(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6721197
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】レンタルスペースの管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20200629BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20200629BHJP
G06Q 50/12 20120101ALI20200629BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q30/06 350
G06Q50/12
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-148295(P2019-148295)
(22)【出願日】2019年8月13日
(62)【分割の表示】特願2019-540462(P2019-540462)の分割
【原出願日】2019年4月11日
【審査請求日】2019年8月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504170595
【氏名又は名称】株式会社大正スカイビル
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】石田 和晴
【審査官】
関 博文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−259850(JP,A)
【文献】
特開2011−253262(JP,A)
【文献】
特開2008−040633(JP,A)
【文献】
特開昭62−112867(JP,A)
【文献】
特開2009−163406(JP,A)
【文献】
特開2011−008747(JP,A)
【文献】
特許第6204552(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用時間を設定して利用者に空間としての部屋を貸与するレンタルスペースの管理システムであって、
通信回線に接続されて情報を管理するための管理機器と、
前記通信回線を介して前記管理機器に接続され、利用者から前記管理機器への情報入力を受け付ける利用者入力手段と、を備え、
前記管理機器は、
前記空間の貸与に係る機能を制御する制御手段と、
前記空間を利用する予約日時を含む日時情報を記憶する日時記憶部と、
前記空間を利用する利用人数を含む人数情報を記憶する人数記憶部と、
前記空間の割り当て情報を記憶する割当記憶部と、を備え、
前記制御手段は、
貸与する前記空間の貸与料金を算出する料金算出部と、
前記利用者入力手段からの情報入力に基づいて、前記日時記憶部に日時情報を記憶するとともに、前記人数記憶部に人数情報を記憶し、前記日時情報および前記人数情報に基づいて、前記割り当て情報を設定する手段と、
前記日時情報と前記人数情報とに基づいて、貸与可能な全空間のうちの少なくとも一部の空間を前記利用者に割り当てさせることなく割り当てる空間割当部とを備え、
前記空間割当部は、割り当てた前記空間に関する割り当て情報を前記割当記憶部に入力して、前記空間の予約を受け付けたときに前記割り当て情報を更新し、並びに前記予約日時および前記利用人数の少なくともいずれかを変更する前記空間の予約変更を受け付けたときに、当該変更された内容に基づいて前記割り当て情報を更新し、
前記料金算出部は、利用人数に所定の額を乗じて前記貸与料金を算出する
ことを特徴とするレンタルスペースの管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のレンタルスペースの管理システムにおいて、
前記制御手段は、全空間のうち既に割り当てられている空間の割合である割り当て率を前記割り当て情報から算出する割当率算出部を備え、
前記料金算出部は、前記割り当て率が高い場合、利用人数に対して乗じる所定の額を高く変動させ、前記割り当て率が低い場合、利用人数に対して乗じる所定の額を低く変動させ、前記貸与料金を算出する
ことを特徴とするレンタルスペースの管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレンタルスペースの管理システムにおいて、
前記管理機器と通信回線を介して接続され、前記空間を区画する区画手段を備え、
