(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2経路の前記第1区間において前記電源と前記第1観測点との間に第1抵抗器が直列接続されるとともに、前記第2区間において前記第2観測点と前記グラウンドとの間に第2抵抗器が直列接続されており、
前記所定の電位は、前記電源の電位をV、前記第1抵抗器の抵抗値をR1、前記第2抵抗器の抵抗値をR2とした場合に、(V×R2)/(R1+R2)で表される電位である請求項1に記載の電源回路。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<参考例>
実施形態を説明する前に、参考例について説明する。
図1は参考例に係る充電装置及び被充電装置を示す。
図2は充電装置の短絡状態及び過電流保護素子の動作の説明図である。
【0011】
図1において、充電装置1は、充電用の電源と、正極3と、負極4とを含む。電源と正極3との間には過電流保護素子8が挿入されており、負極4はグラウンド(GND)に接続されている。過電流保護素子8は例えばポリスイッチである。
【0012】
被充電装置2は、正極3と接続される正極5と、負極4と接続される負極6と、充電装置から給電される電流により充電されるバッテリ7とを含む。正極3と正極5とが接続され、負極4と負極6とが接続されると、電源→過電流保護素子8→正極3→正極5→バッテリ7→負極6→負極4→GNDの順に電流が流れる経路(回路)が形成され、バッテリ7の充電が行われる。
【0013】
被充電装置2との非接続状態において、充電装置1の電極(正極3及び負極4)は露出している。このため、
図2に示すように、正極3と負極4が導電性を有する異物(固体、液体、流動体)9が付着して、正極3と負極4との間が短絡する場合があり得る。短絡によって電源からGNDへ向かって過電流が発生する(
図2の矢印参照)。過電流によって充電装置がダメージを受ける可能性がある。
【0014】
過電流保護素子(ポリスイッチ)8は、電源と正極3との間を流れる過大な(トリップ電流以上の)電流を検出すると、抵抗値を増大させて高抵抗の状態(トリップ状態と呼ば
れる)となる。過電流保護素子8がトリップ状態なることで、過電流保護素子8の下流側(正極3へ向かう経路)に電流が流れない状態となる(
図2の×印を参照)。これによって、過電流が停止される。
【0015】
トリップ状態は、過電流保護素子8の温度の低下により解除される。このため、電源をオフにする。その後、過電流保護素子8の温度が所定値以下になると、トリップ状態が解除されているので、電源をオンにして電流の供給を再開する。
【0016】
ところが、電流の供給の再開時点で短絡の原因が解消していない(例えば、正極3と負極4との間に異物9が未だ付着している)場合があり得る。しかし、参考例では、正極3と負極4との間の短絡状態が解除されたか(異物9が除去されたか)の監視や判定は行われない。このため、過電流が再び発生し、過電流保護素子8が過電流を停止させる。このような動作が、短絡の原因が解消されるまで繰り返される可能性があり、回路保護の観点において好ましくなかった。実施形態では、過電流が繰り返し発生するのを回避し得る電源回路について説明する。
【0017】
〔実施形態〕
実施形態では、給電対象の装置と接続される電源回路及びこのような電源回路を含む情報処理装置について説明する。実施形態に係る電源回路は、例えば、以下を含む。
・給電対象の装置と接続される正極及び負極。
・電源からの電流が前記正極及び前記負極を経由してグラウンドに至る第1経路。
・前記第1経路の抵抗値より高い抵抗値を有し、前記電源からの電流が前記正極及び前記負極を経由してグラウンドに至る第2経路。
・以下を行う制御部
-前記電源からの電流の経路に前記第1経路を用いる第1状態において前記第1経路の短
絡が検出された場合に前記第2経路へ前記電源からの電流を流す第2状態への切り替えを行う。
-前記短絡が継続しているか解除されているかを前記第2経路に設けた観測点の電位に基
づき判定し、前記短絡が解除されていると判定する場合に前記第1状態への切り替えを行う。
【0018】
給電対象の装置は、例えば被充電装置であり、電源回路は、例えば被充電装置に充電用の電力(電流)を供給する充電装置である。電源回路は、給電(充電)用の電源からの電流を制御する。
【0019】
電源回路によれば、第2経路に設けた観測点の電位に基づいて短絡が継続しているか解除されているかを判定し、解除されている場合に第1状態への切り替えを行う。短絡の解除判定後に第1状態への切り替えが行われることで、従来のように、短絡が解除されていない状態で通電が再開され、過電流が再び発生するのを可否することができる。
