特許第6721347号(P6721347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6721347-運行管理装置 図000002
  • 特許6721347-運行管理装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721347
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】運行管理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20200706BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
   G07C5/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-14516(P2016-14516)
(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-134665(P2017-134665A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 鉄君
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−291130(JP,A)
【文献】 特開2000−057486(JP,A)
【文献】 特開2002−323334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に前記車両の運行管理を行う運行管理装置であって、
有料道路の料金所ごとに割り当てられた料金所コードを前記車両が前記料金所を通過するときに取得する取得部と、前記車両が有料道路と一般道路との何れにあるかを判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記料金所コードのうち、一の有料道路と他の有料道路とを接続する料金所に対応する料金所コードである接続料金所コードのみを予め記憶すると共に、
前記車両が一般道路にあると判定している場合において前記車両が前記料金所を通過したとき、前記車両が有料道路にあると判定し、
前記車両が有料道路にあると判定している場合において前記車両が前記料金所を通過したとき、通過した前記料金所の料金所コードが前記接続料金所コードと異なれば前記車両が一般道路にあると判定し、通過した前記料金所の料金所コードが前記接続料金所コードと一致すれば前記車両が有料道路にあると判定する、
運行管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運行管理装置において、
前記制御部が、
前記接続料金所コードの更新情報を外部から入力されたとき、前記更新情報に基づいて記憶している前記接続料金所コードを更新する、
運行管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行管理を行う運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商業用車両など(例えば、トラック及びタクシー)の運行管理を行うための運行管理装置が提案されている。例えば、従来の運行管理装置の一つ(以下「従来装置」という。)は、車両が走行中の道路の種別(具体的には、一般道路であるか有料道路であるか。以下、「道路種別」という。)を判定するためのセンサを備え、車両が一般道路を走行しているときの管理条件と、車両が有料道路を走行しているときの管理条件と、を自動的に切り替えるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。これにより、従来装置は、乗務員による道路種別の入力操作に頼ることなく、道路種別に対応した適切な運行管理を行うことができる。
【0003】
なお、従来装置では、道路種別を判定するためのセンサとして、坂道検出ユニットが使用されている。これは、有料道路の出入口にあるランプウェイ等のように道路種別が切り替わる地点には坂道が存在する状況が多いという事実に基づく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−206419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、道路種別を判定する際、車両が有料道路の料金所を通過したことを利用することも可能である。例えば、料金所は通常は一般道路と有料道路とを接続する地点に設けられるため、車両が料金所を通過するごとに道路種別を一般道路と有料道路との間で切り替える手法により、道路種別を判定し得る。具体的には、道路種別が一般道路であると判定されている場合において車両が料金所を通過したとき、道路種別が有料道路であると判定し、道路種別が有料道路であると判定されている場合において車両が料金所を通過したとき、道路種別が一般道路であると判定し得る。
