特許第6721937号(P6721937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6721937-霧化装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721937
(24)【登録日】2020年6月23日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】霧化装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   B05B17/06
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-28595(P2016-28595)
(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公開番号】特開2017-144393(P2017-144393A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】516050599
【氏名又は名称】株式会社桧鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(72)【発明者】
【氏名】高木 憲一
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−305233(JP,A)
【文献】 特開2005−307238(JP,A)
【文献】 実開平07−006263(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0051717(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3009505(JP,U)
【文献】 国際公開第2004/039735(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/122728(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/070894(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 17/00−17/08
C23C 16/00−16/56
B01D 51/00−51/10
C12P 7/06−7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応種ないしは反応前駆体を溶解した原料液体を霧化する霧化装置であって、
前記原料液体を収容した原料容器と、
前記原料容器に対し超音波を照射する超音波発生部と、
前記原料容器と当接して配置され、前記超音波を伝達する伝達液体を保持する伝達液体容器と、
前記原料液体を前記原料容器に供給しながら、前記原料容器内の前記原料液体の液面高さを一定に保つ液面調整手段と、
前記原料液体を収容する前段容器と、
前記原料容器を一部として含み、前記原料液体を循環させる循環経路を有し、
前記原料容器に収容した前記原料液体に、前記伝達液体容器に収容された前記伝達液体を介して、前記超音波発生部から前記超音波を印加することにより前記原料液体を霧化し、
前記原料液体が前記前段容器内から前記原料容器に供給され、
前記前段容器は前記循環経路内に設けられ、前記前段容器内で前記原料液体に所定の気体を溶解させて前記原料容器に供給することを特徴とする霧化装置。
【請求項2】
前記原料液体が一度脱気されていることを特徴とする請求項1に記載の霧化装置。
【請求項3】
前記所定の気体は、霧化した前記原料液体を含む気体を供給先の装置に送気するためのキャリアガスの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の霧化装置。
【請求項4】
前記前段容器内で原料液体に溶解させた後に余剰となった前記所定の気体を、前記前段容器から前記原料液体とは別経路で前記原料容器内に送気することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項5】
前記キャリアガスと別の1つ以上の気体を、前記原料容器から供給先への経路で、霧化した前記原料液体に混合することを特徴とする請求項3に記載の霧化装置。
【請求項6】
前記原料液体の温度を所定の温度に調整する温度調整手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応種ないしは反応前駆体を含む原料液体を霧化し、成膜、エッチング等に用いられる霧化装置であって、超音波により原料液体を霧化する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の霧化装置は、原料液体を収容した原料容器の底面壁を解放水槽中の水に浸し、該水槽の内に配置された超音波振動子から超音波を原料容器の底面壁方向に、水槽中の水を伝搬させて照射する構成としている(たとえば、特許文献1、特許文献2)。この構成によれば、超音波振動子から照射された超音波は、解放された水槽内の水を伝播した後、原料容器の底面壁を透過して、原料容器内の原料液体に伝播することによって、原料液体を超音波により霧化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−307238号公報