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置及び電源回路について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0021】
図3Aは、電源回路を含む充電装置が適用される情報処理装置の構成例を示す。
図3Bは実施形態に係る充電装置及び被充電装置の構成と第1経路の使用状態(第1状態)の一例を示す。
図4は実施形態に係る充電装置の短絡状態を示す。
図5は実施形態に係る充電装置の第2経路の使用状態(第2状態)の一例を示す。
【0022】
図3Aにおいて、情報処置装置50は、バスを介して相互に接続されたCPU51,メモリ52,通信インタフェース(通信IF)53,入力装置54,及び出力装置55を含
む。さらに、情報処理装置50は、被充電装置11を充電する充電装置10を含む。
【0023】
メモリ52は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、CPU51の作業領域、プログラムやデータの記憶領域,通信用のデータのバッファ領域などとして使用される。主記憶装置は、Random Access Memory(RAM)、或いはRAMとRead Only Memory(ROM)との組み合わせで形成される。
【0024】
補助記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD),Solid State Drive(
SSD),フラッシュメモリ,Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory
(EEPROM)などである。補助記憶装置は、ディスク記憶媒体やUniversal Serial Bus (USB)メモリのような可搬性を有する記憶媒体を含み得る。補助記憶装置は、C
PU51で実行されるプログラムと、プログラムの実行に際して使用されるデータとを記憶する。メモリ52は、「記憶部」,「記憶装置」,「記憶媒体」の一例である。
【0025】
通信IF53は、ネットワークを介して他のルータとのデータ(パケット)の授受を行う。通信IF13として、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)を適用可能である。入力装置54は、データや情報の入力に使用される。入力装置54は、キー,ボタン,ポインティングデバイス(マウスなど),タッチパネルなどを含む。出力装置55は、情報を出力する。出力装置は、ディスプレイやプリンタを含む。入力装置54には、マイクロフォンのような音声入力装置も含まれる。出力装置55には、スピーカのような音声出力装置も含まれる。
【0026】
CPU51は、メモリ52に記憶されたプログラムをロードして実行することによって、所望の情報処理を行う。CPU51は、「制御部」、「制御装置」、「コントローラ」の一例である。CPU51は、MPU(Microprocessor)、プロセッサとも呼ばれる。CPU51は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPUがマルチコア構成を有していても良い。CPU51で行われる処理の少なくとも一部は、CPU以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。
【0027】
また、CPU51で行われる処理の少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路で行われても良い。また、集積回路やディジタル回路はアナログ回路を含んでいても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(ASIC
),プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU51で行われる処理の少なくとも一部
は、プロセッサと集積回路との組み合わせにより実行されても良い。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラ(MCU),SoC(System-on-a-chip),システムLSI,チップセットなどと呼ばれる。
【0028】
情報処理装置50は、例えばパーソナルコンピュータである。但し、情報処理装置50は、パーソナルコンピュータ以外の、ワークステーション、スマートフォン等の専用又は汎用のコンピュータであっても良い。被充電装置11は、例えば情報処理装置50の備品である電子機器(タッチペン、ディスプレイなど)である。但し、被充電装置11が情報処理装置で、充電装置10がその情報処理装置の充電を行う場合もあり得る。このように、充電装置10及び被充電装置11は、所望の情報処理装置や電子機器に搭載できる。
【0029】
