【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明方法は、原料ガスから有価物を生成する方法であって、
原料ガス生成部からの原料ガスを相転移性不純物質除去部に通して、気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質を前記原料ガスから除去する相転移性不純物質除去工程と、
前記相転移性不純物質除去工程後の原料ガスを固液捕捉部に通して、前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する固液捕捉工程と、
前記固液捕捉工程後の原料ガスを有価物生成反応部へ導入して前記有価物の生成反応を起こさせる反応工程と
を備えたことを特徴とする。
この有価物生成方法によれば、原料ガスを固液捕捉部ひいては有価物生成反応部に導入する前に、原料ガス中のナフタレン等の相転移性不純物質を除去することができる。これによって、固液捕捉部の詰まりを抑制したり、有価物生成反応部への相転移性不純物質の混入を防止したりできる等、相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減することができる。
なお、「不純物質の除去」とは、原料ガスから当該不純物質の少なくとも一部を除去することを意味し、原料ガスから当該不純物質を完全に除去することに限定されない。
【0007】
前記相転移性不純物質除去工程が、
前記原料ガスを第1ガス冷却部に通して冷却する第1冷却工程と、
前記冷却後の原料ガスを、相転移性不純物質の固化物を捕捉する相転移性不純物質捕捉部に通す相転移性不純物質捕捉工程と
を含むことが好ましい。
冷却によってナフタレン等の相転移性不純物質を固相化させることができる。その後、前記相転移性不純物質の固化物を相転移性不純物質捕捉部によって捕捉して除去できる。
【0008】
前記相転移性不純物質捕捉工程の後、かつ前記固液捕捉工程の前に、前記原料ガスを第2ガス冷却部に通して前記第1冷却工程よりも低温にする第2冷却工程を実行することが好ましい。
第2冷却工程によって、原料ガスに含まれる水分を十分に凝縮させ除去したうえで固液捕捉部に導入できる。これによって、固液捕捉部が水分で詰まるのを抑制できる。予め相転移性不純物質を除去しておくことで固液捕捉部の詰まりを一層抑制できる。
【0009】
前記反応工程では、液状の培地中でガス資化性微生物を培養するとともに、前記原料ガスを前記培地に供給して、前記ガス資化性微生物の発酵によって前記有価物を生成することが好ましい。
前記相転移性不純物質除去工程で相転移性不純物質を十分に除去した原料ガスを培地に供給することで、ガス資化性微生物を安定的に培養することができる。
【0010】
また、本発明装置は、原料ガス生成部において生成された原料ガスから有価物を生成する装置であって、
気相と固相の間で相転移可能な相転移性不純物質を前記原料ガスから除去する相転移性不純物質除去部と、
前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する固液捕捉部と、
前記原料ガスから前記有価物の生成反応を起こさせる有価物生成反応部と、
を備え、前記原料ガスの供給路に沿って上流側から、前記相転移性不純物質除去部、前記固液捕捉部、前記有価物生成反応部の順に配置されていることを特徴とする。
この有価物生成装置によれば、前記相転移性不純物質除去部によって前記原料ガス中の相転移性不純物質を除去する。次に、前記固液捕捉部によって、前記原料ガス中の固形又は液状の不純物質を捕捉する。次に、前記有価物生成反応部によって、前記原料ガスから前記有価物の生成反応を起こさせる。これによって、固液捕捉部の詰まりを抑制したり、有価物生成反応部への相転移性不純物質の混入を防止したりできる等、相転移性不純物質による種々の不具合又は悪影響を回避又は軽減することができる。
【0011】
前記相転移性不純物質除去部が、
前記原料ガスを冷却する第1冷却部と、
前記相転移性不純物質の固化物を捕捉する相転移性不純物質捕捉部と、
を含み、前記供給路に沿って上流側から、前記第1冷却部、前記相転移性不純物質捕捉部の順に配置されていることが好ましい。
前記第1冷却部によって前記原料ガスを冷却することによって、ナフタレン等の相転移性不純物質を固相化させることができる。その後、前記相転移性不純物質捕捉部によって相転移性不純物質の固化物を捕捉することができる。
【0012】
前記相転移性不純物質捕捉部のフィルタが、前記固液捕捉部のフィルタよりも目が粗いことが好ましい。
前記相転移性不純物質捕捉部のフィルタの目を粗くすることで、該フィルタが相転移性不純物質の固化物や、場合によっては凝縮水等によって詰まるのを抑制できる。
前記固液捕捉部のフィルタの目を細かくすることで、ススやタール等の固形又は液状の不純物質を確実に捕捉して除去できる。また、前記相転移性不純物質の大部分を相転移性不純物質捕捉部で予め除去しておくことで、固液捕捉部のフィルタの詰まりを抑制できる。前記相転移性不純物質捕捉部を透過した相転移性不純物質の固化物については、固液捕捉部において確実に捕捉して除去することができる。
【0013】
前記供給路に沿って前記相転移性不純物質捕捉部と前記固液捕捉部との間には、前記原料ガスを前記第1冷却部よりも低温にする第2冷却部が設けられていることが好ましい。これによって、前記原料ガスに含まれる水分を十分に凝縮させ除去したうえで固液捕捉部に導入でき、固液捕捉部が水分で詰まるのを抑制できる。
【0014】
前記第1冷却部が、前記原料ガスを通しながら冷却する第1冷却路を含み、
前記第2冷却部が、前記原料ガスを通しながら冷却する第2冷却路を含み、
前記第1冷却路のコンダクタンスが、前記第2冷却路のコンダクタンスよりも大きいことが好ましい。
前記第1冷却路のコンダクタンスを大きくすることで、前記第1冷却路が前記相転移性不純物質の固化物で詰まるのを抑制できる。一方、前記第2冷却路のコンダクタンスを小さくし、ひいては、前記第2冷却路を構成する冷却管を小径にすることで、第2冷却路における原料ガスの冷却効率を高めることができ、原料ガスに含まれる水分を確実に凝縮させて除去できる。さらには、固液捕捉部が水分で詰まるのを確実に抑制できる。
【0015】
前記有価物生成反応部が、液状の培地中でガス資化性微生物を培養する培養槽を含み、前記原料ガスが前記培地に供給され、前記ガス資化性微生物の発酵によって前記有価物が生成されることが好ましい。
前記相転移性不純物質除去部で相転移性不純物質を十分に除去した原料ガスを培地に供給することで、ガス資化性微生物を安定的に培養することができる。