前記制御手段は、前記割り当て情報から貸与する空間に関する区画指令を生成し、
前記区画手段は、前記制御手段から送信された前記区画指令に基づいて、全空間のうち、利用者に割り当てられた空間を区画する
ことを特徴とするレンタルスペースの管理システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のレンタルスペースの管理システムにおいて、
前記制御手段は、
前記日時記憶部に日時情報が記憶され、前記人数記憶部に人数情報が記憶された予約済みの既存予約に対し、前記利用者とは異なる当該既存予約に参加を申し込む新たな利用者からの情報入力を受け付け、この情報入力に基づいて、前記人数記憶部に記憶された人数情報を更新する
ことを特徴とするレンタルスペースの管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用時間を設定して利用者に空間を貸与するレンタルスペース
の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルやオフィス、ホテル等の空会議室を一般の利用者に向けてレンタルするためのシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたレンタルシステムは、インターネット等の通信ネットワークに公開された管理サーバと、会議室の情報が保存された複数の予約サーバと、を備え、利用者が管理サーバを介して予約サーバの会議室情報にアクセスするとともに、所望の会議室を予約することができるように構成されている。さらに、レンタルシステムは、課金機能も備えており、レンタル料金の支払もオンラインで実行できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−150178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のシステムでは、通信ネットワークを介して利用者から事前に予約および支払ができるものの、予約時点において利用人数を想定し、その利用人数に応じた広さの空間を選択して予約するものである。このため、予約時点に対して実際の利用人数が増減した場合、利用人数に対して空間が狭いと利用満足度が下がったり、空間の広さに対して利用人数が少ないと一人当たりの料金負担感が増したり、などの不都合が生じることが予想される。このような不都合を避けるために、予約時点において利用者側が予約する空間の広さや利用人数を意図的に制限すると、料金当たりの利用満足度は一定程度得られるものの、利用人数の減少を危惧して利用(予約)自体を断念したり、利用希望者が増えても受け入れを断らざるを得なかったり、などの利用者側における機会損失につながることになり、結果としてレンタルスペースの運用効率低下を招いてしまう原因となる。
【0005】
本発明の目的は、利用者側の機会損失を抑制することによって運用効率を高めることができるレンタルスペース
の管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレンタルスペースの管理システムは、利用時間を設定して利用者に空間
としての部屋を貸与するレンタルスペースの管理システムであって、通信回線に接続されて情報を管理するための管理機器と、前記通信回線を介して前記管理機器に接続され、利用者から前記管理機器への情報入力を受け付ける利用者入力手段と、を備え、前記管理機器は、前記空間の貸与に係る機能を制御する制御手段と、前記空間を利用する予約日時を含む日時情報を記憶する日時記憶部と、前記空間を利用する利用人数を含む人数情報を記憶する人数記憶部と、前記空間の割り当て情報を記憶する割当記憶部と、を備え、前記制御手段は、貸与する前記空間の貸与料金を算出する料金算出部と、前記利用者入力手段からの情報入力に基づいて、前記日時記憶部に日時情報を記憶するとともに、前記人数記憶部に人数情報を記憶し、前記日時情報および前記人数情報に基づいて、前記割り当て情報を設定する手段と、前記日時情報と前記人数情報とに基づいて、貸与可能な全空間のうちの少なくとも一部の空間を前記利用者に割り当てさせることなく割り当てる空間割当部とを備え、前記空間割当部は、割り当てた前記空間に関する割り当て情報を前記割当記憶部に入力して、前記空間の予約を受け付けたときに前記割り当て情報を更新し、並びに前記予約日時および前記利用人数の少なくともいずれかを変更する前記空間の予約変更を受け付けたときに、当該変更された内容に基づいて前記割り当て情報を更新し、前記料金算出部は、利用人数に所定の額を乗じて前記貸与料金を算出することを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、管理機器の制御手段は、利用者入力手段からの情報入力に基づいて日時情報と人数情報とを記憶し、
