(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる自律飛行移動体、自律飛行移動体システムの実施の形態を詳細に説明する。以下では、自律飛行移動体であるロボットが、歩行者であるユーザを先導して誘導するように、その前方上方を飛行する場合について説明している。このような誘導により、ユーザは、自身よりも少し前を飛行しているドローンを見ているだけで目的地まで到着することができる。ユーザが歩行している場合に限らず、例えば、自転車や自動車等の車両に乗車している場合にも同様に適用することができる。
【0011】
図1は、本発明にかかる自律飛行移動体を適用した自律飛行システム1000の機能的な構成を示す図である。
図1に示すように、自律飛行システム1000は、自律飛行ロボット100と、携帯端末200と、サーバ300とを有し、これらが無線通信ネットワークN1を介して接続されている。また、サーバ300は通信ネットワークN2を介して、他のシステムや装置に接続されている。無線通信ネットワークN1は、例えば、携帯電話通信網である。通信ネットワークN2は、例えば、インターネット回線網である。図において、ユーザUは、地上Gを矢印Aの向きに移動し、その前方上方に自律飛行ロボット100が飛行している。
【0012】
自律飛行ロボット100は、例えば、ドローンのような、自律して飛行可能な小型の移動体である。
図1に示すように、自律飛行ロボット100は、複数のロータ101と、モータ102と、本体部103と、スキッド104とを有している。自律飛行ロボット100は、本体部103からの指示に従って、モータ102による駆動力を受けてロータ101を回転させて飛行する。スキッド104は、自律飛行ロボット100の離着陸時の足として使用される。
【0013】
図2は、自律飛行ロボット100が有する本体部103の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本体部103は、記憶部1031と、測位部1032と、探索部1033と、飛行制御部1034と、第1通信部1035と、制御部1036とを有して構成されている。実際には、これらの各部以外にも、例えば、ユーザを撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ、移動速度を認識するための加速度センサ、高度を認識するための超音波センサ、自身の向きを把握するためのコンパス、バッテリ等、自律飛行ロボット100が通常備えている機能を有している。
【0014】
記憶部1031は、メモリ等の一般的な記憶媒体から構成され、自律飛行ロボット100に関するデータを記憶する。
【0015】
図3は、記憶部が記憶するデータの例を示す図である。
図3に示すように、記憶部101は、経路測位情報10311を記憶する。
【0016】
図4は、経路測位情報10311の例を示す図である。
図4に示すように、経路測位情報10311は、現在日時と、現在位置と、出発地と、目的地と、経路データとが対応付けて記憶されている。
図4では、例えば、2015年9月1日の10時00分00秒現在、ユーザは位置(X1,Y1,Z1)の場所にいることを示している。また、ユーザが携帯端末200を操作して設定した出発地および目的地は、それぞれ、東京都品川区○○1−2−3および東京都
新宿区××2−3−4であり、その経路を示すデータはDであることを示している。
【0017】
測位部1032は、例えば、GPS(Global Positioning System)モジュールであり、自律飛行ロボット100の現在位置を測位し、その日時および位置を経路測位情報10311の現在日時および現在位置に記録する。本例では、上記日時および位置は最新のデータを随時更新する前提で記載しているが、記憶部1031の記憶容量が許容されるのであれば、過去一定期間分のデータを自律飛行ロボット100内に蓄積してもよい。
【0018】
探索部1033は、出発地から目的地までの経路を探索する処理部である。探索方法については、従来から知られている様々な技術を適用することができる。上記出発地および目的地は、携帯端末100から設定され、探索部
1033が、上記経路測位情報10311の出発地および目的地に設定するとともに、あらかじめ記憶部1031に記憶されている不図示の地図データと上記探索された経路とを含む経路データを記録する。
【0019】