【0006】
なお、車両が料金所を通過したことは、例えば、ETCシステム(電子料金収受システム)を利用して確認し得る。具体的には、ETC車載器が料金所から料金所コード(料金所ごとに割り当てられた固有の識別番号)などの情報を受信したとき、車両が料金所を通過したことを確認し得る。
【0007】
一方、近年、有料道路網の拡充等に伴い、異なる有料道路同士を接続する地点に設けられる料金所(以下、便宜上、「接続料金所」という。)が増加している。この接続料金所を車両が通過しても、実際の道路種別は当然に有料道路のままである。しかし、上述した手法(料金所ごとに道路種別を切り替える手法)を適用すると、車両が接続料金所を通過した際にも、道路種別が有料道路から一般道路に切り替えられることになる。その結果、実際の道路種別と、判定された道路種別と、が相違することになる。
【0008】
実際の道路種別と判定された道路種別とが相違しても、例えば、乗務員が手動にて運行管理装置の道路種別を切り替えることにより、道路種別の修正が可能である。しかし、乗務員による入力操作に頼ることなく運行管理を行う観点からは、このような手動での切り替えを出来る限り排除することが望ましい。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が走行中の道路種別を乗務員による入力操作に出来る限り頼ること無く判定可能な運行管理装置を提供することにある。
【0010】
以下、説明の便宜上、有料道路の料金所のうち、接続料金所を除く料金所(換言すると、一般道路と有料道路とを接続する地点に設けられる通常の料金所)を「通常料金所」と称呼する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る運行管理装置は、下記(1)及び(2)を特徴としている。
(1)
車両に搭載されると共に前記車両の運行管理を行う運行管理装置であって、
有料道路の料金所ごとに割り当てられた料金所コードを前記車両が前記料金所を通過するときに取得する取得部と、前記車両が有料道路と一般道路との何れにあるかを判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記料金所コードのうち、一の有料道路と他の有料道路とを接続する料金所に対応する料金所コードである接続料金所コードのみを予め記憶すると共に、
前記車両が一般道路にあると判定している場合において前記車両が前記料金所を通過したとき、前記車両が有料道路にあると判定し、
前記車両が有料道路にあると判定している場合において前記車両が前記料金所を通過したとき、通過した前記料金所の料金所コードが前記接続料金所コードと異なれば前記車両が一般道路にあると判定し、通過した前記料金所の料金所コードが前記接続料金所コードと一致すれば前記車両が有料道路にあると判定する、
運行管理装置であること。
(2)
上記(1)に記載の運行管理装置において、
前記制御部が、
前記接続料金所コードの更新情報を外部から入力されたとき、前記更新情報に基づいて記憶している前記接続料金所コードを更新する、
運行管理装置であること。
【0012】
上記(1)の構成の運行管理装置によれば、道路種別が有料道路と判定されている場合において車両が料金所を通過したとき、通過した料金所の料金所コードが接続料金所コードと異なれば(即ち、通過した料金所が通常料金所であれば)道路種別が一般道路に切り替えられ、通過した料金所の料金所コードが接続料金所コードと一致すれば(即ち、通過した料金所が接続料金所であれば)道路種別が有料道路に維持される。よって、車両が通常料金所および接続料金所の何れを通過する場合であっても、道路種別が適切に判定されることになる。したがって、本構成の運行管理装置は、車両が走行中の道路種別を乗務員による入力操作に出来る限り頼ること無く判定できる。
【0013】
上記(2)の構成の運行管理装置によれば、新たな接続料金所が設けられた場合であっても、その新たな接続料金所の料金所コードを含む接続料金所コードの更新情報を運行管理装置に外部から入力できる。したがって、本構成の運行管理装置は、接続料金所の増設時にも、道路種別を適切に判定可能な状態を出来る限り維持できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両が走行中の道路種別を乗務員による入力操作に出来る限り頼ること無く判定可能な運行管理装置を提供できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る運行管理装置の基本構成を示す図である。
