特許第6721662号(P6721662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6721662-波形管を製造するための方法および装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721662
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】波形管を製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 23/18 20060101AFI20200706BHJP
   B29C 49/30 20060101ALI20200706BHJP
   B29C 51/30 20060101ALI20200706BHJP
   F16L 11/11 20060101ALI20200706BHJP
   B29L 23/18 20060101ALN20200706BHJP
【FI】
   B29D23/18
   B29C49/30
   B29C51/30
   F16L11/11
   B29L23:18
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-221013(P2018-221013)
(22)【出願日】2018年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-98746(P2019-98746A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】10 2017 128 805.8
(32)【優先日】2017年12月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン アウハ
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−025006(JP,A)
【文献】 特開昭53−114869(JP,A)
【文献】 特開昭53−086773(JP,A)
【文献】 実開平04−128826(JP,U)
【文献】 特開平02−024133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 23/18
F16L 11/11
B29C 49/00 − 49/80
B29C 51/00 − 51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形になるように交互に形成された第1の外径を有する第1の外壁領域と第2の外径を有する第2の外壁領域とを少なくとも部分的に有する波形管を製造するための方法であって、前記第1の外径が前記第2の外径よりも大きく、前記波形管が、コルゲータ(1)を用いて、プラスチック真空成形プロセス又はプラスチックブロー成形プロセスによってプラスチック真空成形モールド又はプラスチックブロー成形モールドで製造され、前記第1の外壁領域の少なくともいくつかに1つまたは複数の開口が形成される方法において、
前記開口が、前記コルゲータ(1)内での前記プラスチック真空成形プロセス又はプラスチックブロー成形プロセス中に前記波形管の前記第1の外壁領域の少なくともいくつかに形成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記開口が、前記第1の外壁領域を成形するために提供されている前記コルゲータ(1)内の少なくともいくつかの成形凹部(3a、3b)に配置されているマンドレル(2)によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マンドレル(2)がそれぞれ、前記成形凹部(3a、3b)の1つに固定して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記波形管の前記第1の外壁領域の少なくともいくつかに、0.5mm〜1mmの直径を有する開口が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
波形になるように交互に形成された第1の外径を有する第1の外壁領域と第2の外径を有する第2の外壁領域とを少なくとも部分的に有する波形管を製造するための装置であって、前記第1の外径が前記第2の外径よりも大きく、前記装置が、プラスチック真空成形プロセス又はプラスチックブロー成形プロセスによって前記波形管を製造するように構成され、前記波形管を成形するためのコルゲータ(1)を有し、前記装置が、前記第1の外壁領域の少なくともいくつかに1つまたは複数の開口を形成するための手段を有する装置において、1つまたは複数の開口を形成するための前記手段が、前記コルゲータ(1)内でのプラスチック真空成形プロセス又はプラスチックブロー成形プロセス中に前記波形管の前記第1の外壁領域の少なくともいくつかに開口を形成するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