貸与する空間の貸与料金を算出する料金算出部を備え、この料金算出部は、利用人数に所定の額を乗じて貸与料金を算出することで、利用人数に応じて貸与料金を算出するため、利用者は貸与料金に応じて利用の予定を立てることができる。
【0008】
また、制御手段は、日時情報および人数情報に基づいて割り当て情報を設定することで、利用者からの利用人数や利用日時の入力(新規入力、変更、更新)を受け付け、その利用人数に応じて相応の広さの空間を割り当てることができる。したがって、利用者は、予約時点において空間の広さや利用人数を意図的に制限する必要がなく、利用人数が予想できない場合でも比較的気軽に空間を予約することができるとともに、利用人数が変化した場合でも適切な広さの空間の割り当てにより料金当たりの利用満足度も確保することができ、機会損失が抑制できる。これにより、レンタルスペースは、利用者からの積極的な予約を受け付けるとともに、利用満足度の向上により繰り返し利用者の増加が見込まれることにより、運用効率を高めることができる。
【0009】
また、制御手段は、貸与可能な全空間のうちの少なくとも一部の空間を割り当てる空間割当部を備え、この空間割当部が日時情報と人数情報と割り当て情報とに基づいて自動的に空間を割り当てることで、人手により空間を割り当てる場合と比較して人件費を抑えることができるとともに、予約を受け付けたときや予約変更があったときに即座に割り当て情報を更新することができる。
【0012】
この際、本発明では、前記制御手段は、全空間のうち既に割り当てられている空間の割合である割り当て率を前記割り当て情報から算出する割当率算出部を備え、前記料金算出部は、前記割り当て率が高い場合、利用人数に対して乗じる所定の額を高く変動させ、前記割り当て率が低い場合、利用人数に対して乗じる所定の額を低く変動させ、前記貸与料金を算出することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、制御手段は、割り当て率を算出する割当率算出部を備え、この料金算出部は、利用人数と割り当て率に応じて貸与料金を変動させることで、全空間の予約状況に応じて貸与料金を自動的に変更することができ、需要と供給のバランスを図ることができる。
【0014】
また、本発明では、前記管理機器と通信回線を介して接続され、前記空間を区画する区画手段を備え、前記制御手段は、前記割り当て情報から貸与する空間に関する区画指令を生成し、前記区画手段は、前記制御手段から送信された前記区画指令に基づいて、全空間のうち、利用者に割り当てられた空間を区画することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、レンタルスペース
の管理システムは、管理機器と通信回線を介して接続されて空間を区画する区画手段を備え、制御手段は、割り当て情報から貸与する空間に関する区画指令を生成し、区画手段は、区画指令に基づいて、全空間のうち、利用者に割り当てられた空間を区画することで、区画手段は、自動で全空間の一部を利用者に割り当てて空間を区画するため、人件費等のコスト削減を図りつつ適切な広さの空間を利用者に提供することができる。
【0016】
また、本発明では、前記制御手段は、前記日時記憶部に日時情報が記憶され、前記人数記憶部に人数情報が記憶された予約済みの既存予約に対し、
前記利用者とは異なる当該既存予約に参加を申し込む新たな利用者からの情報入力を受け付け、この情報入力に基づいて、前記人数記憶部に記憶された人数情報を更新することが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、既に予約されていた既存予約に対し、制御手段は、新たな利用者からの参加申込みを受け付け、人数記憶部の人数情報を更新することで、利用人数の変動に柔軟に対応することができる。すなわち、新規予約時には、講義やセミナー等の主催者(利用者)が予約し、その後、講義やセミナー等に参加を希望する参加者(新たな利用者)が参加申込みを行う場合、参加申込みを受け付けた主催者が人数の変更を入力する必要がなく、制御手段が参加者からの参加申込みを直接受け付けて人数情報を更新することで、予約入力における主催者の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレンタルスペースの概略構成図
