【実施例】
【0153】
例
本発明は、以下の非制限的な実験例を参照して記載される。
【0154】
例1(比較)‐30gCo/0.04gPt/100g未修飾Al
2O
3
組成30gCo/0.04gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、未修飾Al
2O
3(150m
2/gの表面積を有するPuralox、これ以降でPuraloxとよばれる)支持体を用いて調製された。
【0155】
第一の含浸工程において、Co(NO
3)
2.6H
2O(79.0g)及び(NH
4)
3Pt(NO
3)
2(0.026g)を蒸留水(100g)に溶解させた。カルボン酸を、約0.03モル/100g支持体の量でこの溶液中に溶解させた。Puralox(100g)を、次いでこの混合物に加え、表1の乾燥プロファイルを用いて減圧下で過剰の水を除去して、自由流動性粉末を得た。
【0156】
【表1】
【0157】
自由流動性粉末は、次いで2.5Nm
3/kgCo(NO
3)
2.6H
2O/時のGHSVを用いて、250℃までの1℃/分の加熱ランプ速度、6時間の保持時間で流動ベッドか焼炉内で焼成された。
【0158】
次いで、第二の含浸段階において、上記の工程は、水(100g)中に溶解したCo(NO
3)
2.6H
2O(56.8g)及び[Pt(NH
4)
4(NO
3)
2](0.042g)を用いて繰り返された。予め焼成された材料(100g)をこの混合物に加え、過剰の水を表1の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。自由流動性粉末は、次いで2.5Nm
3/kgCo(NO
3)
2.6H
2O/時のGHSVを用いて、250℃までの1℃/分の加熱ランプ速度、6時間の保持時間で流動ベッドか焼炉内で再び焼成された。
【0159】
例2(比較)‐30gCo/0.04gPt/3.1gMn/100g未修飾Al
2O
3(促進剤としてMn)
コバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。
【0160】
この例において、マンガンは触媒促進剤として加えられた。第二の含浸段階の後、Mn(NO
3)
2.4H
2O(10.1g)が水(100g)中に溶解され、焼成された材料(100g)に加えられた。過剰な水を、表1の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。自由流動性粉末は、次いで2.5Nm
3/kgCo(NO
3)
2.6H
2O/時のGHSVを用いて、250℃までの1℃/分の加熱ランプ速度、6時間の保持時間で流動ベッドか焼炉内で再び焼成された。
【0161】
例3(比較)‐Ti‐Al
2O
3(Puralox)支持体(修飾剤としてTi)
チタン(IV)イソプロポキシド(17.2g)をエタノール(78.9g)に加え、10分間混合した。Al
2O
3(Puralox)(100g)をこの溶液に加え、さらに10分間混合した。これに続き、エタノールを表2の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。
【0162】
【表2】
【0163】
乾燥工程後、修飾支持体は、425℃までの1℃/分の加熱速度を用いて、この温度における保持工程なく、焼成ガスとして空気を用いて2.5Nm
3/kg支持体/時のGHSVにより流動ベッドか焼炉内で焼成された。この流動ベッド焼成工程の後に、支持材料は、マッフルオーブン内で、550℃までの5℃/分の加熱速度、5時間の最終の保持時間でさらに焼成された。得られた修飾支持体は、2.6gTi/100gAl
2O
3を含んでいた。
【0164】
例4(比較)‐MnAl
2O
3(Puralox)支持体(修飾剤としてMn)
酢酸マンガン(II)四水和物(13.8g)を水(80〜100g)に溶解させ、10分間混合した。Al
2O
3(Puralox)(100g)をこの溶液に加え、さらに10分間混合した。これに続き、水を表3の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。
【0165】
【表3】
【0166】
乾燥工程後、修飾支持体は、425℃までの1℃/分の加熱速度を用いて、この温度における保持工程なく、焼成ガスとして空気を用いて2.5Nm