前記手段が、前記波形管の前記第1の外壁領域を成形するために提供されている前記コルゲータ(1)内の少なくともいくつかの成形凹部(3a、3b)に配置されているマンドレル(2)として構成されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記マンドレル(2)がそれぞれ、前記コルゲータ(1)の前記成形凹部(3a、3b)に固定して配置されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記マンドレル(2)が、前記波形管の前記第1の外壁領域の少なくともいくつかに開口を形成するように構成され、前記開口が、0.5mm〜1mmの直径を有することを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形になるように交互に形成された第1の外径を有する第1の外壁領域と第2の外径を有する第2の外壁領域とを少なくとも部分的に有する波形管を製造するための方法であって、第1の外径が第2の外径よりも大きく、波形管が、コルゲータを用いて、プラスチック真空成形プロセス又はプラスチックブロー成形プロセス(以下、プラスチック真空/ブロー成形プロセスによってプラスチック真空成形モールド又はプラスチックブロー成形モールド(以下、プラスチック真空/ブロー成形モールドで製造され、第1の外壁領域の少なくともいくつかに1つまたは複数の開口が形成される方法に関する。さらに、本発明は、波形になるように交互に形成された第1の外径を有する第1の外壁領域と第2の外径を有する第2の外壁領域とを少なくとも部分的に有する波形管を製造するための装置であって、第1の外径が第2の外径よりも大きく、装置が、プラスチック真空/ブロー成形プロセスによって波形管を製造するように構成され、波形管を成形するためのコルゲータを有し、装置が、第1の外壁領域の少なくともいくつかに1つまたは複数の開口を形成するための手段を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波形管は、従来技術から様々な実施形態で知られている。この種の波形管は、特に、波形になるように交互に形成された第1の外径を有する第1の外壁領域と第2の外径を有する第2の外壁領域とを少なくとも部分的に有し、第1の外径が第2の外径よりも大きいことを特色とする。したがって、より大きい外径を有する第1の外壁領域は、しばしば波山とも呼ばれ、それに対応してより小さい外径を有する第2の外壁領域は、波谷とも呼ばれる。第1の外壁領域と第2の外壁領域の外径が異なることにより、波形管には可撓性が与えられ、したがって波形管をある程度まで曲げることができる。さらに、プラスチック真空/ブロー成形プロセスによってプラスチック真空/ブロー成形モールドでこのタイプの波形管を製造することが、従来技術からよく知られている。プラスチック真空/ブロー成形モールドの1つの本質的な構成要素は、いわゆるコルゲータであり、コルゲータによって、波形管の成形が行われ、コルゲータ内で第1の外壁領域および第2の外壁領域が成形される。
【0003】
いくつかの技術的用途では、波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかに1つまたは複数の開口を所期の様式で形成する必要があり、第1の外壁領域の外径は第2の外壁領域の外径よりも大きく、それらの開口によって、例えば波形管からの流体の排出を可能にすることができる。
【0004】
(特許文献1)に、波形管を製造するための方法および装置が開示されており、その方法および装置では、波形管は、プラスチック真空/ブロー成形プロセスによってプラスチック真空/ブロー成形モールドで製造される。さらに、その装置は、アクチュエータによって作動させることができる打抜き装置を有し、打抜き装置によって、波形管の製造後に、波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかに1つまたは複数の開口を所定の様式で形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】カナダ特許第2725986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に簡単に波形管の第1の外壁領域に開口を形成することができる、冒頭で述べたタイプの波形管を製造するための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1の特徴部の特徴を有する波形管を製造するための一般的なタイプの方法によって実現される。装置に関して、上記目的は、請求項5の特徴部の特徴を有する冒頭で述べたタイプの装置によって実現される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態に関する。
【0008】
波形管を製造するための本発明による方法は、コルゲータ内でのプラスチック真空/ブロー成形プロセス中に波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかに開口が形成されることを特色とする。本発明は、第2の外壁領域の外径よりも大きい外径を有する第1の外壁領域の少なくともいくつかに構成すべき開口を、プラスチック真空/ブロー成形プロセスの終了後に当該の第1の外壁領域に形成するのではなく、コルゲータ内での波形管の成形プロセス中に既に形成するという概念に基づいている。その結果、有利には、当該の第1の外壁領域に1つまたは複数の開口を後で形成することができる別個のツールを提供する必要はない。上記手段によって、第1の外壁領域への開口の形成、したがって波形管全体の製造を単純化することができ、したがってコストをより低くすることができる。
【0009】
1つの有利な実施形態では、第1の外壁領域を形成するために提供されるコルゲータ内の成形凹部の少なくともいくつかに配置されているマンドレルを用いて開口を形成することが提案される。それぞれの第1の外壁領域に形成すべき開口の数に応じて、当該の成形凹部に1つまたは複数のマンドレルを配置することができる。
【0010】
