特許第6721403号(P6721403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721403
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】電動補助自転車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/55 20100101AFI20200706BHJP
【FI】
   B62M6/55
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-91470(P2016-91470)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-197132(P2017-197132A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100171767
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 元貴
(72)【発明者】
【氏名】真野 恭規
【審査官】 杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−167160(JP,A)
【文献】 実開昭62−030005(JP,U)
【文献】 特開2015−231752(JP,A)
【文献】 特開平11−278356(JP,A)
【文献】 特開2001−071982(JP,A)
【文献】 特開2000−062679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットを含み、
前記ブラケットは、
上板と、
前記上板に接続された第1側板と、
車両の左右方向で前記第1側板から離れて配置され、前記上板に接続された第2側板とを含み、
前記ハウジングは、車両の左右方向で前記第1側板と前記第2側板との間に配置される第1懸架ボスと第2懸架ボスとを含み、
前記第1懸架ボスには、前記第1側板に形成された孔に対して車両の左右方向で外側から挿入される第1ボルトが締結され、
前記第2懸架ボスには、車両の左右方向に延び、前記第2側板に向かって開口する挿入孔が形成されており、
前記電動補助自転車は、さらに、
前記挿入孔に嵌め込まれて、前記挿入孔が延びる方向にスライド可能な筒部材を備え、
前記筒部材の内周面には、前記第2側板に形成された孔に対して車両の左右方向で外側から挿入される第2ボルトの外周面に形成されたねじ山と噛み合うねじ溝が形成されており、
前記第1ボルトが締め付けられることにより、前記ハウジングが車両の左右方向で前記第1側板に向かって移動し、前記ハウジングが前記第1側板に押し当てられ、
前記第2ボルトが締め付けられることにより、前記筒部材が前記挿入孔から抜け出す方向にスライドし、前記筒部材が前記第2側板に押し当てられる、電動補助自転車。
【請求項2】
請求項1に記載の電動補助自転車であって、
前記ハウジングは、
第1ハウジング部材と、
前記第1ハウジング部材よりも前記第2側板の近くに配置されて、前記第1ハウジング部材に取り付けられる第2ハウジング部材とを含み、
前記第1懸架ボスは、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とに跨って形成されており、
前記第2懸架ボスは、前記第2ハウジング部材に形成されている、電動補助自転車。
【請求項3】
請求項1に記載の電動補助自転車であって、
前記ハウジングは、
第1ハウジング部材と、
前記第1ハウジング部材よりも前記第2側板の近くに配置されて、前記第1ハウジング部材に取り付けられる第2ハウジング部材とを含み、
前記第1懸架ボスは、前記第1ハウジング部材に形成されており、
前記第2懸架ボスは、前記第2ハウジング部材に形成されている、電動補助自転車。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の電動補助自転車であって、
前記第1ボルトは、前記第1懸架ボスに形成されたねじ孔により、前記第1懸架ボスに締結される、電動補助自転車。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の電動補助自転車であって、
前記第1ボルトは、ナットにより、前記第1懸架ボスに締結される、電動補助自転車。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電動補助自転車であって、
前記第1ボルトは、前記挿入孔と同軸上に配置されている、電動補助自転車。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の電動補助自転車であって、
前記挿入孔及び前記筒部材は、前記第1ボルトの軸部よりも大径である、電動補助自転車。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の電動補助自転車であって、
前記筒部材は、
前記挿入孔に挿入される本体と、
前記本体の軸方向一方の端部に形成されて、前記本体の外周面から前記本体の軸方向に垂直な方向に延びるフランジとを含み、
前記フランジが前記第2側板に押し当てられる、電動補助自転車。
【請求項9】
請求項8に記載の電動補助自転車であって、
前記ハウジングは、