図3Bには、被充電装置20と、被充電装置20が有するバッテリ21を充電する充電装置10とが図示されている。
図3において、充電装置10は、被充電装置20に電力を
供給する電源回路10Aを含む。
【0030】
図3において、電源回路10Aは、給電用(充電用)の電源11と、正極12と、負極13と、グラウンド(GND)とを含む。電源11は、充電用の電圧(電源電圧V[V])を供給する定電圧電源である。
【0031】
電源11と正極12との間の区間(第1区間)には、スイッチ14(SW1)が設けられている。スイッチ14は、電源11と直接に接続される接点Aと、電源11と抵抗器17(抵抗値R1[Ω])を介して接続される接点Bとを有し、切替動作によって接点Aと接点Bとの一方を正極12に接続する。
【0032】
負極13とGNDとの間の区間(第2区間)には、スイッチ15(SW2)が設けられている。スイッチ15は、GNDに直接に接続された接点Cと抵抗器18(抵抗値R2[
Ω])を介してGNDに接続される接点Dとを有し、切替操作によって接点Cと接点Dと
の一方を負極13に接続する。
【0033】
被充電装置20は、バッテリ21と、バッテリ21のプラス端子に接続された正極22と、バッテリ21のマイナス端子に接続された負極23とを含む。充電装置10と被充電装置20とは、正極12が正極22に接続されるとともに、負極13と負極23とが接続されることによって接続される。
【0034】
バッテリ21の充電時(
図3B)を含む通常時において、充電装置10のスイッチ14は接点Aを正極12に接続し、スイッチ15は接点Cを負極13に接続する。これによって、
図3Bに示すように、電源11からの電流が接点Aを通って正極12、正極22、バッテリ21、負極23、負極13、接点Cを経由し、GNDに至る。このような電源11からの電流が正極12、負極13を経由してGNDに至る経路を第1経路と呼び、電源11からの電流の経路に前記第1経路を用いる状態(第1経路の使用状態)を第1状態と呼ぶ。第1状態で被充電装置20の正極22及び負極23が充電装置10の正極12及び負極13に接続されることで、バッテリ21が充電される。
図3Bでは、第1経路が実線矢印で示されている。
【0035】
図4に示すように、第1状態において、被充電装置20が充電装置10に接続されていない場合、正極12と負極13とは開回路の状態(開状態)にあり、電源11とGNDとの間に電流は流れない。しかし、正極12及び負極13とは露出しているため、正極12及び負極13に異物(導体)9が付着すると、正極12と負極13との間が短絡する。すなわち、第1経路が短絡する。これによって、電源11からGNDの間に過大な電流(過電流)が流れる。
【0036】
実施形態に係る充電装置10は、制御部の一例であるマイクロコントローラ(MCU)16を含む。MCU16は、過電流の発生の監視、短絡状態の監視、上記監視に基づくスイッチ14及びスイッチ15の切替動作の制御を行う。MCU16は、Central Processing Unit(CPU)等のプロセッサ,データやプログラムを記憶したメモリ,所望の機能
を有する集積回路の集合体でありSystem-on-a-chip(SoC)と呼ばれる。MCU16の代わりに、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)が適用されても良い
。スイッチ14及びスイッチ15は、半導体スイッチでもリレー(機械式スイッチ)でも良い。
【0037】
MCU16は、観測点の電位を監視することによって、過電流の発生を検出する。
図3Bに示すように、MCU16は、抵抗器17と接点Bとの間に設けられた観測点a(第1観測点)の電位と、抵抗器18と接点Dとの間に設けられた観測点b(第2観測点)の電
位とを監視する。観測点a及び観測点bはMCU16が有する電位測定用の端子に接続されている。
【0038】
図3Bに示す様に、第1状態では、MCU16は、観測点aの電位として電源11の電圧V[V]に等しい電位V[V]を検出するとともに、観測点bの電位として0(GND)を検出する。
【0039】
これに対し、異物9の付着などによって短絡が生じると、過大な電流が流れるため、電圧降下が発生する。このとき、観測点aからは電源電圧V[V]からの電圧降下(V−z)[V]が検出される。観測点bからは0が検出される。このような電圧降下を過電流発生と判定して、MCU16はスイッチ14及びスイッチ15の制御を行い、第1経路から第2経路への切替を行う。
【0040】
すなわち、MCU16は、過電流の発生を検出すると、
図5に示すように、接点Aと正極12との接続状態を接点Bと正極12との接続状態に切り替えるとともに、接点Cと負極13との接続状態を接点Dと負極13との接続状態に切り替える。これにより、電源11からの電流が抵抗器17,接点B,正極12,異物9,負極13,接点D,抵抗器18を経由してGNDに至る経路を流れる。当該経路を第2経路と呼び、第2経路が電源11からの電流の経路として使用される状態を第2状態と呼ぶ。