【
図2】前記レンタルスペースの管理機器の構成を示すブロック図
【
図3】前記レンタルスペースの管理機器の動作を示すフローチャート
【
図4】前記レンタルスペースの変形例を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るレンタルスペースの概略構成図である。
レンタルスペースは、
図1に示すように、当該レンタルスペースを管理するための管理機器であるホスト1と、利用者に貸与するための空間である複数の部屋20と、を備え、複数の部屋20を有した複数の建物2が存在している。ホスト1および建物2と、利用者が所持する携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピュータ等の端末装置3と、部屋20のレンタルを予約するための予約サイト4と、は通信回線としての公衆ネットワークであるインターネット5を介して相互に接続可能になっている。利用者は、利用者入力手段としての端末装置3を用いてインターネット5を介して予約サイト4にアクセスし、目的に応じた部屋20を探し、利用時間および利用人数を指定して予約を実行することができる。予約サイト4は、利用者からの予約を受け付けると、予約が確定した部屋20と予約時間を含む予約情報をホスト1に送信する。ホスト1は、予約情報に基づいて設定した部屋20の割り当て情報を報知手段としての端末装置3に送信し利用者に報知する。
【0020】
建物2は、会議室やトレーニングルーム等の複数の部屋20を備え、各部屋20には、出入口21と、出入口21を施解錠するための錠装置22とが設けられている。錠装置22は、予約サイト4から利用者の端末装置3に発行される暗証番号やバーコード等の認証キーによって解錠可能になっており、この認証キーは、利用するたびにランダムに変更され、その時間に予約した利用者だけが固有の認証キーを用いて錠装置22を解錠できるようになっている。各部屋20には、LAN(Local Area Network)を介してモデムやルータ等の通信端末装置23が接続されており、この通信端末装置23がインターネット5を介してホスト1に接続されている。また、通信端末装置23には、報知手段としての電子掲示板24が接続されている。この電子掲示板24は、液晶モニタ等の表示装置を有し、ホスト1からの報知指令に基づいて各部屋20の割り当て情報を表示することで利用者に報知する。各部屋20は、間仕切り壁25によって区画され、比較的広い(例えば、定員15〜25人)部屋20Aと、中間的な広さの(例えば、定員10〜18人)部屋20Bと、比較的狭い(例えば、定員5〜12人)部屋20Cと、が存在している。
【0021】
図2は、レンタルスペースの管理機器の構成を示すブロック図である。
レンタルスペースの管理機器であるホスト1は、サーバ装置によって構成され、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)等からなる制御手段30と、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置からなる記憶手段40と、を備える。制御手段30は、利用者から予約サイト4を介して予約された予約情報を管理する予約管理部31と、報知手段に対する報知指令等の各種指令を生成する指令生成部32と、予約情報に基づいて貸与する部屋20の割り当てを行う空間割当部33と、貸与する部屋20の貸与料金を算出する料金算出部34と、全部屋20のうち既に割り当てられている部屋20の割合である割り当て率を割り当て情報から算出する割当率算出部35と、通信端末装置23や予約サイト4、利用者の端末装置3との通信を制御する通信部36と、を備えている。
【0022】
記憶手段40は、管理する全ての部屋20の情報を記憶する空間情報記憶部41と、部屋20を利用する予約日時を含む日時情報を記憶する日時記憶部42と、部屋20を利用する利用人数を含む人数情報を記憶する人数記憶部43と、部屋20の割り当て情報を記憶する割当記憶部44と、を備える。制御手段30は、予約管理部31が利用者からの予約を受け付けたら、予約情報と空間情報記憶部41に記憶された全部屋20の情報とに基づき、日時情報を日時記憶部42に記憶させ、人数情報を人数記憶部43に記憶させる。さらに、制御手段30は、貸与する部屋20の割り当てを空間割当部33に実行させて部屋20の割り当て情報を割当記憶部44に記憶させるとともに、割り当て情報から割り当て率を割当率算出部35に算出させ、割り当て率に基づいて部屋20の貸与料金を料金算出部34に算出させる。受け付けた予約情報に対して、日時情報、人数情報、割り当て情報および貸与料金が決定されたら、制御手段30は、割り当て情報および貸与料金を報知するための報知指令を指令生成部32に生成させるとともに、通信部36によって報知指令を利用者の端末装置3に送信する。
