特許第6721690号(P6721690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721690
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】自動車用電動オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20200706BHJP
   F04C 15/06 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   F04C2/10 341E
   F04C15/06 A
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-535139(P2018-535139)
(86)(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公表番号】特表2019-505719(P2019-505719A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】EP2016050458
(87)【国際公開番号】WO2017121461
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】515069336
【氏名又は名称】ピアーブルグ パンプ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Pierburg Pump Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マルバージ, アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー, ビクトール
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−172350(JP,A)
【文献】 特開昭62−098095(JP,A)
【文献】 特開昭52−040802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
F04C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル受容機器に向けて加圧オイルを吐出するために、ポンプ室(100)内で回転するポンプロータ(96)を含んだ容量オイルポンプユニット(14)と、
前記ポンプユニット(14)の前記ポンプロータ(96)を駆動する電動モータ(12)と、
前記電動モータ(12)を電源に電気的に接続する電気接続プラグ(26)と、
ポンプ入口(44)及びポンプ出口(77)を含み、これらポンプ入口及びポンプ出口が対応する室入口(104)及び室出口(108)に別々に流体的に接続される、流体コネクタ(22)と
を具備し、
前記流体コネクタ(22)は、中央前端開口(42)及び該中央前端開口(42)に対して同心的に配置された環状前端開口(76)を更に含み、両方の前記開口(42,76)が前記ポンプ入口(44)及び前記ポンプ出口(77)をそれぞれ規定し、
前記流体コネクタ(22)は、前記中央前端開口(42)と同心的にして配置された第1の円形開口壁(54)を更に含み、前記第1の円形開口壁(54)は前記電動モータ(12)の回転軸線(28)と同心的にして、前記ポンプ入口(44)及び前記ポンプ出口(77)を含むポンプの前端に配置されていることを特徴とする自動車用電動オイルポンプ。
【請求項2】
記第1の円形開口壁(54)は前記中央前端開口(42)と前記環状前端開口(76)とを流体的に分離することを特徴とする、請求項1に記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項3】
前記流体コネクタ(22)は、前記第1の円形開口壁(54)と同心的に配置された第2の円形開口壁(72)を更に含み、前記第2の円形開口壁(72)は前記中央前端開口(42)及び環状前端開口(76)の両方、並びに前記第1の円形開口壁(54)を囲んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項4】
記第2の円形開口壁(72)は前記電動モータ(12)の回転軸線(28)と同心的にして、前記ポンプ入口(44)及び前記ポンプ出口(77)を含むポンプの前端に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項5】
前記電気接続プラグ(26)は回転軸線(28)に対して実質的に径方向の差し込み方向(30)を備えて径方向に配置されていることを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項6】
前記ポンプユニット(14)は、ジェロータアセンブリ(92)によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項7】
前記ポンプ入口(44)は、前記ポンプ出口(77)の径方向内側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項8】
前記ポンプ出口(77)は、前記ポンプ入口(44)の径方向内側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項9】
同心的で且つ円形の開口壁(54,72)は径方向シール(68,88)を含むことを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項10】