3/時/kg支持体のGHSVにより流動ベッドか焼炉内で焼成された。この流動ベッド焼成工程の後に、それぞれの支持材料は、マッフルオーブン内で、550℃までの5℃/分の加熱速度、5時間の最終の保持時間でさらに焼成された。得られた修飾支持体は、3.1gMn/100gAl
2O
3を含んでいた。
【0167】
例5‐MnTi‐Al
2O
3(Puralox)支持体(修飾剤としてMn及びTi)
例3から得られたTi‐Al
2O
3支持体を例4に記載の酢酸マンガン(II)四水和物により含浸した。得られた修飾支持体は、2.6gTi/3.1gMn/100gAl
2O
3を含んでいた。
【0168】
例6(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gTi‐Al
2O
3(修飾剤としてTi)
30gCo/0.075gPt/100g支持体を含むコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製されたが、例3に記載のTi‐Al
2O
3支持体が用いられた。
【0169】
例7(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gMn‐Al
2O
3(修飾剤としてMn)
組成30gCo/0.075gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。しかし、触媒調製中、カルボン酸は加えられなかった。例4に記載のMn‐Al
2O
3支持体が用いられた。
【0170】
例8(本発明)‐30gCo/0.075gPt/100gMnTi‐Al
2O
3(修飾剤としてTi及びMn)
組成30gCo/0.075gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。しかし、触媒調製中、カルボン酸は加えられなかった。例5に記載のMnTi‐Al
2O
3支持体が用いられた。
【0171】
例9(本発明)‐30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100gTi‐Al
2O
3(修飾剤としてTi及び促進剤としてMn)
組成30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例2に記載のように調製されたが、例3に記載のTi‐Al
2O
3支持体が用いられた。
【0172】
例10(比較)‐30gCo/0.04gPt/100gSi‐Al
2O
3(修飾剤としてSi)
組成30gCo/0.04gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。2.1gSi/100gAl
2O
3支持体が用いられた。TEOS(テトラエトキシシラン)が、支持体修飾のための出発物質として用いられた。
【0173】
例11(比較)‐30gCo/0.04gPt/3.1gMn/100gSi‐Al
2O
3(修飾剤としてSi及び促進剤としてMn)
コバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例10に記載のように調製された。しかし、第二の含浸段階中、Co(NO
3)
26H
2O(56.8g)、[Pt(NH
4)
4(NO
3)
2](0.042g)及びMn(NO
3)
2.4H
2O(11.6g)を水(100g)に溶解させ、第一の含浸段階で得られた焼成材料(100g)に加えた。
【0174】
例12(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gTi‐Al
2O
3(修飾剤としてTi)
組成30gCo/0.075gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。しかし、触媒調製中、カルボン酸は加えられなかった。Ti‐Al
2O
3が用いられ、例3に記載のように調製された。
【0175】
例13(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gTi‐Al
2O
3(修飾剤としてTi)
コバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例12に記載のように調製された。しかし、5gTi/100gAl