【0023】
なお、予約管理部31、指令生成部32、空間割当部33、料金算出部34、割当率算出部35および通信部36は、サーバ装置のCPUによりプログラムとして実行されてもよいし、それぞれ独立した機器で構成されてもよいし、クラウドコンピューティングを利用して構成されてもよい。また、記憶手段40は、HDD等の記憶装置によって構成されてもよいし、クラウドサービスの記憶手段を利用したものであってもよい。また、利用者入力手段および報知手段として機能する端末装置3としては、利用者からの入力を受け付ける入力部、利用者に情報を報知するための表示部、ホスト1との間で情報を送受信するための通信部、これらの入力部や表示部、通信部等を制御する制御部を備えたスマートフォン等の機器であってもよいし、入力部、表示部、通信部および制御部がそれぞれ独立した機器で構成されたものであってもよい。
【0024】
図3は、レンタルスペースの管理機器の動作を示すフローチャートである。
図3のフローチャートでは、利用者により新規の予約を受け付けてからのホスト1の動作手順が示されている。ホスト1の制御手段30は、予約サイト4からの予約を予約管理部31が受け付けると、その予約情報に基づき日時情報を日時記憶部42に記憶させ、人数情報を人数記憶部43に記憶させる(ステップST11)。次に、制御手段30は、予約情報と空間情報記憶部41に記憶された全部屋20の情報とに基づき、空間割当部33に貸与する部屋20の割り当て情報を設定させ、割り当て情報を割当記憶部44に記憶させる(割り当て情報設定工程:ステップST12)。具体的に空間割当部33は、空間情報記憶部41に記憶された全ての部屋20の中から、日時情報の時間に空いていて人数情報に適合した広さの部屋20を抽出し、抽出した部屋20を割り当てることとして割り当て情報を設定する。なお、日時情報および人数情報に適合する部屋20がなければ、制御手段30は、指令生成部32に不適合指令を生成させ、この不適合指令を通信部36によって利用者の端末装置3に送信させる。
【0025】
ここで、新規に利用人数が16人の予約を受け付けた場合、部屋20A(定員15〜25人)または部屋20B(定員10〜18人)のいずれも空いていれば、空間割当部33は、例えば、部屋20Bを割り当てることとし、割り当て情報を設定して割当記憶部44に記憶させる。この際、新規予約よりも先の予約を部屋20Bに割り当てていた場合、先の予約の利用人数が新規予約の利用人数(16人)よりも少なければ、空間割当部33は、新規予約に対して部屋20Aを割り当てる。一方、先の予約の利用人数が新規予約の利用人数(16人)よりも多ければ、空間割当部33は、新規予約に対して部屋20Bを割り当て、先の予約の割り当てを部屋20Bから部屋20Aに変更する。このような部屋20の割り当て情報に変更があったとしても、先の予約の利用者に対して部屋20の変更を報知する必要がない。すなわち、利用者に対しては、利用人数に基づいて相応な広さの部屋20を割り当てればよいので、特定の部屋20A〜Cなどを報知する必要がない。
【0026】
次に、制御手段30は、設定した割り当て情報から割り当て率を割当率算出部35に算出させる(割当率算出工程:ステップST13)。具体的に割当率算出部35は、全部屋20のうち既に割り当てられている部屋20の割合である割り当て率を算出する。次に、制御手段30は、割り当てた部屋20の貸与料金を料金算出部34に算出させるとともに、算出した貸与料金に基づいて指令生成部32に報知指令を生成させ、この報知指令を通信部36によって利用者の端末装置3に送信させる(貸与料金算出・報知工程:ステップST14)。具体的には、料金算出部34は、利用人数に所定の額を乗じて貸与料金を算出することとし、割り当て率が高い場合、利用人数に対して乗じる所定の額を高く変動させ、割り当て率が低い場合、利用人数に対して乗じる所定の額を低く変動させ、貸与料金を算出する。ここで、利用者が端末装置3で報知された貸与料金を確認し、予約申し込みをキャンセルする旨の応答を端末装置3から送信し、このキャンセル通知を受信した場合、制御手段30は、処理を終了する。一方、利用者が貸与料金を了解する旨の応答を端末装置3から送信し、この了解通知を受信した場合、制御手段30は、指令生成部32に予約確認の報知指令を生成させ、この報知指令を通信部36によって利用者の端末装置3に送信させる(予約確認報知工程:ステップST15)。