前記径方向シール(68,88)は前記開口壁(54,72)の外周面(58,80)に配置されていることを特徴とする、請求項に記載の自動車用電動オイルポンプ。
【請求項11】
前記室入口(104)又は前記室出口(108)に前記中央前端開口(42)を接続し且つ方向付けに径方向の構成部分を有する接続通路(56)によって特徴付けられる、請求項1〜10の何れかに記載の自動車用電動オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用電動オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用電動オイルポンプはオイル容量ポンプユニットを備え、該ポンプユニットは、オイル受容機器に向けて加圧オイルを吐出するために、ポンプ室内で回転するポンプロータを含んでいる。更に、オイルポンプは、ポンプユニットのポンプロータを駆動する電動モータと、該電動モータを電源に電気的に接続する電気接続プラグと、ポンプ入口及びポンプ出口を含み、これらポンプ入口及びポンプ出口がポンプ室の対応する室入口及び室出口に流体的に接続される、流体コネクタとを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような自動車用電動オイルポンプは技術の現況において公知である。しかしながら、技術の現況における自動車用電動オイルポンプは幾つかの不具合を有する。流体コネクタのポンプ入口及びポンプ出口とそのカウンタ流体コネクタ側の対応した開口との間での良好な流体的接続を得るためには、これら入口、出口及び開口は特定の回転位置にて配置されていなければならない。通常は径方向の差し込み方向に配置された電気コネクタの方向付けは、カウンタ流体コネクタの方向付けに依存する。全ての自動車の製造業者は、カウンタ流体コネクタ及びカウンタ電気コネクタに別の方向付けを要求している。それ故、ポンプ供給業者は異なる要求でのコネクタの方向付けに応じて、多数の異なるポンプバージョンを必要とする。
【0004】
本発明の目的は異なる取り付け条件に対して、融通性を有する自動車用電動オイルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、請求項1の特徴を有する自動車用電動オイルポンプにて解決される。
【0006】
本発明によれば、流体コネクタは、中央前端開口と、該中央前端開口と同心的に配置された環状前端開口とを含み、これらの前端開口はポンプ入口及びポンプ出口を規定する。本発明の前端開口はポンプの前端に配置された1つの開口であって、該開口はポンプの軸線方向に実質的に開口している。本発明によれば、環状前端開口は環状をなし、中央前端開口の回りに配置されている。中央前端開口及び環状前端開口に係る発明の配置はポンプ入口及びポンプ出口を有し、これら入口及び出口の両者が回転対称である。これにより、ポンプは、カウンタ流体コネクタに既に差し込まれているものの、カウンタ流体コネクタに最終的に固定されていない限り、中央前端開口の軸線回りに回転可能である。差し込み後にポンプが回転でき、電気接続プラグは自動車の製造業者によって要求される位置に回転して位置付けられる。それ故、ポンプは、カウンタ流体コネクタにおける開口の回転位置とは独立する。従って、ポンプは異なる取り付け条件に対して融通性を有し、自動車の製造業者の異なる要求を満たすのに単一のポンプバージョンのみで十分となる。
【0007】
本発明の好適な実施形態において、流体コネクタは、中央前端開口と同心的に配置され、ポンプ入口及び/又はポンプ出口の少なくとも1つを規定する第1の円形開口壁を規定し、第1の円形開口壁は中央前端開口と環状前端開口とを流体的に分離する。
【0008】
更に好適な実施形態において、流体コネクタは、互いに同心的に配置された第1及び第2の円形開口壁を含み、これら円形開口壁は環状のポンプ入口及び/又はポンプ出口の少なくとも1つを規定する。第1の円形開口壁は、環状前端開口から中央前端開口を分離する。第2の円形開口壁は、両方の前端開口及び第1の円形開口壁を囲んでいる。
【0009】
好ましくは、第1の円形開口壁は、電動モータの回転軸線と同心的にして、ポンプ入口及びポンプ出口を含んだポンプの前端に配置されている。流体コネクタの回転軸線はポンプの中心に設けられている。従って、ポンプは、要求された電気コネクタプラグの差し込み方向に向けて回転されるとき、最小の取り付けスペースを要求する。
【0010】
好適な実施形態によれば、第1及び第2の円形開口壁は電動モータの回転軸線と同心的にして、ポンプ入口及びポンプ出口を含むポンプの前端に配置されている。適切な回転取り付け位置に向けてポンプを回転する回転軸線はポンプの中心に設けられている。従って、ポンプは、要求された電気コネクタプラグの差し込み方向に向けて回転されるとき、最小の取り付けスペースを要求する。
【0011】
好ましくは、電気コネクタプラグは、モータ回転軸線に対して実質的に径方向の差し込み方向を有するべく径方向に配置されている。カウンタ電気コネクタプラグは通常、径方向の差し込み方向に設けられているので、電気コネクタプラグは自動車の製造業者の要求に応じて提供可能である。
【0012】
好ましくは、ポンプユニットはジェロータアセンブリによって形成されている。ジェロータは非常に静かに作動する。更に、ジェロータは両方の回転方向に作動可能であり、これにより、ポンプ入口及びポンプ出口はポンプの回転方向の変更によって簡単に交換可能となる。ポンプ入口及びポンプ出口が交換されなければならないとしも、ポンプの第2のバージョンは不要である。
【0013】
好適な実施形態において、ポンプ入口はポンプ出口の径方向内側に配置されている。代替的には、ポンプ出口はポンプ入口の径方向内側に配置されている。
【0014】