2O
3支持体が用いられ、例3に記載のように調製された。
【0176】
例14(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gTi‐Al
2O
3(修飾剤としてTi)
コバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例12に記載のように調製された。しかし、10gTi/100gAl
2O
3支持体が用いられ、例3に記載のように調製された。
【0177】
例15‐還元
焼成された触媒前駆体は、大気圧において、2.0Nm
3/kg触媒/時の純粋なH
2流を用いて、フィッシャートロプシュ合成より前に還元された。以下の加熱プロファイルが用いられた。110℃まで1℃/分、3時間保持、次いで425℃まで1℃/分、10時間保持。還元触媒を室温まで冷却し、溶融ワックスに懸濁させ、不活性ガスブランケット(アルゴン又は窒素)下でCSTRに添加した。
【0178】
例16‐フィッシャートロプシュ合成
例15に記載の活性化され、ワックス保護された触媒は、230℃の反応器温度及び約22barの反応器圧力にて実験室マイクロスラリーCSTRにおいてそのスラリー相FTS性能に関して試験され、その間の純粋なH
2及びCO及びAr供給ガス混合物は、約5%のAr含有量及び約1.8の全供給モルH
2/CO比で用いられた。この反応器は電気的に加熱され、任意のガス‐液体物質移動制限をなくすように十分に高い撹拌速度が用いられた。合成ガス転化が約78±1%であるように、供給ガス空間速度を変化させた。水分圧は約10barであった。
【0179】
議論
例9(Co/3.1gMn/100gTi‐Al
2O
3)は、初期に触媒不活性化を示したが、5日操業後に触媒性能が安定化し、50日の期間に亘って安定性が維持された。
【0180】
図1は、例9に対する例1、2、6〜8、10、11及び33のFT速度の差(パーセント)を示し、それは、(例1、2、6〜8、10、11又は33のFT速度−例9のFT速度)/例9のFT速度として算出することができる。理解することができるように、例2(Co/3.1gMn/100g未修飾Al
2O
3)は、触媒促進剤としてのマンガンの添加が、操業時間と共に例1(未促進、未修飾触媒サンプル)に対して触媒の活性安定性を改善しなかったことを示す。この傾向は、Si修飾Al
2O
3支持体を含み、例11としてマンガンにより促進された触媒(Co/3.1gMn/100gSi‐Al
2O
3)と、例10(Co/100gSi‐Al
2O
3)の触媒との比較においても観察された。
【0181】
しかし、例6(Co/100gTi‐Al
2O
3)及び例7(Co/100gMn‐Al
2O
3)は、Al
2O
3支持体修飾剤として、それぞれチタン及びマンガンが、例1(未促進、及び未修飾触媒サンプル)に対して活性及び活性安定性に向上をもたらしたことを示した。
【0182】
例7に移って、この例は、触媒崩壊の指標である黒いワックスを示した。これは、チタン及びマンガン支持体修飾剤の組み合わせを含む触媒(例8、Co/100gMnTi‐Al
2O
3)では観察されなかった。
【0183】
さらに驚くべきことには、チタン及びマンガンの組み合わせ、支持体修飾剤として加えられたマンガン(例8)又は触媒促進剤として加えられたマンガン(例9)を含む触媒は、例1、2、6、7、10及び11に対して活性化及び活性安定性に十分な向上を示した。
【0184】
例9に対する例1、2、6〜8、10、11及び33のメタン選択性の差(パーセント)は
図2に示され、(例1、2、6〜8、10、11又は33の%CH
4選択性−例9の%CH
4選択性)/例9の%CH
4選択性として算出されることができる。理解することができるように、Mn/Tiの組み合わせを含む例8及び9は、試験された触媒サンプルの残りと比較して、長時間に亘ってより低く、安定なメタン選択性を示した。Mn修飾Al
2O
3を含む例7は、初期の低いメタン選択性を示し、それは、Ti‐修飾Al
2O
3支持体を含む例6に関して観察されたメタン選択性まで増加した。
【0185】
以下の表4は、初期の活性に対する例12〜14のFT性能を示す。これらのサンプルは、Ti修飾のレベルを変化させつつ、Ti修飾Al
2O
3を用いて調製された。理解することができるように、2.6gTi/100gAl
