する濃縮ガスの流量と室内から取り入れる空気の流量とを一致させるように室内用取入部14(室内用コンプレッサ22)を制御している。具体的には、給気部16が、室内へ供給する濃縮ガスの流量を調整する流量調整弁42を有し、室外用及び室内用取入部13,14が、室内の空気を取り入れる室内用コンプレッサ22と、室内に取り入れる空気の流量を測定する流量センサ23と、を有し、制御装置12が、流量センサ23の検出値と流量調整弁42により調整された濃縮ガスの流量とを一致させるように、室内用コンプレッサ22の動作を制御している。そのため、室内の気圧の変動を抑制し、室内と室外との気圧差を可及的に小さくすることができ、室内の空気が室外に漏れたり、室外から空気が侵入したりするのを抑制することができる。
【0068】
上記第2の実施形態の濃縮ガス供給装置10では、室内の気圧を測定する室内気圧センサ61と、室外の気圧を測定する室外気圧センサ62と、をさらに備え、制御装置12が、室内気圧センサ61の検出値と室外気圧センサ62の検出値とを一致させるように、室内用取入部14が室内から取り入れる空気の流量を制御している。これにより、室内の気圧と室外の気圧との気圧差に起因して室内の空気が室外に漏れたり、室外の空気が室内に侵入したりするのをより抑制することができる。
【0069】
第3の実施形態の濃縮ガス供給装置10は、ガス濃縮器11が、第1ガス濃縮器11Aと、第2ガス濃縮器11Bとを含み、第1ガス濃縮器11Aが、室外から空気を取り入れる室外用取入部13、室外用取入部13によって取り入れられた空気から濃縮ガスを生成する第1ガス濃縮部15A、及び生成した濃縮ガスを室内に給気する第1給気部16Aを有し、第2ガス濃縮器11Bが、室内から空気を取り入れる室内用取入部14、室内用取入部14によって取り入れられた空気から濃縮ガスを生成する第2ガス濃縮部15B、及び生成した濃縮ガスを室内に給気する第2給気部16Bを有する。そして、制御装置12は、第1ガス濃縮器11Aと第2ガス濃縮器11Bとを互いに連係させて制御している。そのため、室内における酸素濃度を効率よく高めることができる。
【0070】
ガス濃縮器11は、酸素よりも二酸化炭素を吸着しやすい吸着剤を備えている。また、ガス濃縮器11は、酸素よりも窒素を吸着しやすくかつ窒素よりも二酸化炭素を吸着しやすい吸着剤を備えている。これにより、室内から取り入れた空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤で吸着し、二酸化炭素の濃度を低下させた酸素濃縮ガスを室内に供給することができるので、室内の酸素濃度を高めつつ二酸化炭素の濃度を低下させることができる。
【0071】
以上、実施形態を説明したが、本開示は、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
例えば、上記第1及び第3実施形態では、制御装置12が、室内用コンプレッサ22を制御することによって、室内に供給される濃縮ガスの流量と、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量とを一致させるようにしていたが、制御装置12が流量調整弁42を制御することによって、又は、制御装置12が室内用コンプレッサ22と流量調整弁42との双方を制御することによって、室内に供給される濃縮ガスの流量と、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量とを一致させるようにしてもよい。
【0072】
同様に、第2の実施形態では、制御装置12が、室内用コンプレッサ22を制御することによって、室内気圧と室外気圧とを一致させるか又は室内気圧と室外気圧の差圧をなくすようにしていたが、制御装置12が、流量調整弁42を制御することによって、又は、室内用コンプレッサ22と流量調整弁42の双方を制御することによって、室内気圧と室外気圧とを一致させるか又は室内気圧と室外気圧の差圧をなくすようにしてもよい。
【0073】
第1及び第3の実施形態において、制御装置12は、室内に供給される濃縮ガスの流量と、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量とを厳密に一致させなくてもよく、ある程度の範囲をもって一致させてもよい。例えば、制御装置12は、室内から濃縮ガス供給装置10に取り入れられる空気の流量が、室内への濃縮ガスの供給流量の±5%の範囲内(供給流量を含む所定範囲内)に収まるように制御してもよい。第2の実施形態における室内外の気圧又は差圧についても同様であり、室内外の気圧をある程度の範囲をもって一致、又はある程度の範囲内で差圧がなくなる(ゼロに近づく)ように制御してもよい。
【0074】
また、上記各実施形態の濃縮ガス供給装置10は、室外用及び室内用コンプレッサ21、22をそれぞれ個別に備えていたが、これらは一台のコンプレッサによって構成されていてもよい。この場合、一台のコンプレッサで室外と室内の両方から同時に空気を取り入れ、流量調整弁等を用いることによって室外及び室内から取り入れる空気の流量の比率を変化させるようにすることができる。
【0075】
上記各実施形態の濃縮ガス供給装置10は、空気に含まれる所定のガス成分として、酸素を濃縮したガスを生成し、これを室内に供給していたが、酸素以外の濃縮ガスを室内に供給するものであってもよい。例えば、果物や野菜などの植物を貯蔵するコンテナにおいては、酸素濃度を低くし窒素濃度を高くすることによって植物の呼吸量を低下させて鮮度を保持することが行われるが、このような用途にも本開示における濃縮ガス供給装置10を適用することができる。この場合、例えば、図1において、排気部17から排出される窒素濃度が高いガスを室内に供給し、給気部16から排出される酸素濃度が高いガスを室外へ排出するように構成することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 :濃縮ガス供給装置
11 :ガス濃縮器
11A :第1ガス濃縮器
11B :第2ガス濃縮器
12 :制御装置
13 :室外用取入部
14 :室内用取入部
15 :ガス濃縮部
15A :第1ガス濃縮部
15B :第2ガス濃縮部
16 :給気部
16A :第1給気部
16B :第2給気部
21 :室外用昇圧装置
22 :室内用昇圧装置
23 :流量センサ
61 :室内気圧センサ
62 :室外気圧センサ
in :室内気圧
out :室外気圧
in :取り込み流量
:設定流量(供給流量)
図1
図2
図3
図4
図5
図6