他の好適した実施形態において、同心的な円形壁の少なくとも1つは径方向シールリングを含み、これにより、軸線方向シールの欠点が回避される。軸線方向シールのシール品質はポンプの軸線方向の接続に依存する。シール品質は、シールリングを損傷する取り付けプロセスでの軸線方向の過負荷によって減少する。また、シール品質は、過度に緩い軸線方向のポンプの固定によっても減少される。このような欠点は径方向のシールリングによって解消できる。
【0015】
好ましくは、径方向のシールリングは円形壁の外周面に配置されている。該シールリングは、カウンタコネクタに対する中央前端開口及び環状前端開口それぞれの流体接続の緊密さを改善する。
【0016】
好ましくは、中央前端開口を室入口又は室出口に接続する接続通路が設けられ、該接続通路はその方向付けに径方向の構成部分を有する。ポンプ入口及び/又はポンプ出口はポンプの対応した室入口又は室出口に直接接続可能である。
【0017】
次に、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る自動車用電動オイルポンプを一部破断して示す長手方向側面図である。
図2図1のポンプにおける流体コネクタの斜視図である。
図3】ポンプユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、自動車用電動オイルポンプ10の長手方向側面を一部破断して示す。該ポンプ10はポンプユニット14を駆動する電動モータ12を含み、これら電動モータ12及びポンプユニット14の両者はポンプハウジング18内に設けられている。ポンプユニット14の軸線方向の前端には流体コネクタ22が配置され、前記前端は電動モータ12とは軸線方向でみて反対側にある。流体コネクタ22は例えば、自動車のエンジン、変速機、熱交換器等の対応した流体コネクタ(図示しない)に接続可能で、例えばエンジン、変速機、熱交換器等のオイル受容機器にポンプ10を流体的に接続する。流体コネクタ22を備えた前記前端とは軸線方向反対側のポンプ端には電気接続プラグ26が配置されている。該電気接続プラグ26は、電動モータ12の回転軸線28に対して径方向となる差し込み方向に備えている。ポンプ10の軸線方向端にはポンプ10を対応したカウンタパートに機械的に接続するため、フランジ部分34が配置されている。
【0020】
図2はポンプ10の流体コネクタ22を更に詳細に示している。流体コネクタ22はその前面に中央前端開口42を備えている。該中央前端開口42はポンプ入口44を規定し、該ポンプ入口44を通じてポンプユニット14内への流体の吸い込みが可能である。中央前端開口42は第1の円形開口壁54によって囲まれている。第1の円形開口壁54は中央前端開口42と同心的に配置され、軸線方向に延びている。中央前端開口42はポンプユニット14に接続通路56を介して流体的に接続されている。該接続通路56はその方向付けに径方向の構成部分を有している。第1の円形開口壁54の外周面58には第1の壁溝62が設けられ、該第1の壁溝62は径方向シール68(図1参照)を受け入れている。径方向シール68は第1オイルリングである。
【0021】
更に、流体コネクタ22は第2の円形開口壁72を含み、該第2の円形開口壁72は第1の円形開口壁54と同心に配置されて、ポンプハウジング18から軸線方向に延びている。更に、第2の円形開口壁72は第1の円形開口壁54よりも大きな半径を有し、環状前端開口76を形成する。該環状前端開口76はポンプ出口77を規定し、該ポンプ出口77を通じて加圧流体が吐出される。環状前端開口76の底には中間開口78が配置され、該中間開口78はポンプユニット14を環状前端開口76に流体的に接続している。第2の円形開口壁72の外周面80には第2の壁溝84が設けられ、該第2の壁溝84は径方向シール88(図1参照)を受け入れている。径方向シールは第2オイルリングである。
【0022】
中央前端開口42は、環状前端開口76によって規定された面と実質的に平行な面に位置付けられている。両方の面は電動モータ12の回転軸線28に対して実質的に直交する。
【0023】
図3は、ポンプ10内にポンプユニット14を形成するジェロータアセンブリ92の正面図を示す。ジェロータアセンブリ92は、ポンプ室100内にて回転するポンプロータ96を含む。ジェロータアセンブリ92の軸線方向端にはインゲン豆形の室入口104が設けられ、該室入口104を通じてジェロータアセンブリ92内に流体が吸い込まれる。ジェロータアセンブリ92の同一の軸線方向端には加圧流体を吐出するインゲン豆形の室出口108が設けられているが、該室出口108は室入口104とは実質的に径方向反対側にある。室入口104は中央前端開口42に接続通路56によって流体的に接続されている。室入口104が中央前端開口42に対して径方向に距離を存して配置されているので、接続通路56は径方向の構成部分でもって方向付けされていなければならない。
【0024】
自動車用の電動オイルポンプが上述の実施形態に制約されるものでないことは明らかである。特に、ジェロータ以外の他のポンプユニットも使用可能である。また、ポンプハウジング又はジェロータの他の構成も考えられる。
【符号の説明】
【0025】
10 オイルポンプ
12 電動モータ
14 ポンプユニット
18 ポンプハウジング
22 流体コネクタ
26 接続プラグ
28 回転軸線
30 差し込み方向
34 フランジ部分
42 中央前端開口
44 ポンプ入口
54 第1の円形開口壁
56 接続通路
58 外周面
62 第1壁溝
68 径方向シール
72 第2の円形開口壁
76 環状前端開口
78 中間開口
80 外周面
84 第2壁溝
88 径方向シール
92 ジェロータアセンブリ
96 ポンプロータ
100 ポンプ室
104 室入口
108 室出口
図1
図2
図3