(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721150
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】積層キャパシター、積層キャパシターが実装された基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20200629BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
H01G4/30 512
H01G4/30 201J
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
H01G2/06 500
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-206040(P2017-206040)
(22)【出願日】2017年10月25日
(62)【分割の表示】特願2013-266507(P2013-266507)の分割
【原出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2018-11090(P2018-11090A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年10月25日
【審判番号】不服2019-6132(P2019-6132/J1)
【審判請求日】2019年5月10日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0004439
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク・ミン・チョル
(72)【発明者】
【氏名】アン・ヨン・ギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク・サン・ス
(72)【発明者】
【氏名】チョ・ジョン・ヨブ
【合議体】
【審判長】
五十嵐 努
【審判官】
宮本 秀一
【審判官】
山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−268712(JP,A)
【文献】
特開2012−253245(JP,A)
【文献】
特開2012−134498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G2/06
H01G4/12
H01G4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内部電極及び第2内部電極が、誘電体層を介して交互配列されて形成された素体と、
前記素体の両端部に備えられた第1及び第2外部端子と、を含み、
前記第1外部端子は、前記第1内部電極と連結され、前記第2外部端子は、前記第2内部電極と連結され、
前記素体の上段部(U)及び下段部(L)に位置する誘電体層は常誘電体からなり、前記素体の中央部(C)に位置する誘電体層は強誘電体からなり、
前記上段部(U)及び下段部(L)のうち一つ以上は、前記第1及び第2内部電極のうちの一つ以上を含み、
前記素体の上段部(U)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M11)を含み、
前記素体の下段部(L)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M12)を含
み、
前記素体の上段部(U)の厚さ(TUPPER)、下段部(L)の厚さ(TLOWER)、及び中央部(C)の厚さ(TCENTER)の関係は、下記式
【数1】
を満たす、
積層キャパシター。
【請求項2】
前記強誘電体は、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック、Pb系複合ペロブスカイト(perovskite)系セラミックまたはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、
請求項1に記載の積層キャパシター。
【請求項3】
前記常誘電体は、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)系セラミック、ジルコン酸バリウム(BaZrO3)系セラミック、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、
請求項1に記載の積層キャパシター。
【請求項4】
前記マージン層(M11)または前記マージン層(M12)は、常誘電体からなる誘電体層が複数個積層されて形成される、
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の積層キャパシター。
【請求項5】
積層キャパシターの基板実装構造において、
前記積層キャパシターは、
第1内部電極及び第2内部電極が、誘電体層を介して交互配列されて形成された素体と、前記素体の両端部に備えられた第1及び第2外部端子と、を含み、
前記第1外部端子は、前記第1内部電極と連結され、前記第2外部端子は、前記第2内部電極と連結され
前記素体の上段部(U)及び下段部(L)に位置する誘電体層は常誘電体からなり、前記素体の中央部(C)に位置する誘電体層は強誘電体からなり、
前記上段部(U)及び下段部(L)のうち一つ以上は、前記第1及び第2内部電極のうちの一つ以上を含み、
前記素体の上段部(U)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M11)を含み、
前記素体の下段部(L)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M12)を含み、
前記第1及び第2外部端子は、導電材を媒介にして前記基板内に備えられたランドと導電接続
し、