前記筒部材の周方向で前記フランジと接することにより、前記筒部材の回転を阻止する突起を含む、電動補助自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動補助自転車に関し、詳しくは、車体フレームに取り付けられる駆動ユニットを備える電動補助自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車は、手軽に利用できる交通手段として、老若男女を問わず、広く普及している。近年、乗員のペダル踏力をモータの駆動力でアシストする電動補助自転車の普及が進んでいる。このような電動補助自転車は、例えば、特開2000−62679号公報に開示されている。
【0003】
上記公報では、電動補助自転車は、駆動ユニットを備える。駆動ユニットは、クランク軸を含む。クランク軸には、アームを介して、ペダルが取り付けられる。駆動ユニットは、車体フレームの下端に配置されたブラケットに取り付けられる。
【0004】
上記公報では、ブラケットは、上板と、一対の側板とを含む。一対の側板の各々は、上板から下方に延びる。駆動ユニットは、懸架ボスを有する。懸架ボスは、一対の側板の間に配置される。一対の側板の各々には、孔が形成されている。一方の側板に形成された孔に対して、車両の左右方向で外側からボルトが挿入される。ボルトは、懸架ボスを貫通し、他方の側板に形成された孔に対して、車両の左右方向で内側から挿入される。ボルトの先端部分に対して、ナットが取り付けられる。これにより、駆動ユニットがブラケットに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−62679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにして、駆動ユニットをブラケットに取り付ける場合、駆動ユニットが有する懸架ボスを一対の側板の間に挿入する必要がある。そのため、一対の側板の各々と懸架ボスとの間には、僅かではあるが、隙間が形成されている。上記のようにして、駆動ユニットをブラケットに取り付ける場合には、ボルトの締付力を利用して、一対の側板を上記の隙間分だけ変形させる。一対の側板を駆動ユニットに密着させた状態で締め上げることにより、駆動ユニットのブラケットへの取付強度を確保している。
【0007】
本発明者等は、例えば競技のような過酷な状況下で使用される電動補助自転車用に、ブラケットの剛性を高くして、駆動ユニットの車体フレームへの取付強度を高くすることを考えた。しかしながら、ブラケットの剛性を非常に高くすると、一対の側板を十分に変形させることが困難になる。そのため、一対の側板で駆動ユニットを強く挟み込むことが難しくなる。その結果、駆動ユニットのブラケットへの取付強度が低下するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、ブラケットの剛性が高い場合であっても、駆動ユニットをブラケットに安定して取り付けることである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の実施の形態による電動補助自転車は、前輪と、後輪と、車体フレームと、駆動ユニットとを備える。後輪は、前輪よりも車両の後方に位置する。車体フレームは、前輪及び後輪を支持する。駆動ユニットは、車体フレームに取り付けられる。駆動ユニットは、後輪に伝達される駆動力を発生させる。駆動ユニットは、ハウジングと、クランク軸とを含む。クランク軸は、ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置される。車体フレームは、ブラケットを含む。ブラケットには、駆動ユニットが取り付けられる。ブラケットは、上板と、第1側板と、第2側板とを含む。第1側板は、上板に接続されている。第2側板は、上板に接続されている。第2側板は、車両の左右方向で第1側板から離れている。ハウジングは、第1懸架ボス及び第2懸架ボスを含む。第1懸架ボス及び第2懸架ボスは、車両の左右方向で、第1側板と第2側板との間に配置される。第1懸架ボスには、第1ボルトが締結される。第1ボルトは、第1側板に形成された孔に対して車両の左右方向で外側から挿入される。第2懸架ボスには、挿入孔が形成されている。挿入孔は、車両の左右方向に延びて、第2側板に向かって開口する。電動補助自転車は、筒部材をさらに備える。筒部材は、挿入孔に嵌め込まれて、挿入孔が延びる方向にスライド可能に配置されている。筒部材の内周面には、ねじ溝が形成されている。ねじ溝は、第2ボルトの外周面に形成されたねじ山と噛み合う。第2ボルトは、第2側板に形成された孔に対して、車両の左右方向で外側から挿入される。第1ボルトが締め付けられることにより、ハウジングが車両の左右方向で第1側板に向かって移動する。その結果、ハウジングが第1側板に押し当てられる。第2ボルトが締め付けられることにより、筒部材が挿入孔から抜け出す方向に移動する。その結果、筒部材が第2側板に押し当てられる。
【0010】
上記電動補助自転車においては、ブラケットの剛性が高い場合であっても、駆動ユニットをブラケットに安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態による電動補助自転車を示す右側面図である。
図2】駆動ユニットの右側面図である。
図3】駆動ユニットの左側面図である。
図4】ブラケットに取り付けられた駆動ユニットを拡大して示す右側面図である。
図5】駆動ユニットのブラケットへの取付構造を示す断面図である。
図6A】駆動ユニットのブラケットへの取付方法を説明するための工程図であって、ブラケットが有する一対の側板の間に、駆動ユニットが配置されている状態を示す断面図である。
図6B】駆動ユニットのブラケットへの取付方法を説明するための工程図であって、左側のボルトが締め付けられることにより、駆動ユニットが左側の側板に接している状態を示す断面図である。