図2図2は、図1の運行管理装置が、道路種別の判定、及び、車速及びエンジン回転速度の制限値の切り替えを行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る運行管理装置(デジタルタコグラフ10)について説明する。本例において、デジタルタコグラフ10は、商業用車両(例えば、トラック及びタクシー)に搭載される。
【0018】
図1に示すように、デジタルタコグラフ10は、CPU(制御部)11と、電源12と、出力部13と、ボタン14と、入力I/F15と、通信I/F(取得部)16と、を備える。なお、CPUは中央演算処理装置の略称であり、I/Fはインターフェイスの略称である。
【0019】
CPU(制御部)11は、種々の処理を行うためのプログラムが格納されたROM11aと、有料道路の料金所コード(詳細は後述される。)及び車両の運行データを含む種々のデータの記録・読み出しを行うRAM11bと、を含む。電源12は、CPU11が種々の処理を実行するために必要な電力をCPU11に提供するようになっている。出力部13は、乗務員に種々の情報を知らせるための表示画面、及び、乗務員に警報等を行うためのブザー等を含む。出力部13は、CPU11の指示に基づいて動作するようになっている。なお、本例において、CPU11が本発明に係る「制御部」に対応する。
【0020】
ボタン14は、乗務員によって操作可能に配置されている。例えば、タクシーの場合、ボタン14として、実車状態(乗客を乗せて運行する状態)又は空車状態(乗客を乗せずに運行する状態)を選択するためのボタン等が挙げられる。ボタン14の操作情報は、CPU11に送信されるようになっている。
【0021】
入力I/F15は、車両の運行状態を検出する各種センサからの情報、有料道路の料金所コードの更新情報(詳細は後述される。)及び乗務員IDの情報などをCPU11に提供するようになっている。本例においては、入力I/F15は、車両の速度を検出する車速センサS1、及び、車両のエンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサS2と接続されると共に、料金所コードを更新するための料金所コード更新情報が格納された料金所コード更新用メモリカードM1を挿入可能となっている。入力I/F15は、これらセンサ等から得た情報をCPU11に提供するようになっている。
【0022】
なお、入力I/F15は、乗務員IDを入力可能であるように構成されてもよい。乗務員IDの入力は、例えば、乗務員がIDカードの挿入口(図示省略)に自らのIDカードを挿入することにより行われる。乗務員IDの入力は、乗務員によるボタン14の操作によって行われてもよい。
【0023】
通信I/F16は、デジタルタコグラフ10と、この車両に搭載されたETCシステム(電子料金収受システム)のETC車載器20と、の間の無線通信または有線通信を行うようになっている。なお、本例ではデジタルタコグラフ10とETC車載器20とは別々の独立した装置であるが、デジタルタコグラフ10は、ECT車載器20の機能を内蔵するように構成されてもよい。
【0024】
ETC車載器20は、車両が有料道路の料金所を通過するごとに、通過した料金所の料金所コードを含む通過情報を料金所から受信すると共に、受信した料金所コードを通信I/F16に送信するようになっている。通信I/F16は、ETC車載器20から料金所コードを受信するごとに、その料金所コードをCPU11に提供するようになっている。
【0025】
デジタルタコグラフ10を搭載した車両の乗務員は、業務を開始するために車両を事業所等から出庫する際、出庫操作として乗務員IDの入力(IDカードの挿入)を行い、業務を終えるために車両を事業所等に入庫する際、入庫操作として乗務員IDの入力の解除(IDカードの排出)を行う。
【0026】
乗務員がデジタルタコグラフ10に自身のIDカードを挿入すると、運行データの記録が開始される。具体的には、CPU11は、車両の運行状態に関する情報を、その運行時に入力されていた乗務員IDの情報と関連付けると共に、運行データとしてRAM11bに逐次(時系列的に)記録していく。このような運行データの記録は、例えば、乗務員が自身のIDカードをデジタルタコグラフ10から排出したときに終了される。RAM11bに記録された運行データは、管理サーバ(図示省略)等において処理され、その後の乗務員の運行管理のために役立てられる。
【0027】
なお、上述した車両の運行状態に関する情報には、車速、走行距離、エンジン回転速度、時刻、車速の制限値、及び、エンジン回転速度の制限値などが含まれる。
【0028】
デジタルタコグラフ10は、安全運転および経済的運転の観点から、例えば、車速、及び、エンジン回転速度を管理する。具体的には、車速センサS1により検出される現在の車速が車速の制限値以上である場合、又は、エンジン回転速度センサS2により検出される現在のエンジン回転速度がエンジン回転速度の制限値以上である場合、出力部13を通じてその旨(車速超過、又は、エンジン回転速度超過の注意喚起)が乗務員に通知される。これにより、乗務員は、車速が車速の制限値以下の範囲内において、且つ、エンジン回転速度がエンジン回転速度の制限値以下の範囲内において車両を運転するよう促されることになる。