【特許文献2】特開2005−305233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような霧化装置では、原料液体の霧化効率は、原料容器内の原料液体の液面高さにより変化する。しかしながら、原料液体を霧化すると原料液体は減少して原料液体の液面は低くなり、結果、霧化効率が変化する。また、超音波を照射した際の原料液体は、選択霧化が生じ、原料液体の成分が変化することが報告されている。また、超音波を連続的に照射した場合、原料液体内に発生する超音波の粗密波により、原料液体の温度は上昇する。従って、原料液体の温度上昇による、霧化効率の変化も発生する。このため、従来の霧化装置では、超音波を照射して、安定した霧化効率で、連続的に原料液体のミストを一定条件で供給することができない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、長期間にわたり安定的に原料液体のミストを発生可能な霧化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の霧化装置は、反応種ないしは反応前駆体を溶解した原料液体を霧化する霧化装置であって、原料液体を収容した原料容器と、原料容器に対し超音波を照射する超音波発生部と、原料容器と当接して配置され、超音波を伝達する伝達液体を保持する伝達液体容器と、原料液体を原料容器に供給しながら、原料容器内の原料液体の液面高さを一定に保つ液面調整手段と、原料液体を収容する前段容器と、原料容器を一部として含み、原料液体を循環させる循環経路を有し、原料容器に収容した原料液体に、伝達液体容器に収容された伝達液体を介して、超音波発生部から超音波を印加することにより原料液体を霧化し、原料液体が前段容器内から原料容器に供給され、前段容器は循環経路内に設けられ、前段容器内で原料液体に所定の気体を溶解させて原料容器に供給することを特徴とする。


【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、長期間にわたり安定的に原料液体のミストを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態のミストエッチング装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る好適な第1の実施形態をミストエッチング装置の例で、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るミストエッチング装置の概略断面図である。ミストエッチング装置1は、原料液体6を霧化するミスト生成部2(霧化装置の一例)と、基板や基板上に形成された薄膜をエッチングするエッチング部3とから構成される。ミスト生成部2とエッチング部3は連結管4により相互に連結されている。ここで、原料液体とは、反応種又は反応前駆体を溶解した液体で、たとえばエッチング液である。
【0011】
ミスト生成部2は、原料液体6を収容する原料容器5と、原料容器5に当接して配置され伝達液体8を収容する伝達液体容器7と、超音波を発生させ原料液体6に照射する超音波振動子71(超音波発生部の一例)と、原料容器5内の原料液体6の液面6bの高さを一定に保つ液面調整手段9と、脱気タンク99を備えている。
【0012】
原料容器5は、ガラス製の円筒51と、円筒51の伝達液体容器7と当接する底面部に配置され底面を封止するポリエチレン等の合成樹脂薄膜52(薄膜の一例)、円筒51の上面部に配置され原料液体6を霧化したミストを取り出し、ミスト生成部2を連結管4を介してエッチング部3に連結するフランジ53で構成している。合成樹脂薄膜52は、一定の張力が与えられた状態で原料容器5の底部に固定されている。なお、合成樹脂薄膜52を用いる代わりに、原料容器5の伝達液体容器7と当接する底面壁の一部または全部を、超音波振動子71から発生した超音波が透過できる程度に薄く形成してもよい。
【0013】
伝達液体容器7は、底部が底面壁72で封止され、上端部のない面に上面壁73が設けられた円筒形の容器である。伝達液体容器7の内径は、原料容器5の外径よりやや大きくなっている。原料容器5の下端は、合成樹脂薄膜52が伝達液体容器7内の伝達液体8に浸潤するように配置されている。伝達液体8は、たとえば水等の超音波を伝達可能な液体である。この実施形態では、伝達液体容器7を密閉された容器としたが、開放された容器とすることもできる。
【0014】
超音波振動子71は、伝達液体容器7の底面の合成樹脂薄膜52に対向する位置に配置されている。超音波振動子71から照射された超音波は、伝達液体8と合成樹脂薄膜52を経由して原料液体6に到達する。なお、超音波振動子71の配置位置は、図1に示した位置には限らず、伝達液体8を介して原料液体6に超音波を照射できる位置であれば他の位置としてもよい。
【0015】
液面調整手段9は、原料液体を格納した前段容器94、前段容器94から原料液体6をポンプ91aにより送液する供給配管91、原料容器5内の液面を所望の高さに維持しながら過剰な原料液体6を前段容器94に戻すための還元配管92を備えている。本実施形態では、還元配管92の開口端92aの高さを原料液体6の所望の液面の高さと一致するようにし、開口端92aより液面6bが高くなると、還元配管92内に原料液体6が落下する形態としている。すなわち、液面調整手段9は、原料液体6を原料容器5、配管92、前段容器94、配管91から成る循環経路を循環させるように構成され、液面6bの高さを一定に保っている。
【0016】
ここで、液面調整手段9は、図1とは異なる構成とすることもできる。たとえば、還元配管92にポンプ等を設置して、積極的に吸液してもよいし、ないしは、液面6bより上方から吸引を行い、開口端92aを所望液面とする形態をとることも可能である。
【0017】