【0041】
第2経路では、抵抗器17及び抵抗器18が電源11とGNDとの間に直列に挿入されているので、第2経路の抵抗値は第1経路の抵抗値より高い。抵抗器17及び抵抗器18により電流の流れが阻害されるので、第2経路を流れる電流は過電流の電流値より小さい所望の値となる。すなわち、過電流が流れる状態が解消される。
【0042】
第2状態において、MCU16は、第2経路に設けられ観測点a及び観測点bの各電位に基づいて短絡が継続しているか解除されているかの判定処理を行う。
図6は第2経路に係る電位の説明図である。
図7は短絡の解除時の状態を示す。
【0043】
短絡状態において、観測点aと観測点bとの間の電流の経路における抵抗が十分に小さい場合、
図6に示すように、観測点aと観測点bとは実質的に同じ位置の電位(抵抗器17と抵抗器18の間の電位)を観測していることとなる。抵抗器17の抵抗値R1による分圧(電源11の電位と観測点a(観測点b)との電位差=(V×R1)/(R1+R2)[V])より、観測点a及び観測点bの電位は、(V×R2)/(R1+R2)[V]となる(
図5参照)。
【0044】
これに対し、短絡の原因の解消(異物9の除去:
図7にて異物9を破線で示す)によって短絡が解除されると、観測点aの電位は電源11の電圧Vに等しいV[V]となり、観測点bの電位は0となる(
図7参照)。この場合、MCU16は第2状態を第1状態に戻す。すなわち、MCU16は、接点Bと正極12との接続状態を接点Aと正極12との接続状態に切り替えるとともに、接点Dと負極13との接続状態を接点Cと負極13との接続状態に切り替える。
【0045】
図8はMCUの処理例を示すフローチャートである。
図8の処理は、例えば、MCU16が有するプロセッサ(CPU)がプログラムを実行することによって行われる。充電装置10の正常動作時(OP01)では、MCU16は、スイッチ14及びスイッチ15を第1経路の使用状態(第1状態)にし、観測点a及び観測点bの電位を測定する(OP02)。
【0046】
観測点aの電位がV[V]であり、観測点bの電位が0[V]である場合には、第1経路に
短絡は生じていない(非短絡状態である)ため、正常動作(第1状態)が維持される。これに対し、観測点aで電圧降下(V−z)が検出され、観測点bの電位が0である場合には、MCU16は、以下の処理を行う。すなわち、MCU16は、第1経路に短絡が生じたものとして、スイッチ14及びスイッチ15の操作によって第1経路から第2経路の切り替えを行い、短絡状態監視モード(第2状態)に遷移する(OP03)。
【0047】
第2状態でも、観測点a及び観測点bの監視(電位測定)が行われる(OP04)。測定結果において、観測点a及び観測点bの電位が(V×R2)/(R1+R2)[V]である場合には、MCU16は短絡状態が継続していると判定し、第2状態を継続する(OP03)。これに対し、観測点aの電位がV[V]であり、観測点bの電位が0である場合には、MCU16は短絡状態が解除されていると判定し、スイッチ14及びスイッチ15の切り替えを行って第1状態へ遷移させる(OP01)。
【0048】
なお、OP02及びOP04の判定において、観測点bの測定結果を用いず、観測点aの測定結果で判定を行う場合もあり得る。この場合、観測点bを省略できる。但し、実施形態に係る充電装置10の構成において、抵抗値R1及び抵抗値R2の調整により、短絡状態において観測点a及び観測点bで観測される電位(V×R2)/(R1+R2)の値が特別な値になるようにする。これによって、短絡の継続状態を他の状態と明確に区別し得るという利点がある。
【0049】
実施形態に係る充電装置10によれば、過電流の検出時にMCU16が電源11とGNDとの間の経路を第1経路から第1経路より抵抗値の大きい第2経路に切り替える。すなわち、制御部の一例であるMCU16は、第1経路に電源11からの電流を流す第1状態において第1経路の短絡を検出した場合に、第2経路へ電源11からの電流を流す第2状態への切り替えを行う。これによって、電源11からGNDへ過電流が流れるのが停止される。
【0050】
また、制御部の一例であるMCU16は、短絡が継続しているか解除されているかを第2経路に設けた観測点(観測点a及び観測点b)の電位に基づき判定する。短絡が継続していると判定する場合は、第2経路の使用を維持することで、過電流の再発生を回避する。
【0051】
これに対し、短絡が解除されていると判定する場合に第1状態への切り替えを行う。このように、短絡のない状態で第1経路への切り替えが実施されることで、これによって、過電流の発生が繰り返されることが回避され、充電装置10を過電流から保護することができる。
【0052】