図6C】駆動ユニットのブラケットへの取付方法を説明するための工程図であって、右側のボルトが締め付けられることにより、筒部材が右側の側板に接している状態を示す断面図である。
図7】駆動ユニットのブラケットへの取付構造の応用例を示す断面図である。
図8A】駆動ユニットのブラケットへの取付方法を説明するための工程図であって、ブラケットが有する一対の側板の間に駆動ユニットが配置されており、且つ、右側の側板に筒部材が取り付けられている状態を示す断面図である。
図8B】駆動ユニットのブラケットへの取付方法を説明するための工程図であって、駆動ユニットが筒部材と左側の側板で挟まれている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者等は、駆動ユニットの車体フレームへの取付強度を向上させるための構造について、検討した。その結果、以下の知見を得るに至った。
【0013】
駆動ユニットを、ブラケットを介して、車体フレームに取り付ける場合、駆動ユニットが有する懸架ボスを、ブラケットが有する一対の側板の間に挿入する必要がある。そのためには、一対の側板の各々と懸架ボスとの間に、若干の隙間が形成されていなければならない。
【0014】
駆動ユニットをブラケットに取り付けた状態で、このような隙間が形成されていると、懸架ボスを貫通して配置されるボルトにより、駆動ユニットが吊り下げられただけになる。このままでは、駆動ユニットのブラケットへの取付強度を十分に確保することは難しい。
【0015】
そこで、ボルトとナットを利用して、一対の側板で駆動ユニットを挟み込むことにより、駆動ユニットのブラケットへの取付強度を確保することが考えられる。具体的には、ボルトの締付力を利用して、一対の側板の各々を車両の左右方向で内側に向かって上記隙間分だけ変形させ、一対の側板を駆動ユニットに密着させた状態で締め上げる。これにより、駆動ユニットのブラケットへの取付強度を確保できる。
【0016】
本発明者等は、上記のような構造のブラケットにおいて、駆動ユニットの車体フレームへの取付強度を一層高めようと、ブラケットそのものの剛性を高めることを考えた。例えば、ブラケットの形状や、材質、厚み等を調整することにより、一対の側板の剛性を非常に高くすることを考えた。しかしながら、この場合には、ボルトの締結力を利用して、一対の側板を変形させることにより、一対の側板を駆動ユニットに密着させた状態で締め上げることが難しくなる。そのため、駆動ユニットのブラケットへの取付強度を十分に確保することができなくなるおそれがある。
【0017】
本発明者等は、ブラケットの剛性が高い場合であっても、駆動ユニットをブラケットに安定して取り付けることができる構造について、詳細に検討した。そして、ねじの特性に着目して、さらに検討を進めた。その結果、本発明を完成させるに至った。
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
【0019】
[電動補助自転車]
図1を参照しながら、本発明の実施の形態による電動補助自転車10について説明する。図1は、電動補助自転車10の概略構成を示す右側面図である。
【0020】
以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、電動補助自転車10のサドル18に着座した乗員から見た方向を意味する。以下の説明で参照する図において、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Uは車両の上方を示し、矢印Lは車両の左方を示し、矢印Rは車両の右方を示す。
【0021】
電動補助自転車10は、車体フレーム12と、前輪14Fと、後輪14Rと、ハンドル16と、サドル18と、駆動ユニット20と、バッテリユニット26とを備える。
【0022】
車体フレーム12は、ヘッドチューブ121と、トップチューブ122と、ダウンチューブ123と、シートチューブ124と、ブラケット125とを含む。
【0023】
ヘッドチューブ121は、車体フレーム12の前部に配置され、上下方向に延びている。ヘッドチューブ121には、ステム27が回転自在に挿入されている。ステム27の上端には、ハンドル16が固定されている。ステム27の下端には、フロントフォーク28が固定されている。フロントフォーク28の下端には、前輪14Fが回転可能に取り付けられている。つまり、前輪14Fは、ステム27及びフロントフォーク28を介して、車体フレーム12に支持されている。
【0024】
トップチューブ122は、ヘッドチューブ121の後方に配置され、前後方向に延びている。トップチューブ122の前端は、ヘッドチューブ121に接続されている。トップチューブ122の後端は、シートチューブ124に接続されている。
【0025】
ダウンチューブ123は、ヘッドチューブ121の後方に配置され、前後方向に延びている。ダウンチューブ123は、トップチューブ122の下方に配置されている。ダウンチューブ123の前端は、ヘッドチューブ121に接続されている。なお、本実施の形態では、ダウンチューブ123の前端部は、トップチューブ122の前端部にも接続されている。ダウンチューブ123の後端は、ブラケット125に接続されている。
【0026】
ダウンチューブ123には、バッテリユニット26が取り付けられている。バッテリユニット26は、駆動ユニット20に電力を供給する。バッテリユニット26は、バッテリ及び制御部を備える。バッテリは、充放電可能な充電池である。制御部は、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流及び残量等を監視する。