また、還元配管92は、所望温度に維持された水を格納する恒温槽93(温度調整手段の一例)中を経由し、原料液体6の温度を所望の温度に調整した後に、前段容器94内に到達する構成としている。ここで、温度調整手段は恒温槽以外の機構でも構成することができ、たとえば、ペルチェ素子のような固体素子を還元配管92に張り付けて温度調整を行ってもよいし、空冷による冷却機構でもよい。また、温度調整手段93は、図1に示した位置とは異なる位置、たとえば前段容器94、に設けてもよい。
【0018】
前段容器94は、原料液体6を液面が存在するように貯留する密閉された容器である。前段容器94には、供給配管91、還元配管92、ベント弁95、キャリアガス供給配管96、キャリアガス送出配管97、脱気原料液体供給配管98が接続されている。キャリアガス供給配管96は、図示しないタンク等からキャリアガス(たとえば、Nガス:所定の気体の一例)を前段容器94に送気するための配管で、端部に設けられたブロワー96aからキャリアガスを噴出させ、原料液体6をキャリアガスにてバブリングする。キャリアガス送出配管97は、原料液体6とは別の経路で前段容器94内からキャリアガスを原料容器5に送り込むための配管である。脱気原料液体供給配管98は、脱気タンク99から前段容器94に脱気した原料液体6送り込むための配管である。
【0019】
以下に、稼働手順に従って各部の機能を説明する。
【0020】
前段容器94では、原料液体6の無い空容器の状態で、バルブ96bを開いてキャリアガス供給配管96からキャリアガスを導入し、前段容器94内の雰囲気をキャリアガスで置換する。この際、バルブ97aを開きキャリアガス送出配管97を経由してキャリアガスを原料容器5に送出し、原料容器5とこれをエッチング部3に接続する連結管4及び、エッチング部3の原料液体ないしは原料ミストが通る経路の雰囲気を置換する。ここで、本実施形態では雰囲気置換としたが、真空ポンプを前段容器94に接続し、密閉した前段容器94を、一度真空にした後、キャリアガスを充填し、前段容器94内の雰囲気を置換する構成でもよい。
【0021】
上記の雰囲気の置換と並行して、あるいは先だって、脱気タンク99では、配管101に設けられたバルブ101aを開き真空ポンプ100を作動させて、内部に格納された原料液体6を脱気する。本実施形態では、真空ポンプを用いているが、エジェクター等による減圧機構やその他の機構により脱気してもよい。そして、雰囲気の弛緩が完了した後、バルブ98bを開きポンプ98aを作動させて脱気された原料液体6を脱気原料液体供給配管98を経由して前段容器94に移送する。
【0022】
ここで、脱気された原料液体6を格納する脱気タンク99内に、キャリアガスを導入する機構とし、脱気した原料液体6にキャリアガスを溶かしてから、前段容器94に移送してもよいし、キャリアガスを溶かした後、再度脱気を繰り返し、原料液体内の溶残ガスの純度を高めてもよい。
【0023】
前段容器94では、移送された原料液体6をキャリアガスによるバブリングにより、キャリアガスを含み、飽和した原料液体6とする。この際にも、バルブ97aを開き、余剰となったキャリアガスをキャリアガス送出配管97を経由して原料容器5に送気し、さらに連結管4を経由して、処理容器34から排出されるように経路を解放し、雰囲気を維持することができる。バルブ92aとバルブ91bを開きポンプ91aを作動させて飽和した原料液体6を配管91を経由して原料容器5に移送する。
【0024】
飽和した原料液体6は、ポンプ91aにより原料容器5内に移送され、原料容器5の還元配管92の開口端92aの高さまで満たされる。そして、原料液体6は、前段容器94から原料容器5内に継続的に移送され、開口端92aの高さ以上の原料液体6は、開口端92aから還元配管92に落下して前段容器94に帰り、原料容器5内の原料液体6の液面6bを所定の高さに維持することが可能となる。
【0025】
ここで、図示はしていないが、好適には、前段容器94内に液面センサーを設け、原料容器5と前段容器94を循環する原料液体が一定量となるように、脱気タンク99から原料液体6を補充する機構とすることが望ましい。また、好適には、選択霧化が発生する原料液体6を用いる場合、循環経路内に反応種または反応前駆体の濃度を測定する機構を付設することが望ましい。
【0026】
このように原料液体6が循環している状態で、超音波振動子71に電力を供給し、原料容器5内の原料液体6に超音波を照射すると、原料容器5内の原料液体6は外気に触れることなく循環して、液面6bの高さを維持しながら霧化し、原料液体6とキャリアガスのみによる純度の高いミストを形成することができる。本実施形態では、超音波振動子71に周波数が2.4MHzのものを用いた。原料液体6がミスト化される量は、超音波振動子71に印加する電力量によって適宜調節される。
【0027】
ミスト生成部2を使用すると、ナノオーダーからマイクロオーダーサイズの微細なミスト粒子を効率的に生成することができるとともに、ミストの発生量を調節することができる。生成されたナノオーダーからマイクロオーダーのミスト粒子は速度を持たない、つまり空間に滞留可能であるため、速度を付与して整流することができる。
【0028】
ミスト生成2によりミスト化された原料液体6a(以下、単に「ミスト」という)は、ミスト状のままミスト排出口54から原料容器5外に排出され、図1の矢印Aに示すように、連結管4を介してエッチング部3に搬送される。エッチング部3に導入されたミスト6aはヒータ33により蒸気化されてエッチングに供される。
【0029】
ミスト生成部2で生成されたミスト6aはキャリアガスによって搬送される。キャリアガスを使用することで、ミスト6aが効率的にエッチング部3に搬送される。キャリアガスはミスト6aの成分であるエッチング原料と反応しないものであれば特に限定されず、エッチング対象物により適宜変更される。