飛行制御部1034は、出発地および目的地が設定され、携帯端末200から飛行指示を受けると、モータ102を駆動してロータ101を回転制御し、出発地である現在位置から目的地までの自律飛行を開始する。飛行制御部1034は、自律飛行を開始すると、超音波センサにより所定の高度(例えば、3メートル)となるように、ロータ101の回転数を制御する。また、飛行制御部1034は、自律飛行を開始すると、ユーザが所持する携帯端末200との間の第1通信部間の電波強度に基づいて、携帯端末200との距離が一定の距離(例えば、携帯端末200を所持するユーザから半径2メートル離れた位置)を飛行するように、ロータ101の回転数を制御する。さらに、飛行制御部1034は、CCDカメラが上記所定の電波強度を発する携帯端末200を撮像する位置で飛行するように、ロータ101の回転数を制御する。これらの制御により、自律飛行ロボット100は、飛行開始から飛行終了までの間、地上からある一定の高度で携帯端末200を所持するユーザとの一定の距離を保ちつつ、そのユーザが所持する携帯端末200の前方(CCDカメラが自律飛行ロボット100の後面にある場合)や後方(CCDカメラが自律飛行ロボット100の前面にある場合)、あるいはそのユーザの横(CCDカメラが自律飛行ロボット100の側面にある場合)に位置しながら目的地までの経路を飛行することができる。
【0020】
第1通信部1035は、所定の規格にしたがって、無線通信ネットワークN1を介して携帯端末100またはサーバ300との間で無線通信して各種情報を送受信する処理部である。
【0021】
制御部1036は、自律飛行ロボット100を構成する上記各部の動作を制御する。自律飛行ロボット100の具体的な動作についてはシーケンス図を用いて後述する。続いて、
図1に戻って、携帯端末200について説明する。
【0022】
携帯端末200は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の一般的な携帯端末である。携帯端末200は、自律飛行ロボット100に先導されて出発地から目的地まで移動するユーザにより所持される。以下では、ユーザが一般的な携帯端末100を操作する場合について説明しているが、携帯端末100にかえて専用のリモートコントローラを用いてもよい。
【0023】
図5は、携帯端末200の機能的な構成を示す図である。
図5に示すように、携帯端末200は、入力表示部201と、飛行処理部202と、第1通信部203と、制御部204とを有して構成されている。
【0024】
入力表示部201は、例えば、タッチパネルから構成され、ユーザから様々な情報の入力を受け付け、その入力情報に対する処理結果を表示する。入力表示部201は、例えば、上記出発地や目的地の入力を受け付け、その結果を表示する。また、入力された出発地および目的地に基づいて探索された経路を表示する。携帯端末200が自律飛行ロボット100から現在位置情報を受け取り、上記経路に重畳表示させてもよい。
【0025】
飛行処理部202は、入力表示部201が受け付けた出発地および目的地を、第1通信部203を介して自律飛行ロボット100に送信する。また、飛行処理部202は、自律飛行ロボット100から上記経路を示す経路データを受け取り、入力表示部201に表示する。
【0026】
第1通信部203は、所定の規格にしたがって、無線通信ネットワークN1を介して自律飛行ロボット100またはサーバ300との間で無線通信して各種情報を送受信する処理部である。
【0027】
制御部204は、携帯端末200を構成する上記各部の動作を制御する。携帯端末200の具体的な動作についてはシーケンス図を用いて後述する。続いて、
図1に戻って、サーバ300について説明する。
【0028】
サーバ300は、PC(Personal Computer)等の一般的なコンピュータである。サーバ300は、自律飛行ロボット100の飛行経路を監視するサーバである。
【0029】
図1に示すように、サーバ300は、記憶部301と、経路監視部302と、第1通信部303と、第2通信部304と、制御部305とを有して構成されている。
【0030】
記憶部301は、HDD(Hard Disk Drive)等の一般的な記憶装置であり、自律飛行ロボット100の飛行経路に関する情報を記憶する。
【0031】
図6は、記憶部301が記憶するデータの例を示す図である。
図6に示すように、記憶部301は、自律飛行ロボット100の現在位置情報3011と、自律飛行ロボット100の経路情報3012と、出発地から目的地までの経路周辺の環境情報3013とを記憶する。現在位置情報3011は、
図4に示した経路測位情報10311の現在日時および現在位置と同様の情報を対応付けて記憶する。経路情報3012は、
図4に示した経路測位情報10311の出発地および目的地、経路データと同様の情報を対応付けて記憶する。これらの例については既出のため、ここではその説明を省略する。
【0032】