前記素体の上段部(U)の厚さ(TUPPER)、下段部(L)の厚さ(TLOWER)、及び中央部(C)の厚さ(TCENTER)の関係は、下記式
【数1】
を満たす、
積層キャパシターの基板実装構造。
【請求項6】
前記素体の下段部(L)の厚さ(T
LOWER)と前記導電材の高さ(H
SOLDER)との関係は、下記式
【数2】
を満たす、
請求項
5に記載の積層キャパシターの基板実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層キャパシターに関し、より詳しくは、振動防止手段が備えられた積層キャパシターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、積層型セラミックキャパシター(Multi−Layered Ceramic Capacitor:MLCC)は、移動通信端末機、ノートブック、コンピュータ、個人携帯用端末機(PDA)などの多様な電子製品の印刷回路基板に装着されて電気を充電または放電させる重要な役割をするチップ形態のコンデンサーであり、その使用用途及び容量によって多様な大きさ及び積層形態を有している。
【0003】
一般的に、積層型セラミックキャパシターは、複数の誘電体層の間に内部電極が交互積層された構造を有する。
【0004】
このような積層型セラミックキャパシターは、小型化が可能で且つ高容量が保障され、実装が容易であるという長所のため多様な電子装置の部品として広く使われる。
【0005】
積層型セラミックキャパシターの素体を形成するセラミック材料として誘電率が比較的高いチタン酸バリウムなどの強誘電体材料が一般的に利用されている。このような強誘電体材料は、圧電性及び電歪性を有するため、このような強誘電体材料に電界が加えられる時、応力及び機械的変形が振動に現れ、積層セラミックキャパシターの端子電極から基板側にこのような振動が伝達される。
【0006】
すなわち、積層セラミックキャパシターに交流電圧が加えられた場合には、積層セラミックキャパシターの素子本体にX、Y、Zの各方向に沿って応力(Fx、Fy、Fz)が発生し、それにより振動が発生するようになる。この振動が端子電極から基板に伝達され、この基板全体が音響放射面となり、雑音となる振動音を発生させるようになる。
【0007】
このような振動音のうち可聴周波数帯域(20〜20000Hz)の振動音が問題になっているため、これに対する解決策が必要になった。
【0008】
最近、前記のような振動音による問題点を解決するために、積層セラミックキャパシターの外部端子の弾性的変形によって振動を防止する技術が紹介されている。
【0009】
その他、特許文献1に開示されているように、圧電及び電歪により発生する振動の電波を抑制して雑音の発生を低減するようにする別の部品を導入する技術、基板の振動を抑制するために実装された積層型セラミックキャパシターの周辺に基板ホールを形成する技術など、多様な技術が紹介されているが、これは別の工程を必要とし、また、工程の複雑性に比べて十分の振動防止効果が得られなくて、より簡素な構造で振動を防止することができる技術が切実に要求されている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2010−0066080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、より簡素な構造で強誘電体の圧電性による振動を抑制し、別の工程なしに工程の複雑性を減らし、したがって、生産性向上と共に低コストで製造可能な積層キャパシターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するために導き出された本発明は、誘電体層と内部電極とが交互積層されて形成された素体と、前記素体の両端部に備えられた外部端子と、を含み、前記素体の上段部(U)及び下段部(L)に位置する誘電体層は常誘電体からなり、前記素体の中央部(C)に位置する誘電体層は強誘電体からなる、積層キャパシターを提供する。
また、上記上段部(U)及び下段部(L)のうち一つ以上は内部電極を一つ以上含み、上記上段部(U)の上記内部電極及び前記下段部(L)の上記内部電極は上記外部端子と連結される、積層キャパシターを提供する。
【0013】
また、前記強誘電体は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミック、Pb系複合ペロブスカイト(perovskite)系セラミックまたはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、積層キャパシターを提供する。
【0014】
また、前記常誘電体は、ジルコン酸カルシウム(CaZrO
3)系セラミック、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)系セラミック、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO
3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、積層キャパシターを提供する。
【0015】
また、前記素体の上段部(U)の厚さ(T
UPPER)、下段部(L)の厚さ(T
LOWER)、及び中央部(C)の厚さ(T
CENTER)の関係は、下記式
【0016】
【数1】
を満たす、積層キャパシターを提供する。
【0017】
また、前記素体の上段部(U)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M11)を含む、積層キャパシターを提供する。
【0018】
また、前記素体の下段部(L)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M12)を含む、積層キャパシターを提供する。
【0019】