1つの特に有利な実施形態では、マンドレルがそれぞれ成形凹部に固定して配置されていることを企図することができる。
【0011】
好ましくは、波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかに、約0.5mm〜約1mmの直径を有する開口を形成することができる。
【0012】
波形管を製造するための本発明による装置は、コルゲータ内でのプラスチック真空/ブロー成形プロセス中に波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかに開口を形成するように構成されることを特色とする。本発明による装置を用いて、コルゲータ内での実際の成形プロセス中に既に、波形管の当該の第1の外壁領域に開口を形成できることが実現される。したがって、有利には、例えば開口を形成するための打抜き装置を用いた波形管の後続の加工は不要である。本発明による装置の1つの利点は、それぞれの第1の外壁領域に開口を形成するための複雑な後続加工ステップをなくすことができるので、このようにして波形管の製造コストを低減することができることである。
【0013】
1つの好ましい実施形態では、上記手段は、波形管の第1の外壁領域を成形するために提供されているコルゲータ内の少なくともいくつかの成形凹部に配置されているマンドレルとして構成されることが提案される。波形管のそれぞれの第1の外壁領域に形成すべき開口の数に応じて、当該の成形凹部に1つまたは複数のマンドレルを配置することができる。好ましくは、各マンドレルは、コルゲータの対応する成形凹部内に固定して配置することができる。
【0014】
1つの有利な実施形態では、マンドレルは、波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかに開口を形成するように構成することができ、開口は、約0.5mm〜約1mmの直径を有する。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付する図1を参照して、1つの好ましい例示的実施形態の以下の説明により明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】プラスチックから波形管を製造するための装置のコルゲータ1の一部を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
プラスチックからなり、上記装置によって製造することができる波形管は、特に、波形になるように交互に形成された第1の外径を有する第1の外壁領域と第2の外径を有する第2の外壁領域とを少なくとも部分的に有することを特色とする。ここで、第1の外径は第2の外径よりも大きい。このため、より大きい外径を有する第1の外壁領域は、しばしば波山とも呼ばれ、それに対応してより小さい外径を有する第2の外壁領域は、波谷とも呼ばれる。異なる大きさの第1の外径と第2の外径により、波形管が可撓性になり、ある程度まで曲げることができる状況が実現される。
【0018】
波形管を製造するための装置は、従来技術からよく知られているように、プラスチック真空/ブロー成形プロセスで波形管を製造するように構成されており、したがってここでは詳細には述べない。この装置は、第1の外壁領域(波山)と第2の外壁領域(波谷)とを有する波形管を成形する働きをするコルゲータ1を有する。コルゲータ1は、多数の成形凹部3a、3bを備え、成形凹部3a、3bは、相互に続いており、ハーフダイ5の内部に構成され、特に一部環状の構成である。さらに、ハーフダイ5には、それぞれ成形凹部3a、3bに流体接続された部分真空ダクト6が構成されている。このようにして、波形管の成形中に部分真空ダクト6によって成形凹部3a、3b内に部分真空を生成することができる。
【0019】
互いに隣接する2つの成形凹部3a、3bは、それぞれ成形突起4によって互いに分離されている。図1による例示から明らかになるように、成形凹部3a、3bは、第1の(より大きい)外径を有する波形管の第1の外壁領域を成形するために提供され、成形突起4は、第2の(より小さい)外径を有する波形管の第2の外壁領域を成形するために提供される。波形管の製造中、互いに対応する2つのハーフダイ5が第1および第2の外壁領域を成形し、2つのハーフダイ5の一方にある一部環状の各成形凹部3a、3bが、波形管の当該の第1および第2の外壁領域の半分をそれぞれ成形する。
【0020】
いくつかの技術的用途では、例えば波形管からの流体の所定の排出を可能にするために、第1の(より大きい)外径を有する波形管の第1の外壁領域の少なくともいくつかが1つまたは複数の開口を有する必要がある。コルゲータ1内での波形管の成形プロセス中に既に上記開口を形成することを可能にするために、成形凹部3a、3bの少なくともいくつかにそれぞれ少なくとも1つのマンドレル2が構成され、マンドレル2は、波形管の第1の外壁領域の1つに開口を形成することができる。好ましくは、マンドレル2は、当該の成形凹部3a、3bに固定して配置されている。
【0021】
本明細書で提案する装置を用いて、コルゲータ1内での実際の成形プロセス中に既に、波形管の当該の第1の外壁領域に開口を形成できることが実現される。したがって、例えば開口を形成するための打抜き装置を用いた波形管の後続加工は不要である。その結果、有利には、それぞれの第1の外壁領域に開口を形成するための複雑な後続加工ステップをなくすことができるので、波形管の製造コストを低減することができる状況が実現される。
【符号の説明】
【0022】
1 コルゲータ
2 マンドレル
3a、3b 成形凹部
図1