【0027】
以上により部屋20の予約が確定したら、制御手段30は、予約の変更受付を待機する待機状態となる(変更受付待機工程:ステップST16)。この変更受付待機工程では、制御手段30の予約管理部31は、予約サイト4から予約変更の入力があるかどうかを所定時間ごとに確認する。制御手段30は、予約管理部31が予約サイト4から予約変更を受け付けたか否かを確認し(予約変更受付工程:ステップST17)、予約変更を受け付けたら(ステップST17でYES)、前述のステップST11〜ST15を実行し、変更された予約情報に基づいて日時情報、人数情報および割り当て情報を更新し、割り当て情報を利用者に報知する。ここで、利用人数が変更された場合、例えば16人から22人に増加する利用人数の予約変更を受け付けた場合、空間割当部33は、部屋20Bから部屋20Aに変更して割り当て、割り当て情報を設定して割当記憶部44に記憶させる。このように部屋20を変更したとしても、前述の通り、利用者に対しては、部屋が変更されたことを報知する必要がない。
【0028】
一方、予約変更の入力がない場合(ステップST17でNO)、制御手段30は、予約変更が可能か否かを判断する(予約変更可否判断工程:ステップST18)。予約変更の可否としては、例えば、予約変更が可能な時刻(例えば、予約日の前日の正午)よりも前であれば変更可能と判断し、予約変更が可能な時刻を過ぎれば変更不能と判断する。予約変更可能と判断したら(ステップST18でYES)、制御手段30は、変更受付待機工程(ステップST16)に戻ってステップST17,ST18を繰り返す。なお、ある一の予約が変更受付を待機している状態であっても、他の新規予約や予約変更に対する部屋20の割り当てによって、一の予約に割り当てる部屋20が変更されることもある。この場合も、空間割当部33が変更した割り当て情報を割当記憶部44に記憶させるだけで、一の予約の利用者に変更があったことを報知する必要はない。
【0029】
予約変更不能と判断したら(ステップST18でNO)、制御手段30は、予約管理部31に予約情報を確定させるとともに、予約が確定して変更不能である旨の報知指令を指令生成部32に生成させ、この報知指令を通信部36によって利用者の端末装置3に送信させる(予約確定報知工程:ステップST19)。さらに、制御手段30は、指令生成部32に予約確定の報知指令を生成させ、予約が確定した割り当て情報の報知指令を通信部36によって利用者の端末装置3および建物2の通信端末装置23に送信させる(割り当て情報報知工程:ステップST20)。この報知指令を受信した利用者の端末装置3は、割り当て情報を利用者に報知する。ここで、端末装置3に表示される部屋20の割り当て情報には、予約時間と建物情報が少なくとも含まれていればよく、部屋20の階数や部屋番号が含まれている必要はない。また、電子掲示板24は、利用当日の所定時間になると部屋20の割り当て情報を表示することで、訪れた利用者に対して部屋20の割り当て情報を報知する。ここで、電子掲示板24に表示される部屋20の割り当て情報には、部屋20の階数や部屋番号も含まれ、訪れた利用者が予約確定された部屋20を認知できるようになっている。
【0030】
図4は、レンタルスペースの変形例を示す概略構成図である。
なお、本実施形態において、各部屋20は、
図4に示すように、区画手段としての可動間仕切り壁26によって区画されていてもよい。この可動間仕切り壁26は、図示しない駆動手段によって移動可能に構成されており、可動間仕切り壁26が移動することで各部屋20の広さが変更されるようになっている。可動間仕切り壁26の駆動手段は、通信端末装置23およびインターネット5を介してホスト1に接続され、ホスト1からの区画指令に基づいて可動間仕切り壁26を移動させることで、各部屋20の割り当て情報に基づいた広さに設定する。制御手段30は、部屋20の広さを変更する必要がある場合には、割り当て情報に基づいて部屋20の区画指令を指令生成部32に生成させ、通信部36によって区画指令を建物2の通信端末装置23に送信させる。建物2の可動間仕切り壁26は、区画指令に基づいて適宜な時間(夜間などの不使用時間)に駆動手段によって移動され、これにより部屋20の広さが変更される。