【0027】
シートチューブ124は、トップチューブ122及びダウンチューブ123の後方に配置され、上下方向に延びている。シートチューブ124の下端は、ブラケット125に接続されている。つまり、シートチューブ124は、ブラケット125から上方に延びている。
【0028】
シートチューブ124は、上下方向の中間部分で折れ曲がっている。その結果、シートチューブ124の下部は上下方向に延びているが、シートチューブ124の上部は上下方向に対して傾斜した方向に延びている。
【0029】
シートチューブ124には、シートポスト29が挿入されている。シートポスト29の上端には、サドル18が取り付けられている。
【0030】
ブラケット125は、車体フレーム12の下端に位置している。ブラケット125は、駆動ユニット20を支持する。駆動ユニット20は、前輪14Fよりも後方に位置する後輪14Rに伝達される駆動力を発生させる。ブラケット125及び駆動ユニット20の詳細については、後述する。
【0031】
車体フレーム12は、さらに、スイングアーム30と、一対の接続アーム303、303と、サスペンション304とを備える。スイングアーム30は、一対のチェーンステー301、301と、一対のシートステー302、302とを含む。
【0032】
一対のチェーンステー301、301は、それぞれ、前後方向に延びている。一対のチェーンステー301、301は、左右方向に並んで配置されている。一対のチェーンステー301、301の間には、後輪14Rが配置されている。一対のチェーンステー301、301は、左右対称に配置されている。そのため、図1では、右側のチェーンステー301だけが図示されている。
【0033】
各チェーンステー301の前端部は、ブラケット125に取り付けられている。つまり、各チェーンステー301は、ブラケット125から後方に延びている。各チェーンステー301は、ブラケット125に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0034】
各チェーンステー301の後端部には、後輪14Rの車軸141が回転不能に取り付けられている。つまり、一対のチェーンステー301、301により、後輪14Rが車軸141の周りで回転可能に支持されている。要するに、後輪14Rは、車体フレーム12によって支持されている。後輪14Rには、複数段の従動スプロケット32が固定されている。
【0035】
一対のシートステー302、302は、それぞれ、前後方向に延びている。一対のシートステー302、302は、左右方向に並んで配置されている。一対のシートステー302、302の間には、後輪14Rが配置されている。一対のシートステー302、302は、左右対称に配置されている。そのため、図1では、右側のシートステー302だけが図示されている。
【0036】
左側のシートステー302の後端部は、左側のチェーンステー301の後端部に接続されている。右側のシートステー302の後端部は、右側のチェーンステー301の後端部に接続されている。
【0037】
一対の接続アーム303、303は、それぞれ、前後方向に延びている。一対の接続アーム303、303は、左右方向に並んで配置されている。一対の接続アーム303、303の間には、シートチューブ124が配置されている。一対の接続アーム303、303は、左右対称に配置されている。そのため、図1では、右側の接続アーム303だけが図示されている。
【0038】
各接続アーム303は、シートチューブ124に取り付けられている。各接続アーム303は、シートチューブ124に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0039】
車両の側面から見たときに、各接続アーム303の前端は、シートチューブ124よりも前方に位置している。車両の側面から見たときに、各接続アーム303の後端は、シートチューブ124よりも後方に位置している。
【0040】
左側の接続アーム303の後端部は、左側のシートステー302の前端部に取り付けられている。左側の接続アーム303は、左側のシートステー302に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0041】
右側の接続アーム303の後端部は、右側のシートステー302の前端部に取り付けられている。右側の接続アーム303は、右側のシートステー302に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
【0042】
サスペンション304は、シートチューブ124の前方であって、且つ、ダウンチューブ123の後方に配置されている。サスペンション304の上端部は、一対の接続アーム303、303に取り付けられている。サスペンション304は、一対の接続アーム303、303に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。サスペンション304の下端部は、ブラケット125に取り付けられている。サスペンション304は、ブラケット125に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。サスペンション304のブラケット125への取付位置は、シートチューブ124のブラケット125への取付位置よりも前方にある。
【0043】
駆動ユニット20には、支持部材33を介して、駆動スプロケット34が取り付けられている。駆動スプロケット34及び従動スプロケット32には、チェーン36が巻き掛けられている。
【0044】