また、前記素体の上段部(U)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M11)を含み、前記素体の下段部(L)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M12)を含む、積層キャパシターを提供する。
【0020】
また、前記マージン層(M11)または前記マージン層(M12)は、常誘電体からなる誘電体層が複数個積層されて形成される、積層キャパシターを提供する。
【0021】
前記のような目的を達成するために導き出された本発明は、積層キャパシターの基板実装構造において、前記積層キャパシターは、誘電体層と内部電極とが交互積層されて形成された素体と、前記素体の両端部に備えられた外部端子と、を含み、前記素体の上段部(U)及び下段部(L)に位置する誘電体層は常誘電体からなり、前記素体の中央部(C)に位置する誘電体層は強誘電体からなり、前記外部端子は、導電材を媒介にして前記基板内に備えられたランドと導電接続する、積層キャパシター実装基板を提供する。
また、上記上段部(U)及び下段部(L)のうち一つ以上は内部電極を一つ以上含み、上記上段部(U)の上記内部電極及び上記下段部(L)の上記内部電極は上記外部端子と連結される積層キャパシター実装基板を提供する。
【0022】
また、前記素体の下段部(L)の厚さ(T
LOWER)と前記導電材の高さ(H
SOLDER)との関係は、下記式
【0023】
【数2】
を満たす、積層キャパシター実装基板を提供する。
【0024】
前記のような目的を達成するために導き出された本発明は、強誘電体からなる誘電体層と内部電極とが交互積層されて形成された容量部(C)と、前記容量部(C)の上下部に位置し、常誘電体からなるマージン部(M21、M22)と、前記容量部(C)及びマージン部(M21、M22)で構成される素体の両端部に備えられた外部端子と、を含む積層キャパシターを提供する。
【0025】
また、前記強誘電体は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミック、Pb系複合ペロブスカイト(perovskite)系セラミックまたはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、積層キャパシターを提供する。
【0026】
また、前記常誘電体は、ジルコン酸カルシウム(CaZrO
3)系セラミック、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)系セラミック、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO
3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、積層キャパシターを提供する。
【0027】
また、前記マージン部(M21)の厚さ(T
MARGIN21)、マージン部(M22)の厚さ(T
MARGIN22)、及び前記容量部(C)の厚さ(T
CAPACITY)の関係は、下記式
【0028】
【数3】
を満たす、積層キャパシターを提供する。
【0029】
前記のような目的を達成するために導き出された本発明は、積層キャパシターの基板実装構造において、前記積層キャパシターは、強誘電体からなる誘電体層と内部電極とが交互積層されて形成された容量部(C)と、前記容量部(C)の上下部に位置し、常誘電体からなるマージン部(M21、M22)と、前記容量部(C)及びマージン部(M21、M22)で構成される素体の両端部に備えられた外部端子と、を含み、前記外部端子は、導電材を媒介にして前記基板内に備えられたランドと導電接続する、積層キャパシター実装基板を提供する。
【0030】
また、前記マージン部(M22)の厚さ(T
MARGIN22)と前記導電材の高さ(H
SOLDER)との関係は、下記式
【0031】
【数4】
を満たす、積層キャパシター実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明による積層キャパシターによると、より簡素な構造で強誘電体の圧電性による振動を抑制することができるため、製品の生産性を向上させることができ、また、製造単価を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による積層キャパシターの断面図である。
【
図2】本発明の積層キャパシターが基板に実装された状態の断面図である。
【
図3】本発明の積層キャパシターが実装された基板の平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態による積層キャパシターの断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態による積層キャパシターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の利点及び特徴、それらを達成する技術は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現されることができる。本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されることができる。明細書の全文における同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
【0035】
本明細書で使われている用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。本明細書で、単数形は文章で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われている‘含む(comprise)’及び/または‘含んでいる(comprising)’は、言及された構成要素、段階、動作及び素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び素子の存在または追加を排除しない。