【0031】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)ホスト1の制御手段30は、利用者から予約情報の入力を受け付けた場合、その予約情報に基づいて日時情報および人数情報を記憶手段40に記憶し、日時情報および人数情報に基づいて空間割当部33が割り当て情報を設定する。また、利用者からの利用人数や利用日時の変更を受け付けた場合、日時情報および人数情報を更新し、空間割当部33が割り当て情報を変更し、他の部屋20を割り当てるか、割り当てる部屋20の広さを変更する。これによれば、利用者は、予約時点において部屋20の広さや利用人数を意図的に制限する必要がなく、利用人数が予想できない場合でも比較的気軽に部屋20を予約することができるとともに、利用人数が変化した場合でも適切な広さの部屋20が割り当てられることにより、料金当たりの利用満足度も確保することができ、機会損失が抑制できる。したがって、レンタルスペースは、利用者からの積極的な予約を受け付けるとともに、利用満足度の向上により繰り返し利用者の増加が見込まれることにより、運用効率を高めることができる。
【0032】
(2)制御手段30は、空間割当部33が設定または変更した割り当て情報に基づき、指令生成部32に報知指令を生成させ、この報知指令を通信部36から利用者の端末装置3に送信させることで、割り当て情報を利用者に報知することができる。したがって、利用者が予約を確認することができ、利便性を高めることができる。
【0033】
(3)制御手段30の空間割当部33は、日時情報と人数情報と割り当て情報とに基づいて、貸与可能な全部屋20から適切な部屋20を自動的に割り当てることで、人手により部屋20を割り当てる場合と比較して人件費を抑えることができるとともに、予約を受け付けたときや予約変更があったときに即座に割り当て情報を更新して利用者に報知することができる。
【0034】
(4)制御手段30の料金算出部34は、利用人数に所定の額を乗じて貸与する部屋20の貸与料金を算出し、この貸与料金を利用者の端末装置3に送信して報知することで、利用者は貸与料金に応じて利用の予定を立てることができる。この際、制御手段30の料金算出部34は、割当率算出部35が算出した割り当て率に応じて貸与料金を変動させることで、全部屋20の予約状況に応じて貸与料金を自動的に変更することができ、需要と供給のバランスを図ることができる。
【0035】
(5)レンタルスペースの部屋20は、
図4に示すように、可動間仕切り壁26によって広さが変更可能に構成されていれば、制御手段30は、割り当て情報から貸与する部屋20に関する区画指令を生成し、区画指令に基づいて利用者に割り当てられた部屋20を可動間仕切り壁26によって区画することで、自動で全部屋20の一部を利用者に割り当てて部屋20を区画するため、人件費等のコスト削減を図りつつ適切な広さの部屋20を利用者に提供することができる。
【0036】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、レンタルスペースとして建物2の部屋20を貸与する場合を例示したが、レンタルスペースとしては、会議室やトレーニングルーム等に限らず、屋外のスペースであるテニスコートや野球場、競技場、駐車場等であってもよいし、カラオケルームやレンタルオフィス、読書スペース等であってもよい。
【0037】
前記実施形態では、管理機器としてのホスト1は、通信回線であるインターネット5を介して端末装置3や通信端末装置23に接続されたサーバ装置によって構成される場合を例示したが、管理機器としては、このような集中管理型のサーバ装置によって構成されるものに限られない。すなわち、管理機器としては、分散管理型のものであってもよく、例えば、ブロックチェーンに代表される分散型取引台帳を利用したものなどが利用可能であり、予約情報を管理するとともに、端末装置3や通信端末装置23に対して各種の指令を送受信して処理できるものであればよい。また、前記実施形態では、管理機器としてのホスト1と予約サイト4とが別個に設けられるとともに、互いにインターネット5を介して接続されていたが、これに限らず、ホスト1と予約サイト4とが単一のサイトに設けられていてもよいし、管理機器の機能と予約サイトの機能とがインターネット上に分散された複数の機器によって構成されていてもよい。
【0038】