なお、図示はしていないが、駆動ユニット20が備えるクランク軸22の軸方向両端部には、それぞれ、クランクアームが取り付けられる。クランクアームには、ペダルが取り付けられる。
【0045】
[駆動ユニット]
図2及び図3を参照しながら、駆動ユニット20について説明する。図2は、駆動ユニット20の右側面図である。図3は、駆動ユニット20の左側面図である。
【0046】
駆動ユニット20は、ハウジング21と、クランク軸22とを含む。以下、これらについて説明する。
【0047】
ハウジング21は、ブラケット125に固定される。ハウジング21は、ハウジング部材211と、ハウジング部材212と、カバー213とを含む。ハウジング部材211、ハウジング部材212及びカバー213は、それぞれ、金属材料で形成されている。金属材料は、例えば、アルミニウム合金である。
【0048】
ハウジング部材211は、ハウジング部材212に対して、左右方向で左側から重ね合わせられる。この状態で、ハウジング部材211は、ハウジング部材212に対して、複数の締結具により、固定される。その結果、ハウジング部材211とハウジング部材212との間には、空間が形成されている。この空間には、モータの回転を減速する減速歯車が収容されている。
【0049】
カバー213は、ハウジング部材211に対して、左右方向で左側から重ね合わせられる。この状態で、カバー213は、ハウジング部材211に対して、複数の締結具により、固定される。その結果、ハウジング部材211の外側(左側)には、カバー213で覆われた空間が形成されている。この空間には、モータが収容されている。
【0050】
クランク軸22は、ハウジング21を左右方向に貫通して配置されている。クランク軸22は、クランク軸22の中心軸線CL1周りで、ハウジング21に対して、回転可能に支持されている。
【0051】
駆動ユニット20においては、クランク軸22に入力される人力と、人力の大きさに応じたモータ駆動力とが、合力出力軸35に入力され、支持部材33を介して、駆動スプロケット34(図1参照)に伝達される。駆動スプロケット34に伝達された駆動力は、チェーン36(図1参照)を介して、従動スプロケット32(図1参照)に伝達される。従動スプロケット32に伝達された駆動力により、後輪14Rが回転する。つまり、駆動ユニット20は、後輪14Rに伝達される駆動力を発生させる。電動補助自転車10は、乗員のペダル踏力を、モータの駆動力で、アシストすることができる。
【0052】
[駆動ユニットのブラケットへの取付構造]
図4を参照しながら、駆動ユニット20のブラケット125への取付構造について説明する。図4は、図2に示す駆動ユニット20がブラケット125に取り付けられた状態を拡大して示す右側面図である。なお、図4では、合力出力軸35に対して、支持部材33が取り付けられている。
【0053】
[ブラケット]
ブラケット125は、左右一対の側板1251、1251を含む。一対の側板1251、1251は、前後方向及び上下方向に延びている。一対の側板1251、1251は、左右方向に並んで配置されている。一対の側板1251、1251は、左右対称に配置されている。そのため、図4では、右側の側板1251だけが図示されている。
【0054】
一対の側板1251、1251には、サスペンション304の下端部が揺動可能に取り付けられている。一対の側板1251、1251には、チェーンステー301の前端部が揺動可能に取り付けられている。サスペンション304の下端部は、チェーンステー301の前端部よりも、前方且つ上方に位置している。
【0055】
ブラケット125は、図5に示すように、上板1252をさらに含む。上板1252は、一対の側板1251、1251を連結する。
【0056】
左側の側板1251は、上板1252の左端部から延びている。左側の側板1251は、駆動ユニット20に向かって延びている。
【0057】
右側の側板1251は、上板1252の右端部から延びている。右側の側板1251は、駆動ユニット20に向かって延びている。
【0058】
なお、図5では明示されていないが、上板1252には、シートチューブ124の下端と、ダウンチューブ123の下端とが接続されている。
【0059】
[駆動ユニットの取付部]
図2及び図3を参照しながら、駆動ユニット20が有する2つの取付部216、217について説明する。2つの取付部216、217は、駆動ユニット20をブラケット125に取り付けるために用いられる。
【0060】
取付部216は、ハウジング21に設けられている。取付部216は、ハウジング21の外面から突出している。取付部216は、クランク軸22よりも前方且つ上方に位置している。
【0061】
取付部216は、ボス216Lと、ボス216Rとを含む。以下、図5を参照しながら、取付部216の詳細について説明する。
【0062】
ボス216Lは、ハウジング部材211に形成されている。ボス216Lは、ハウジング部材211の外面から突出している。
【0063】
ボス216Lには、孔2161が形成されている。孔2161は、ボス216Lを左右方向に貫通している。
【0064】
ボス216Rは、ハウジング部材212に形成されている。ボス216Rは、ハウジング部材212の外面から突出している。
【0065】
ボス216Rには、ねじ孔2162と、挿入孔2163とが形成されている。挿入孔2163は、ねじ孔2162と同軸上に位置し、略一定の直径で左右方向にストレートに延びている。挿入孔2163の直径は、ねじ孔2162の直径よりも大きい。ねじ孔2162は、左右方向で、挿入孔2163よりもボス216Lの近くに位置している。ねじ孔2162の右端(軸方向他端)は、段差面2164を介して、挿入孔2163の左端(軸方向一端)に接続されている。段差面2164は、ねじ孔2162の中心軸線周りの周方向に全周に亘って連続して延びている。つまり、段差面2164は、環状に形成されている。