2O
3から10gTi/100gAl
2O
3へのTi含有量の増加は、例12のものと比較して、触媒の活性安定性の相対的な改善をもたらさなかった。より高い量のTiを含む触媒は、操業時間と共により低い活性安定性をもたらした。
【0186】
【表4】
【0187】
例17‐フィッシャートロプシュ合成
例8及び9に関して、例15に記載の活性化され、ワックス保護された触媒は、230℃の反応器温度及び約19barの反応器圧力にて実験室マイクロスラリーCSTRにおいてそのスラリー相FTS性能に関して試験され、その間の純粋なH
2、CO及びAr供給ガス混合物は、10%Ar含有量及び約1.5の全供給モルH
2/CO比で用いられた。
【0188】
この反応器は電気的に加熱され、任意のガス‐液体物質移動制限をなくすように十分に高い撹拌速度が用いられた。合成ガス転化が約72±1%であるように、供給ガス空間速度を変化させた。水分圧は約6barであった。
【0189】
例8及び9は例17に記載の条件下で試験された。表5から理解することができるように、MnTi支持体修飾を含む例8、及び(促進剤としてMn及び支持体修飾剤としてTiを含む)例9は、操業時間と共に匹敵する相対的なFT活性及びメタン選択性を示した。これは、FT条件下でのMnTiの組み合わせ及び触媒促進剤又は触媒修飾剤としてのMnの添加の有利な効果を示す。
【0190】
【表5】
【0191】
例18(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gMn‐Al
2O
3
組成30gCo/0.075gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。しかし、触媒調製中、カルボン酸は加えられなかった。例4に記載のMn‐Al
2O
3支持体が用いられた。しかし、得られた修飾支持体は2.1gMn/100gAl
2O
3からなった。
【0192】
例19(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gMn‐Al2O
3
組成30gCo/0.075gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。しかし、触媒調製中、カルボン酸は加えられなかった。例4に記載のMn‐Al
2O
3支持体が用いられた。しかし、得られた修飾支持体は、7.5gMn/100gAl
2O
3からなった。
【0193】
例20(比較)‐30gCo/0.075gPt/100gMn‐Al
2O
3
組成30gCo/0.075gPt/100g支持体を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例1に記載のように調製された。しかし、触媒調製中、マレイン酸は加えられなかった。例4に記載のMn‐Al
2O
3支持体が用いられた。しかし、得られた修飾支持体は、10gMn/100gAl
2O
3からなった。
【0194】
例21‐フィッシャートロプシュ合成
例18〜20に関して、例15に記載の活性化され、ワックス保護された触媒は、実験室マイクロスラリーCSTRにおいて、そのスラリー相FTS性能に関して試験された。合成が導入された後に、圧力を18barに、温度を230℃に増加させた。
【0195】
合成供給ガスは、水素、一酸化炭素からなり、それは約1.6の全供給モルH
2/CO比と共に内部標準として10%のArを含んでいた。この反応器は電気的に加熱され、任意のガス‐液体物質移動制限をなくすように十分に高い撹拌速度が用いられた。Brooksマスフローコントローラにより供給流を制御することにより、%H
2+CO転化を60±2%に維持した。水分圧は約5barであった。
【0196】
表6は、例18〜20の相対的なFT性能を示す。これらのサンプルは、Mn修飾のレベルを変化させつつ、Mn修飾Al
2O
3を用いて調製された。2.1gMn/100gAl
2O
3から10gMn/100gAl
2O
3へのMn含有量の増加に伴う有利な効果は観察されなかった。Mnレベルの増加は、操業時間と共にFT速度の十分な動向(減少)をもたらした。
【0197】
【表6】
【0198】
例22(比較)‐MnSi‐Al
2O
3(Puralox)支持体
例10に記載のSi‐Al
2O