〔変形例〕
実施形態に係る充電装置10は、以下のような変形が可能である。
<変形例1>
図9は変形例1を示し、第1経路の使用状態における短絡時の様子を示す。
図10は変形例1を示し、第2経路の使用状態を示す。
図11は変形例1におけるMCUの処理例を示すフローチャートである。
【0053】
変形例1では、
図9に示すように、抵抗器18(抵抗値:R2[Ω])が第1区間に設けられている。すなわち、電源11と接点Bとの間に抵抗器17と抵抗器18とが直列に接続され、観測点aが抵抗器17と抵抗器18との間に設けられている。観測点bは、負極13とGNDとの間に設けられている。
【0054】
変形例1における過電流の検出方法は、実施形態と同じである。すなわち、MCU16
が異物9の付着などによる短絡によって生じる電圧降下(V−z)を観測点aから検出し、観測点bの電位0を検出した場合に、第1状態から第2状態への切替を行う(
図11、OP12参照)。
【0055】
第2状態(OP13)において短絡の原因が解消していない場合、観測点aにて抵抗値R1及び抵抗値R2に応じた所定の電位(V×R2)/(R1+R2)が検出され、観測点bから0が検出される(
図10、
図11のOP14参照)。この場合、第2状態が維持される(OP14→OP13)。
【0056】
これに対し、短絡の原因が解消すると、観測点aから電位V[V]が検出され、観測点bから0が検出される。これらの検出を契機に、MCU16が第2状態から第1状態への切替を行う(OP14→OP11)。変形例1でも、第2経路上の電位に基づき短絡の維持又は解除を判定でき、過電流の再発生を回避できる。
【0057】
<変形例2>
図12は充電装置10の変形例2を示し、第1経路の使用状態における短絡時の様子を示す。
図13は充電装置10の変形例2を示し、第2経路の使用状態を示す。
図14は変形例2におけるMCUの処理例を示すフローチャートである。
【0058】
図12に示すように、変形例2では、負極13とGNDとの間の抵抗器18が省略されている。変形例2における過電流の検出方法は、実施形態と同じである。MCU16は、第1状態(OP21)において正極12と負極13との間に短絡が生じた場合、観測点aにて電圧降下(V−z)を検出し(OP22)、第1状態から第2状態(OP23)への切り替えを行う。
【0059】
第2状態(OP23)において短絡が継続している場合、観測点aにて0が検出され、観測点bから0が検出される(
図13、
図13のOP24参照)。この場合、MCU16は第2状態を維持する(OP24→OP23)。これに対し、短絡の原因が解消すると、観測点aから電位V[V]が検出され、観測点bから0が検出される。これらの検出を契機に、MCU16が第2状態から第1状態への切り替えを行う(OP24→OP21)。変形例2でも、第2経路上の電位に基づき短絡の維持又は解除を判定でき、過電流の再発生を回避できる。
【0060】
変形例1及び変形例2では、第1状態及び第2状態の双方において、観測点bの電位は0となる。このため、変形例1及び変形例2では、過電流の検出及び短絡の解除の判定に観測点aの電位を用い、観測点bの電位は用いなくても良い。観測点bの電位を用いない場合、観測点bは省略可能である。実施形態にて説明した構成は例示であり、適宜組み合わせることができる。
【0061】
<付記>
上述した発明の実施の形態は、以下の付記を含む。付記は適宜組み合わせることができる。
【0062】
(付記1) 給電対象の装置と接続される正極及び負極と、
電源からの電流が前記正極及び前記負極を経由してグラウンドに至る第1経路と、
前記第1経路の抵抗値より高い抵抗値を有し、前記電源からの電流が前記正極及び前記負極を経由して前記グラウンドに至る第2経路と、
前記電源からの電流の経路に前記第1経路を用いる第1状態において前記第1経路の短絡が検出された場合に、前記電源からの電流の経路に前記第2経路を用いる第2状態への切り替えを行うとともに、前記短絡が継続しているか解除されているかを前記第2経路に
設けた観測点の電位に基づき判定し、前記短絡が解除されていると判定する場合に前記第1状態への切り替えを行う制御部と、
を含む電源回路。
【0063】
(付記2) 前記観測点は、前記電源と前記正極との間の第1区間に設けた第1観測点を含み、
前記制御部は、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位と異なる所定の電位である状態を前記短絡の継続として検出し、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位である状態を前記短絡の解除として検出する
付記1に記載の電源回路。
【0064】
(付記3) 前記観測点は、前記電源と前記正極との間の第1区間に設けた第1観測点と、前記負極と前記グラウンドとの間の第2区間に設けた第2観測点をさらに含み、