【0066】
ハウジング部材211がハウジング部材212に取り付けられた状態で、孔2161とねじ孔2162及び挿入孔2163は、同軸上に位置する。挿入孔2163には、取付具としての筒部材56が軽圧入されている。筒部材56は、本体561と、フランジ562とを有する。
【0067】
本体561は、挿入孔2163に挿入されている。本体561は、円筒形状を有する。つまり、本体561は、筒状の内周面561Aと、筒状の外周面561Bとを有する。別の表現をすれば、本体561は、内周面561Aによって規定される孔を有する。
【0068】
内周面561Aは、略一定の直径で本体561の左右方向(軸方向)にストレートに延びている。内周面561Aには、ねじ溝が形成されている。つまり、本体561には、ねじ孔が形成されている。
【0069】
外周面561Bは、略一定の直径で本体561の軸方向(左右方向)にストレートに延びている。外周面561Bは、挿入孔2163の内面に接している。
【0070】
本体561の左端(軸方向一端)には、凹部5613が形成されている。凹部5613は、内周面561Aと同軸上に形成されている。内周面561Aの左端(軸方向一端)は、凹部5613の内面に接続されている。つまり、内周面561Aによって規定される孔(本体561が有する孔)は、凹部5613の内面に開口している。
【0071】
フランジ562は、本体561の右端(軸方向他端)から本体561の径方向で外側に延びている。フランジ562は、本体561の外周面561Bからの長さ(径方向での長さ)が周方向で異なる部分を有する。つまり、フランジ562は、図2に示すように、本体561の軸方向から見たときの形状が円形ではない。要するに、フランジ562は、異形フランジである。
【0072】
図2に示すように、フランジ562は、ハウジング部材212に形成された突起2121と接している。これにより、筒部材56の周方向への回転が阻止されている。
【0073】
再び、図2及び図3を参照しながら、説明する。取付部217は、ハウジング21に設けられている。取付部217は、ハウジング21の外面から突出している。取付部217は、クランク軸22よりも後方且つ下方に位置している。取付部217は、取付部216よりも後方且つ下方に位置している。
【0074】
取付部217は、取付部216(図5参照)と同様な構造を有する。つまり、取付部217は、取付部216と同様に、ハウジング部材211に形成されたボス217L(図3参照)と、ハウジング部材212に形成されたボス217R(図2参照)とを含む。ボス217Lには、ボス216Lと同様に、孔が形成されている。ボス217Rには、ボス216Rと同様に、ねじ孔と挿入孔が形成されている。挿入孔には、図2に示すように、筒部材58が軽圧入されている。筒部材58は、筒部材56と同様な形状を有する。筒部材58のフランジ582は、ハウジング部材212に形成された突起2122に接している。これにより、筒部材58の周方向への回転が阻止されている。
【0075】
上記のように、取付部217は、取付部216(図5参照)と同様な構造を有する。そのため、取付部217の詳細については、説明を省略する。
【0076】
ハウジング部材211がハウジング部材212に取り付けられた状態で、ボス217Lに形成された孔と、ボス217Rに形成されたねじ孔及び挿入孔は、同軸上に位置する。
【0077】
図6A図6Cを参照しながら、取付部216をブラケット125に取り付ける方法について説明する。なお、取付部217をブラケット125に取り付ける方法は、取付部216をブラケット125に取り付ける方法と同じであるから、その詳細な説明は省略する。
【0078】
先ず、図6Aに示すように、一対の側板1251、1251の間に、取付部216を配置する。この状態で、左右方向から見て、一対の側板1251、1251の各々の一部は、取付部216と重なる。取付部216が有する孔2161、ねじ孔2162及び挿入孔2163と同軸上に、一対の側板1251、1251の各々に形成された孔1254が位置する。挿入孔2163には、筒部材56が軽圧入されている。左側の側板1251と取付部216(ボス216L)との間、及び、右側の側板1251と筒部材56との間には、隙間が形成されている。なお、図6Aでは、左側の側板1251と取付部216(ボス216L)との間に隙間が形成されているのを判り易くするために、右側の側板1251と筒部材56とが接している状態を示している。
【0079】
続いて、ボルト60(図5参照)を、左側の側板1251に形成された孔1254に対して、左側(外側)から挿入する。このとき、ボルト60は、左側の側板1251の左側(外側)に配置されたワッシャ64(図5参照)に挿入されている。ボルト60は、孔1254に挿入された後、取付部216が有する孔2161に挿入される。このとき、ボルト60の外周面に形成されたねじ山は、ねじ孔2162に形成されたねじ溝と噛み合う。ボルト60を締め付けることにより、取付部216、つまり、駆動ユニット20が左側の側板1251に向かって隙間分だけ移動する。その結果、図6Bに示すように、取付部216(ボス216L)が左側の側板1251に接触する。この状態で、ボルト60をさらに締め付けると、左側の側板1251が、取付部216(ボス216L)と、ワッシャ64(ボルト60の頭部)とによって強固に挟まれる。この状態では、図6Bに示すように、右側の側板1251と筒部材56との間に隙間が形成される。
【0080】