前記実施形態では、制御手段30は、空間割当部33を備え、空間割当部33が自動で割り当て情報を更新したが、このような空間割当部33によって自動で割り当て情報を更新せずに、管理者等の人手によって手動で割り当て情報を更新してもよい。また、制御手段30は、貸与する部屋20の貸与料金を算出する料金算出部34と、割り当て率を算出する割当率算出部35と、を備えていたが、貸与料金の算出を手動で行うようにしてもよい。また、料金算出部34は、利用人数に所定の額を乗じて貸与料金を算出するものとしたが、これに限らず、部屋20の面積に所定の額を乗じて貸与料金を算出してもよいし、利用時間帯に応じて貸与料金の算出方法が変更されてもよい。
【0039】
前記実施形態では、レンタルスペースの部屋20を区画する区画手段として、
図4に示すように1枚の可動間仕切り壁26全体がスライドするものを例示したが、これに限らず、区画手段としては、複数枚の壁体から構成されて、各壁体が移動可能かつ分離接続可能に構成されたものでもよいし、天井の複数箇所に設置されたシャッター形式の壁体が上下に開閉可能に構成されたものでもよい。さらに、区画手段としては、駆動手段によって駆動されるものに限らず、管理人等の人が移動させることで各部屋20を区画する手動形式のものであってもよい。また、制御手段30は、割り当て情報から貸与する部屋20に関する区画指令を生成し、区画指令に基づいて可動間仕切り壁26が部屋20を区画する構成であったが、これに限らず、割り当て情報に基づいて、自動または手動により可動間仕切り壁26が移動して部屋20を区画するように構成してもよい。また、制御手段30の空間割当部33は、利用人数の変更に応じて割り当て情報を更新する際に、同一の建物2内の全空間から一部の空間を割り当てたり、区画手段によって空間の広さを変更して割り当てたりしたが、これに限らず、近隣に存在する他の建物2の空間を割り当てるようにしてもよい。このような他の建物2としては、所有者や管理者が同一であってもよいし異なっていてもよく、複数の所有者(管理者)が提携して建物2の空間を貸与する運営形態であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態において、利用者入力手段である端末装置3から予約を申し込む利用者としては、講義やセミナー等の主催者であってもよいし、講義やセミナー等に参加する参加者であってもよい。また、主催者(利用者)が新規に申し込んで日時記憶部42に日時情報が記憶され、人数記憶部43に人数情報が記憶された予約済みの既存予約に対し、集客サイトなどを通じて参加者を募集するような場合、参加を申し込む参加者(新たな利用者)からの情報入力を制御手段30が受け付け、この情報入力に基づいて、人数記憶部43に記憶された人数情報を更新するようにしてもよい。この際、変更可能な利用人数の上限を予め設定しておき、新たな参加者の募集人数を制限するようにしてもよい。このような構成によれば、参加申込みを受け付けた主催者が人数の変更を入力する必要がなく、制御手段が参加者からの参加申込みを直接受け付けて人数情報を更新することで、予約入力における主催者の手間を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明は、利用者側の機会損失を抑制することによって運用効率を高めることができるレンタルスペース
の管理システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ホスト(管理機器)
3 端末装置(利用者入力手段、報知手段)
5 インターネット(通信回線)
20 部屋(空間)
24 電子掲示板(報知手段)
26 可動間仕切り壁(区画手段)
30 制御手段
31 予約管理部
33 空間割当部
34 料金算出部
35 割当率算出部
40 記憶手段
41 空間情報記憶部
42 日時記憶部
43 人数記憶部
44 割当記憶部
【要約】
【課題】利用者側の機会損失を抑制することによって運用効率を高めることができるレンタルスペースを提供。
【解決手段】通信回線に接続された管理機器であるホスト1と、通信回線を介してホスト1に接続されて利用者から情報入力を受け付ける利用者入力手段である端末装置3、ホスト1の所定情報を利用者に報知する報知手段である端末装置3および電子掲示板24と、を備える。ホスト1の制御手段30は、端末装置3からの入力により日時情報および人数情報を記憶し、記憶した情報に基づいて部屋20の割り当て情報を設定するとともに、設定した割り当て情報を端末装置3および電子掲示板24にて報知させる報知指令を生成し、端末装置3および電子掲示板24は、通信回線を介して制御手段30から送信された報知指令に基づき、利用者に割り当て情報を報知する。
【選択図】
図2