3支持体を例4に記載の酢酸マンガン(II)四水和物により含浸させた。得られた修飾支持体は、3gMn/100gSiAl
2O
3からなった。
【0199】
例23(比較)‐MnSi‐Al
2O
3(Puralox)支持体
例10に記載のSi‐Al
2O
3支持体を例4に記載の酢酸マンガン(II)四水和物で含浸させた。得られた修飾支持体は、5gMn/100gSi‐Al
2O
3からなった。
【0200】
例24(導電性測定)
アルミナは、低pHにおいて水性媒体に溶解する。アルミナの溶解は、アルミニウムイオンの形成をもたらす。アルミナの溶解が増加すると、アルミニウムの濃度は時間と共に増加する。経時的なアルミニウムの増加に続いて、2の一定pHにて導電性を観察した。pHは、10%硝酸溶液の自動添加により一定に維持された。結果は、修飾及び未修飾Al
2O
3に関して
図3に与えられる。
【0201】
Ti(例3)、Mn(例4)及びSi修飾Al
2O
3支持体は、長時間に亘って非常に類似したAl崩壊挙動を示した。Al
2O
3のMnSi修飾(例22)は、Al崩壊の減少をもたらした。しかし、Mn量のさらなる増加(例23)は、Al崩壊の抑制を無効にし、Si修飾Al
2O
3支持体に類似のAl崩壊挙動をもたらした。驚くべきことに、MnTi修飾支持体(例5)のAl崩壊は、MnSi修飾Al
2O
3(例22)に対して十分に抑制されたことを理解することができる。
【0202】
例25(本発明)‐30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)(Co加水分解、修飾剤としてTi及び促進剤としてMn)、C4639
組成30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)を有するコバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例9に記載のように調製されたが、例9において用いられたTi‐Al
2O
3支持体は、WO2014020507の例37に記載のチタン(IV)2‐エチルヘキソキシド及びAlヘキサノレートの共加水分解を介して調製されたチタン含有支持体と置き換えられた。
【0203】
例26(本発明)‐30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)(支持体として焼成PURAL200
TM、修飾剤としてTi及び促進剤としてMn)、C4685
コバルト系フィッシャートロプシュ合成触媒前駆体は、例9に記載のように、組成30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)で調製されたが、例9で用いられたPuraloxは、例25の支持体の細孔直径に類似の細孔直径を有し、かつ、約90m
2/gの表面積を有する焼成PURAL200
TMと置き換えられた。
【0204】
例27‐還元及びフィッシャートロプシュ合成(FTS)
例25及び26の焼成触媒前駆体は、例15に記載のように還元され、溶融ワックス中に懸濁された。例25及び26の活性化され、ワックス保護された触媒のFTS性能は、約1.6の入口モルH
2/CO比の供給ガス混合物を用いて、230℃の固定ベッド反応器及び約16barの反応器圧力において評価された。供給ガス空間速度を、合成ガス転化が約62%〜65%であるように変化させた。
【0205】
議論
表7は、類似のFTS触媒性能結果が、Ti修飾支持体(例25)と例26(Tiのスラリー含浸)の共加水分解を介して調製されたCo/Pt/Mn/Ti‐Al
2O
3触媒サンプルの比較において得られたことを示し、Ti修飾支持体の共加水分解が、アルミナ上のチタンのスラリー含浸の代替であることを示した。
【0206】
【表7】
【0207】
例28:(比較)‐30gCo/0.075gPt/5gNi/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)(修飾剤としてTi及び促進剤としてNi)、C4140
Co(NO
3)
2.6H
2O(11.9g)、(NH
3)
4Pt(NO
3)
2(0.0075g)及びNi(NO
3)
2.6H