【0029】
ところが、一般に、有料道路(高速道路、及び、有料自動車道路等)の法定速度(制限速度)は、一般道路の法定速度(制限速度)より高い。よって、車両が走行中の道路の種別(道路種別。具体的には、一般道路であるか有料道路であるか。)によって、車速の制限値、及び、エンジン回転速度の制限値を切り替えることが好ましい。道路種別によってこれらの制限値を切り替えるためには、道路種別を判定する必要がある。
【0030】
デジタルタコグラフ10は、道路種別を判定するために、車両が有料道路の料金所を通過したことを利用する。なお、有料道路の料金所には、一般道路と有料道路とを接続する地点に設けられる料金所(通常料金所)と、異なる有料道路同士を接続する地点に設けられる料金所(接続料金所)と、が存在する。
【0031】
具体的には、デジタルタコグラフ10は、道路種別が一般道路の場合において車両が通常料金所(即ち、有料道路入口の料金所)を通過すると、道路種別を有料道路に切り替える。一方、デジタルタコグラフ10は、道路種別が有料道路の場合において、車両が通常料金所(即ち、有料道路出口の料金所)を通過するときには道路種別を一般道路に切り替え、車両が接続料金所を通過するときには道路種別を有料道路に維持する。
【0032】
デジタルタコグラフ10は、通過した料金所が通常料金所であるか接続料金所であるかを識別するため、料金所ごとに割り当てられている料金所コードを利用する。ROM11aには、全ての料金所の料金所コードのうち、接続料金所の料金所コードが「接続料金所コード」として予め格納されている。ROM11aには、全ての料金所の料金所コードのうち接続料金所コードのみが予め格納されていてもよいし、全ての料金所の料金所コードが、接続料金所コードと、それ以外の料金所コード(即ち、通常料金所の料金所コード)と、を識別可能な状態で予め格納されていてもよい。
【0033】
ROM11aに格納されている接続料金所コードの情報は、接続料金所コードの更新情報が記憶された料金所コード更新用メモリカードM1が入力I/F16に接続される毎に、更新され得る。
【0034】
以下、デジタルタコグラフ10(具体的には、CPU11)が、道路種別の判定、及び、車速及びエンジン回転速度の制限値の切り替えを行う際の具体的な処理について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。CPU11は、車両の走行中において所定時間が経過する毎に、図2のフローチャートに示すルーチンを繰り返し実行する。なお、本ルーチンは、CPU11がROM11aに格納されている対応するプログラムを実行することによって行われる。
【0035】
具体的には、CPU11は、所定のタイミングにてステップ200から本ルーチンの処理を開始すると、ステップ205に進み、現時点にて運行データの記録が行われているか(即ち、乗務員のIDカードが挿入された状態にあるか)否かを判定する。CPU11は、現時点が運行データの記録中ではない場合、「No」と判定してステップ295に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、CPU11は、現時点が運行データの記録中である場合、「Yes」と判定してステップ210に進む。以下、現時点が運行データの記録中であると仮定して説明を続ける。
【0036】
運行データの記録中である場合、CPU11は、ステップ210にて、車両が有料道路の料金所を通過したか否かを判定する。上述のように、車両が料金所を通過すると、ETC車載器20、及び、通信I/F16を介して、通過した料金所の料金所コードがCPU11に提供される。そこで、例えば、CPU11に料金所コードが提供されたことに基づき、車両が料金所を通過したか否かを判定し得る。
【0037】
CPU11は、現時点にて車両が料金所を通過していない場合、「No」と判定してステップ295に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、CPU11は、車両が料金所を通過した場合、「Yes」と判定してステップ215に進む。以下、車両が料金所を通過したと仮定して説明を続ける。
【0038】
車両が料金所を通過した場合、CPU11は、ステップ215にて、「有料道路フラグ」が「OFF」であるか否かを判定する。ここで、有料道路フラグが「OFF」であることは「道路種別が一般道路であること」に対応し、有料道路フラグが「ON」であることは「道路種別が有料道路であること」に対応する。有料道路フラグの値はRAM11bに格納されている。車速及びエンジン回転速度の制限値は、有料道路フラグが「OFF」の場合には一般道路用の値に設定され、有料道路フラグが「ON」の場合には有料道路用の値に設定される。なお、有料道路フラグの初期値は「OFF」に設定される。以下、有料道路フラグが「OFF」であると仮定して説明を続ける。