環境情報3013は、運行情報、道路情報、災害情報等、出発地から目的地までの経路周辺の環境に関する情報である。
【0033】
図7は、環境情報3013の例を示す図である。
図7に示すように、環境情報3013は、環境が変化する事象が発生した日時と、その事象の内容を示す事象情報とが対応付けて記憶されている。
図7では、例えば、2015年9月1日の9時00分00秒現在、○○線は10分遅延していることを示している。同様に、2015年9月1日の12時30分00秒現在、品川区△△通り××交差点付近は工事のため通行止めとなっていることを示している。また、2015年9月1日の13時00分00秒現在、新宿区において××川が警戒水域を超えていることを示している。このように、環境情報3013には、経路周辺における鉄道の運行情報、道路の工事情報、災害情報等、ユーザが出発地から探索された経路を通って目的地に到達するまでに、その経路での移動に影響を与える事象を示す情報が記憶されている。これらの各情報は、例えば、経路監視部302が、通信ネットワークN2を介して、鉄道会社のホームページ、道路交通情報を提供するサイト、市区町村のホームページ等にアクセスしてこれらの情報を読み取って、上記環境情報3013として格納したり、格納した情報を所定の間隔で更新することにより、最新の状況を記憶している。上記例以外にも、ユーザが上記車両により移動する場合には、これらの情報に加えて交通渋滞情報(例えば、上記事象が発生した日時と、高速道路名と、上記事象情報とを対応付けた情報)を含めてもよい。続いて、
図1に戻って、経路監視部302について説明する。
【0034】
経路監視部302は、探索された経路を飛行している自律飛行ロボット100を監視する処理部である。経路監視部302は、自律飛行ロボット100から受信した現在位置情報3011および経路情報3012を読み取り、現時点で自律飛行ロボット100が経路情報3012に示された経路を飛行していることをチェックする。また、経路監視部302は、上記環境情報3013を取得するため、通信ネットワークN2を介して、鉄道会社のホームページ、道路交通情報を提供するサイト、市区町村のホームページ等にアクセスし、取得した情報を上記環境情報3013に記録する。
【0035】
第1通信部303は、所定の規格にしたがって、無線通信ネットワークN1を介して自律飛行ロボット100または携帯端末200との間で無線通信して各種情報を送受信する処理部である。
【0036】
第2通信部304は、所定の規格にしたがって、通信ネットワークN2を介して上記鉄道会社のホームページ、道路交通情報を提供するサイト、市区町村のホームページ等にアクセスする処理部である。
【0037】
制御部305は、サーバ300を構成する上記各部の動作を制御する。サーバ300の具体的な動作についてはシーケンス図を用いて後述する。続いて、本システムで行われる処理について説明する。
【0038】
図8は、本システムで行われる処理(誘導飛行処理)の処理手順を示すシーケンス図である。
図8に示すように、誘導飛行処理では、まず、ユーザが携帯端末200を操作し、入力表示部201が、ユーザから出発地および目的地の入力を受け付け(ステップS801)、さらに自律飛行ロボット100に対する飛行指示の入力を受け付ける(ステップS802)。携帯端末200の飛行処理部202は、上記出発地、目的地、および飛行指示を、自律飛行ロボット100に送信する(ステップS803)。
【0039】
自律飛行ロボット100の測位部1032は、携帯端末100からこれらの情報を受信すると、現在位置の測位を開始し、測位した情報を経路測位情報
10311に記録する(ステップS804)。探索部1033は、携帯端末100から受信した出発地から目的地までの経路を探索し、出発地および目的地とともに探索した経路を経路測位情報
10311に記録する(ステップS805)。
【0040】
自律飛行ロボット100の飛行制御部1034は、上記測位した情報(現在位置情報)、上記出発地および目的地とともに探索した経路(経路情報)をサーバ300に送信し(ステップS806)、モータ102を駆動してロータ101を回転制御し、出発地である現在位置から目的地までの自律飛行を開始する(ステップS807)。以降、自律飛行ロボット100は、上記現在位置情報および経路情報を、随時サーバ300に送信する。
【0041】
飛行制御部1034は、飛行を開始すると、携帯端末200との間の電波強度に基づいて、携帯端末200との距離が一定となるように飛行し、CCDカメラが上記所定の電波強度を発する携帯端末200を撮像するように、ロータ101の回転数を制御してポジショニングする(ステップS808)。以降、飛行制御部1034は、測位部1032が即死している現在位置情報が、探索部1033が探索した目的地に到達するまで、上記経路を確認しながら、上記ポジショニングを維持したまま自律飛行ロボット100の飛行を継続させる(ステップS809、S810;No)。