2O(1.9g)を水(Coに対して13ml、Ptに対して2ml、Niに対して2ml)に溶解させた。溶液のpHを2.3に調節した。例3に記載の15gのTi修飾Puralox支持体を加え、過剰の水を表8の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して自由流動性粉末を得た。
【0208】
【表8】
【0209】
20gの自由流動性サンプルは、1000ml/分の空気流及び250℃までの1℃/分の加熱速度、6時間の保持時間を用いて垂直路内で焼成された。上記の工程は、Co(NO
3)
2.6H
2O(6.8g)、(NH
3)
4Pt(NO
3)
2(0.01g)及びNi(NO
3)
2.6H
2O(1.2g)を水(Coに対して9ml、Ptに対して2ml、Niに対して3ml)に溶解させることにより、第二の含浸段階において繰り返された。予め焼成された(第一の含浸段階)材料(12g)が混合物に加えられ、過剰の水は表8の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去された。15gの自由流動性サンプルは、750ml/分の空気流、及び250℃までの1℃/分の加熱速度、6時間の保持時間を用いて垂直路内で焼成された。
【0210】
例29(本発明)‐30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)(修飾剤としてTi及び促進剤としてMn‐例9と類似であるが、より少ない量及び異なる乾燥プロファイル)、C4144
Co(NO
3)
2.6H
2O(13.3g)及び(NH
3)
4Pt(NO
3)
2(0.0075g)を水(Coに対して13ml、Ptに対して3ml)に溶解させた。溶液のpHを2.3に調節した。例3に記載の15gのTi修飾Puralox支持体を加え、過剰の水を表9の乾燥プロファイルを用いた減圧下で除去して自由流動性粉末を得た。
【0211】
【表9】
【0212】
20gの自由流動性サンプルは、1000ml/分の空気流及び250℃までの1℃/分の加熱速度、6時間の保持時間を用いて垂直路内で焼成された。第二の含浸段階において、上記の工程は、Co(NO
3)
2.6H
2O(5.75g)及び(NH
3)
4Pt(NO
3)
2(0.01g)、並びにMn(NO
3)
2.4H
2O(1.4g)を用いて、水(Coに対して10ml、Ptに対して2ml、Mnに対して3ml)に溶解させることにより繰り返された。12gの第一の含浸段階で焼成された材料を混合物に加え、過剰の水を表9の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して自由流動性粉末を得た。15gの自由流動性サンプルは、750ml/分の空気流、及び250℃までの1℃/分の加熱速度、6時間の保持時間を用いて垂直路内で焼成された。
【0213】
例30‐還元及びフィッシャートロプシュ合成(FTS)
例28及び29の焼成触媒前駆体は、例15に記載のように還元され、溶融ワックス中に懸濁された。例28及び29の活性化され、ワックス保護された触媒のFTS性能は、例27に記載のように、230℃の固定ベッド反応器において評価された。
【0214】
議論
ニッケルを活性安定性促進剤として用いることができることが知られている(Ind.Eng.Chem.Res.2010、49、4140〜4148及びUS8143186)。しかし、Co/Pt/Ti‐Al
2O
3FTS触媒への促進剤としてのNiの添加は、Mnが促進剤として用いられたときと同じCoFTS触媒性能を示さなかった。促進剤としてのMnは、促進剤としてのNiと比較してより高い活性を伴うより低いメタン選択性をもたらした。表10は、その初期活性に対する例28及び例29に記載の触媒の不活性化の程度、並びにその初期のメタン選択性に対する例28及び29において調製され、例30に記載のように活性化され、試験された触媒上で得られるメタン選択性の動向を示す。
【0215】
【表10】
【0216】
例31:(本発明)‐熱堆積法(HDM)を用いた、修飾剤としてTi及び促進剤としてMnを含む30gCo/0.075gPt/3.1gMn/100g(2.6gTi/100gAl
2O
3)、C4585
Co(NO
3)
2.6H
2O(37.2g)、(NH
3)
4Pt(NO
3)
2(0.07g)、Mn(NO
3)
2.4H