【0030】
キャリアガス導入口55は、ミスト生成部2に設けられることが好ましく、原料液体6の液面6bより上方に設けられることがより好ましい。そうすることで、より効率的に生成したミスト6aが搬送されることとなる。
【0031】
搬送されたミスト6aは、ミスト導入口31を通過してエッチング部3内に導入される。
処理室34にはエッチング対象物10が設置され、処理室34は支持台11上に載置されてエッチング処理が施される。
【0032】
原料容器5から処理室34までの送気経路で、処理室34内の処理をアシストするガスや、原料として液体に混合させることのできないガス状反応種等のキャリアガス以外の気体を混合するようにしてもよい。
【0033】
また、処理室34にはキャリアガスを外部に排出するためのキャリアガス排出口32が設けられる。キャリアガス排出口32を設けることで、エッチングの際に生成する反応生成物が処理室34外に排出される。従って、エッチング対象物10上への反応生成物の残留を防ぐことができる。
【0034】
なお、ミスト6aの供給先は、エッチング部3には限定されず、成膜装置等ミスト化された原料を必要とする任意の装置とすることができる。
【0035】
エッチング装置1では、原料容器5に収容した原料液体6に、密閉容器7に収容された伝達液体8を介して、超音波振動子71から超音波が印加され、原料液体6はミスト6aとなる。液面調整手段9は、原料容器5内の原料液体6の液面6bの高さを一定に保つ。そのため、超音波振動子71と液面6bとの間の距離が変化することなく、長期間にわたり安定的に原料液体のミストを発生させることができる。
【0036】
エッチング装置1では、原料容器5と密閉容器7は当接して配置され、その当接部には原料容器5の底面壁を兼ねる合成樹脂薄膜52が配置されている。あるいは、原料容器5の底面を薄く形成している。そのため、超音波を効率よく原料液体6に伝達することができる。
【0037】
エッチング装置1は、原料液体6が原料容器5、配管92、前段容器94、配管91から成る循環経路を循環するように構成されている。配管92には恒温槽93が設けられ原料液体6は所定の温度に保たれた状態で循環する。そのため、原料液体6の粘性や表面張力が一定に保たれ、一定の霧化条件を得ることができる。また、原料容器5で過剰となった原料液体6を廃棄することなく前段容器94に還元して再利用するので経済的である。
【0038】
エッチング装置1は、前段容器94を備え、原料液体6は前段容器94から原料容器5に供給される。そのため、循環経路内を循環する原料液体6の量を多くすることができ、原料容器5内で原料液体6の選択霧化により原料液体6の成分が変化した場合にも、該成分変化を緩やかにすることができ、より長時間、安定した原料供給をすることが可能になる。同時に、原料容器5からの還元配管92を介して流れ込む原料液体6を回収し、多量の原料液体6を格納することから、原料液体6の温度変化をより小さくすることも可能である。
【0039】
また、前段容器内94でバブリングに用いた後、余剰となったキャリアガスは、原料液体6の経路である供給配管91とは別経路のキャリアガス送出配管97にて、原料容器内5に送りこまれ、原料容器5内で発生した原料液体のミスト6aを処理容器内34に送り込むためのキャリアガスとして使用される。これにより、経済的であると同時に、原料容器5から処理容器34内を所望の気体で満たすことができ、かつ、バブリングにより原料液体6を含有する所望の気体を雰囲気とすることで、原料液体6のミスト6aの蒸発も抑制できる。
【0040】
また、前段容器94には、脱気された原料液体6を格納し、該脱気された原料液体6に対してバブリングによりキャリアガスを溶解させている。これにより、原料液体6には、溶存気体が溶けにくくなり、処理室34の内部まで、所望の原料液体6のミスト6aで満たすことができ、処理を安定的に実施できる。
【0041】
また、原料容器5から処理室34までの送気経路で、処理室内の処理をアシストするガスや、原料として液体に混合させることのできないガス状反応種等を混合する。これにより、処理室内における反応を制御することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明に係るミストエッチング装置及びミストエッチング方法に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は下記実施例には限定されない。
【0043】
1に示すミストエッチング装置を使用して基板上に形成された酸化亜鉛(ZnO)の薄膜に対してエッチング処理を施した。
【0044】
実施例の薄膜は、スパッタリング法により基板上に成膜(膜厚100nm)した。
【0045】
レジストパターンを夫々の薄膜に形成した後に、表1に示す条件にてミストエッチング処理を施した。尚、エッチング時間は180秒とした。キャリアガス及び希釈ガスに(圧縮)空気を使用した。
【0046】
【表1】
【0047】
該実施例にて4時間の連続運転にてエッチングを実施した。連続運転においても、エッチングレート、エッチング形状に変化は見られず、安定してエッチング処理を実施できた。
【符号の説明】
【0048】
1 ミストエッチング装置、2 ミスト生成部(霧化装置)、 3 エッチング部、4 連結管、5 原料容器、6 原料液体、7 伝達液体容器、8 伝達液体、9 液面調整手段、52 合成樹脂薄膜(薄膜)、71 超音波振動子(超音波発生部)、93 恒温槽(温度調整手段)、94 前段容器
図1