前記制御部は、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位と異なる所定の電位であるとともに前記第2観測点の電位が前記所定の電位である状態を前記短絡の継続として検出し、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位であるとともに前記第2観測点の電位が0である状態を前記短絡の解除として検出する
付記1に記載の電源回路。
【0065】
(付記4) 前記観測点は、前記電源と前記正極との間の第1区間に設けた第1観測点と、前記負極と前記グラウンドとの間の第2区間に設けた第2観測点をさらに含み、
前記制御部は、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位と異なる所定の電位であるとともに前記第2観測点の電位が0である状態を前記短絡の継続として検出し、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位であるとともに前記第2観測点の電位が0である状態を前記短絡の解除として検出する
付記1に記載の電源回路。
【0066】
(付記5) 前記観測点は、前記電源と前記正極との間の第1区間に設けた第1観測点と、前記負極と前記グラウンドとの間の第2区間に設けた第2観測点をさらに含み、
前記制御部は、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が0であるとともに前記第2観測点の電位が0である状態を前記短絡の継続として検出し、前記第2状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位であるとともに前記第2観測点の電位が0である状態を前記短絡の解除として検出する
付記1に記載の電源回路。
【0067】
(付記6) 前記第2経路の前記第1区間において前記電源と前記第1観測点との間に第1抵抗器が直列接続されるとともに、前記第2区間において前記第2観測点と前記グラウンドとの間に第2抵抗器が直列接続されており、
前記所定の電位は、前記電源の電位をV、前記第1抵抗器の抵抗値をR1、前記第2抵抗器の抵抗値をR2とした場合に、(V×R1)/(R1+R2)で表される電位である付記2又は3に記載の電源回路。
【0068】
(付記7) 前記第2経路の前記第1区間において前記電源と前記正極との間に第1抵抗器と第2抵抗器とが直列接続されており、前記観測点が前記第1抵抗器と前記第2抵抗器との間に設けられており、
前記所定の電位は、前記電源の電位をV、前記第1抵抗器の抵抗値をR1、前記第2抵抗器の抵抗値をR2とした場合に、(V×R1)/(R1+R2)で表される電位である付記2又は4に記載の電源回路。
【0069】
(付記8) 前記第2経路の前記第1区間において前記電源と前記第1観測点との間に抵
抗器が直列接続されており、前記所定の電位は0である、付記2又は5に記載の電源回路。
【0070】
(付記9) 前記制御部は、前記第1状態において、前記電源と前記正極との間の区間に設けた第1観測点の電位が前記電源の電位と同じである場合を非短絡状態として検出し、前記第1状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位からの電圧降下を示す場合を短絡状態として検出する付記1から8のいずれか1項に記載の電源回路。
【0071】
(付記10) 前記制御部は、前記第1状態において、前記電源と前記正極との間の区間に設けた第1観測点の電位が前記電源の電位と同じであるともに、前記負極と前記グラウンドとの間の区間に設けた第2観測点の電位が0である場合を非短絡状態として検出し、前記第1状態において、前記第1観測点の電位が前記電源の電位からの電圧降下を示すとともに、前記第2観測点の電位が0である場合を短絡状態として検出する付記1から9のいずれか1項に記載の電源回路。
【0072】
(付記11) 電源回路を含む情報処理装置において、
前記電源回路が、
給電対象の装置と接続される正極及び負極と、
電源からの電流が前記正極及び前記負極を経由してグラウンドに至る第1経路と、
前記第1経路の抵抗値より高い抵抗値を有し、前記電源からの電流が前記正極及び前記負極を経由して前記グラウンドに至る第2経路と、
前記電源からの電流の経路に前記第1経路を用いる第1状態において前記第1経路の短絡が検出された場合に、前記電源からの電流の経路に前記第2経路を用いる第2状態への切り替えを行うとともに、前記短絡が継続しているか解除されているかを前記第2経路に設けた観測点の電位に基づき判定し、前記短絡が解除されていると判定する場合に前記第1状態への切り替えを行う制御部と、を含むことを特徴とする情報処理装置。