2O(7.06g)及びカルボン酸(1.25g)を75mlの水に溶解させた。水酸化コバルト(3g)を、50gの例3に記載のTi修飾Puralox支持体を加えた後に硝酸塩溶液に加えた。追加の3gのCo(OH)
2がスラリーに加えられ、65rpmのロータリーエバポレーターで95℃にて混合された。追加の3gのCo(OH)
2が、所望の11.8gの添加量に到達するまで加えられた。混合物は、Co(OH)
2の完全な吸収まで(約3時間)撹拌された。過剰な水を表11の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して自由流動性粉末を得、6時間、空気中(2500ml/分/gcat)で加熱速度1℃/分にて250℃にて焼成した。
【0217】
【表11】
【0218】
焼成触媒前駆体は、例15に記載のように還元され、溶融ワックス中に懸濁された。触媒は、例17に記載の実験室マイクロスラリーCSTRにおいてスラリー相FTS性能に関して試験された。
【0219】
表12から理解することができるように、HDMを用いて調製された例31は、例9(硝酸コバルトスラリー含浸法)による絶対的なCH
4選択性及び反応速度と比較した際、より低いメタン選択性及びより高い活性を示した。例31のメタン選択性の動向は、例9より若干高いが、例31及び例9の操業時間に亘る1日に対する不活性化は匹敵する。
【0220】
【表12】
【0221】
例32:MnTi‐SiO
2(シリカ支持体上の支持体修飾剤としてのMn及びTi)
チタン(IV)イソプロポキシド(17.2g)を乾燥エタノール(78.9g)に加え、10分間混合した。アモルファスの予め成形されたシリカゲル(100g)、Fuji Silysiaから得られるCARiACT Q‐15をこの溶液に加え、さらに10分間混合した。エタノールを表2の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。
【0222】
酢酸マンガン(II)四水和物(3.1gのMn量に対して13.8gMn(Ac)
2.4H
2O)を水(80〜100g)に溶解させ、10分間混合した。Ti(OPr)
4修飾シリカ(100g)から得られた自由流動性粉末がこの溶液に加えられ、さらに10分間混合された。水を表3の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。乾燥工程後、修飾支持体は、425℃までの1℃/分の加熱速度にて、焼成ガスとして空気を用いて、2.5Nm
3/kg支持体/時のGSHVで流動ベッドにおいて焼成された。支持材料は、5℃/分の加熱速度における500〜550℃までのマッフルオーブン内で及び5時間の最終の保持時間にてさらに焼成された。得られた修飾支持体は、3.1gMn/2.6gTi/100gSiO
2を含んでいた。
【0223】
例33:(本発明)‐30gCo/0.075gPt/100g(3.1gMn/2.6gTi/100gSiO
2(支持体修飾剤としてMn及びTi)、C4859
第一の含浸工程において、Co(NO
3)
2.6H
2O(39.5g)及び(NH
4)
3Pt(NO
3)
2(0.025g)を水(50g)に溶解させた。溶液のpHは、希硝酸を用いて2.3に調節された。例32に記載のMnTi‐SiO
2(50g)支持体を混合物に加え、過剰の水を表1の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。自由流動性粉末は、2500Nm
3/kg(Co(NO
3)
2.6H
2O)/時のGHSVを用いて6時間の保持時間で、250℃までの1℃/分の加熱ランプ速度で流動ベッドか焼炉内で焼成された。
【0224】
第二の含浸工程において、Co(NO
3)
2.6H
2O(28.4g)及び(NH
4)
3Pt(NO
3)
2(0.04g)を水(50g)に溶解させた。溶液のpHは、希硝酸を用いて2.3に調節された。第一の含浸工程の焼成材料(50g)を次いでこの混合物に加え、過剰の水を表1の乾燥プロファイルを用いて減圧下で除去して、自由流動性粉末を得た。自由流動性粉末は、2500Nm
3/kg(Co(NO
3)
2.6H
2O)/時のGHSVを用いて6時間の保持時間で、250℃までの1℃/分の加熱ランプ速度で流動ベッドか焼炉内で焼成された。
【0225】
焼成触媒材料は、例15に記載のように還元され、溶融ワックス中に懸濁された。触媒は、例17に記載の実験室マイクロスラリーCSTRにおいて、そのスラリー相FTS性能に関して試験された。