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の構成及び作用効果をさらに詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明による積層キャパシターの断面図である。付加的に、図面の構成要素は、必ずしも縮尺によって表示されたものではなく、例えば、本発明の理解を容易にするために、図面の一部構成要素の大きさは、他の構成要素に比べて誇張されることができる。
【0038】
図1を参照すると、本発明による積層キャパシター100は、誘電体層と内部電極111とが交互積層されて形成された素体110と、前記素体110の両端部に備えられた外部端子120を含むことができる。
【0039】
前記素体110は、一面に前記内部電極111が印刷された複数個の誘電体層が積層、加圧された後に焼結されて形成されることができ、隣接する誘電体層の間はその境界を区別することができない程度に一体化されている。これにより、図面でもそれぞれの誘電体層の区別なしに一体で示した。
【0040】
前記内部電極111は、金属ペーストを焼結させた金属薄膜からなり、金属ペーストとしては、例えば、Ni、Pd、Ag−Pd、Cuのような金属材料を主成分とするものが使われている。
【0041】
前記内部電極111は、第1内部電極と第2内部電極で構成され、第1内部電極と第2内部電極は、誘電体層により層間絶縁された状態に交互配列される。この時、前記各内部電極111の側面は、前記素体110の外部に露出されて前記外部端子120と接合される。例えば、第1内部電極は、前記一対の外部端子120のうちいずれか一側の外部端子120と接合されて(+)極性が付与されることができ、第2内部電極は、残りの他側の外部端子120と接合されて(−)極性が付与されることができる。もちろん、第1内部電極に(−)極性が付与され、第2内部電極に(+)極性が付与されることができる。
【0042】
前記外部端子120は、Cu、Niなどのような金属材料により形成され、表面にはハンダ湿潤性を良くするためにハンダメッキが実施されている。
【0043】
一般的に、積層キャパシターの本体、すなわち、誘電体層を構成するセラミック材質には誘電率の高い強誘電体が利用されるが、本発明では強誘電体の圧電性による振動を抑制するために、前記素体110の上段部(U)及び下段部(L)に位置する誘電体層の材質を常誘電体にし、前記素体110の中央部(C)に位置する誘電体を強誘電体にすることを特徴とする。
【0044】
具体的に、強誘電体には、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミック、Pb系複合ペロブスカイト(perovskite)系セラミックまたはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を使用することができ、常誘電体には、ジルコン酸カルシウム(CaZrO
3)系セラミック、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)系セラミック、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO
3)系セラミックからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を使用することができる。
【0045】
この時、製造過程で前記素体110の上段部(U)及び下段部(L)、及び中央部(C)の誘電体層は、共に積層されて同時焼成されるため、前述した材料のうち焼成温度が類似する材料を使用することが好ましい。
【0046】
図2は、本発明の積層キャパシター100が基板に実装された状態の断面図であり、
図3は、本発明の積層キャパシター100が実装された基板の平面図であり、本発明の積層キャパシター100は、前記外部端子120が基板200内に形成されたランド210と導電接続することによって前記基板200に実装されることができる。
【0047】
ここで、前記基板200は、多層回路基板、単層両面プリント基板などが使われることができ、特別に種類の制限はなく、外層には基板200を保護するレジスト層が形成されることができる。
【0048】
前記ランド210は、前記基板200の外層に形成され、前記ランド210の形成部位のレジスト層が開口されてその表面の一部が外部に露出されている。このように露出された前記ランド210に導電材220が塗布され、前記ランド210と前記外部端子120が電気的に連結される。
【0049】
前記導電材220は、電気が導通する材料であれば特別な制限はなく、一般的にハンダ(SOLDER)タイプが使われる。
【0050】
図3に示すように、前記ランド210は、前記外部端子120と対応されるように一対で構成され、前記外部端子120と同じ間隔で前記基板200に配置されることができる。これにより、本発明の積層キャパシター100は、前記基板200に水平方向に実装され、前記内部電極111と前記基板200は平行状態となる。
【0051】
このような実装構造において、強誘電体の圧電性による振動は、前記素体110の中央部分で最大となるが、本発明の積層キャパシター100は、前記素体110の上段部(U)及び下段部(L)を圧電特性のない常誘電体で構成することによってこれを抑制することができる。
【0052】
ここで、前記素体110の上段部(U)の厚さ(T
UPPER)、下段部(L)の厚さ(T
LOWER)、及び中央部(C)の厚さ(T
CENTER)の関係は、下記式1を満たすことが好ましい。
【0055】
前記数値範囲内で厚さ(T
UPPER)と厚さ(T
LOWER)の和が厚さ(T