【0042】
サーバ300の経路監視部302は、自律飛行ロボット100から、上記現在位置情報および経路情報を受信すると、受信したこれらの情報を、それぞれ、現在位置情報3011および経路情報3012に登録する(ステップS811)。以降、経路監視部302は、自律飛行ロボット100からこれらの情報を受信する都度、現在位置情報3011および経路情報3012を更新する。
【0043】
経路監視部302は、現在位置情報3011および経路情報3012を登録すると、通信ネットワークN2を介して、鉄道会社のホームページ、道路交通情報を提供するサイト、市区町村のホームページ等にアクセスし、上記環境情報を取得し、環境情報3013に記録するとともに(ステップS812)、自律飛行ロボット100に送信する(ステップS813)。このとき、経路監視部302は、取得した環境情報と、記憶部
301に記憶した現在位置情報3011および経路情報3012とを参照し、ユーザの移動に影響を与える事象を示す環境情報(例えば、出発地から目的地までの経路に含まれる交差点名における工事を示す事象)を抽出して上記環境情報3013に記録する。以降、経路監視部302は、環境情報を取得する都度、環境情報3013を更新するとともに、取得した最新の環境情報を自律飛行ロボット100に送信する。
【0044】
自律飛行ロボット100の探索部1033は、サーバ300から上記環境情報を受信すると、現在位置を出発地として、環境情報に示された事象を回避する目的地までの迂回経路を再探索し、現在位置情報および再探索した経路情報を再びサーバ300に送信し(ステップS806)、自律飛行ロボット100の飛行を継続させる(ステップS807〜S809、S810;No)。自律飛行ロボット100は、これらのステップを、環境情報を取得する都度、目的地に到達するまで繰り返す。
【0045】
自律飛行ロボット100の飛行制御部1034は、探索部1033が探索した目的地に到達すると(ステップS810;Yes)、目的地に到着したことを示す到着通知を携帯端末200およびサーバ300に送信する(ステップS814)。携帯端末200の飛行処理部202は、サーバ300から受信した上記通知を入力表示部201に表示し、入力表示部201は、ユーザから飛行終了指示の入力を受け付ける(ステップS815)。
【0046】
飛行処理部202は、受け付けられた上記飛行終了指示を自律飛行ロボット100に送信し(ステップS816)、自律飛行ロボット100の飛行制御部1034は、モータ102の駆動を停止して自律飛行を終了させる(ステップS817)。サーバ300の経路監視部302は、ステップS814において上記到着通知を受信すると、ステップS811、S812における更新を終了する(ステップS818)。
【0047】
このように、本システムでは、上記処理を実行することにより、自身の目の前に飛行する自律飛行ロボットを目視するだけで、現在位置を把握しなくても目的地まで移動することができる。
【0048】
上記例では、携帯端末200の入力表示部201に、ユーザの現在位置を表示することなくユーザを出発地から目的地まで誘導した。しかし、ユーザによっては、経路の途中で自身の現在位置を把握したい場合もある。そのような場合には、S806において自律飛行ロボット100がサーバ300に対して現在位置情報および経路情報を送信したように、携帯端末200に対しても同様にこれらの情報を送信し、携帯端末200の飛行処理部202が、経路情報と現在位置情報を入力表示部201に表示させてもよい。この場合、ユーザは、自身の現在位置を容易に把握することができる。
【0049】
また、上記例では、サーバ300が記憶部301、経路監視部302、第1通信部303、第2通信部304を備えた場合について説明したが、例えば、経路監視部302の機能を探索部1033が実行する等、これらの各部を自律飛行ロボット100に設けてもよい。この場合、サーバ300と自律飛行ロボット100との間の通信が不要となるため、無線通信ネットワークN1の通信環境に依存することなく処理を実行することができる。
【0050】
上記自律飛行ロボット100、サーバ
300で行われる各処理は、実際には、自律飛行
ロボット100、サーバ
300にインストールされたプログラムを実行することにより実
現される。上記プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されたり、インストール
可能な形式又は実行可能な形式のファイルで記録媒体に記録して提供したり、配布しても
よい。