続いて、ボルト62(図5参照)を、右側の側板1251に形成された孔1254に対して、右側(外側)から挿入する。このとき、ボルト62は、右側の側板1251の右側(外側)に配置されたワッシャ66(図5参照)に挿入されている。ボルト62は、孔1254に挿入された後、筒部材56に挿入される。このとき、ボルト62の外周面に形成されたねじ山は、筒部材56の内周面561Aに形成されたねじ溝と噛み合う。ボルト62を締め付けることにより、挿入孔2163に軽圧入されていた筒部材56が摩擦力に抗して右側(挿入孔2163から抜け出す方向)に上記の隙間分だけ引き出される。その結果、図6Cに示すように、筒部材56が右側の側板1251に接触する。この状態で、ボルト62をさらに締め付けると、右側の側板1251が、筒部材56と、ワッシャ66(ボルト62の頭)とによって強固に挟まれる。
【0081】
上述の説明から明らかなように、本実施の形態では、ボス216Lと、ボス216Rのうち、ねじ孔2162が形成された部分とにより、第1懸架ボスが実現されている。また、本実施の形態では、ボス216Rのうち、挿入孔2163が形成された部分により、第2懸架ボスが実現されている。
【0082】
電動補助自転車10においては、上記のようにして、駆動ユニット20がブラケット125に取り付けられる。ボルト62を締め付けることにより、筒部材56が右側に移動する。筒部材56の右端面から取付部216(ボス216L)の左端面までの距離(つまり、左右方向での長さ)を、一対の側板1251、1251の間隔(左右方向での離隔距離)に応じて調整することができる。そのため、駆動ユニット20をブラケット125に取り付けるときに、一対の側板1251、1251の各々を変形させなくてもよい。その結果、ブラケット125の剛性が高い場合であっても、駆動ユニット20をブラケット125に安定して取り付けることができる。
【0083】
電動補助自転車10においては、筒部材56の本体561の外径が、ねじ孔2162の直径よりも大きい。そのため、右側の側板1251に対する筒部材56の接触面積を大きくすることができる。したがって、駆動ユニット20をブラケット125に対して、より安定して取り付けることができる。
【0084】
筒部材56の本体561の外径を、ねじ孔2162の直径よりも、十分に大きくすることで、筒部材56の中心軸線に垂直な方向での断面積を大きくすることができる。そのため、筒部材56に作用する外力に対して、十分な強度を確保することができる。
【0085】
電動補助自転車10では、本体561の右端(軸方向他端)に形成されたフランジ562が、右側の側板1251に接触する。右側の側板1251に対する筒部材56の接触面積をさらに大きくすることができる。そのため、駆動ユニット20をブラケット125に対して、より安定して取り付けることができる。
【0086】
[駆動ユニットのブラケットへの取付構造の応用例]
駆動ユニットのブラケットへの取付構造は、上記の態様に限定されない。例えば、図7に示すような態様であってもよい。図7を参照しながら、駆動ユニット20Aのブラケット125Aへの取付構造について説明する。
【0087】
駆動ユニット20Aは、前述の駆動ユニット20とは取付部の構造が異なるのみである。駆動ユニット20Aは、取付部216Aを備える。取付部216Aは、ボス216ALと、ボス216ARとを含む。ボス216ALには、孔2165が形成されている。ボス216ARには、孔2166が形成されている。
【0088】
ブラケット125Aは、左右の側板1251A1、1251A2及び上板1252Aを備える。左側の側板1251A1には、孔1254Aが形成されている。右側の側板1251A2には、ねじ孔1255が形成されている。ねじ孔1255には、左ねじのねじ溝が形成されている。
【0089】
ねじ孔1255には、筒部材56Aが挿入されている。筒部材56Aは、円筒形状を有する。つまり、筒部材56Aは、筒状の外周面56A1と、筒状の内周面56A2とを有する。
【0090】
外周面56A1には、ねじ孔1255に形成されたねじ溝と噛み合うねじ山が形成されている。つまり、外周面56A1に形成されたねじ山は、左ねじ用のねじ山である。筒部材56Aがねじ孔1255に挿入された状態で、外周面56A1に形成されたねじ山は、ねじ孔1255のねじ溝と噛み合っている。つまり、筒部材56Aは、ねじ孔1255に挿入された状態で、右側の側板1251A2に取り付けられている。
【0091】
内周面56A2には、右ねじのねじ溝が形成されている。つまり、筒部材56Aは、ねじ孔を有する。
【0092】
駆動ユニット20Aをブラケット125Aに取り付けるときには、ボルト60Aを用いる。ボルト60Aは、取付部216Aに対して左側から挿入されている。このとき、ボルト60Aは、左側の側板1251A1に形成された孔1254Aに挿入されている。ボルト60Aに形成されたねじ山は、筒部材56Aの内周面56A2に形成されたねじ溝と噛み合う。つまり、ボルト60Aに形成されたねじ山は、右ねじ用のねじ山である。
【0093】
なお、図示はしていないが、駆動ユニット20Aは、取付部217(図2参照)の代わりに、取付部217Aを有する。当該取付部217Aは、取付部216Aと同様な構造を有するので、図示及びその詳細な説明は省略する。
【0094】
図8A及び図8Bを参照しながら、取付部216Aをブラケット125Aに取り付ける方法について説明する。
【0095】