【0039】
有料道路フラグが「OFF」である場合、CPU11は、ステップ215にて「Yes」と判定してステップ220に進み、有料道路フラグを「OFF」から「ON」に切り替える。更に、CPU11は、ステップ225にて、車速及びエンジン回転速度の制限値を、一般道路用の値から有料道路用の値に切り替えた後、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0040】
以上の処理により、一般道路を走行中であった車両が通常料金所(より具体的には、有料道路の入口の料金所)を通過した場合、有料道路フラグが「OFF」から「ON」に切り替えられると共に、車速及びエンジン回転速度の制限値が一般道路用の値から有料道路用の値に切り替えられる。このように制限値が切り替えられた後、有料道路を走行中の車両が通常料金所(より具体的には、有料道路の出口の料金所)又は接続料金所を通過するまでの間、CPU11は、ステップ205にて「Yes」と判定し、ステップ210で「No」と判定してステップ295に進む処理を繰り返し実行する。
【0041】
次いで、このように有料道路を走行中の車両が通常料金所(より具体的には、有料道路の出口の料金所)を通過する場合について説明する。
【0042】
この場合、CPU11は、ステップ210にて「Yes」と判定してステップ215に進む。現時点では、先のステップ220の処理によって有料道路フラグが「ON」になっているため、CPU11は、ステップ215にて「No」と判定してステップ230に進み、通過した料金所の料金所コードがROM11aに格納されている接続料金所コードに一致するか否か、を判定する。
【0043】
現時点は、車両が通常料金所(有料道路の出口の料金所)を通過した直後である。よって、CPU11は、ステップ230にて「No」と判定してステップ235に進み、有料道路フラグを「ON」から「OFF」に切り替える。更に、CPU11は、ステップ240にて、車速及びエンジン回転速度の制限値を有料道路用の値から一般道路用の値に切り替える。その後、CPU11は、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0044】
以上の処理により、有料道路を走行中であった車両が通常料金所(有料道路の出口の料金所)を通過した場合、有料道路フラグが「ON」から「OFF」に切り替えられると共に、車速及びエンジン回転速度の制限値が有料道路用の値から一般道路用の値に切り替えられる。このように制限値が切り替えられた後、一般道路を走行中の車両が通常料金所(有料道路の入口の料金所)を通過するまでの間、CPU11は、ステップ205で「Yes」と判定し、ステップ210で「No」と判定してステップ295に進む処理を繰り返し実行する。
【0045】
なお、定額料金制を採用する有料道路の場合、有料道路の出口の料金所そのものが存在しない場合がある。この場合、通常、有料道路の出口近傍の道路には、車両が搭載するETC車載器と通信して車両が有料道路から出たことを示す情報を含む通過情報をETC車載器に送信する設備が設けられている。そこで、車両が定額料金制を採用する有料道路から出る場合も、上記同様、この通過情報がETC車載器20を介してCPU11に提供されることに基づいて車両が通常料金所(より具体的には、有料道路の出口の料金所)を通過したと判定(ステップ210にて「Yes」、ステップ215にて「No」、ステップ230で「No」と判定)するように、デジタルタコグラフ10が構成され得る。
【0046】
次いで、有料道路を走行中の車両が接続料金所を通過する場合について説明する。
【0047】
この場合、CPU11は、ステップ210にて「Yes」と判定してステップ215に進み、ステップ215にて「No」と判定してステップ230に進む。現時点は、車両が接続料金所を通過した直後である。よって、CPU11は、ステップ230にて「Yes」と判定し、(ステップ235及びステップ240の処理を実行することなく)ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0048】