CENTER)に比べて相対的に大きい場合、常誘電体による振動抑制効果は増加されることができるが、あまりにも大きい場合、前記素体110内の強誘電体の比率がそれほど小さくなってキャパシター容量が小さくなることができる。したがって、厚さ(T
UPPER)と厚さ(T
LOWER)、及び厚さ(T
CENTER)の関係は、前記数値範囲内で適切な値を有することが重要である。ただし、前記数値範囲は、本発明の効果が具現されることができる最適の値を限定するための範囲であるため、本発明が追求する目的に適すると、前記数値範囲を少し外れても許容されることができることは当業者の立場では当然である。
【0056】
一方、前記導電材220は、積層キャパシター100と基板200との間の振動媒介体としての役割をするため、本発明のように、前記積層キャパシター100が前記基板200に水平実装される場合、前記導電材220の高さは、前記基板200に伝達される振動低減に大きな影響を及ぼすようになる。
【0057】
これにより、前記素体110の下段部(L)の厚さ(T
LOWER)と前記導電材220の高さ(H
SOLDER)との関係は、下記式2を満たすことが好ましい。
【0060】
前記数値範囲内で前記厚さ(T
LOWER)が高さ(H
SOLDER)に比べて相対的に大きい場合、常誘電体による振動抑制効果は増加されることができるが、あまりにも大きい場合、それほど強誘電体の比率が減少されてキャパシター容量が小さくなることができるため、前記厚さ(T
LOWER)と高さ(H
SOLDER)との関係は、前記数値範囲内で適切な値を有することが重要である。
【0061】
本発明の第2実施形態として、前記素体の上段部(U)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M11)を含むことができる。または、前記素体の下段部(L)は、常誘電体のみで構成されたマージン層(M12)を含むことができる。または、最も好ましい実施形態として、
図4に示すように前記素体の上段部(U)と下段部(L)の両方とも常誘電体のみで構成されたマージン層(M11)、マージン層(M12)を各々含むことができる。
【0062】
前記マージン層(M11)は、前記素体の上段部(U)のうち最上部に位置することが効果面で最も良く、前記素体の下段部(L)に含まれる前記マージン層(M12)も前記素体の下段部(L)のうち最下部に位置することが良い。
【0063】
このような前記マージン層(M11、M12)は、所定厚さの単一層であってもよく、常誘電体で構成された誘電体層が複数個積層されて形成されたものであってもよい。
【0064】
このように、本発明の第2実施形態は、前記素体110の縁部に内部電極111なしに常誘電体のみからなるマージン層(M11、M12)を配置することによって強誘電体による振動をより効果的に抑制することができる。ただし、前記マージン層(M11、M12)が備えられることによって前記内部電極111の積層数は減るようになるため、振動抑制効果とキャパシター容量との間の相互相関関係を考慮して前記マージン層(M11、M12)の厚さを適切に設定することが好ましい。
【0065】
以下、本発明の第3実施形態による積層キャパシターに対して説明する。
【0066】
図5は、本発明の第3実施形態による積層キャパシターの断面図であり、
図5を参照すると、本発明の第3実施形態は、容量部(C)とマージン部(M21、M22)とに区分される素体110と、前記素体110の両端部に備えられた外部端子120と、を含むことができる。
【0067】
前記容量部(C)は、強誘電体で構成された誘電体層と内部電極111とが交互積層されている。また、前記マージン部(M21、M22)は、常誘電体からなり、前記容量部(C)の上下部に位置することができる。ここで、前記マージン部(M21、M22)は、所定厚さの単一層であってもよく、常誘電体で構成された誘電体層が複数個積層されて形成されたものであってもよい。
【0068】
このように、本発明の第3実施形態は、強誘電体で構成された容量部(C)にのみ内部電極111を形成し、常誘電体で構成された前記マージン部(M21、M22)を前記素体110の縁部に配置することによって振動抑制効果を極大化することができる。
【0069】
ただし、振動抑制効果とキャパシター容量との間の相互相関関係を考慮し、前記マージン部(M21)の厚さ(T
MARGIN21)、マージン部(M22)の厚さ(T
MARGIN22)、及び前記容量部(C)の厚さ(T
CAPACITY)の関係は、下記式3を満たすことが好ましい。
【0072】
また、本発明の第3実施形態による積層キャパシターを
図2のように前記基板200に実装時、前記導電材220による振動抑制効果を最大にするために、厚さ(T
MARGIN22)と導電材の高さ(H
SOLDER)との関係は下記式4を満たすことが好ましい。
【0075】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は、多様な他の組合せ、変更及び環境で使用することができる。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、著述した開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。前述した実施形態は、本発明を実施するにあたり、最良の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を利用するにおいて、当業界に知られた他の状態への実施、及び発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施形態に本発明を制限するものではない。また、添付された特許請求の範囲は、他の実施形態も含むと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0076】
100 積層キャパシター
110 素体
111 内部電極
120 外部端子
200 基板
210 ランド
220 導電材