先ず、図8Aに示すように、左側の側板1251A1と右側の側板1251A2との間に、取付部216Aを配置する。この状態で、左右方向から見て、左右の側板1251A1、1251A2の各々の一部は、取付部216Aと重なる。取付部216Aが有する孔2165、2166と同軸上に、左側の側板1251A1に形成された孔1254Aと、右側の側板1251A2に形成されたねじ孔1255が位置する。左側の側板1251A1と取付部216A(ボス216AL)との間、及び、右側の側板1251A2と取付部216A(ボス216AR)との間には、それぞれ、隙間が形成されている。なお、図8Aでは、右側の側板1251A2(より具体的には、右側の側板1251A2に取り付けられた筒部材56A)と取付部216A(ボス216AR)との間に隙間が形成されているのを判り易くするために、左側の側板1251A1と取付部216A(ボス216AL)とが接している状態を示している。
【0096】
続いて、ボルト60A(図7参照)を、左側の側板1251A1に形成された孔1254Aに対して、左側(外側)から挿入する。ボルト60Aは、孔1254Aに挿入された後、取付部216Aが有する孔2165及び孔2166に挿入される。ボルト60Aは、孔2165及び孔2166に挿入された後、筒部材56Aに挿入される。このとき、ボルト60Aが右ねじ方向に所定量回されることにより、ボルト60Aの外周面に形成されたねじ山が、筒部材56Aの内周面56A2に形成されたねじ溝に対して、当該ねじ溝の長さの中間位置くらいまで噛み合う。
【0097】
続いて、筒部材56Aを左ねじ方向に回す。これにより、筒部材56Aが取付部216Aに向かって移動する。なお、筒部材56Aを左ねじ方向に回すときには、筒部材56Aは、ボルト60Aに対して、反右ねじ方向、すなわち、ボルト60Aが筒部材56Aから抜け出る方向に回る。このとき、ボルト60Aの回転が拘束されていなければ、ボルト60Aは筒部材56Aと連れ回りするだけである。なお、ボルト60Aの回転が拘束されているときには、筒部材56Aの左ねじ方向への回転により、ボルト60Aが筒部材56Aから抜け出ようとするが、その量は僅かなので、ボルト60Aが筒部材56Aから完全に抜け出すことはない。
【0098】
筒部材56Aが取付部216Aに向かって移動すると、筒部材56Aが取付部216A(ボス216AR)に接触する。この状態から筒部材56Aをさらに回すと、筒部材56Aは、取付部216Aを押しながら、左側の側板1251A1に向かって移動する。その結果、図8Bに示すように、筒部材56Aが取付部216A(ボス216AR)に接触したまま、取付部216A(ボス216AL)が左側の側板1251A1に接触する。
【0099】
この状態で、ボルト60Aをさらに締め付けると、つまり、ボルト60Aを右ねじ方向にさらに締め付けると、筒部材56Aが左ねじ方向にさらに締め付けられる。これにより、取付部216Aが、左側の側板1251A1と、筒部材56Aとによって挟まれる。また、左側の側板1251A1が、ボルト60Aの頭部と、取付部216Aとによって強固に挟まれる。その結果、駆動ユニット20Aがブラケット125Aに安定して取り付けられる。
【0100】
駆動ユニット20Aは、上記のようにして、ブラケット125Aに取り付けられる。右側の側板1251A2に取り付けられた筒部材56Aから左側の側板1251A1までの距離(左右方向での距離)を、駆動ユニット20Aが有する取付部216Aに応じて、調整することができる。そのため、駆動ユニット20Aをブラケット125Aに取り付けるときに、左右の側板1251A1、1251A2の各々を変形させなくてもよい。その結果、ブラケット125Aの剛性が高い場合であっても、駆動ユニット20Aをブラケット125Aに安定して取り付けることができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0102】
例えば、上記実施の形態では、チェーンステー301がブラケット125に対して揺動可能に取り付けられている場合について説明したが、チェーンステー301は、ブラケット125に固定されていてもよい。
【0103】
例えば、上記実施の形態では、電動補助自転車10は、サスペンション304を備えていたが、サスペンション304を備えていなくてもよい。
【0104】
駆動ユニットの構造は、特に限定されない。例えば、人力(ペダル踏力)とモータ駆動力との合力を出力するタイプであってもよいし、減速歯車の軸に設けられた補助スプロケットを介して、駆動スプロケット及び従動スプロケットに巻き掛けられたチェーンの途中にモータ駆動力を付加するタイプであってもよい。
【0105】
例えば、駆動ユニット20において、ねじ孔2162は、挿入孔2163と同軸上に形成されていなくてもよい。ねじ孔2162は、挿入孔2163と繋がっていなくてもよい。ねじ孔2162は、ボス216Lに形成されていてもよい。ボス216Lは、左右方向から見て、ボス216Rと同じ位置に形成されていなくてもよい。ハウジングを左右別体に代えて、一体としてもよい。この場合、ボルト60と、当該ボルトが挿入されるボスの長さは、短くしてもよい。別途設けたナットのねじ孔に形成されたねじ溝に対して、ボルト60に形成されたねじ山を噛み合わせるようにしてもよい。この場合、別途設けたナットは、ハウジング21に予め取り付けられた状態で、ボルト60に螺合されてもよいし、ハウジング21の外側に配置された状態で、ボルト60に螺合されてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 電動補助自転車
12 車体フレーム
124 シートチューブ
125 ブラケット
1251 側板
1252 上板
14F 前輪
14R 後輪
20 駆動ユニット
21 ハウジング
216L ボス
216R ボス
2162 孔
22 クランク軸
56 筒部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B