以上の処理により、有料道路を走行中であった車両が接続料金所を通過した場合、有料道路フラグが「ON」に維持されると共に、車速及びエンジン回転速度の制限値が有料道路用の値に維持される。このように制限値が維持された後、有料道路を引き続き走行中の車両が通常料金所(より具体的には、有料道路の出口の料金所)又は接続料金所を通過するまでの間、CPU11は、ステップ205で「Yes」と判定し、ステップ210で「No」と判定してステップ295に進む処理を繰り返し実行する。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態に係るデジタルタコグラフ10によれば、道路種別が有料道路と判定されている場合において車両が料金所を通過したとき、通過した料金所の料金所コードが接続料金所コードと異なれば(即ち、通過した料金所が通常料金所であれば)道路種別が一般道路に切り替えられ、通過した料金所の料金所コードが接続料金所コードと一致すれば(即ち、通過した料金所が接続料金所であれば)道路種別が有料道路に維持される。したがって、車両が通常料金所及び接続料金所の何れを通過する場合であっても、道路種別が適切に判定される。その結果、乗務員による入力操作に出来る限り頼ること無く道路種別に対応した適切な運行管理を行うことができる。
【0050】
更に、ROM11aに格納される接続料金所コードの情報は、料金所コード更新用メモリカードM1を入力I/F16に接続する毎に、更新され得る。よって、接続料金所の増設時にも、新たな接続料金所に対応する接続料金所コードの情報を含む料金所コード更新用メモリカードM1を入力I/F16に接続することによって、道路種別を適切に判定可能な状態を出来る限り維持できる。
【0051】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、車両が料金所を通過したことの判定が、通過した料金所の料金所コードがETC車載器20を介してCPU11に提供されたことに基づいてなされている。これに対し、デジタルタコグラフ10がETC車載器20に相当する機能を内蔵する場合、デジタルタコグラフ10は、料金所コードを含む通過情報を料金所から直接受信したことに基づいて車両が料金所を通過したと判定するように構成され得る。この場合、ETC車載器20が不要となる。
【0053】
更に、上記実施形態では、料金所コード更新用メモリカードM1を用いて接続料金所コードの情報を更新するようになっている。一方、料金所コード更新用メモリカードM1に代えて、デジタルタコグラフ10と管理サーバ等との間の無線通信によって接続料金所コードの情報が更新されるように、デジタルタコグラフ10が構成され得る。
【0054】
更に、上記実施形態では、本発明に係る運行管理装置として、デジタルタコグラフ10が採用されている。しかし、本発明に係る運行管理装置として、いわゆるタクシーメータが採用されてもよい。通常、一般道路用のタクシーの料金体系と有料道路用のタクシーの料金体系とは異なる。よって、道路種別(具体的には、一般道路であるか有料道路であるか。)によって、料金体系を切り替える必要がある。この動作を実現するためには、例えば、図2のステップ225にて、料金体系を有料道路用のものから一般道路用のものに切り替え、且つ、ステップ240にて、料金体系を一般道路用のものから有料道路用のものに切り替えるように、これらステップの処理内容を変更すればよい。
【0055】
ここで、上述した本発明に係る運行管理装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(2)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
車両に搭載されると共に前記車両の運行管理を行う運行管理装置(10)であって、
有料道路の料金所ごとに割り当てられた料金所コードを前記車両が前記料金所を通過するときに取得する取得部(16)と、
前記車両が有料道路と一般道路との何れにあるかを判定する制御部(11)と、
を備え、
前記制御部(11)は、
前記料金所コードのうち、一の有料道路と他の有料道路とを接続する料金所に対応する料金所コードである接続料金所コードを予め記憶する(ROM11a)と共に、
前記車両が一般道路にあると判定している場合において前記車両が前記料金所を通過したとき(ステップ210及び215にてYes判定)、前記車両が有料道路にあると判定し(ステップ220)、
前記車両が有料道路にあると判定している場合において前記車両が前記料金所を通過したとき(ステップ210及び215にてNo判定)、通過した前記料金所の料金所コードが前記接続料金所コードと異なれば(ステップ230にてNo判定)前記車両が一般道路にあると判定し(ステップ235)、通過した前記料金所の料金所コードが前記接続料金所コードと一致すれば(ステップ230にてYes判定)前記車両が有料道路にあると判定する(ステップ235の実行なし)、
運行管理装置。
(2)
上記(1)に記載の運行管理装置において、
前記制御部(11)が、
前記接続料金所コードの更新情報(料金所コード更新用メモリカードM1内の情報)を外部から入力されたとき、前記更新情報に基づいて記憶している前記接続料金所コードを更新する、
運行管理装置(10)。
【符号の説明】
【0056】
10 デジタルタコグラフ(運行管理装置)
11 CPU(制御部)
16 通信I/F(取得部)
M1 料金所コード更新用メモリカード
図1
図2