【0226】
議論
前述されたように、
図1は例9に対して、例1、2、6〜8、10、11及び33のFT速度の差(パーセント)を示す。シリカ支持体上のMn/Tiの組み合わせ(例33)も、比較例に対して、活性及び活性安定性の十分な向上を示した。
【0227】
前述されたように、
図2は、例9に対して、例1、2、6〜8、10、11及び33の相対的なメタン選択性(のパーセント差)を示す。シリカ支持体上のMn/Tiの組み合わせを含む例33は、試験された触媒サンプルの残りと比較して、長時間に亘って最も低いメタン選択性を示した。
本開示は以下も包含する。
[1]
触媒支持体上、及び/又は触媒支持体中に支持されたコバルト及び/又はコバルト化合物を含むコバルト含有触媒組成物であって、触媒支持体上、及び/又は触媒支持体中にチタン化合物を、触媒支持体上、及び/又は触媒支持体中にマンガン化合物をさらに含む、触媒組成物。
[2]
触媒組成物が、コバルト化合物の還元性を向上させることができるドーパントを含む、上記態様1に記載の触媒組成物。
[3]
触媒支持体が、1種又はそれより多くの酸化アルミニウムの形態のアルミナ;シリカ(SiO2);チタニア(TiO2);マグネシア(MgO);酸化亜鉛(ZnO);シリコンカーバイド;及びこれらの混合物からなる群から選択される、上記態様1又は2に記載の触媒組成物。
[4]
触媒支持体が、アルミナ触媒支持体又はシリカ(SiO2)触媒支持体である、上記態様3に記載の触媒組成物。
[5]
コバルト含有触媒前駆体の調製方法であって、触媒支持体の上、及び/又はその中にコバルト化合物を導入すること;触媒支持体の上、及び/又はその中にコバルト化合物を導入するより前、及び/又は導入する間、及び/又は導入した後に、触媒支持体の上、及び/又はその中にチタン化合物を導入すること;並びに触媒支持体の上、及び/又はその中にコバルト化合物を導入するより前、及び/又は導入する間、及び/又は導入した後に、触媒支持体の上、及び/又はその中にマンガン化合物を導入すること、それによりコバルト含有触媒前駆体を提供することを含む、方法。
[6]
コバルト化合物の還元性を向上させることができるドーパントも、触媒支持体の上、及び/又はその中に導入される、上記態様5に記載の方法。
[7]
触媒支持体が、1種又はそれより多くの酸化アルミニウムの形態のアルミナ;シリカ(SiO2);チタニア(TiO2);マグネシア(MgO);酸化亜鉛(ZnO);シリコンカーバイド;及びこれらの混合物からなる群から選択される、上記態様5又は6に記載の方法。
[8]
触媒支持体が、アルミナ触媒支持体又はシリカ(SiO2)触媒支持体である、上記態様7に記載の方法。
[9]
方法が、触媒支持体の上、及び/又はその中に導入されたチタン及びマンガン化合物が、それぞれ酸化チタン及び酸化マンガンに転化される1つ又はそれより多くの焼成工程を含む、上記態様5〜8のいずれかに記載の方法。
[10]
触媒支持体の上、及び/又はその中に導入されたコバルト化合物を焼成することにより、コバルト化合物を1種又はそれより多くの酸化コバルトに転化する、上記態様5〜9のいずれかに記載の方法。
[11]
触媒前駆体が、触媒支持体の質量(Tiの質量を除く)を基準として1質量%超かつ10質量%以下のTiを含み、Tiが1種又はそれより多くのチタン化合物の形態で存在する、上記態様5〜10のいずれかに記載の方法。
[12]
触媒前駆体が、触媒支持体の質量(Mnの質量を除く)を基準として0.5質量%超かつ10質量%未満のMnを含み、Mnが1種又はそれより多くのマンガン化合物の形態で存在する、上記態様5〜11のいずれかに記載の方法。
[13]
コバルト含有触媒の調製方法であって、上記態様5〜12のいずれかに記載のコバルト含有触媒前駆体を調製すること;及び触媒前駆体を還元することにより、触媒前駆体を活性化することを含む、方法。
[14]
上記態様13に記載のコバルト含有触媒を調製すること;並びに一酸化炭素を含む水素を、100℃超の温度かつ少なくとも10barの圧力にて触媒と接触させて、炭化水素及び任意選択的に炭化水素の酸素化物を製造することを含む、炭化水素合成プロセス。
[15]
炭化水素及び任意選択的にその酸素化物を、液体燃料及び/又は他の化学種に転化する水素処理工程を含む、上記態様14に記載のプロセス。